エルフ13「用件を聞こうか……」紳士「子供を売りさばく奴隷商人を始末して頂きたい!」
大男「うるせえ!」バキッ!
母「きゃっ!」ドサッ…
少年「ママーッ!」
少女「うえぇぇぇぇぇん!」
大男「こりゃあ上質なガキどもだ。高く売れるぜ。ボスもお喜びになる!」
大男「よし、こいつらさらってとっととずらかるぞ!」
手下A「へい!」
手下B「へい!」
【 PART1 紳士からの依頼 】
―美術館―
紳士「ご足労ありがとうございます、ミスター・エルフ13」
エルフ13「絵を見たまま話してもらおう……」
紳士「これは失礼」
エルフ13「用件を聞こうか……」
紳士「この絵は……“楽しく遊ぶ子供達”を描いたものですが、今この国ではこんな光景はまさに絵空事となっています」
紳士「我が国では現在、子供を狙った誘拐が横行しています」
紳士「路上暮らしの子供達はもちろん、ちゃんと両親のいる子供達までもが」
紳士「悪質なグループに狙われ、奴隷として売りさばかれているのです……」
エルフ13「…………」
紳士「過酷な労働を強要され命を落としたり、慰み者にされたり……」
紳士「中には洗脳教育を施され、職業犯罪者にされてしまう子供もいるのです」
紳士「売る人間が許せないのはもちろんですが、買う方もまた……」
エルフ13「あんたはこの国の奴隷事情を講義するために俺を呼び出したのか……?」
紳士「あっ、これは失礼しました! さっそく本題に入りましょう!」
紳士「しかし、成果は乏しいというのが実情です」
紳士「特権階級にも子供の奴隷を愛玩してる者は多く、国家権力の協力も得にくいですしね」
紳士「ですが、このたびついに特に悪質な奴隷商人を突き止めることに成功しました」
紳士「子供をあらゆる手段で誘拐しては売りさばいているという……まさに血も涙もない“悪魔”です」
紳士「この男が生きている限り、子供達は安心して大人になれません」
紳士「あなたにはこの奴隷商人を始末して頂きたい!」
エルフ13「…………」
紳士「奴は拠点を転々としているのですが、現在はある山小屋をアジトにしています」
紳士「子供達もそこに監禁されているものと思われます」
紳士「ある程度人数が集まったら、闇のマーケットでまとめて売りさばくのでしょう」
紳士「一度売られてしまったら、もはや子供達を救うのは不可能です」
紳士「ですから、なんとしてもそれまでにお願いしたい」
紳士「報酬はすでにキャッシュで用意しております」
エルフ13「分かった……やってみよう……」
紳士「おおっ!」
紳士「うっ、うっ、うっ……」
エルフ13「…………」
…………
……
―山小屋―
大男「ボス、新しいガキを仕入れてきました」
奴隷商人「ご苦労」
大男「さっそく品定めを」
奴隷商人「どれどれ……」
少年「く、くそっ……!」
少女「うええええん……!」
奴隷商人「それぞれ10万Gぐらいの値はつくかもな。そうしたらボーナスをくれてやる」
大男「ありがとうございます!」
奴隷商人「どれ、もっとよく顔を見せてみろ」グイッ
少年「ペッ!」
奴隷商人「!」ビチャッ
少年「クズ野郎! さっさと殺せ!」
奴隷商人「ククク……いい味だ」ベロン
少年「…………!」
奴隷商人「俺は商品を傷つけるような愚かなことはしない。二人とも丁重に閉じ込めておけ」
大男「分かりました!」
奴隷商人「こういうガキがどんな地獄に落ちるか、実に楽しみだよ……」ベロンベロン
大男「さあ、来い!」
少年(なんだこいつ……! 絵本に登場する悪魔みたいなやつだ……!)
少年「くっ!」
少女「きゃあっ!」
子供A「また……新しい子か……」
子供B「かわいそうに……」
子供C「ぼくたち、みんなどこかに売られるんだよ……」
少年「…………!」
少年(誰か……。誰かぼくたちを、みんなを助けて……!)
手下A「火ィあるか?」
手下B「おう」シュボッ
手下A「サンキュー」スパー…
手下A「しっかし、ボスは恐ろしい人だ。よくもまあ、あそこまでガキどもを商品扱いできるもんだ」
手下A「この俺ですら多少の情は湧いちまうってのによ」
手下B「お前知らないのか?」
手下B「実はボスも……昔は奴隷として売り飛ばされたんだぜ」
手下A「マジかよ!」
手下B「だからあの人がガキどもに情をかけるなんてありえないんだよ」
手下B「むしろ、この世のガキども全てを自分と同じ目にあわせてやるなんて思ってるフシまであるぜ」
手下A「なるほど、そういうことだったか……」
手下B「おっと、この話は内緒な。こんなこと話したなんて聞かれたら、俺まで殺されちまう!」
手下A「分かってるよ」
手下A「……ちょっと小便行ってくる」
手下B「おう、ここは任せとけ」
手下B「あいつ、おせえな……」
手下B「まさか、サボってるんじゃ……」
手下B「おーい……」ガサゴソ…
手下B「ん? なんだこりゃ……」
手下B「あいつの死体……!? 額に矢が突き刺さって――」
手下B「誰かっ!」
ヒュッ ビシッ!
奴隷商人「なんだ?」
大男「敵襲のようです!」
奴隷商人「国の兵士どもか?」
大男「いや、国の上層部が今さら俺らを狙うとは考えにくい……」
大男「おそらく≪チャイルドガーディアン≫の連中かと。ガキどもを奪還しに来たんでしょう」
奴隷商人「あの偽善者集団か……とっとと片付けろ!」
大男「お任せを!」
手下達「へい!」
大男「襲撃だ! ≪チャイルドガーディアン≫がガキを取り戻しに来たと考えられる!」
大男「返り討ちにして、俺たちの恐ろしさをたっぷり味わわせてやりなァ!」
ワァァァァ… ドドドドド…
大男「いざという時は頼むぞ。高い金払ってんだ」
弓使い「フッ……俺の矢ですぐ仕留めてやるさ」
手下C「敵はどこだ!? ――どこにいやがる!?」
ビシッ!
手下C「ぐあっ……!」
手下D「こんな奴とどう戦えばいいんだ……!」
ビシッ!
手下D「ぎゃっ……!」
弓使い「敵は狙撃手(スナイパー)らしいな。だったら俺に任せとけ。弓には弓だ」
手下E「おおっ、あんたがいりゃ百人力だ」
弓使い「ただし、まずは敵をおびき出さなきゃ始まらねえ……」
弓使い「お前、そこらへんを歩いて、わざと敵に狙われろ」
手下E「えっ、そんなことしたら俺が……」
弓使い「心配すんな。敵がお前を狙う瞬間、俺の矢がそいつを射抜く。お前が死ぬことはねえ」
手下E「それなら安心だ! 頼みますよ、弓使いさん!」
手下E「…………」キョロキョロ
手下E(俺を狙え! 俺を撃とうとした時がお前の最後だ!)
ヒュッ!
ビシッ!
手下E「がっ……!」ドサッ
弓使い(見えた!)
ビュッ!
グサッ! ドサッ…
弓使い「やった! 命中だ!」
弓使い(フッ……これでまた俺の値打ちも上がるってもんよ。オトリになった奴は気の毒だがな)
弓使い(俺は死体を射抜いただけなのか!? だとしたら、敵はどこに――)
ヒュッ ビシッ!
弓使い「ぐはっ……!」
弓使い「な、なんだと……。この俺が……」ドサッ…
弓使い(こいつが……敵……)
弓使い(耳が尖ってる……。エルフ、か……?)
弓使い(たしかにエルフは弓に長けるという……。だが、こいつが弓の腕以上に恐ろしいのは……)
弓使い(俺を仕留めたってのに……まるで喜んでない……)
弓使い(ただ、“事を処理した”としか思ってねえ……)
弓使い(へへ……上には上が……いる、ということか……)ガクッ
―山小屋―
大男「ボス! 逃げて下さい!」
大男「手下どもは全滅です! 弓使いさえやられちまった!」
奴隷商人「なんだと!?」
ヒュッ! ビシッ!
大男「ぐえっ……!」ドサッ…
奴隷商人「お前が敵か……。ククク……たった一人の救出作戦というわけか」
奴隷商人「おそらく、≪チャイルドガーディアン≫に雇われた“プロ”だな……」
奴隷商人「あいつら、やはり偽善者だったな。なにしろ俺を消すためにプロを使うんだからよ!」
奴隷商人「動くな!」ガシッ!
少年「うわっ!」
奴隷商人「動くとこのガキを殺すぞ……!」
エルフ13「…………」
エルフ13「…………」ギリッ…
奴隷商人「よ、よせっ! このガキにも当たるぞ!」
少年「いいよ……ぼくごと撃って!」
奴隷商人「余計なことをいうな!」
エルフ13「小さな子供の後ろに隠れきれるわけでもあるまい……」
奴隷商人「…………!」
ヒュッ! ビシッ!
奴隷商人「がふっ……!」
奴隷商人「ち、ちくしょう……。俺の時も、お前みたいな奴が……来てれば……」ガクッ
少年「あ、あの……」
エルフ13「…………」
エルフ13「ここに待機していろ……。救助隊が来る手はずになっている……」
少年「は、はいっ!」
エルフ13「…………」ザッザッ…
ワァァァァ…
子供A「ワーイッ!」
子供B「夢みたいだ!」
子供C「おうちに帰れる!」
少年「よかったな!」
少女「うん……!」
ワイワイ… ワイワイ…
少年(それにしてもあのおじさん……何者だったんだろう……?)
―≪チャイルドガーディアン≫本部―
紳士「この矢文は……」
紳士「…………」
紳士(そうか、やってくれたか。エルフ13……)
紳士(これで私も心おきなく……)
秘書「…………?」
コンコン…
秘書「失礼します」ガチャッ
秘書「!?」
秘書「――会長!?」
秘書(自分で自分のノドを――)
秘書「誰かッ! 会長が! 会長がーっ!」
紳士『依頼の最後に……お願いしたいことがあるのです』
紳士『標的を仕留めたら……すぐにその旨を矢でお知らせ下さらないでしょうか』
エルフ13『理由を……聞こうか』
紳士『あなたは依頼人が隠し事をするのを許さないと聞いています。全てお話ししましょう』
紳士『実は……標的である奴隷商人は私の息子なのです!』
エルフ13『…………』
紳士『そして当時商売で忙しく、まとまった金も欲しかった私は……私は……』
紳士『持て余した息子をある奴隷商に売ってしまったのです!』
紳士『そう、息子を“悪魔”にしてしまったのは他ならぬ私なのです!』
エルフ13『…………』
紳士『≪チャイルドガーディアン≫を立ち上げたのは、その罪ほろぼしに過ぎません……』
紳士『ですから……息子が死んだら私もすぐ後を追います。どうか……』
紳士『ありがとうございます……!』
エルフ13「…………」
闇マーケットにおける少年少女の売買は大きな社会問題となっているが、
その摘発は難しく、今なお多くの子供達が犠牲になっているのが実情である……。
END
元スレ
エルフ13「用件を聞こうか……」紳士「子供を売りさばく奴隷商人を始末して頂きたい!」
https://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1616837422/
エルフ13「用件を聞こうか……」紳士「子供を売りさばく奴隷商人を始末して頂きたい!」
https://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1616837422/
コメント一覧 (15)
-
- 2021年03月28日 01:55
- >>1
見張り等の死体を盾にして狙撃してから物陰に隠れたと解釈した
-
- 2021年03月27日 21:48
- そりゃ見知った顔だっただけだろ
-
- 2021年03月27日 22:39
- 久々にssまとめたな
-
- 2021年03月27日 23:20
- あの濃ゆいお顔で耳尖ってるの想像しちゃってニヤけてしまうw
-
- 2021年03月27日 23:45
- こういうパロのゴルゴは大体正義寄りだから好きだな
原作のほうは正義とか悪とか関係なく依頼受けるし、最新の話でも悪さして都合が悪くなった金持ちが妻を殺して全部の罪擦り付けるって依頼受けて達成しやがったし
-
- 2021年03月28日 00:03
- ※5
ゴルゴは正義の味方じゃなくテロリストだからな
正義の味方が読みたければゴルゴはあわないんじゃない?
-
- 2021年03月28日 02:01
- 主義主張イデオロギー善悪関係なくマシーンのように仕事をするから良いんだよな
※5は親しみを込めての「しやがったし」なんだろ
※6は書き込んでからそれに気づき後悔してるかもしれないけど
とにかくゴルゴ13はまだまだ面白い。このデジタルIT社会になっても面白い。
てな訳でさいとうたかを先生、SS投下ありがとうございました早く仕事にお戻り下さい
-
- 2021年03月28日 02:46
- 「ゴルゴ13」 49巻に収録されているエピソード「ガリンペイロ」は、依頼人マリオの為に多対一の死闘を描く有名な話ですよ。
-
- 2021年03月28日 07:22
- 対ゴルゴ用に編成された新型クロスボウ部隊にいつもの愛弓で立ち向かう話はよ
-
- 2021年03月28日 09:37
- 他のシリーズと書いてる人が違うのか?すごく浅い
-
- 2021年03月28日 09:50
- ゴルゴ✕ファンタジーものではゴルゴ勇者も好きだ。
-
- 2021年03月28日 09:58
- ※9
死闘って言うか、ゴルゴからならず者の集団に対する、一方的なお仕事(意味深)だったような気がしないでもないがw
でもあのエピソード好きだわ。
-
- 2021年03月28日 14:53
- エルフ17って漫画あるよ
-
- 2021年05月05日 09:41
- このエピソードでの紳士と奴隷商人の親子の過去が何とも言えん悲しいものを感じる。
紳士のほうは生活のためとはいえ、息子を奴隷として売ってしまったことを非常に後悔していて、ようやく再会した時には、息子は奴隷商人となって、罪のない子供たちを奴隷として売るという非人道な行為を重ねていて、自分がどれだけ説得しても、彼の心は救いようがないくらいに歪み果てていたため、最後の手段としてエルフ13を雇って彼を殺してもらうという手段をとってしまったという罪悪感が強くにじみ出ている。
息子のほうも、幼いころからの過酷な奴隷生活を過ごしてきたことについては同情の余地はまだあるほうだ。
その後経緯は不明だが、奴隷の身からやっと解放された彼の心は過酷な奴隷生活の影響か、極端に歪み果てており、自分があれだけつらい経験をしたというのに、今の子供たちが幸せそうに生きているのが許せない、だから子供達には自分と同じ苦しみを徹底的に与えてやるという第三者から見れば身勝手極まりない逆恨みレベルの強い憎しみに取りつかれた奴隷商人になったという経緯はさすがの部下たちもドン引きしていたようである。
本当に和解もくそもない悲しい結末を迎えた親子には、来世では幸せになってほしいものである。
敵(エルフ13)を射抜いて仕留めた自信があるなら死体が転がってるのは当然なんだが
敵の死体ではない、と判断した理由がわからないな