妻「主婦として報酬を1000万円頂こうか」夫「キャッシュで支払おう」
- 2019年03月14日 00:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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妻「ならば主婦として報酬を1000万円頂こうか」
夫「キャッシュで支払おう」
夫「これだ」ﾊﾟｶｯ
妻「確かに、これで契約は成立だ」
夫「金額を確認しなくていいのか？」
妻「この期に及んで小細工をするようなつまらない男だったら、結婚などしていない」
夫「フッ……さすがはプロだ。期待しているよ」
妻「貰った報酬の分は働く……」ｻﾞｯ
夫「う、ん……」
妻「あなた、起きて」
夫「あと五分～！」
妻「なんという寝起きの悪さ……仕方ない」ｶﾞｼｯ
夫「？」
ﾌﾜｯ
夫（体が浮いた！？）
夫（体が起き上がった……）
夫（しかも、脳がいい感じにシェイクされて、目覚めもバッチリ！）
妻「すでに朝食の用意はできている」
夫（合気道かなにかの技を応用したのか……さすがプロ！）
夫「……！」
夫（トーストとサラダ、ハムエッグといったオーソドックスな朝食だが、きっちり30品目揃ってる！）
夫（料理は見た目も味のうちというが、見てるだけで朝っぱらからお腹が減ってきた）ｸﾞｩｩｩｩ…
夫（早起きしてこんな朝食を作るとは……恐ろしいプロだ）
夫「いただきます」ﾓｸﾞﾓｸﾞ
妻「行ってらっしゃい」
夫「靴を……」ｺﾞｿｯ
夫（この靴……温かい！？）
夫（まさか、温めておいてくれたというのか！？ 若き日の豊臣秀吉のように……！）
夫（おかげで気分は織田信長っ……！ 会社統一も夢じゃないっ……！）
夫（さすがプロ、小粋なマネをする……！）
妻「お帰りなさい」
夫「さっそく食事にしようかな」
妻「準備はできている」
ｽﾞﾗｯ…
夫（おおっ……！ 近所のスーパーでよく見る食材ながら、豪勢な料理に仕上がっている！）
夫（味はもちろん一流シェフのそれに匹敵する……！）ﾓｸﾞﾓｸﾞ
夫（凄腕のプロと聞いていたが……ここまでとはな。敵に回さなくてよかったぜ）
夫「ありがとう」
夫「瓶ビールなのはありがたいけど、家に栓抜きあったっけ？」
妻「素手で十分だ」
ｼｭﾋﾟﾝｯ
夫「……！」
夫（ビール瓶を手刀で切断した……さすがはプロ……）
夫「今日はのんびりしようっと」
妻「……」ﾁﾗｯﾁﾗｯ
夫（妻が掃除をしたそうな目でこっちを見ている）
夫（だが、俺はゴロゴロと昼寝をしている……さあ、どうするプロ！？）
夫（俺の昼寝を妨げないよう掃除をする……こんな不可能を可能にできるのか！？）
妻「……」
ｼｭﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞｯ
ｻｻｻｻｻｻｻｯ
夫（音を立てずに……掃除を！？）
夫（闇の技である無音清掃術（サイレントクリーニング）を身につけているとは、さすがはプロ！）
夫「これぐらい買えばいいかな？」
妻「ええ、付き合ってくれてありがとう」
夫（買い物をしている時の妻の目はまさに獲物を狙うハンターの眼光を放っていた……）
妻「――む」ｼﾞｬｷｯ
夫「え、なに！？」
夫（妻が抜刀を！？ まさか……敵か！？）
夫「え？」
ﾎﾟﾂｯ…
ﾎﾟﾂｯ ﾎﾟﾂｯ ﾎﾟﾂｯ
夫（ホントだ……）
夫（雨が降る前に、雨雲の殺気を感じ取っていたというわけか……プロめ、やりおる！）
夫「あーあ」
夫「サザエさんが終わると日曜日も終わるって、憂鬱になるんだよなぁ」
妻「だけど、また日曜日になれば、あたしたちに会えるわよ！」
夫（サザエさんの声！？）
妻「日曜日が終わるんじゃなく、また次の日曜日に向かって一週間が始まると考えるのよ！」
夫（サザエさんになりきって励ましてくれるなんて……これがプロ……！）
同僚「さて、そろそろ帰るか」
夫「そうだな」
同僚「お前はいいよなぁ～、毎日奥さんの手料理食べられてさ」
夫「うん……」
同僚「？」
夫「だけどたまには大雑把な飯を食いたくなるんだよなぁ。卵かけご飯みたいな」
同僚「贅沢な悩みだな。んじゃ、お疲れー」
妻「すまない、今日は晩ご飯の用意ができてなくて」
夫（プロがこんなミスを……？ 珍しいな）
妻「卵かけご飯を用意したから、食べてくれ」
夫「……！」
夫（まさか、俺の思考を読んで……！？）
夫（しかも、俺が負い目を感じないよう、自分のミスだと偽って……）
夫（なんというプロ……！）
夫「……ん」ｸﾞﾋﾞｯ
夫「今日の味噌汁はいつもより塩気が薄いような……」
妻「最近、血圧が少々高いようだから、減塩してみた」
夫「血圧？ 別に高くないよ」
妻「血管の具合から見て……上は132、下は75といったところだろう。少し高めだ」
夫「いくら君でも、血管見ただけで血圧が分かるわけないだろ。常に変動してるのに」
妻「ならば試してみるか？」
夫「ああ、君を疑うわけじゃないが、試させてもらう！ この血圧計でな！」
夫（プロとの真剣勝負……！ ワクワクしてきたぜ！）
夫「……！」
妻「な？」
夫「さすがはプロ……！」
妻「私は一目見れば、体の異常がだいたい分かる」
夫（毎日人間ドック受けてるようなもんだな……。プロの医者も真っ青だ）
夫「う～ん……」ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ
37.5
夫「君のいうとおり、熱があるな……」
妻「よし、今日は休むといい」
夫「無理だよ……会社休むなら38℃はなきゃ」
妻「勝手な基準を作るな。風邪ならば休まなければならない」
夫「うちの課長は昔堅気で、微熱なら出てこいってタイプの人だし……絶対怒られる」
妻「ならば私が電話しよう。必ずや休暇を勝ち取ってみせる」
夫（ほう、プロの交渉術をぜひ拝見するか……）
課長『熱は？』
妻「37.5℃です」
課長『おいおい、37℃程度で休まれちゃ困るんだよぉ～』
課長『他の者に示しがつかんし、這ってでも出てきてもらわないと』
妻「しかし、風邪の感染力を甘く見てはいけません」
妻「夫が無理に出勤した結果、職場中にウイルスが蔓延するかもしれませんよ？」
妻「もしかすると、パンデミックが発生するかも……」
課長『な、なにっ！？』
妻「定期健診でも気になる数値がちらほらあるのでは？」
課長『うぐ……』
妻「夫に風邪をうつされ、こじらせて、肺炎になるという最悪のケースも十分考えられる」
課長『私を脅すつもりか！？』
妻「いいえ、事実を述べているまでです」
妻「もしあなたが亡くなられたら、残された御家族はどうなるでしょうなぁ……」
妻「たしか、まだ小さいお子さんもいらっしゃるんでしょう？」
課長『子供には手を出すな！ なにが……なにが望みだ！？ 要求はなんだ！？』
課長『わ、分かった……要求を飲もう！』
妻「賢明な御判断、感謝いたします」ｶﾞﾁｬｯ
妻「さ、これで休める。あとでゆっくりがんこちゃんでも見よう」
夫「ありがとう」
夫（手段を選ばぬ冷酷非情な交渉……さすがはプロだ）
夫（今日は彼女のために、ケーキを買っていこう）
夫「ふんふ～ん」
ﾌﾞﾛﾛﾛﾛ…
夫「ん？」
ﾌﾞﾛﾛﾛﾛﾛﾛ…
夫「うわっ、車が突っ込んできた！」
ドカァンッ！
夫「いやー、参ったよ。飲酒運転の車が突っ込んできて、二週間は入院だってさ」
夫「君特製のスーツを着てなきゃ、もっと大怪我してたかもしれない」
妻「……無事でよかった」
夫「二週間、俺は家にいないし、お互いゆっくり骨休めしよう」
妻「ああ、そうさせてもらう」
夫「それにこの病院……看護婦さんがキレイだしさ。退屈しそうにないよ。なーんて」ﾑﾌﾌｯ
妻「……」
夫「こりゃどうも」
ｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼ…
夫「ん、痛いよ？」
ｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼ…
夫「いだだだだだだだだだ……！」
妻「……」ｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼ
夫（まさか……ヤキモチ！？ プロは言葉でなく行動で示すということか……！）
夫「俺がいなかったから、ゆっくり休めただろう？」
妻「ええ、休ませてもらった」
夫「君はいつも俺以上に忙しそうだったから、よかったよかった」
夫（これで家がグチャグチャに散らかってたら、それはそれで面白いな）
夫「！」
ﾋﾟｶﾋﾟｶ… ｷﾗｷﾗ…
夫（ピカピカだ……！）
夫（妻の乱獲によって、埃どころか、ハウスダストすら絶滅してる……！）
夫（俺はいなかったのに……いくらでも手を抜いてよかったのに……）
妻「……」
夫（どんな時でもプロは仕事をおろそかにしない、ということか……！ 俺も見習わないと）
夫「うん、やっぱり君の料理はうまいや」
妻「……」
妻「このところ、さまざまな社会問題が世間を騒がせている」
妻「あなたに怪我をさせた飲酒運転も、社会問題の一つといっていいだろう」
夫「ああ、そうだね」
夫（どうしたんだ、突然？）
夫「減ってるみたいだね、出生率。結婚しない人も多いみたいだし」
妻「今のままでは日本の人口はどんどん減ってしまう。なんとか解決せねばならない」
夫「たしかに……政府はもっと子供を産みやすい環境作りを推進して欲しいね」
妻「それでは寝るとしようか」
夫「うん」
夫（思いのほか社会派な食卓になったな……）
夫（寝室に……布団が一つ）
夫（これすなわち……！）
妻「さあ、社会問題を解決しようじゃないか」ｺﾞﾛﾝ
夫（なるほど、社会問題という伏線で外堀を埋めてから、一気に旦那を捕獲にかかる！）
夫（回りくどいが、確実に獲物を仕留められるやり方だ！）
夫（迫り方まで、プロフェッショナル……！）
妻「今日産婦人科に行ったら、子供ができていた」
夫「さすがはプロ……！ よくやった！」
夫「養育費のためにも俺、もっともっと頑張らないとな！」
妻「よせ、無理をすると体を壊すだけだ。そうなればお腹の子も悲しむ」
夫「でも……」
妻「それにお金なら心配することはない」
夫「え？」
妻「まあ、子供を大学まで出すくらいなら問題あるまい」
夫「いつの間に……！」
夫（まったくアフターサービスまで万全とは、つくづく凄腕のプロだぜ……）
― 終 ―
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コメント一覧 (23)
-
- 2019年03月14日 00:16
- 独り身には辛いぜ
-
- 2019年03月14日 00:44
- 家族持ちにも辛いぜ
-
- 2019年03月14日 00:59
- 世の専業希望のまんさんは見習ってほしい。
-
- 2019年03月14日 01:00
- 現実「主婦は大変なんだよ！ 休日ぐらい手伝ってよ！ 主婦は年収1000万分なのを給料全部で我慢してるんだよ！」
「でも主婦は誰でも出来るじゃん その時点で年収100万の価値もない ついでに言うと主婦の仕事は休日も含めてだ」
「ウキー！ ふじこふじこ」
-
- 2019年03月14日 01:19
- 主婦の年収1000万主張まんさんはこれぐらい軽々とこなしちゃうんだろうなーあこがれちゃうなー
-
- 2019年03月14日 01:53
- お互いのリスペクトが大事やねってことで
-
- 2019年03月14日 02:28
- これって夫はいらない存在なんじゃ……
-
- 2019年03月14日 04:23
- >>7
惚れた弱みってやつでしょ
-
- 2019年03月14日 08:24
- >>7
一応、種銭になった一千万ポンと出してるからね
つか、この夫婦の間に生まれる子供がどうなるか楽しみ七割不安三割
-
- 2019年03月14日 08:19
- こういうの好き
-
- 2019年03月14日 09:40
- 捻りがなさすぎる
-
- 2019年03月15日 16:27
- >>11
それな
-
- 2019年03月14日 14:18
- 夜の営みでは
「アアアーッ!!オオオーッ!!あ、あなたこそ、男の中の男!!」
とか言ってそうだな
夫のほうが
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- 2019年03月14日 17:47
- この妻は超A級のプロ……
そしてこの夫は超A級の妻を見出だす
超A級のブローカーだ……
-
- 2019年03月14日 22:14
- クッソつまらん
ネタも意味わからんし
-
- 2019年03月14日 23:18
- 『主婦の年収換算1000万』の元ネタは
アメリカのジョークバラエティ番組による
『主婦の作業を各分野のプロに依頼した場合にかかる年間費用』
という企画
一般人には無縁の話
-
- 2019年03月15日 02:36
- 口調が気持ち悪過ぎた
会社を休むくだりとか臭すぎ
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- 2019年03月15日 15:12
- 悪くないが良くもない
-
- 2019年03月15日 22:16
- 旦那から貰ったって言っても共有財産だから意味なくね
-
- 2019年03月15日 23:07
- 米に結婚出来る可能性のある奴
2人
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- 2019年03月16日 06:38
- ※19
結婚前のそれぞれの財産は、法律上は共有財産とはなりません
今回の描写では結婚してから貯めた1000万円ではない可能性が高いでしょう
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- 2019年03月16日 22:37
- ※21
NHKお昼の生活笑百科の弁護士みたいなことになってる
-
- 2019年04月09日 20:15
- 実際専業主婦の給与換算とか育児抜いたら手取り年で100～150万が限度やろ。
飯、光熱費、家賃、健康保険、住民税とかその他諸々引いたらマジで年で30万貰えりゃ精々ちゃう？
言うほどプロの仕事しとらへんし、家事すべてそこら辺の安い家政婦以下の仕事しかしとらんのに、なんで年収600とか800貰う気満々なんやろうな･･･
毎日献立変えて冷食は一切使わず、家の全てを毎日掃除してから出直せって話よな。
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