『星輝子 ~唯一無二のメタル・スター』
・Mではじまる人もバンドもでてきません
このジャンルが万人に受け入れられることは、おそらく未来永劫やってこないでしょう。
『トゲだらけの革ジャン着て喚き散らすだけの非理性的な音楽』
『ルックスで一部の人間に売れてるんじゃない?
ってかV系と何が違うの?』
『ちょっと何言ってるかわからない』
『メタラーはすぐキレそう』
日本でのメタルに対する偏見は根強く、公衆の場で自身がメタラーであることを主張するのは、ちょっと勇気の要る行為です。
『(メタルは)孤独と抑圧に苦しむ人達の最後の砦さ。
ロックもパンクも……今じゃ大衆向けのアクセサリーだから』
『どれか一曲でも、最後まで通しで聞けば印象が変わると思うわ。
メタルの“下拵え”は大変なのよ。たしかに攻撃的ではあるけれど、ただ短気で乱暴なひとには出来ない音楽だわ』
『シャウトやスクリーミングが聞き取れないって、ある意味幸せだね。
思わず叫んでしまうような……そんな怒りや苦痛を味わったことがないんだから』
誤解と共感。忌避と傾倒。
今回は、そんなメタルの荒野を駆け抜ける1人の人間の物語です。
福島のある街の病院で、まばゆいメタリック・シルバーの髪を生やした赤ん坊が生まれました。
両親ははじめ取り違えを疑いましたが、 DNA鑑定は赤ん坊が間違いなく2人の子どもであることを示しました。
その赤ん坊は「星輝子」と名付けられ、ハンディキャップもなく、大きな病気や怪我をすることもなく、すくすくと成長しました。
ですが彼女の小学校時代は、あまり明るいものではありませんでした。
同級生からは髪の色でからかわれ、教師からは「髪を染めろ」という冷たい言葉が浴びせかけられました。
家族には学校でのことを打ち明けられませんでした。
彼女は、髪のことで両親を傷つけてしまうと考えていたのです。
グランドのトイレの裏側にひっそりと群生していたキノコ。
それに彼女がどんな感情を抱いたのか、本人の口からは明らかになっていません。
『たくさんのキノコが生えていても、実際それは1つの個体なんだ』
『どういう意味ですか?』
『わかるだろう?
星輝子は学問だってことだよ』
ジュニアハイスクールに入り、小学校時代と似たような学生生活を過ごして2年目。
星輝子に転機が訪れました。
346プロダクションからのスカウトです。
『彼女だと思った。どうしようもなく、彼女なんだ。
うまく言葉にできないんだけど……』
彼女は、半ば強引に連行されたオーディションで驚くべきパフォーマンスを見せました。
いままでのフラストレーションを爆発させるような、骨太かつ透明感のあるシャウト。
審査員も彼女を連れてきたスカウトマンも絶句しました。
『孤独や疎外感、抑圧を打ち破りたいという気持ちがメタルの土壌なんだ。
これは持論だけど、輝子がメタル・スターになったのは必然だと思う』
『アイドルになってから豹変したと言うひともけれど、それは誤解ね。
穏やかに見える子のなかにも、やりきれない怒りや悲しみがあるの。
彼女のコンプレックスにとってふさわしい場所が与えられただけよ』
『まあボクは24時間365日カワイイですけどね!』
豊かな才能を持ちながらも、はじめ星輝子はヒットに恵まれませんでした。
日本でのメタル・ブームは遠い過去。
また、日本のメタル業界は“アイドル”という表面的な特徴で彼女を冷遇しました。
ですが、プロダクションには気の合う仲間達がおり、星輝子は家でも、学校でもない居場所を見つけました。
メタルの衣装を脱いだ仕事も熱心にこなし、着実にファンとのパイプを地道に作り上げていきました。
LIVEバトルのテレビ中継です。
『“ほどよい緊張感がアイドルを成長させる”、とか言う理由でさ。
アタシらは朝も昼も夜も週末も年末も年始も、プロダクションの仲間同士でやりあったよ。
実際儲かっただろうな。お偉いさん達は』
アイドル同士の対決で観客やファンは熱狂し、CDやグッズは飛ぶように売れました。
ですが熱狂は狂騒へと変貌し、一部の人間は暴徒と化しました。
『櫻井桃華のクリスマス衣装はダサい、って言ったらどうなったと思う?
“ファッキンアンチクライストが。俺のママを侮辱したな”ってぶん殴られたよ。
頭がおかしいんだよ。中学校に上がる前の女の子に何言ってんだって話だよ。
合法なママは佐々木千枝だけだってのに』
繰り返される破壊と暴力。連鎖する憎悪と悲しみ。
星輝子は、メタルの攻撃性ばかりがフォーカスされ、他のアイドルと比べても大きな批判を浴びました。
本当に馬鹿げたことに裁判になっちゃって……まあ勝ちましたけど。
サブリミナルなんてものが使えるなら暴力じゃなくて、こういうメッセージを込めます。
“ニューシングルを1人10枚買え。Tシャツも100着買ってクラスメイトにバラ撒け”』
ですが誤解と拡大解釈、風評被害は広がり続け、アイドル達は日本での居場所を失いました。
そこで346プロダクションはアイドル達を海外に送り出しました。
星輝子は送り出し第一世代として、アメリカ合衆国のLAに向かいました。
かつてメタルのメッカであったLAでもブームは沈静化しており、当初のプロダクションの目論見は外れました。
ですが日本ほど強い差別や偏見を受けることもなく、星輝子はのびのびとアイドル活動を満喫しました。
でも彼女の歌を聞いたとき、ブッとんだよ。
砂糖を口いっぱいに頬張った後に、頭をハンマーでぶん殴られたみたいだった』
『あの小さな身体から、どうしてあんなサウンドが生まれるんだろね。
シンガーとしてだけじゃない。
輝子はあの歳で、ハウスやスタジアムの最高列の人間も満足させる術を知っていたんだ。
同じメタラーとして悔しいけど、彼女はパフォーマーとしても超一流さ』
『最近ライブで動画ばっかり撮ってる馬鹿がいるでしょ。
あとで(放送規制)にアップして、その視聴者と一体感を味わうようなね。
でも輝子のライブにはいないわ。もし見つけたら(放送規制)』
“移民第一世代”は大成功をおさめ、合衆国のメディアは爆発的な彼女達のヒットを、“ジャパニーズ・インヴェイジョン”、一部の共和党支持者は“現在の黄禍”と形容しました。
“絶対特権主張しますっ!”、“ゴキゲンParty Night”のようなポップソングでは、それまで彼女のメタルしか知らなかった層の脳味噌を、綿飴に水飴を垂らすようにとろけさせました。
『悪魔のような格好をしていたのに、突然天使になって現れたんだ。
つまり、星輝子は最高ってことだけ言っとくよ。
年中聞いててもまったく飽きない。棺に全曲のCDを入れてもらいたいくらいさ。
俺が天国に行こうが地獄に墜ちようが、そこで星輝子を布教してやる』
音楽だけでなく、ライフワークであるキノコの栽培は彼女のテレビ進出を後押ししました。
『キノコ番組に出るときの彼女は、メタルの時とかなりギャップがあるわ。
悪いという意味じゃない。
あの、ちょっとダウナーな感じで一生懸命話そうとしているところがとってもキュートなの』
『輝子が紹介するレシピを実践していたら、ドクターから注意されていた体脂肪率と血圧が正常値になったんだ。
僕が生きているのは星輝子のおかげ。断言するよ』
『ダッドが森でとってきたキノコを食べちゃって倒れちゃったんだけど、輝子の番組をみてたから、あわてずにダッドをたすけられたよ!』
『星輝子が慈愛で満ち溢れている根拠さ。
精神的な意味では、彼女は俺の第二の母親だと思ってる』
『メタルの枠に彼女を押し込めるは……率直に言って的外れですね。
メタルだとか、アイドルだとか、年齢とか、国籍とか、性別とか、そういうものをすべて超越して彼女は星輝子なんです。そういう存在なんです』
そして現在。
彼女のニュー・シングル、「PANDEMIC ALONE」は全米・全英で700万枚のセールスを記録しました。
『輝子のクールなところは、孤独を決して否定しないことさ。
教師も家族も、友人も“孤独はダメだ”って言うんだけど、そう言われれば言われるほど、ひとりぼっちでいるときの自分がひどく惨めで、情けなくて、やりきれなくなってしまう。
つまりはさ、星輝子は義務教育にするべきなんだよ』
今年10月、星輝子は満を辞して日本に再上陸が決定します。
チケットを買い、CDを買い、Tシャツを買い、彼女を暖かく迎え入れましょう。
『ゴートゥゥゥゥ、ヘェェェールッッ!!
私は帰ってキタァァァッ!!
……あれ……帰ってくる…? どっちだっけ……』
取材・編集・制作 346プロダクション
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コメント一覧 (19)
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- 2018年06月28日 15:57
- かわいいぞてるこー!
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- 2018年06月28日 16:11
- 無限1UPきのこ~
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- 2018年06月28日 16:31
- 良い話にまとまってるけどちょこちょこ闇深
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- 2018年06月28日 17:33
- シリーズなのかよ
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- 2018年06月28日 17:40
- アイドルマスターの楽曲はよく知らないんだけどANSWERって曲の説明にdjentなんて言葉が使われてるのを見たときは驚いたね
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- 2018年06月28日 18:34
- 地毛を染めろと言う教師
ギルティ
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- 2018年06月28日 19:37
- ベビーメタルは、受けてるんじゃないのアレ
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- 2018年06月28日 20:33
- >>7
あんなのメタルじゃねーよ
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- 2018年06月28日 21:44
- ベビメタは海外で先に評価されて逆輸入されてきた感ある
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- 2018年06月28日 22:21
- 何かと思えばあれだ、ベビメタか。
メタルが毛嫌いされているってより、自分が理解できない・よく知らないことを理解しようとせずに、異常・異形なものとして批判・敬遠することで自分が知らないことを肯定し、優位に立とうとする思考に基づいているんだよね。
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- 2018年06月28日 22:48
- >>10
日本人はほんこれ
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- 2018年06月28日 23:23
- へビーメタル苦手だなあ
ブラックサバスとかは聞くけど
デスボイスしかしないバンドとかはどうもキツイ
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- 2018年06月28日 23:37
- てるこ~
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- 2018年06月29日 00:56
- ベビメタはヘビーなメタルで出来た日本刀だよ カワイイとカッコイイが刃の表裏を成すクリティカルなブレード
匂い立つ刃には愛と勇気と哀憐と、高貴なる抵抗が宿っている
古き良きエンシェントメタルセオリーの冥府魔道にとらわれると、心沸き立たせるモノを感じ取る感性が死んでしまうぞブラザー!
ただ味わえ!震えるなら叫べばいい!駄目なら酒呑んで忘れろ!
あ、SSは面白かったです!てるこ~
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- 2018年06月29日 09:07
- 星輝子は、いいぞ。
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- 2018年06月29日 10:42
- 翻訳調のコメントのなんか微妙に噛み合ってない感上手く言えないけどすき
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- 2018年06月29日 11:00
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BBCのドキュメンタリーみたいやな
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- 2018年06月29日 17:05
- ベビーメタルは声が軽すぎる、オフボーカルにしてくれ
SSは内容ガバガバなロックスタードキュメンタリー(よく見るとノンフィクションとはどこにも書かれてない)のセオリー踏んでて無責任に笑えた
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- 2018年06月29日 19:39
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学がない人間の文章。よって星ひとつ。