武内P「大人の魅力、ですか」【後半】
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武内P「全力で甘やかして欲しい?」
卯月「あっ、私もそれはわかる気がします」
凛「そう? 私は別にそうでもないかな」
武内P「しかし、アイドルの貴女達を甘やかすと言っても……」
未央「お願い! ちょっとだけで良いからさ!」
武内P「……」
武内P「……千川さん?」
ちひろ「未央ちゃんも、プロデューサーさんなら変な事はしないって思ってるのよね」
未央「その通り! さっすがちひろさん、わかってるね~!」
ちひろ「うふふ、褒めても何も出ないですよー」
武内P「……」
武内P「そういう……ものでしょうか」
卯月「はい♪ ちょっと恥ずかしいですけど……えへへ」
凛「でも、プロデューサーにそんな真似出来るのかな」
武内P「……少し、練習が必要かもしれません」
未央「練習? 甘やかすのに練習が必要って……どういうこと?」
武内P「全力で、との事なので加減が難しい、私はそう判断しています」
一同「……」
武内P「はい。私に出来る限りの事はするつもりです」
卯月「そ、そこまで……ですか?」
武内P「当然、アイドルとプロデューサーという関係以上の事はしません」
凛「ふーん。だけど、練習が必要なレベルで甘やかすんだ」
武内P「そうですね……一応、そのつもりでいます」
一同「……」
卯月「み、未央ちゃん!?」
凛「何言ってるの?」
未央「だってさ、なんだか面白そうじゃん?」
武内P「いえ、それは出来ません」
未央「えっ、何で?」
武内P「本田さんはアイドルなので……練習相手にするのは、少し」
一同「……」
ちひろ「?」
凛「うん、この場に居る練習相手は一人しかいないね」チラリ
ちひろ「えっ? えっ?」
未央「お願いちひろさん! 甘やかす練習相手、やってあげて!」
ちひろ「わ、私ですか!?」
武内P「そう、ですね。千川さんならば、練習相手として問題はないかと」
ちひろ「……!?」
ちひろ「ええと……でも……」
卯月「お願いしますちひろさんっ。プロデューサーさんと仲良くなるチャンスなんです」
ちひろ「だ、だけどね?」
凛「練習だから平気だって」
ちひろ「……」チラリ
武内P「……」
ちひろ「……はぁ、わかりました。仕事もあるので、少しだけですよ」
未央「準備って……」
武内P「……」
卯月「……移動して、ソファーに腰掛けただけですね」
武内P「千川さん、もし不快に思われたら、すぐに仰ってください」
ちひろ「は、はい」
凛「何それ?」
武内P「……」
武内P「では、いきます」
「……おいで」
プロデューサーさんが、いつもの無表情ではない、優しく、穏やかな笑みを向け、
私に向かって軽く手招きをしてきた。
彼の空気や口調が突然変わった事に驚きを覚えたが、
それ以上にこちらを招き寄せる手の動きから目が離せず、自然と彼に歩み寄っていった。
「……」
背の低い私は、背の高い彼が座っていても目線にあまり差はない。
だから、彼の慈しむような、尊ぶような目が私を捉えて離さない。
そうするのが自然だとばかりに、私は、彼の両脚の隙間にあるソファーの小さな一角に腰を下ろした。
すると、思った通り、彼は私を後ろから優しく、壊れ物を扱うかのように優しく抱きしめた。
「いつも、君には助けられている。ありがとう」
包み込む様な彼の言葉に、私は彼の役に立てていたんだという実感を得、
満たされた気持ちでいっぱいになった。
体の前に回された彼の腕にそっと手を添え、目をつむり、私はこう返した。
「良いんですよ。好きで……やっている事ですから」
未央「ストップ! スト――~~ップ!!」
未央「はい、未央ちゃんですよ! いやいやいやいや、ええっ!?」
武内P「……どう、でしたでしょうか?」
未央「どうもこうもないよ! 何それ! 何だそれ!?」
卯月「み、見てるこっちが恥ずかしくなっちゃいました……///」
凛「ふーん。ちひろさん、楽しそうだったね」
ちひろ「お……おほほほ」ソソクサー
武内P「……」
未央「はい、ちひろさん。ご感想は?」
ちひろ「ええと、そうですね……定期的にお願いしちゃおうかしら?」
卯月「ちひろさん……大胆です」
武内P「何か、改善する点等ありましたら、お願いします」
ちひろ「いえいえそんな! 大満足ですよ!」
凛「頭を撫でてもらったりとか、良いんじゃないかな」
武内P「……なるほど、検討してみます」
一同「……」
卯月「……」
凛「それじゃあ、次は私かな」
未央「しぶりん? まるで、順番が決まってたみたいに言うね?」
卯月「り、凛ちゃんずるいです! 私も、甘やかして欲しいですよー!」
ちひろ「はーいストップ」
未央・卯月・凛「?」
ちひろ「皆は、あれをやられて平気なの?」
未央・卯月・凛「……」
武内P「……?」
卯月「言われてみれば……」
凛「確かに……」
ちひろ「もうちょっとソフトに出来るよう、練習が必要だと思うの」
未央「あっ、これずるいやつだ!」
卯月「ち、ちひろさーん!」
凛「ふーん、ちひろさんもそういう事言うんだ」
ちひろ「ねっ、プロデューサーさんももっと練習が必要だと思いますよね?」
武内P「千川さんがそう仰るなら、はい、恐らくその通りなのだと思います」
ちひろ「……!」グッ!
未央・卯月・凛「……」
ちひろ「はい♪」
武内P「先程よりもソフトに、頭を撫でるのを付け加える、で宜しいでしょうか?」
ちひろ「はーい♪」
未央「ちひろさん、めっちゃ楽しそう」
卯月「うぅ~! 早く練習終わらないかなぁ」
凛「……」
武内P「……」
ちひろ「……」
武内P「では、いきます」
武内P「……どう、だったでしょうか?」
未央「うん、完璧かも!」
卯月「ちひろさん良いなぁ……私も、はやく甘やかして欲しいです」
凛「ふーん。まあ、悪くないかな」
ちひろ「……」
武内P「? 千川さん? 如何されましたか?」
ちひろ「あっ、いえ……その、実際に頭をナデナデされて甘やかされたんですよ?」
武内P「はい、そうですね」
ちひろ「だけどこう、何と言うか……ソフトと言うか、むしろ表現が無かったというか……」
武内P「すみません、仰っている意味が、よく……」
ちひろ「……いえ、何でもありません」
未央「えっと……最初と二回目の中間位で甘やかす、って出来る?」
武内P「中間、ですか」
卯月「はい……その、冷静と情熱の間でお願いしたいんです」
武内P「……」
凛「私は別に、最初の方でも良いけどね」
ちひろ「それは駄目です。プロデューサーとアイドルなんですから、節度は守らないと」
未央・卯月・凛「……」ジーッ
ちひろ「と、とにかく! 最初のは禁止です!」
武内P「……どう、だったでしょうか?」
未央「……うん」
卯月「……はい」
凛「……まあ」
ちひろ「皆、プロデューサーさんにナデナデしてもらって、甘やかされちゃいましたね♪」
未央「いや、そうなんだけどね!? そうなんだけど……」
卯月「三人一緒にというか、三人まとめてというか……」
凛「一気にはしょられた感じがするんだけど……」
武内P「すみません、仰っている意味が、よく……」
未央・卯月・凛「……」
武内P「ほ、本田さん?」
卯月「はい! 私も、今のじゃ納得出来ないです!」
武内P「し、島村さんまで……!?」
凛「逃げないでよ! アンタ、プロデューサーでしょ!?」
武内P「し、渋谷さん……!?」
ちひろ「もう、皆! あんまりプロデューサーさんを困らせちゃ駄目よ!」
未央「ちひろさん、プロデューサーに優しすぎ!」
卯月「今回は、プロデューサーさんが悪いと思うんです!」
凛「人を期待させておいてアレだよ、信じられない!」
ちひろ「大丈夫ですよ! 私は、プロデューサーさんの味方ですからね!」
武内P「せ、千川さん……!」
未央・卯月・凛「ちひろさん!」
未央・卯月・凛「プロデューサーを全力で甘やかさないで!」
おわり
未央は兄いるでしょ
ナレ「アイドルマスター!」
ナレ「最新型アイドルロボ、きらりんロボ!」
ナレ「今、壮絶なアイドル活動が、始まる!」
ナレ「アイドルマスター、プラモデルコレクション」
卯月「フフフンフンフンフフーン♪ フフフフフーン♪」
卯月「フフフンフフンフ、フンフンフンフン……えへへっ♪」
卯月「私達がステージに立てるなんて……!」
未央「入ってそうそうの大抜擢! 何が起こるかわからない!」
未央「いやー、アイドルって、すっごく楽しいよね!」
卯月「はいっ♪」
未央・卯月「えへへっ♪」
卯月「凛ちゃんはどうですか?」
凛「……まだ、実感沸かないかな。ステージに立ってる自分も、想像出来ないし」
凛「アイドルの仕事って、こんな感じで決まっていくものなのかな」
未央・卯月「う~ん……」
凛「マスターはどう思う?」
東方不敗「……そうさな」
東方不敗「だが! アイドルの先輩たる、美嘉ねぇ殿のたっての希望よ!」
東方不敗「これに応えぬは、武道家として、ファイターとして――」
東方不敗「――アイドルとして、東方不敗の名が廃るというものよ!」
未央「そうそう、やってみなきゃわかんないって!」
バシッ!
凛「……痛いって」
東方不敗「あの程度で痛いとは、修行が足りんぞ! ワッハッハ!」
未央・卯月・凛「おはようございまー……」
東方不敗「……ふむ、たまにはギアナ高地でなく、ここで修行をするのも悪くはないか」
ドンっ!
みく「……」
未央・卯月・凛「……す……」
みく「遅れてきた新入りが先にステージに立つのは納得いかないにゃ!」
みく「このみくとどっちが相応しいか――……」
みく「勝負にゃ!」
東方不敗「ほう! このワシを相手にほざきおるわ!」
みく「」
東方不敗「ガンダムファイト、国際条約第1条!」
東方不敗「頭部を破壊された者は、失格となる!」
みく「み、みくはまだ頭部を破壊されてないー!」
東方不敗「――左様」
みく「ふえっ?」
東方不敗「ガンダムファイト、国際条約第3条!」
東方不敗「破壊されたのが頭部以外であれば、何度でも修復し、決勝リーグを目指す事が出来る」
みく「……」
東方不敗「ワシ相手に啖呵を切った時のあの気迫、見事であったぞ」
東方不敗「だが! まだまだ甘い! このワシ自らが、ギアナ高地にて鍛えなおしてくれるわ!」
みく「!?」
東方不敗「行くぞ! せやああっ!」
みく「お、おお、覚えてるにゃあああああ!」
一同「……」
かな子「あの、私、皆がステージに出るお祝いにお菓子焼いてきたんです♪」
一同「わぁ♪」
武内P「……」
ちひろ「何か、気になることでも?」
武内P「ああ、いえ……」
ちひろ「バックダンサーの、あの子達と東方先生ですか?」
武内P「はい。勿論、皆資質はあると思いますが……正直、まだ早いように思えて」
ちひろ「確かに、そうかもしれません」
ちひろ「ですが、どちらにせよ彼女たちにとって、いい経験になるんじゃないですか?」
武内P「……」
東方不敗「――左様。アヤツらはまだまだヒヨッコとは言え、力は十分にありますからな」
武内P「東方先生……聞いて、いらしたのですか?」
東方不敗「それとも、プロデューサーの見込んだアヤツらでは、力不足だと?」
武内P「……いえ」
武内P「……」
ライブ当日
武内P「――出演者の方々に、ご挨拶を」
卯月「ここ、今回、バックダンサーで出演させて頂きます、島村卯月です!」
未央「本田未央です! 本日は、よろしくお願いします!」
凛「渋谷凛です、よろしくお願いします!」
東方不敗「人呼んで、東方不敗――マスターアジア! よろしくお願い致しますぞ、ワッハッハ!」
「よろしくおねがいしまーす!」
美穂「今日が、初めてのステージなんですか?」
卯月「は、はいっ!」
美穂「緊張しますよね……私も、今朝からずっと緊張していて……」
東方不敗「ファイトの前は、このワシとて緊張はするもの。恥じることはありませんぞ」
東方不敗(ほう……! こやつ、中々の気迫!)
まゆ「初ステージ……うふ、ステキですねぇ。わからないことがあったら、何でも聞いてくださいね」
東方不敗(ぬぅ……!? なんだ、コヤツの一体どこからこれほどのパワーが……!?)
瑞樹「あら? 貴女、この前会った子ね」
未央「は、はい! そうです!」
瑞樹「今日はよろしくね」
東方不敗(アンチエイジング……ぬうう! 再生が追いつかん!)
美嘉「オッハヨーございまーす★」
茜「おはよう! 今日は頑張りましょう!」
美嘉「モッチロン★」
美嘉・茜「ハイッ、ハイッ、ハーイ♪」
東方不敗(くくく……やはり、アイドルはワシの思ったとおり、いや、それ以上のパワーを秘めておる)
東方不敗(ドモンをアイドルにし、デビルガンダムのコアとした暁には――)
東方不敗(ワシの目的である、地球の再生はいとも容易く行えるわ! ワーッハッハッハ!)
卯月「……いつものシューズとは、違う感じですね」
凛「慣れてないと……結構危ない――」
スタッフ「通しでリハいきまーす!」
未央・卯月・凛「は、はい!」
東方不敗「応ッ!」
・ ・ ・
卯月「……」
スタッフ「頭、気をつけて!」
未央「……」
スタッフ「結構勢いあるんで、着地の時気をつけてください!」
未央・卯月・凛「は、はい!」
東方不敗「この東方不敗、ステージの装置如きに遅れは取らぬわ!」
ガララッ!
未央・卯月・凛「っ!?」
東方不敗「ふんっ!」
卯月「う……?」シリモチー
未央「う、わわっ……!」ヨタヨタ
凛「……!?」キョロキョロ
東方不敗「ふっ! はっ! せいっ! はあっ!」ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!
美嘉「~♪」スイスイッ
スタッフ「はーい! ちょっとストップ―!」
卯月「――あのっ! もう一回、出来ませんか!?」
スタッフ「これ以上は、厳しいですね」
スタスタ……
未央・卯月・凛「……」
卯月「どうしよう、凛ちゃん……?」
凛「わからないけど……せめて、ダンスだけでも合わせようか?」
未央「……」
東方不敗「ふむ……お主達がそう言うのなら、それもまた良かろう」
未央・卯月・凛「~♪」スイスイッ
東方不敗「はっ! でやあっ! そらそらぁ! なっちゃいないぞ!」ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!
卯月「……」
卯月「なんだか……喉を通らないですね」
凛「うん……」
未央「……」
凛「……?」
東方不敗「何を言うか! 戦の前に腹ごしらえをせぬなど、ファイターの風上にもおけんぞ!」
未央・卯月・凛「は、はいっ!」
東方不敗「食え! 食って大きく、強くなれ!」
未央・卯月・凛「……」
智絵里「……なんだか、緊張してきました」
みりあ「! 始まるよ!」
莉嘉「わぁ~!」
蘭子「遂に! 舞踏会の幕開けか!」
・ ・ ・
卯月「……は、始まっちゃいましたね、未央ちゃん」
未央「……」
卯月「……未央ちゃん?」
凛「未央?」
未央「……えっ?」
凛「さっきから全然喋ってないけど、大丈夫?」
未央「そ、そう? あはははは」
東方不敗「……」
スタッフ「スタンバイ、お願いします!」
卯月「えっ、も、もうですか!?」
スタッフ「はい、お願いします!」
バタンッ
未央「……!」
凛「……」
凛「!――行くよ!」
未央「っ、う、うん」
凛「卯月も行くよ!」
卯月「ふえっ? は、はい!」
凛「マスターも」
東方不敗「フフン、言われるまでもないわ」
東方不敗(ほう……腑抜けていたコヤツらに活を入れおったか)
凛「大丈夫! 本番はうまくいく!」
卯月「はいっ!」
未央「うん!」
東方不敗「……」
東方不敗(死んでいたと思った目が生き返りおったわ)
東方不敗(アイドル……やはり、それに秘められたパワーはワシの想像を越えておる)
美嘉「ヨーシ! じゃあ、行こっか★」
未央・卯月・凛「はいっ!」
東方不敗「応よっ!」
茜「皆さーん! どうですか! 元気ですかー!」
美穂「出る時の掛け声は、決まってますか?」
卯月「か……掛け声ですか……?」
東方不敗「ほう」
スタッフ「全員、スタンバイオッケーです!」
未央・卯月・凛「……!」
東方不敗「……」
スタッフ「5秒前!……4……3……」
未央・卯月・凛「フライ!」
東方不敗「酔舞!」
未央・卯月・凛「ドぉ!」
東方不敗「再現江湖!」
未央・卯月・凛「チキーン!」
ピョーン!
東方不敗「デッドリーウェイイイブ!」
――ヒュバッ!
……スタッ!
東方不敗「――爆発!」
ドオオォォン!
「ハイ! ハイ! ハイ! ハイ! ハイ! ハイ!」
美嘉「TOKIMEKIとこまでも~エスカレート~♪」スイスイッ
未央・卯月・凛「~♪」スイスイッ
東方不敗「ぬううううっ、せやっ! はああああっ、でやあっ!」
「ウ~~~ッ、ハイ! ハイ! ウ~~~ッ、ハイ!」
「T!」
凛「!」T
「O!」
未央「!」O
「K!」
卯月「!」K
「TO・KI・ME・KI!」
東方不敗「せい! はぁ! ふん! でやぁ!」ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!
蘭子・莉嘉・みりあ「えむー!」
きらり・杏・美波・アーニャ「いー!」
李衣菜・かな子・智絵里・みく「けー!」
「TO・KI・ME・KI!」
東方不敗「!」ビシイッ!
美嘉「皆ー! アリガトねー!★」
「イエエエエイ!」
美嘉「所で今日、バックを務めてくれたこの子達とファイター!」
美嘉「まだ新人なんだけど、アタシが誘って、ステージに立ってくれたんだー!」
「ウオオオオオ!」
美嘉「それじゃあ、感想でも聞いてみよっかなー★」
未央・卯月・凛「えっ?」
東方不敗「ほう? しかし、ここは若手のファイターに譲るとしよう」
美嘉「どう?」
卯月「ふえっ!? うわ、うわわわ……! え、えーと」
凛「……うん!」
未央「……うん!」
未央・卯月・凛「サイッコー!」
「イエエエエエエイ!」
スタッフ「全プログラム、終了でーす!」
一同「お疲れ様でしたー!」
未央・卯月・凛「ふふふっ!」
東方不敗「……クックック!」
https://www.youtube.com/watch?v=ni6ul9_4wIE
東方不敗(……想像以上のパワーをアイドルは持っておったわ)
東方不敗(まさか、このワシをほんの少しの間でも圧倒する程のものとは……)
東方不敗(だが、この東方不敗! このままでは終わらんぞ!)
東方不敗(必ずやアイドルとして大成し、その力をこの手にしてくれるわ!)
東方不敗(ククク……ハッハッハ……ワーッハッハッハッハ!)
おわり
お風呂後に次いきます
武内P「食品関係の、イメージガールをしていただきます」
アイドル達「……」
武内P「この件は、先方の希望と、私の判断でイメージが近い方に担当して貰う形となります」
アイドル達「……」
武内P「何か、質問はありますか?」
アイドル達「……」
武内P「はい。新田さんは、とても家庭的なイメージが強いので」
美波「そう、でしょうか……?」
武内P「これは、先方が希望されたからですね。私も、合っていると思います」
美波「えへへ……なんだか、照れちゃいますね///」
武内P「初々しさも感じる、とても良い笑顔です」
アイドル達「……」
武内P「いえ、本田さんの場合は違いますね」
未央「へっ?」
武内P「キレンジャーです」
未央「んっ?」
武内P「本田さんは、CPのキレンジャーなイメージがあるので、私が適任と判断しました」
未央「……」
アイドル達「……!」
武内P「はい。緒方さんの可愛らしいイメージにとても合っていると思います」
智絵里「か、可愛らしい……///」
武内P「デザインも、四葉のクローバーを連想させるものです」
智絵里「……///」
武内P「これは、私が緒方さんが適任だと判断しました」
アイドル達「……」
武内P「三村さんは確か、ちゃんこ鍋でしたね」
かな子「そ、そんなイメージですか!?」
武内P「美味しいから大丈夫です」
かな子「どすこい! じゃなくて、なんでやねん!」
武内P「これは、先方たっての希望になります。三村さんに是非、と」
アイドル達「……」
武内P「はい。白い妖精のような、アナスタシアさんのイメージに合っていると思います」
アーニャ「ビェールイフェーヤ……私に、出来るでしょうか?」
武内P「先方の希望もありましたし、私もアナスタシアさんが適任かと。頑張ってください」
アーニャ「ダー! 頑張ります♪」
アイドル達「……」
武内P「もじゃ村さ……いえ、島村さん」
卯月「お見舞いに来てくれた時の格好、まだ引きずってるんですか!?」
武内P「これは、先方たっての希望になります」
卯月「プロデューサーさんの判断じゃないんですか!?」
武内P「可愛すぎるけど可愛すぎない、普通に可愛い海女さんを目指すそうです」
卯月「……」
アイドル達「……」
武内P「そうですね……飴とどちらにしようか私も迷いました」
杏「それで結局カ口リーメイト?」
武内P「はい。双葉さんの働きたくないが進化すると、食べるのも面倒くさいになると思ったので」
杏「……強く言い返せないのが癪だなぁ」
アイドル達「……」
武内P「? イメージに合っていると思ったのですが……」
李衣菜「えー? そんなにクールな感じしますかね? もっと、熱いやつの方が!」
武内P「いえ、ロックアイスですので、やはり多田さんが適任かと」
アイドル達「あー」
李衣菜「駄洒落じゃないですか!」
莉嘉「皆は別々なのに、アタシ達だけ一緒なの?☆」
きらり「うっきゃー☆ 皆で、ハピハピするのが一番って事ぉ?」
武内P「そうですね。凸レーションの皆さんは、インスタ映えする食品に当ってもらいます」
みりあ「えー! それじゃあ、色んな物が食べられるってこと!?」
莉嘉「イエーイ☆ P君、アタシ達の事わかってるぅ☆」
きらり「Pちゃんもぉ、今度は一緒にクレープ食べようにぃ☆」
武内P「そうですね……はい、機会がありましたら」
武内P「神崎さんは……はい、熊本ラーメンでしたね」
蘭子「い、いくら我が故郷がそうとは言え、余りにもむごい所業!」
武内P「……堕天使すらも魅了する、聖杯から漂う至極の芳香」
蘭子「ククク、魂が猛るわ」
武内P「出身地以外にも、いわゆるギャップを狙った戦略ですね。これは先方の希望です」
アイドル達「……」
武内P「前川さんは……すみません、海鮮関係のものしか……はい」
みく「……」
武内P「あの……そんなに見ないでください」
みく「……」
武内P「……」
アイドル達「……」
凛「……ねえ」
武内P「? はい、どうされましたか?」
凛「皆のはなんとなくわかるよ。うん、合ってると思う」
未央「おやおや、しぶりん?」
凛「キレン……未央は黙ってて。これから大事な事をプロデューサーに聞くから」
武内P「……」
未央「……」
武内P「はい」
凛「どうして、私がトンカツのイメージなの?」
武内P「それは……」
凛「納得できない。李衣菜、ロックアイスと変わってよ」
李衣菜「えぇっ!?」
凛「李衣菜もさっき納得してなかったし、私のクールなイメージと合ってるから良いでしょ」
武内P「……と、カツアゲをしそうだな、と」
凛「!?」
アイドル達「あー」
武内P「先方が」
凛「!!?」
武内P「いえ、そんな事はありません」
凛「……じゃあ、どうして」
武内P「渋谷さんは、援助交際をしていそうというイメージを持たれている方が、ファンの中にはいます」
凛「……は?」
アイドル達「……あー」
凛「ちょっと皆! 納得しないで!」
凛「それで……カツアゲ?」
武内P「向井拓海さんの例もありますし、援助交際よりはアイドルとしてイメージはマシ、かと」
凛「……」
みく「李衣菜ちゃん、どうしてお財布から五千円出してるにゃ?」
李衣菜「えっ? これ位払えば、見逃してくれるかと思って」
みく「ロックのカケラもないよそれ」
凛「……」
凛「……」
未央「良いじゃんしぶりん。トンカツ、私は好きだよ」
凛「キレンジャー……」
未央「ぶっとばすよ?」
凛「そうだね……二人合わせればカツカレーになるし、そう考えると悪くないかな」
卯月「ふふっ、セットにワカメのお味噌汁はどうですか?」
未央・凛「それはちょっと」
卯月「……あぅ」
アイドル達「……」コクリ
武内P「この仕事は、今までの皆さんの積み重ねが試されます」
アイドル達「……」
武内P「そして、今後の展開にも関わってくる方もいらっしゃいます」
アイドル達「……!」
武内P「それでは、頑張ってください」
アイドル達「はいっ!」
武内P「良い、笑顔です」
ちひろ「うふふ、皆、とっても頑張ってますね♪」
武内P「初めは不安でしたが、彼女たちならばきっとやり遂げてくれるかと」
ちひろ「でも、全員に食品関係の仕事をさせるとは思ってませんでした」
武内P「食には関心があります」
ちひろ「まあ、意外」
武内P「……」
武内P「? はい、何でしょうか?」
ちひろ「もしも私がイメージで食品の仕事をするとしたら、何になると思います?」
武内P「千川さんが、ですか?」
ちひろ「はい♪」
武内P「そうですね……素うどん、ですね」
ちひろ「素うどん……ですか?」
武内P「あとは……もやし、パンの耳……」
ちひろ「プロデューサーさん? あの、私ってそんなイメージですか!?」
武内P「いえ、むしろ……」
武内P「千川さんは、満足な食が遠のいていくイメージです」
おわり
武内P「私の休日ですか……休日?」
武内P「あの……休日とは、一体何をするものなのでしょうか?」
卯月「へっ?」
武内P「すみません……おかしな事を言ってしまいましたね」
凛「……ねえ」
武内P「……」
未央「やばいよこれ、踏んじゃいけない地雷踏んだよこれ」
卯月「休日について考える人、初めて見ました……」
凛「ねえ、プロデューサー。最後に家に帰ったのって、いつ?」
武内P「……そう、ですね」
未央・卯月・凛「……」
武内P「そうですね……はい……そうですね」
未央・卯月・凛「!?」
未央「おかしいよ!? 流れが繋がってないからね!?」
武内P「? 何が、でしょうか?」
卯月「本当に……わからないんですか?」
武内P「ちゃんとベッドで寝ているので……はい、大丈夫です」
凛「駄目、この人全然わかってない」
武内P「……?」
未央・卯月・凛「……」
武内P「はい、何でしょうか」
卯月「ここは、プロデューサーさんのお家じゃないんです!」
武内P「何を仰っているのか、よく……」
凛「プロデューサー。仮眠室のベッドは、誰のベッド?」
武内P「先日、私のネームプレートがかけられていたので……私のものかと」
未央「会社からも諦められてるじゃん!」
卯月「あの、服! 服はどうされてるんですか!?」
武内P「社内にはランドリーがありますし、はい、問題ありません」
凛「設備が整ってるのが、こんな最悪な結果を招いたのかな」
武内P「いえ、住めば都……という言葉もありますから」
未央「プロデューサーも、事務所に住んでる気になってるじゃん!」
武内P「いえ……私は自宅がありますから……しかし、どこだったでしょうか……?」
未央・卯月・凛「……!?」
卯月「わかりません……何にもわかりません……」
凛「ね、ねえプロデューサー?」
武内P「はい、何でしょうか」
凛「この前の水曜日は休みだったでしょ? 確か、予定ではそうなってた」
未央「あっ、そういえばそうだね!」
卯月「そうですよ! その日は、何をしてたんですか?」
武内P「いえ、普通に仕事をしていましたが……?」
未央・卯月・凛「……」
武内P「そうですね……外出をしましたね」
卯月「奇跡はあるんです!」
凛「待って卯月。喜ぶのは早いよ」
卯月「凛ちゃん……?」
凛「外出って、どこに行ったの?」
武内P「アスタリスクのお二人が、連れて行って欲しいライブがあると言うので、はい」
未央・卯月・凛「……」
武内P「?」
未央「毎日アイドルに会ってたりしない?」
武内P「いえ、そんなまさか……いや……まさか……?」
卯月「……また、考え込んじゃいました」
凛「じゃあ、最後にアイドルに会わなかった日って、いつ?」
武内P「最後に……いつ……?……?」
凛「うん、もう良いよ。ごめん、変なこと聞いて」
武内P「ああいえ、お気になさらず」
未央・卯月・凛「……」
武内P「いえ、そんな事はありませんよ」
卯月「本当、ですか?」
武内P「はい。先日も、千川さんに帰るよう叱られてしまいましたし」
凛「それで、最終的に入ったベッドは?」
武内P「? 仮眠室のベッドですが……?」
未央・卯月・凛「……」
武内P「はい。毎朝挨拶するので、ご存知かと」
卯月「? ちょっと待ってください……毎朝?」
武内P「そうですね、同じ時間にアラームを設定しているらしく、毎朝顔を合わせます」
凛「待って、おかしくない?」
武内P「……確かに、まるで……そう、会社に住んでいるかのような……!?」
未央・卯月・凛「……」
武内P「いえ、しかし……専務に限って、そんな」
卯月「あの! 専務だけじゃなくてですね!?」
武内P「アメリカへ研修に行ったと聞いているので、そういった事は有り得ないかと……」
凛「だけど、まるで専務が会社に住んでるように見える……という事は?」
武内P「私も、事務所に住んでいるわけではない、という事ですね」
未央「……――んああああああ!」
卯月「未央ちゃん、落ち着いて! 落ち着いてください!」
武内P「本田さん!? 一体、何が!?」
凛「原因はアンタでしょ!」
武内P「あの……何か、ご不満があったら遠慮なく仰ってください」
卯月「プロデューサーさんは、事務所に住んじゃってるんですよ!」
武内P「そんなまさか……では、専務も会社に住んでるという事でしょうか?」
凛「正にその通りだよ。巨大な一つ屋根の下、二人は暮らしてる」
武内P「専務と同棲……すみません、それはもう、本当にキツイですね」
未央・卯月・凛「……」
武内P「なので、住んでいないという事にして頂けると……はい、助かります」
未央・卯月・凛「……」
卯月「休日の話……でしたよね」
凛「いつの間にか、346プロ在住の人達の話になっちゃったね」
武内P「いえ、住んでいませんが」
未央「頑な過ぎる」
卯月「じゃ、じゃあ趣味! 趣味は何か無いんですか!?」
凛「卯月、ナイスパス!」
武内P「趣味ですか……趣味……? 趣味……?」
未央「キラーパスじゃん!」
凛「完全にワーカホリックってやつだね」
武内P「健康状態には気を使っていますし、そこまででも無いかと」
卯月「……健康に気を使うのは、どうしてですか?」
武内P「万全な体調でなければ、皆さんを万全なサポートは出来ませんから」
未央「やばいよ、これ、一つ上のワーカホリックだ」
武内P「……」
凛「困ったなあ、みたいな感じ出さないで。困ってるのはこっちだから」
武内P「はい、何でしょうか?」
凛「プロデューサーって、友達とかいるの?」
卯月「凛ちゃーん!?」
未央「しぶりん! それは火の玉ストレート過ぎるよ!?」
武内P「友達ですか? いえ、一人も居ませんね」
凛「あっ……うん、ごめん」
未央「ピッチャー返しが直撃してるじゃん!」
武内P「渋谷さん……?」
凛「気にしなくていいよ、別に」
卯月「凛ちゃん……優しいです」
未央「いや、多分あれは罪の意識もあると見たよ」
武内P「いえ、私と渋谷さんはあくまでアイドルとプロデューサーですので、友達にはなれません」
凛「……」
武内P「ですが、お気遣い、ありがとうございます」
未央「頑張った、頑張ったよしぶりん」
卯月「凛ちゃん、お疲れ様です」
凛「……うん、今はちょっとなぐさめとか、うん、きついかな」
武内P「そうですね……皆さんをトップアイドルにする事でしょうか」
卯月「だったら……特技!」
武内P「そうですね……やはり、プロデュースですね」
凛「それなら……子供の頃の夢!」
武内P「そうですね……輝く皆さんのお手伝いをする、プロデューサーでした」
未央・卯月・凛「……」
武内P「それは……考えられませんね」
卯月「もし、クビになっても?」
武内P「他の事務所に移り、プロデュースを続けたいと思います」
凛「……じゃあ、次の休みの日にしたい事ってないの?」
武内P「そうですね、この様に皆さんとコミュニケーションが取れたらと思います」
未央・卯月・凛「……」
未央・卯月・凛「ん?」
未央「あの、プロデューサー……?」
武内P「はい、何でしょうか?」
卯月「確かに、ずっと話してましたけど……今日は、お仕事ですよね?」
武内P「いえ、仕事の日だと、ここまで話す時間は取れませんね」
凛「でも、事務所で話してるよね」
武内P「はい。作業の合間ではありますが、今日は時間がとれますので」
未央・卯月・凛「……」
未央・卯月・凛「今日はお休みの日!?」
武内P「いえ、そんなまさか……? 仕事をしているし、休日のはずが……」
武内P「……休日?」
おわり
おやすみなさい
武内Pも専務との同棲はそこまで嫌だったかw
武内P「おそらきれい」
アイドル達「……!?」
ザワザワ…
専務「静かに」
アイドル達「……」
専務「彼がそうなった原因は、君達だというのは事実か?」
アイドル達「……」
アイドル達「……」
専務「プロデューサーがアイドルを自宅に招くなどもってのほかだ」
アイドル達「……」
専務「しかし、話よれば君達が彼の家を突然訪問……いや、急襲したと言うではないか」
アイドル達「……」
アイドル達「……」スッ
専務「ほう? 事実は違うと言うのかね?」
アイドル達「……」コクリ
専務「なるほど。疑ってしまってすまなかった」
アイドル達「……」
アイドル達「……」
専務「君達は、彼の自宅で宴会はしていないのだろう?」
アイドル達「酔ってて覚えていません」
専務「……なるほど、そうか」
アイドル達「……」
専務「予想されうる中でもかなり悪い回答が飛び出して、私も驚いている」
アイドル達「……」
アイドル達「……」
専務「覚えている範囲で良い、話してみなさい」
アイドル達「……」
専務「嘘偽りや、事実を隠そうとした事が判明した場合、一年間の禁酒を言い渡す」
アイドル達「!?」
専務「これが私のやり方だ」
アイドル達「……」
早苗「……」
専務「彼には手錠がかけられていたのだが、それは君の物か?」
早苗「……」フルフル
専務「違うと言うのか」
早苗「……」コクリ
専務「よろしい。一週間の禁酒を言い渡そう」
早苗「!?」
早苗「……」
専務「彼にかけられていた手錠は、君の物か?」
早苗「……」コクリ
専務「初めから正直に答えたまえ。手錠には、君のサインが書いてあったぞ」
早苗「……チッ」
専務「いい度胸だ。君には一ヶ月の禁酒を言い渡そう」
早苗「……」
楓「……」
専務「彼の服を脱がせたというのは、本当かね?」
楓「……」フルフル
専務「違うと言うのか」
楓「……」コクリ
専務「よろしい。君には、温泉に入れない温泉リポーターの仕事を回そう」
楓「!?」
楓「……」
専務「彼の服を脱がせたのは、君か?」
楓「いえ、服はハサミで切りました」
専務「なるほど、嘘はついていなかったという訳か」
楓「着る物を切る」
専務「ここで駄洒落か。温泉のリポート、期待している」
楓「……」
友紀「……」
専務「彼の股間に、つくねを投げつけまくったというのは事実かね?」
友紀「……」コクリ
専務「ほう、君は先の二人と違って正直だな」
友紀「……」ドヤァ
専務「だが、やっている事は実にエグい。一ヶ月間の野球観戦禁止だ」
友紀「!?」
友紀「……!」
専務「さて、何故つくねを股間に投げるという真似を?」
友紀「四番をはれるだけのバットだったので、つい」
専務「そのおかげで、彼の自前のボールは大打撃だ」
友紀「……ぷぷっ、猛打賞……!」
アイドル達「……」クスクス
専務「猛打ではなく痛打だ。君には野球観戦のかわりにサッカー観戦を命じる」
友紀「!?」
瑞樹「……」
専務「私は、君はこの面子のブレーキ役だと思っていたのだが」
瑞樹「……」
専務「ずっと、うけるわ、と言って爆笑していたというのは事実かね?」
瑞樹「……」
瑞樹「……」
専務「まさか、本当に全部酔って忘れてしまったのかね?」
瑞樹「でも……その時の光景を想像したら……」
専務「……」
瑞樹「うけるわ」
アイドル達「わかるわ」
専務「息ピッタリだな君達は。川島君は、とときら学園のゲストとして出演してもらう」
瑞樹「!?」
アイドル達「……」
専務「正直、君達が彼の事をそこまで憎んでいたとは思わなかった」
アイドル達「!?」フルフル
専務「憎むとまではいかなくても……嫌っていたのだろう?」
アイドル達「!?」フルフル
ちひろ「専務、私達はプロデューサーさんの事を嫌ってなんかいませんよ」
専務「……千川くん?」
ちひろ「入院……されてしまったんですか?」
専務「いや、事を公にするわけにはいかないからな」
ちひろ「それじゃあ……?」
専務「池袋晶葉君と一ノ瀬志希君、そして、隠し味で堀裕子君に治療にあたって貰っている」
ちひろ「ああ、それなら次も安心ですね♪」
アイドル達「……ほっ」
専務「待ちたまえ。また、同じ様な事を繰り返そうと言うのかね!?」
専務「ならば、何故?」
ちひろ「プロデューサーさんの困った顔って……可愛くないですか?」
アイドル達「……」コクコク
専務「君達は、彼の困った顔見て楽しむために……?」
ちひろ「……」
専務「……なるほど」
アイドル達「……」
専務「だが、平行線だと思っていた君達の考えも、理解は出来た」
アイドル達「……」
専務「それが必要な事ならば……そうだな、制限付きだが許可しよう」
アイドル達「!」
専務「記憶はどうとでもなるが、肉体的なダメージが残る行為はやめなさい」
アイドル達「はいっ!」ニコリ
専務「……ふむ、これがパワーオブスマイルか」
アイドル達「♪」ニコニコ
専務「ああ、それと――」
専務「次は私も呼ぶように。場所は私が用意する。機密性は保証しよう」
おわり
武内P「皆さんの10年後、ですか」
卯月「はい。頑張ってると思うんですけど……」
凛「プロデューサーは、どう思ってるのかな、って」
武内P「そう、ですね……10年後……」
未央「おおっ! 予想以上に真剣に考えてくれてる!」
武内P「……」
未央「うんうん」
武内P「女優としても、バラエティ関連の仕事も増え、マルチな活動をしていると思います」
未央「おおっ! 好評価!」
卯月「でも、なんとなく想像出来る気がします♪」
凛「そうだね。未央、頑張ってるから」
未央「いやー、照れますなー///」
武内P「……」
卯月「はいっ♪」
武内P「引退していると思います」
卯月「ええっ!? い、引退しちゃってるんですか!?」
武内P「結婚し、それを機にアイドルも引退していると思います」
未央「な、なーんだそういう事か!」
凛「ふふっ、でも、卯月は10年後だったら27だもんね。わかるかも」
卯月「け、結婚して引退ですか……うぅ、反応に困ります///」
武内P「……」
凛「うん」
武内P「アーティストとしての活動も増え、トップアイドルの一員になっていると思います」
凛「……ふ、ふーん?///」
卯月「凛ちゃん、凄いです!」
凛「こ、この人の想像だから!///」
未央「またまたー、顔が真っ赤だよしぶりん!」
凛「もう! からかわないで!」
武内P「……」
卯月「20年後……想像も出来ないです」
凛「でも、ちょっと気になるかも」
武内P「……20年後……はい、20年後ですか……」
未央「この真剣な目! めっちゃ本気で考えてるよ、プロデューサー!」
武内P「……」
未央「ワクワクするなー!」
武内P「そろそろAVに出演するのではという声が多くなっていると思います」
未央「返して! 私のワクワク返して!」
卯月「未央ちゃん、あくまで想像ですから! ねっ!?」
凛「でも……言われてみれば、って感じがするから怖いね」
未央「絶対出ないから!」
武内P「……」
卯月「私はもう結婚してるから大丈夫……ですよね?」
武内P「アイドル活動に復帰し、復帰後二枚目のCDを出していると思います」
卯月「えっ? 復帰するんですか?」
武内P「ご主人の浮気が発覚し離婚、子供が居なかったのが幸いでした」
卯月「最悪じゃないですか! って、私浮気されるんですか!?」
未央・凛「あー」
卯月「えっ、えっ!? 私ってそんなに浮気されそうですか!?」
武内P「……」
凛「……」
武内P「芸名を渋谷凛から、RINに変更し、より一層の活躍を見せていると思います」
凛「ふーん。まあ、悪くないかな」
未央「なんかしぶりんだけずるくない!?」
卯月「凛ちゃんだけ人生うまくいってるじゃないですか!」
凛「まあ、プロデューサーの想像なだけだし、気にすること無いって」
武内P「二度目の離婚以降に見られるようになった心境の変化が、歌にも芸名にも表れましたね」
未央・卯月「うまくいってなかった!」
凛「……」
武内P「……」
未央「なんだかまだ真剣に考えてるけど、私聞きたくないよ!」
卯月「私だって聞きたくありませんよー!」
凛「……ねえ、30年後はどうなってると思う?」
未央「なんで聞くの!?」
卯月「言わなくていいです! 言わなくていいですからね!?」
武内P「30年後……それは……さすがにわかりかねます」
未央・卯月「……ほっ」
凛「……」
未央「それは……まあ、確かにそうだけど」
卯月「……悪い方向にいっちゃう原因がわかれば」
凛「……うん、20年後も大丈夫なんじゃないかな?」
未央「確かにそうだけどさー」
凛「想像とは言え、言われっぱなしは癪でしょ」
卯月「はいっ! プロデューサーさんを、ギャフンと言わせちゃいましょう!」
未央「……しょうがない! いっちょやってやりますか!」
武内P「……」
卯月「なるほど! 引退しちゃえば!」
凛「危険から思い切り遠ざかる作戦だね」
武内P「……そう、ですか」
未央「そうしたら、私の20年後は!?」
武内P「結婚したいのに出来ない女性芸能人として、お茶の間で大人気だと思います」
未央「私ってそんなに結婚出来ないイメージ!?」
卯月「でも……」
凛「うん、すごくしっくりくる」
未央「こないよ!」
武内P「……」
未央「その前提ずるくない!?」
凛「でも、これなら大丈夫じゃないかな」
武内P「……そう、ですか」
卯月「そうしたら、私の20年後は!?」
武内P「ご主人の貯金の使い込みが発覚し離婚、アイドルに復帰後二枚目のCDを出していると思います」
卯月「私って、そんなに男の人を見る目なさそうですか!?」
未央「でも……」
凛「男の人を駄目にしそうな感じはするよね」
卯月「しませんよ!」
武内P「……」
未央「なるほど、逆に結婚しないというパターン!」
卯月「仕事一筋……凛ちゃん、カッコイイです!」
武内P「そう……ですか」
凛「そうしたら、私の20年後は!?」
武内P「すみません……12年後以降は徐々に活動が減っていき……わかりません」
凛「二度離婚しなきゃ駄目なの!?」
未央「でも、しぶりんって束縛強そうだよね」
卯月「多分、離婚の理由はそれですね」
凛「束縛なんてしな……するかも」
武内P「……」
未央「ちょっとプロデューサー!」
卯月「プロデューサーさん、ひどいです!」
凛「今の想像は何なの!? 説明して!」
武内P「……」
未央「……あの、もしもーし?」
卯月「……えっと、まだ考えてるんですか?」
凛「……駄目、何しても反応が無い」
武内P「……」
未央「それじゃあ、プロデューサーは10年後はどうしてるの?」
武内P「プロデュース活動をしていると思います」
卯月「そ、即答でしたね」
凛「それじゃあ……20年後は?」
武内P「プロデュース活動をしていると思います」
卯月「……30年後は、どうしてるんですか?」
武内P「長年の無理がたたり、一人孤独に息を引き取っていると思います」
未央「プロデューサー、未来に夢を抱いて!」
卯月「大丈夫、大丈夫です!」
凛「……驚く程自分に厳しかったね」
卯月「み、未央ちゃん!?」
凛「結婚したいのに出来ないイメージを覆してきたね」
武内P「……そう、ですか」
未央「そうしたら、私の20年後は!?」
武内P「男の子一人、女の子一人の明るく楽しい家庭で、毎日が良い笑顔で送れると思います」
未央「最高の結果じゃん!?」
卯月・凛「……」
武内P「……」
未央「し、しまむー!?」
凛「卯月ものっかったね」
武内P「……そう、ですか」
卯月「そうしたら、私の20年後は!?」
武内P「娘もアイドルになると言うのに喜び、優しく穏やかな、良い笑顔の毎日が送れると思います」
卯月「凄いです! 最高の結果ですよ!」
未央「おおっ、しまむーやるねぇ!」
卯月「えへへ♪」
凛「……」
武内P「……」
未央「さすがに二度の離婚は嫌だったか」
卯月「凛ちゃん、頑張ってください!」
武内P「……そう、ですか」
凛「そうしたら、私の20年後は!?」
武内P「反抗期の娘に手を焼きつつも、実家の花屋を手伝い平穏な、良い笑顔の毎日が送れると思います」
凛「悪くないかな! 悪くないかな!」ポコジャガ
未央「落ち着いてしぶりん! オチじゃなかったからって小躍りしないで!」
卯月「やりましたね、凛ちゃん♪」
武内P「……」
卯月「はい♪ 20年後も、これで安心ですね♪」
凛「安心と言っても、ただの想像だけどね」
未央・卯月・凛「……」
未央「うん、ただの想像……だよね」
卯月「そう……ですよね、はい」
凛「そうだよ……ただの想像だから」
武内P「……」
武内P「……っ、すみません、少し、深く考え込んでしまいました」
未央・卯月・凛「……」
武内P「? 皆さん、どうかされましたか……?」
未央・卯月・凛「……」
武内P「あの……私は、何かおかしな事を言っていましたか?」
未央・卯月・凛「結婚してください!」スッ
武内P「!? わ、私はプロデューサーで、貴女達はアイドルです! なので――」
未央・卯月・凛「じゃあ私、アイドル辞める(ます)!」
武内P「!?」
未央「私だって結婚したいもん!」
卯月「私も、結婚、引退、離婚、復帰の流れは嫌です!」
凛「私に二度も離婚させる気!? 逃げないでよ!」
武内P「あの、仰っている意味が、よく……!」
未央「10年後、忘れないでよね!」
卯月「私も、それまで誰とも結婚しませんから!」
凛「ちゃんと見ててよね! 目を離したら、承知しないから!」
武内P「10年後!? いえ、あの、皆さんにそう言われても……!?」
ガチャッ……バタンッ!
武内P「……」
武内P「10年後……私はどうなってしまうのでしょうか」
おわり
武凛お願いします
流れていく景色を後部座席に座りながら横目で見る。
街はまだ眠る気配を見せず、夜はこれからだと騒いでいるようだ。
「すみません……少し、迎えに行くのが遅くなってしまいました」
けれど、この人は帰りがこの時間になってしまった事を詫びてくる。
確かに、私はまだ15歳で高校生だから、あまり遅くなる訳にはいかない。
だから、こうして謝罪するのは、当然だと思っているのだろう。
「良いよ別に。気にしてないから」
本当は、一人で帰る事も出来た。
むしろ、そうしていたら今頃は家に着いていたかもしれない。
しかし、私はこの人に迎えに来て貰い、家まで送ってもらう事を選んだ。
今のこの状況は……私の、ほんの少しの我儘。
「そう言って頂けると、助かります」
私の我儘に振り回されていると、プロデューサーは全く思っていないのだろう。
それは、この人が私を信頼しているからで……今は、その信頼に甘えてしまおう。
近頃は、こうして二人になる時間はめっきり減っていた。
私も、シンデレラプロジェクトのメンバーとして、
そして、プロジェクトクローネとしての、二つの企画に関わっているからだ。
参加するユニットも増え、ソロ活動も増え……今は、毎日がとても忙しい。
「……」
私をスカウトしに来ていた時は、毎日の様に校門の前で待っていた姿が懐かしい。
その時に比べて軽んじられている……とは、思わない。
だって、この人はいつも、いつも真っすぐに私を見てくれているから。
「最近、忙しそうだね」
だけど、プロデューサーとは、こうして会う時間がどんどん減ってきている。
アイドルとして、私が手のかからない程成長してきたと思ってくれているんだろうけど。
「すみません。皆さんや……渋谷さんと接する時間が、減ってしまっています」
「わ、私は大丈夫だから!」
思わず、大きな声が出てしまって、少し後悔。
本当に大丈夫だと思われて、これ以上会う時間が減るのは、その……何となく、嫌だ。
「……」
「……」
気まずい沈黙が、私達の間に流れる。
家に着くまで、もうそれ程時間は残されていないのに。
せっかくの機会なのだから、もっと、何か無かっただろうか。
「……」
後部座席の斜め後ろから、運転するプロデューサーの顔を眺める。
いつの間にかこの位置が、この人が運転する時の私の定位置になっていた。
二人の時も、座るのはなんとなく、斜め後ろ。
横に座っていたら、もっとよく顔が見えるのかな……って、何考えてるんだろ。
「……」
相変わらず、無表情で怖い顔。
最近は少し表情が柔らかくなってきたと思ったが、運転する時はいつにも増して表情がなくなる。
きっと、絶対に事故等起こさず、私を安全に送り届けようと思っているのだろう。
でも、この顔で出歩いたら何回職務質問を受けるのかなと思ったら、クスリと笑いが零れた。
「渋谷さん?」
「ううん、ごめん。何でもない」
プロデューサーの真剣な顔が怖くて、面白くて笑ったとはさすがに言えないよね。
「そう言えば、ですが」
「何?」
何を言われるのだろう。
突然で、まるで予想がつかない。
「最近、学校の方はいかがですか?」
「……ふふっ、何それ?」
まるで久しぶりに娘と会話をする時、話題に困った父親の様な問いかけ。
私、アンタみたいな父親を持った覚えはないんだけど?
「いえ、渋谷さんの最近のスケジュールを考えると、学業の方が疎かになってはいないか、と」
「……ああ、そういう事」
あくまでもプロデューサーとしての問いかけだったのかと思い、納得。
しかしながら、中々に痛い所を突かれてしまった。
レッスンに、ライブに、その他諸々の仕事もあって、私の成績は緩やかな右肩下がりになっている。
けれど、アイドルとして充実した日々を過ごしているのならば、仕方無いんじゃないかな。
「もしも学業に支障が出ている場合……シンデレラプロジェクトとしての仕事を減らす必要があります」
……は?
「何それ?」
何を言ってるの、この人は?
「プロジェクトクローネの方のスケジュールは、プロダクションの方針もあり調整がききませんから」
「ちょっ、ちょっと待って!」
「しかし、シンデレラプロジェクトは、私と、渋谷さんの裁量で調整が可能です」
シンデレラプロジェクトとしての仕事を減らす?
だって、そんな事をしたら――!
「アイドルの貴女を見守りたいという気持ちは、これからも、決して変わりません」
会える時間が、今以上に――!
「ですが、親御さんから貴女をお預かりしている以上、学業を疎かにするのを見過ごす訳にはいきません」
……悔しいが、プロデューサーの言う通りだ。
この人は、アイドル活動が忙しいからと勉強に手を抜いても良いと言う人じゃない。
だけど、今、せっかくのこの時間に、こんなデリカシーの無い事を言うなんて!
「ですが……渋谷さんならば、そんな事は無いと信じています」
その言葉を聞いた瞬間、理解した。
「……プロデューサー、なんだか性格悪くなった?」
私は、からかわれたのだ。
私の成績が少し下がってきたと伝えたのは……誰だったろうか。
頭の中で指折り数えてみるが、プロデューサーに言いそうな奴の心当たりは少しだけ。
あとで犯人を特定し、仕返しをしてやらなければ気が済まない。
だが、その前に、
「……大丈夫。勉強も頑張るから」
「はい。渋谷さんならば、きっとそう仰るだろうと思っていました」
シンデレラプロジェクトの仕事を減らすと、冗談交じりに脅しをかけてきたコイツに復讐しなければ。
信号が赤になった。
「でも、頑張っても成績が下がったらどうするの?」
「それは……」
予想していなかった返しに、プロデューサーは大いに戸惑っているようだ。
眉をハの字にし、真剣に頭を悩ませている。
信号が変わるまでの間、それはずっと続いた。
信号が青になった。
「その……とても、困りますね」
考え抜いた結果、それ?
そんな答え、もう、
「……っくく! 何、それ……!」
笑うしかないじゃないか。
「私は、プロデューサーであると同時に、アイドル渋谷凛のファンです」
「うん」
「その姿を間近で見られる機会が減るのは……はい、困ります」
「……そっか」
プロデューサーも、会える時間が減るのを嫌だと思っていたのか。
そう思ったら、さっきまでの事も許そうと思えるから不思議だ。
考えてみれば、シンデレラプロジェクトとクローネの二足の草鞋状態になりたての時にも、
この人は、担当を変わるつもりはないと言ってのけたじゃないか。
そう思うと、
「プロデューサーって、案外独占欲強いよね」
「そう、でしょうか? 自分では、よくわかりませんが」
「そうだよ」
なんとも欲張りな人だろうか。
アイドルとして、学生として、一人の人間として、成長する様を自分に見せろと言うのだ。
欲のなさそうな風を装い、その実強引で、とても頑固。
「私、頑張るから」
こんな強欲なプロデューサーの元に居ては、私が欲張りになるのも仕方ない。
「だから、ちゃんと見ててよね」
「忙しくなって、こういう時間が少なくなるのもわかるよ。だけど――」
だけど、アンタは私のプロデューサーでしょ。
そして、アイドルの私のファンだと言うのなら、目を離すのは許さない。
私は、プロデューサーにアイドルの道に招き入れられたのだ。
その責任は取ってもらわないと。
「……渋谷さん」
「プロデューサー、ちゃんと私を見ててよね」
この感情に名前を付けるのはよそう。
それをするのは憚られるし、そうしたら、この人は逃げてしまいそうだから。
これはただの我儘で、ちょっとした独占欲なのだ。
「ふふっ……出来ないなんて、絶対に言わせないから」
「はい。見守り続けると、お約束します」
その答えに満足し、ふと、前を見たら、
「良い、笑顔です」
「……ちょっと待って。もしかして、今も見てたの!?」
バックミラー越しに、プロデューサーと目が合った。
先程までの私は、一体どんな表情をしていたのだろう。
そう考えると、今は、一刻も早く自宅に着いて欲しい気持ちでいっぱいになった。
おわり
早朝の冷たい空気が頬を撫でていく。
乾燥しているこの季節の風は、私達アイドルには厄介な敵だ。
髪のセットは乱れるし、ホコリっぽいから、喉も痛みやすい。
それでも、朝早いだけマシなのだろうけど。
事務所の敷地に入ると、横手にある緑地スペースに後輩アイドルの姿が見えた。
確かあの子は、彼が担当していた子だ。
大きなツインテールを揺らしながら、何かを必死に探している。
声をかけようかとも思ったけれど、今は、この風から避難するのが先決だ。
この渇いた風は、私には、とても良くない。
だから、早くお城の中に逃げ込まないと。
入り口を抜け、エントランスホールに敷かれた赤い絨毯の上を歩く。
上等なそれは、気を抜くと足を取られてしまいそう。
「おはようございます」
「はい、おはようございます」
声の聞こえた先で、アイドルの子と、その担当プロデューサーの男性が挨拶を交わしていた。
その、何気ない、とても当たり前のやり取りが、無性に羨ましくなる。
これは、冷たい、渇いた風に当てられたせい。
私が彼の姿を見なくなって、もう一ヶ月が経とうとしているのとは、全く関係が無い。
彼は、先月の頭から、アメリカの関連会社へ研修のため出向している。
何でも、第二期シンデレラプロジェクトへの空白期間の間に、
彼の今後の事も考え、スキルアップのためにと専務が提案したらしい。
彼は、当然のように初めはその話を断った。
それもそのはずで、彼は現在もシンデレラプロジェクトの一期生を抱える、
そうね、とても優秀なプロデューサーだもの。
そんな、仕事人間の彼が自分の今後のためとは言え、
手放しで今担当しているアイドルを放って海外へ行くとは到底考えられない。
だが、最終的に彼はその話を受けた。
頑として首を縦に振らなかった彼を説得したのは、彼の関わったアイドル達だった。
でも、説得……と、言うのかしら、あれは?
エントランスホールで大勢のアイドル達に囲まれながら、
正座されられている彼の姿はちょっぴり可哀想だったわ!
……そう、丁度、この位置で正座してたのよね、彼。
勿論、この話が彼にとって良い話だというのはわかっている。
けれど、調子が狂ってしまうのだ。
あの、大きな背中と、低い声、そして、ちょっぴり立った寝癖。
「……おはようございます」
ちゃんと周りに誰も居ない事を確認して、彼が正座していた場所に向かって挨拶。
誰かにこんな姿を見られたら、また高垣楓が変なことをしていると思われちゃうものね。
仕事の打ち合わせが終わり、談話スペースでホットコーヒーでホッと一息。
お昼にはまだ早いからか、いつもは誰かが居るのに今日は私一人だ。
最近、調子が出ないからこういった一人の時間は、正直ありがたい。
そんな時、ふと、談話スペースの脇に置かれた黒いぴにゃこら太のぬいぐるみが目に飛び込んできた。
黒いぴにゃこら太は目つきが悪く、体色と同じ黒いネクタイをしていて、寝癖が立っている。
私はそれがとても可愛いと思うのだけど、あまり同意は得られない。
「……」
立ち上がって、黒いぴにゃこら太に近づく。
見れば見るほど、この子と彼は似ているように思える。
そう考えたら、言いたい事の一つや二つは言っても良い気がしてきた。
「いつ帰ってくるか位、教えてくれたって」
彼にその義務は無いし、私達はそんな間柄では無い。
だけど、行き場を失くした私の挨拶の責任はどう取ってくれるのかしら。
「……」
ピン、と、黒いぴにゃこら太のオデコを指で弾いた。
それが彼にとっても、この子にとっても言いがかりの八つ当たりだと気づき、
謝罪の気持ちを込めて、黒いぴにゃこら太の頭を優しく撫でた。
その姿を誰かに見られていたらしく、後日、瑞樹さんと早苗さんに飲みに誘われた。
気晴らしと言われたけれど、私には意味がよくわからなかった。
彼の姿を見なくなって、もう二ヶ月が経った。
初めの頃は上手く回っていなかった歯車も、
今では少しずつ噛み合い始め、彼が居なくても、大丈夫になりつつある。
「――すみません! もう一枚お願いします!」
私を除いて。
「はい、よろしくお願いします」
今は、雑誌に使用される写真撮影中。
モデル時代からこの手の仕事には慣れたものだったが、
最近では、こうしてスムーズにいかない時がしばしば出てきた。
ばしばし撮ってくれてるけれど、どうにも、上手くいかない。
「笑顔で! 良い笑顔を一枚、お願いします!」
――良い笑顔。
その言葉を聞き、胸がドキリと跳ね上がった気がした。
……そうだ、彼も向こうで頑張っているのだ。
それなのに、こんな体たらくとは……とても、情けない。
私はアイドル、高垣楓。
どんな時も、輝いていなくては。
「……」
自宅のベッドに腰掛け、携帯の画面をじっと見つめる。
今までも、そしてこれからも当然のように彼から連絡は無いだろう。
だったら、いっそ私から連絡してしまおうかとも思う。
そうすれば、今のこのモヤモヤから解放されるだろうから。
「……」
彼の研修が長引いているのは、向こうのボスが彼を気に入ったかららしい。
本来の予定では、もうとっくに帰ってきていてもおかしくないようなのだ。
全く、あんな人を気に入るだなんて、向こうの人はよっぽどの変わり者なのね!
「……」
だけど……彼が電話に出たとして、何と言えばいいのかしら?
いつ帰ってくるの?
早く帰ってきてください。
早く会いた――……違う違う! 今のは違いますから!
「……!」
携帯をベッド脇に置き、体を投げ出して枕に顔を埋める。
ひんやりとした枕の冷たさが、顔の火照りを冷やしてくれる。
いい歳をして何をしているのだろう、私は。
これではまるで、恋する少女ではないか。
今日の風も、とても渇いている。
とても強いそれに抗いながら、私は今日も事務所へ向かっている。
都会の人混みすらもすり抜けていく風は、私の心すらも凍えさせようとしているようだ。
だから、私はココロを閉ざし、仕事に打ち込んでいた。
一時期は調子を崩していたが、今では、元の通り何の問題も無い。
ファンの人達の笑顔に支えられているから、私は大丈夫だ。
……ただ、ちょっとお酒の量が増えたかもしれない。
ヒュウと風が強く吹き、私は目を細めた。
「っ……」
そして、その視線の先には、
「……!」
人混みにおいてなお目立つ、黒いスーツの、長身の男性が歩いていた。
何故だろう、自然と足取りが早くなる。
気を抜いたら、今にも走り出してしまいそうだ。
だけど駄目、ここで目立ったら騒ぎになってしまうもの。
だから、バレないように近づいて……ふふっ、驚かしちゃいましょう♪
「……ふふっ」
抜き足、差し足、忍び足。
バレないように、見つからないように。
「……」
……いつの間にか、私の足は止まっていた。
先を歩く男性は、背丈が同じくらいの、全くの別人だったのだ。
近づいてみれば、体格も違うし、特徴的な寝癖も無かった。
背筋の伸び具合も、歩き方も、何もかも。
「……」
立ち止まった私を避けるようにして、通行人の人たちは通り過ぎていく。
中には、私が高垣楓だと気付いた人も居たようだが、今は朝の忙しい時間帯だ。
遅刻と引き換えにしてまでも、立ち止まって見ようという人は居なかった。
……ああ、駄目だ。
もう、一度溢れてしまった想いは止められない。
「……会いたい」
今すぐ、貴方に会いたい。
「――高垣さん?」
忘れもしない……この、低い声は間違えようがない。
「っ……!」
目の前には、記憶と変わらない、彼が立っていた。
「お久しぶりです」
本当に久しぶりだと言うのに、彼は変わらない。
「……お久し、ぶりです」
なんとか声を出したが、それだけで精一杯。
「立ち止まっていては他の方の通行の妨げになりますから、歩きながら」
彼は、そう言うと私に背を向け、ゆっくりと歩き出した。
フラフラと、つられるように彼について私も歩き出す。
「……」
彼の背中を見ているだけで、不思議な気分になる。
久々だと言うのに、変わらない彼の態度へ対する怒り?
私に会っても、全然嬉しそうにしていない事への悲しみ?
「すみません、言い忘れていました」
彼は、立ち止まって振り返り、言った。
「おはようございます」
その言葉を聞き、私の心に、とても言葉に出来ない痛みが生まれた。
私は、今、恋に落ちたのだ。
「おはようございます」
自分の気持ちに名前がついた。
ただ、それだけなのに、彼が居なかった時のモヤモヤとした想いが、
スルリと溶けるように胸の中に落ちてきた。
「……やっと、帰ってこられました」
この気持を伝える勇気は私には無い。
けれど、愛しいと思う気持ちが、風の中で舞い踊ってしまいそう。
今は、少しでも近くに貴方を感じていたい。
「ふふっ、もうアメリカから帰ってこないんじゃないかと思ってました」
無言で彼の隣に並び、歩みを揃える。
アイドルとプロデューサーでも、こうやって隣り合って歩くだけならば良いだろう。
これ以上踏み出す力は、私には無い。
こうやって、冗談交じりの会話が出来るだけで――
「いえ、それは有り得ません」
彼は、再び立ち止まり、私を真っすぐ見て、
「向こうには、貴女が居ませんから」
……そう、言った。
私がもしも鳥だったならば、今はあの白い雲を通り抜ける程高く飛べるだろう。
私達の間に吹く、溢れる想いの詰まった、こいかぜに乗って。
おわり
おやすみなさい
武Pの無意識な天然たらし発言に翻弄されてどぎまぎする乙女きらりんオナシャス!
下品な武あり……?
書きます
「こうやってくっついてると、恋人同士に見えるかな★」
冗談交じりに投げかけられた言葉と共に、絡められた腕の感触に驚く。
此処は、シンデレラ達の舞踏会終了後、事務所へ戻るためのバスの車内。
「城ヶ崎さん?」
私に声をかけてきた主は、カリスマJKアイドル、城ヶ崎美嘉。
桃色の髪を結い上げ、所謂ギャルメイクをした彼女はとても魅力的なアイドルの一人だ。
彼女の突然の行動に驚き目を向けると、
「……アタシ……無事に帰れたら、アンタに伝えたい事があるんだ」
顔面を蒼白にした彼女が、
「……う……ヤバい……うっぷ……もう……!」
本来は入り口である筈の口を――出口にする寸前だった。
「待ってください! 今、エチケット袋を!」
繰り返し言うが、此処はバスの車内……それも、酔いにくい筈の中頃。
沢山の魅力的なアイドル達を乗せた、見るものが見れば天国の様な車内。
それが今から、地獄に変わろうとしていた。
偶然が積み重なって起こった事象を人は奇跡と呼ぶ。
しかし、私が今体験しているのは奇跡と呼ぶには程遠い、悪夢だった。
「城ヶ崎さん! ここに! ここにお願いします!」
誰しも、乗り物に酔った経験はあるだろう。
それは、揺れ等の原因があるものが大半だと思う。
しかし稀に、特に原因は無いのに酔ってしまった事はないだろうか。
原因はわからないのに……そう、偶々、偶然に。
「……ゴメン……ゴメンね……うおえっ……!」
私……いや、私を除く彼女達――アイドルが、
「大丈夫です、城ヶ崎さん。私が、ついていますから」
偶然にも、
「美嘉ちゃん声抑えてーっ! オエッて声でこっちもくるから!」
全員、盛大に酔っていた。
今の声は誰だったろう……いや、そんな事を気にしている場合ではない。
そんな事を気にしている場合があるなら、目の前の事態に対処するのが先決。
そして、これから起こる二次被害、三次被害に備えてシミュレーションをするべきだ。
「うっ……お、おうっ、ええええええっ!」
地獄のステージの、幕が上がった。
人が嘔吐する姿に、年齢、性別、容姿、その他諸々の要素はなんら関わってこない。
人はただ、嘔吐する時はマーライオンになるのみ。
「おえっ……おおろおおっ!」
城ヶ崎さんの背中をゆっくりとさすりながら、彼女が吐瀉する声を聞いていた。
目の端に涙が浮かんでいるのは、人が物を吐く時に出る反射だけでなく、
舞台の幕を上げてしまったという自責の念も含まれているだろう。
情けなさ、申し訳無さ……その他、様々な感情が篭った涙が、ポトリとエチケット袋の中に消えていった。
「……うっ……ふうっ……!」
……終わった、のか?
「おええええっ!」
ただの間奏だったようだ。
カリスマJKアイドル、城ヶ崎美嘉のライブは終わらない。
口からどんどん流れ落ちていくカリスマは、音と、そして臭いを他のアイドル達にも届けていく。
アイドル達の吐き気は、加速度的にエスカレートしていく。
「……ふぅ……ふぅ……もう、出ないっぽい」
「お疲れ様です。これで、口をすすいでください」
「……サンキュ」
「すすいだ後は、そのままエチケット袋の中に吐き捨ててしまってください」
一つの戦いが、終わった。
胃の内容物を出し切ってしまった事で楽になったのか、彼女の顔色も先程よりはマシになった。
しかし、その顔には欠片程のカリスマも感じられず、今はただ、体調の悪い一人の少女がそこに居た。
「……うん、吐いてちょっとスッキリしたかも」
「そうですか。エチケット袋の口をしっかり縛り、休んでいてください」
「……オッケー」
ひとまず、これで城ヶ崎さんは大丈夫だろう。
大丈夫でなければ、困る。
「皆さん! 座席の前にエチケット袋が用意してあります!」
「おえええええっ!」
私が言うまでもなく、それは理解していたようだ。
今の声は……いや、考えるのはよそう。
「もし、助けが必要な場合は声をかけてください! それか手を挙げて――」
スッ、と、二桁近い数の手が挙がった。
「……!」
絶望は、まだまだこれからだ。
いくら私とて、同時に複数の人間を助けるのは不可能だ。
しかし、不幸中の幸いと言うべきか……手を挙げているのは、並んだ席の片方のみ。
隣の席に座っている人には、まだ若干ながらも余裕があるという事だ。
「可能な限りすぐに向かいます! それまで、席が隣の人は手助けをお願いします!」
これならば、最悪の事態は免れるだろう。
「はいっ! わかりま……あ……うっぷ……おえええっ!」
私に返事をするために、大きく息を吸い込んでしまったのだろう。
しかし、それはこの車内に漂う臭いを考えれば自殺行為と言える。
今吐いた方の隣は……良し、まだ大丈夫そうだ。
「返事はしなくて大丈夫です! 皆さん! 頑張りましょう!」
プロデューサーとして仕事をしてきて、これ程絶望的な状況はそうは無い。
だが、私はこんな状況にも関わらず、感動してしまっていた。
アイドル達は、自分が辛い状況だと言うにも関わらず、
隣の席で吐いた友を気遣い、優しい言葉をかけ、背中をさす……ああ、貰いゲロをしている。
心動かされている暇が合ったら、体を動かさなくては。
「――諸星さん、お待たせしました」
「……ごめんねぇ……Pちゃん」
私が諸星さんの元へ向かったのには理由がある。
彼女の隣に座っている双葉さんは割と早い段階で嘔吐し、既にグッタリとしているからだ。
諸星さんは、自身の吐き気をこらえながらも、周囲のアイドル達を助けてくれていた。
「いいえ、謝る必要はありません。よく、頑張ってくださいました」
「にょうっぷ、わー☆……えへへ、照れる……んに゙ぃ……!」
そんな彼女が自ら助けを求め、手を挙げた時の覚悟はいか程のものだったか。
私には到底推し量ることは出来ないし、また、彼女もそれを望んでは居ないだろう。
今、彼女に対してすべき事はたった一つ。
「諸星さん、エチケット袋は私が持っていますので、遠慮なくどうぞ」
「Pちゃ……ん……うっぷ」
限界を越え、震えてエチケット袋が持てなくなった彼女の手の代わりをする事だけだ。
背中から片方の腕を回し、体を彼女に密着させ、まるで恋人のように寄り添う。
諸星さんが驚いて目を見開いた直後、
「おぶううううえっ!」
体がくの時に曲がり、盛大に排出が始まった。
間に合って、良かった。
「おうっ、お、えええっ!」
思えば、諸星さんにはいつも助けられてきた。
彼女の明るさと笑顔のパワーに、プロジェクトは陰ながら支えられていたのだ。
だから、今は、彼女を私が支えなくては。
そう、思った時――
「……あとは、杏に任せてよ」
そんな声と共に、エチケット袋を持つ手に小さな手が添えられた。
「――双葉さん?」
先程までグッタリとしていた筈の双葉さんが、決意の篭った眼差しでこちらを見ていた。
顔色は決して良いとは言えず、お世辞にも頼もしいとは言い難い。
だが、
「さっきはきらりが助けてくれたんだから、今度は杏の番っしょ」
双葉さんが浮かべた笑顔は、とても力強く、何よりも美しいものだった。
「……うっぷ、杏ちゃ……おえええっ!」
「ああもう、喋らないで良いよ……ほら、杏ときらりで、あんきらなんだからさ」
確かに、このバスの中は地獄かも知れない。
だが、地獄にも、花は咲くのだ。
「……ほら、早く他の子の所に行ってあげなよ!」
「うんうん……皆、うぷ……Pちゃんを待ってるにぃ……おうえっ!」
何とも頼もしい少女達――いや、アイドル達なのだろう。
私は、彼女達の担当をしている事を誇りに思う。
「諸星さん、双葉さん、ありがとうございます! 何かありましたら、すぐに呼んでください!」
エチケット袋を持って両手が使えない双葉さんの代わりに、
諸星さんがまるで普段双葉さんがしているようにサムズアップしてきた。
無理をしてでも私を送り出してくれた彼女達のためにも。
私の助けを必要としている、アイドル達のためにも。
「……――お待たせしました、鷺沢さん」
この局面を乗り切らなくてならない。
「……鷺沢さん?」
鷺沢さんは、顔面蒼白のまま、手を挙げて、窓の外を見続けていた。
「あの……違う、んです……おえっ……!」
手を挙げている鷺沢さんの隣には、橘さんが顔を真っ青にして座っていた。
見るからに限界と言った様子の彼女の口元に、慌ててエチケット袋を当てる。
それを視界の端に捉えていたのか、驚くようなスピードで自分用のエチケット袋を開くと口元にやり、
「おええええっ!」
鷺沢さんは、吐いた。
「……おうえええっ!」
続けて、橘さんも吐いた。
橘さんの小さな手では、エチケット袋を取り落としてしまう可能性がある。
しかし、橘さんのエチケット袋を持っていては、鷺沢さんは自分のためのそれを持つことが出来ない。
既に限界を越えていた鷺沢さんは、この状況を作るために手を挙げていたのだ。
鷺沢さんは、橘さんも、エチケットも守ったのだ。
「「おうぅえええっ!」」
専務……今なら、貴女が彼女達にユニットを組ませた理由が、良くわかります。
しかし、欲を言うならばこの状況でわかりたくはありませんでした。
「……おうっ、ええっ!」
吐き続ける、橘さんを見る。
まだ12歳の彼女の背中はとても小さく、震えている。
「橘さん、我慢せず全部出しきってしまいましょう」
私に迷惑をかけまいと思ってか、彼女は一度決壊した後も、吐くのを我慢しようとしていた。
その誇り高い、大人たらんとする姿勢はとても微笑ましい。
だが、今は我慢するべき場面ではないのだ。
ここで中途半端に終わらせて、再び波が来た時にすぐエチケット袋は用意出来ないだろう。
「大丈夫です、橘さん」
橘さんの小さな胃に収まっていた物の量は、多くない。
なので、片手でもエチケット袋を支える事は十分に可能だ。
「私が、ついていますから」
左手でエチケット袋を持ち、右手で橘さんの背中をやさしくさすった。
「おっ……おうっ、えええっ!」
堰を切ったように橘さんの口から流れ出たものは、微かにイチゴの臭いがした。
「お疲れ様です。これで、口をすすいでください」
「……ありがとう、ございます……ずずっ!」
「すすいだ後は、そのままエチケット袋の中に吐き捨ててしまってください」
12歳と言っても、大人であろうとする橘さんは今回の事を恥ずかしく思っているのだろう。
しかし、今回は状況が状況だし、不運が重なった結果だ。
あまり気に病まないで欲しいと思うのだが……こんな時に私の口が上手く回らない事が悔やまれる。
「ご迷惑を……ずずっ……おかけしました……ずずっ」
彼女の中で色々な感情が渦巻いているのがわかる。
流れる涙を服の袖でこすっている。
赤くなった鼻をすすって――
「……ずずっ」
――パスタだ。
橘さんの、向かって右の鼻の穴から、チョ口リとパスタが顔を出している。
「いえ……お気になさらず」
一刻も早く、アレをなんとかしなくては――!
「……橘さん。貴女は、とっても立派なアイドルです」
「急に……ずずっ……どうしたんですか……ずずっ」
腰を曲げ、座っている橘さんと目線を合わせながら言った。
目線が合わせると、あれが見れば見るほどパスタだとわかる。
「今回の事を恥ずかしいと思っているのですね」
「はい……ずずっ……だって、当然です……ずずっ」
ポケットからティッシュを出し、一枚目で彼女の口の周りを拭う。
子供ではないのだからと嫌がる可能性も考えたが、
今は私の話に耳を傾ける事に集中しているようだ。
「しかし、人間ならばこういう事も有ります。例えそれが、アイドルであっても」
「……だけど……ずずっ」
「そうですね……では、またこの様な事態が起こった時に――」
そして二枚目で、橘さんの鼻を拭いつつ――
「――今度は、他の誰かを助けてあげられるよう、成長していく」
――パスタを抜き取る。
「……と、言うのはどうでしょうか?」
「っ……! 凄い、です! なんだか、とてもスッキリした気分です!」
橘さんは、顔を輝かせて言った。
パスタの長さは、3センチ。
この輝きを消さないためにも、よく噛んで食べなさいと、今言うべきではないだろう。
「スッキリしましたか……はい、それは何よりです」
「はい!」
「橘さん――良い、笑顔です」
「……えへへ」
絶望的な状況の中でも、未来を見据える少女が居る。
アイドル、橘ありすは、とても強い少女だ。
「その……えっと、ですね」
「? はい、何でしょうか、橘さん?」
「あの……あり――」
「プロデューサー! 助けてー!」
「っ!? すみません、もう、行かなくては!」
「はっ、はい!」
「それでは失礼します。もしも余裕があれば、鷺沢さんをお願いします、橘さん」
「あっ……」
いけない、今はまだここは戦場なのだ。
立ち止まるわけには、いかない。
私の助けを待つ、アイドル達のためにも。
「……ありがとうございました。それと……ありすで、良いです」
……これが、346プロのアイドル達が袋を持って高速道路のSAに押し寄せた真相です。
この話が汚いと思いますか?
私は、そうは思いません。
私は、この件で彼女達の美しさを見せられました。
彼女達アイドルの、とても素晴らしい輝きを。
……えっ? また、同じ状況になりたいか、ですか?
そうですね……はい、絶対に嫌ですね。
あんな状況はもう……はい。
聞いていただき、ありがとうございます。
やっと心の整理がついたので、誰か、口が堅い人に聞いて貰いたかったのです。
意外……ですか?
そう、ですね……そうかもしれません。
しかし――私にも吐き出したい時はあるのです。
おわり
おやすみなさい
きれいだな!
武内P「キラキラエフェクト、ですか?」
未央「うん! なんかもう、オーラが違ったよね!」
凛「あれがアイドルの輝きなのかな、って思った」
武内P「なるほど、そういう事でしたか」
卯月「いつか、私もああやって輝けるようになるのかなぁ」
武内P「そうですね……試しにエフェクトをかけてみましょうか」
卯月「へっ?」
未央・凛「んっ?」
卯月「ちょっ、ちょっと待ってください!」
未央「エフェクトをかけるって、えっ? どういう事?」
凛「どうせ映像にエフェクトをかけるって意味でしょ」
武内P「いえ……今から、島村さんに、と言う意味ですが」
卯月「ふえっ!?」
未央・凛「はっ?」
卯月「ぷ、プロデューサーさん!?」
未央「やばいよ、目がマジだ」
凛「……普段もって、どういう事?」
武内P「皆さん、仕事中やライブの時などは、エフェクトを自然に発生させていますよ」
卯月「私が……もう、キラキラしてるって事ですか?」
武内P「はい、その通りです」
未央「……どうする、しぶりん?」
凛「……とりあえず様子を見ようか」
武内P「キラキラエフェクトをキチンと理解した方がいい頃合いでしょう」
武内P「そうでなければ、すぐにファンの方に囲まれてしまいますから」
卯月「確かに、この前も凛ちゃん達と一緒に、ファンの人に囲まれそうに……」
武内P「! もう、既に問題が……?」
卯月「ああいえ! その時は走って逃げられたんですけど……」
武内P「……これは、一刻も早くキラキラエフェクトを理解する必要がありますね」
未央「あー、かみやんと一緒に逃げた時の話?」
凛「うん、多分そうだと思う」
卯月「ほ、補助ですか?」
武内P「はい。一度意識出来れば、エフェクトのオンオフも自然とわかるようになりますから」
卯月「き、緊張します……!」
武内P「大丈夫です、島村さん……貴女の特技は何ですか?」
卯月「私の特技……――笑顔! はいっ、笑顔は自信があります♪」ニコッ
武内P「良い、笑顔です」
未央「あれがキラキラエフェクト?」
凛「特に変わりないね」
卯月「はいっ♪ 島村卯月、頑張ります♪」
武内P「プロデュゥゥゥス!」
シャランラ~
卯月「えっ? もう、キラキラエフェクトがかかってるんですか?」キラキラ
未央「なんかキラキラしてる!? あっ、やばい、しまむーがめっちゃ可愛く見える!?」
凛「……どうしよう、なんだか卯月にチューしたくなってきた……!?」
卯月「ふえぇ!?///」キラキラ
未央「はあああああん何なのしまむー可愛すぎるんだけど!」
凛「ねえ、良いよね卯月。私達、友達だもんね。ねえ、チューして良いよね」
武内P「!? 島村さん、輝きを抑えてください!」
卯月「そ、そんな事言われても、どうすれば……!?」キラキラ
未央「ひいいいい!? 困ってるしまむーもキュートすぎいいい!」ジタバタ
凛「卯月……んんー……」チュパチュパ
卯月「り、凛ちゃん!? 口をチュパチュパさせながら来ないでー!?」キラキラ
卯月「げ、下品な事!? えーと、えーっと……!?」キラキラ
未央「もうやめてえええ! これ以上可愛い姿を見せないでえええ!」ビクンビクン
凛「んんんんー……」チロチロチロチロ
卯月「……ち、ち……」キラキラ
卯月「ち○ちん! ち○ちん、ち○ちん! おち○ちん!」
未央「……っ! しまむーの輝きが収まった……!?」
凛「……卯月の必死の叫び、私達に届いたよ」
卯月「わ、わわ、忘れてくださいー!///」
卯月「そ、そうですか? 自分では、よくわからなかったです」
未央「もうね、ヤバかったよ。何しても超可愛く見えたもん!」
凛「私も、卯月の唇って柔らかそうだな、チューしたいなとしか思わなかった」
卯月「あぅ……///」
武内P「島村さんは、今後はご自宅で一人の時にエフェクトの練習をされた方が良いですね」
卯月「はい……一人じゃないと、その、大変な事になっちゃいますもんね」
未央・凛「……」
卯月「……私、避難してようかな」
凛「一人だけ逃げようたって、そうはいかないよ。最後まで付き合ってもらうから」
卯月「そ、そんなぁ!?」
武内P「……そうですね、先程の島村さんの事もありますし、」
未央「あらかじめ下品な台詞を考えておけ、でしょ? わかってるって!」ニコッ
武内P「……良い、笑顔です」
卯月「き、緊張しますね」
凛「ふふっ、卯月も、さっきの私達の気分を味わうと良いよ」
卯月「もー! 凛ちゃーん!」
未央「本田未央、行っきまーす!」
武内P「プロデュゥゥゥス!」
シャランラ~
未央「さあ、どうよ! 未央ちゃんのキラキラは!」ホワ~
卯月「あっ、淡い光が……見てて、とっても……」
凛「なんだか目に優しいね」
未央「ちょいちょーい!?」ホワ~
卯月「でも……ずっと見ていたくなるような……」フラフラ
凛「よくわからないから……もっと近くで見るよ、未央」フラフラ
未央「し、しまむー? しぶりん?」ホワ~
武内P「! いけません! 二人共、既にエフェクトにやられています!」
卯月「未央ちゃん……」フラフラ
凛「未央……」フラフラ
未央「良かった! 私、ちゃんとアイドルとして輝けてた!」ホワ~
未央「オッケー! ブーブーブー、オナラぶぅ♪」ホワ~
卯月「未央ちゃん……とっても可愛いです……」フラフラ
凛「未央……私と結婚しようか……」フラフラ
未央「とっ、止まらないんだけど!?」ホワ~
武内P「今のでは可愛すぎます! もっと下品に!」
未央「も、もっと下品に!?」ホワ~
卯月「未央ちゃん……可愛い……可愛い……!」フラフラ
凛「子供は何人がいいかな……きっと、未央に似て可愛いよ……」フラフラ
未央「下品……う、う……」ホワ~
未央「う○こー! う○こぶりぶりぶりー!」
卯月「……」
凛「……」
未央「二人共、何か言って!? ねえ、お願いだから!」
武内P「本田さん、あの……さすがに今のは……」
未央「ごめん、やっぱり何も言わないで」
未央「そっ、そうだね!」
卯月・凛「……」
武内P「しかし、やはり今後は自宅で練習をされた方が良いですね」
未央「うんうん! やー、輝きがすごくて困っちゃうなー!」
卯月・凛「……」
未央「ねえ引きずらないで、お願いだから!」
卯月「ご、ごめんね未央ちゃん。ちょっと、ビックリしちゃって」
凛「わかった……ぶり」
未央「はっはっは! しぶりんはぶっとばされたいのかなー?」
凛「いや、私は良いよ」
卯月「!? 凛ちゃん、ずるくないですか!?」
未央「おいおいしぶりーん? ここに来て逃げようたって、そうはいかないぜ!」
凛「だって、下品な事を言わなきゃいけないんでしょ? 嫌だよ、私」
武内P「しかし……今後のために、必要になるかと」
凛「ふーん。アンタ、私が下品な事言ってるの聞きたいんだ?」
武内P「あの、いえ……! 決して、そういうわけでは……!」
凛「……ふふっ、冗談だよ」
武内P「……」
卯月「あっ、ずるい!」
未央「あああっ、その手があったかああ!?」
凛「未央のはさすがに恥ずかしいから、卯月のを参考にしようかな」
未央「追い打ちやめてくれない!?」
武内P「……それでは、準備はよろしいでしょうか?」
凛「うん、良いよ」
卯月「凛ちゃん……どうなるんでしょう」
未央「しぶりんは普段からちょっとオーラ出てるもんねぇ」
凛「行くよ。蒼い風が、駆け抜けるように」
武内P「プロデュゥゥゥス!」
シャランラ~
凛「……どうかな?」ビカー!!
卯月「ま、眩しくて何も見えないです!?」
未央「いたたたた! 目が! 目が痛い!」
凛「えっ、そ、そんなに?」ビカー!!
卯月「ううう! 眩しいいいい!」
未央「わかった! もうわかったからやめて!」
凛「……なんか、釈然としないんだけど」ビカー!!
武内P「渋谷さん……! もう、止めていただけないでしょうか……!」
凛「……まあ、しょうがないかな」ビカー!!
凛「ち○ちん、おちんちーん」ビカー!!
凛「……止まった?」ビカー!!
卯月「ひいいい!? 油断して思いっきり見ちゃいましたああああ!」
未央「しぶりいいいいん! そういうのやめてよおおおお!」
凛「はっ? えっ?」ビカー!!
凛「弱いって……えっ?」ビカー!!
卯月「もっと! もっと下品に!」
未央「私の方を! はやあああく!」
凛「……わ、わかったよ」ビカー!!
凛「ぶ……ぶりぶりー、う○こぶりぶりー///」ビカー!!
凛「ほ、ほら! これで大丈夫!」ビカー!!
卯月「もうイヤあああ! 助けてママ――!」
未央「渋谷ああああ! よくも騙したああああ! 騙してくれたなあああ!」
武内P「も、もっと大きな声で! う、動きもつける必要がありそうです!」
凛「う、動きも!?」ビカー!!
卯月「見てませんから! 見えませんから!」
未央「何なら耳も塞いでるから! お願い、早く!」
武内P「渋谷さん、貴女ならきっと出来ます!」
凛「ほ、本当に見ない!? 聞かない!?」ビカー!!
卯月・未央・武内P「……!」コクコク
凛「~~~っ! わかったよ! やるよ! やれば良いんでしょ!?」ビカー!!
ガチャッ
ちひろ「おは――」
凛「ウ○コオオオアアアッ! ハッ! ホッ!」ポコジャガ
ちひろ「……よ……」
凛「ハー、ブリッブリッブリ、ウ○コブリリーン!」ポコジャガポコジャガ
ちひろ「……」
凛「ブリブリしすぎて困っちゃウー! ンーコッ! ハイ、ウ○コー!」ポコジャガ
ちひろ「……」
凛「――今のはどう!? 私の輝きは消えた!?」ビシッ!
ちひろ「……」
凛「あっ」
ちひろ「綺麗に消し飛んでますよ」
おわり
武内P「二期生に加えたいメンバーが居る、と?」
武内P「待ってください! それは、あまりに強引すぎます!」
専務「君は、アイドルの個性を大事にしたいと言ったな?」
武内P「それは……はい、その通りですが」
専務「その言葉に、偽りは無いな?」
武内P「勿論です」
専務「そんな君ならば、加えたいメンバーを輝かせる事も出来るだろう」
武内P「……」
専務「良いでしょう、言ってみなさい」
武内P「その、何故シンデレラプロジェクトの二期生に?」
専務「ふむ……推薦する程のメンバーならば、クローネでも良いのでは、という意味かな」
武内P「はい」
専務「そうだな……プロジェクトの一員として動く姿を見たいと思っている子達が居る」
武内P「……」
専務「けれど、私が面倒を見るのは御免被るから、君に任せたい」
武内P「……はい?」
専務「この答えでは不服かね?」
武内P「あの、不服に思わないと思いますか?」
武内P「私は今、貴女の頬を張り飛ばしたいと思いました」
専務「全てのメンバーを私の推薦する人間で構成しろ、という訳ではない」
武内P「……それを聞いて、少し安心しました」
専務「そうだな、各属性3人ずつと言った程度だ」
武内P「多いです! それでは合計で9人になります、専務!」
専務「それでは、メンバーの紹介に移る」
武内P「聞いてください!」
武内P「……」
専務「池袋晶葉くん、一ノ瀬志希くん、棟方愛海くんの三名だ」
武内P「死んでしまいます!」
専務「? 何故だね?」
武内P「物理的にせよ、精神的にせよ、尋常ではない負担が予想されます」
専務「しかし、実力的には申し分無い」
武内P「ですが……!」
専務「君は、アイドルの個性を大事にするのでは?」
武内P「専務、私の事も少しは大事にしてください」
武内P「……」
専務「財前時子くん、村上巴くん、佐藤心くんの三名だ」
武内P「明らかに殺しに来ているじゃないですか!」
専務「確かに、前者二人は君が傷つく危険もある」
武内P「豚と罵られながら、どてっ腹に風穴があきますよ」
専務「そんな君をスウィーティーに癒やす、完璧な布陣と言えるだろう」
武内P「焼け石に水です!」
専務「しかし、全員実力的にも、個性も申し分無い」
武内P「……」
武内P「……」
専務「ヘレンくん、木場真奈美くん、高峯のあくんの三名だ」
武内P「専務は、私が憎いのですか?」
専務「ヘレンくんは言わずもがな、世界レベルな上にダンサブルだ」
武内P「木場さんも……そうですね、とても優秀でパワフルな方ですね」
専務「そして、欠かせないおもしろクール枠の高峯のあくん、完璧な布陣だ」
武内P「……」
専務「以上が、シンデレラプロジェクト二期生のメンバーに加えられる」
武内P「……」
武内P「このお話、お受け出来ません」
専務「……何故だ?」
武内P「確かに、彼女たちは素晴らしいアイドルです」
専務「ならば、何故」
武内P「専務は、彼女たち全員をクローネに加えて面倒が見切れますか?」
専務「ふむ……君は、私に死ねと言うのかな?」
武内P「それが理由です! ご自身でもわかっているじゃないですか!」
専務「しかし、私はそれが見たい」
武内P「確かに、上手く行けばとても素晴らしいステージが見られるでしょう」
専務「ふむ、君もそれはわかっているか」
武内P「しかし、その過程で壊れてしまう者が出ます」
専務「まさか、彼女達や他のメンバーに悪影響が出るとでも?」
武内P「いえ、私の心が壊れます」
専務「君ならば大丈夫だ。私が保証しよう」
武内P「そんなテキトーな保証は聞いたことがありませんよ!」
武内P「ウチの重役の方達はチャレンジャブル精神に溢れ過ぎでは?」
専務「挑戦無くして、未来は掴めない」
武内P「しかし、明日も見えずして未来が掴めるでしょうか?」
専務「未来を掴むのは君ではない、主役はアイドルだ」
武内P「……そのための犠牲になれ、と?」
専務「察しが良いな。やはり君は優秀なようだ」
武内P「……」
武内P「! それは、本当ですか?」
専務「事実だ」
武内P「では、私以外の者に……」
専務「しかし、メンバーを聞いた途端、首が千切れるかと思う程横に振る者ばかりでな」
武内P「……それは」
専務「そこで、佐久間まゆくんの担当プロデューサーが、君ならばやってくれる、と」
武内P「!?」
専務「その言葉を聞いた他のプロデューサーも、君ならば、と全員一致で推薦していたぞ」
武内P「!!?」
武内P「いえ、ですが……」
専務「仮に他の者が臨んだとしても、1クール保たずに入院するだろう」
武内P「そんな過酷な事を私にやれ、と……?」
専務「その通り、私も見たいんだもん」
武内P「……もん、などと付けないでください」
専務「ただのお茶目だ。許しなさい」
武内P「……」
専務「肉体的に耐えられる者が君しかいない、当然の結論だ」
武内P「もし放送するとしたら、どのような形態で?」
専務「分割2クールを予定している」
武内P「……なるほど」
専務「1クール終了と同時に病院に緊急搬送、2クール開始までに治療とリハビリを済ませて貰う」
武内P「……」
専務「治療こちらで最高の病院と医療スタッフを用意しよう」
武内P「……」
専務「良いでしょう」
武内P「体と……心の準備期間は頂けるのでしょうか?」
専務「ふむ……出来るだけ早くしたまえ、私はあまり気が長い方ではない」
武内P「……努力します」
専務「……君は、こんな提案をした私が憎いかね?」
武内P「専務?」
専務「……」
武内P「……はい、確かにそう言いました」
専務「今回の事を含めても、それは変わらないと?」
武内P「はい、私の答えは変わりません」
専務「そ……そうか」
武内P「……」
専務「ふふっ……君は、変わった男だな……」ニコリ
武内P「私は、貴女を憎いと思った事はありません。……ですが」
専務「?」
武内P「普通に嫌いです」
おわり
武内P「おっぱい、ですか?」
武内P「そう、ですね……女性の胸に関心がある男性は多いと思います」
凛「プロデューサー。胸じゃなく、おっぱいだよ」
武内P「は、はぁ……」
美嘉「ほら、おっぱい★ アンタも言いなよ」
武内P「お、おっぱい」
未央・凛・美嘉「うんうん」
武内P「待ってください! 意味が、よくわかりません!」
武内P「真面目に……はぁ、真面目ですか」
凛「私達もアイドルをしてるとさ、男の人のそういう視線を感じるんだよね」
武内P「それは……はい、そういう場合もあるかと」
美嘉「だからさ、男の人ってどうしてそんなにおっぱいが好きなんだろー、って話になって」
武内P「まさか……それを私に聞こうと……?」
未央・凛・美嘉「うん」
武内P「……!?」
凛「そんなの居ないよ」
武内P「で、ですが……」
美嘉「ねえ、アタシがそういう事を聞けると思う?★」
武内P「あっ、はい、すみませんでした」
美嘉「ぶっとばすぞー?★」
武内P「! ほ、本田さんにはご兄弟がいらっしゃいます!」
未央「いやー、家族にそういう話振るのってなんか嫌で」
武内P「……!」
凛「私達に、男の人がおっぱいを好きな理由を教えてよ」
美嘉「教えてくれたら……ンフフ★ 何して欲しい?」
武内P「いえ、特にありません」
美嘉「本当にぶっとばすわよ!?」
未央「落ち着いて美嘉ねぇ! めっちゃ顔怖いから!」
凛「あまりの怒りに、ギャルからガチヤマンバギャルになってるよ」
凛「今後のアイドル活動にも、きっと役立つと思うんだよね」
美嘉「アタシもさ、もっと活躍するためには……その、知っといた方が良いかな、って」
武内P「……なるほど、そういう事でしたか」
未央「! 教えてくれるの!?」
武内P「あくまでも、私個人の見解でよろしければ、ですが」
凛「それで良いよ。まずは、身近な男の人に聞きたかったから」
武内P「……」
美嘉「それじゃあ、余す所なく教えて貰おうかな★」
武内P「……努力します」
未央「な、なんだか思ってたよりも本格的な切り出しだね」
武内P「見たい」
未央「見たい……うん、それはわかる」
武内P「揉みたい」
凛「触りたくなるのは……まあ、なんとなく」
武内P「吸い付きたい」
美嘉「すっす、吸い付きたい!?///」
武内P「吸い付きたいは、おっぱい全体と言うよりも乳首に重点が置かれています」
未央・凛・美嘉「……///」
未央「見たいって……服の上からじゃ駄目なの?」
武内P「服の上からでは、全てが見渡せませんから」
凛「やっぱり……全部見たいものなの?」
武内P「確かに、服を着たままの方が良いと言う意見もあります」
美嘉「き、着たまま……」
武内P「しかし、どんな状態でも見たいという欲求には抗いがたいものがあります」
武内P「そうですね……おっぱいには目を向けたくなる、輝く世界の魔法がかかっています」
未央「ここで曲名出されると反応に困るからやめて!」
武内P「そうですね……男性には、おっぱいがありません」
美嘉「それが、何か関係あるの?」
武内P「人は、自分には無いものを求める生き物です」
未央「男の人にはおっぱいが無いから、揉みたくなる……?」
武内P「ただ触るだけでなく、揉みたくなるのは……握手、のようなものかも知れません」
武内P「わからないから、わかり合おうとする、架け橋の握手……そう、We're the friends!、と」
凛「ねえ、曲名出すのホントやめて」
武内P「これは、人間だけでなく、哺乳類全てにある本能によるものです」
美嘉「本能!?」
武内P「子が母の乳を求めるのは、至極当然の生存本能ヴァルキュリアですから」
凛「衣装が販売されたからって、即飛び火したよ」
武内P「女性よりもその傾向が男性に強いのは、一種の憧憬のようなものでしょう」
武内P「無いものを求めて旅する少年の心……男は皆、Star!!にGOIN'!!!したいものです」
美嘉「畳み掛けてこないで!?」
未央・凛・美嘉「……」
武内P「何か、質問はありますか?」
未央「ねえ……やっぱりプロデューサーもおっぱい好きなの?」
凛「聞いた」
美嘉「未央って、こういう所ホント凄いと思う」
武内P「そう……ですね、どちらかと言えば好きです」
凛「……ふーん、そうなんだ」
美嘉「へ、へー! アンタも、そういうスケベな所あるんだ!★」
武内P「私も……その、男ですから」
未央・凛・美嘉「……」
凛「この三人の中でって聞くのはやめなよ」
美嘉「そ、そうだよね……ちょっと恥ずかs」
凛「美嘉に勝ち目がなさすぎる。かわいそうだよ」
美嘉「凛!? いやいや、アタシとアンタ、サイズ変わらないからね!?」
凛「ほらでも……美嘉って、(★人★)、って感じでしょ?」
美嘉「黒くないから! そこまでカリスマ出張してないから!」
武内P「……」
武内P「そう、ですね……考えた事もありませんでした」
凛「は? 私達に、そんなに魅力が無い、って事?」
武内P「い、いえ! そういう意味ではありません!」
美嘉「それじゃあどういう意味?」
武内P「私はおっぱいよりも……貴女達の、笑顔に目が向いてしまいますから」
未央・凛・美嘉「……」
未央「あ、あー……そういう事かー……///」
凛「ふ、ふーん? まあ、悪くないかな……///」
美嘉「う、うん……ヤバ、照れるんですけど……///」
武内P「……」
未央「? 十代のおっぱいじゃ駄目なの?」
武内P「年齢を重ねる毎に、魅力的に思う女性の年齢も上がっている気がします」
凛「それじゃあ……二十代のおっぱいが良いんだ」
武内P「そうですね、はい、私は、十代よりも二十代の方が」
美嘉「二十代って言うと……」
ガチャッ!
楓「渇い~た風が~♪ 心~通り抜ける♪」
未央・凛・美嘉「なんか来た!?」
楓「溢れ~る想い♪ 連れさ~って欲しい♪」
未央「めっちゃ熱唱してる! アピール半端じゃないよ、あれ!」
楓「嫉妬してる♪ 切なくなる♪ これが~恋なの?♪」
凛「二十代の魅力的な女性って聞いて……満を持して登場しました、って感じだね」
楓「あなたしか見えなくなって♪ 想い~育ってくば~かり~♪」
美嘉「ねえ……アンタ的に、楓さんのおっぱいはどうなの?」
楓「苦しくて~♪ 見~せ~か~けの笑顔、も、作れな~い~なんて♪」
武内P「高垣さんは魅力的な女性ですが……おっぱいを意識した事はありませんね」
楓「……」
バタンッ!
未央・凛・美嘉「サビ前に帰った!?」
武内P「一体、何の用だったのでしょうか……?」
未央「素だ」
凛「素だね」
美嘉「でも、楓さんのおっぱいじゃ駄目なの?」
武内P「高垣さんは……手のかかる、仕方のない人だなという印象が強くて」
未央「……居ない所で、本人が聞いたら喜びそうな評価してるよ」
凛「でも、さっきのも合わせてトントンじゃないかな」
<命燃やして~♪ 恋せよ乙女~♪
美嘉「あっ、大丈夫そう。っていうか、チョー機嫌よさそう」
未央・凛・美嘉「……」
武内P「……」
武内P「自分に無いものを求めるという、探究心をくすぐる物ですね」
凛「……なんだか壮大」
武内P「それと同時に、感触を確かめたいという好奇心を刺激する物です」
美嘉「それで、本能のままに吸い付きたい、と」
武内P「いえ、それは違います」
未央・凛・美嘉「?」
武内P「理性ある人間として、きちんとお願い! シンデレラをしますから」
未央・凛・美嘉「ここでおねシン!?」
武内P「……おっぱいは、男を童心に帰らせ、少年の心を呼び覚ます――」
武内P「大人の魅力です」
おわり
武内P「さいきっく・おいろけビーム」
武内P「ドスケベボディです」
武内P「また、捕まってしまいました」
武内P「ムラムラ、ですか」
武内P「『次はお前だ』」
武内P「今日はぁ、ハピハピするにぃ☆」
武内P「アイドル達に慕われて困っている?」
武内P「トイレに、行かせてください」
武内P「クローネの皆さんに挨拶を」
武内P「あだ名を考えてきました」
俺P「ちょっとヤダ、何よ!」市原仁奈「!?」
武内P「結婚するなら、ですか」
武内P「起きたらひどい事になっていました」
コテ酉はありませんが、後々俺が書いたって俺自身がわかりゃ良いかなー、と
こんなくだらないもん最後まで読んでくれてありがとう
おかげで、良い「SSスレ」が書けたと思います
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「ランダム」カテゴリのおすすめ
コメント一覧 (54)
-
- 2017年11月30日 22:45
- 杉元たちに混じってラッコ鍋食べた武内pの姿が見える
-
- 2017年11月30日 23:03
- 武内P最高だわ
最近減ってたからうれしい
もっともっと増えろ
-
- 2017年11月30日 23:09
- 武内P需要あるのか
-
- 2017年11月30日 23:11
- 毎日のように複数人によるPありの投稿が絶えないのは需要あるからなのでは
-
- 2017年11月30日 23:16
- じゃあ俺も書こう
-
- 2017年11月30日 23:34
- あるわけねーだろ
-
- 2017年11月30日 23:48
- どっちやねん
-
- 2017年12月01日 00:18
- あるぞ
-
- 2017年12月01日 00:40
- 長すぎぃ!!
全部読む気になれない
-
- 2017年12月01日 00:52
-
このSSとは関係ないけどさ
ラブライブSSまとめて意味あんの?
コメント全然つかないし需要ないよね
-
- 2017年12月01日 00:54
- あー面白かった!
脱糞に全てを持ってかれたわ
武内くん?大好きさ
サイドMでアイドルしてほしいくらいには
-
- 2017年12月01日 02:03
- 俺も武P好きやで
年上アイドルに逆レされて欲しい
-
- 2017年12月01日 03:14
-
4/1の一日だけでもいいからプロデュースしてみてーな、ってくらいには好きやで。
-
- 2017年12月01日 03:34
-
なんやかんやで全部読めるくらい面白かった
またできたらたのむわ
-
- 2017年12月01日 04:09
- 武内Pで検索かけて読んでる自分がいる
-
- 2017年12月01日 04:40
- ※9は長いと言ってますが、これは短編SS集なので安心して読んで欲しい
-
- 2017年12月01日 04:47
-
良かったやで、次も期待
-
- 2017年12月01日 04:58
- 本スレ長いから、1話ずつ切ってもよろしくてよ管理人さん!と思ったけど、「大人の魅力」から始まって「大人の魅力」で締めたのね……よろしくてよ!!
-
- 2017年12月01日 05:19
- イマイチというか何というか
武内pを超絶モテ男にするだけじゃ飽きる。アイドルに惚れさせたいなら武内Pの良さをちゃんと描いてくれ
-
- 2017年12月01日 05:31
- ふと思ったんだけど、武内Pのモテる要素ってなんだ?
思い付かん……
-
- 2017年12月01日 06:36
- ・イケボ
・高身長
・高収入
・クソ真面目&ド誠実
・プロデューサーとして優秀
辺りじゃないか。
-
- 2017年12月01日 10:38
- ↑
やだ素敵
-
- 2017年12月01日 12:23
- 最初のノリで20ページ以上どう続くねんと思ったけどオムニバス形式なのね
じゃあ小分けにしてまとめろや管理人ちゃんよぉ
-
- 2017年12月01日 13:05
- ラスト一文で急に落とす感じでドスケベPだと分かった
-
- 2017年12月01日 13:32
- ・イケボ
・高身長
・高収入
・クソ真面目&ド誠実
分かる
・プロデューサーとして優秀
優…秀…?
-
- 2017年12月01日 14:33
- 長いとはおもうけど2、3時間で読み終わる
お金取れる位面白い長編もあったりするから長編嫌いでもこれからは読んでほしい
後はおっぱい揉むなら服の上からがいい
-
- 2017年12月01日 16:47
- 最初のムッワアアで釣られるニシパ多そう
-
- 2017年12月01日 20:11
- 武内Pssしか読んでない
-
- 2017年12月01日 20:12
- ※20
クッソキモくて無能なモバPと違ってイケメンで有能
-
- 2017年12月01日 20:37
- 武Pええで
モバとかよりずっといい。
-
- 2017年12月01日 21:22
- でも武内Pってアッチは豆粒って感じするよな
仮性包茎で通常時約5センチ、特訓後でも13センチくらいの
そんな粗チンだから自分に自信が持てなくて女性相手に一歩引いた態度を取ってしまい未だに年齢イコール彼女無し歴の素人童貞ってタイプだと思うわ
-
- 2017年12月01日 21:43
- アニメでは挨拶ぐらいしか絡みが無いのに武楓好きな人結構いるよな
二人の関係が仄めかされる程度なのが逆に妄想の余地を与えるのかね
-
- 2017年12月01日 21:44
- 武pが全てのアイドルに合うからしかたがない
-
- 2017年12月01日 21:59
- 書き手の自己投影ゴリゴリのPヘッドより羽根P武Pのほうが好きかな
-
- 2017年12月01日 22:00
- 武内PSSもっとこい
正直モバPとかよりずっと需要あるだろ
-
- 2017年12月02日 01:39
- ※10
関係無いと分かってるのに書き込むってどういう頭してんの?
-
- 2017年12月02日 02:40
- ドスケベの人だと思ったらほんとにドスケベの人で草
-
- 2017年12月02日 02:42
- 相撲しなきゃ(意味深)
-
- 2017年12月02日 08:12
-
なぜ締めがおっぱいww
面白いエピソードばかりで満足
-
- 2017年12月02日 15:02
- アイドル添え物にしてこんだけ書けるんだから
デレアニって完全な失敗作だよなぁってしみじみ思う
-
- 2017年12月02日 21:18
- アンチ乙~
アニデレは全世界でお前以外に悪く言ってる人いないよ?
-
- 2017年12月03日 03:10
- 武内PのSSもっと増えて
-
- 2017年12月03日 15:12
-
アイマスの面汚し
-
- 2017年12月03日 23:07
- 武楓のしっとりとしたお話大好き
思えばたった一言のあいさつから十三万怪文書とかをはじめとして、今もなおちょくちょく二次創作が作られてるってなんか感慨深いっすね
-
- 2017年12月04日 00:50
- 立てたスレを無駄にしない心意気やよし
-
- 2017年12月04日 01:22
- モバPのが増えるのは書きやすいからじゃね?
-
- 2017年12月04日 12:10
- マジレスすると男がおっぱい好きなのは脊髄かどっかに胸を吸った時の記憶が残ってるから
あんま胸が好きじゃない奴は親の胸を吸ったことがない恵まれない奴だった可能性がある
-
- 2017年12月04日 16:54
- 普通に嫌いって言われた後専務はアレよね
私に直接嫌いと言い放ったのは君が初めてだとかさすが私が見込んだ男だとか言いつつ涙目で足元フラフラのポンコツ化するよね絶対
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- 2017年12月05日 02:00
-
長いけど長編じゃなくて短編集だから武P好きなら読むべきだな
-
- 2017年12月05日 17:05
- ※47
食品添加物やら環境ホルモンやらで母乳が危険って言われてた時代もあるんやで
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- 2017年12月07日 01:22
- 怪獣図鑑ワロタ
-
- 2017年12月07日 21:35
- 武楓いいなあ一番似合うわ
-
- 2017年12月15日 00:14
- 毎日コツコツでやっと読み終わった
面白かったー
-
- 2020年11月01日 19:21
- livedoorの仕様なのかおま環なのか最終ページがブックマーク出来んようになってない?
最終ページにこの人の作品のリンクがあるからそこをブックマークしてたのに