王「勇者よ、死んでしまうとは情けない!」
王「勇者よ、死んでしまうとは情けない!」
王「出かけて数分で命を落とすやつがあるか!」
王「なに・・・?腹を下して?草陰で用を足していたら?襲われたあ???」
王「・・・それはまあ、仕方ないか?」
王「・・・いやいやいや!」
王「不用心すぎるぞ勇者!そういう時こそ、旅の仲間とフォローしあってだな!」
王「む・・・?そういえば、勇者よ旅の仲間はどうした?」
王「一人で街を出た!?」
王「そんな無茶をする者があるか!」
王「・・・勇者たるもの、一人旅ぐらいやってのけるだと!?」
王「できとらんやないかーい!!!」
王「そういうのは、強くなってからやりなさい!」
王「ふう・・・、もうよい」
王「次は、仲間を集めてから街を出るのじゃぞ」
王「ん・・・?どうした?」
王「何処で仲間を集めればよいか、じゃと!?」
王「酒場に決まっておろう!」
王「酒場で旅の仲間を集うのは勇者の伝統!そんなことも知らんのか!」
王「怖くて酒場に入れないだと!なんと情けない!」
王「ううむ・・・いや・・・まあ・・・」
王「今回の勇者は、未成年であるしな・・・」
王「酒場に行かせるのも、教育上よろしくないか・・・」
王「よおし!わかった!大臣よ仕度せい!儂が征く!」
王「政は大臣に任せた!」
王「なんじゃ勇者!情けない顔をしおって!心配するでない!」
王「これでも、先々代の勇者!旅など慣れたものよ!」
王「ははは!久々に血湧き肉躍るのう!」
王「さあ征くぞ!勇者よ!」
王「勇者よ、女に振られたぐらいで泣くな!情けない!」
王「たかが町娘ではないか!」
王「ふむ、確かに美しい娘ではあったな、心身ともにな!」
王「ふふふ!儂も、もう少し若ければ手を出しておったかもしれぬ!」
王「ああ、すまんすまん!冗談じゃ!」
王「だから泣くのではない!」
王「致し方ないではないか、勇者よ」
王「わし等と共に町を救った、あの若者」
王「聞けば、あの町娘と良い仲だったと言うではないか」
王「ぽっとでの貴様じゃ敵わんさ!叶わんさ!」
王「ははははは!」
王「なに!女なぞ星の数ほど居る!ただし侮るな!」
王「ライバル足り得る男達も星の数ほどおる!」
王「我が国の人口比で見ると男の星のほうが多いがな!」
王「どれ!ちょいと一杯引っ掛けに行こうではないか!」
王「かつての儂が如何に姫騎士を口説き落としたか」
王「教授してやろうではないか!」
王「それに、そろそろ酒の味も覚えても良かろう!」
王「剣技に関しては、一人前と言っても過言ではない!」
王「一端の男たるもの、酒ぐらい嗜まなくてはな!」
王「まあ、女の口説き方も知らんでは、まだまだ未熟じゃがな!」
王「それになんだったら、よい店を知っておるぞ!」
王「この町はな、かつて冒険のさ中に立ち寄ったことがある!」
王「実は儂もな、この町で大人の男になったのじゃ!」
王「まあ、あの店がまだあるかは定かではないがな!」
王「そんな情けない顔をするな勇者!」
王「兎にも角にも、まずは酒じゃ!」
王「女の口説き方を覚えたら、さっそく実践しに行こうではないか!」
王「さて今宵は長くなりそうじゃ!」
王「ほら!行くぞ勇者!」
王「勇者よ、人が斬れないとは情けない!」
王「こやつらは、旅人襲って食ってたのじゃぞ!」
王「邪悪な魔物と何が違う!?」
王「自分の姿を見てみよ!」
王「この戦闘で最も傷を負ったのは貴様ではないか!」
王「こやつらを生け捕ることに固執した結果がそれじゃ!」
王「言葉が交わせるなら分かり合える、じゃと?」
王「なるほど、人間だから斬りたくないというわけではないのか」
王「じゃが、それは甘すぎる」
王「如何に語り合おうと分かり合えぬ相手は必ず居る」
王「ましてや、貴様を騙ろうとする者は如何とする!?」
王「先代勇者の顛末は貴様も知っておろう?」
王「和平を申し出た魔王に気を許したがばかりに、騙し討ちされた男のことを!」
王「同じ轍を踏むつもりか?」
王「・・・ふむ、貴様のその甘さは先代ゆずりじゃのう」
王「じゃが、ならぬ」
王「なに、何事も慣れじゃ」
王「肝心なのは最初の一人」
王「幸いなことに目の前のこやつらは、斬ってもよい人間じゃ」
王「ならぬ、とどめを刺すのじゃ勇者」
王「為さぬというなら、こやつらを今すぐ解き放つ」
王「こやつらは、また森に潜み人々を襲うであろう」
王「その責は、貴様が負うのだ勇者よ」
王「やるのだ、やらねばならぬのだ」
王「・・・」
王「よくやった勇者よ」
王「ほら泣くな!情けない顔をするな!」
王「胸を張れ!貴様はまだ見ぬ人々を救ったのじゃ!」
王「ほれ!行くぞ勇者!」
王「勇者よ武闘大会で初戦敗退とは情けない!」
王「まったく何たる体たらく!」
王「仮にも勇者じゃぞ!この程度の大会で一勝もできんとは!」
王「うむ・・・」
王「・・・いや、まあ貴様に黙って出場した儂も悪かった」
王「・・・いや、準決勝ぐらいで当たって驚かしてやろうと・・・」
王「まさか初戦で貴様とあたるとはな!」
王「ははは!」
王「しかし!勇者よ貴様も腕を上げたな!」
王「ついうっかり儂も本気を出してしまったわ!」
王「なに?わしが放っていた眩しいオーラは何かじゃと?」
王「・・・はて?なんのことかな?」
王「魔法ではないかと?」
王「な!?ズルじゃないわい!」
王「あれは魔法ではない!魔法ではないからズルではない!」
王「・・・」
王「はい、勇者にもたらされる秘められた力です・・・」
王「すみません・・・」
王「魔法とは違うんです・・・だから運営に告げ口するのは勘弁してください」
王「ああもう!わかったわかった!」
王「本当は、自身で秘められた力を引き出してほしかったんじゃが!」
王「使い方を教えてやるから勘弁せい!」
王「ほら!せっかく優勝賞金も貰ったんじゃ!」
王「まずは祝杯をあげに行こうではないか!」
王「秘められた力の話は、そのあとじゃ!」
王「なに?純粋な剣技じゃない以上、やっぱりズルじゃないかじゃと!?」
王「しつこいのう!」
王「さては貴様、優勝賞金にたかるつもりじゃな!」
王「わかったわかった!今日は好きなもの頼むがよい!」
王「今晩で使い切るつもりで臨もうぞ!」
王「ほら!いつまでも拗ねてないで!行くぞ勇者!」
王「勇者よ、仲間が死に瀕したぐらいで立ち止まるのか!情けない!」
王「儂らは、楽しいハイキングに来たわけでな無いのじゃぞ!」
王「目的を見失うでない!」
王「魔王を目前にして何故立ち止まる!」
王「貴様、この旅で何を学んだ!」
王「その甘さは、いつになったらなおるのじゃ!」
王「ロートルなんぞ捨て置け!」
王「行くのじゃ勇者!」
王「勇者としての責務を果たせ!」
王「・・・なに、魔王を倒した帰り道に儂の亡骸を拾ってくれればよい」
王「懐に儂のへそくりが入っておる、王国への帰途で全部使ってくれ・・・」
王「国へ帰ったら、貴様も英雄じゃ・・・」
王「もう好き勝手に旅することも、遊郭に行くこともままならぬ」
王「ゆっくり遊びながら帰るとよい」
王「ああ・・・儂も、もう一度、あの思い出の店へ・・・行きたかったなあ・・・」
王「・・・なに?傷の割に意外と元気じゃないか、じゃと?」
王「馬鹿者!瀕しておるは!死に瀕しておるわ!」
王「貴様に檄を飛ばす為に、力を振り絞っておるわ!」
王「ほら!さっさと行け勇者よ!」
王「さっさと世界を救ってこい!」
王「・・・やっと行ったか」
王「まったく・・・情けない顔をしおって」
王「さすがにしんどいのう・・・」
王「しかし、久々に楽しい旅であった・・・」
王「やはり玉座よりも、こっちのほうが向いとるのじゃろうなあ・・・儂」
王「先代勇者・・・あやつとも旅をしてみたかった・・・」
王「わしが一緒なら、無様に死なせなかったものを・・・」
王「・・・行け勇者」
王「世界を救え・・・」
王「我が孫・・・」
王「・・・次代の王アルスよ!」
------
王「どうした大臣?血相を変えて」
王「まさか?魔王か!?」
王「もう復活したのか!?まだ10年と経たんぞ!?」
王「次代の勇者は、まだ幼子だ・・・俺が行くしかないか・・・!」
王「なに・・・?違う・・・?」
王「・・・先王が?」
王「書置きを残して出奔!?」
王「・・・書置きには何と?」
王「『思い出の、あの店へ行ってくる』だと!?」
王「まったく、いい年をして!」
「なんて情けない人だ!」
元スレ
王「勇者よ、死んでしまうとは情けない!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1502611271/
王「勇者よ、死んでしまうとは情けない!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1502611271/
「勇者・魔王」カテゴリのおすすめ
「ランダム」カテゴリのおすすめ
コメント一覧 (14)
-
- 2017年08月14日 17:47
- この王様はパパス的なお助けNPCがずっと付いて来てくれてる感じなんですかね
-
- 2017年08月14日 17:56
- 意外と面白かった
-
- 2017年08月14日 17:58
- 魔王倒した勇者が王様を引き継ぐ制度(王様の度量)があれば
魔王討伐後に王様が邪魔になった勇者を暗殺したり、
勇者が空気読んで隠居(逃亡)したりしなくていいから
安心して魔王討伐に行けるわな。
-
- 2017年08月14日 18:33
- 魔王討伐後に玉座へ就いたのも納得の人徳
-
- 2017年08月14日 18:44
- ジーチャン…(´;ω;`)
-
- 2017年08月14日 18:55
- 死んでないぞ
置き残して出てったのがずっと付いてきてた王様だ
-
- 2017年08月14日 19:17
- ※7よ、6は自己の祖父を思い出して泣いておるのやもしれぬ、そっとしておくのも情けのうちじゃ
-
- 2017年08月14日 19:39
- さすが王様
※欄でのフォローもバッチリやで
-
- 2017年08月14日 21:33
- かっこE かっこE
こんなじいさんに俺もなりたい
-
- 2017年08月15日 01:34
- えっそしたら勇者んちにいるジジイ誰やお前!
-
- 2017年08月15日 05:25
- ※11
大臣「王様、前回の件について・・・っていない?ん?書置き…?」
手紙『ちょっと孫のところに行ってきます探さないでください』
大臣「あのジジイ!!!」
-
- 2017年08月15日 07:58
- 王様死んでも勇者の秘められた力残ってるから復活したんだろう
-
- 2017年08月22日 21:34
- これ死んでも勇者の力もっているから復活したか協会か大臣のところで復活したか
王様は肥後出身かな?