喪黒福造「本当の『嘘松』とはどんな物かお教えしましょう」
喪黒「ただのセールスマンじゃございません」
喪黒「私の取り扱う品物は心……人間のココロでございます」
喪黒「この世は老いも若きも男も女も、心の寂しい人ばかり」
喪黒「そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします」
喪黒「いいえ、お金は一銭もいただきません」
喪黒「お客様が満足されたら、それがなによりの報酬でございます」
喪黒「さて、今日のお客様は――」
ウッソ松田 (25) 営業マン
オーッホッホッホッホッホ…
松田は、会社帰りに麻生佳代(あそう かよ)と食事をしていた。
松田「もうすぐ免許が取れそうなんだ。仮免1回落ちたし、教習も5時間オーバーしたけどね。」
佳代「本当に免許が取れたら、レンタカー借りてドライブしようよ!」
松田「それいいね!がんばるよ!」
食事が終わると二人はそれぞれ帰っていった。
松田は最寄りの駅で降り、駅の横にあるなじみの居酒屋で1杯飲んでほろ酔い気分だ。飲んだ後は、店から自宅までスマホで「スカッと倍返し」というサイトを見るのが日課になっている。
「何なに?自分の駐車場に知らない車が3日間停まってて、コンクリートとブロックで囲んでやっただと?車の持ち主が戻ってきて100万円を請求したら渋々払ってくれた?『はい嘘松!』」
「夫となる婚約者の母が早稲田卒でやたら高圧的だったけど、私が東大医学部卒業と知ると急に無口になった?女で東大医学部?これも『嘘松!』」
松田はネットの書き込みの粗を探しては「嘘松」とコメントするのが趣味だったのだ。
歩きながらスマホに夢中になるあまり、松田は人とぶつかってしまった。
松田「あっ、すいません!失礼しました!」
喪黒「いえいえ、いいんです。これも何かの縁、一杯ごちそうしますよ。」
松田「そんな、悪いですよ。ぶつかったのは僕だし…。」
喪黒「いえいえ、誰かと飲みたい気分なんです。近くにいいバーがあるんですよ。」
松田「そうですか…。それではお言葉に甘えて…。」
喪黒「あなた、何か悩み事がおありのようですね。」
松田「そうなんです。そういえば、まだお名前を伺ってませんでした。」
喪黒「わたくし、こういう者です。」
松田「ココロのスキマをお埋めします…?『喪黒福造』さん?」
喪黒「私は人のココロを埋めるボランティアをしております。」
松田「はあ、なるほど。」
喪黒「ところで、いったいどんな悩みがあるのでしょう?」
松田「それが、ネットの書き込みに、本当の話かもしれないのに、すぐ「嘘松!」って書き込んでしまうんです。」
喪黒「それはいけませんねえ。でもこれからは、きちんと読んで、うかつに嘘松なんて書き込まないようにしたらどうでしょう。」
松田「そうですよね。本当にあった話もありますからね。」
喪黒「本当に気をつけてくださいね。酔った勢いで行動しちゃダメですよ。」
松田「わかりました。気をつけます。」
一通り話し終わると、松田は自宅へと向かった。
「今日も楽しかったよ。ドライブ楽しみにしてるね。免許頑張ってね。これが魅惑のFカップだよ。」というメッセージ付きの、胸元を強調した写真だった。
「何がFカップだよ。どう見てもBかCじゃねえか。また話盛りやがって。でもそれもかわいいんだよなあ。」笑いながら写真を保存した。
松田は仕事も終わり、いつものように居酒屋で1杯やった後、スマホを見ながら自宅に向かっていた。
ドン!
喪黒「またお会いしましたねえ。」
松田「ああ喪黒さん。すいません、またぶつかっちゃって。」
喪黒「いいんですよ。ところで、あれから嘘松なんて書き込んでないでしょうねえ。」
松田「もちろんです。あれから何だか気持ちも明るくなって、彼女ともうまくいってるんですよ。」
喪黒「それはよかった。これからはその調子で『絶対に』嘘松なんて書き込んではだめですよ。いいですね。」
松田「は…はい…!」
ドオーーン!!
ほろ酔いの松田は久しぶりに「スカッと倍返し」を見ていた。すると、
「彼が自動車学校に通ってるんだけど、仮免5回も落ちて、20時間以上もオーバーしたんだって。もうやってられない!」という書き込みを見つけた。
松田「仮免5回?しかも20時間オーバー?俺よりひどいよ。でもさすがにこれは『嘘松』っと…。」
佳代「何?話って。」
松田「とうとう免許が取れたんだ!ドライブはいつがいい!?」
松田は自慢げにピカピカの免許証を佳代に見せつけた。
佳代「教習を何時間もオーバーしたあなたが免許なんて取れる訳無いでしょ?その免許だって、もしかして偽造じゃないの?」
松田「なに言ってるんだ!俺頑張ったんだぞ!」
佳代「それに『ウッソ松田』なんて、純日本人顔のあなたがハーフみたいな名前を使って!いつも嘘ばっかり!もうやってられない!」
佳代は一人で店を出て行った。
松田は、仕事帰りに同期の縄毛無太郎(なわけ ないたろう)と電車に乗っていた。
松田「みんななんで俺の言う事を信じてくれないんだ。」
縄毛「そう言えば、昨日だって課長に契約が取れそうだって自信ありげに言ってたよな。」
松田「ああ、あれ自信あったんだよ。でも…。」
縄毛「取れなかった。課長もさ、『お前みたいな嘘つきはこの課にいらない!』って、あれは言い過ぎだよな。」
松田「彼女には振られるし散々だ。今日はちょっと付き合ってくれよ。」
縄毛「ああいいよ。降りるのは次の駅だったな。」
松田と縄毛は駅を降り、駅横のいつもの居酒屋で酒を煽っていた。
松田「どうして、どうして…。俺嘘なんて言ってないのに…。」
縄毛「今日はそれぐらいにしとけって。あ、お勘定お願いします!」
松田「なあ、もし俺がそこの踏切に飛び込むって言ったら信じるか?」
縄毛「なわけないだろう。さすがにそれは信じないよ。お前今日は飲み過ぎだぞ。」
松田「お、お前まで俺をバカにするのか!」
ちょうどその時、警報機が鳴り、遮断機が下りてきた。
松田「ちょうどよかった。俺が嘘つきじゃないって証明してやる!」
縄毛「何言ってるんだ!バカな事はやめろ!」
電車が近づいてくる。
カンカンカン
電車はさらに近づいてくる。
松田は縄毛の静止を振り切り、遮断機を押し上げると踏切へ飛び込んだ。
喪黒「人の話を嘘だと決めつけると、それは自分に帰ってくる。因果応報とはまさにこの事。インターネットとはいえ、もっと人を信じてもいいと思いますけどねえ。え?私を信じろと?私は嘘なんか言いませんよ~。オーホッホホ…。」
Twitterのおそ松腐女子が嘘ばっかりつくからこういう名前になっただけだぞ
どっちかというとツイッターの糞女の自慢嘘を嘘松とかいう感じだと思ったわ
この間の検索世代の話もそうだけどチョイスいいと思う
喪黒福造「すぐインターネットの検索に頼ってしまうのですか……それはよくありませんなぁ」
また違う話を考えたら書き込むよ。読んでくれてありがとう。
元スレ
喪黒福造「本当の『嘘松』とはどんな物かお教えしましょう」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1498488507/
喪黒福造「本当の『嘘松』とはどんな物かお教えしましょう」
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コメント一覧 (18)
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- 2017年06月27日 18:22
- 嘘松って「ねえ聞いてwwww」で始まるくっさいあからさまな作り話でRT狙う奴のことだと思ってたけど今は違うんやな
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- 2017年06月27日 18:24
- 素材を生かしてない
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- 2017年06月27日 18:41
- 最初はそうだったけど、まとめ民が何でもかんでも嘘松嘘松言い出して収集つかなくなってる
壁ドンみたいに誤用が広まってる悪い例だな
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- 2017年06月27日 20:23
- 嘘松ってネットで馬鹿女どもがする捏造話のことだろ
リア充女でも捏造話をする奴はいるが、特にヲタ女子が目立って馬鹿丸出しだったから腐女子の代名詞でもあるおそ松の名前をもじって嘘松になったんじゃなかったか?
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- 2017年06月27日 21:50
- ところで耳よりな話があるんですが…どこか内密にお話しできる場所へ行きましょうか…
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- 2017年06月27日 22:14
- 全体的に雑だなあ
まあそれはともかく
>ウッソ松田
そこはかとなくスペシャルな響きw
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- 2017年06月27日 22:31
- いんだよ細けえことは
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- 2017年06月27日 22:44
- ※6
俺、この話を書いた者です。どの辺が雑だったのか教えてもらえませんか?
自分でも完璧な出来だとは思いませんが、もっとこうしたらいいとかアドバイスお願いします。
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- 2017年06月27日 23:52
- ※8
俺は6じゃないけど
まず喪黒さんのいうとおりにしてある良いことと言うのが弱い。
喪黒福造からアイテムもらったりアドバイスを遵守したらかなり良いことが起こる。
次に起こったいい事をかなぐり捨てたり、欲望に突っ走る動機が弱い。
ちょっとぐらい、あと一回、という欲望に負ける過程をもっと描写したらどうか?
最後に待ってる破滅が酷い。
少なくともこのキャラは電車に飛び込まさせられるまで追い詰められてはないし、そこまで酷い事もしてはいない。
まぁ初期の作品はかなり理不尽なものもあるけど。
笑ぅせぇるすまんは欲を掻く者には破滅が訪れるという事にカタルシスがあるので、そういう所を意識されては如何でしょうか?
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- 2017年06月28日 01:49
- ※9
なるほど、参考になります。
>まず喪黒さんのいうとおりにしてある良いことと言うのが弱い。
喪黒福造からアイテムもらったりアドバイスを遵守したらかなり良いことが起こる。
>松田「もちろんです。あれから何だか気持ちも明るくなって、彼女ともうまくいってるんですよ。」
これだけでは弱いか。もう一つくらい大きくていいエピソードを挟むのがいいかな。
長いので何回かに分けます
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- 2017年06月28日 01:50
- >次に起こったいい事をかなぐり捨てたり、欲望に突っ走る動機が弱い。
ちょっとぐらい、あと一回、という欲望に負ける過程をもっと描写したらどうか?
>松田「仮免5回?しかも20時間オーバー?俺よりひどいよ。でもさすがにこれは『嘘松』っと…。」
いつもほろ酔いの時に「嘘松」と書き込む癖があるので、酔った時に久しぶりにスカッと倍返しを見たから、いつもの癖で「嘘松」と書き込んだとか、書き込まない習慣が付き始めたから彼女とうまくいっているという事を忘れてる、という感じです。
後から思えば、酒を飲んで何か失敗した事があるとか、逆に「嘘松」と書き込んで良かった事があったとか、そういった描写があってもいいと思います。
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- 2017年06月28日 01:52
- >最後に待ってる破滅が酷い。
少なくともこのキャラは電車に飛び込まさせられるまで追い詰められてはないし、そこまで酷い事もしてはいない。
喪黒に「本当に気をつけてくださいね。酔った勢いで行動しちゃダメですよ。」と言われたのに、言った事が嘘ではないと証明するために酔った勢いで踏切に飛び込むのは、自分としてはブラックでいいと思っているが、読み手はそこまで求めてない?
逆に、酷くない結末とはどんなものだろうか。今別の話を作っているので、そこで思いつくのかも。
本当の事を言ってるのに彼女に信じてもらえず、同期の前で上司に嘘つきだと言われ、ただ、あともう一つくらい何かあってもいいのかもしれない。
>まぁ初期の作品はかなり理不尽なものもあるけど。
笑ぅせぇるすまんは欲を掻く者には破滅が訪れるという事にカタルシスがあるので、そういう所を意識されては如何でしょうか?
勉強になりました。ありがとうございました。
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- 2017年06月28日 10:01
- 悩みや欠点を抱える人が喪黒に出会ってそれを解決する
どんなに良くなったか喪黒と会って話をする
解決法を約束した以上にやってしまいそこに喪黒が現れてドーン
なだれ込むように破滅へ喪黒のエピローグ
もちろん構成からしてこうじゃないのもあるだろうけど
この流れをやるならドーンのタイミングは重要だね
ドーンで決壊に至る「ヒビ」だけは必ず自分の力で(笑)踏み外さなければならないって感じかな
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- 2017年06月28日 17:32
- ドーンするのが早いよね
嘘松って書き込んじゃってから「約束を守りませんでしたねぇ」っていきなり現れて
ややあってドーンだから
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- 2017年06月28日 21:04
- おもんな
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- 2017年06月28日 23:24
- ※13、※14
こういう意見はとても参考になります。ありがとうございます。
「笑うセールスマン」のフォーマットを守ってるつもりでも、できてなかった。
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- 2017年06月29日 01:45
- そっち側かよ
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- 2017年06月29日 03:44
- 喪黒である必要がないな、因果関係がはっきりしないから狂言回し未満のただの語り部みたいになってる