ガヴリール「ヴィーネってサキュバスだったのか…」
- 2017年04月03日 01:10
- SS、ガヴリールドロップアウト
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委員長「おはよう、天真さん」
ガヴリール「委員長、おはよー……」
委員長「なんだかいつもより眠そうね…」
ガヴリール「ヴィーネのやつが起こしに来てくれなかったからさー、自分で朝御飯の支度してたんだよ」
ガヴリール「おかげで二度寝する暇もなくて……」
委員長「月乃瀬さんなら今日、少し遅刻してくるみたいよ」
ガヴリール「…ヴィーネが遅刻?なんで?」
委員長「詳しくは分からないけどね、先生から聞いた話によると、ちょっと熱が出たって聞いたけど…」
ガヴリール「ふーん………」
ガラッ
ヴィーネ「おはよう、ガヴリール、今朝は起こせなくてごめんね?」
ガヴリール「おはようヴィーネ、熱はもう大丈夫なの?」
ヴィーネ「それがね、朝起きたときは体が火照って熱っぽかったんだけど、少し寝たら元気になっちゃって…」
ガヴリール「へぇー、悪魔ってのは体が丈夫なんだな……」スンスン
ガヴリール(ん……?この匂い……)
ヴィーネ「………?どうしたの?」
ガヴリール(な、何だか変な気分になる匂いだな……なんだこれは…)
ヴィーネ「……ガヴ?なんか顔赤いわよ?」ズイッ
ガヴリール「……っ!?」ビクッ
ヴィーネ「熱でもあるのかしら……?」
ガヴリール「……ちょ、ちょっとヴィーネ……っ!顔が近いって…」ドキドキ
ガヴリール(…匂いの原因は間違いなくヴィーネだ……!)
ヴィーネ「それでね、サターニャったらおかしくって…」
ガヴリール(……それにしても今日のヴィーネはいつもより大人…?な気がする…)
ガヴリール(潤った瞳に柔らかそうな唇、そしてなによりも漂ってくる心地のいい香り……)
ヴィーネ「ちょっとガヴ、聞いてる…?」
ガヴリール(…今のヴィーネを一言で説明するとしたら……)
ガヴリール「………エ口い」ボソッ
ヴィーネ「え?なにが?」キョトン
ガヴリール「……っ!?なっ、なんでもない!!」
ヴィーネ「なんだか今日のガヴ、ちょっとおかしいわよ……?」
ガヴリール(おかしいのはヴィーネのほうだろ、なんだこの違和感は……)
「おい、なんか今日の月乃瀬さんってさ…」
「わかる、なんかいいよな…」
「お前ちょっと声かけてこいよ…」
……
ガヴリール「……………」
ガヴリール(今日一日、クラスの中を監察していてわかった、どうやらヴィーネに変化を感じているのは私だけではないらしい…)
ガヴリール(特に男子への影響は凄かった、さっきからクラス中の男子がヴィーネの噂話をしている、なんかムカつく…)
ガヴリール「………はぁ」
サターニャ「…ガヴリール、あんた今日一言も私と会話してないんじゃないの…?」
ガヴリール「ああ、サターニャか、悪い悪い、眼中になかったわ」
サターニャ「どういう意味よ!」
ガヴリール「そのままの意味だよ、別にお前に話かける必要なんてないし…………待てよ…」
ガヴリール(同じ悪魔であるこいつならヴィーネの事について何か知っているんじゃないか………?)
ガヴリール「ごめんサターニャ、やっぱりお前に聞きたいことがあるんだった」
サターニャ「………!!…ふふん、この大悪魔であるサタニキア様が何でも答えてあげるわ!!」ウキウキ
ガヴリール「と、いうわけなんだ、簡単に説明するとヴィーネがいつもと違うってこと」
サターニャ「……ふむふむ、私はそうは感じなかったんだけど…」
ガヴリール「でも現に、クラスの人間にも影響がでているだろ?」
サターニャ「確かに、今日は至るところでヴィネットの名前を聞くわね…」
ガヴリール「それで、同じ悪魔であるサターニャなら何かわかるとおもったんだが……」
サターニャ「……もしかして…」
サターニャ「悪魔の力が成長しているんじゃないかしら…?」
ガヴリール「力が成長…?詳しく教えてくれ」
サターニャ「…私達悪魔は大人に近づくにつれ特殊な能力が目覚めることがあるの、ある者は人を魅了し、ある者は人の心を読み、ある者は強靭な肉体を手にいれたり…」
ガヴリール「……つまり」
サターニャ「ヴィネットの場合は人を魅了する力、人間の世界ではサキュバスって呼ばれている存在ね」
ガヴリール「…ふむ」
サターニャ「サキュバスによる魅了の力は私達悪魔には効果が薄いわ、だから私が気づかなかったのかも…」
ガヴリール「ヴィーネってサキュバスだったのか…」
ガヴリール「まぁ、お前は見るからにサターニャだもんな」
サターニャ「どういう意味よそれ!」
ガヴリール「……まぁそれはそれとして、さっきの話に戻るんだけどさ…」
ガヴリール「このままサキュバスの力が成長していくとどうなるの?」
サターニャ「…基本的に今と変化はないわね、ていうか、この力は他人に指摘されるまで本人が気づく事はないわ」
ガヴリール「なるほど、自覚のないエ口スなんだな」
サターニャ「でも、私が聞いた話によると、精……?を摂取することで己の魔力を高めることができるとか……」
ガヴリール「…っ…精って…お前それ…」
サターニャ「……なに?知ってるの?」
ガヴリール「いや、知らない、ていうかお前は知らなくていい」
ヴィーネ「このパン美味しいわね!どこで買ったの?これ」
サターニャ「ふふん、実は最近私の家の近くにパン屋さんが……」
ラフィエル「……………」ソワソワ
ガヴリール「……………」モジモジ
ヴィーネ「………?どうしたの二人とも、やけに静かね…」
ラフィエル「い、いえ!お構い無く…!」ドキドキ
ガヴリール「ちょっと食欲が無いだけだから…!」ドキドキ
ヴィーネ「ダメじゃないガヴ、ちゃんと食べないと…」
グイッ
ヴィーネ「ほら、私の焼いた卵焼き、美味しいわよ?」
ガヴリール「…!?」
ガヴリール(こ、これってあーんってやつだよな…!?)
パクッ
ガヴリール「……………」モグモグ
ガヴリール「……おいひぃ…」ウットリ
ラフィエル(ガヴちゃんが女の子の顔になってる!?)
サターニャ「ガヴリールのやつ、完全に魅了されてるわね……」
ガヴリール「はーー疲れた……」
ラフィエル「私も、何故か今日は凄く疲れました…」
サターニャ「ふふん、天使共が遂に悪魔の手に堕ちたのね?」
ガヴリール「お前は別に何もしてないだろうが…」
ヴィーネ「ねぇ、ガヴ」
ガヴリール「ん?」
ヴィーネ「今日、ガヴの家に遊びにいってもいい?」
ガヴリール「えっ」
ヴィーネ「ダメ………かな?」
ガヴリール「い、いや……ダメじゃないけど……」
ラフィエル「あ、じゃあ私もご一緒………んむぐ………っ!!」
サターニャ「ラフィエル、ここは二人にさせましょう」ニヤッ
サターニャ(ふふふ、今のヴィネットとガヴリールを二人にすると、きっと面白いことになる…!私の悪魔的直感がそう告げているわ!!)
ガヴリール「………」ドキドキ
ガヴリール「ど、どうしよう、もうすぐヴィーネが家にくる…」
ガヴリール(髪型、変じゃないよな?ちゃんとお風呂に入って癖っ毛もなおしたし…)
ガヴリール(それに、今日はジャージじゃなくてちょっと可愛い服を選んでみたぞ、変じゃないよな……?)
ガヴリール「………………」
ガヴリール(乙女か私はっ!!なんでヴィーネが遊びにくるだけなのにここまで気を使わないといけないんだよ!!)
ピンポーーーーン
ガヴリール「…!?やばっ、ヴィーネきちゃったよ…!」ドキドキ
ヴィーネ「おじゃましまーす…」
ガヴリール「いらっしゃいヴィーネ」キラキラ
ヴィーネ「…ガヴ…?一体どうしちゃったの…?」
ガヴリール「ん、いやー、たまにはな…」
ヴィーネ「ふふ、そっか、やっぱりガヴリも女の子だもんね」
ガヴリール「…………っ」ドキッ
ヴィーネ「凄く似合ってて可愛いわよ、初めて会った頃を思い出すわね…」クスッ
ガヴリール「か、かか、可愛いだなんて……そ、そんな………えへへ…」トロン
ガヴリール(ヴィーネに褒められちゃった………)
ヴィーネ「あんた今とんでもない顔してるわよ……」
カチッ、カチカチッ…
ヴィーネ「はぁ、また負けたわ、やっぱりゲームじゃガヴには敵わないわねー…」
ガヴリール「ふふん、私に勝とうなんて百年早いぞ…」チラッ
ヴィーネ「…うーん、どうやったら勝てるのかしら……」
ガヴリール「………………」ジーーーッ
ガヴリール(…なんだかヴィーネを見ていると体が火照ってくるな、まさかこれも魅了の力なのか…?)
ヴィーネ「…どうしたの?そんなに見つめて…」
ガヴリール「…………」ゴクリ
ヴィーネ「………ガヴ?」
ガヴリール(相手は友達、相手は女子、相手は悪魔………なのになんでこんなに……)
ガヴリール(……いい、よな?ヴィーネが悪いんだもんな………?)
ヴィーネ「どうしたの?」
ガヴリール「この部屋、少し暑くないか?」
ヴィーネ「そうかしら?私はそうでもないけど……」
ガヴリール「そっかー、私だけかー……」ファサッ
ヴィーネ「………!?」
ヴィーネ(ガヴがスカートを捲し上げてる!?!?)
ガヴリール「んっ…………」クネッ
ヴィーネ「………っ」
ガヴリール「はぁ、暑いなー、暑い暑い……」チラッ
ヴィーネ「ちょ、ちょっとガヴ………」
ヴィーネ(なんだかよくわからないけど、ガヴがえっちな感じになってる…!)
ガヴリール「…ん?なに?」
ヴィーネ「その………女の子がそんな格好してちゃはしたないわよ……?」
ガヴリール「えぇー、ヴィーネだしいいじゃんか……」
ヴィーネ「…いや、それでも…」
ズイッ
ヴィーネ「!?」
ガヴリール「ヴィーネはこういうの嫌い…?」ハァハァ
ヴィーネ「え、えっと…」
ヴィーネ(ガヴの息が荒い……というより顔が近い…!)
ガヴリール(ああ、ヴィーネヴィーネヴィーネ…っ、もう我慢できない、頭がどうにかなりそうだ…)
ガヴリール(なんで今日のヴィーネはこんなにも魅力的なんだ…反則だぞこんなの!!)
ヴィーネ「ちょ、ちょっと……顔が近いんだけど…」
ガヴリール「…ヴィーネぇ……」ウットリ
ガヴリール「私を、私をぎゅーっとしてくれ……」
ヴィーネ「……やっぱり今日のガヴはおかしいわ」
ギュッ
ガヴリール「あっ……」キュンッ
ヴィーネ「何か悩み事があるなら私に話してみて?解決することはできないかもだけど、きっと少しは楽になると思うわ…」
ガヴリール「あ、あぅ………」キュンキュンッ…
ガヴリール「………私、朝からずっと我慢してたんだけどさ…」
ヴィーネ「…?」
ガヴリール「今日一日、ヴィーネを見てて気づいたんだ」
ガヴリール「…ヴィーネってさ、めっちゃエ口いよな」
ヴィーネ「…は?」
ガヴリール「……これだけ我慢したんだからさ……いいよね?」ハァハァ
ヴィーネ「ちょ、あんた何言って……」
ガバッ…
ヴィーネ「……!?」
ガヴリール「……大丈夫、痛くしないからさ…」
ヴィーネ(やっぱり今日のガヴリールはおかしいわ…!いきなり押し倒してくるなんて…)
ガヴリール「はぁ、はぁ……ヴィーネが悪いんだからな……?」スリスリ
ヴィーネ「と、友達同士でこんなこと……おかしいって……っ!!」
ガヴリール「あぁ、ヴィーネ……いい匂い……」スンスン
ヴィーネ「はぁ、どうやら私の声すら届いてないようね……」スッ
ガバッ
ガヴリール「……!?」
ヴィーネ「悪いけど、これ以上続けるなら力加減はできないわ、このまま大人しくしててくれる?」ググググ
ガヴリール「ちょ、ヴィーネ……痛…っ」
ガヴリール(ヴィーネが私を力技で押さえつけてる……)
ガヴリール「あぁ……っ」キュンキュンッ
ヴィーネ「……抵抗する気はなくなったかしら……?」ググッ
ガヴリール「あぅ……っ……ヴィーネぇ……」グスッ
ヴィーネ「あっ、ごっ、ごめんなさい……痛かったかしら……?」バッ
ガヴリール「はぁ、はぁ………」
ガヴリール「も、もっと……」
ヴィーネ「……え?」
ガヴリール「もっとして……?」
ヴィーネ「……えっと」
ガヴリール「……中途半端にやられると切ないんだよ…っ…」モジモジ
ヴィーネ「…」
ヴィーネ「ごめんなさい、ガヴリール」
ガヴリール「…え?」
ヴィーネ「ガヴがどうしてそんなふうになっちゃったのかわからないけど、あなたの気持ちには答えられないわ……」
ガヴリール「そ、そんな……!だってヴィーネが……ヴィーネが……っ!!」グスッ
ヴィーネ「………」
ヴィーネ(なんだかよくわからないけど、ガヴの言い分によると私に非があるようね……)
ヴィーネ(事情は落ち着いてから聞くとして、今はガヴに謝らなきゃ…)
ヴィーネ「…ごめんなさい、ガヴリール…」
ヴィーネ「私があなたに何かしてしまったのなら謝るわ…」
ガヴリール「…誰の力のせいで私がこんなに…………っ」
チュッ
ガヴリール「!?」
ヴィーネ「今はこれだけ、許してくれる?」
ヴィーネ「ガヴ……?あんた本当にどうしちゃったのよ…」
ガヴリール「おはようございます、ヴィーネ様…」モジモジ
ヴィーネ「い、いや……様って……」
ガヴリール「何を言っているんですか?ヴィーネ様、私はヴィーネ様の所有物ですよ?」
ガヴリール「所有物である私が主を敬うのは当然の事ではないですか」
ラフィエル「ヴィーネさん、ガヴちゃんに何をしたんですか…?」
ヴィーネ「わ、私はなにも……」
サターニャ「…ヴィネット、ちょっときなさい」グイッ
ヴィーネ「…え?」
サターニャ「いいからきなさい!」
サターニャ「…あなたとガヴリールを二人にしたのは私のミスね、取り返しのつかないことになってしまったわ…」
ヴィーネ「ちょ、ちょっとサターニャ…!話が見えないんだけど…」
サターニャ「ヴィネット、今から言うことを良く聞きなさい」
ヴィーネ「…うん」
サターニャ「…ヴィネットには自覚がないかも知れないけど、今、あなたには悪魔の力が目覚め始めているの…」
ヴィーネ「う、うそっ!?私が…っ!?」
サターニャ「他者を魅了する力、あなた自身では気づくことはできないでしょうね」
ヴィーネ「………そっか、だからガヴは…」
サターニャ「そしてヴィネット、あなたはその力でガヴリールを養分にしてしまったの」
ヴィーネ「……えっ?」
ヴィーネ「そんな…!私は契約なんて……!」
サターニャ「魅了の力を持つ悪魔にとっての契約、最も簡単な方法といえば唇を重ねる事かしら」
ヴィーネ「…………っ」
サターニャ「その顔、心当たりがあるんでしょ…?」
ヴィーネ「で、でも……ガヴリールが契約を受け入れるなんて、そんな……」
サターニャ「…思い人とのキスですもの、拒むはずがないわ」
ヴィーネ「……」
サターニャ「ヴィネット専用の食料となってしまったガヴリールはもう、あなた無しじゃ生活できないでしょうね」
サターニャ「制御できない事を除いては、大人の悪魔とも張り合える程の力よ」
ヴィーネ「…サターニャ、随分詳しいのね」
サターニャ「当たり前じゃない、大悪魔を目指す悪魔にとっては常識中の常識よ」
サターニャ「それより、養分となってしまったガヴリールをどうするか、って話よ」
サターニャ「今のガヴリールは生きているだけであなたに生命力を供給し続ける、このままじゃあいつ……」
サターニャ「死んでしまうわよ?」
ヴィーネ「……っ!?」
サターニャ「勿論、ガヴリールを生かす方法もあるのよ」
ヴィーネ「……教えて」
サターニャ「ええ、いいわよ、方法はとても簡単だもの、あなたが定期的にガヴリールに体液を与えてあげればいいだけ」
サターニャ「勿論、その方法は家畜を生かす為の餌やりでしかないけどね、あなたの友達としてのガヴリールは死んだも同然よ」
ヴィーネ「…っ」
これは大悪魔様だわ
ガヴリール「ヴィーネ様、本当にこのに住んでもいいんですか?」
ヴィーネ「いいのよガヴリール、私があなたをこんなにしてしまったんだもの…」
ガヴリール「いえ、いいんです、ヴィーネ様の所有物として生きるのが私の唯一の存在価値なので」
ヴィーネ「…………っ」
ヴィーネ「ガヴはきっと………そんなこと思っていないわ……」
ガヴリール「いえ、今のが私の本心です、私の全てはヴィーネ様の物なので…」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「シャツを脱ぎなさい、下着はつけたままでいいわ」
ガヴリール「はい、仰せのままに」
ガヴリール「ヴィーネ様、本当にこの家に住んでもいいんですか?」
ヴィーネ「いいのよガヴリール、私があなたをこんなにしてしまったんだもの…」
ガヴリール「いえ、いいんです、ヴィーネ様の所有物として生きるのが私の唯一の存在価値なので」
ヴィーネ「…………っ」
ヴィーネ「ガヴはきっと………そんなこと思っていないわ……」
ガヴリール「いえ、今のが私の本心です、私の全てはヴィーネ様の物なので…」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「シャツを脱ぎなさい、下着はつけたままでいいわ」
ガヴリール「はい、仰せのままに」
ヴィーネ(私と契約を交わしたガヴリールの背中、そこにはくっきりと悪魔の紋章が浮かび上がっていた)
ヴィーネ(サターニャの話によるとこの紋章が契約の証、そして、生命力を供給するための術式にもなっているらしい)
ヴィーネ(じゃあこの術式を物理的に消すとどうなるのか?これをサターニャに聞いてみたところ、元に戻る可能性も0ではないが、最悪の結末を迎える可能性のほうが高いらしい)
ヴィーネ(もし、もしもすでにガヴリールの意識は死んでいて、この術式がガヴリールの意思だと言うのなら…)
ヴィーネ(術式を消した後のガヴリールは電池の切れたおもちゃのように、ピクリとも動かなくなってしまうのかもしれない…)
ガヴリール「ヴィーネ様、私は何をすればいいのでしょうか」
ヴィーネ「…………」
ガヴリール「はい、ヴィーネ様」クルッ
ヴィーネ「さっきは服を脱げといったけど、特に意味はないの、もしも何か期待していたのなら、その……」
ガヴリール「いいんです、私の意思はヴィーネ様の意思です」
ヴィーネ「…………」
ヴィーネ「食事の時間よ、こっちにきなさい」
ガヴリール「はい、ヴィーネ様」
チュッ
ヴィーネ「んっ……んむっ………」
ガヴリール「…………んっ…」
ヴィーネ「ねぇ、ガヴリール」
ガヴリール「なんでしょうか」
ヴィーネ「あなたの話が聞きたいわ、何かお話して頂戴」
ガヴリール「私の話、といいますと?」
ヴィーネ「あなたの好きなゲームの話、好きな食べ物の話、好きなアニメや漫画の話……なんでもいいのよ」
ガヴリール「私にそのような感情はありません、ヴィーネ様が好きなものが、私の好きなものです」
ヴィーネ「そう………」
ヴィーネ「じゃあ、今度の日曜日、遊びにいかない?ひさしぶりにラフィエルやサターニャも誘って」
ガヴリール「ヴィーネ様が望むのならば、仰せのままに」
プルルルルル、プルルルルル……
『おひさしぶりですね、ヴィーネさん』
ヴィーネ「ひさしぶり、ラフィ、元気にしてた?」
『ええ、ヴィーネさんとガヴちゃんのいない学校生活、少し寂しいですが、サターニャさんがいつも私のお話相手になってくれていますので』
ヴィーネ「そう、元気そうでよかったわ……」
『……悪魔の力、制御不能な程の物だと聞きましたが…』
ヴィーネ「それがね、力の加減がわかってきたの、今では無差別に相手を魅了するようなことは無くなったわ」
『それは良かったです、周りに影響がないとなれば、また近い内に登校する事もできますね』
ヴィーネ「……でも、どれだけ力が成長しようと、どれだけ制御ができるようになろうと、失ったものは戻ってこないみたいなの…」
『……ヴィーネさん』
ヴィーネ「ごめんなさいね、暗い話しちゃって、本当は今週の日曜日、皆で遊ぼうって話がしたかったのに」
『ふふ、今週の日曜日ですね、楽しみに待っています』
ヴィーネ「ええ、じゃあ、また……」ポチッ
ヴィーネ「ガヴリール、寝ないの?」
ガヴリール「ヴィーネ様が命ずるのであれば、私も睡眠を取ります」
ヴィーネ「…今日はもう寝なさい」
ガヴリール「はい、仰せのままに」スッ
ヴィーネ「…ねぇ、ガヴリール」
ガヴリール「なんでしょうか」
ヴィーネ「私と初めて会った時の事、覚えてる…?」
ガヴリール「はい、記憶にあります」
ヴィーネ「私、あの頃は下界きたばかりで、わからないことばかりだったの、地図の読み方やバスの乗り方、信号機の色の違いもわからなくて…」
ヴィーネ「やっとの思いでこの街まできたのに、自分が住むアパートすら見つけられなくて、一人でオロオロしていたところを、あなたが道案内してくれたのよね」
ガヴリール「はい」
ヴィーネ「あの頃は本当に助かったわ、今更言うのもなんだけど、ありがとね」
ガヴリール「はい」
ヴィーネ「…………おやすみなさい」
ガヴリール「おやすみなさい、ヴィーネ様」
サターニャ「と、いうわけで、登山にきたわ!!」
ラフィエル「わー」パチパチパチ
ヴィーネ「ふふふ、下界の山に登るのって初めてかも」
ガヴリール「…………」
サターニャ「まぁ、当然この私が一番に山頂にたどり着くわけだけどね!!」
サターニャ「とくにガヴリール、あんたには負けないわよ!!」
ガヴリール「………」
ヴィーネ「ガヴリール、返事をしなさい」
ガヴリール「はい」
…
ラフィエル「今日の出来事が少しでもガヴちゃんへの刺激になるといいのですが…」
サターニャ「…もっと早く、私がヴィネットに力の説明をしておけばこんなことには…」
ラフィエル「……過去を悔やんでも、前には進めませんよ…」
サターニャ「…………」
ザッザッ…
ヴィーネ「はぁ……はぁ……」
ラフィエル「け、結構傾斜がキツいですねぇ……」
サターニャ「何よ、あんた達、体力ないわねぇ」
ヴィーネ「あんたが体力バカなだけでしょうが…」
サターニャ「ふん、ヴィネットの体力が無いだけなんじゃないかしら?あのガヴリールですら息を乱してないわよ?」
ヴィーネ「えっ?」
ガヴリール「……………」ザッザッ
ラフィエル「まさか、ガヴちゃんに体力で負けるなんて……っ」ゼェゼェ
サターニャ「まぁ、今のガヴリールはヴィネットの魔力で動く人形みたいなもの、息切れなんてするはずないんだけどね」
ラフィエル「サターニャさん!」
サターニャ「なによラフィエル、事実でしょ?」
サターニャ「悔しかったらあんたも言い返して見せなさいよ、ガヴリール」
ガヴリール「……………」イラッ
サターニャ「……何よ」
ヴィーネ「次ガヴリールの事を悪くいったら…」
ヴィーネ「いくら同胞のあんたでも許さないから」
サターニャ「悪く言うも何も事実じゃない」
ヴィーネ「…………っ」
サターニャ「元々はあんたのせいでガヴリールがこんなふうになっちゃったんじゃないの?」
ヴィーネ「それは………」
サターニャ「ガヴリールは厄介な奴だったわ、いつも私の悪魔的行為の邪魔をして……」
サターニャ「まぁ、目障りな奴だったけど、いなくなってみると寂しいものねぇ?」
ヴィーネ「…………っ」ギリッ
サターニャ「あんたも可哀想にねぇ?ガヴリール、勝手に魅了されて、勝手に契約させられて、しまいには操り人形だなんて……」
ヴィーネ「サターニャ…………っ!!!」
ラフィエル「ヴィーネさん!!やめてください!!」
ヴィーネ「だって……っ!!だってこいつが……っ!!!」
サターニャ「…………ふんっ」
サターニャ「ほら、ここなら広いわよ?やるならかかってきなさいよ、ヴィネット」
ヴィーネ「あんた、本当に許さないわよ…?覚悟はいいのかしら…?」
サターニャ「誰に向かって言っているのかしら?ヴィネット、私は大悪魔、胡桃沢=サタニキア=マクドウェルよ?」
サターニャ「あんたみたいな低級淫魔なんかに負けるわけないじゃない」
ヴィーネ「…わかったわ、そこまで言うなら私も本気で相手をしてあげる」
…
ラフィエル「…サターニャさんの考えが、私にはわかります」
ラフィエル「ですから、お二人の事を止めたりはしません、天使として、友人として…」
ラフィエル「もし、あなたが私の立場であれば、どうしますか?ガヴちゃん」
ガヴリール「……」
サターニャ「きなさいヴィネット、先手は譲ってあげるわ」
ヴィーネ「その挑発、乗ったわ」スッ
ダッ
サターニャ「………」
サターニャ「中々のスピードねヴィネット、まさかここまで一瞬で距離を詰めるだなんて」
サターニャ「でも、まだまだね、私が本気を出せばあんたの100倍は早く動けるわ」
サターニャ「だからあんたの拳なんて止まって見……………っ!?」
ドゴォッ
サターニャ「へぶっ…………!?!?」
ラフィエル「ええ…………」
ガヴリール「………………」
サターニャ「大体、いきなり女の子の顔を本気で殴るなんて、SS級悪魔的行為なんだから!!」
ヴィーネ「あんたが仕掛けてきたんでしょうが、本気を出さないと怪我じゃすまないわよ?」
ダッ
サターニャ「ふふふ、その攻撃は一度見て完璧に把握したわ!!何度も何度も同じ手が通用すると思わないことね!!」
サターニャ「そもそも、力任せに拳を叩きつけても、私のこの鋼鉄の肉体には傷一つつけることは………っ!?」
ボゴォッ
サターニャ「へぶっ………!?」
ラフィエル「なんだかちょっと面白くなってきました……」
ガヴリール「…………」クスッ
ヴィーネ「もう降参しなさいよ……あんたこれ以上やったらもう…っ」ハァハァ
サターニャ「いいえ、まだよ!まだ私は戦えるわ!!」
サターニャ「私の超すごい必殺技を見せてやるんだから!!覚悟しなさい!!」
ダッ
ヴィーネ「何……?いきなり木に登って……」
サターニャ「必殺!!!虫落とし!!」
ユサユサユサユサユサユサ…………
ボトッ
ヴィーネ「はぁ……?……って!!」
ヴィーネ「きゃああああああ!!!毛虫!!毛虫が服に!!誰か!!誰かとってー!!!」
サターニャ「んなーーーはっはっは!!!敗北を認める気になったかしら?ヴィネット!!」
ラフィエル「ぷぷっ…………」
ガヴリール「あいつバカだろ」
ヴィーネ「ぐぬぬ…………まさかあんな卑怯な手を使うなんて…」グスッ
サターニャ「んなーーーはっはっは!!!!卑怯な手ですって!?」
サターニャ「悪魔である私に、卑怯なんてものはないのよ!!!」
ヴィーネ「な、納得いかないわ!!もう一度!!もう一度勝負よ!!」
サターニャ「望むところよ!!私が相手になってあげる!!」
ラフィエル「では、ここから山頂までどちらが早く辿り着くか、というのはどうでしょうか?」
ヴィーネ「いいじゃない、丁度四人いることだし、チーム戦っていうのはどうかしら?」
サターニャ「ふん、受けてたつわ、来なさいラフィエル!」
ラフィエル「はい、サターニャさん」ニコニコ
ヴィーネ「こっちも行くわよガヴリール!!」
ガヴリール「やだよ、だるいし」
ヴィーネ「あー、そうだった、命令よ、ついてきなさい」
ガヴリール「なんでヴィーネに命令されなきゃなんないんだよ」
ヴィーネ「ちょっとガヴリール!こんなときまでわがまま言ってないで…………え?」
ガヴリール「てか帰りたいんだけど、なんで私登山なんてしてんの?」
ヴィーネ「ガヴリール……?」
ガヴリール「なんだよ、マジマジ見つめやがって……」
ヴィーネ「本当にガヴリールなの……?」
ガヴリール「どこからどう見てもそうだろ」
ヴィーネ「私の命令を聞かなくても動けるの……?」
ガヴリール「はぁ?なんで私がお前の命令で動かなきゃいけないんだよ」
ガヴリール「ていうか一応私は天界ではエリートだからな?悪魔なんかに屈するわけないだろ」
ヴィーネ「ガヴ…………」グスッ
ヴィーネ「うわああぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」ダキッ
ガヴリール「ちょ、いきなりどうしたんだよ、抱きつくなって……」
ヴィーネ「わ、私……っ、もう会えないかどおもっで………っ…!」ポロポロ
ガヴリール「ちょ、鼻水つくから離れろって…」
サターニャ「ふん、人騒がせな天使ね……」ボロッ
ラフィエル「ふふ、格好良かったですよ、サターニャさん」ニコッ
サターニャ「…何の事かしら」
ラフィエル「あら、夕日が綺麗ですね…」
サターニャ「ここから見える街の景色も、いずれは全て私の物になるんだから…!」
ラフィエル「ふふふ、サターニャさんの物になった世界なら、私も住んでみたいです…」ギュッ
サターニャ「流石は私の弟子一号ね、ラフィエル!!サタニキア王国誕生パーティの時には、特等席を用意してあげるわ!!」
ガヴリール「ぜぇ…………ぜぇ…………」
ヴィーネ「随分と疲れてるじゃない、ガヴ」
ガヴリール「仕方ないだろ、私はインドア派なんだよ……もう二度と登山なんてするもんか…………っ」
ガヴリール「ていうか、暑い、こんな格好してられるか…………!!」ヌギヌギ
ヴィーネ「ちょっ、ちょっと!!あんたどこで服脱いで………」
ガヴリール「……なんだよ、私の体になんかついてるか?」
ヴィーネ(術式が無くなってる……)
ヴィーネ「ねえ、サターニャ」
サターニャ「何よ、ヴィネット」
ヴィーネ「ガヴの事、ありがとうね」
ヴィーネ「そして、ごめんなさい、あなたも考えがあってあんな言い方をしていたのね」
サターニャ「ふん、なんの事かしら」
サターニャ「私はあんたと一度本気で勝負がしてみたかっただけよ、どちらが本当に優れた悪魔かを決めるためにね」
ヴィーネ「……サターニャ」
サターニャ「それよりも、何でガヴリールへの術式が解けたか、それを聞きに来たんでしょう?」
ヴィーネ「そうよ、すでに契約は完了していたのに、一体なんで………」
サターニャ「ふん、自惚れしないことね、ヴィネット」
ヴィーネ「…………え?」
サターニャ「あんたの魅了の力が弱かった、ただそれだけの事よ」
サターニャ「このサタニキア様にかかればあんなへっぽこ術式、100個あっても全部消し去ってやるわ」
ヴィーネ「………ふふ、サターニャは強いのね」
サターニャ「当たり前じゃない、私を誰だと思っているのよ!」
ヴィーネ(こうして、私の魅了の力によって精神を支配されていたガヴリールは、サターニャの力によって無事解放された)
ヴィーネ(聞いた話によると、悪魔の力を使った本人が解除できない術式だとしても、より優れた能力を持つ悪魔が術式に手を加える事によって、その術式を消滅させることができるらしい)
ヴィーネ(でも、サターニャがやってたあれはそんな高度な技ではない、友達の為に必死に戦って、ひたすら殴られて、しまいには毛虫を落として勝利する、そんな事で術式が解除できるなんてとても思えない……)
ヴィーネ(だからきっと、ガヴリールが自分を取り戻すことができたのは……)
ガヴリール「何か機嫌良さそうだな」
ヴィーネ「そうかしら?べつにいつも通りだと思うけど……」ニコニコ
ガヴリール「うそつけ、ニッコニコじゃんか」
ヴィーネ「ふふふ、そうかしら…」
ヴィーネ(きっと、悪魔の力なんかよりも強い、ずっとずっと強い……)
ヴィーネ(絆の力なのかもしれない…)
完
そういうの期待してた人ごめんね
元スレ
ガヴリール「ヴィーネってサキュバスだったのか…」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1491126661/
ガヴリール「ヴィーネってサキュバスだったのか…」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1491126661/
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コメント一覧 (38)
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- 2017年04月03日 01:31
- さすサタですわこれは
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- 2017年04月03日 01:40
- サターニャさんをすこれ
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- 2017年04月03日 02:05
- あぁ^~心がデビデビするんじゃぁ^~
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- 2017年04月03日 02:15
- ナイス脱線
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- 2017年04月03日 02:24
- 流石大悪魔
サタニキア様をすこれ
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- 2017年04月03日 02:35
- 偉大なるサターニャ様すこ
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- 2017年04月03日 02:40
- さすがですサターニャ様。
私もサターニャ様とヴィーネ様の仰せのままに。
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- 2017年04月03日 02:49
- 大悪魔サタニキア様万歳!!
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- 2017年04月03日 03:02
- これはすこらざるを得ない
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- 2017年04月03日 03:32
- サタニキア先輩パネェっす!
もしかしたら才能だけは上位悪魔なんだろうかサターニャは!
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- 2017年04月03日 03:53
- サターニャ様マジ悪魔
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- 2017年04月03日 04:01
- イケメン過ぎやろ
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- 2017年04月03日 04:37
- サターニャ最高!
予想外に良い話でとても良かった!
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- 2017年04月03日 05:31
- 一瞬大悪魔サタニキア様かとおもったけど大天使サターニャ様だった
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- 2017年04月03日 06:51
- これは圧倒的サタニキア様ですわ
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- 2017年04月03日 07:57
- 愛すべきサターニャ
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- 2017年04月03日 11:49
- すこすこリズム
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- 2017年04月03日 12:43
- ヴィーネ様に精を搾り取られて果てたい人生だった…
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- 2017年04月03日 14:16
- ssのサタニキア様あげすこ
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- 2017年04月03日 15:03
- 本当にSSのサターニャはイケメン
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- 2017年04月03日 15:16
- 皆サターニャ様の事好きすぎワロタwww
あ、俺はサターニャ様の風呂場のカーペットを希望します
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- 2017年04月03日 16:59
- サタニキア王国民になって納税したいだけの人生だった
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- 2017年04月03日 18:46
- 最高
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- 2017年04月03日 18:57
- サターニャイケメンすぎる
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- 2017年04月03日 19:05
- すこニキア
ニキやれ
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- 2017年04月03日 19:36
- ヴィーネの後悔に満ちた命令口調が辛抱たまらん…
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- 2017年04月03日 23:00
- これは映画版サタニキア
全魔界が泣いた
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- 2017年04月04日 03:09
- サタニキほんとすこ
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- 2017年04月04日 08:17
- 大悪魔胡桃沢様をすこれ
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- 2017年04月04日 13:34
- サターニャ様ぁあぁぁぁっぁあぁぁぁぁぁっぁあ!
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- 2017年04月04日 15:35
- 想像と違ったシリアスだったがかっこいいサターニャ様が見れてよかった。
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- 2017年04月04日 18:52
- サターニャ様!サターニャ様!サターニャ様!サターニャ様!
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- 2017年04月04日 19:59
- あら~^とか言ってる場合じゃなかった
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- 2017年04月05日 23:03
- ぐうかわ悪魔もどき大天使サタニキ様をすこれ
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- 2017年04月07日 00:46
- 皆サタニキア様好きすぎで草生える
すこ
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- 2017年04月07日 13:28
- すこォ!
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- 2017年04月16日 22:09
- サタニキア様を👿れ
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- 2017年08月20日 00:23
- 今回のサターニャは漢だったな。