紗枝「いつきはん、最近よー食べるなぁ。」
事務所でのんびりしていると、紗枝ちゃんがそんなことを言い出した。
そう返しながら、テーブルに置いてあったおせんべいの詰め合わせ袋の封を開け、一枚頬張る。
あ、こののりせんおいしい。
肇「確かに。今日もレッスン終わりにケバブ食べてましたね。」
給湯室からお茶を持ってきてくれた肇ちゃんがそう続ける。
そう返しつつ、お茶を受け取る。
湯呑みは肇ちゃんのお手製だ。
ちなみに、丸に紗の字が入っているのが紗枝ちゃんの。
來の字が入ってるのが聖來さんので、いの字が入っているのが私のだ。
なかなか渋いデザインが気に入ってて、愛用させてもらっている。
そう言って、淹れてくれたお茶を啜る。
おせんべいにお茶。
シンプルだけど、鉄板の組み合わせ。
やっぱり日本人はこれだよね。
肇「いつきさん、お腹周りも引き締まってますもんね。」
いつき「まぁ、食べた分は身体を動かせばいいしね!」
答えつつ、次のおせんべいに手を伸ばす。
お、今度はわさびせんべい。
ツンとくる感じが癖になるね。
わんこ「わん!」
ガチャッ!と勢いよく事務所のドアが開く。
わんこの散歩に出ていた聖來さんが帰ってきた。
紗枝「おかえりやす~。わんこはんも、おかえりやす~。ん~♡」
紗枝ちゃんが出迎えつつ、わんこをわしゃわしゃ撫で回す。
わんこも気持ちよさそうに目を細めてされるがまま。
最近この2人(?)は仲がいい。
見ているこっちも和む。
聖來「あ、うん。もらおうかな。」
肇「じゃあ淹れてきますね。」
いつき「あ、だったら急須に入れてきてー。私もおかわり飲みたい。」
肇「わかりましたー。」
そう言って、肇ちゃんはパタパタと再び給湯室へ。
まるでわんこが2匹いるみたい。
肇ちゃん、この間みんなで出掛けてから、随分と聖來さんに懐いてるなぁ。
いつき「えー、聖來さんもそういうこと言いますー?」
聖來さんからも指摘をされつつ、胡麻せんべいを齧る。
いつき「あ、あれは店のおっちゃんが……って違う!一つはPさんの分!いくら私でもPさんの前でそんなには食べないもん!」
紗枝「Pはんの前や無かったら食べるんやろか……」
いつき「そ、それは……運動した後はお腹空くし……。」
カレーせんべい。
ピリッとした辛味がさらに食欲をそそる。
いつき「さっき紗枝ちゃんに……よー食べはるなーって。あ、でも、食べてる割にそのスタイルだから羨ましいなーって。」
聖來「……あのね、いつき。よく聞きなさい。」
急に真剣な表情になる聖來さん。
私も思わず、ザラメせんべいを持つ手に力が入る。
いつき「!?」
紗枝「せーらはん?」
いつき「そうなの?!」
紗枝「ちゃいますえ!?」
思わず、持っていた梅せんべいを落としそうになるショックだったけど、紗枝ちゃんは慌てて否定する。
聖來「ごめんごめん。どっちかというと、思った事をズバズバ言っちゃうよね。」
ぺろっと舌を出しつつ、紗枝ちゃんの方を見る。
いつの間にかいじる対象が私から紗枝ちゃんへシフトしたらしい。
相変わらずお茶目な人だ。
そう言って、撫で回していたわんこを後ろからぎゅっと抱え込む紗枝ちゃん。
人質ならぬ犬質だ。
紗枝「せやろか?キミやて、いけずなご主人はいややんな~?」
ニッコリとわんこに笑いかける聖來さんと紗枝ちゃん。
わんこはキョロキョロと二人の顔を見比べて
紗枝ちゃんの顔に頬ずりした。
紗枝「や~ん♡ キミは正直えぇ子やね~♡今日は一緒にお風呂入ろなー♪」
聖來「ちょ、ちょっと?!わんこ!?わんこさ~ん?!」
聖來「また!?またあたしはわんこに裏切られるの!?」
紗枝「ほらー、キミも言うてやりぃ。『僕はいけずな人はいややー』って。」
聖來「わんこにはいけずしてないでしょー!」
大人しく、えびせんを食べつつ観戦していよう。
いつき「んー?あー、どっちが飼い主でshow?」
肇「なんですかそれ……」
いつき「さぁ?」
隣に腰掛けた肇ちゃんは、苦笑しつつも楽しそうに眺めている。
普段よくいじられている肇ちゃんも、騒がしいのを見ているのは好きみたいだ。
肇「じゃあみそで。……っていうか、もうそれだけしか残ってないんですか。食べ過ぎですよー。」
いつき「いやー、おいしくて止まらなくってねー。」
肇「まったく。…お茶のおかわりは?」
いつき「いただきまーす。」
いい同僚を持って幸せだなぁ。
そんなことを思いながら、2人でおせんべいをぽりぽりする。
仲良きことは美しきことかな、ってね。
いつき「まぁ、今日も平和だねぇ。」
肇「そうですね。」
さて、おせんべいも食べ終わったことだし、のんびり食休みでも……
と思ったところで、肇ちゃんに呼び止められた。
いつき「ん?どしたの肇ちゃん。」
肇「これ、どうしましょうか。」
彼女の手には、空になったおせんべいの袋。
その袋に付いていたメモを見て私は平和の終焉を悟った。
いつき「……買ってきます!」
肇「なるべく急いでくださいね!」
そう言い残すと私は、あとを肇ちゃんに託して、ポカンとする紗枝ちゃんと聖來さんを残して、全速力でスーパーを目指して走り出した。
「このおせんべい、依田は芳乃のもの。勝手に食すべからず。もしも食したら……」
彼女が帰ってくるまでに、間に合わせないと。
とにかく運動好きのいつきちゃん。
消費カ口リーすごそうだから、よく食べそう。
関連作はこちら。
よろしければこちらも読んでいただけると幸いです。
水木聖來「えっ?肇ちゃんウインク出来ないの?」
いつき「肇ちゃんの下着ってさぁ」
ありがとうございました。
元スレ
紗枝「いつきはん、最近よー食べるなぁ。」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1475709870/
紗枝「いつきはん、最近よー食べるなぁ。」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1475709870/
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コメント一覧 (11)
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- 2016年10月06日 19:07
- 紗枝はんの犬になりたい(CuP感)
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- 2016年10月06日 19:32
- このスレタイだと妊娠かと思うよな
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- 2016年10月06日 19:38
- ・・・- ・・・・ぉおー
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- 2016年10月06日 20:03
- ???「美味しいから大丈夫だよ!」
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- 2016年10月06日 21:31
- この4人組すき
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- 2016年10月06日 22:24
- ヤバい…よしのんを起こらせると、この世界から(文字通り)消される(汗)
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- 2016年10月06日 22:39
- ???(((わんこくんよりもぼくを助けてください...ぼくの飼い主になってください...)))
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- 2016年10月07日 14:02
- >>「このおせんべい、依田は芳乃のもの。勝手に食すべからず。もしも食したら……」
「ご飯が食べられないじゃないか」カクン
「ご飯を食べられないとお腹がすくじゃないか」
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- 2016年10月07日 22:24
- なぜか紗枝めしのさえはんと埼玉のよしのんが浮かんだ。
歌舞伎揚げを奉納しないと…(紗枝はんに)
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- 2016年10月10日 21:50
- わんこになれば紗枝はんとお風呂に入れる…?
ガーリーな私服は大きな転機だった。5分しかもたなくても。