ブレイズ「日本からオーシアに支援要請ですか?」
・初SS投稿です
・更新ペースが落ちても必ず完結させるつもりです
・独自の設定、またゲーム内と違う兵装の部分もありますがご了承ください
よろしくお願いします
ブレイズ「日本ですか?平和な国だと認識していたのですが、いったい何があったのでしょうか?」
大統領「最近になって所属不明の戦艦やらが攻撃を仕掛けてくるらしい。」
大統領「各国も被害はあるらしいが、特に被害が大きいのが日本という話だ」
ナガセ「まさか、灰色の男達の生き残りが!?」
大統領「いや、それはない。先の戦争のすぐ後だ。仮に生き残りがいたとしても、いきなり世界中に攻撃を仕掛けるには無理がある」
グリム「日本かぁ。ちょっと楽しみだなぁ」
スノー「グリム!遊びに行くわけじゃないんだぞ!」
大統領「ともかく、君達には空母と共に日本に行ってもらいたい。政治的にも重要なファクターになる。頼めるな?」
大統領「そのことだが、ユークトバニアからも支援が出ることが決定している。主に君達ラーズグリーズの機体や物資などの後方支援を行ってくれるそうだ」
大統領「和平が成立してから初の共同作戦に望むことで、二国間での同盟強化、また世界に向けて戦争は終わり、平和の意志が高いことをアピールすることができる」
スノー「しかし自分はともかく3名は公式には死亡扱いされており、部隊も正規のものではない非公式の扱いです。大々的に空母や戦闘機を使用してもよろしいのですか?」
大統領「実はユーク側から『ユークトバニア沖合にて所属不明の戦艦が目撃された』との情報が入ってな、オーシアとユーク双方はこれの迎撃に回る共同作戦も展開する予定だ」
大統領「英雄である君達を公の場に出すことによって、今の世界的な混乱を早期に終結するためには尽力を尽くさねばならないと世界中に訴える狙いもあるのだ」
ナガセ「つまり、我々の行動で世界中の目を所属不明の軍に向けさせるということですか?」
大統領「そういうとこだ。まだ世界的には被害が小さいが、いずれ各国に甚大な被害が出ることは明白だ。その前に頭を叩く必要がある」
大統領「いくら君達とはいえ、それを一部隊だけで行うのは非常に難しいことだ。各国が協力し合い、初めて達成出来ることであろうと私は見ている」
ブレイズ「了解しました。では我々は任務遂行のため日本に出向いたします」
大統領「頼んだぞ」
グリム「しかし大統領も中々無茶を言ってくれますね。我々で血路を開けだなんて」
ナガセ「でも、せっかく手にした平和だもの。どこの軍かもわからないような人たちに壊されたくはないわ」
スノー「確かにな。ハーリング大統領もニカノール首相も平和主義者だ。この状況を見過ごすことが出来なかったんだろう」
ブレイズ「日本は被害が大きいとはいえ、軍事的には巨大な国家だ。そんな国が防戦一方とは思えないし、どんな対策をしているのか情報がほしいところだ」
グリム「それに新しい母艦も気になりますね。ケストレルは先の戦争で撃沈しちゃったし、いったいどんな空母なんだろう」
???「おお、君達か。久しぶりだな」
グリム「おやじさん!」
ビーグル「大統領の命令で私も今回の作戦に同行することになってな。陣頭指揮は私が行うことになっている」
ナガセ「じゃあもしかして…」
???「俺も同行することになっているぞ」
ブレイズ「バートレット大尉!」
バートレット「とは言っても、俺はお前らと編隊飛行するわけじゃない。主な任務は諜報だ」
スノー「お二人がいるのは心強いです。ところで新しい母艦のことはご存知で?」
ビーグル「そのことだが、我々には新造されたヒューバート級航空母艦の8番艦が充てられることになった」
スノー「ケストレルと同型が新造されていたんですか!?」
バートレット「そうだ。そして初陣がお前らラーズグリーズ隊を載せての作戦ということで、先の戦争で輝かしい戦果を残したケストレルにあやかり急遽[ケストレルⅡ]と改名された母艦だ」
バートレット「もちろん艦長はアンダーセン艦長が就任した。クルーもケストレルからやつらばかりだぞ」
アンダーセン「よく来てくれたラーズグリーズ隊の諸君。久しぶりだな」
ブレイズ「艦長、お久しぶりです」
アンダーセン「君達なら戦争を終わらせてくれると信じていたよ。よくやってくれた」
スノー「艦長。よくご無事で」
アンダーセン「スノー大尉か。負け戦ばかり続けていた男も、最後には本当の意味で勝てたということだ」
スノー「艦長が最後まで諦めずに我々を空に送り出してくれたおかげです」
ビーグル「艦長、機体の方はどうなっていますかな?」
アンダーセン「南ベルカの会社からの支援で既に届いております。よりどりみどりです」
バートレット「ユークもずいぶんと太っ腹だな。さてはあいつが動いてくれたみたいだな」
グリム「あいつって、バートレット大尉の…」
バートレット「グリム。大人の事情に首を突っ込みすぎるなよ」
ナガセ「本当に二国間での共同作戦なんですね」
バートレット「そうだ。それだけお前らは期待されているということだ」
バートレット「とくにブービー、お前には個人的に一番期待していr
ビービービー!
オペレーター「アンドロメダより入電。この先の海域にて所属不明の戦艦らしきものの存在をキャッチしたとのことです」
ビーグル「ユーク軍が目撃したという所属不明艦かもしれん。ラーズグリーズ隊はいつでも発艦出来るように準備してくれ」
ラーズグリーズ隊「了解!」
スノー「グリム、まだ戦闘になるとは決まったわけじゃないぞ」
ナガセ「けど進路上に所属不明艦。なにごともなければいいのですが」
ビーグル『聞こえるかね君達。このまま進めば約30分後には接触する海域に到達する。しかし相手は正体不明の戦艦だ。恐らく見逃してはくれないだろう』
ビーグル『そこでまずは君たちに様子を伺ってもらう。相手の出方次第では撃沈することも頭に入れておいてくれ。くれぐれも先制攻撃はしないようにな』
ブレイズ「了解。これより作戦海域に向かいます」
―――作戦海域―――
ナガセ「エッジ、所属不明艦を確認。駆逐艦のようです」
スノー「予測航路はオーシア方面。これより停船勧告行う」
ビーグル『あまり無茶はするなよ。相手は様々な国に攻撃を行っている軍のものかもしれんからな』
ブレイズ「了解」
スノー『所属不明艦に告ぐ。ここはオーシア海域だ。今すぐ停船し、こちらの指示に従え。さもなくば意図的な領海侵犯とみなし攻撃する。』
グリム「…反応ありませnうわっ!撃ってきた!」
ナガセ「グリム!大丈夫!?」
グリム「機体に損傷はありません。外れてくれたみたいです」
ビーグル『どうやら向こうはこちらを完全に敵と認識しているようだな。ラーズグリーズ隊は迎撃行動に入れ!』
ブレイズ「了解。各機散開!敵駆逐艦を迎撃するぞ!」
『了解!』
グリム「こっちからもだ、当たれー!」ドバババババ
ナガセ「ソーズマン、アーチャーの掃射、敵艦に命中を確認。損傷は…ありません!」
スノー「どういうことだ!?確かに命中したはずだぞ!?」
グリム「変なデザインしてるくせに、防御面は堅いってことなのかな」
ブレイズ「沈めるしかないな。低空から側面に撃ち込む!」
ナガセ「こちらエッジ、隊長の援護をします!フォックス2!」バシューン
イ級「!」ドーン ドーン
ナガセ「敵艦からの攻撃!?隊長!」
ブレイズ「大丈夫だ!これでも喰らえっ!」バシュバシューーン
グリム「ミサイルの命中を確認。敵艦損傷!」
イ級「!」ドーン ドーン ドーン
スノー「武装は一昔前のものみたいだが、精度が恐ろしくいい。音速戦闘機をよく捉えて撃てている」
グリム「それに加えて防御面もかなり優秀。今の直撃を受けてまだ普通に動いているのが信じられないです」
ナガセ「このままではケストレルⅡとの接触も時間の問題です」
ブレイズ「各機、ミサイルを集中砲火!一気に畳み掛けるぞ!」
『了解』
グリム「当たれー!」バシューン
ナガセ「この平和を壊させはしない!」バシューン
イ級「!?」ドゴーン!
ナガセ「敵艦の損傷を確認。敵艦、未だ健在!」
ブレイズ「ならば、あの口にAMRAAM弾を撃ち込む!フォックス1!」バシューーン!
イ級「!?」
ドーーーーーーーン!!
ナガセ「ブレイズが敵艦を無力化!敵艦撃沈!」
スノー「まるで生きているかのような動きだったな。なんだったんだあれは」
ビーグル『諸君、ご苦労だった。こちらでも撃沈を確認した。作戦は終了だ。帰艦してくれ』
ブレイズ「了解。ラーズグリーズ隊、これより帰艦します」
グリム「あれはなんだったんでしょうか。なんか気味が悪い戦艦でしたけど…」
スノー「あんな戦艦は見たことがないな。まるで巨大な生物兵器のような感じだった」
ナガセ「あんなのが世界中の海にうろついているなんて、大統領が危機感を示すわけだわ」
バートレット「そのことだが、日本政府に問い合わせたところ、あれは深海棲艦と呼ばれるものらしい。詳しいことについては教えてもらえなかったがな」
ブレイズ「詳しいことは日本に着いてからでないと教えられない…ということですか?」
バートレット「というよりは、日本政府も解析しきれていないという様子だったな」
スノー「確かに。いくらなんでもこちらの兵装の直撃を受けても沈まないっていうのは、対空防御が優れているというだけでは説明がつきませんからね」
ビーグル「オーシア海域でも遭遇するようになってしまった以上、日本に着くまでに何度か遭遇する可能性がある。各員はいつでもスクランブル発進出来るようにしておいてくれ」
ビーグル「気の休まる時間は少ないかもしれんが、今はとりあえず休んでくれ
提督「日本政府からの打診を受けてこちらに向かっているオーシア軍が駆逐イ級と戦闘を行い、これに勝利したらしい」
吹雪「自衛隊の戦力じゃあ歯が立たなかった相手に勝利するなんて、オーシアにも鎮守府があるんですか?」
金剛「鎮守府はこの国だけだと思ってたケド、オーシアもやるネー」
提督「いや、オーシアには鎮守府は存在しない。航空部隊による通常の兵器での攻撃で撃沈したらしい」
愛宕「無茶苦茶するわねぇ。各国も迎撃に頭を悩ませてるのに、いったいどんな人たちなのかしら?」
提督「部隊の詳細は知らされていないが、なんでも先の戦争を終結させた英雄部隊らしい」
夕立「それって凄い部隊が来るっぽい?」
提督「他国からの軍事支援なんて戦力的には期待していなかったんだがな。どうやらオーシアからの支援は期待できそうだ」
長門「イ級を撃沈したとはいえ、今後、通常兵器での戦闘は辛くなるだろう。迎えを出してやったほうがよいのではないか?」
提督「そのつもりだ。今回のオーシア軍の戦果を受けて、こちらから迎える為の艦隊を編成する予定だ」
提督「艦隊編成については後で説明する。全員、いつでも出れるようにはしておいてくれよ」
―深海棲艦の駆逐艦を撃沈後、日本へ向かい航路を進むラーズグリーズ隊。戦闘も無く順調に航路を進むも、ひと時も休まることのない状況に精神的に疲弊していた―
アンダーセン「隊の皆は先日の戦闘のことで少なからずショックを受けているようですな」
ビーグル「機銃での攻撃は無効、あのシンファクシ級ですらも沈むようなミサイル攻撃を受けても沈まなかったとなれば、流石に堪えるでしょう」
アンダーセン「しかし彼らは撃沈してみせた。数で押せる陸からの防衛と違い、限られた物量になる遠征での出撃で」
アンダーセン「やはり彼らは特別な存在になりえますな。オーシアにとっても、我々にとっても、そして世界にとっても」
ビーグル「彼らの戦果はオーシアとユークトバニアには励みになったでしょう。こちらから出向いた戦力はほぼ壊滅に近い状態にされていた状況の中、彼らは無傷で帰ってきた」
ビーグル「しかし当の本人たちは、そのあまりの戦力差に衝撃を受けた。普通の兵士なら出撃を拒むでしょうな」
バートレット「あいつらはこの程度で折れはしませんよ。なんたってあの戦争を生き抜き、どんなに絶望的な状況でもひっくり返し、戦争を終わらせたやつらです」
アンダーセン「日本にはあと2日ほどで到着する予定だが、クルーたちは疲弊しています。日本に着いたら休ませてやりたいものです」
ビーグル「彼らも…ですな」
バートレット「レーダーに急に反応したかと思えばその場から消える。神出鬼没で気が抜けない。“深海”とはよく言ったもんだ」
アンダーセン「このまま順調に日本に着きたいですな」
ビーグル「まったくです」
ナガセ「順調に行けば、あと2日ほどで日本に到着ね」
グリム「あんな化け物みたいなの相手に、我々はやっていけるんでしょうか?」
ブレイズ「やれるかやれないかじゃない。やりきるんだ」
ナガセ「隊長の言うとおりよグリム。それに全く攻撃が通用しないわけじゃないわ」
スノー「そうだ。確かに機銃が効かなかったり、ミサイルが決定打にならなかったりとはあるが、沈めれないわけではない」
スノー「現に俺たちは沈めてみせた。やれないわけじゃない」
グリム「そうですね。我々が出来ることをやるしかないですね」
グリム「あーあ、早く日本に着かないかなぁ。美味しい物がたくさんあるみたいだし、少しぐらいは休ませてもらえるだろうし」
スノー「グリム!…っまぁわからん話ではないがな」
グリム「スノー大尉も日本には興味があるんですか?」
スノー「まぁ世間一般に聞く程度のことは知っているが、実際に見たことはないしな」
ナガセ「隊長は興味がおありですか?」
ブレイズ「オーシアの日本料理店で日本料理を食べたことはあるが、それ以外にはあまり日本を知らないしな。興味があるといえばあるな」
グリム「ナガセ大尉は日系ですよね。やっぱり日本には馴染みがあるんですか?」
ナガセ「そうね。よく母が日本の家庭料理を作ってくれたりしたわ。けど私は1度も日本には行ったことはないわね」
グリム「日本の家庭料理かぁ、食べてみたいなぁ。ナガセ大尉は作れるんですか?」
ナガセ「グリム、それちょっとセクハラよ。まぁ簡単なものぐらいなら作れるけど、凝ったものは難しいわね」
スノー「日本は味にうるさいらしいからな。料理もさぞ細かいんd」
ビー!ビー!ビー!
ビーグル『進路上の海域で所属不明の戦艦を複数レーダーがとらえた。ラーズグリーズ隊はスクランブル発進してくれ』
スノー「敵のお出ましか!」
ブレイズ「皆行くぞ!」
隊一同「了解!」
ビーグル『聞こえるかね。前回と違い、今回は複数の敵との遭遇になる。場合によっては個々の戦闘になる可能性もある』
ビーグル『恐らく深海棲艦のものだろう。味方の位置情報を常に頭に入れて、離れた位置からでも連携を取れるよう意識して飛んでくれ。皆の健闘を祈る』
ラーズグリーズ隊「了解!」
スノー「ソーズマン、スーパーホーネット、出るぞ!」
グリム「続けてアーチャー、いきます!」
ハヤクシロ!スグツギガクルゾー!
カタパルト圧力上昇…80…90…カタパルト準備完了
ナガセ「隊長は落とさせはしない!エッジ、出ます!」
ブレイズ「やれることを最大限にやりきるだけだ!ブレイズ、ラプター、出る!」
ブレイズ「敵はこの前のやつが3隻と、見たことのない戦艦が1隻か。駆逐艦というよりは巡洋艦だな」
グリム「なんなんだよあれは!まるで地対空設備みたいな形してる。あれも深海棲艦の戦艦だっていうのか!?」
スノー「落ち着けグリム!相手は未知の敵だ。今この状況を受け入れるしかないんだ」
ナガセ「そうよ。相手がどんな敵であっても弱点はあるはず。落ち着いて私たちに出来ることをやるのよ」
グリム「そうですね。取り乱してすみませんでした。もう大丈夫です」
ブレイズ「まずは敵の連携を崩す。散開して各個に攻撃を仕掛けるぞ!」
一同『了解!』
グリム「お前の相手はこっちだ!」ドバババババ
ナガセ「ミサイルはまだ使うわけにはいかない。機銃で!」ドバババババ
ブレイズ「お前たちの好きにはやらせない!指揮系統を叩く!」ドバババババ
駆逐イ級「「「!」」」ドーン ドーン ドーン ドーン ドーン
ナガセ「隊長は!?」
軽巡ホ級「!」ドーーン
ブレイズ「くっ!高射砲か!だが当たらなければ!」ドバババババ
軽巡ホ級「!!」ドーーン ドーーン
ブレイズ「チッ!狙いは正確だな。だが完全にこちらに注意が向いている。連携が乱れだした今のうちの弱点を探りあてる!」ドバババババ
ナガセ「隊長が押されている!?」
スノー「隊長が頭を抑えてくれている内にこいつらをさっさと叩いて合流するぞ!」
ナガセ「了解!あなたたちに隊長はやらせはしない!」ドバババババ
グリム「お前たちの弱点はわかってるんだ!沈めてみせる!」ドバババババ
スノー「お前たちに時間をかけてやれるほどこっちは暇じゃないぞ!沈め!」ドバババババ
駆逐イ級「「「!」」」ドーン ドーン ドーン ドーン
スノー「やはりこいつら単体では連携は取れきれないようだな」
グリム「そのようですね。沈めるなら今がチャンスだ!」
ナガセ「けど各個に撃破するのは難しいわ。タイミングを見て1隻ずつ一斉攻撃を仕掛けるわよ!」
「「了解!」」
ナガセ「今よ!連射から外れた1隻を狙う!」バシューーン
グリム「喰らえー!!」バシューーン
スノー「直撃させる!」バシューーン
駆逐イ級1「!?」ドーン
ドゴーーーーーーーーン!!
ナガセ「くぅッ!」ジュイーン!
グリム「ナガセ大尉!?」
ナガセ「大丈夫よ。主翼にかすっただけ」
スノー「気を抜くな、あと2隻いるぞ!ナガセ大尉、戦闘続行は可能か?」
ナガセ「大丈夫です。戦闘に支障はありません」
スノー「よし、さっさと残りを片付けて隊長に合流するぞ!」
ナガセ「隊長だけが孤立している。急がないと!」
ブレイズ「くっ!」ドバババババ
ブレイズ「クソッ!手応えがない。どこかに弱点があるはずだが」
軽巡ホ級「!」ドーーン ドーーン
ブレイズ「ちぃ!ラプターの機動力によく反応できるやつだ」
ブレイズ(だが隙が無いわけじゃない。反応は出来ているが追いきれているわけじゃないようだな。ならば!)ゴォォォォォ!
軽巡ホ級「!」ドーーン
ブレイズ「かする程度なら!」チュイーン ゴォォォォォォ!
軽巡ホ級「!??」
ブレイズ「最大戦速で背後に回りこんでやる!」グイッ!
ブレイズ「くぅぅぅッ!」グググググッ!!
ブレイズ「がら空きの背中に撃ち込む!」バシュバシューン!
軽巡ホ級「!?」
ドゴーーン!
軽巡ホ級「!!」ドーーン ドーーン ドーーン
ブレイズ「クソッ!手応えはあったがこれでもダメか…ん?」
ブレイズ(なんだあの隙間は?まるでハッチのような…そうか、格納庫か!)
ブレイズ(攻撃機が出てないとすると、偵察機かなにかの格納庫だろう。そこの内部に撃ち込めれば…)
ブレイズ「勝機はあるはずだ!」
ドゴーーーーーーーーン!!
スノー「敵戦艦の撃破を確認」
ナガセ「あと1隻!」
グリム「けどAMRAAM弾は使い切ってしまいました。残弾も少くなってる」
ナガセ「けどやるのよ!隊長は一人で闘ってるのよ。私たちが弱音を吐くわけにはいかないわ」
駆逐イ級3「!」ドーン
グリム「くぅッ!」ジュイン!
ナガセ「グリム!?」
グリム「大丈夫です。かすっただけです」
スノー「気を抜くな!残りのやつの口にミサイルを撃ち込むぞ!」
グリム「了解!沈めー!」バシューン
ナガセ「あなたに構ってる暇はないの!」バシューン
スノー「弱点に撃ち込めれば!」バシューン
駆逐イ級3「!?」
ドゴーーン!
駆逐イ級3「!!」ドーン
スノー「クソッ!やはりパッシブ方式のミサイルでは的をずらされてしまうか」
グリム「このままじゃジリ貧だ。どうにかしないと…」
ナガセ「…私が至近距離からミサイルを撃ち込みます」
スノー「それでは危険すぎる!相手の隙を狙うんだ!」
ナガセ「しかし、このままでは隊長が…!」
グリム「!? ナガセ大尉!」
駆逐イ級3「!」ロックオン
ナガセ「しまった!」
ドゴーーーーーーーーン!!
ナガセ「え?いったいなにが…?」
スノー「敵戦艦の撃破を確認。いったいどこから…」
???「危ないところだったね。オーシアの軍人さん♪」
???「敵を目の前にしておしゃべりするなど油断しすぎだ」
???「凄腕の部隊って聞いてたけど、オーシア軍ってのは腑抜けが多いのか?オレが根性叩きなおしてやるぜ!」
ナガセ「あなたたちは…?」
???「私たちはね…」
―――――
―――
―
ドゴーーン!
軽巡ホ級「!」ドーーン
ブレイズ「くっ!」ブォン!
ブレイズ(燃料も残弾も残りわずかになってきた。このままでは的になるだけだ。勝負に出るしかない)ハァハァ
軽巡ホ級「!!」ドーーン ドーーン ドーーン
ブレイズ「直撃さえ受けなければ!」ジュインジュイーン!
ブレイズ「正面に1発!」バシューーン ゴォォォォォォ!
ドゴーーン!
ブレイズ「背後にもう1発!」グイッ!
ブレイズ「くぅぅぅッ!」グググググッ!!
ブレイズ「撃ち込んでやる!沈めぇ!」バシューーン
軽巡ホ級「!?」
ドゴーーーーーーン!!
軽巡ホ級「」ギギギギ
ブレイズ「敵戦艦の無力化を確認。手強い相手だった」
軽巡ホ級「」ギギギ ドーーン!
ドゴーーーーーーーーン!!
ブレイズ「!? しまった!回避を…!」
ドゴーーーン!!
ブレイズ「作動しない!?システムがやられたか!いや、違う。機体が直撃を受けて歪んだせいか」
ブレイズ「ランディングギアが飛び出しているのか機体が安定しない。くそっ!俺はここまでか…」プープー!Pull up!プープー! Pull u
???「よっと!ナイスキャッチ!いや、ナイスランディングですね。危ないところでした」
???「戦闘機1機だけで軽巡ホ級と渡り合うなんて、なかなかやるわね」
ブレイズ「た、助かった…のか?それにこれは…空母?」
???「はじめまして、オーシアの軍人さん。長旅お疲れ様です。」
ブレイズ「声が…?君たちはいったい…?」
不知火「私は陽炎型2番艦不知火。提督からあなたたちを日本まで護衛するよう命令を受けてここまで来たわ」
ブレイズ「そうか。すまない、助かった。他のみんなは無事なのか?」
赤城「ご心配はいりません。あちらには私達と同じ艦娘の睦月、武蔵、天龍がいます。皆さんご無事のようです」
ブレイズ「そうか、ありがとう」
不知火「まずはあなたたちの母艦に向かうわ。詳しいことはそこで話しましょう」
赤城「この機体はもう飛べる状態じゃないですね。母艦まで運びますからゆっくり休んでいてください」
ブレイズ「なにからなにまですまない。お言葉に甘えさせてもらおう」
天龍「おーい!そっちはどうだー!?」
不知火「敵の撃沈は確認したわ。ただ、最後の砲撃の直撃を受けて戦闘機は大破。今は赤城に乗せているわ」
天龍「おいおい、そっちもボロボロかよ。本当に大丈夫かよ、オーシア軍ってのはよぉ」
武蔵「積もる話はあとだ。まずは彼らの母艦へ行かねばならん」
睦月「そうそう。というわけでオーシアの軍人さん、母艦まで案内お願いします!でも音速で飛んじゃダメですよ♪」
スノー「な、なんというか…」チョットツイテイケナイ
ナガセ「姿というか形というかキャラというか…」ニホンッテコンナコタチガイッパイナノ?
グリム「色々と濃い人たち(?)ですね…」1セキハカンゼンニクウボニナッテルシ
ブレイズ「でも彼女たちが日本を守っているのは確かなようだ」
ナガセ「ええ、それは間違いないようですね」
スノー「どのように守っているのか、我々が見て学ぶべきことがたくさんありそうだ」
グリム「そうですね。平和を願う気持ちはきっと変わらないはず。日本のやり方も学ばなくてはいけないですね」
ブレイズ「各機、彼女たちを先導しつつ帰艦だ。速度は出しすぎるなよ」
隊一同『了解!』
コンコン
アンダーセン「入りたまえ」
ブレイズ「失礼します。日本海軍からの使者4名をお連れしました」
アンダーセン「ご苦労だった、下がりたまえ。…ようこそケストレルⅡへ。はるばる日本からよく来てくれた。私はこの空母の艦長をしているニコラス・A・アンダーセンだ」
アンダーセン「君たちが来てくれなければ、我々は仲間を失っていたかもしれなかった。本当に感謝する」
武蔵「いえ、これも我々の任務。しかし、本当に通常の兵器だけでここまでやっているとは」
バートレット「“通常の兵器だけ”とはどういうことだ?日本はなにか特別な装備を作っているのか?」
不知火「特別な装備というよりは、製造方法が違います。いわゆる“普通”の製造方法ではありません」
バートレット「普通じゃない製造方法?いったいどういう製造方法なんだ?」
武蔵「貴公らからすれば信じられない方法だろう。言葉では説明しきれない。実際に日本で見てもらったほうが早いな」
ビーグル「我々の常識を覆す製造方法か。それより使者は5名と聞いていたがあとの1名は今どちらに?」
天龍「あぁ、赤城ならあんたらのところのボロボロになった戦闘機を下ろしてからこっちに向かってるぜ」
睦月「もうすぐこっちに来ると思いますよ。赤城さんが戦闘機を下ろしてる姿にクルーのみなさんビックリしちゃっただろうな♪」
アンダーセン「どうぞ、入りたまえ」
ナガセ「失礼します。ブレイズ機の搬送作業を行ってもらっていた日本からの使者1名をお連れしました」
赤城「失礼します。私は空母・赤城と申します。この度はオーシアからはるばるお越し頂いてありがとうございます」
アンダーセン「ご苦労だった、ナガセ大尉。下がって休んでくれ。さて赤城…でしたな。私はこの艦の艦長のニコラス・A・アンダーセンだ」
アンダーセン「先の作戦での援護、まことに感謝する。特にブレイズを救っていただいたことには感謝しきれないほどだ」
アンダーセン「君たちのおかげで仲間の命が救われた。本当にありがとう」
赤城「いえ、あなたがたオーシア軍の奮闘があってこそです。普通なら通常の兵器であそこまで渡り合うのは難しいことです」
不知火「加えて、駆逐艦を2隻、軽巡洋艦を1隻沈めるなんて、いち航空小隊で出来る範疇を超えています。普通の部隊であったなら私達は間に合っていなかったでしょう」
ビーグル「彼らは特別でしてな。普通なら諦めるような状況であっても、それを覆すほどの力を持っている」
ビーグル「それこそ、おとぎ話に登場する“ラーズグリーズ”のようにな」
武蔵「“歴史が大きくかわるとき、ラーズグリーズはその姿を現す。はじめには漆黒の悪魔として”」
武蔵「“悪魔はその力をもって大地に死を降り注ぎ、やがて死ぬ。しばしの眠りのあと、ラーズグリーズは英雄として再び現れる”か」
睦月「武蔵さんも“姫君の青い鳩”を知ってるんですね」
武蔵「有名なおとぎ話だからな。知らない者を見つけるほうが難しいだろう」
天龍「その話はオレでも知ってるけどよぉ、あの部隊がそんなに強ぇとは思えねぇぜ。確かに普通の部隊よりは強ぇんだろうけどな」
不知火「けど、普通の兵器で複数の深海棲艦の戦艦を沈めた。並大抵の部隊ではないわ」
天龍「そりゃわかるんだけどなぁ…」
赤城「戦闘機に描かれている部隊章はそういうことだったんですね」
バートレット「あいつらは先の戦争を終わらせたやつらだ。オーシアとユークトバニアにとっては英雄そのものだ」
睦月「ほえぇぇ。提督の言ったとおり凄い部隊なんですね」
赤城「艦長。私達はあなたがたを日本まで護衛するよう通達されて来ました。この先、日本まであなたがたオーシア軍を先導いたします」
アンダーセン「すまない、助かるよ。こちらは君たちのいうところの“通常の兵器”だ。これで少しはクルーも皆も心休まるだろう」
アンダーセン「せめて補給は受けてくれ。盛大な歓迎はできんが、我々に出来る限りのことはしよう」
赤城「お心遣い感謝いたします、艦長」
グリム「しかし日本の技術って凄いんですね。フルスケールの空母かと思ったら女の子に変身するなんて」
スノー「クルーは皆驚いていたな。我々の常識を覆す未知の技術が使われているんだろう。まったく、とんでもない国だ」
ナガセ「けどその技術は平和のために使われているわ。灰色の男達やハミルトンのような野心的な思想は、彼女たちからは全く見受けられなかった」
ブレイズ「末端の兵はそうかもしれんな。日本政府を疑うわけではないが、前の戦争も前線の兵士はなにも知らなかった」
スノー「その辺りの真意は日本に着けばわかるだろう。日本という国をよく見極めねばなるまい」
グリム「けどあの娘たち、綺麗な人たちだったなぁ」
ナガセ「あら、グリムはもうお目当ての女の子を見つけたのかしら?」
グリム「そうじゃないですけど、なんていうか…あんな娘たちが深海棲艦と渡り合っていると言われても、いまいち想像がつかないんですよ」
ブレイズ「その気持ちはわかる。だがしかし、実際に彼女達は深海棲艦の駆逐艦を撃沈してみせた。ダメージが蓄積していたとはいえ、たった1発でだ」
グリム「僕たちが苦戦した駆逐艦をたった1発。それもAMRAAM弾を使った弱点への1点突破ではなく、普通の砲撃による攻撃でですからね」
グリム「あーあ、僕の機体もああならないかなぁ」
スノー「グリムの機体が女の子になったら、グリムは搭乗拒否されそうだな」
グリム「ちょっと、スノー大尉。それどういうことですか?」
ハハハハハハ
赤城「ここがケストレルⅡの食堂ですかぁ。いい匂いがしますね」ジュルリ
睦月「赤城さん、ほどほどにしてくださいね?ここは空母なんですから、陸と違って食料がすぐに補給されるわけじゃないんですよ」
武蔵「赤城にそれを言っても無駄な気がするが…ん?」
グリム「あれ?」
天龍「なんだ、あんたらも飯か。空母の飯なんて期待してなかったけど、なかなか旨そうなもん食ってんじゃねぇか」
スノー「君たちは戦艦じゃないのか?補給を受けてもらうよう艦長から通達があったと思うのだが」
赤城「ええ、ですからその“大事な補給”を受けに来たんですよ。腹が減っては戦は出来ぬといいますから」
ナガセ「え?燃料じゃなくて食料で補給するの?」
不知火「艦娘は基本は食料で補給するわ。化石燃料でも補給は利くけどコストが高いし、なにより美味しくないわ」
ブレイズ「つまり君達は人型の状態であるときは、普通の人間と変わらないということか」
天龍「まぁな。けどオレたちは強ぇし、速く泳げる。普通の人間と一緒にしてもらっちゃあ困るぜ」
赤城「まぁまぁ、それよりお腹が空きました。ラーズグリーズの皆さんのお勧めとかありますか?なんでもいけますよ」ジュルリ
睦月「デザートはありますか?睦月もお腹空きました。デザートもいっぱい食べたいです♪」
ブレイズ(なんだろう。なにかはわからないが無性に嫌な予感がする)
ナガセ「えっと、ここの食堂のお勧めは…」
―――――
―――
―
ナガセ(凄い量…この娘だけは化石燃料の方がコスト安いんじゃあ…)
睦月「赤城さん、ここは空母だから食べすぎちゃダメって言ったじゃないですかぁ」デザートヨウキノヤマ
スノー(いや、あんたもデザートに関しては大概だろ。その小さい体のどこに入るんだよ…)
武蔵「すまないな。特に赤城に関してはいつもこうなんだ。空母の食料の備蓄をそうとう減らしてしまったかもしれん」
グリム「多分大丈夫だと思います。いざとなればアンドロメダから食料の補給を受けれると思いますから」
赤城「じゃあ、まだ食べても大丈夫なんですね?この空母のコックさんは本当に料理がお上手で。いくらでも入りそうです」ゴクリッ!
ブレイズ(厨房は戦場だと聞くことはあるが、本当に戦場の跡のような惨劇になってしまった)
コック一同「オレタチハチュウボウノラーズグリーズニハナレナカッタ…」グッタリ
天龍「武装はともかく、飯は一級品だな。まさか遠征先で旨ぇもん食えるとは思ってなかったぜ」
武蔵「腹も膨れたことだ。そろそろ護衛任務にあたるぞ」
赤城「あ、あと一品だけ…」
不知火「ダメです。このままだと赤城さんはアンドロメダの食料まで食べきってしまいそうですから」ガシッ!
睦月「仕事の時間ですよ、赤城さん♪」ガシッ!
赤城「せめてあと一口だけでも…」
天龍「いつまでも食意地張ってんじゃねぇ!オラァ!さっさと行くぞ」ガシッ!
赤城「そ、そんなぁ~」ズルズル
―――――
―――
―
ブレイズ「…ユークに食料の補給を頼む必要があるかもしれんな」イヤナヨカンハコレカ
スノー「食糧補給のためだけに輸送機に飛んでもらうなんて聞いたことないぞ」ホウコクショニマトメルアンケンカコレ?
グリム「あと1日ぐらいですから、多分足りるとは思うんですが…」ニホンノショクリョウジキュウリツッテナンパーセントダッケ
ナガセ「この量を見ると、ちょっと不安ね」ドコニハイッテルノカシラ
隊一同(本当に大丈夫なのか、これ?)
赤城「もう少し食べたかったです。皆さん酷いですよ」
不知火「あそこは空母です。陸と違って備蓄に限度があります。それに赤城さん、あそこはあくまで日本ではなくオーシアという扱いなんですよ」
武蔵「他国の空母に乗り込んで、食料の備蓄を食い荒らして帰ってきたなんて、提督が聞いたら確実に大目玉喰らうハメになるな」
睦月「だからほどほどにって言ったじゃないですかぁ」
天龍「いや、お前ぇもデザート食いすぎだからな?」
睦月「だって、とっても美味しかったんですよ♪」
天龍「はぁ~、こりゃオーシア軍に悪ぃことしちまったなぁ」
武蔵「その分護衛として働くだけだ。オーシア軍を無傷で日本に迎えることが私達の最大の役目だ。食わせてもらった恩はきっちり返さんとな」
赤城「そうですね。美味しい料理を食べさせてもらった恩はしっかりと返します。偵察機、発艦してください!」ブーーーン
不知火「今回は偵察機を積んでるんですね」
赤城「ええ、護衛任務ですから、索敵範囲を広げて守りに優位に動かねばなりませんから」
武蔵「ケストレルⅡからも偵察機が出るようだな」
睦月「ほぇぇ、やっぱりジェット機は速いですねぇ」
天龍「速さだけがすべてじゃねぇ。強くなくっちゃあな」
不知火「偵察機に強さを求めるのは違う気がするわ」
赤城「…この先40km先の進路上の海域で深海棲艦の戦艦を発見したみたいです」
武蔵「相手は何隻だ?」
赤城「敵は2隻。駆逐ハ級1隻と軽巡ト級1隻のようです」
天龍「先制攻撃だ!オレと出会ったことを後悔させてやるぜ!」
武蔵「前に出すぎるな!あくまで任務は護衛だ。ケストレルⅡが沈められたら元も子もないぞ」
天龍「わかってるっつぅの!けど、やられる前にやるのは鉄則だろ?」
不知火「私はケストレルⅡに連絡します」
武蔵「不知火!」
不知火「わかっています。ケストレルⅡから艦載機は出さないように…ですね?」
武蔵「その通りだ。さて、この武蔵の主砲、伊達ではないぜ」
睦月「睦月、砲雷撃戦始めるよ♪」
赤城「第一次攻撃隊、発艦してください!」
天龍「天龍様の攻撃だ!うっしゃぁっ!」
不知火『アンダーセン艦長、進路上の海域にて深海棲艦の戦艦を発見しました』
アンダーセン「ならば、我々も艦載機を出して援護を…」
不知火『いえ、今回の戦闘ではオーシアの援護はいりません。ラーズグリーズ隊の皆さんと休んでいてください』
アンダーセン「しかし、君たちだけでは…」
不知火『艦長、私達はただの戦艦ではなく艦娘であり、あなたがたを護衛するために来ました。私達の闘い方をご覧になっていてください』
アンダーセン「ふむ、了解した。だがラーズグリーズ隊はいつでも出れるようにしておく。援護が必要な時はいつでも言ってくれたまえ」
不知火『お心遣い、感謝いたします』
バートレット「艦長」
アンダーセン「ふむ、今回は彼女達の厚意に甘えることにしよう。しかし、ラーズグリーズ隊はいつでも出れるようにスタンバイはしてもらおう」
ビーグル「了解です」
―――――
―――
―
ナガセ「私たちは出撃しない?」
グリム「どういうことですか?おやじさん、説明してください」
ビーグル「出撃をしないわけではない。今回は艦娘たちが相手をする。君たちは万が一の時に備えて待機をしてもらう」
スノー「日本のやり方を見る。そういうことですか?」
ビーグル「そういうことだ。しかし万が一のことを考えて君たちに集まってもらった。ブレイズが偵察に出て不在だが、今から作戦内容を伝える」
―作戦内容はこうだ。敵は前方に2隻、これを艦娘たちの砲撃による撃破をしてもらう。しかし、射撃後などは後ろががら空きになる可能性が高くなる―
―どんなものでも攻撃の直後は無防備になってしまう。そこでラーズグリーズ隊は後方の監視をしつつカタパルト上で待機―
―偵察機で出ているブレイズにそのまま後方を監視してもらう。艦娘たちの攻撃時に敵を発見した場合はただちに発艦、迎撃せよ―
―時間が経過すると艦娘たちが砲撃に入る。味方の砲撃に巻き込まれないよう、注意せよ―
グリム「凄いなぁ。本当にみんな戦艦になってる」
スノー「旧大日本帝国海軍のものだが、現代のそれを上回るほどの戦力だ。前方は彼女たちに任せられるだろう」
ナガセ「そうですね。私たちは隊長の報告に注意して彼女達の背中を守らなくてはいけないわ。彼女たちを沈められるわけにはいかない」
グリム「守られてばかりじゃあ、彼女たちに笑われちゃいますからね」
ナガセ「それに隊長も。汎用性が高いラファールMで出ているとはいえ、孤立すれば撃墜されかねないわ」
スノー「そうだな。このまま何事もなく終わるのが一番いいんだが…」
―――海上―――
赤城「駆逐ハ級の撃沈を確認しました。こちらで制空権は確保してます。」
武蔵「軽巡ト級はどうだ?」
睦月「軽巡ト級は小破です!」
天龍「気ぃ抜くんじゃねぇぞ!オーシアの連中が見てんだ。格の違いってやつを見せ付けてやろうぜ!」
不知火「天龍さん、熱くなりすぎてはいけません。護衛任務ということを忘れてはダメよ」
天龍「わぁ~てるっつうの!あとはあいつに一斉射撃だ!」
不知火「赤城さん、増援は?」
赤城「今のところ見当たらないわね。このまま空は抑えてるからト級をお願いします」
天龍「よっしゃぁっ!一気に撃ち込んでやるぜ!」
軽巡ト級「!!」ドーンドーンドーン!
武蔵「!? まずい!」
ドゴーン!バシャァン!ドゴーン!
睦月「武蔵さん!?」
武蔵「くっ!大丈夫だ。この中では私が一番装甲が堅い。ト級!私はここだ!どんどん当ててこい!」
不知火「これ以上、やらせはしないわ!」ロックオン
天龍「てめぇはもう見飽きたんだよ!」ロックオン
睦月「睦月の魚雷は強力ですよ!」魚雷スタンバイ
武蔵「今度はお前が主砲の威力を味わう番だ!」ロックオン
赤城「!? なんですって!?」
武蔵「全艦!撃てぇぇ!」
赤城「待ってください皆さn…」
ドォォォォォン!
―――――
―――
―
ブレイズ(日本近海にも関わらず、あまりにも前線の戦力が薄いのが気がかりだ。それに深海棲艦は神出鬼没だ。どこかでチャンスを伺っている可能性が高いはず)
ブレイズ(集中して敵を見つけねば。どこにいる!)
ブレイズ(ん?なんだあれは?流木?いや、違う!あれは砲身!)
ブレイズ(まずい!艦娘たちは前方の敵に集中している!今狙われたらひとたまりもないぞ)
ブレイズ「ブレイズよりケストレルⅡへ。深海棲艦の戦艦と思われるものを発見した。これより迎撃行動に入る」
軽巡ト級elite「!」スタンバイ
ブレイズ「させるか!ミサイルで射線をずらす!」バシュバシューン
ドゴーーン ドーンドーン!
―――――
―――
―
天龍「よっしゃぁっ!どんなもんdうわっ!」バシャーン
武蔵「後ろからの攻撃だと!?」
赤城「ブレイズ機が後方で敵戦艦を発見しました。ブレイズ機の攻撃により射線がずれてくれたようです」
不知火「ケストレルⅡから艦載機が出ます」
武蔵「くっ!全艦180度回頭!再装てん急げ!」
―――ケストレルⅡ・甲板―――
スノー「ソーズマン、ライトニングⅡ、出るぞ!」
グリム「続けてアーチャー、スーパーホーネット、行きます!」
テキハマッテクレナインダゾ!イソゲ!
カタパルト圧力上昇…80…90…カタパルト準備完了
ナガセ「隊長も艦娘たちもやらせはしない!エッジ、スーパーホーネット、出ます!」
――――――
赤城「ケストレルⅡよりラーズグリーズ隊の3機が発艦しました。こちらの攻撃隊も急いdいや、4機目が発艦準備に入ってます!」
不知火「4機目が発艦!?いったい誰が…」
――――――
バートレット「女を背後から襲うってのは関心できることじゃねぇな。ハートブレイク・ワン、スーパートムキャット、出るぞ!」
――――――
グリム「バートレット大尉!?」
バートレット「俺も実際に見ておかなくちゃいけねぇからな。ま、仕事の時間ってとこだ」
ナガセ「バートレット大尉、くれぐれも無茶はなさらないでください」
バートレット「お前ぇらに心配されるほど、腕は訛っちゃいねぇよ。さっさとブービーに合流するぞ!」
隊一同『了解!』
ブレイズ(被害報告の無線がないということは、射線を逸らせることには成功したみたいだが)
ブレイズ(ダメージらしいダメージが見受けられない。今までのやつより堅いのか?)
ブレイズ(やはり弱点への1点突破しk)フォォォォン
ドゴーーン!
ブレイズ「今のは!?」
バートレット「よぅ!有視界に入る前にあちらさんにプレゼントを送ってやっただが、どうだブービー?敵さんは喜んでもらえてるか?」
ブレイズ「敵艦へのダメージ軽微、ほとんど損傷はありません」
バートレット「おいおい、マジかよ。こっちは虎の子のフェニックスミサイルを送りつけてやったってのによぉ」
軽巡ト級elite「!!」ドーンドーンドーン!
バートレット「っと!喜んでもらうどころか、お怒りのご様子だな」
ナガセ「隊長!ご無事ですか!?」
ブレイズ「あぁ、こっちは大丈夫だ!」
スノー「しかし、フェニックスの直撃を受けたにも関わらず、ほとんど損傷がないとは」
バートレット「確実に弱点を狙ったってわけじゃないが、お前たちの言うとおりやつらはとんでもなく固いみたいだな」
武蔵『聞こえるか?ラーズグリーズ隊。すまないがあと3分ほど時間を稼いでくれ!』
赤城『私の艦載機も向かわせています。それまで堪えてください!』
バートレット「だとよ、ブービー。やつの砲撃があの娘達に当たっちまえば照準がズレてやりなおし、ケストレルⅡに当たりゃそれこそ終わりだ」
バートレット「味方の砲撃までやつを引き付ける。出来るな?」
ブレイズ「了解!各機、散開して敵の注意を俺たちに引き付けるぞ!機銃みたいな生半可な攻撃では恐らく無意味だ。ミサイルの残弾数に注意して攻撃を行え!」
『了解!』
ドゴーン!
軽巡ト級elite「!」ドーンドーン!
ナガセ「戦闘機は1機だけじゃないのよ!」バシューン!
ドゴーーン!
軽巡ト級elite「!」ドーンドーン!
バートレット「普通の戦艦なら沈むぐらいのいいところに当たってるはずなんだがな。ったく、とんでもねぇバケモンだな」
スノー「せめて味方の砲撃までに有効なダメージを与えておきたいが…」
バートレット「突破口は切り開いてなんぼだろ!?」バシューーン!
ドゴーン!
バートレット(今度は確実に狙いにいったんだがな。これでもダメか)
軽巡ト級elite「!!」ドーンドーンドーンドーン!
バートレット「っと!よっぽど俺のプレゼントがお気に召さなかったようだな」
グリム「バートレット大尉!?」
バートレット「心配すんなって!そう簡単に当たりゃしねぇよ」
ナガセ「あと1分。敵艦の再装てんの時間を考えると、あと1回砲撃を耐え切れれば!」
軽巡ト級elite「…」グルリッ
スノー「あの方向は!まずい!撃たせてたまるか!」バシュバシューン!
ナガセ「あなたの相手はそっちじゃないわ!」バシュバシューン!
ドゴーンドゴーーン!
グリム「ダメだ!完全に向こうを狙ってる!」
バートレット「くそったれがっ!」
バシュゥゥゥゥゥン!
軽巡ト級elite「!?」グラグラグラッ!
ブレイズ「この距離なら巡航ミサイルも十分に加速する。お前にあの娘たちは撃たせん!」
ナガセ「隊長!」
ブレイズ「もう1発だ!」バシュゥゥゥゥゥン!
ドゴォォォォン!
軽巡ト級elite「!?」グラグラグラッ!
軽巡ト級elite「!!」クルッ ドーンドーンドーンドーン!
ブレイズ「ヤケになって撃った砲撃なんかに当たるか!」
武蔵『待たせたなラーズグリーズ隊。これより一斉射撃を行う。巻き込まれるなよ』
赤城『ラーズグリーズ隊のみなさんは帰艦してください。砲撃で沈まなくても私の爆撃機でトドメをさします』
天龍『さっきはよくもやりやがったな!お返しにデッケェのぶち込んでやるから覚悟しやがれ!』
不知火『不知火を怒らせてタダで済むと思わないことね…!』
睦月『ちょっと怖かったんだからね!絶対に許さないんだからっ!』
バートレット「よし!全機撤退するぞ!やつにはその場を動けねぇように置き土産はくれてやれ!」
『了解!』バシュバシューーーーーン!
ドゴーーーン!
武蔵「全艦!撃てぇ!」
ドォォォォォォォン!!
―――――
―――
―
ビーグル「ご苦労だった。皆のおかげでこの艦も艦娘たちも大きな損害は出なかった」
ビーグル「とくにブレイズ、君の功績は大きい。よく守ってくれた」
ブレイズ「しかし、敵に対してまともな損傷を与えることは出来ませんでした。巡航ミサイルすらも決定打にならなかった」
バートレット「撃破するだけが戦いじゃねぇのはお前だってわかってるだろ?なんにせよ、お前のお陰で勝てたんだ。胸を張れ!」
グリム「そうですよ、隊長。隊長の攻撃が無ければ味方に大きな損害が出ていたかもしれないんですから」
ナガセ「私達じゃあ止められなかった攻撃を隊長は止めてみせました。今回の勝利は隊長のおかげです」
スノー「にしても、あれだけの攻撃を受けてもビクともしない敵がいるとなると、武装面で今後に不安が残りますね」
バートレット「そうだな。俺も実際に目にして痛感したぜ。日本に着いたらなんらかの対策を考えないとな」
赤城「オーシア軍の皆さんお疲れ様でした。皆さんのお陰で私達は大した損害もなく勝利することができました。本当にありがとうございました」
武蔵「前ばかりに気を取られて後方の警戒を疎かにしてしまった。私達もまだまだだな。」
天龍「お前ぇらを腑抜け部隊って言っちまったことは訂正するぜ。あんたらは確かにいい部隊だぜ」
不知火「咄嗟の判断力や行動力、隊の連携に私達は学ばせてもらいました。これからもよろしくお願いします」
睦月「隊長さんのお陰で傷つかずに済みました!ありがとうございました!」
バートレット「ブービー。お前のお陰で彼女たちが沈まずに済んだんだ。十分な勝利だろ?」
ナガセ「隊長が彼女たちと母艦を守りきったんですよ。堂々と胸を張ってください」
ブレイズ「…そうだな。守りきれたんだな!」
赤城「あと少しで日本に着きます。日本で提督が歓迎の用意をしてくれています」
睦月「鎮守府で歓迎パーティするから楽しみにしててくださいね♪」
ビーグル「ここまで来れば日本の防衛圏内に入っている。ひとまずは安心していいはずだ」
ビーグル「皆疲れただろう。十分に休んでくれ」
一同『了解!』
赤城「じゃあ私は早速食堂に行k」
不知火「赤城さん、私達はまだ任務中です。次の補給は鎮守府に戻ってからです」ガシッ!
赤城「せめて一品ぐらい…」
武蔵「ダメだ!これ以上オーシアに迷惑をかけるわけにはいかん」ガシッ!
睦月「鎮守府に戻ったらパーティもあるんですから、それまで我慢ですよ♪」ガシッ!
赤城「ひ、一口だけ!一口だけで我慢しますからっ!」ズルズル
天龍「うるせぇ!オレらはまだ仕事中だっつってんだろが!さっさと行くぞっ!」ゲシッ!
赤城「そんなぁ~!」ドッポーン!
グリム「ホントに元気な人たちですね」
ナガセ「ええ。あの娘たちがずっと笑っていられるように、私達も頑張らないとね」
スノー「日本の鎮守府か。いったいどんなところだろうな」
ブレイズ「国や場所が違っても、俺たちは俺たちに出来ることをやるだけだ」
バートレット「お前らにしか出来ないことだってあるんだ。さあ、もう戻って休め。日本に着いたら忙しくなりそうだぞ」
『了解!』
グリム「着いたぁ!ここが日本かぁ」
ナガセ「艦娘を扱う施設だから普通とちょっと違うかと想像してたけど立派な軍港ね」
スノー「フルスケールの滑走路まであるな。海軍施設となればどこも一緒だな」
ブレイズ「横須賀は昔から軍港として栄えてきた街らしいな。日本も重要拠点として力を入れているんだろう」
愛宕「オーシア軍の皆さん、お待ちしておりました。はるばるオーシアより日本にお越しいただきありがとうございます」
愛宕「鎮守府一同、心より歓迎致します」
アンダーセン「よろしく頼むよ。君も艦娘なのかね?」
愛宕「はい。私は愛宕。私が皆さんをご案内させていただきますわ」
グリム「綺麗なお姉さんだなぁ。赤城さんたちもそうだったけど、日本って綺麗な人がいっぱいいるのかなぁ」
愛宕「あら、お口が上手なのね。でも、私を褒めても何も出ないわよ♪」
グリム「あ、いえ!そういうつもりで言ったんじゃあ…」
愛宕「じゃあどういうつもりで言ったのかしら?」
グリム「いえ、その…」
愛宕「冗談ですわ。ごめんなさいね。ちょっとからかい甲斐がありそうだったからつい、ね」
ナガセ「……」ジッ
愛宕「どうかしましたか?」
ナガセ「いえ、なんでも…」
ナガセ(なにをどうやったらあんなに大きくなるのかしら…)ハァ
愛宕「では行きましょう。提督がお待ちですわ」
―――――
―――
―
コンコン
提督「どうぞ。入ってくれ」
愛宕「失礼します。オーシア軍の代表の方4名をお連れしました」
提督「ご苦労。愛宕、皆様に飲み物のご用意を」
愛宕「はい♪皆さん、コーヒーでよろしかったでしょうか?」
アンダーセン「ありがとう。皆もそれでいいかね?」
オーシア一同「はい」
愛宕「では、ご用意しますので少々お待ちください」スッ
パタン
提督「どうぞ、おかけになってください」
提督「この度はオーシアよりお越し頂きありがとうございます。私はここ、横須賀鎮守府で司令官を勤めております提督です」
提督「あなたがたの戦いぶりは艦娘たちから聞いております。通常の兵器で深海棲艦と渡り合える凄腕の部隊だと」
アンダーセン「あなたがた日本の軍が優秀なのですよ。我々だけではとても渡り合うどころか、日本に来ることすら困難だったでしょう」
提督「ご謙遜を。航空小隊だけで撃沈したという話も伺っておりますよ」
ビーグル「それはこちらの戦闘機隊の隊長、ブレイズの力です」
提督「ほぅ。あなたが深海棲艦と渡り合い、撃沈したパイロットですか」
ブレイズ「隊の皆がいてくれたからこその戦果です。自分一人の力ではありません」
アンダーセン「彼は環太平洋戦争でラーズグリーズ戦闘機隊を率いて、戦争終結に大きく貢献した実力の持ち主です」
アンダーセン「今の深海棲艦による世界的混乱も、彼等ならなんとかしてくれるかもしれません」
提督「名艦長と言われるアンダーセン艦長が押す、戦争を終結に導いたと言われる英雄部隊の隊長。私個人としては非常に期待していますよ」
バートレット「こいつは、どんな不利な状況であってもそれをひっくり返してきました。提督の期待に応えるやつですよ」
提督「それは実に頼もしい。期待していますよ、隊長さん」
ガチャ
愛宕「失礼します。皆さんにお飲み物とお菓子をお持ちしました」
提督「ご苦労。さあ、どうぞ召し上がってください」
バートレット「ではありがたく頂戴します。ところで、この基地には所謂男手というのが見当たらなかったのですが、整備などはいったいどのように?」
提督「普通の軍事施設なら考えられない話でしょうが、鎮守府では艦娘や妖精などが施設の運営に携わっています」
バートレット「艦娘だけでなく“妖精”ですとな?それはまたメルヘンチックな話ですな」
提督「普通の軍事施設ならありえない話ですが、鎮守府には確かに存在し、従軍しています」
ビーグル「“鎮守府には”ということは、他の基地にも従軍していると?」
提督「その通りです。そして妖精たちが新たな艦娘の建造や兵器の開発しています」
バートレット「製造までとは…」
提督「実際に見ていただいたほうが早いでしょう。愛宕、皆さんをご案内してくれるか?」
愛宕「了解です提督♪さあ、皆さんご案内しますわ」
提督「艦と機体の補給や修繕などはこちらで行えるよう手配しておきますのでご安心ください」
アンダーセン「ありがとう。では我々は失礼します」
提督「ごゆっくり」
ガチャッ
パタン
提督(ラーズグリーズの英雄か。さて、どうなるか…)
―――――
―――
―
愛宕「まずはこちらです。ここでは艤装の開発、および弾薬の補給などを行うんですよ♪」
アンダーセン「ほう。ここで艦娘たちの武装の開発を行うのか」
愛宕「はい♪ここで近代改修を行って、艦娘たちの戦力UPを行ってますのよ」
ビーグル「普通の工場とはかなり違いますな」
???「あ、愛宕さん。こんなところで何してるんですか?」
愛宕「あら、古鷹さん。私は今、オーシアの皆さんをご案内してるんですよ♪」
古鷹「そうなんだ!えっと、はじめまして!重巡古鷹といいます。オーシアの皆さんよろしくお願いします」
アンダーセン「よろしく。きみは重巡洋艦なのかね?」
古鷹「はい、そうです。ここはとてもいいところですよ。ゆっくりしていってください」
アンダーセン「ありがとう。是非そうさせてもらうよ」
妖精「古鷹ー。補給終わったよー」
古鷹「あ、はい。ありがとう妖精さん。それじゃあ私はこれで。愛宕さん、ここのいいところをいっぱい案内してあげてくださいね」
愛宕「はい、もちろんですわ♪」
バートレット「このちっこいのがきみたちの言う妖精なのか?」
愛宕「はい、そうです。他にもいろんなところにいるんですよ」
妖精「んー?愛宕も補給するの?それとも近代改修?」
愛宕「私は案内をしているだけなので、今はいらないわ♪」
妖精「わかったー」
ブレイズ「妖精は1人(?)じゃないのか?他にもということは、建造や修復なども…」
愛宕「もちろんです♪ただ、妖精さんだけじゃ手が回りきらないところは艦娘が手伝ったりしてるのよ」
バートレット「プレス機や組み立てるための機械などが見当たらないが、いったいどのように作っているんだ?」
愛宕「それに関しましては、あとで艦娘が実際に建造されている工廠でお話しますわ♪」
バートレット「それは同じような手法で作られているということか?」
愛宕「そう考えていただいて結構です。さあ次に行きましょう♪」
愛宕「こちらが食堂になってます。皆さんは既にご存知かと思いますが、艦娘の燃料の補給はこちらの食堂で行っています」
ブレイズ「確か化石燃料でも補給は可能だが、コスト面などから食料で補給することが多い…だったか?」
愛宕「その通りです。ここは妖精さんの他に艦娘が常駐していたり、交代で艦娘がお手伝いしたりしてる場所なんですよ」
バートレット「ここはある意味、どこ基地も変わらねぇ」
ビーグル「オーシアやユークと違うのは、妖精がいるということぐらいだろうな」
???「あら、愛宕さんいらっしゃい。そちらはオーシア軍の方々かしら?」
愛宕「そうです。オーシアの皆さんに施設をご案内してるところです」
間宮「そうなの。オーシア軍の皆さん、私はここの食堂で働いている間宮と申します。お食事の際は是非こちらで食べていってください」
アンダーセン「ありがとう。その時は是非そうさせてもらうよ」
???「あら、オーシアの皆さん。皆さんもお食事ですか?」
ブレイズ「君は確か…」
赤城「一航戦の赤城です。ここの食事はとても美味しいですよ。もう箸が止まりません」キラキラ
バートレット「こりゃまた凄ぇ量食ってんな」
ビーグル「そんなに頼んで食べきれるのかね?」
赤城「これぐらいではお腹いっぱいにはなりませんよ。やっと帰ってこれたんですから、今度こそお腹いっぱい食べます!」
アンダーセン「ブレイズ、まさかとは思うが、ケストレルⅡの食料備蓄が急激に減ったのと専属コックが疲労困憊になっていたのは…」
ブレイズ「艦長…」コクリ
アンダーセン「そ、そうか…了解した」
赤城「新作のこれ、美味しいですね~!そうだ!間宮さん、これおかわr」
<<イッコーセンヘ、オカワリハキョカデキナイ>>
赤城「む!?なにやら(私にとって)不穏な無線が聞こえた気がしましたが、気のせいでしょう。この程度で折れる赤城ではありません!」
赤城「マミヤサーン!ツギハコレトコレトコレノオオモリト、コレノトクモリト…」
アンダーセン「どうやら厨房が忙しくなりそうだな。次に案内してもらえるかな?」
愛宕「はい、わかりました。ではご案内しますね♪」
愛宕「こちらが損傷を受けた艦娘を修復する船渠になります」
バートレット「ここもある意味変わらねぇな。艦娘の修繕ってことだから、てっきり病院みたいなのを想像してたんだがな」
愛宕「もちろんそういった修繕方法もありますが、人間が怪我をして完治するまでには日数がかかりますよね?」
愛宕「ですが、船体なら修繕するのに必要なものがあればすぐに直せます。その違いですよ♪」
ブレイズ「つまり艦娘も治療させることも可能だが、それには完治までに時間が掛かるということか」
愛宕「そういうことです♪」
???「ん?オーシア軍の方々か。こんなところでなにをしているんだ?」
愛宕「あ、武蔵さん。修繕中だったんですね」
武蔵「ああ、先の作戦で被弾してしまってな。大したことはないと言ったんだが、提督から直しておけと言われてな」
愛宕「そうだったんですか」
ブレイズ「本当に戦艦の状態でドック入りするのか」
武蔵「ああ、この方が早く済むからな。ところでそちらの戦闘機が1機落とされたが、その戦闘機はどうするつもりだ?」
バートレット「あそこまでやられてしまったら大規模な修復になっちまうからな。新しい機体を要請することになるだろうな」
武蔵「だったらここで直してみるといい。直るかどうかはわからんが、やらないよりはマシだろう」
ビーグル「いいのかね?そんなことを独断で決めて」
武蔵「ちゃんと提督には話は通しておく。許可が下りたらその機体をこちらに持ってくるといい」
ブレイズ「ありがとう。あのラプターはかなり世話になった機体だ。直るなら是非直してほしい」
武蔵「提督に話しておく。提督は優しいお方だ。許可は下りるだろうから期待しておけ」
ブレイズ「ありがとう。よろしく頼む!」
愛宕「では、最後に実際に艦娘を建造する工廠にご案内しますね♪そこでどのように作られているかなどもご説明します」
アンダーセン「よろしく頼むよ」
愛宕「はい、では皆さん行きましょう。武蔵さん、また後ほどお会いしましょう」
愛宕「こちらが艦娘を建造する工廠です」
アンダーセン「ほぅ、これはまた…」
ビーグル「普通の造船所とはえらく違いますな」
ブレイズ「炉のようなもので囲われているが、この中で作られているのか?」
愛宕「そうです。この中に妖精さんたちがいて、私達艦娘を建造しているのよ♪」
バートレット「やっぱりというべきか、造船に必要な機械などが見当たらねぇな。どうやって建造しているんだ?」
愛宕「ではご説明しますね♪まずはこの炉ですが、先ほど申し上げたようにこの中で艦娘が建造されます」
愛宕「この炉に必要な材料を搬入します。燃料、弾薬、鋼材、ボーキサイトです」
愛宕「艦娘の燃料はご存知の通り食料で補給しますが、建造の際には化石燃料が必要になります」
愛宕「投入する材料の量でなにが建造されるかが決まります」
愛宕「そして妖精さんたちが材料を使って艦娘を製造します。艦娘の建造だけは私達艦娘も含めて人が一切手出しできないんです」
バートレット「一切手出しが出来ないということは、搬入を除けば完全に妖精任せになるってことか?」
愛宕「その通りです。先ほど見学された艤装開発工廠でも炉を見られたと思いますが、艤装の製造も同じような工程です」
ブレイズ「妖精と意思の疎通は可能なようだが、建造してほしい艦娘を指示して必要な素材の量を聞いて投入するということか?」
愛宕「少し違いますね。妖精さんは言葉は理解してくれますが、建造は妖精さんが自分達の意思だけで行います」
愛宕「悪く言えば妖精さんの気まぐれでなにが建造されるかが決まるということね」
ビーグル「つまり、こちらから建造してほしい艦を指示することは不可能ということかね?」
愛宕「そうなります。建造完了までの時間でおおよその艦を予測することは出来ますが、それでもなにが作られるか断定することは不可能です」
ブレイズ「オーバーテクノロジーというよりは、ロストテクノロジーで製造されているということか」
愛宕「言い方を変えればそういうことになるわ。人間は元より、建造(つく)られた張本人である私達でもどうやって製造しているのかわからないの」
愛宕「ええ。私達や提督はもちろん、この国の研究者にみなさんが炉の中を解析しようとやってみましたが、最新技術を投入しても中の様子を見ることはできませんでした」
愛宕「提督がおっしゃるには、この炉自体も妖精が建造して妖精自身もこの中から次々と現れているのではないかと言われてます」
アンダーセン「妖精の巣というよりは妖精の世界への扉ということですかな」
愛宕「恐らくその考えで間違っていないと思います」
バートレット「確かにこりゃ技術の輸出は不可能だな。こんなのが世界中にありゃあ、それこそおとぎ話のラーズグリーズどころじゃねぇな」
愛宕「提督も独自に研究をなさっているようですが、それでも不透明な部分が多いそうです」
ブレイズ「ちなみにどのぐらいで艦娘は建造されるんだ?」
愛宕「そうねぇ。だいたい30分ぐらいから半日ぐらいかしら。1日以上かかることはないわね♪」
ブレイズ「そんな短時間で!?仮にも軍艦なのにか?」
愛宕「普通に造船したらありえない時間ね。それがこの炉では可能なのよ♪」
バートレット「妖精の世界の中だからこそ可能ということか。ったく、次から次へとファンタジーな世界のオンパレードだな」
ビーグル「艦娘たちの戦闘を実際に見てきた我々はもう驚くことはないだろうと思っていたが、これは完全な想定外でしたな」
アンダーセン「また見せてもらう機会があるかもしれんが、その時はよろしく頼むよ」
愛宕「はい。では戻りましょう。今夜はオーシアの皆さんの歓迎会を行いますのでそれまでゆっくりとお休みください」
―――――
―――
―
提督「それでは諸君!新たな戦友となるオーシア軍への歓迎の意を表して、乾杯!」
『かんぱーい!』
提督「このパーティの料理は間宮を始めとする鎮守府の面々と、オーシア軍の専属コックと共同で作られたものだ。皆楽しんでくれたまえ」
五十鈴「美味しそうな料理ね」
大和「オーシア料理かしら?あまり見たことのない料理もあるわね。赤城や加賀に食べられてしまう前に食べないとね」
龍驤「あんたも大概やけど、確かにあの2人にかかったら一瞬で無くなってまうわな」
榛名「そうですね。さ、いただきましょう!」
グリム「盛大なパーティだなぁ。でも、女の子がいっぱい…というより女の子しかいない気がする」
スノー「俺達オーシアの面々と、あの提督以外は艦娘と考えるのが妥当だな」
グリム「艦娘ってこんなにいるんだなぁ。さぁ、僕達も食べましょう」
ナガセ「そうね、いただきましょう。和食もいっぱいあるみたいね」
ブレイズ「…ぬぅ」
グリム「どうしたんですか隊長?」
ブレイズ「いや、なんでもない」カチャッ
ナガセ(お箸が上手く使えなくて悩んでたのね)クスッ
―――――
―――
―
???「よぅ!楽しんでるか?」
グリム「確かあなたは…」
天龍「天龍だ。天龍様の名前を忘れるたぁいい度胸だな」
グリム「わ、忘れたわけじゃないですよ!ちょっとビックリしただけで…」
???「天龍ちゃん、あまりおいたしちゃダメよ~?」
天龍「っち、うっせぇなぁ龍田。ただの冗談だよ!」
グリム「えっと、こちらの方は?」
龍田「私は天龍型2番艦の龍田よ。天龍ちゃんがオーシアにご迷惑をかけてないかしら~?」
グリム「そんな迷惑だなんて。むしろ助けてもらったぐらいですから」
龍田「ならいいんだけど~。天龍ちゃんはかまってくれないとすぐ拗ねちゃうから」
天龍「んだとコラァ!龍田テメェわけわかんねぇこと言ってんじゃねぇ!」
龍田「きゃ~♪天龍ちゃんが怒った~♪」タッタッタッ
天龍「待ちやがれ龍田!テメェだけはいっぺんシメてやるっ!」タッタッタッ
マチヤガレテメェ! キャーテンリュウチャンオコッチャイヤーン! イッペンシメテヤルカラソコニナオレ!
グリム「仲がいい…のかな?」ポカーン
スノー「うん、これも中々イケるな」
???「貴公はオーシアの者だな?」
スノー「ん?そうだが、あんたは?それに俺になにか用か?」
那智「私は妙高型重巡2番艦の那智だ。貴公は中々良い酒を選んでいるようでな。酒が判るやつかと気になって声をかけさせてもらった」
スノー「ああ、これか?特別なことがあったときに飲んでいた酒があったんでな。せっかくの機会だから飲ませてもらってるよ」
那智「ほぅ、いい趣味してるじゃないか。貴公の名はなんという?」
スノー「俺はスノー。マーカス・スノー。階級は大尉。ラーズグリーズ戦闘機隊の3番機でコールサインはソーズマンだ」
那智「マーカス・スノー大尉か、良い名だな。これからよろしく頼む。ところで先ほどから洋酒ばかり飲んでいるようだが、どうだ、日本酒に興味はないか?」
スノー「Sakeか。あまり飲んだことはないな。ライスから作るってことぐらいしか知らないぐらいだ」
那智「ふふ、日本酒にも色々種類があるぞ。初心者でも飲みやすいのから、今スノー大尉が食べている物にとても合うやつから様々だ」
那智「私のお勧めもあるぞ?どうだ、飲んでみないか?」
スノー「そりゃあいい。是非ともそのお勧めを飲んでみたいな」
那智「いいだろう、今持ってくる。大尉とは良い酒が飲めそうだ」
???「な~んか2人して良いお酒飲んでるねぇ♪」
???「あなたの料理に合う日本酒でしたらこちらがお勧めですよ」
???「日本酒も良いが、こちらの焼酎も合うぞ。1杯どうだ?」
那智「隼鷹に鳳翔、それに長門か。良い酒に釣られて来たのか?」
隼鷹「あたしは2人が中々いいやつ飲んでるなぁと思ってねぇ」
鳳翔「こちらの方がとてもお上手なお酒の飲まれ方をされているようなので、料理を作った私としては是非ともお勧めしたいと思いまして」
長門「那智が目を付けた酒飲みだ。さぞかし良い酒が一緒に飲めると思ってな」
スノー「あんた達もイケる口か。俺はスノー。マーカス・スノー大尉だ。よかったら俺のお勧めも紹介しよう」
長門「そいつはいいな。よし、皆のお勧めを持ち寄って飲み比べといこうじゃないか」
那智「では私は秘蔵のあれを持ってくるとしよう」
長門「あれか。では私は最近手に入ったやつを持ってこよう」
那智「あの市場に出回りにくいあれか。一度飲んでみたかったんだ」
スノー「じゃあ俺はケストレルⅡの部屋から持ってこよう。この会場に無い良いウィスキーがあるんだ」
鳳翔「では私はおつまみのご用意と、それに合う物を選んでおきますね」
隼鷹「じゃああたしはこの前寄った沖縄で手に入れた特製の泡盛持って行くぜぇ」
スノー「楽しみにさせてもらおう。あとで合流だな」
那智「他に“飲める”艦娘(やつ)を誘っておく。場所は誰かに聞けばすぐにわかる。私達が飲む場所は大抵決まっているからな」
スノー「そうか、わかった。じゃあ後でな」
スノー(今夜は久しぶりにゆっくりと良い酒が飲めそうだ…)
ナガセ「なんか少し懐かしい感じの味ね。醤油の風味かしら」
???「あの…オーシアの軍人さんですよね?」
ナガセ「そうだけど、私に何か用かしら?」
潮「あの…私、潮と申します。提督から女性のパイロットがいらっしゃると聞いたので…」
ナガセ「ええ、私がそうよ。私はケイ・ナガセ。階級は大尉でラーズグリーズ隊の2番機を勤めてるわ」
潮「2番機…凄いです。あの…それでですね…」
???「潮ちゃん、なにやってるの?」
???「女性の戦闘機乗りって珍しいからねぇ♪」
???「この方、戦闘機のパイロットさんなんですか!?」
???「司令官さんが、オーシアには女性のパイロットもいるって言ってたじゃないですか」
ナガセ「えっと、睦月ちゃんと…あなたたちは?」
陽炎「陽炎型のネームシップ、陽炎よ。妹の不知火から話は聞いてるわ」
ナガセ「不知火ちゃんの姉妹艦なのね。あなたたちは?」
吹雪「はじめまして、吹雪です。女性の戦闘機のパイロットって凄いです。かっこよくてちょっと憧れます」
電「電です。私達はみんな駆逐艦なのです!」
睦月「『強くて綺麗な女性』のナガセ大尉にみんな話を聞いてみたいんですよ~♪」
ナガセ「私が強いわけじゃないわ。仲間がいるから戦えるだけよ」
ナガセ「守るべきものがあるから戦う。あなたたちもそうじゃなくて?」
吹雪「もちろんそうです!けど私達は艦娘だけど、ナガセ大尉は人間じゃないですか。その強さはどこからくるのかなぁって」
電「あれってなんですか?」
―ナガセはサンド島でバートレットが撃墜されたときのことを話した―
ナガセ「そのことがきっかけで、二度と隊長機を落とさせないって思ったの」
ナガセ「それから撃墜されて敵地に不時着したり、仲間を失ったり色々あったけど、それを仲間と一緒に乗り越えて戦争を終わらせることが出来たからこそ今の私があるのかもしれないわね」
ナガセ「世界なんて大きなものは見えにくいかもしれないけど、身近な仲間を守りたいって思うだけでも戦えると思うわ」
睦月「ふにゃぁ~、ナガセ大尉ってけっこう壮絶な人生なんですねぇ」
陽炎「撃墜されて敵地に不時着して生き延びてるなんて、どんだけ強い精神してるのよ」
潮「て、敵地に不時着したあとってどうなったんですか?」
ナガセ「あの時はね…」
ナガセ(艦娘といっても子供みたいに純粋なのね。この娘たちが戦わなくていい世界を私達が作っていかないといけないわね)
―――――
―――
―
ブレイズ(オーシアのスシバーで食べたのとはずいぶん違うな。これが本場日本のスシか)
???「和食を楽しんでいるようだな。本場の寿司の味はどうだ?」
ブレイズ「確か武蔵だったか。オーシアで食べたのとはずいぶん違うが、これはこれで中々旨いもんだな」
武蔵「ほぅ、オーシアにも寿司があるのか。オーシアの寿司はどのようなものなんだ?」
ブレイズ「サラダだったり肉だったりしたな。ここまで魚一辺倒ではなかったな」
武蔵「そ、それは寿司と言うのか?」
???「オーシアとは食文化が違うから、ネタが違うのは当たり前じゃないかしら」
???「英国と日本も全然違ったネ。カレーだってそうだったヨ」
???「オーシアの料理も、日本だと本場とは違うものにアレンジされているものね」
???「本場の味を知らなかったなんて、不幸だわ…」
ブレイズ「あんたたちは…?」
大和「私は大和型戦艦の1番艦、大和です。武蔵とは姉妹艦に当たります」
金剛「金剛型戦艦の1番艦の金剛デース!オーシアの料理も中々美味しいネー」
扶桑「扶桑型戦艦1番艦、姉の扶桑です。和食はお口に合っていますでしょうか?」
山城「扶桑型戦艦の妹のほう、山城です。姉さまがオーシアの方に興味を持たれるなんて…不幸だわ」
ブレイズ「皆戦艦なのか。俺はブレイズ。ラーズグリーズ戦闘機隊の1番機を勤めている」
金剛「1番機ってことは隊長機ネ!テートクが言ってた英雄部隊の隊長さんネ」
大和「確か、大統領の直属部隊で存在は非公式とされていたと聞いていますわ」
武蔵「極秘の部隊という意味では、ある意味私と大和と似たようなものだな」
ブレイズ「元を辿ればオーシア軍の1部隊だったんだがな」
扶桑「詳しくは公表されていませんが、元々はオーシアのサンド島の部隊だったという噂もあるようで…」
山城「その後にラーズグリーズ隊になったという噂だけど、サンド島の部隊は撃墜されたって…。そんな不幸な…」
ブレイズ「あまり詳しくは言えんが、味方から撃たれるのはあまりいい気分ではなかったな」
金剛「そうデース!どうせならオーシアの話を聞きたいネー!ブレイズは隊長だからきっとモテモテネー!」
大和「上の立場の人はどのような女性がタイプになるのか参考にしたいですね」
ブレイズ「いや、俺は色恋沙汰とは無縁だったんでな。その辺の話は参考にならないと思うぞ」
金剛「それでもテートク攻略のヒントになるかもデス!教えてクダサーイ!」
ブレイズ「その手の話は俺よりもバートレット大尉の方が経験があるから、そっちに聞いたほうがいいぞ」
扶桑「あの方は提督とは違うタイプな気がしますわ」
山城「金剛はとにかく提督を攻略したいのよ。それに振り回される私達は不幸ね」
大和「私も興味があります。英雄はどのような女性を好まれる傾向にあるのか、お聞かせいただけますか?」
ブレイズ「いや、だから俺は…」
武蔵「ハハハッ!ブレイズも戦場では無類の強さを誇るが、ここでは追撃されっぱなしだな。少し話してやればこいつらも落ち着くだろう」
扶桑「早めにお話になられたほうが良いかと…。でないと他の提督に好意を寄せている娘からロックオンされてしまいますよ」
山城「提督を落とすヒントだー!って、この場がもみくちゃになる…。ホント不幸だわ」
ブレイズ「そんな、AMRAAM弾じゃあるまいし。参ったな…」
―――――
―――
―
アンダーセン「しかし艦娘とはここまでいるものなのですな」
提督「彼女達は大日本帝国軍が運用した船舶そのものです。あの長い戦争で運用されたものですから、その数は膨大なものです」
ビーグル「それが今になって艦娘として生まれ変わり深海棲艦と戦うとは…。悲しい運命なのかもしれませんな」
提督「私は彼女達を救ってあげたいのですよ。人が幾度と無く繰り返してきた戦いというジレンマから」
アンダーセン「そして我々オーシアに支援を求めた。戦争を終わらせた部隊に来てもらえるかと期待してということですかな?」
提督「その通りです。少々根回しはしましたがね」
バートレット「あんたは一体何者なんだ?いち海軍司令官が出来る範囲を超えてるようだが」
提督「蛇の道は蛇…ということですよ」
バートレット「ったく、掴めねぇ男だぜ」
提督「それはあなたもでしょう、バートレット大尉」
アンダーセン「あなたは何故、海軍の司令官をやろうと思ったのですかな?」
提督「純粋に日本の平和を守りたかったから…という答えでは不服ですかな?」
ビーグル「そういうこととしておきましょう。邪な考えをお持ちならオーシアとユークに支援を求める根回しなどしないでしょう」
提督「仮にオーシアとユークトバニアに戦争を仕掛けても、物量の差で負けるのは目に見えてますよ」
提督「それに私は、彼女達を戦いの日々から救いたいだけです」
バートレット「今は余計な詮索はしないでおこう。今はあんたの言うことを信じさせてもらうぜ」
提督「そうしていただけると助かります」
アンダーセン「彼は信用しても良いと思いますな。それは艦娘(彼女)達を見ればわかる」
ビーグル「皆が活き活きとした表情をしている。この鎮守府がよい環境であるなによりの証拠でしょう」
バートレット「上が腐ってるとギスギスするもんだからな。ハミルトンや前副大統領の野郎みたいなのが上じゃあこうはならねぇな」
提督「ご理解いただけてなりよりです。さぁ、我々も楽しみましょう。我が鎮守府の料理自慢が作ってくれたものばかりです。どうぞ召し上がってください」
アンダーセン「では、遠慮なくいただきましょう」
提督「そういえば、そちらの戦闘機をこちらの工廠で修理したいと伺いましたが」
バートレット「あぁ、日本に来る途中でブービーのF-22が戦闘で大破してしまってな。できればそちらの技術を借りたいと思っているところだ」
提督「武蔵から聞いています。明日の朝には工廠に搬入出来るよう手配しておきましょう」
バートレット「ありがたい。一応俺も同行させてもらう。戦闘機なんて軍事機密の塊だからな」
提督「構いませんよ。さぁ料理を頂きましょう。我が鎮守府の大食らいに全て食べられてしまう前に」
アンダーセン「……苦労なさっているようですな」
―――――
―――
―
赤城「こちらの肉料理も美味しいです!おかわりがほしくなります!」モリモリ
加賀「鳳翔さんと間宮さんの料理もいいですが、オーシアの料理も食べ応えがあります。さすがに気分が高揚します」モグモグ
霧島「相変わらず凄い食欲ね。戦艦も食べるほうだけど、あれには負けるわね」
初春「駆逐艦と比べても燃費がかかるのはわかるが、あれはちと異常じゃのぅ」
古鷹「あれ?なんだかあの2人がこっちの料理に目を付けてませんか?」
伊勢「ちょっとあれ、まずいんじゃない?」
木曾「やべぇぞあれ!こっちだけじゃねぇ!全周囲をマルチロックオンしてやがる!早く食っちまわねぇと空にされちまう!」
榛名「これは!大丈夫じゃ!ありません!」
赤城・加賀「」キュピーン!
漣「はにゃ~っ!あの二人がこっちに向かってきた~!」
比叡「急いで自分の分を確保するのよ!取られる前に!」
コチラノリョウリモオイシソウデスネ! コレハキブンガコウヨウシマス
カクカン、イソイデジブンノブンヲカクホシテ!サイユウセンジコウヨ!
デハイタダキマス!
ギャー!
オーシア一同(まるでラーズグリーズの悪魔じゃないか…)
―そんな一時の平和な夜を過ごしたラーズグリーズ隊であった―
―そして翌日―
―――横須賀鎮守府・工廠内―――
―提督からの指示で運び込まれたブレイズの愛機F-22ラプター。その姿は見るも無残なものであった―
夕張「こりゃまた派手にやられたわねぇ」
明石「機体の中央部にダメージがあるわね。フレームが歪んでベイルアウト出来なかったようですね。死ななかったのが不思議なぐらい」
ブレイズ「直せそうか?」
夕張「う~ん、なんとも言えないわね。艦娘の空母艦載機ならともかく、最新鋭のステルス戦闘機となると私は専門外になっちゃうし」
明石「正直なところ妖精さん頼みになりますね。外観的な修理というだけなら私達でも可能ですが、ステルス機能や電子機器などの完全な修復は私達では無理ですね」
バートレット「だろうな。普通ならここまで損傷しちまえば使えるパーツだけ取って残りは破棄されて当たり前だからな」
バートレット「ま、空軍はパイロットが無事ならそれで勝ちだ。機体なんて使い捨てみたいなもんだ」
夕張「まぁともかく妖精さんに聞いてみるしかないわね」
明石「どうこの機体。直せそうかしら?」
妖精「う~ん、触ったことない飛行機だからなんともいえないね。とりあえず開発炉に持ってきてもらえるかな?みんなで見てみるよ」
明石「バートレット大尉、よろしいですか?」
バートレット「よろしいもなにも、直るか直らないか突っ込まねぇとわかんねぇんじゃ仕方ねぇな。その代わり機密情報とかの扱いは監視させてもらうぜ」
バートレット「疑ってるわけじゃねぇが、一応国家機密っつう体裁ってのがあるんでな」
夕張「わかってるわよ。じゃあ運び込むわね」
ブレイズ「すまないがよろしく頼む」
―――――
―――
―
バートレット「なんつうか、予想はしていたけど戦闘機が丸々入っちまうとはな。どうなってやがんだ、この炉っつうのは」
ブレイズ「ここまでくると、もう自分は驚きませんよ」
夕張「正直私も入るとはちょっと思ってなかったけど、だからといって不思議には思わないわね」
明石「まだまだ未知のものですから、私達でも見慣れない光景が起きてもおかしくはないですね」
バートレット「ハイテクの塊がロストテクノロジーで復活…なんて映画みてぇな話だぜまったく」
夕張「それで直ればいいんだけどねぇ」
妖精「見てみたよー」
明石「どうでした?直せそう?」
妖精「残念だけどあれは無理だねー。よくわからない装備がいっぱいで、あたしたちでも直せるやつじゃないよ」
ブレイズ「そうか、無理を言ってすまなかった。ありがとう」
バートレット「ま、仕方ねぇな。無事な部品を回収して残りは解体だな」
明石「妖精さん、ありがとうございました」
妖精「直すのは無理だけど、この機体を解析させてもらえれば新しい兵器が開発できるかもしれないよ」
夕張「それって、新しい魚雷とか機銃ってこと?」
妖精「それもだけど、ミサイルっていうの?あの凄い距離飛ぶやつ。まだちょっとしか見てないけど戦闘機に付ける装備とかを開発出来るようになるかもしれないね」
ブレイズ「バートレット大尉…」
バートレット「確かにそれが炉で開発できれば深海棲艦に対して俺らの戦闘力は格段に向上はするな」
ブレイズ「やってみる価値はあるかと思います」
バートレット「…その解析したデータは逐一俺の目を通すって条件を飲んでもらえるか?いくら友好国とはいえ流石にそのまま他国にデータを横流しっつうのは出来ねぇからな」
バートレット「一歩間違えりゃスパイ容疑でお縄になっちまう。それにもし開発できたとしたらそれでデカイ戦果を上げねぇとダメだ。でねぇと上が納得しねぇ」
バートレット「おまけに確実に開発出来ると決まったわけじゃねぇ。正直ちょっと分が悪い賭けだぜ。それでもやるかブービー?」
ブレイズ「……やりましょう、バートレット大尉。今は深海棲艦に対抗できるなら、どんなにわずかな可能性でも賭けるべきと思います」
バートレット「お前ならそう言うと思ったよ。ビーグルとアンダーセン艦長には俺から話しておく」
バートレット「俺が完全に監視することになっちまうが、ラプターの解析やってくれ」
夕張「はい、こちら開発工廠です。…はい、わかりました」
夕張「バートレット大尉、提督からお電話です」
バートレット「俺にか?…もしもし」
提督『バートレット大尉、先ほど漁業海域で民間の船が深海棲艦に追われていると連絡が入った。近くにいる艦隊を向かわせているが少々時間がかかりそうでね』
提督『そこでラーズグリーズ隊を出撃させて、民間の船から目を逸らさせてほしい。そちらの戦闘機なら艦隊より早く到達できるはずだ。頼まれてもらえるかな?』
バートレット「了解しました。至急向かわせましょう。詳しい座標などはケストレルⅡに」
提督『わかった。よろしく頼む』ガチャン
バートレット「ブービー、出撃だ!民間の船が深海棲艦に襲われているらしい」
ブレイズ「了解!」タッタッタッ…
Pi!Pi!…プルルルルルルッ ガチャッ!
バートレット「ケストレルⅡか!?至急ラーズグリーズ隊を出撃させてくれ。民間船が襲われているらしい。降ろした機体で出来るだけ速度の速いやつに火を入れてくれ!」
バートレット「座標はすぐに送られてくるはずだ。手配を頼む」
クルー『了解しました!至急発進の準備をします』ガチャ!
バートレット「さて、こっちはこっちでやることやるとするか」
―――――
―――
―
ビーグル『民間船に被害は出さぬよう、深海棲艦の目を逸らすんだ。ミサイルの使いどころを間違えるなよ』
ラーズグリーズ隊一同「「「「了解!」」」」
霧島『こちらは管制塔です。滑走路進入OK!ラーズグリーズ隊、離陸を許可します。順次離陸してください』
ブレイズ「了解!ブレイズ、スーパーフランカー、出る!」ゴォォォォォォ
ナガセ「続けてエッジ、イーグルドライバー、出ます!」ゴォォォォォォ
スノー「3番機ソーズマン、MiG-31、出るぞ!」ゴォォォォォォ
グリム「アーチャー、ユーロファイター、行きます!」ゴォォォォォォ
――――――
ブレイズ「グリム、この中ではユーロファイターが一番遅いがついてこれるな?」
グリム『大丈夫です。アフターバーナーを使用します!』
ブレイズ「了解。各機、最大速度で現場海域に急行するぞ!」
『了解!』
―――――
―――
―
スノー「! いたぞ!民間の船だ。それの後ろに軽巡か」
ブレイズ「民間船との距離が近い。スノー大尉と俺は低空から至近距離で機銃掃射を行う!ナガセ大尉とグリムは索敵を!」
『了解!』
―飛行速度の速いブレイズのSu-35とスノーのMiG-31が低空から攻撃を試みる。ホ級を捕捉し機銃のスイッチを入れる―
ブレイズ「喰らえっ!」ドバババババ
スノー「フォックス3!」ドバババババ
軽巡ホ級「!」カン!チュイーン!カンカン!チュイーン!チュイーン!
―戦闘機の機銃など深海棲艦にはダメージを負わせるには火力不足である。しかし…―
ブレイズ「まだだ!まだお前に撃たせるわけには!」ドバババババ
スノー「敵をかく乱する!」ドバババババ
軽巡ホ級「!」チュイーン!チュイーン!カンッ!チュイーン!ビシッ!
軽巡ホ級「」イラッ
―偶然にもわずかなダメージを負わせることに成功した。砂の中にたまたま混ざっていた小石を当てられたような感覚だろう。それに怒りを覚えたホ級は砲身をラーズグリーズ隊に向ける―
スノー「敵艦、速力低下!こっちに照準を合わせてきたぞ!」
ブレイズ「250kg爆弾を投下して発射タイミングを遅らせる!」ヒュゥゥゥゥゥン
ドポーン!ドォォォォン!
軽巡ホ級「!」グラッ!ザパーン!
軽巡ホ級「」イライライラッ!
軽巡ホ級「!」ドーン!
―ホ級は怒りに任せて砲撃を行うが、相手は高機動の音速戦闘機であり、ラーズグリーズ隊である。無論そのような冷静さを欠いた攻撃が当たるはずもない―
スノー「そんなもの当たるか!」
ブレイズ「民間船への被害は!?」
ナガセ「大丈夫。被害はないみたい。徐々に距離が離れていってます」
ブレイズ「艦隊の到着予定時刻は!?」
グリム「あと20分ほどで到着するそうです!」
ブレイズ「ならば引き続き民間船が安全な距離に離れるまで引き付けるぞ!グリムとナガセ大尉は索敵距離をあと50延長!」
『了解!』
―――――
―――
―
―ラーズグリーズ隊が作戦海域に向かっているころ、工廠内ではF-22の解析作業が進められようとしていた―
バートレット「アンダーセン艦長とビーグルには伝えた。多分艦長から極秘裏に大統領には伝えられるだろう。もう後戻り出来ねぇな」
夕張「大統領って…。普通は空軍本部とか参謀本部に伝えられるんじゃないの?」
バートレット「ラーズグリーズ戦闘機隊ってのは元々は非公式の大統領直属部隊だ。それにこんなもんオーシア軍本部に伝わりゃ俺達はスパイ容疑で逮捕。ここだってタダじゃ済まねぇよ」
夕張「今さらっととんでもないことを聞いた気がするけど、このことが空軍や参謀本部に伝わったらどうなるのよ?」
バートレット「そうだな。さっきも言ったが、俺達は全員逮捕。ここの連中はオーシアからなんらかの行動を起こされるな」
明石「物騒な話ですね」
バートレット「軍事機密っつうのはそんなもんだ」
夕張「ちょっと待って!じゃあ私達はとんでもないことに巻き込まれたってこと!?」
バートレット「そういうこった。ま、成功させりゃ問題ねぇってことだ」
バートレット「開発が成功すりゃあ、あとはあいつらが成果を上げてくれるだろうよ」
明石「鎮守府の皆さんや、オーシアの皆さんのためにも絶対に失敗は許されないってことですね」
夕張「お願い妖精さん!絶対に成功させて!私、解体は嫌よ!」
バートレット「もうやるっきゃねぇよ。さ、頼んだぜ!」
妖精「じゃあ始めるね。データは持ってくるけど使っちゃダメなのが出たら破棄するよ」
明石「お願いします。鎮守府の運命がかかってるの。必ず成功させてね」
妖精「頑張ってみるよ~」フリフリ
ガコォォォン!!
―炉の閉まる重たい音と共に妖精は奥へと消えていった。残されたバートレット、夕張、明石は成功を祈るのみであった―
―――――
―――
―
―軽巡ホ級に対し機銃で牽制するブレイズとスノー。民間船と距離が離れ、ミサイルによる攻撃を行おうとしていた―
ブレイズ「ナガセ大尉、民間船との距離はどうだ!?」
ナガセ「まもなく安全圏内に入ります」
ブレイズ「周辺に敵影は!?」
グリム「今のところ増援はありません!」
ブレイズ「あと1回こいつの砲撃を確認したらミサイル攻撃を行う!スノー大尉!」
スノー「了解だ!」
―機銃の掃射を行いホ級を引き付けるブレイズとスノー。大きなダメージは無いもののチクチクと攻撃を与えられ苛立つホ級は冷静な砲撃が出来ないでいた―
ブレイズ「足止めをする!」ドバババババ
スノー「さぁ、撃ってきやがれ!」ドバババババ
―1度でも大きなダメージがあれば冷静であろうホ級だったが、機銃を当てられ続け、自身の砲撃も当たらず、その怒りは頂点に達していた―
軽巡ホ級「!」ドーン!ドーン!ドーン!
ブレイズ「よし!再装てんの間に叩くぞ!低空からミサイルを撃ち込む!」
グリム「! 新たな敵影を捉えました!距離200、方位230!この動きは!?」
ナガセ「この速さ…航空機の可能性が大きいわ。グリム、気をつけて!」
ブレイズ「周辺に空母がいる可能性もある。空母と護衛艦に注意しつつグリムとナガセ大尉は迎撃を!」
ナガセ・グリム『了解!』
スノー「お前に構ってる暇は無くなった!沈め!」バシュゥン!
ブレイズ「こっちもだ!喰らえ!」バシュゥン!
―ホ級に対しミサイルを撃ち込むブレイズとスノー。鎮守府で見せてもらったデータを元に確実に弱点へ撃ち込む―
ドォォォォン!
―弱点部位へ確実に撃ちこんだミサイルでホ級は大破する―
軽巡ホ級「」ギギギギ
スノー「止めだ!沈めッ!」
ナガセ「スノー大尉!避けてください!」
スノー「なに!?っと、砲撃だと!?」
―遠距離からの砲撃。かろうじて避けたものの、攻撃のチャンスを潰されたスノーは再度旋回しなくてはならなくなった―
ブレイズ「どこからの砲撃だ!?」
グリム「方位230からの砲撃です。増援と思われる艦隊からの砲撃と予測されます!」
スノー「やつら、味方諸共落とす気か!?」
ナガセ「続けて砲撃来ます!全機回避運動を!」
軽巡ホ級「」ギギギ
―味方すらをも巻き込まんとする砲撃をかわすラーズグリーズ隊。それはホ級に攻撃の機会を与えることにも繋がる―
軽巡ホ級「」ドーン!
―最後の力を振り絞って行った砲撃が、鈍い金属音を立てスノー機の主翼を掠める―
スノー「ちぃ!たかが掠っただけだ!」
ブレイズ「スノー大尉、こいつは俺が沈める!スノー大尉はみんなと合流を!」
スノー「了解だ!頼んだぞ、ブレイズ!」
ブレイズ「増援の砲撃が止んだ今がチャンスだ!沈めぇ!」バシュゥン!
―大破し、余力が無いホ級にブレイズの攻撃をずらせる余裕などなく、あっけなく爆沈する―
ブレイズ「敵艦の撃沈を確認!そっちはどうだ!?」
ナガセ「こちらエッジ!敵機を確認!…なんなのこいつら!?」
グリム「! うわっ撃ってきた!」
―どの国のどこのメーカーにもないその姿、レシプロ機ともジェット機とも違うその独特の姿から放たれた攻撃は、動揺を誘うには十分すぎるほどであった―
グリム「いったいなんだっていうんだよ、こいつら!」
ナガセ「数も多い!正面からやりあえば落とされるわ!」
―回避に徹するグリムとナガセ。出鼻を挫かれた2機に攻撃のチャンスは無く、引き離さんとすべく逃げ惑う―
ナガセ「くぅ!」
グリム「くそっ!なんとか引き離さないと…」
ナガセ「! グリム!」
グリム「しまった!背後に付かれた!」
スノー「フォックス2!」
ドゴォォォン!
スノー「2人とも落ち着け!速度はこちらの方が上だ。最大速度で回り込め!」
グリム「スノー大尉、助かりました。アーチャー、迎撃行動に入ります!」
ナガセ「エッジ、交戦!」
―スノーのミサイル攻撃により冷静さを取り戻したナガセとグリムが迎撃に移る―
グリム「お返しだ!喰らえっ!」ドバババババ
スノー「航空機なら艦より堅くないはずだ!喰らえっ!」ドバババババ
―戦闘機なら深海棲艦の艦より防御が薄いと予想した3機は機銃による攻撃を試みる。そしてその予想は的中することになる―
ドゴォォォン!ドゴォォォン!ドゴォォォン!
ナガセ「敵機の撃墜を確認!」
グリム「あと2機!」
スノー「近くに空母と護衛艦がいるはずだ!警戒を怠るな!」
ブレイズ「こちらブレイズ。敵空母2隻と護衛艦4隻を確認した。攻撃に入る!」
ナガセ「ブレイズ!」
ブレイズ「恐らくこいつは軽空母だ。これ以上発艦させるものか!」
ブレイズ「飛行甲板は…あそこか!」バシュゥゥン!
―軽母ヌ級の飛行甲板にR-77ミサイルを撃ち込むブレイズ、しかしさほど大きなダメージが見られなかった―
ブレイズ「クソッ!ダメージが入っていないか。だったらせめて発艦する艦載機を!」
―艦載機を発艦前に落とそうと旋回するブレイズ、だがそれを護衛艦が黙って見過ごすわけはなかった―
軽巡ヘ級「」ドーン!ドーン!
駆逐ニ級elite「」ドーン!
駆逐ニ級「」ドーン!
―空母を取り囲む4隻による一斉砲撃。回避のために大きく旋回することを余儀なくされる―
ブレイズ「チィ!邪魔だ!」
―その間にヌ級は新たに艦載機を発艦させる―
ブレイズ「クソッ!せめて1機だけでも落とす!」バシュゥン!
ドゴォォォン!
―1機を撃墜することに成功したが、同時に回りの艦からの砲撃にさらされ、追撃どころではない―
ブレイズ「クソッ!このままでは制空権が奪われる!なんとかしないと…」
???「ブレイズ機、離れて!」
ブレイズ「来たか!?」
比叡「回りの敵艦は私達が沈めます!ラーズグリーズ隊は艦載機を!」
ブレイズ「了解した!」
―軽巡へ級を撃沈され、砲身を艦隊に向ける深海棲艦。しかしブレイズ機に意識が向いていたためにわずかにタイムラグが発生する。そのタイムラグが深海棲艦には命取りとなる―
長門「全主砲、斉射!て――ッ!!」
摩耶「でえぇぇい!」
羽黒「撃ち方、始めて下さーい!」
球磨「なめるなクマー!」
五十鈴「五十鈴には丸見えよ?」
―艦隊による一斉射。わずかな隙をついた砲撃により深海棲艦は次々と沈んでいく―
ブレイズ「これなら!」バシュゥン!
―再度艦載機を発艦させようとしていたヌ級。発艦直前を狙ったブレイズの攻撃により艦載機を大破させ飛行甲板を使用不能にすることに成功した―
ブレイズ「あと1隻!」
グリム「任せてください!フォックス1!」バシュゥゥン!
―既に発艦していた艦載機を迎撃したグリムがヌ級に向かってAMRAAM弾を発射。もう1隻のヌ級の飛行甲板を使用不能にする―
ブレイズ「これで空母は無力化したはずだ!あとは艦隊に任せてこの空域を離脱するぞ!」
長門「ラーズグリーズ隊、よくやってくれた。あとは私達に任せてくれ!」
比叡「いきます!全艦!主砲!斉射!」
ドゴォォォォォン!
―――――
―――
―
ビーグル「皆よくやってくれた。民間船の被害も無く無事に帰航できたとのことだ」
ナガセ「よかった。民間人に被害が出なくてなによりです」
グリム「けど、気味の悪い艦載機でしたね。あんなの見たことないですよ」
ビーグル「あとでこちらでも映像を解析しよう。どうした、ブレイズ?」
ブレイズ「最後に艦載機を撃墜したときに妙な無線が聞こえたんです」
スノー「俺には聞こえなかったぞ?どんな無線だったんだ?」
ブレイズ「ノイズ混じりでハッキリとは聞こえなかったが、『ラーズグリーズ』と言ったような…」
グリム「他国の無線を拾ったんじゃないですか?」
ナガセ「それならレーダーに反応があるはずよ。あそこには私達と深海棲艦以外に反応は無かったわ」
ビーグル「ふむ、ブレイズ機のフライトレコーダーも解析してみよう。ブレイズ、バートレットが帰ったら工廠に来るようにと言っていた。戻ってきて間もないが行ってくれ」
ブレイズ「了解」
―――――
―――
―
バートレット「戻ったかブレイズ」
ブレイズ「解析はどうなりましたか?」
明石「解析作業、まもなく終了します」
夕張「私達の運命が決まる瞬間ね。こんな瞬間に立ち会いたくなかったわ…」
バートレット「そう悲観すんなって。なんとかなるはずだ」
―ガコォンと重たい音と共に炉が開き妖精が出てくる―
妖精「終わったよー」
明石「どうですか?なにかわかりましたか?」
妖精「とりあえず持ってきたから見てくれる?」
―妖精達が持ってきたものは鎮守府の面々には見慣れないものだが、バートレットとブレイズ、つまり空軍の者には見慣れたものだった―
夕張「なにこれ?ミサイルみたいだけど…」
ブレイズ「これは…AMRAAM弾!」
バートレット「それに機関砲にサイドワインダーじゃねぇか!武装は外してたはずだぞ。どうしたんだこいつは?」
妖精「ラプターを解析してたら見つけたデータを元に作った兵器だよ。艦娘に装備出来るかわからなかったけど、とりあえず試作で作ってみたんだよ」
妖精「あとイージスシステムって言うの?ものすごいデータの量だから全部解析しきってないけど、他にも色んな武器が作れそうかな」
妖精「ただ材料がちょっと特殊だから、ラプターの一部を使わせてもらったよ」
バートレット「解析したデータそのものははどうした?」
妖精「今の段階でまとまったデータはこれだよ」
妖精「紙にまとめようとしたら、解析中に見つけたやつでなんか便利っぽかったからそれ1枚にまとめたよ」
バートレット「とりあえずこいつは俺が預かるぜ。やべぇデータなら消してもらわねぇといけねぇからな」
妖精「この武装に必要な材料もその中にまとめてあるから、必要な時に持ってきてねー」
夕張「てことは…」
バートレット「よかったな嬢ちゃん!ひとまず開発は成功ってとこだな」
夕張「ッやったぁぁぁぁぁ!」
明石「とりあえず私達は解体されずに済みそうですね」
バートレット「あとは実際に使ってみて、どれだけの効果があるのかを検証しねぇとな。ブレイズ、ここからはお前たちの役目だ!」
ブレイズ「これで深海棲艦と渡り合える。必ず成果を出してみせます!」
夕張「頼んだわよ!でないと私達が解体されちゃうんだから!」
バートレット「よし、とりあえず他の機体に積むための兵装も開発してもらわないとな。忙しくなるぜ!」
―戦闘機用の兵器の開発にひとまず成功し、喜ぶ一同。この兵器が血路を開くものになるかはブレイズ達『ラーズグリーズ隊』に託されることとなった―
―それはブレイズ自身も理解しており、この戦いを終わらせる決意を改めて固めるのであった―
あと1つだけおまけを投下させていただきます
霧島「ふぅ…」
日向「ラーズグリーズ隊が出撃ってことで、急遽管制官をやれだなんて無茶振りもいいところよねぇ」
妙高「そうですね。呼ばれたと思ったら管制室に行けだなんて」
陸奥「妙高ならいけるんじゃない?同じような名前の船が海上自衛隊にあったじゃない」
妙高「あれは護衛艦“みょうこう”です。私は重巡ですからイージスシステムなんて積んでませんよ」
日向「まさかいつも“海”を見てる私達が“空”を見る日がくるとはね」
霧島「それにしても空軍って名前の他にコールサインがあるのね」
妙高「どちらで呼んでいいのか少し迷いました」
陸奥「じゃあ私達も今度から出撃の時はコールサインでも名乗ってみる?」
日向「止めてちょうだい。紛らわしくてしょうがないわ」
霧島(コールサインか…)
霧島(霧島……金剛型の頭脳……)
霧島(「霧島艦隊、ブレイン、出撃します!」…なんて)
霧島(これじゃ天龍や木曾みたいじゃない…)ブンブン!
日向「? なにしてんの霧島?」
インテリキャラってふとしたタイミングで壊れる瞬間ってあるよね?
え?無いって?ふざけんなって?
どうもすみませんでした。
―先日のF-22を解析し武装の製作に成功したことを受け、他の機体の武装も開発し新たに装備を施した―
―テストの結果は良好であり、深海棲艦に対し有効であると立証された―
―その結果を受け、大規模な作戦行動を行うため艦娘達とラーズグリーズ隊が集められた―
金剛「今度の作戦は大掛かりな作戦みたいネー」
長門「なんでも陸軍との協力作戦らしいな」
鳥海「ラーズグリーズ隊の皆さんはなにか聞いてないんですか?」
スノー「いや、作戦の詳細は聞かさせてないな。奪還作戦とだけは聞いているが」
吹雪「深海棲艦に占拠されたあの基地の奪還でしょうか…」
五十鈴「だとするとかなり大規模な作戦ね。生半可な戦力じゃあの場所の奪還は無理よ」
グリム「そんなに凄い場所なんですか?」
摩耶「ああ、駆逐艦から軽巡に重巡に戦艦、それに空母に潜水艦とまさに深海棲艦オールスターだな。各鎮守府が奪還作戦に挑んだけどみんな返り討ちにあっちまってるよ」
日向「我々の鎮守府もそうだったからね」
卯月「沈まなかったのが奇跡みたいだったっぴょん」
ナガセ「向こうにとっても重要な拠点となってるってことね」
霧島「それに海上の艦隊だけでなく、陸上からの攻撃も確認されています」
ブレイズ「地対艦設備があるということか。SAMがある可能性もあるな」
提督「みんな揃っているな。これより今作戦のブリーフィングに入らせてもらう」
提督「艦隊の基本的な指揮は私が、ラーズグリーズ隊、および最前線の指揮はビーグル氏に執っていただく」
提督「それでは作戦の説明に入らせていただく」
―今作戦は深海棲艦が占拠した島を奪還すべく3段階に分けて行動する―
―第1波は戦艦と重巡を主軸とした部隊による周囲の敵部隊の殲滅―
―第2波は島へ上陸するための道を切り開くために軽巡と空母を主軸とした部隊で中央を開ける―
―第3波は駆逐艦を主軸とした高速部隊による陸軍部隊を上陸させるための護衛と周辺の哨戒を行う―
―ラーズグリーズ隊は周辺の敵部隊の殲滅、および島に張り巡らされた警戒システムを破壊し陸軍の上陸、進軍をサポートする―
―上陸部隊がやられてしまったら作戦は失敗に終わる。敵部隊を殲滅し島を奪還せよ―
提督「この作戦は各鎮守府が今まで挑んできたが、その結果は周知の通り失敗に終わっている」
提督「今回はラーズグリーズ隊、そして新たに工廠で開発され深海棲艦に対し有効手段となった武装を搭載している」
提督「だが油断は禁物だ。気を引き締めて挑んでほしい」
提督「そして誰一人沈むことなく帰ってきてほしい」
提督「皆の武運を祈る。以上だ」
ナガセ「我々の部隊は爆撃機と戦闘機に2部隊に分かれるということでしょうか?」
ビーグル「そのとおりだ。爆撃機部隊は途中の中継基地から爆撃機を発進。戦闘機部隊はケストレルⅡから艦載機で発艦することになる」
ビーグル「爆撃機部隊はブレイズとグリム、戦闘機部隊はナガセ大尉とスノー大尉での編成だ」
ラーズグリーズ隊「了解!」
提督「他に質問がなければブリーフィングを終了する。…無いようだな。艦隊の編成は後で貼り出しておく。以上!解散!」
―――――
―――
―
ビーグル「今回は日本に着いてから初となる大規模任務だ。航空部隊は我々と艦娘の空母たちの艦載機のみとなるが君達なら出来るだろう」
ブレイズ「聞く限りでは今までより遥かに強大な相手みたいだ。気を引き締めて挑まないとな」
ナガセ「私達戦闘機部隊でも出来るだけ地上設備を破壊しないといけないわね」
スノー「爆撃も可能なF-35Cを2機を出すべきだな」
グリム「ファルケンかB2が使えればなぁ」
ブレイズ「無理を言うな。ファルケンは戦後復興のための宇宙開発計画の一時中断と同時に使用を凍結されている。あれだけ強力な兵器である以上、戦後の世論を考えた大統領のお考えだ」
スノー「それにB2はSランクの軍事機密だ。国外に持ち出して運用できるわけがないだろ」
グリム「それはわかってるんですけど…」
ナガセ「グリムの気持ちはわかるわ。けど今ある機体でやれることをやるだけよ」
スノー「それに、いち遠征部隊にこれだけ機体を寄越してくれてるだけでも異例だからな」
ビーグル「それだけ君達はオーシア、ユーク双方から期待されているということだ」
ビーグル「その件だが、ノイズが激しく正確に聞き取ることは出来んかった。だが確かにラーズグリーズと言ったような通信があったのは確かだ」
グリム「なんだったんでしょうか、その通信」
スノー「深海棲艦は沈んだ船の怨念とも言われているからな。もしかしたら過去に俺達が沈めた船のものかもしれんな」
グリム「止めて下さいよスノー大尉。気味悪いですよ」
ナガセ「オカルト染みた話を信じるわけじゃないけど、もしそうなら辻褄は合うわね」
ブレイズ「8492飛行隊…」
スノー「いくらなんでもそれはないだろう。それにベルカ人部隊ならあんなにたやすく撃墜されたりはしないだろう」
ビーグル「その通りだ。映像を見る限り、アグレッサー部隊とは全く違う飛び方だ」
ビーグル「無線の件はあるがあんまり気負いしすぎるなよ、ブレイズ」
ブレイズ「わかっています。今は作戦行動に集中するだけです」
ビーグル「もうじき中継基地に着くころだ。艦隊と陸軍の準備が整い次第、作戦開始になる。ブレイズとグリムは機体を下ろすのを手伝ってやってくれ」
ブレイズ・グリム「了解!」
―――――
―――
―
―中継基地に到着した一行は、陸軍との合流と補給のためにひと時の休息を取っていた―
グリム「これでよしっと!隊長!爆撃機下ろし終えました!」
ブレイズ「了解した。機体のチェックと周囲の警戒も兼ねて一度飛ぶぞ。機体に火を入れておいてくれ」
グリム「了解しました!」
大和「ブレイズさん、もう飛ばれる気ですか?」
ブレイズ「ああ、テストと機体チェックでちょくちょく火は入れているとはいえ、本土から運んだ後だからきちんとチェックはしておかないとな」
隼鷹「ラーズグリーズ隊のみんなはよく働くねぇ」
陸奥「あらあら、隼鷹もこれからバンバン働いてもらうわよ?補給と艤装のチェックは終わったのかしら?」
隼鷹「そんなんあとあと!どうせ詰まってるんだから今やっても仕方ないって」
飛鷹「あっ!隼鷹!またこんなところでサボって!」
隼鷹「ゲッ!見つかった!」
飛鷹「さっさと艤装のチェックと補給を終わらせなさい!行くわよ!」ガシッ
隼鷹「ちょっと引きずらないで!痛い痛い!」ズルズル
ブレイズ「…なかなか大変だな」
響「サボり癖のある艦娘には監視役がいるだけ。別にいつもと変わらないよ」
グリム「隊長!爆撃機の発進準備整いました。いつでも出れます!」
ブレイズ「了解。では俺達は行ってくる」
大和「はい、いってらっしゃい。気をつけてください」
ザッザッザッザ…
由良「詳しくは聞いてないけど、なんでもイボイノシシと言われてる爆撃機を出すらしいわよ」
木曾「そうなのか!?なんかあんまり凄ぇ機体とは思えねぇ呼び方だなぁ」
足柄「てっきりラーズグリーズ隊だからスピリットでも出てくるのかと思ったわ」
吹雪「スピリットってどんな機体なんですか?」
足柄「ざっくり言えばエイの尻尾を切ったみたいな形をしたステルス爆撃機よ。空飛ぶ金塊とも言われてるわ」
陸奥「あれは機密の塊みたいな機体らしいから、いくらなんでも国外に持ち込んでは運用しないでしょ」
黒潮「本物の金でも飛ばしとるんかいな?」
陽炎「そんなわけないでしょ!機体の値段が機体の面積分の金と同等ってことよ」
扶桑「そんなの壊したら大変ね。でも…少し見てみたかった気もするわ」
伊168「スピリットってこれのこと?」スッ
―伊168はスマートフォンに表示させたB2スピリットの画像を見せた―
木曾「スゲェ形してんなぁ。こんなの本当に役立ってんのかよ」
初春「にしても大和型もビックリなぐらいの値段するのぅ」
大和「私達が建造された時は戦時中で物資が優先的に軍に回されていたとはいえ、この機体1機約20億$って凄い費用ね」
高雄「でもこれを持ってこなかったとはいえ、凄い爆撃機で出撃するみたいですから戦闘力は非常に高いでしょうね」
吹雪「ラーズグリーズ隊の皆さんの強さもありますから、制空権は全く心配ありませんね」
摩耶「そうだな。けどラーズグリーズ隊に気後れしないように気合入れて挑まないとな!」
大和「そうね。今度こそあの基地を奪還して深海棲艦の戦線を後退させないとね」
陸奥「さ!もうじき陸軍の方々も来られるわ。手の空いた娘達はお手伝いするわよ」
一同『了解!』
―――――
―――
―
―基地に陸軍部隊が到着し、鎮守府提督、アンダーセン、ビーグル、陸軍司令官による作戦の確認作業が行われていた―
提督「お待ちしておりました。長旅お疲れさまでした」
陸軍司令官「なに、本当に疲れるのはこれからだ。こちらの方々がオーシアからの援軍かね?」
アンダーセン「ニコラス・A・アンダーセンです。空母ケストレルⅡの艦長を務めております」
ビーグル「ピーター・N・ビーグルです。私が今作戦の最前線での陣頭指揮を取ります」
陸軍司令官「ほう、あの歴戦の名艦長であるアンダーセン艦長が来られているのですか。それは頼もしい」
提督「今作戦には必要不可欠な人材です。必ずや作戦成功へと導いてくれるでしょう」
アンダーセン「自分は負け戦ばかりを続けてきた男です。しかし勝つために全力を尽くすまでです」
ビーグル「ところで、陸軍にも艦娘がいらっしゃるのですかな?」
陸軍司令官「ええ、鎮守府の工廠で生まれた元陸軍の強襲揚陸艦である『あきつ丸』が部隊長を務めております」
陸軍司令官「この奪還作戦が本格的に実行されると同時に鎮守府より派遣され、陸軍の戦力向上に大きく貢献してもらいました」
ビーグル「そのあきつ丸というのは鎮守府の艦娘ということですかな?」
提督「その通りです。残念ですが陸軍には純陸軍生まれの艦娘はいないのですよ」
提督「そこで我々海軍生まれの艦娘を陸軍に研修という名目で派遣していたんです」
陸軍司令官「元々陸軍生まれの船が海軍で艦娘として生まれるとは、我々陸軍としては少し複雑ですがな」
陸軍司令官「しかし大きな被害が出ているとなると、なりふり構ってはいられんからな」
陸軍司令官「私はここで指揮を執らせてもらう。部隊の追加派遣も視野に入れているので通信施設が整っている場所の方が何かと都合がいい」
陸軍司令官「提督、君もここで指揮を執るのだろう?」
提督「いえ、残念ながら私は鎮守府に戻らねばならないのでここで指揮は執れません」
陸軍司令官「そうか、残念だ。海軍にも色々あるから仕方あるまい。その代わりにビーグル氏がいるのだろう?」
提督「ええ、その通りです。彼はあのラーズグリーズ戦闘機隊を指揮した人物でもあります。その手腕は確実なものです」
陸軍司令官「そこまで信頼を置いているなら問題ないだろう。よろしく頼みますよ、ビーグルさん」
ビーグル「こちらこそ。それに私だけではなく、彼ら(ラーズグリーズ隊)もいます。必ずや基地を奪還してみせましょう」
陸軍司令官「期待させていただきますよ」
―――――
―――
―
赤城「長旅お疲れさまでした。久しぶりね、あきつ丸」
あきつ丸「久しぶりであります。お元気でありましたか?」
瑞鶴「私達は相変わらずよ。あきつ丸はどう?陸軍じゃ勝手がかなり違うと思うけど」
あきつ丸「鎮守府とは色々と違いますが、なにか懐かしく感じる部分があったであります」
雷「元々陸軍の揚陸艦だから、陸軍が懐かしく感じるところがあったんでしょう」
霧島「この作戦が成功すれば、あきつ丸もまた鎮守府に戻ってこれるわね」
あきつ丸「そうでありますな」
赤城「やっぱり陸軍を離れるのは寂しいかしら?」
あきつ丸「もちろんそれはありますが、やはり艦娘がいない環境というのは少々落ち着かないものがあります」
あきつ丸「ところで今作戦に参加しているオーシア軍の方々はどちらにおられるのでありますか?」
妙高「アンダーセン艦長とビーグルさんは提督と陸軍司令官と一緒に作戦の確認を、ブレイズさんとグリムさんは周辺の警戒と機体のチェックを兼ねて発進したわ」
矢矧「ナガセ大尉とスノー大尉は…あ!いたいた!ナガセさーん!スノー大尉!」ブンブン
ナガセ「どうかしたの?何か用事かしら?」
矢矧「はい。鎮守府より陸軍に派遣されていた強襲揚陸艦あきつ丸を紹介しようと思いまして」
あきつ丸「お初にお目にかかります。自分は陸軍強襲揚陸艦あきつ丸であります!」
スノー「強襲揚陸艦までいるのか。艦娘ってのはバリエーションが豊富だな」
あきつ丸「恐縮であります。オーシア軍のことは将校殿より多少は聞いております。陸軍との共同作戦は初ではないと」
ナガセ「ええ。ユークと戦争していた時に陸軍の上陸作戦の支援を行ったことはあるわ」
スノー「それに今回は鎮守府の工廠で作られた俺達専用の武装もある。スムーズに基地を奪還できるよう支援させてもらう」
あきつ丸「期待しているであります!」
霧島「ミサイルは私達では使えませんからね」
妙高「流石にミサイルの発射機構を積むのは無理がありますからね」
矢矧「隊との連携を取ろうと思ったらイージスシステムも組み込む必要もあるし、完全に重量オーバーね」
瑞鶴「夕張あたりならやりかねないけどね」
赤城「陸軍の皆さんも補給を済ませて休んでください。明日は大規模作戦ですから、万全を持して挑まないといけませんよ」
あきつ丸「そうでありますな。自分も補給が終わったので他の者の補給を手伝ってくるであります!」
瑞鶴「私達も手伝うわ。さ、行きましょ!」
―陸軍との合流、再会、そしてしばしの休息、この日の海と空は嵐の前の静けさの如く静寂を保っていた―
―誰もが明日の作戦成功へと希望を抱き、眠りに付いた―
―そして翌日。戦いの日がやってくる―
―――――
―――
―
―作戦決行当日の朝を迎え、皆それぞれ準備に取り掛かり出発の時を迎えた―
ビーグル「諸君、これより基地奪還作戦を決行する!陸海空全ての戦力を投じて挑む大規模作戦である。今一度気を引き締めて挑んでほしい!」
ビーグル「そして誰一人欠けることなく作戦を成功させよ!仲間を信じ、皆で生きて帰れることを願う!」
陸軍司令官「この作戦が成功すれば日本だけでなくオーシア、ユークトバニアを始め、海外諸国に勇気を与えることになる!」
陸軍司令官「人類は深海棲艦に勝てることを証明するのだ!そして世界に希望があることを示すのだ!」
陸軍司令官「そのためには誰一人として死んではならん!皆の武運を祈る!ゞ」バッ
一同「ゞ」バッ
ビーグル「総員出撃!」
一同『了解!』
―出撃を合図に各々が出航していく。そしてブレイズ、グリムも出撃のために機体へ乗り込む―
ブレイズ「グリム、今回の作戦は敵の哨戒網の突破がキーになる。俺は基地に近づくため低空で飛ぶ。グリムは上空からの支援だ」
グリム「敵艦隊がいるんですよ!?危険です!」
ブレイズ「恐らくレーダー網があるはずだ。それを潜り抜ける必要がある。足の速い機体ではないが、レーダーを破壊する必要があるだろう」
ブレイズ「俺がレーダー施設を破壊する。その間はグリムが単独で陸軍支援を行うことになるが出来るな?」
グリム「了解です。けど隊長、無茶はしないでくださいね」
ブレイズ「わかっている」
管制官『ブレイズ機、アーチャー機、発進時刻です。順次離陸してください』
ブレイズ「了解!ブレイズ、ウォートホッグ、出る!」ゴォォォォォ
グリム「続けてアーチャー、ミラージュD、行きます!」ゴォォォォォ
管制官『高度制限を解除します。ご武運を!』
ブレイズ「よし、速度を上げて艦隊と合流するぞ!」
グリム「了解!」
―――――
―――
―
―艦隊は作戦海域に入り、レーダーが敵影を捉え戦闘に入ろうとしていた―
クルー「艦長!レーダーが敵影を捉えました!数47!」
アンダーセン「正に拠点防衛といったところだな。ビーグル」
ビーグル「了解。総員作戦開始!戦艦、重巡洋艦は前へ!血路を開け!」
『了解!』
―戦艦、重巡による高火力の砲撃を行い深海棲艦の前線を散らしていく。次々と轟沈していく深海棲艦。徐々に中央が開きはじめる―
アンダーセン「金剛、霧島を旗艦とする艦隊は右舷へ展開!榛名、比叡を旗艦とする艦隊は左舷へ!敵の回りこみを防げ!」
ビーグル「陸奥、扶桑は右舷側を!長門、山城は左舷側の敵を分断せよ!」
ビーグル「大和艦隊は正面を!撃破と同時に第2波、前進!」
『了解!』
―この作戦の読みは見事的中し、敵艦隊の足並みが崩れる―
アンダーセン「各艦隊は敵部隊を分断、孤立させ各個に撃破せよ!」
ビーグル「第2波攻撃開始!ラーズグリーズ隊、発艦せよ!」
『了解!』
スノー「さあ行くぜ!ソーズマン、F-35C、出るぞ!」ゴォォォォォ
ナガセ「続けてエッジ、F-35C、出ます!」ゴォォォォォ
―足並みを崩された上に、今までに無い音速戦闘機による攻撃も加わり深海棲艦は混乱に陥り、さらに中央が開ける―
クルー「敵増援を確認!数18!」
アンダーセン「ラーズグリーズ隊と空母組で頭を叩け!軽巡は正面の敵を殲滅しつつ漏れた敵沈めよ!」
ビーグル「まもなく陸軍揚陸艦を含めた上陸部隊が前に出る!絶対に沈めさせるな!」
『了解!』
吹雪「て、敵戦艦ル級を確認!」
ビーグル「戦艦だと!?まずい!回避運動を!」
???「やらせん!」バシュゥン!
―戦艦ル級が砲撃に入ろうとした刹那、轟音が響き戦艦ル級は爆沈する―
ブレイズ「大丈夫か!?」
吹雪「ブレイズさん!」
ビーグル「よくやったブレイズ!アンドロメダが捉えたレーダー網を転送する。そのまま敵のレーダー網を破壊してくれ」
ブレイズ「了解!」
―ブレイズの爆撃により敵のレーダー網が次々と破壊されていく。警戒システムの薄くなった基地にグリム機を始めとした航空機が攻撃を始める―
ビーグル「陸軍部隊の上陸を確認した。航空部隊は上陸部隊の進軍を支援するんだ!」
『了解!』
ビーグル「第1波部隊、第2波部隊は敵戦力を殲滅しつつ増援に備えよ!」
『了解!』
―ビーグルとアンダーセンの作戦の読みが的中した勝利であった―
アンダーセン「ふう、なんとか作戦は成功しましたな」
ビーグル「皆よくやってくれました。これで深海棲艦との戦線は下がりますでしょう」
ビーグル「皆よくやってくれた。だがまだ増援があるかもしれん。警戒を怠るなよ」
『了解!』
陽炎「あきつ丸はこの場に残るの?」
あきつ丸「いえ、自分は一度引き上げます。増員部隊を運ぶ仕事がありますので」
雪風「陸軍も大変だね。けど終わったら今度こそ鎮守府に帰ってきますよね?」
あきつ丸「その予定であります」
―一先ずの作戦終了で安心したのか、それぞれが勝利を喜ぶ会話をしている中、ケストレルⅡに連絡が入る―
クルー「アンドロメダより入電!基地に向かって飛来する熱源あり!数16!」
アンダーセン「敵艦載機か!?」
クルー「いえ、これは…弾道ミサイルです!」
ビーグル「なんだと!?」
―上空より飛来するミサイル群。まるで島を焼きつくさんとする勢いで飛来し爆発する―
吹雪「きゃあぁぁぁ!」
飛鷹「ちょっと!なんなのいったい!?」
スノー「弾道ミサイルだと!?どこからだ!?」
摩耶「くそったれ!撃ち落してやる!」
アンダーセン「被害状況は!?」
クルー「艦隊、および戦闘機部隊に被害はありません!しかし基地の被害は甚大です!」
アンダーセン「発射位置はどうか!?」
クルー「発射位置特定出来ません!第2波来ます!」
ビーグル「総員退避!島から離れろ!後退しつつミサイルを撃ち落せる者は撃ち落せ!」
アンダーセン「発射位置を特定出来ないのか!?」
クルー「発射位置が判明しました!しかしこれは…海上!いや海中からの攻撃です!」
アンダーセン「その周辺に島などは無いのか!?」
クルー「ありません!間違いなく海中からの攻撃です!」
ビーグル「陸軍部隊はどうか!?」
クルー「陸軍部隊も撤退を開始してます!既に小型艇で脱出を始めています!」
ビーグル「周囲を警戒しつつ総員中継基地まで後退!小型艇は途中で拾え!」
クルー「第3波来ます!数1!」
アンダーセン「1発!?まさか…!」
アンダーセン「いかん!総員最大速力で退避するんだ!急げ!」
―アンダーセンを始めとするオーシア軍にはこの1発が何を意味するのかを理解していた。それは現代の兵器における最も最悪な兵器の1つであることはブレイズ達も察していた―
長門「最大速力で退避とは。そんなに危ないやつなのか!?」
ナガセ「危ないなんてものじゃないわ!あれは使ってはいけないものよ!」
ブレイズ「全員後ろを向かずに急いで離れるんだ!恐らく核ミサイルだ!」
山城「核って冗談じゃないわ!不幸にもほどがあるわよ!」
電「いいから逃げるのです!」
クルー「着弾します!」
アンダーセン「総員、対ショック!」
ッカッ!ッドォォォォォォォォォォォォォォォォン…
羽黒「きゃあぁぁぁ!」
金剛「Oh my god!」
不知火「くぅぅぅっ!」
あきつ丸「な、なんという衝撃!」
グリム「くぅ!機体のバランスが!」
―核爆発の衝撃が収まり、基地のあった場所に大きなキノコ雲が現れる。それを目の当たりにした一同は言葉を失う―
あきつ丸「…ハッ!じ、上陸部隊はどうなったでありますか!?」
ビーグル「無事な者もいるが、逃げ遅れた者は恐らく…」
あきつ丸「そんな…」
アンダーセン「…第4波の動きはどうか?」
クルー「第3波以降攻撃の様子ありません」
アンダーセン「そうか…」
ビーグル「…総員、中継基地まで帰投せよ」
『了解』
ブレイズ「クソッ!核で基地ごと俺達を焼き払う気だったのか!」
ナガセ「やりきれないわね。あんなもの使っていいものじゃないわ」
スノー「俺達を倒すためなら手段は選ばないってことかよ!クソッタレが!」
グリム「これじゃまるでベルカのやり方ですよ」
ビーグル「皆思うところはあるだろう。だが今は戻ることが優先だ。戻ったら全員の機体のチェックとメディカルチェックを受けるんだ」
『了解』
―――――
―――
―
―基地防衛の艦隊を撃破し、一度は基地を奪還し勝利を喜んだ一行であったが、多数の弾道ミサイル、そして核ミサイルの攻撃により基地は壊滅―
―周辺の地域も放射能汚染により死の土地へと変えられ、その威力を目の当たりにした一行は戦意を削がれ、意気消沈したまま帰投した―
―そして部隊は戦意喪失状態のまま夜を迎えた―
ナガセ「まさか深海棲艦が核兵器を持っていたとはね」
ブレイズ「しかも躊躇することなく使用してきた。やつらはこうなることも想定していたのか…」
霧島「映像や画像では見たことありますが、実際にこの目で見てしまうと皆の戦意はガタ落ちしてしまいますね」
初春「あれが核兵器というものの威力なのじゃな。まことに恐ろしいものよのぅ」
鳥海「陸軍部隊に犠牲者は出てしまいましたが、私達鎮守府の部隊は死傷者が0で済んだのが不幸中の幸いでした」
由良「あれがもし鎮守府に撃たれていたら…」
摩耶「冗談じゃねぇ!だとしたら早く戻らねぇと残ってる皆が危ねぇ!」
???「一先ずその心配はないだろう」
ブレイズ「おやじさん…」
ビーグル「もし端から人類を滅ぼす気なら、最初から核戦争を仕掛けて世界中を火の海に変えているだろう」
ビーグル「そうなっていないということは、核兵器そのものが極端に少ないか、我々を撃ち滅ぼした後に侵略をするために放射能汚染を防ぎたいか、そのどちらかであろう」
スノー「確かに、いくら深海棲艦とはいえ放射能に対し抗体を持ち合わせているとは思えん。あれは生物に異常を来たす代物だからな」
ビーグル「だからこそ土地はなるべく無傷で手に入れたいのかもしれん。それに我々を一網打尽にしたいだけなら戦闘中にでも核を撃ってきただろう」
大和「つまり現状では鎮守府に核攻撃をされる可能性は低いということですか?」
ビーグル「恐らくな。それに無力化するなら、基地の一つである鎮守府より日本政府の中枢部である国会議事堂を狙うだろう。少なくとも私ならそうする」
加賀「そう考えると、もしこの先に同じような状況になれば核兵器による攻撃もありうるということですね」
ビーグル「その考えが妥当だろう。当面は戦線を下げるのはもちろんだが、核攻撃を行ってきた施設、もしくは兵器を見つけることが最優先になるだろう」
ビーグル「いつ誰が死ぬかもわからない危険な作戦にはなるが、このまま放っておけば更なる悲劇が生まれるのは目に見えている」
ブレイズ「ベルカ人の亡霊…」
ビーグル「もしかしたら本格的にそちらのほうで考えなくてはいけないかもしれんな。自らの土地に核を落とす連中だったからな」
金剛「Belkan War…。7つの町が消し飛んだ悲劇デスネ」
ビーグル「そうだ。あれは起こしてはいけない出来事だ。あんなことは二度とあってはならん!」ギリッ
グリム「おやじさん…」
ビーグル「ともかく皆今夜はもう休むんだ。明日の朝にはここを出発して鎮守府に戻るぞ。あれの後で興奮して眠れないかもしれんが、体だけでも休めるんだ」
一同『了解』
―――――
―――
―
―同じころ、ラーズグリーズ隊を含む大部隊が基地奪還のために出向き、多少手薄になっている鎮守府では一人の男が工廠で作業を行っていた―
???「やはりX線による透過処理でも無理か。かといって爆破するわけにもいかねぇしな」
???「早いこと仕事しちまわねぇとあいつらも戻ってきちまうしな。今度は超音波振動を試すか」
―工廠の扉が僅かに開き、一人の男が作業をしている男に対し声をかける―
提督「そんなことをしてもその中は覗けませんよ。その程度の解析ならとっくに私だけでもやっていますよ」
???「やれやれ。全部お見通しってわけか?それでいて俺を泳がせたのはどういうことだ?」
提督「あなたに一つ運んでほしいものがありましてね。そのお願いをしに来たんですよ」
???「何を運べってんだ?俺を殺すための銃弾か?」
提督「これをある人の元へ届けてくれますかな?」スッ
―そう言って提督は一つのアタッシェケースを男へ渡す―
???「中身はなんだ?爆弾か?」
提督「いいえ、あなた方が欲しがっている物…といえばわかりますかな?」
???「そんな大事な物をスパイの俺に渡してもいいのか?上にバレちまったらあんたもタダでは済まねぇぜ」
提督「私は言ったはずですよ。彼女達を戦争という悲しい運命から救いたいだけだと。そのためならオーシアでもユークトバニアでも利用させてもらいます」
提督「宛てはオーシアのハーリング大統領と、ユークのニカノール首相です。破棄された基地…サンド島の基地で開けていただけるようお願いします」
提督「届けていただけますね?バートレット大尉」
バートレット「つくづく食えねぇ男だな、あんた。わかったよ。確実に大統領と首相の元に届けてやる。サンド島の基地に着くまでは開けなければいいんだな?」
提督「ええ、お願いします。オーシア行きの専用機も用意しています。すぐにでも出発できますよ」
バートレット「やれやれ。そこまでお見通しってわけかよ。んじゃ、お言葉に甘えさせてもらうとするぜ」
提督「そう言っていただけると思ってましたよ。頼みましたよ、バートレット大尉」
バートレット「ああ、任せておけ。あいつらには適当に理由つけておいてくれ。俺がいなくなるのは初めてのことじゃないからな」
提督「わかりました。ではバートレット大尉、またお会いしましょう」
―提督より渡された物。それを届けるためにバートレット大尉はその夜の内にオーシアへと帰国した―
―艦娘を運命から救いたいと願う提督の想い、そして戦争を終わらせたいと願う者達の希望の元をオーシア、ユークトバニアに託し、また新たな戦いの日々が開けることとなる―
―平和を願うハーリング大統領とニカノール首相に託された“希望”が予想とは大きく違った形で現れることは、この時は誰も知る由も無かった―
―――――
―――
―
―一時は基地の奪還に成功し喜びに湧いたのもつかの間、核ミサイルの攻撃により基地を破棄せざる得ない状況に陥った―
―核兵器のその絶対的な威力を目の当たりにした一行は皆意気消沈したまま鎮守府へ帰投した―
提督「まさか深海棲艦が核兵器を所持、使用してくるとは予想していませんでした。これは敵の戦力を見誤った私の責任でもあります」
陸軍司令官「いや、今までの深海棲艦の武装や戦いを見ていれば、核を所有しているなんて誰も想像せんよ」
アンダーセン「このことは各国にマイナスの影響を与える結果になってしまいましたな。核を使用してくるとなると、オーシアとて尻込みしてしまう」
陸軍司令官「日本政府も大慌てで対策を練っている。敵の戦力の上方修正と核施設の破壊を最優先とした任務が下るだろう。戦死した者達の命を無駄にしてはならん」
アンダーセン「オーシア、ユークトバニアでも対策を講じる動きがあります」
陸軍司令官「アークバードがあれば…と言いたいところではあるが、今更過ぎたことでもあるし、戦争に『もしも』はない」
提督「我々の手で地道にやっていくしかないでしょう。彼らの死を無駄にしないためにも」
陸軍司令官「時期に上層部から我々のところにも指令が来るだろう。その時はよろしく頼む」
提督「こちらこそ。あのような兵器を使わせてはなりません。全戦力を投入してでも破壊しましょう」
アンダーセン「オーシア、ユークからも情報を共有できるよう呼びかけましょう。ベルカ戦争の悲劇を起こしてはならん」
陸軍司令官「では、私は一度陸軍本部へ寄った後に基地へ戻る。戦死した者達を弔ってやらんとな」
提督「陸軍本部への足は用意してあります。使ってください」
陸軍司令官「ありがたい。ではまた会おう」
カッカッカッカッカッ…
提督「士気は高い状態とは言えませんね。特に長門と酒匂は酷い状態です。2名は太平洋戦争後に核実験に使われた影響からか、核に対しては特に敏感になってしまっているので」
アンダーセン「前線の者達のメンタルケアが必要ですな。戦意が下がりきった状態では出来ることも出来なくなってしまう」
提督「ええ。ですので我々はしばらくは出撃はせず、他の鎮守府に任せることになるでしょう」
アンダーセン「ベルカ戦争を経験したバートレット大尉は核兵器対策のために帰国したとのことですから、主なメンタルケアは同じくベルカ戦争を経験したビーグルに任せることになるでしょうな」
提督「情けない話ですが、核の悲劇を目の当たりにしたオーシアの方々に任せざるえない状況です。彼女達をよろしくお願いします。私も出来ることは全てするつもりです」
アンダーセン「今は我々に出来ることをしましょう」
提督「そうですね」
―――――
―――
―
―一方別の場所では一部の者が集まり、戦意が落ちてしまった艦娘達の対策を話し合っていた―
武蔵「そうか。やはり長門と酒匂はダメか」
陸奥「ええ。核実験に使われて、その威力を体感してるから無理もないわ」
阿賀野「食事もろくに取ってないわ。このままじゃ弱っていくだけね」
熊野「こういうとき、どうしたらよろしいのでしょうか…」
武蔵「こういうものは時間に任せるしかないな」
陸奥「オーシアの皆さんはどう?」
ナガセ「私達は核を積んだ衛星兵器を破壊したことはあるけど、実際に核兵器の使用を目の当たりにしたことはないからなんとも言えないわね」
ブレイズ「衛星兵器SOLGに核が搭載され、それをオーシアとユークに向けて使用しようとしていたところを未然に防いだことはあるぐらいだからな」
暁「やっぱり核兵器の施設を破壊するしかないわね」
武蔵「それも、私達だけでやってはダメだろう。長門と酒匂がトラウマを乗り越えるためには2人にもやってもらう必要もあるだろう」
阿賀野「今はビーグルさんが見てくれているけど、ずっとケアし続けてくれるわけじゃないし…」
グリム「おやじさんはバートレット大尉と一緒でベルカ戦争の経験者なんです」
ナガセ「ええ、しかも当時はベルカ人兵士として戦争していたと聞いてるわ」
熊野「じゃあバートレット大尉とは敵同士だったってことですの?」
ブレイズ「おやじさんは自国の領土に核を落とす任務を言い渡されたが、それが嫌で逃亡したところをバートレット大尉に拾われたんだ」
武蔵「核攻撃を行う側だった人間だからこそのケア要員というわけか」
グリム「バートレット大尉もいればよかったんですが、大尉は核兵器対策でオーシアに帰国されましたから」
武蔵「酒匂の方は阿賀野型を始め軽巡組、駆逐艦の皆にもケアしてもらおう。長門は私や重巡組、空母の連中にも手伝ってもらう」
陸奥「少しずつでも元気にしていかないとね」
ブレイズ「俺達も手を貸そう。何か出来ることがあれば遠慮なく言ってくれ」
陸奥「ありがとう。その時はお願いするわ」
―――――
―――
―
―日本の横須賀鎮守府提督より託された『もの』を渡すためにバートレット大尉は大統領官邸に訪れていた―
ハーリング「これが日本の防衛を担っているものの元なのかね?」
バートレット「自分も中身はまだ確認しておりませんが、一応検査の結果では危険物でないことは証明されています」
ハーリング「では早速中を見てみようじゃないか」
バートレット「いえ、それが日本の提督からサンド島の基地で開けてくれと。そしてその場にユークのニカノール首相も同席してほしいと言われております」
ハーリング「サンド島でニカノール首相と?なにか特別な意味があるようだな」
バートレット「自分もそのように感じます。日本の鎮守府という場所はかなり特殊な環境でした。もしかしたら一定の条件が必要なのかと」
ハーリング「ふむ、その可能性は高そうだな。わかった。ニカノール首相とは1週間後に首脳会談を行う予定だったが、場所を変更してサンド島で行えるよう調整しよう」
バートレット「了解しました。ではこちらのものはどうされますか?」
ハーリング「私のほうで厳重に保管しておこう。ご苦労だったバートレット大尉。ゆっくり休んでくれたまえ」
バートレット「はっ!では失礼します」
パタンッ
ハーリング「これが人類の希望となるか、はたまた絶望となるか…」
ハーリング「いや、私はこれを希望としなければならないな。大統領としてではなく、平和を願うものの代表として」
―――――
―――
―
―バートレットが持ち帰ったものをハーリング大統領へ渡した1週間後、ハーリング大統領、ニカノール首相、バートレット、ナスターシャが破棄されたサンド島の基地を訪れていた―
ニカノール「ここが彼らラーズグリーズ隊が育った基地ですか」
バートレット「スノー大尉は別ですが、ブレイズとナガセはここで俺の訓練を受けてました」
ナスターシャ「あなたがひよっこの訓練をする立場になっていたとはね。教え子に超えられた気分はどう?」
バートレット「よしてくれ、あいつらは特別だ。特にブービーは俺らがもっていないなにかを持ってるやつだ」
ハーリング「バートレット大尉、これはどういう場所で開けたら良いかな?」
バートレット「横須賀で見た妖精たちの住処はまるでゲートのような工廠でした。ですので戦闘機のメンテナンスを行うハンガーがよろしいかと」
ハーリング「わかった。案内してくれ」
バートレット「了解です」
―――――
―――
―
バートレット「こちらがハンガーです」
ハーリング「破棄されてだいぶ経つからか、埃が少々酷いな」
ニカノール「日本の提督はここで開けろと言っていたのだね?」
バートレット「その通りです。基地内の場所の指定はありませんでしたが、恐らくこの場所がベストかと」
ナスターシャ「あなたの勘って意外と当たるものね」
バートレット「茶化すなよ。大統領、首相、お願いします」
ハーリング「わかった。ニカノール首相、よろしいですかな?」
ニカノール「ええ、開けましょう」
―ハーリング大統領とニカノール首相は同時にアタッシェケースを開けた―
―中に入っていたのはカプセルであり、淡い光を放っていた―
ハーリング「カプセル?光を放っているようだが」
ニカノール「そちらのカプセルを開けてみましょう」
―ハーリング大統領はカプセルに手をかけ、そしてカプセルを開放した―
―中からは光の球体が現れ、ふよふよと漂ったと思ったら地面へと消えた―
ニカノール「こちらのカプセルも開けてみましょうか」
ハーリング「いえ、一度様子を見ましょう。そちらのカプセルは少々光が弱いように感じます」
ニカノール「では、会談の最終日にまたここを訪れましょう。その時にでも」
バートレット「大統領、首相、ご無事ですか!?」
ハーリング「ああ、我々はなんともないよ。それよりこれはどういうことはわかるかね?」
バートレット「いえ、自分にもわかりかねます」
ナスターシャ「あなたの言っていたことから推測すると、もしかしたらこの基地に着生したのかもしれないわね」
バートレット「もしそうだとすると、数日は様子見ってことだな」
ハーリング「バートレット大尉、君はしばらくこの基地の様子を観察してもらえるかな?」
バートレット「了解です」
ニカノール「ナスターシャ、君にもお願いできるかな?」
ナスターシャ「了解しました」
―――――
―――
―
―首脳会談の最中、バートレットとナスターシャは再び基地に訪れていた―
ナスターシャ「本当はにわかに信じがたいことだけど、あなたがその目で見てきたことだから何が起こっても不思議じゃないわね」
バートレット「俺だって日本の海軍があんなことになってたなんて思ってもねぇよ。おとぎ話の世界にでも迷い込んだ気分だったぜ」
ナスターシャ「あら、おとぎ話のような人たちを育てたのはあなたじゃなくて?」
バートレット「あいつらは実在する人間だ。おとぎ話の世界の住人じゃねぇよ」
―他愛も無い会話をしつつハンガーへ到着した2人は、変わり果てたハンガー内部の姿に驚きを隠せないでいた―
バートレット「なんだこりゃ…。まだ1日しか経ってねぇってのに」
ナスターシャ「ねぇ、この炉のようなものはなんなの?」
バートレット「こりゃ横須賀で見た工廠そのものだ。流石に空軍のハンガーと、海軍のドックじゃあ大きさが違うが、見た目はまんまそのものだ」
ナスターシャ「へぇ、これがそうなのね。じゃあこの中に妖精が…」
バートレット「むこうさんが出てくるのを待った方がいい」
ナスターシャ「そうね。こちらからアクセスして何か起こったら取り返しがつかないものね」
バートレット「とりあえず他の場所も見てみよう。基地内部の様子も知りたい」
ナスターシャ「ええ、そうね。あなたが日本で見てきたものと照らし合わせながら見ていきましょう」
―バートレットとナスターシャがハンガーを後にしようとしたとき、どこからか声が聞こえてきた―
???『もう少しだけ待っててね』
―たった一言聞こえてきたかと思えば、それ以降一切聞こえてくることはなかった―
ナスターシャ「今の声は…」
バートレット「さぁな。わからねぇけど、おおかた開店準備中ってところだろ。とりあえず他の施設も見に行くか」
ナスターシャ「ええ、そうしましょう」
―――――
―――
―
―首脳会談を終え、再び大統領、首相と共に基地に訪れた―
バートレット「こちらがハンガー改め、艦娘を建造する工廠となっております」
ナスターシャ「あの後翌日に訪れてみましたら、妖精が出てきて基地内部の改修と施設の建造を行ってました」
バートレット「そして最初の艦娘を建造するとのことでした。そしてそれがまもなく完成になります」
ハーリング「まもなく艦娘建造の第1号が完成か」
ニカノール「これでオーシアもユークトバニアも海の平和を取り戻せるかもしれませんな」
ハーリング「ええ、国民が海への恐怖が無くなり、安心して暮らせる社会への第1歩になることでしょう」
ニカノール「その手段が兵器に頼ることになろうとは。平和主義の我々にとっては皮肉なものです」
ハーリング「しかし、国民を守るのも我々の義務であり使命でもあります。この情報を持ち帰ったバートレット大尉は本当によくやってくれました」
ニカノール「私も彼には救われました。彼と日本にいる彼らのためにも、この技術を平和利用し続けることを約束しましょう」
バートレット「ハーリング大統領、ニカノール首相、艦娘第1号が完成します!」
ニカノール「これが…艦娘ですか」
ハーリング「素敵な女性ですな。大尉、彼女はなんという娘かね?」
バートレット「それが…私が持ち帰ったデータの中に、照合するものがありません。しかし失敗とは違うようです」
ハーリング「日本ではない環境で建造したから、また違う艦娘が出来たということか」
バートレット「きみはいったい…」
???「はじめまして…いえ、お久しぶりです。バートレット大尉、ニカノール首相、そしてハーリング大統領」ニコッ
ニカノール「久しぶり?どういうことだ?私は面識などないはず…」
ハーリング「私や大尉はともかくとして、首相にも面識が…まさか!」
ハーリング「素敵なお嬢さん、よかったら名前を聞かせてもらえるかな?」
???「やっぱりこの姿ではわかりませんよね。私は…」
ケストレル「オーシア国防海軍第3艦隊所属、ヒューバート級航空母艦の7番艦[ケストレル]です!」
―ラーズグリーズ隊とビーグルの協力もあり、徐々に戦意を取り戻していく艦娘達。しかし今後の戦闘に不安を抱えているのは事実であり、その不安を払拭するために新たな試みを行おうとしていた―
ブレイズ「演習?俺達とか?」
愛宕「ええ。提督からの提案で、今までよりもさらに速い反応や砲の精度を上げるために、音速戦闘機を使って訓練を行いたいの」
スノー「確かに艦娘の艦載機と、俺達の戦闘機じゃ速度は全然違うからな」
霧島「巡行ミサイルや弾道ミサイルの速度を考えれば、それに近い速度の出る音速戦闘機を相手にするのが一番と考えたのよ」
グリム「じゃあ僕達は撃たずに飛べばいいんですか?」
神通「いえ、最初はそれでもいいんですが、慣れてきたら演習用の武装を使って攻撃を行ってほしいんです」
ナガセ「機銃はペイント弾を使えばいいとしても、巡行ミサイルや誘導ミサイルなんかだと爆発しなくても速度的に当たるだけでも無事じゃ済まないわよ」
霧島「ミサイルに関しては、オーシアから持ち込んだ当初の兵装のミサイルを使用してもらえれば私達は撃沈することはありません」
愛宕「流石に時速1000kmとかだと当たったら痛いけど、それは演習だから仕方ないわ」
ナガセ「そうね。今後巡行ミサイルが飛んできた時に、それに艦娘が対応出来るようになるのは大きいと思うわ」
グリム「やりましょう、隊長!」
ブレイズ「…そうだな。前回のこともある。その話は引き受けよう。ただ上には話を通しておく。流石に独断でやるわけにはいかないからな」
神通「あ、ありがとうござます!」
霧島「詳しい演習の項目は後でお伝えしますね」
愛宕「じゃあ私は提督にお伝えしてきますね」
ブレイズ「じゃあ俺はおやじさんに話してくる。戦闘機と武装の使用許可も貰う必要があるからな」
スノー「俺も行こう。速さに対応するための訓練ならそれ相応の機体を見繕う必要があるだろうしな」
霧島「では後ほど作戦会議室でお会いしましょう」
―――――
―――
―
―ブリーフィングルームには高速下での戦闘に順応するための演習を行う者達が集まり、演習の項目の説明を受けようとしていた―
提督「皆に資料は行き渡ったようだな。では今回の演習の説明をさせてもらう。今回の演習はラーズグリーズ隊の所有する戦闘機を使用した音速下での訓練になる」
提督「音速に近い速度で動く物体に対し体を慣らし、かつ冷静な対応を出来るようにするのが今訓練の目的だ」
―今回の演習では1艦隊に対し1機の戦闘機を使用する。戦闘機は音速に近い速度、または音速を超える速度で飛行する―
―また、一定時間が経過するとラーズグリーズ隊は攻撃を行う。取り付けたセンサーの判定により直撃を受けたとした場合は戦線を離脱させられる―
―ラーズグリーズ隊を制限時間内に撃墜判定にすれば艦娘の勝利。時間内に撃墜判定に出来なかった、もしくは全艦直撃判定となればラーズグリーズ隊の勝利となる―
ビーグル「戦闘機のミサイルは信管を抜いてあるから爆発はしない。機銃の弾薬もペイント弾に変更している」
ビーグル「ただし信管を抜いてあるとはいえ、ミサイルはかなりの速度が出る。当たってしまった者は必ずドックでメンテナンスを受けるように」
ビーグル「ラーズグリーズ隊の皆もだ。演習用の砲弾を使用するとはいえ、戦闘機は軍艦に比べれば遥かに装甲が薄い。墜落すると判断した場合は即ベイルアウトするように」
提督「各員、くれぐれも無茶な行動はしないように。演習開始は1時間後だ。質問があれば個々に受け付ける。では解散!」
――――――
高雄「でも、相手はあのラーズグリーズ隊よ。慢心してると即撃沈判定になるわよ」
摩耶「わかってるっつうの!そこまで甘く見てねぇよ。でも相手がナガセ大尉だろうがブレイズだろうが容赦しねぇぜ!」
愛宕「あら、大きなバルジが有効活用出来ればいいわねぇ」ムニッ
摩耶「わぁぁっ!どこ触ってやがる!」
島風「相手が速い訓練っていうのもちょっとわくわくするなぁ!」
雪風「島風ちゃん、速いってワードを聞くとテンション違うね」
島風「やっぱり速度は大事だよ。今回は相手が数倍も速いってことだけど、島風も負けてられないよ!」
黒潮「音速戦闘機と比べるっちゅうのもどうかと思うんやけど…」
飛鷹「隼鷹!あんたまた飲む気なの!?」
隼鷹「まさか。ラーズグリーズ隊が相手となったら集中してないと即終了しちまうよ」
赤城「間近で戦闘を見てるとはいえ、慢心してると風穴開けられてしまうわね」
飛鷹「そうですね。とりあえず飲ん兵衛空母はアルコールチェックを受けてからにしてもらいましょう」
隼鷹・千歳「だからちゃんと素面だってば!」
阿賀野「音速機とミサイルを相手に戦闘ね。核ミサイルでの攻撃を前程とした訓練ってところね」
矢矧「酒匂、大丈夫?」
酒匂「ぴゃあ、まだちょっと怖いけどやらないと。ラーズグリーズ隊の皆が協力してくれるんだから」
矢矧「無理なら下がっててもいいわよ。この1日だけで訓練は終了じゃないんだから」
酒匂「大丈夫、やってみる。皆にも迷惑かけてるから取り返さないと!」
阿賀野「無理はしないでね。ダメだと思ったらすぐに下がってね」
酒匂「ぴゃあ、わかった!」
長門「すまない、今日は参加出来そうな気分じゃない。まだ少し恐怖が残ってしまっている」
陸奥「いいのよ、無理はしないで。今日は私達の演習を見ていてね」
扶桑「長門、なにも戦うことだけが演習じゃないわ。見ていることも重要な演習よ」
武蔵「その通りだ。演習を見てどう感じたか、お前ならどうしたか、それを見極めるのも演習の一つだ」
扶桑「私達の演習がどう見えたか、それをあとで教えてちょうだい。あなたならそれが出来るわ」
長門「すまない。お前達の演習、しっかりと見させてもらう」
ブレイズ「今回の演習は1対多になる。いつもなら連携を取り制空、制圧をするが今回は個人の技量が試される」
ブレイズ「艦娘の練度を上げる訓練という名目ではあるが、俺達の個人の技量を上げる訓練でもある。負けてやるわけにはいかないな」
ナガセ「そうね。編隊と離れて孤立した時にどれだけ相手を出来るかが試される訓練になるわね」
スノー「戦闘機ってのは基本的に編隊を組んで出撃するものだからな。数的不利の場面は過去にいくつもあるが、1機単体でやるってなると飛び方も変わるな」
グリム「こんな訓練はやったことないですけど、初心に戻ってしっかりとやらないと」
スノー「グリム、開幕撃墜とかにはならないようにな。しっかりとやれよ」
グリム「わかってますよ。僕だってラーズグリーズ隊なんですから」
ブレイズ「よし、機体の準備をして出撃だ。艦娘が相手であろうとも全力で挑むぞ!」
―――――
―――
―
提督「よし、ではこれより演習に入る。離陸した戦闘機がターンし、加速に入ったら開始だ。健闘を祈る」
ビーグル「孤立した状態での戦闘だ。ラーズグリーズ隊の諸君もくれぐれも無茶はせんようにな」
一同『了解!』
スノー「1番手は俺だ。遠慮なく行かせてもらうぜ!ソーズマン、バイパーゼロ、出るぞ!」ゴォォォォォ
陸奥「最初のお相手はスノー大尉ね」
千歳「飲み仲間だけど手加減はしないわよ!」
高雄「手加減なんて言ってる余裕はないわ。ラーズグリーズ隊の一番の熟練パイロットなんですから」
五十鈴「熟練のパイロットでもどこかに隙はあるはずよ。そこを突くだけよ」
夕立「まず速さに慣れることが重要っぽい」
時雨「その前にミサイルに当たっちゃったら意味無いけどね」
―スノーのF-2が距離を取り、旋回、加速を行ったのをレーダーで確認した提督サイドから開始の合図が送られる―
伊168「こちら本部。艦隊、攻撃開始です!」
『了解!』
時雨「時雨も続くよ!」ダダダダダ!
スノー「まずは駆逐艦の機銃で牽制か。だが!」
―駆逐艦による機銃掃射。スノーは機体を軽く動かしこれをかわす―
夕立「避けられたっぽい!?」
千歳「相手は1機といえどラーズグリーズ隊よ。これぐらいで当たったら苦労はしないわよ。艦載機のみなさん、行ってちょうだい!」
高雄「アシストするわ。機銃掃射!」ダダダダダ!
スノー「艦載機が飛んでくるか。だが、ドッグファイトの避け方ってのもあるんだぜ!」
―スノーは最小限の動きで機銃をかわしながら加速を行いこれをかわす―
陸奥「相手はあのスノー大尉よ。それぐらいあったって不思議じゃないわ。五十鈴、どう?捉えれて?」
五十鈴「バッチリよ!攻撃開始!」ダダダダダ!
陸奥「戦艦の対空能力を甘く見ちゃダメよ!」ダダダダダ!
スノー「距離が近いが、こういう避け方もある!」
―スノーは急降下で機銃をかわす。水面近くまで下降し艦隊に近づく―
陸奥「ッ!でも水面に近いなら。全艦、機銃水平掃射よ!」
スノー「艦隊の隙間を一気に抜ける!」ゴォォ!
―スノーはアフターバーナーを点火し加速。艦隊の隙間を猛スピードで通過する―
高雄「キャアアア!」
夕立「凄い風圧!衝撃波っぽい!?」
五十鈴「ソニックブームの余波で照準までずらされたわ!さすがね」
陸奥「味方の隙間を飛ぶことで機銃の発射まで止めるなんてやるわね」
ビーグル『スノー大尉、攻撃開始の時間だ。やりすぎるなよ』
スノー「わかってますよ。それじゃいくとするか。まずはこいつだ!対艦ミサイル発射!」バシュゥゥン!
陸奥「ミサイル来るわよ!撃ち落して!」ダダダダダ!
時雨「は、速い!当たらないよ!」ダダダダダ!
ガゴォォォォン!
―スノーの放った対艦ミサイルは機銃の弾丸を掠めるものの、撃ち落されず命中する。命中した先は…―
千歳「いったたたたぁ。うぅ、当たってしまったわ」
伊58『千歳さん、撃沈判定でち。戦線を離脱してください』
千歳「1発で撃沈判定かぁ。みんな後は頑張ってね」
五十鈴「千歳さんがやられたわ!」
高雄「やっぱり空母から狙ってきたわね」
スノー「ぼさっとしてると!」ドガガガガガ!
夕立「機銃っぽい!?」
スノー「沈められるぞ!対空ミサイルでもこういう使い方が出来るんだ!」バシュゥン!
―機銃で目くらましを行いつつミサイルを発射。そして…―
夕立「いったぁ~い。爆発しなくても物凄い速度で当たるから衝撃が凄いっぽい」
伊58『夕立さん、撃沈判定でち。戦線離脱するでち』
夕立「夕立撃沈っぽい。あとは頑張ってください」
陸奥「あっという間に2隻も。これ以上好き勝手にはやらせないわよ!」ダダダダダ!
スノー「っと、流石に戦艦の機銃は伊達じゃないか」チュインチュイーン
―陸奥の放った機銃がスノーのF-2の機体を掠めるものの、致命傷にはいたらず戦闘続行。そして…―
高雄「きゃあっ!」
陸奥「やだ、直撃判定なの?」
時雨「高雄さんと陸奥さんが!やってくれるね!」
スノー「悪いが高速で航行しつづけているから燃料がもたないんでな。ケリをつけさせてもらうぞ!」バシュゥゥン!
―続けてミサイルを放つスノー。無情にもそのミサイルは五十鈴に命中する―
伊58『五十鈴さん、撃沈判定でち。戦線から離れてください』
時雨「僕1人だって、やってみせる!」ダダダダダ!
スノー「その程度では当たらん!」
―残り1隻となり機銃の弾丸をなんなくかわすスノー。そして最後の1隻を沈めるべく攻撃態勢に入る―
スノー「終わりだ!沈め!」バシュゥン!
時雨「集中して…当ててみせる!」ドォン!
―苦肉の策に放った時雨の主砲がミサイルに命中。この演習で初の撃墜となった―
時雨「やった!落とせた!」
スノー「ほぅ、やるじゃないか。だが、1発落としたところで敵は待ってくれないぞ!」バシュゥゥン!
時雨「しまった!本体が!」
―そう、撃墜したのはミサイルであって、ミサイルの発射元である戦闘機を落としたわけではない。続けて発射したスノーのミサイルにより時雨も撃沈判定となった―
スノー『ミサイルを落としたまでは良かったが、そこで安心して発射元である戦闘機の存在が頭から抜けたのがまずかったな』
時雨「やられた。ミサイルを落とせて慢心しちゃったよ」
提督『そこまで!全艦撃沈判定によりスノー大尉の勝利とする』
陸奥「まぁ仕方ないわね。まだ初日だしこれからね」
高雄「中々難しいものね。でも次はやってみせるわ」
夕立「でも時雨凄いっぽい!ミサイルを落とせたんだから」
時雨「ありがとう。でももっと集中しないとラーズグリーズ隊には勝てないね」
五十鈴「いい勉強になったわ。これからもっと頑張らないと」
千歳「あんなに簡単に艦載機が振り切られるなんてね。飛ばし方も考えなくちゃね」
スノー「全力で集中していないとあっという間に落とされるな。砲撃がダイレクトに意識と繋がっている分、精度の良さは下手な艦隊より遥かに上だ」
ブレイズ「これまで日本を守ってきた艦娘は伊達ではないと言うことか」
スノー「そういうことだ。ブレイズもグリムも油断してるとあっという間に撃墜されるぞ」
グリム「次はナガセ大尉ですね。大丈夫でしょうか」
スノー「ナガセ大尉なら大丈夫…と言いたいところだが、相手が相手だからな。今度は陸から見させてもらうとするか」
提督「では準備が整い次第、2回目の演習を開始する。各員発進準備せよ!」
一同『了解!』
―――――
―――
―
―第1戦目を見ていた艦隊はスノー大尉個人の技量に驚きつつも対策を練っていた―
大和「ほとんど被弾無しに艦隊撃破するなんて、流石ラーズグリーズ隊だったわね」
霧島「スノー大尉個人の技量も目を見張るものがありましたが、ラーズグリーズ隊全体の平均があのレベルと想定していいでしょう」
瑞鶴「隊長さんはさらにずば抜けてた実力らしいし、ある意味1回目から当たらなくてラッキーかも」
足柄「でも私達の相手はナガセ大尉よ。スノー大尉とは違った動きをしてくるはずよ」
矢矧「向こうのペースに乗せられないことが大事だけど、どういう動きをしてくるかナガセ大尉の攻撃が始まる前に見極めて対処しないと」
響「押してくるタイプか、振り回してくるタイプか…。多分臨機応変に変えてくると思うけど。せめて戦術を固定させればチャンスはあるはず」
霧島「編隊飛行の時は味方を援護する動きに徹するタイプですが、はたして個人になったときはどう変化することか」
響「多分、アグレッシブに来ると思う。ナガセ大尉の根は強気だから」
足柄「敵地に不時着しても敵兵を人質に取りながら生還するぐらいだからねぇ」
矢矧「随時弾幕を張って攻撃に転じさせないようにしましょう。相手は誘導式ミサイルだから撃たれたらまずいわ」
大和「それが一番ね。弾幕の隙間からタイミングを見計らって主砲で狙いましょう。各自無線は聞き逃さないように。それとロックオンされないように注意して!」
『了解』
ビーグル『今度は大和型戦艦に正規空母まで出ている。スノー大尉と同じように動いていては落とされるだろう。どう飛ぶべきかを瞬時に見極めるんだ』
ナガセ「了解。エッジ、グリペン、出ます!」ゴォォォォォ
霧島「ナガセ大尉が発進したようです。気を引き締めていくわよ!」
―スノーと同様。距離を取った上でターンするナガセ。開始の合図と共に艦隊が攻撃を開始する―
大和「まずは主砲と副砲でよく狙って!後半に使用する弾薬はしっかり残してね!」
足柄「まずは私からよ!10門の主砲は伊達じゃないのよ!」ドォンドォンドォン!
瑞鶴「足柄、最初から飛ばしすぎよ!目標、ナガセ大尉!第一次攻撃隊、発艦始め!」
霧島「私と響は次の動きを見て砲撃よ!準備はいい?」
響「集中して確実に落とすよ」
足柄「やっぱり外れちゃったかぁ」
瑞鶴「上々よ!艦載機の方に寄せるなんて流石じゃない」
ナガセ「上手く誘導されたみたいね。けど!」
―急降下するナガセ機。ほぼ垂直に加速しながら降下していく―
瑞鶴「攻撃隊、追いかけて!」
―瑞鶴の艦載機もこれに追従する―
瑞鶴「直線上に入ってしまえば!」
ナガセ「くっ!」チュインチュイン!
―直上の背後からの銃撃。ナガセはこれをかろうじてかわしていく―
瑞鶴「振り切ろうとしない?どういう…。!?ダメよ!攻撃隊の皆、上昇して!」
ナガセ「今よ!」ゴォォ!
―水面ギリギリで機体を水平に戻すナガセ機。追従していた艦載機はこれに対応できずに次々と海面に叩きつけられる―
瑞鶴「嘘でしょ!?あんなギリギリで!?そんなの対応できないわよ!」
霧島「計算の内よ!」ドォンドォン!
響「ナガセ大尉ならこれぐらいありえるさ」ドォン!
―ギリギリで水平に戻すであろうと読んでいた霧島と響が、そのポイントに向けて主砲を発射していた。しかしその攻撃もナガセは読んでいた上で弾丸の下を潜り抜ける―
ナガセ「艦載機を巻き込まないようにとはいえ、最初の弾幕が薄かった時点でこう来るとは思ってたわ」
響「外れた!?」
霧島「予測よりも低い位置で戻されたから上にずれたみたいね」
矢矧「わかっています。ナガセ機を接近させるわけにはいかないわ」ドォンドォン!
―接近させまいと大和と矢矧が弾幕を張る。これを旋回しつつかわすナガセ―
ナガセ「流石世界最大の戦艦大和型ってところね。弾幕も凄いわ」
足柄「私の主砲が10門あることを忘れてるんじゃなくて?まだ全部撃ってないわよ!」
足柄「主砲、発射!」
瑞鶴「足柄!?ちょっと待っ…」
足柄「え!?…あ!」ドォンドォン!
―アフターバーナーを点火し加速していたナガセ大尉は、足柄、瑞鶴の直線上にいた。足柄の放った砲撃は瑞鶴を掠めて通過する―
瑞鶴「ちょっと!痛いじゃない!味方からの砲撃で沈むとかありえないわよ!」
足柄「ごめーん!ナガセ大尉を追いかけてたから見えてなかったわ」
瑞鶴「あとで覚えておきなs…キャア!」
霧島「上昇したわ!弾幕を張るわよ!」ドォンドォン!
―ナガセは瑞鶴のギリギリを急上昇。気流の乱れを起こし艦載機の発艦を遅らせる―
大和「やっぱり凄いわ。そう簡単には勝たせてはもらえないわね」ドォンドォン!
瑞鶴「連続で発艦が遅れたけど、今度こそ行くわよ!もう同じ手は喰わないんだから!」
―ここでナガセ大尉は一度距離を取る行動に出る―
ナガセ「速度差はある。なら、いつまでも固まって飛んでいるはずがないわ。付いて来れるものなら付いてきてみなさい!」ゴォォ!
矢矧「逃がさない!」ドォンドォン!
響「Урааааа!」ドォンドォン!
足柄「味方を撃った汚名は返上させてもらうわよ!」ドォンドォン!
―音速戦闘機の速度に慣れていないが故に、弾幕を張るもナガセ機に当たらず時間が過ぎていく。そしてナガセ機の攻撃の時間になる―
矢矧「ミサイルは撃たせない!」ダダダダダ!
瑞鶴「攻撃隊、追加発艦!弾幕に注意して!」
響「ロックオンはさせない!」ダダダダダ!
ナガセ「くっ!機銃の弾幕!?これじゃロックオン出来ない!」
大和「足柄!霧島!」ダダダダダ!
霧島「今度こそ当てるわよ!」ドォンドォンドォン!
足柄「逃がさないわよ!落ちなさい!」ドォンドォンドォン!
ナガセ「…っ!加速を!」ゴォォ!
―機銃の弾幕、多数の艦載機の攻撃で艦隊に近づけず防戦一方のナガセ大尉。艦隊有利の状態が続く―
―目前に迫る艦載機。これを機銃で対応し数機撃墜するナガセ大尉。偶然にもこれが状況を打開するキーとなる―
瑞鶴「簡単に落とせるほど甘くないかぁ。けどまだ艦載機はあr「くぅぅ!」」
大和「どうしたの!?矢矧、何事なの!?」
矢矧「げ、撃墜された艦載機が私に…」
―偶然の出来事である。ナガセが撃墜した艦載機がセンサーの撃墜判定により機関停止、その内の1機が矢矧に墜落したのである。致命傷には至らなかったものの、一時的に弾幕が止まる。これを見たナガセは艦載機を次々と落とし始めた―
響「くっ…!」
大和「そんなっ!相手の艦載機そのものを攻撃に使うなんて!」
霧島「弾幕を張って!ナガセ大尉の攻撃を止めないと!」ダダダダダ!
瑞鶴「や、やるじゃないの!ナガセ機を包囲するように展開したのを利用するなんて」
ナガセ「弾幕が薄い今なら!」Lock On!
―艦隊の攻撃が弱まった瞬間を逃すことなくターゲットを確実にロック。ミサイルを発射する―
ナガセ「いくら装甲が厚くても、ブリッジに直撃すれば!」バシュバシュゥン!
伊8『大和さん、撃沈判定です。戦線から離脱してくださいね』
大和「やられてしまったわ。ごめんなさい、あとはお願いします」
矢矧「大和が…!よくもっ!」ダダダダダ!ドォンドォン!
霧島「ダメよ、矢矧!冷静になって!」
―姉のように慕う大和を撃沈判定にされたことにより冷静さを欠いた砲撃を行う矢矧。徐々に連携が乱れていく―
響「集中して…。よく狙って…」ダダダダダ!
足柄「大和を沈めたからといって弾幕が止むわけじゃないわよ!」ダダダダダ!
瑞鶴「攻撃隊、発艦急いで!」
矢矧「今よ!落としてみせる!」ドォンドォン!
霧島「矢矧、まだ早いわ!再装てんがまだ終わってッ…!」
―元々冷静な性格もあり徐々に冷静さを取り戻しつつあった矢矧ではあったが、まだ少々熱くなっていたところがあったためにわずかの間だが攻撃に隙間が出来てしまう―
―そしてそれを見逃すほどナガセは甘くなく、攻撃に転ずる―
―すぐさまロックオン、対艦ミサイルを発射し瑞鶴を撃沈判定にする―
瑞鶴「流石ナガセ大尉ね。みんな、あとはよろしくね」
足柄「瑞鶴が!」
矢矧「…ッ!ごめんなさい、私のせいで」
響「謝るのは後ででいいよ。今は目の前のナガセ大尉を」ダダダダダ!
矢矧「ッ…。そうね、汚名は結果で返上するわ!」ダダダダダ!
霧島「さぁ、ちゃんと勝ちに行くわよ!足柄!今よ!」ダダダダダ!
足柄「任せて!主砲10門、一斉発射よ!」ドドドドドォン!
響「ずっと派手に撃ってるけど大丈夫なのか?」
―ここで足柄の攻撃的な正確が仇となる。足柄は自身が想定していた主砲の残弾の計算が狂っていたのである。つまり弾切れを起こしたのである―
足柄「あ、あら?あらら?」スカッ!スカッ!
ナガセ「なんだかよくわからないけど、チャンスは逃さない!」バシュゥン!
―ナガセはこの好機を逃さずミサイルを発射。弾幕を張りミサイルに攻撃するも、勢いを少し殺した程度で響に直撃する―
響「足柄、派手なのが好きなのはいいけど、もう少し冷静に戦ってほしいね」
足柄「ま、まだ機銃があるわよ!機銃でだってやってみせるんだから!」ダダダダダ!
霧島「けど、もう時間がないわよ」ダダダダダ!
―弾幕を張り、ナガセ機を中々近づけさせなかったが、やはり音速戦闘機の速度には不慣れであり決定打を与えるには至らなかった。そして無情にも時間が過ぎ、時間切れとなった―
提督『両者ともそこまでだ!時間切れによりナガセ大尉の勝利とする!』
ナガセ『やっぱり艦娘って凄いわね。こんなに必死に逃げ回ることになるなんて思わなかったわ』
霧島「けど私達はナガセ大尉に決定打を与えれなかったわ。流石ラーズグリーズ隊の2番機としか言いようが無いですよ」
矢矧「大和を撃沈判定にされて頭に血が上ってミスをしてしまった…。いえ、言い訳はしないわ。私のミスよ」
足柄「誰にだってミスはあるわよ。次に生かしましょ!」
霧島「足柄はもう少し冷静に戦う癖をつけてもらえるかしら?」
足柄「う、うるさいわね!悪かったわよ!」///
瑞鶴「そうね。あとは速度に対応しきれるかがキーになるわね。こんなんじゃ翔鶴姉に笑われちゃうわ」
響「音速機対策もそうだけど、個々の欠点が浮き彫りにもなったね。反省点はたくさんありそうだよ」
大和「さぁ、私達はドックに行きましょう。多少勢いは殺せても、ミサイルの直撃はやっぱり痛かったわ」
響「凄い速かった。あれを落とした時雨は凄いね」
スノー「お疲れさん。実際にやりあってみてどうだ?」
ナガセ「完全に相手のペースに飲まれてたわ。偶然と相手のミスが無ければ落とされてたと思うわ」
ブレイズ「艦載機を落としてぶつけるなんてよく思いついたな」
ナガセ「たまたま落とした1機が矢矧に墜落して、ちょっとまずいかなとは思ったんだけど、あれ以外に打開策が思い浮かばなかったのよ」
スノー「包囲されたことを逆に利用するなんてなかなか思いつくもんじゃないさ。あの発想には正直驚いたぜ」
ブレイズ「なかなか参考になる戦闘だった。新たな作戦として考慮してみる価値があるかもしれん」
ナガセ「そうやって難易度を上げると次のグリムが大変なことになるわよ。プレッシャーにならなければいいんだけど」
スノー「ま、グリムもグリムなりにやるだろう。成長を見させてもらおうじゃないか」
―――――
―――
―
扶桑「私達の相手はグリムさんみたいね」
天龍「ちょっと今回は可哀想かもな。航空戦艦に軽空母がいるとなりゃあ、制空はきっついぜ」
龍驤「4番機で一番若手やいうても、相手はラーズグリーズ隊で音速機やで」
愛宕「なんでも訓練課程が終わってない時から実戦で飛んだそうよ」
島風「実戦デビュー早かったんだね!でも今回は撃墜の早さで1番になってもらうよ」
阿賀野「それで今まで生き残ってたことを考えると、もしかしたら隊長のブレイズさん以上かもしれないわね」
グリム「スノー大尉もナガセ大尉も落とされずに勝利してる。プレッシャーきついけど、ここで続かないと」
ビーグル「グリム、前の2人が勝利しているからといって必要以上に気負う必要はない。自分の最適だと思う方法で飛べばいい」
グリム「わかってますよ親父さん、もうひよっこなんかじゃないんですから。アーチャー、MiG-21、行きます!」ゴォォォォォ
愛宕「グリムくんが発進したわ。さぁ行くわよ~♪」
―距離を取りターンするグリム。開始の合図と共に艦載機がグリムを出迎える―
龍驤「前の2戦きっちり見させてもろたからな。うちの艦載機の仕事っぷりは違うでぇ!」
グリム「うわっ!いきなりこんなに艦載機が!?」
―相手の多さに驚きながらも落ち着いて高度を上昇させるグリム。艦載機もそれを追従する―
グリム「くそっ!振り切れない。こうなったらアフターバーナーを点火して速度を上げて…」
天龍「上に昇られるとちょっと狙いにくいが…。撃墜に怯えなっ!」ドォンドォン
愛宕「開始早々だけど落ちてもらうわよ~♪」ドォンドォン
―天龍と愛宕の砲撃がグリムの機体をかすめる。加速を開始した分だけずれたのである。間一髪の出来事であった―
グリム「き、機体にかすった!ダメージは…まだ大丈夫か」
グリム「後ろとの距離は離れたけど、どうやって攻撃に持ち込むか…」
阿賀野「島風!」
島風「やっぱり音速機は速いね。けど予測の範囲内だよ!」
島風「もう遅いよ!」ドォンドォン
―ここでグリムは上昇ではなく、あえて島風に突っ込む方向に飛び込む―
グリム「かする程度なら!」チュイーンチュイーン!
島風「はっやーい!直撃しなかった!?」
阿賀野「2段構えよ!扶桑さん、主砲の準備は!?」
扶桑「大丈夫よ。主砲、撃てぇ!」ドォンドォン
阿賀野「ここで阿賀野の出番よ!」ドォンドォン
グリム「そ、速度をめいっぱいまで上げれば追従できないはずっ!」ゴォォ
―グリムは艦娘がまだ音速に慣れていないことを利用した作戦に出る。燃料を駆使する作戦はグリムに短期決戦を強いられることになると予想した艦隊は無理な攻撃はしなかった―
阿賀野「音速超えされるとやっぱり当たらないわね」ドォンドォン
龍驤「こうも速度差出されてまうと、真正面からやないと艦載機やとどないしようもないで」
扶桑「けどこれだけ速度を出し続けてるなら、攻撃の時間になれば一気に突っ込んでくるはずよ」ドォンドォン
天龍「燃料切れになる前に来るだろうな。そこを狙うぜ!」ドォンドォン
―一定の距離を保つように砲撃を続ける艦隊。そしてグリムにも攻撃の時間が訪れる―
グリム「時間だ!距離は遠いけどミサイルで!」バシュゥン
―焦りからか、グリムはミサイルを遠距離から発射―
龍驤「ミサイル来るで!」
天龍「さっきのグリムの速度に比べればこんなもん!」ドォンドォン
島風「ミサイルのほうがおっそーい!」ドォンドォン
―グリムが序盤から超音速で飛行を続けた結果、艦娘の目の慣れが早まったのである。ミサイルはあえなく撃墜される―
グリム「そんな!?遠すぎたっていうのか!?」
グリム「燃料は使いすぎた。突っ込むしかない!」
愛宕「やっぱり来たわね。対空戦用意よ!」ダダダダダ
龍驤「燃料かてそないもう使われへんはずや。艦載機のみんな、仕事の時間やでぇ!」
扶桑「後に続く山城のためにも!」ダダダダダ
―ブレイズ、ナガセ、スノーと比べると、グリムは経験の差が出てしまう。しかしラーズグリーズ隊として戦った経験を生かし目の前の艦載機を撃ち落し、その開いた隙間を飛行する―
龍驤「正面突破やとぉ!?んなアホな!」
阿賀野「艦載機のいる場所には機銃は撃てないからそこを利用したってわけね。肝が座ってるじゃないの」
愛宕「だからと言って、艦載機を抜ければ機銃の銃弾の雨が強まるだけよ!」ダダダダダ
島風「にひひ。この機銃から逃げられるかな?」ダダダダダ
グリム「かするぐらいなら、落ちはしない!」チュインチュイーン!
―スノーと比べると無謀とも言える突っ込み。しかし怯まないグリムに一同は少し焦りを見せる―
愛宕「突っ込んでくる!?再装填を急いで!」
龍驤「艦載機の発艦準備はもうちょっとや。あと少し時間稼いだってや!」
グリム「ロックした!この距離なら!足の速いのから叩く!」バシュゥゥン
島風「ダメ、連装砲が間に合わない!」
ガゴォォォォン!
―島風撃沈判定により戦線を離脱。グリムの気迫が勝った瞬間である―
島風「はう…。この私がやられるなんて…」
天龍「島風がやられた!?やるじゃねぇか。けどなっ!」ダダダダダ
グリム「ちょ、直撃さえ受けなければ!」チュイーン!ビシッ!
グリム「尾翼に被弾!?けどまだ!」
―グリムの気迫溢れる飛び方に艦隊は焦りを見せる―
龍驤「また突っ込んでくるで!?」
愛宕「がっつきすぎると女の子に嫌われちゃうわよ」ダダダダダ
阿賀野「少しは怯んでよぉ!」ダダダダダ
グリム「左翼被弾。けどロックした!この角度なら対空ミサイルで!」バシュゥン
―それに対しグリムは被弾しながらも致命傷になるダメージだけを避けた飛び方をしているのである―
ガゴォォォォン!
扶桑「きゃあぁぁぁぁ!」
伊401「扶桑さん撃沈判定です。戦線を離れてください」
扶桑「怒った山城より怖かったわ。後はお願いね」
天龍「被弾しながら扶桑さんまで!?その気合は認めてやるよ!」ダダダダダ
龍驤「艦載機、発進や!これ以上はやらせへんでぇ!」
―アフターバーナーの過度の使用、その上被弾しながらも速度を維持した突っ込み。ここにきて機体の燃料が尽きたのである―
グリム「ね、燃料切れ!?くそっ、ここまでか」
提督『両者そこまでだ!この勝負、グリム機の燃料切れにより艦隊の勝利とする』
グリム『くそぉ!まだ飛び方が甘い証拠か』
天龍「グリム、おめぇはよく頑張ったぜ。気持ちの良い勝敗の付き方じゃねぇが、その気合は気に入ったぜ」
阿賀野「グリムさんがこんなに熱い人だとは思わなかったわよ」
愛宕「ちょっとがっつきすぎちゃったみたいだけど、まっすぐな男の子は悪くないわよ♪」
龍驤「ああいう飛び方もあんねんなぁ。ええ勉強になったで!」
扶桑「ええ。あんなに敵の攻撃に臆することなく向かってくるなんて思っても無かったわ」
島風「ところで、怒った山城より怖いって言ってたけど、山城さんってそんなに怖いの?」
扶桑「私は怒られたことはないけど、鬼の山城って言われてただけあって怒ると凄い怖いのよ」フフッ
島風「それ、元々は違う意味だと思うけど…」
スノー「残念だったなグリム」
グリム「はい。序盤は完全に遊ばれてました。こっちの燃料を使わされてしまって後半がもちませんでした」
ナガセ「相手の精度が凄かったんだから仕方ないわ。グリムはよくやったわ」
グリム「けど、隊長ならもっと違う飛び方をしていたと思います。まだ自分が未熟だって思い知らされました」
スノー「そうかもしれんな。グリムは編隊を組んでの飛び方は慣れているが、単独での戦闘には不慣れな部分があるだろう」
ナガセ「滅多に無い機会だもの。これも勉強と思って次のブレイズの飛び方を見ておきましょう」
グリム「はい!」
―――――
―――
―
武蔵「ようやく出番か。相手はあのブレイズ、相手にとって不足は無いな」
金剛「ここでいいところを見せてテートクにアピールするデース!」
摩耶「対空特化の摩耶様を相手にどこまで頑張れるかだな」
赤城「一航戦の誇りに賭けて、この勝負は負けられません」
酒匂「相手がブレイズだと緊張するよ。どんな飛び方してくるか…」
吹雪「一度は深海棲艦に落とされているとはいえ、隊長機ともなれば一時も気を抜くことは出来ませんね」
ブレイズ「久々の単独での飛行か。相手が艦娘である以上、全力を持って挑まねばな」
ビーグル『ブレイズの相手は主力部隊だと思ったほうがいいだろう。今のブレイズに出来ることを全てやってこい。それが相手のためにもなるはずだ』
ブレイズ「了解。ブレイズ、ファントムⅡ、出る!」ゴォォォォォ
武蔵「ブレイズ機が出たな。総員、対空戦用意!」
―先の3機同様距離を取りターンするブレイズ機。4戦目の火蓋が切って落とされる―
―開始早々赤城の艦載機がブレイズを出迎える―
ブレイズ「やはり艦載機から来るか。だがファントムⅡならアフターバーナーを使用せずとも!」
―それに対しブレイズは編隊の下を潜るように飛行する。艦載機もそれに追従し機銃を掃射するが…―
ブレイズ「遅い!」
―銃弾のギリギリの所を高度を下げながら正面を潜りぬける―
赤城「流石は隊長機。やはりかわされてしまいましたか」
武蔵「一筋縄で行くとは思ってはないさ。機銃の残弾には注意しろ!ブレイズ機を艦隊に近づけさせるな!」ドォンドォン
摩耶「この摩耶様からどこまで逃げ切れるか!?」ダダダダダ
―主・副砲と機銃の組み合わせによる迎撃行動。しかしブレイズは高度を下げつつ最低限の回避運動でこれをかわす―
酒匂「ひゃ~!わかってるよぉ!ここは機銃で!」ダダダダダ
吹雪「下から抉り込むように…行っけー!」ダダダダダ
ブレイズ「流石にこの状態では無理か。だが!」
―流石のブレイズも腹下からの執拗な銃撃に下降は不可能と判断。一度上昇するが。機体はまだ直進の進路を取ったままである―
武蔵「横には逃げないか。だが正面からといえどやりようはある!」ドォンドォン
赤城「第二次攻撃隊!ソニックブームが来る前に発艦急いで!」
金剛「近づかれたらアウトネ!私達の距離を維持させてもらうネー!」ダダダダダ
ブレイズ「ここだ!」ゴォォ!
―ブレイズのF-4がアフターバーナーを使用。急加速を行い前方へ回避。赤城の艦載機を振り切り艦隊のほぼ直上に迫る―
ブレイズ「ここまで来れば!」
赤城「上から突っ込んでくる!?」
摩耶「直上からなんて狙ってくれって言ってるようなもんだぜ!」ダダダダダ
酒匂「ぴゃあ!?速いよぉ!ね、狙わなきゃ!」ダダダダダ
吹雪「ここで落ちてもらいます!」ダダダダダ
ブレイズ「そんな攻撃でっ!」チュインチュイーン!
―ブレイズは銃弾を僅かに掠める程度になるよう回避しつつ下降を続ける―
摩耶「んなバカな!?この距離でまともに当たらねぇってのかよ!?冗談じゃねぇ!」
金剛「ブレイズはいったい何をする気ネ!?」ダダダダダ
ブレイズ「なにもソニックブームは横から通過するだけで起きるものではない!」ゴォォ!
―海面ギリギリのところで機体を持ち直すブレイズ。スーパークルーズが不可能な機体で音速を超えた状態で海面ギリギリでのL時ターンという非常識とも言える飛び方をし、ソニックブームを発生させ艦隊を揺さぶる―
武蔵「くぅぅっ!」
酒匂「ぴゃあっ!」
赤城「きゃあっ!」
摩耶「抜けられた!?」
金剛「やられたネー。体制を整えて次に備えるヨ!」
吹雪「流石は隊長さんです。あんな常識破りな飛び方を平気でこなすなんて」
ブレイズ「艦娘の練度の上昇が世界の平和に繋がるなら、俺は出来ることを全てやるだけだ!」
武蔵「時間だ!攻撃来るぞ!ブレイズにロックオンをさせるな!」ダダダダダ
赤城「第二次攻撃隊はそのままブレイズ機を追尾!第一次攻撃隊再度発艦してブレイズ機を囲い込んで!」
ブレイズ「悪いが落とさせてもらうぞ!」ドガガガガガ
―銃弾をかわしつつ艦載機を狙うブレイズ。ブレイズの機銃掃射により艦載機が次々と機関停止されて(落とされて)いく―
赤城「やはりブレイズさんは強いです。残りの艦載機も全機発艦準備に入ってください。一気に行きます!」
摩耶「迷うな。よく狙うんだ…。摩耶様を舐めるなよ!」ダダダダダ
ブレイズ「ちっ。当ててきたか!?」チュインチュイーン!
金剛「酒匂は主砲を!吹雪を私は機銃で撃つネー!」ダダダダダ
酒匂「今度こそやっちゃうよぉ!」ドォンドォン
吹雪「行っけぇぇぇ!」ダダダダダ
ブレイズ「そう何度も当たってやるわけにはっ!」ゴォォ!
―上昇からのUターンを行いブレイズ機は艦隊の方向へ向く。それはロックオンが可能な状態になるという意味になる―
―この行動を予測した武蔵は一斉射撃の構えに入る―
武蔵「真後ろには赤城の艦載機、そしてこの砲撃。逃げ場は無いぞ!」ドォンドォンドォン!ダダダダダ!
ブレイズ「普通なら直撃コースだろうな」スッ
ガクン
―エンジンストール寸前までスロットルレバーを戻し、フラップを下げた急減速。艦載機はこれに対応できずブレイズ機を通過してしまう。その結果、武蔵の一斉射撃は赤城の艦載機に当たってしまう結果となる―
武蔵「なんだと!?あの状況で急ブレーキをかけるだと!?」
ブレイズ「こういう飛び方もあるということだ!ロックオンだ。撃ちつくした後では対応出来まい!」ゴォォ!
武蔵「くそっ!機銃だけでも!」
ブレイズ「もう遅い!対艦ミサイル発射!」バシュバシュゥゥン!
武蔵「ダメか!落とせない!」ダダダダダ
ガゴォォォォン!
武蔵「くぅっ!」
伊168『武蔵さん、撃沈判定です。戦線を離れてください』
武蔵「やられてしまったか。すまない、後は頼んだ」
金剛「武蔵がやられてしまったネ。これ以上はやらせないヨ!」
吹雪「ブレイズさんがまたこちらに向かってきます!」
赤城「攻撃隊、発艦急いで!」
ブレイズ「撃沈させるだけが全てじゃない。空母が相手ならこういうことも出来る!」ドガガガガガ
―発艦しようとしている艦載機をロックオンし機銃を掃射。甲板上で機関を停止させた艦載機が邪魔となり赤城から発艦不可の状態となる―
赤城「そんな!?これじゃ発艦出来ない!急いで機関停止した艦載機をどかしてください!」
摩耶「武蔵と赤城を戦えない状態にしたからと言って、あたしらのことを忘れてんじゃないのか!?」ドォンドォン
吹雪「戦艦と空母だけが艦娘じゃありません!」ドォンドォン
金剛「まだ私だっているネー!」ダダダダダ
―身を捩るように砲撃をかわすブレイズ。機体を艦隊に向けたまま飛行し金剛をロックオン。そして…―
ブレイズ「沈めっ!」
金剛「き、機体を反転させて!?」
ガゴォォォォン!
金剛「Holy shit!これは痛いネー」
伊168『金剛さん、撃沈判定です。戦線を離脱してください』
金剛「Oh my god…。みんな後はお願いネー」
摩耶「チッ!金剛さんまでやられたか。だけどなぁ!」ダダダダダ
酒匂「ぴゃあっ!また直上に来ました!」
ブレイズ「確かに対空特化と言えるだけの性能はある。だがこれに対処出来るか!?」バシュゥン!
―艦隊の直上から真下に向かって空対空ミサイルを発射するブレイズ―
吹雪「摩耶さん!援護します!」ダダダダダ
―弾はミサイルに当たるものの落とせるほどのダメージを与えきることが出来ず摩耶に迫る―
酒匂(このままだと摩耶さんが沈んじゃう…。あたしも…みんなも…沈むのは……嫌っ!)
酒匂「ぴゃあっ!もう誰も沈ませないよ!!」ドォンドォン!
―酒匂の放った主砲がミサイルを捉え撃墜。今戦闘で初の撃墜となる―
吹雪「酒匂さん!」
摩耶「助かったぜ、酒匂。サンキュー!」
酒匂「まだブレイズさんは落ちていないよ!気を緩めちゃダメだよ!」
ブレイズ「まさか横から落とされるとはな。流石と言ったところだな。だが!」バシュゥン!
―摩耶に向けてミサイルを発射した直後にロックオンしていた吹雪に向かって再度空対空ミサイルを発射。これに対応できず吹雪は撃沈判定となる―
吹雪「ごめんなさい。あとはお願いします。酒匂さん、摩耶さんと赤城さんを守ってください」
摩耶「酒匂ばっかりに良い所を持っていかれっぱなしってわけにはいかないぜ!」ダダダダダ
ブレイズ「くっ!速度に慣れてきたか!?」チュイーン
―トラウマを振り切った酒匂、そして元々対空戦に強い摩耶の機銃がブレイズの機体を掠める―
ブレイズ「機体の燃料も少なくなってきた。そろそろ勝負を決めさせてもらう!」ドガガガガガ
摩耶「機銃!?目くらましなんかでこの麻耶様を止められると思うな!」
赤城「きゃあっ!」
酒匂「赤城さん!?」
ブレイズ「艦載機の発艦はさせん!今度こそ本命を叩き込む!」バシュゥン!バシュゥゥン!
―空対空ミサイルと対艦ミサイルの発射。ミサイルは酒匂に向かって飛来する―
酒匂「対艦ミサイルだけでも!」ドォンドォン!
摩耶「酒匂!回避運動を取れ!対空ミサイルを落とす!」ドォンドォン!
酒匂「ぴゃあぁっ!?痛いよぉ」
伊168『酒匂さん、撃沈判定です。戦線離脱してください』
酒匂「うぅ~。摩耶さん、赤城さんごめんなさい。あとはお願いします」
摩耶「ちくしょおぉ!ブレイズはここまで強ぇのかよ!」ダダダダダ
赤城「ごめんなさい。艦載機が発艦出来れば…」
摩耶「赤城さんのせいじゃないですよ。ブレイズが想像以上に凄ぇんだ」
ブレイズ「残弾、燃料共にわずかだ。悪いがこれで沈めさせてもらう!」バシュゥン!
摩耶「背後に回りこまれた!?くそったれ!」ドォンドォン!
ガゴォォォォン!
ブレイズ「空母もだ!これで終わりだ!」バシュゥン!
ガゴォォォォン!
摩耶「いてて…。完全にやられた。あ~あ、ブレイズはやっぱり凄ぇなぁ」
赤城「艦載機の発艦を封じるなんて流石としか言えません」
提督『そこまでだ!全艦撃沈判定によりブレイズの勝利とする』
武蔵「謙遜することはない。今の私達では速度に慣れていようともブレイズに勝つことは出来なかっただろう」
摩耶「序盤は攻撃出来ねぇ。高い速度を維持し続けて燃費に優しくねぇなんて不利な状況でもあったのにここまでやられちゃあぐうの音も出ねぇよ」
金剛「流石はラーズグリーズ隊の隊長機ネー。まるで歯が立たなかったヨ」
赤城「慢心していたつもりはありませんが、艦載機の発艦の瞬間を狙われるとは思っていませんでした。タイミングも重要だってことがよくわかりました」
酒匂「ブレイズさんのおかげで色々吹っ切れたよぉ!ありがとう、ブレイズさん!またお願いしますね♪」
吹雪「ブレイズさんの飛び方、凄くかっこよかったです!常識に捉われない戦い方があるって勉強になりました!」
ブレイズ「音速に近い速度に慣れていないのが幸いした。もし慣れていたら数分ともたなかっただろうな」
スノー「艦娘の戦闘能力と順応性恐るべしと言ったところだな。ブレイズ相手にあそこまで奮闘するとは正直思ってなかったな」
グリム「隊長でギリギリだったら自分は落とされててもおかしくないですね。正直ぶつからなくてよかったですよ」
ブレイズ「これからこんなギリギリに追い込まれる演習がしばらく続くことになる。こちらも艦娘の戦闘能力に対応した戦い方を練る必要があるな」
ビーグル「こちらでも艦娘達に取り付けたセンサーから様々なデータを貰えた。これを参考に明日以降の演習の為のブリーフィングを行う。あとでケストレルⅡに全員集合だ。いいな?」
隊一同『了解!』
―――――
―――
―
酒匂「矢矧、阿賀野、能代、心配かけちゃったね。でももう大丈夫!あたしは戦えるよ!」
阿賀野「よかったよぉ!酒匂が元気になってくれたぁ!」
能代「ブレイズさんとの戦闘が効果あったようね。それにしても凄かったわね、ミサイルを2発も撃墜するなんて」
酒匂「誰も沈ませたくない!って必死にやったら出来たんだよ。でもブレイズさんはさらに上を行っちゃう人だったよ」
能代「…やっぱり凄いの?ブレイズさんって」
阿賀野「能代も見てたでしょ?あんなの非常識にも程があるわよ」
矢矧「もし始めから武装を使われていたら、10分もったらいいところね」
能代「凄い不安になってきたんだけど…」
酒匂「大丈夫だよ。きっと能代にも出来るよ。あとは長門だよ。乗り越えてくれればいいんだけど…」
矢矧「きっと長門さんも大丈夫よ。ラーズグリーズ隊が良い刺激になってくれるはずよ。酒匂が乗り越えたようにね」
酒匂「…うん。きっとそうだよね!」
―――――
―――
―
長門「皆素晴らしい動きだったと思うぞ。あのラーズグリーズ隊にあそこまで健闘したのだからな」
陸奥「結局撃沈判定になっちゃったけど、私達の動きは参考になったかしら?」
長門「ああ、とても参考になったさ。次からは私も演習に参加させてもらう」
扶桑「少しは元気が出てくれたみたいね。酒匂が刺激になったのかしら」
長門「それもあるな。酒匂がトラウマを乗り越えたんだ。私がこんなところでウジウジしてるわけにもいかんしな」
武蔵「その意気だ。相手はラーズグリーズ隊だが、ビッグ7らしく私達が出来なかった戦闘機撃墜の記録を打ち立ててこい!」
陸奥「私は出来なかったけど長門にならきっと出来るわ。頑張ってね」
扶桑「長門が乗り越えられるように私達も応援してるわ」
長門「ありがたい。ビッグ7の誇りに賭けて、ラーズグリーズ隊に勝利してみせるさ!」
―――――
―――
―
―一方その頃サンド島では、オーシア、ユークトバニア両国から日本への戦力の追加派遣のために極秘にバートレット、ハーリング、ニカノール、ナスターシャが基地に集まっていた―
ハーリング「お久しぶりです。ニカノール首相、そしてナスターシャ君」
ニカノール「お久しぶりですな、ハーリング大統領。そしてバートレット大尉。いや、今は提督だったかな?」
バートレット「よしてください。空軍の自分は提督なんて呼ばれ慣れないんですよ。今までどおりで結構です。そうだろ?ナスターシャ提・督?」
ナスターシャ「あら、私は大丈夫よ?あなたも少しは提督業が板に付いてきたんじゃくて?バートレット提・督・さ・ん」
バートレット「やめてくれ。むず痒くてしょうがねぇよ!」
ハーリング「それよりニカノール首相、そちらの2名が日本へ追加派遣する戦力ですかな?」
ニカノール「ええ、そのとおりです。ラーズグリーズ隊とは縁がある者ですので、きっと平和のために共に戦ってくれるでしょう」
ナスターシャ「最初は少し嫌がってはいたんですが、ニカノール首相のお考えを理解し、日本へ向かう決断をしてくれました」
バートレット「縁があるっつうことは…そういうことか」
ニカノール「オーシアからはどうなさるおつもりで?」
ハーリング「こちらからはケストレルと、まもなく建造が終了する新戦力を投入しようと考えております」
ニカノール「空母ケストレルを…ですか。主力のようですが、よろしいので?」
ハーリング「それはユークトバニアもでしょう。見るからに主戦力と見えますが」
ニカノール「相手が核武装しているとなれば、元を断たねばなるまいと思い決断した限りです」
ナスターシャ「どれほど長時間の建造になったのですか?」
バートレット「データ上では最長の日本の大和型の4倍強の建造時間だ。何が造られてるのか見当も付かねぇってのが本音だがな」
ハーリング「それがまもなく終了するということだ。そろそろハンガーに向かおうか」
―――――
―――
―
バートレット「まもなく建造終了の時間です」
ハーリング「いったいどのような艦娘が誕生してくれるか」
ナスターシャ「丸1日以上かかる建造時間なんて想像も付かないわ」
ニカノール「きっと平和への鍵となる存在となってくれるはずだろう」
ナスターシャ「高速建造材は使用しなかったの?」
バートレット「使えるならとっくに使ってるっつぅの。こいつだけは全く受け付けなかったんだよ」
ナスターシャ「どんな艦娘なのかしらね」
妖精「建造完了したよー」
バートレット「完成したようです。連れてきてくれるか?」
妖精「んー。わかった」
妖精「連れてきたよー」
ハーリング「なんと…美しい」
ニカノール「まるで女神のようだ」
ナスターシャ「綺麗…超一流の芸術品を見ているみたい」
バートレット「やはり今までのデータに無い艦娘です。彼女はいったい…」
ハーリング「恐らく彼女は戦艦や空母ではないよバートレット大尉。私には彼女が何者なのか、おおよそ検討はついている」
ニカノール「私もです、大統領」
ハーリング「君にはまた、本来の目的と違った役割を与えてしまうことになってしまう。それを許してほしい」
???「わかっています、大統領閣下。今度は人と人同士の“戦争”ではないことは理解しています。ニカノール首相が隣にいらっしゃることがなによりの証拠でしょう」
ニカノール「人類の希望を兵器として使うのは心苦しいが、我々を導いてくれるか?」
???「人と人が手を取り合い、本当の平和を勝ち取ってこそ未来は開かれます。私は“未来”のために生まれたのです。人類の未来のために、私は役割を果たします」
ハーリング「感謝する。彼らと共に人類の未来を切り開いてくれ」
ハーリング「アークバード」
アークバード「了解しました」ニコッ
―しかし戦艦・長門は演習の中で未だトラウマを乗り越えられずにいた。そんなある日のこと…―
―――横須賀・鎮守府―――
コンコン
提督「どうぞ」
アンダーセン「失礼します。我々をお呼びとのことですが、いったいどうなされましたかな?」
提督「先日、別の鎮守府の艦隊が出撃した際のことですが、そのことで少しお話がありまして」
ビーグル「艦娘ではなく、我々ということは何か異常があったということですかな?」
提督「ええ。こちらをご覧頂きたいのですが」スッ
―そう言うと提督は数枚の写真を提示した。それを見た面々の顔が強張る―
提督「その通りです。実際に戦闘を行った艦娘の証言によりますと、無数のミサイルが飛来してきたと言うのです」
ビーグル「ミサイル攻撃!?長距離からの攻撃がまた行われたということですか?」
提督「いえ、長距離から飛来したのではなく、真上から多数のミサイルが飛来した、むしろ落下してきたと言ったほうが正しいでしょう」
アンダーセン「真上から…ですか」
提督「このような兵器にお心当たりはないかと思いまして」
ブレイズ「…一つだけあります」
提督「ほう。それはどう言ったものでしょうか?」
ブレイズ「ユークトバニア軍が所有していたシンファクシ級潜水空母です」
アンダーセン「しかしシンファクシ級はシンファクシ、リムファクシ共にブレイズ等がウォードック隊所属の時に2隻とも沈めております」
提督「撃沈して引き上げはされていないということですか」
ビーグル「…深海棲艦がその技術を使用していると考えるのが妥当でしょうな」
ブレイズ「シンファクシはアークバードによってその機能が停止状態になりましたが、リムファクシはそのまま自分達が沈めています。リムファクシを元にシンファクシも修復されていれば」
アンダーセン「深海棲艦が自分達の物として使用している可能性は非常に高いですな」
ビーグル「そう考えればこの写真の艦の損傷にも納得がいくものです」
ブレイズ「艦隊はどの辺りで戦闘を行ったのですか?」
―モニターのスイッチを押し、当日の艦隊の航路を映し出す―
提督「この日、艦隊は哨戒任務の為にこの場所から南に向かって航路を進んでおりました。しかしいつもと違い敵の戦力が少なかったのです」
提督「不思議に思いながらもそのまま艦隊は南下、こちらの目標地点まであと20km地点というところで急激に戦力が増大し、それに応戦しておりました」
提督「そしておよそ半分程までに敵戦力を削ったところで敵部隊が後退。その追撃を行おうとした所に突如上空から無数のミサイルが降ってきた」
提督「艦隊は大破航行不能。たまたま付近を航行していた他の鎮守府の艦隊により曳航撤退。幸いにも撃沈艦は0でしたが、あと1歩遅ければ全艦撃沈となっていたでしょう」
アンダーセン「つまりこの地点からここまでの間にシンファクシ級と思われる深海棲艦が出現したということですな」
提督「そのとおりです」
ビーグル「急激に戦力が増大したということは、その辺りになにか重要な施設があり、それを防衛していた可能性がありますな」
アンダーセン「そのようなことになにか心当たりはありませんかな?」
提督「いえ、残念ながら大本営のほうでもそれはわかりません。しかしこの付近は他の鎮守府が我々の代わりに戦線を押し上げていた地点に近い場所になります」
ブレイズ「偵察部隊と本隊…と考えるのが妥当でしょう。そして追撃を行わなかったところを見る限り、恐らくクラスターミサイルのテストも兼ねていたのではないでしょうか」
提督「いえ、そのような話は聞いておりません。それがなにか?」
ビーグル「艦載機であるハリアーが出てこなかった。クラスターミサイルが1発のみとなると、ブレイズの考えで間違いなさそうですな」
アンダーセン「我々はこれに対処すべく出撃せよ、ということですかな?」
提督「お察しの通りです。我が鎮守府の艦隊を率いてこの脅威に対処していただきたい」
アンダーセン「了解しました」
提督「艦隊編成は私が行っておきます。対空戦になることも考慮し、12名の艦隊を編成し向かわせます」
提督「それと簡易的ではありますが、イージスシステムとリンクできるよう装備が改造されたようで、そちらも装備させておきます。飛行編隊のシステムとリンクし、より戦闘が有利になるでしょう」
ビーグル「イージスシステムとリンク出来るようになりましたか。それは心強い」
提督「あくまで簡易的なのでミサイルなどを発射できるわけではありませんが、索敵能力向上や迎撃時にすばやく反応できるようになっております」
ブレイズ「つまり自分達の発見した敵の情報を、すばやくかつ正確に共有できるようになったということですか」
提督「そういうことです」
アンダーセン「わかりました。では我々は出撃の準備に取り掛かります」
提督「お願いします。では後ほど」
―――――
―――
―
―突如として現れたシンファクシ級と思われる兵器に対処するため、ラーズグリーズ隊と編成された艦隊は作戦の説明を受けるためにケストレルⅡへ集まっていた―
ビーグル「それでは今作戦の説明をさせていただく。今作戦の指揮は私が執り行う。異論のある者はいないか?…では、始めさせてもらう」
―シンファクシ級と思われる兵器はここから南方の海域にて出現。その脅威への対処を行う―
―シンファクシ級の主武装は海中より発射される高威力のクラスターミサイルである。クラスターミサイルは発射後から数十秒後に上空で炸裂、無数のミサイルを降り注ぐ―
―部隊はこれをいち早く発見し、迎撃せよ。万が一ミサイルが発射された場合は直ちに後退。飛行編隊は高度5000フィートまで速やかに上昇せよ―
―クラスターミサイルは非常に高威力であり、被弾した場合は軽微な損傷では済まされない。被弾した場合は直ちに安全圏まで後退せよ―
―なお、シンファクシ級はクラスターミサイルの他にVTOL機を艦載機として搭載している。浮上してきた場合、ラーズグリーズ隊はこれにも対処する必要がある―
―潜水艦、巡洋艦、駆逐艦による雷撃でいち早くシンファクシ級と思われる敵を海中から引きずり出せるかが勝敗の鍵となるであろう―
ビーグル「作戦の概要については以上だ。なにか質問のある者はいるかね?」
ビーグル「クラスターミサイルが発射された場合は潜水艦は深度を下げて対処するんだ。クラスターミサイルは海中では威力を発揮しない」
ビーグル「つまり潜水艦部隊が作戦のキーになる可能性が高い。爆雷に注意しつつロングランス(酸素魚雷)を叩き込むんだ」
伊168「クラスターミサイルの発射機構に叩き込めばいいんですか?」
ビーグル「いや、恐らくそれは難しいだろう。敵に海中で活動出来ないよう仕向ければ良い」
木曾「爆雷を行うという手段ではダメなのか?」
ビーグル「潜水艦相手には爆雷は有効な手段ではあるが、クラスターミサイルを撃ってくることを考えるとあまりにもリスクが高すぎる。ミサイルを撃たれたら最後、爆沈する可能性が非常に高い」
加賀「つまり上からの攻撃は飛行部隊の爆撃以外は攻撃は禁止ということですか?」
ビーグル「そういうことだ。戦艦は主に随伴艦を、巡洋艦はそれに加えシンファクシ級と思われる敵に対し雷撃を行う必要性がある」
ビーグル「主に対潜能力のある随伴艦を先に叩き、潜水艦部隊の接近を援護するんだ」
ビーグル「艦娘達は今回から簡易的にイージスシステムとリンク出来るようになっているはずだ。ラーズグリーズ隊の戦闘機から送られてくる情報を最大限に活かしてほしい」
ビーグル「他に質問のある者はいないか?…ふむ、いないようだな。では作戦開始だ。皆の武運を祈る!」
―――――
―――
―
ビーグル『まもなく問題の海域だ。相手は戦線を押し上げてきている可能性がある。警戒を怠るなよ』
加賀「了解。流石に慎重に攻めたいところだわ。艦載機発進させます」ブゥゥゥゥン
山城「みんなを不幸にするわけにはいかないわ。瑞雲発進して!」ブゥゥゥゥン
瑞鳳「アウトレンジで決めないと皆が沈むわね。彩雲、発艦!」ブゥゥゥゥン
ブレイズ「今回は俺達が艦隊の目になる重要な役割だ。シンファクシ級との戦闘経験がある俺達が艦隊を先頭に出るぞ」
ラーズグリーズ隊一同『了解!』
ブレイズ、エッジ!ハッカンOKダ!イッテクレ!
ブレイズ「よし!ブレイズ、F-35、出る!」ゴォォ!
ナガセ「続いてエッジ、スーパーホーネット、出ます!」ゴォォ!
ツギノハッカンイソゲー!カタパルトアツリョクOKデス!ソーズマン、アーチャー、イッテクレ!
スノー「クラスターミサイルまで持ち出してくるとはな。ソーズマン、F-35、出るぞ!」ゴォォ!
グリム「同僚を落とされたあの時と同じ悲劇を繰り返してたまるもんか!アーチャー、EA-18、行きます!」ゴォォ!
―ケストレルⅡよりラーズグリーズ隊が索敵のため発艦。艦娘の艦載機を追い越し先頭に出る―
スノー「もしかすると相手にジェット戦闘機が出てくる可能性もある。無理だけはするな」
加賀『みなさん…。わかりました。先頭はお任せします。ラーズグリーズ隊のみなさんも無理はなさらないで』
ナガセ「そちらもね。とりあえず索敵範囲を広げるから、そちらをお願いするわ」
山城『わかりました。彩雲と瑞雲で東側を、加賀さんの艦載機で西側を索敵します』
グリム「妨害電波は出しておきます。ですが、効果は絶対ではないので接近しすぎには注意してください」
瑞鳳『敵を発見次第、すぐに帰艦させるわ。彩雲は特に無防備だから頼りにさせてもらうわね』
―ラーズグリーズ隊と艦娘の航空機部隊で索敵を続ける。その時、グリム機のレーダーに反応が出る―
グリム「…!隊長、レーダーに敵の反応あり!数16!いずれも船舶です!」
ブレイズ「こちらでも捉えた。みんな、聞こえたな?」
スノー「了解だ。艦隊はどうか!?」
榛名「この簡易イージスシステム凄いです!敵の位置がこんなに離れてても手に取るようにわかります!」
長門「こんなにも正確に情報が送られてくるのか。やはり最先端技術は凄いな」
鳥海「敵艦の位置がこんなにはっきりと…。これなら狙えます!」ガシャン
ナガセ「艦隊は各艦同士の距離を取って!固まってたらクラスターミサイルの餌食になるわ!」
伊58「けど肝心の潜水空母は見当たらないでち」
伊168「流石に海中の敵を空から見つけるのは無理みたいね。ゴーヤ、私達はもっと接近するわよ!」
伊58「了解でち!」
瑞鳳「彩雲は帰艦して!続いて航空隊発艦よ!」
ブレイズ「ジャミングが効いているようだな。目視される前に沈める!」バシュゥゥン!
ナガセ「小型の巡洋艦は…これね!フォックス2!」バシュゥゥン!
スノー「悪いがここで数を減らさせてもらう!ミサイル発射!」バシュゥゥン!
榛名「主砲の有効射程距離に入りました!これ以上、勝手は!許しません!」ドォンドォン
長門「戦艦も出てきているか。だがこれだけ位置がはっきりしていれば!」ドォンドォン
鳥海「ゴーヤちゃんとイムヤちゃんの接近を邪魔させません!主砲!撃てーー!」ドォンドォン
―ラーズグリーズ隊のミサイルと戦艦、重巡洋艦による主砲の一斉攻撃。イージスシステムの効果もありその全てが命中―
グリム「敵艦撃沈!現在、敵12隻です!」
ビーグル『グリム、艦種はわかるか?』
グリム「データ照合します。…戦艦タ級2、ル級1、重巡リ級1、軽巡ツ級3、ト級2、駆逐ニ級2、イ級1です!」
ビーグル『空母がいないのが気になるな。総員警戒を怠るな!いつクラスターミサイルが飛んでくるかわからんぞ!』
『了解!』
榛名「砲撃!?けど、避けれます!」
長門「金剛型ほど速くはないんだが、こんなにもはっきり攻撃がわかるのなら避けるのは容易いな!」
鳥海「これがイージスシステムの力なんですね」
―たとえイージスシステムといえど、ミサイルはともかくここまで正確に砲撃を把握出来る物ではない。艦娘とリンクすることによって相乗効果的に能力が上がっている結果なのである―
ブレイズ「艦隊は無傷のようだな。一番数の多い軽巡から叩く!沈めっ!」バシュゥゥン!
スノー「戦艦のその長距離砲もやっかいだからな。悪いがここまでだ!」バシュゥゥン!
ナガセ「艦娘の皆と比べたらあなた達なんて楽な方よ。沈めるっ!」バシュゥゥン!
ドゴォォォォォン
―艦娘との演習により個人の技量がアップしているラーズグリーズ隊は、遠距離からロックオンし深海棲艦を撃沈していく―
加賀「ラーズグリーズ隊のみなさんには負けていられません」
瑞鳳「潜水空母の発見はまだですか!?」
伊58「敵部隊には接近出来てるけど、まだ見えないでち!」
伊168「もっと接近するわ!援護をお願い!」
鳥海「了解!接近を援護します!」
榛名「全力で援護します!」
山城「不幸になるのは私達じゃない!あなたたちよ!」ドォンドォン
―ラーズグリーズ隊との演習の効果もあり命中精度の向上した砲撃は的確に深海棲艦を捉え、撃沈していく―
ビーグル『敵部隊が後退?いかん!全員下がるんだ!』
榛名「後退なんかさせません!」ドォンドォン
鳥海「ここで沈めます!撃てぇ!」ドォンドォン
山城「仲間の所へなんか行かせない!」ドォンドォン
長門「3人とも前に出すぎだ!クラスターミサイルのことを忘れたのか!?」
―その時、ラーズグリーズ隊の戦闘機が海中より発射されたミサイルの存在を捉えた―
ブレイズ「海中からミサイル!?しまった!クラスターミサイルか!飛行部隊は高度を5000フィートまで上昇しろ!」ゴォォ
ナガセ「発射されてしまったの!?艦隊は!?」ゴォォ
スノー「榛名と山城と鳥海が前に出ている!3名ともすぐに後退しろ!」ゴォォ
グリム「艦載機も早く上るんだ!急いでください!」ゴォォ
榛名「ミサイル!?早く後退を!」
鳥海「計算より前に出すぎてる…。急いで戻らないと!」
山城「敵におびき寄せられたの!?そんなっ!」
榛名「きゃあぁぁぁ!」
山城「姉さま…山城は…!」
鳥海「あぁーーー!」
―クラスターミサイルの直撃により榛名、山城、鳥海が大破航行不能に陥る―
ナガセ「そんな…!榛名!山城!鳥海!応答して!」
榛名「」
山城「」
鳥海「」
加賀「くっ!頭にきました!」
瑞鳳「これ以上はやらせない!」
ビーグル『雷撃部隊!榛名、山城、鳥海の3隻を曳航、安全圏まで離脱するんだ!急げ!』
木曾「くそったれが!酷ぇことしやがるぜ!」
電「お願いです!鎮守府に戻るまで沈まないでください!」
阿武隈「とにかく引っ張ります!曳航のため阿武隈、戦線を離脱します!」
伊168「了解!情報はバッチリ!こっちでも見つけたけど、こいつの姿は今まで見たこと無い感じ」ドシュゥン
伊58「潜水艦でも空母でも仲間を傷つけたのは許さないでち!」ドシュゥン
ビーグル「続けて雷撃部隊、目標に向かって酸素魚雷発射!」
木曾「引っ張りながらじゃ安定しねぇが、それでも当ててやるぜ!」ドシュゥン
電「こんなに傷つけるなんて許さないのです!」ドシュゥン
阿武隈「置き土産ぐらい持っていかせます!」ドシュゥン
秋雲「こいつだけは確実に喰わないとねぇ!」ドシュゥン
―潜水艦の酸素魚雷は潜水空母に命中。雷撃部隊の魚雷は深度が足りず逸れるも、後退していた敵艦に命中する―
伊58「どうだぁ!魚雷さんの威力はバッチリでち!」
伊168「けど、まだ海中にいるわ。浮上しようとしてない」
ブレイズ「逸れた魚雷で戦艦タ級が沈んだか。潜水艦が近くにいる以上、対潜能力のある敵艦を叩く!」バシュゥゥン!
ナガセ「お願い、潜水艦部隊頑張って!これ以上犠牲を増やさないためにも!」バシュゥゥン!
スノー「浮上さえさせてしまえばこっちのもんなんだ!頼む、堪えてくれ!」バシュゥゥン!
グリム「電子戦機だって武装は付いてるんだ」バシュゥゥン!
瑞鳳「やられた娘たちの分もやってみせるわ!」
長門「…私が…私がきちんと警戒していれば…」
秋雲「長門さん、どうしたの!?」
―深海棲艦の随伴艦は残り戦艦ル級1隻、軽巡ツ級1隻となった。が、本命の潜水空母は未だ海中を航行中である―
伊168「またミサイルを発射しようとしてる!みんな気をつけて!」
伊58「魚雷さん、当たってくだちっ!これ以上みんなを傷つけさせないで!」ドシュゥン
―伊58の発射した魚雷が命中するも、ミサイルの発射を止めるほどのダメージを与えられなかった。そして…―
バシュゥゥゥゥゥン!
ブレイズ「ミサイル、来るぞ!高度を上げろ!」ゴォォ
ナガセ「また発射されてしまったの!?艦隊は大丈夫!?」ゴォォ
スノー「ダメだ!加賀と瑞鳳の位置が!」ゴォォ
グリム「加賀さん!瑞鳳さん!逃げてください!」ゴォォ
加賀「ダメね、間に合わないわ。ごめんなさい」
瑞鳳「せめて潜水空母に一矢報いてください。お願いします、ラーズグリーズ隊のみなさん、それに長門さん」
長門「加賀ぁ!瑞鳳ぉ!」
加賀「」
瑞鳳「」
長門「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ビーグル『くそっ!秋雲とケストレルⅡで曳航する。秋雲は瑞鳳を、ケストレルⅡで加賀を曳航する!』
秋雲「りょ、了解です!」
ナガセ「加賀と瑞鳳まで…」
スノー「雷撃部隊は曳航で戦線離脱。こっちは戦闘機と戦艦長門だけか。撤退するしかないのか」
グリム「そんな…。ここまで来てこんなことって…!」
???『ブレイズ、先ほどのミサイルの発射された座標はわかりますか?』
ブレイズ「なんだ?どこからの無線だ!?」
???『座標をO・S・E・Aに転送してください』
ブレイズ「誰なんだ!それに転送コードが“オーシア”だと!?」
???『ブレイズ、今は私を信じてください。早くしないと手遅れになります』
ブレイズ「くっ!了解。信じるぞ!」ピッピッピッ
???『座標を確認しました。これより攻撃を行います。ラーズグリーズ隊と潜水艦部隊は付近より離れてください』
伊58「いったい誰なんでちか!?答えてくだちっ!」
???『発射します』
グリム「あなたはいったい…。うわっ!」
―突如、上空から赤く強い閃光が降り注ぐ。この場合は海面に突き刺さるといった方が正しいだろうか。それはラーズグリーズ隊には見覚えのある光だった―
ドゴォォォォォン!
ブレイズ「間違いない。アークバードの特殊兵装だ!」
グリム「じゃあこれを発射したのは」
スノー「間違いないだろう。しかしアークバードは…」
ザバァァァァァァ!
グリム「潜水空母浮上!」
ブレイズ「とにかく今は奴を叩くぞ!弾薬の出し惜しみをするな!」
『了解!』
―浮上と同時に艦載機を発艦する潜水空母。そこにさらに無線が入る―
???『ラーズグリーズ隊のみなさん、高度を5000フィートまで上げてください!』
???『敵を一気に落とすわ!巻き込まれないように上昇して!』
ブレイズ「また別の無線が!?今度は2人。皆、5000フィートまで上昇だ!」
『了解』
ドゴォォォォォン!
スノー「クラスターミサイルだと!?」
ナガセ「こんな攻撃が出来るのは…」
グリム「ユークトバニアから支援が来たんですね!」
ブレイズ「援護感謝するぞ。シンファクシ!リムファクシ!」
シンファクシ「ただ、次弾装填まで時間はかかるから、しばらくはそっちで踏ん張ってよね!」
リムファクシ「オーシア、ユークから増援で来ました。あの潜水空母はもう私達の武装は使えないはずです!」
???『スーパーホーネット部隊、発艦!ラーズグリーズ隊は潜水空母を沈めてください。残りの随伴艦は私が沈めます!』
ブレイズ「スーパーホーネットだと?まさかケストレルなのか!?」
ケストレル「ラーズグリーズ隊の皆さん、お久しぶりです!アークバードさんの特殊兵装と、シンファクシ姉妹のクラスターミサイルで潜水空母はしばらく艦載機の発艦は出来ないはずです」
ブレイズ「よし!全機、敵潜水空母に集中砲火だ!ここで沈めるぞ!」
『了解!』
長門「お前が…お前がみんなをやったのかぁぁ!」ドォンドォン!
―戦艦長門が怒りの咆哮を上げ怒涛の砲撃。この気迫にその場にいた全員が押される―
長門「うおぉぉぉぉぉぉ!!」ドォンドォンドォンドォン!
グリム「長門さん…」
ナガセ「長門…」
スノー「凄まじい気迫だ。上空にいても伝わってくる」
ブレイズ「! まだ動くやつがいたか。長門の邪魔はさせん!沈めっ!」バシュゥゥン!
―長門に砲撃を行おうとしてた戦艦ル級をブレイズが撃沈。ケストレルから発艦した艦載機の攻撃もあり随伴艦は全艦撃沈となった―
長門「ビッグセブンを怒らせたな。沈んだ船の武装を使うなど愚の骨頂!地獄で悔いてこい!」ドォンドォンドォンドォン!
―主砲、副砲の一斉射撃により、潜水空母は撃沈。大破艦5隻も出す甚大な被害となったが戦闘に勝利することとなった―
ビーグル『作戦は終了だ。ラーズグリーズ隊はケストレルⅡへ帰艦だ。鎮守府へ戻るぞ』
『了解』
長門「こんなやつらの好き勝手にはさせん。どんなことになろうとも私は戦い抜いてみせる!」
―この戦いで長門はトラウマを乗り越えた。それは戦艦長門に新たな決心を固める切欠ともなった―
アークバード『わかりました。そちらへ向かいます皆さんもよろしいですね?』
シンファクシ「あんまり掘り下げたことは聞かないでよね?和平を結んだって言っても一応はユークの軍事機密なんだから」
リムファクシ「姉さん、私達みたいな艦娘はデータ上では無かったってナスターシャ提督もおっしゃってたじゃないですか。聞かれて当然ですよ」
ケストレル「私の知らない妹に乗り込むなんて、中はどうなってるのか楽しみです♪」
スノー「また個性豊かな連中だな」
ナガセ「ケストレルってこんな娘だったのね」
グリム「なんか、色々と複雑な気分ですよ」
ブレイズ「オーシアとユークからの追加支援か。バートレット大尉が向こうでやってくれたんだろう。皆、戻るぞ!」
『了解!』
―――――
―――
―
アンダーセン「君達がオーシアとユークから追加派遣された部隊かね?」
アークバード「はい。私達はハーリング大統領閣下とニカノール首相閣下の命令により日本とラーズグリーズ隊を支援するべく派遣されました」
ビーグル「本当に助かったよ。君達がいなければあの脅威を倒すことは出来なかっただろう。最悪全員が海の底に沈んでいたかもしれん」
スノー「しかし、オーシアとユークにも鎮守府が出来ていたとはな。それに日本の鎮守府には無い艦娘らしいな」
アークバード「その国にゆかりのある者が生まれたのだと思います。私はオーシア、サンド島の基地で生まれました」
ナガセ「サンド島ですって?バートレット大尉が基地を復元したのかしら」
アークバード「大統領閣下のお力もあります。今は空軍施設としてではなく、海軍の施設としての様相になっています」
アンダーセン「ところで、きみは…あのアークバードで間違いないのかね?」
アークバード「はい。私はオーシア、ユークトバニア共同の宇宙開発計画で生まれたアークバードです」
シンファクシ「私はユークトバニア海軍主力の潜水空母、シンファクシ級潜水空母の1番艦のシンファクシよ」
リムファクシ「同じくユークトバニア海軍所属、シンファクシ級潜水空母の2番艦、リムファクシです」
ブレイズ「先の戦争で俺達が沈めた潜水空母か。俺達の事を怨んでいるか?」
シンファクシ「怨んでないって言ったら嘘になっちゃうけど、結局は戦争したがったベルカ人達にいいように使われた結果なんだから、そこまで怨んじゃいないわよ。まぁミサイルは痛かったけどね」
リムファクシ「姉さん!…私達は何も知らずに踊らされていました。もし怨むなら戦争をしようとしていた人達を怨みます。ラーズグリーズ隊の皆さんも当時は知らなかったんですから」
ブレイズ「そうか。そう言ってくれると助かる。ありがとう」
ケストレル「イエス、ケストレルです。アンダーセン艦長、本当にお久しぶりです。艦長にこうしてまた会えてとても嬉しいです!」
アンダーセン「最後は勝つためとはいえ無茶をさせてしまったな。本当にすまなかった」
ケストレル「ラーズグリーズ隊を空に送ることがどれだけ重要だったかわかっていました。艦長は何も悪くありません」
アンダーセン「そういってくれるとありがたいよ。ケストレル、あの時はよく頑張ってくれた。ありがとう」
ケストレル「こちらこそ、最後までクルーと私を信じてくれてありがとうございました!」
ビーグル「追加派遣の理由は、やはり核かね?」
アークバード「はい。そして敵の本拠地は日本に近い場所にあるのではと思われたことが理由です」
グリム「オーシアの方でなにかわかったんですか!?」
アークバード「その詳しい根拠については日本に到着してからお話します。オーシア、ユークトバニアが収集したデータをお持ちしております」
ブレイズ「そのデータを元に敵は日本付近にいるのではないかと割り出したのか」
アークバード「そうです。そしてブレイズ、あなたには大統領閣下から渡すよう言われた“物”を預かっています」
ブレイズ「大統領から俺に?いったい何を?」
アークバード「それについても日本に到着してからお渡しします。この場では渡せる状態ではありませんから」
リムファクシ「ところで、敵のクラスターミサイルの直撃を受けてしまった艦娘(こ)達は大丈夫なんですか?」
ビーグル「ああ、とりあえず軍艦の状態から人型に戻して、今はこの艦の医務室で応急処置を受けているよ。なんとか命だけは助かるそうだ」
リムファクシ「そうですか。よかった…」
ビーグル「ただ、一刻も早く日本へ戻りドックで修復を受けねばならんだろう。自力での航行が不可能な状態にまでダメージを負った以上、しばらく前線には出れないだろう」
グリム「人型の状態なら人間の治療方法が受けられるのが不幸中の幸いでしたね」
ブレイズ「彼女らが人であったなら、今後の日常生活に支障が出るレベルだっただろう。艦娘であったのが幸いした」
アンダーセン「ともかく日本に着いたら詳しい話をしてもらおう。横須賀にはこちらから連絡しておく。今はゆっくりと休んでくれ」
『了解!』
―――――
―――
―
提督「よくぞ敵を撃破して戻ってきてくれました。ラーズグリーズ隊がいなければ艦隊は全滅していたかもしれません」
アンダーセン「いや、我々だけでは撃破は不可能だったでしょう。オーシアとユークから援軍が来ていなければ撤退を余儀なくされていました」
提督「そちらの4名がオーシアとユークトバニアからの援軍ですか?見たところ艦娘のようですが…」
ビーグル「その通りです。自己紹介をしてくれ」
ケストレル「はじめまして。私はオーシア国防海軍第3艦隊に所属していました、ヒューバート級航空母艦の7番艦“ケストレル”です」
提督「きみがアンダーセン艦長と共に数々の戦場を戦い抜いた空母ケストレルか。ラーズグリーズ隊と共に私達の力になってくれるとは心強いよ」
シンファクシ「私はシンファクシ級潜水空母のネーム艦“シンファクシ”よ。ナスターシャ提督からある程度は話を聞いてるわ」
リムファクシ「同じく2番艦“リムファクシ”です。大破した艦娘の皆さんは大丈夫でしょうか?」
提督「そうか、ユークにも根付いてくれたか。大破した皆は現在ドックで大規模修復を受けている。早い段階での応急処置のおかげで命に別状はない。君達の援護のおかげだ。本当に感謝する」
提督「それときみは、軍艦には見えないが…」
アークバード「はじめまして、日本の提督さん。私はオーシア、ユークトバニアの共同宇宙開発計画にて造られました大気機動宇宙機“アークバード”です」
提督「きみがあのアークバードなのか。人類の未来の為に造られた宇宙機に相応しい姿をしている。正直なところ私もアークバードが誕生するとは思ってはいなかったよ」
ビーグル「彼女達は重要なデータを持ってきております。提督はどうなされるおつもりですかな?」
提督「連絡を受けてすぐに大本営に伝えたところ、大本営の元帥殿が明日こちらにいらっしゃるとのことです。元帥殿を交えて詳しいお話を伺いたい」
提督「あなた方からは、アンダーセン艦長、ビーグル特務少尉、ブレイズ、そしてアークバードに出席していただきたい」
ビーグル「わかりました。ではそのスケジュールでこちらも動きましょう。ブレイズには後ほど伝えておきます」
提督「お願いします。今日はお疲れでしょうからゆっくり休んでください。詳しい時刻などは後ほどお伝えに参ります」
アンダーセン「了解した。では失礼させてもらうよ」
―――――
―――
―
ブレイズ「わざわざハンガーに来て、大統領から俺に渡してほしいものとは何なんだ?」
アークバード「それはあちらの布に被せてある機体です。大統領閣下は『ブレイズなら使いこなせる機体』だと申されておりました」
ブレイズ「俺専用の機体ということか。見させてもらってもいいか?」
アークバード「構いません。ブレイズの機体なのですから」
グリム「隊長専用の機体ってなんでしょうか」
スノー「新しいラプターじゃないのか?ブレイズ専用にカスタマイズされたとか」
ナガセ「布の上からじゃ判別しにくいけど、ラプターにしては形が違うような気がするわ」
ブレイズ「グリム、手伝ってくれ」
グリム「は、はい!」
―覆い被されている布を取ると、そこには見慣れた機体の姿があった。その姿は美しく、新技術を搭載されて造られたまさに“ブレイズにしか”使いこなせない戦闘機の姿であった―
ブレイズ「これは…!ADF-01“FALKEN”か!」
スノー「ファルケンを寄越してくるとはな。大統領が凍結解除を決断されたか」
ナガセ「確かにこれはブレイズにしか使いこなせない機体ね。相手が核ミサイルを使用してくるとなると、ファルケンは迎撃に有効な戦力になるわ」
グリム「隊長の操縦技術でしか使いこなせない機体ですね。この機体があれば戦略幅が大きく広がりますね」
アークバード「大統領閣下は“ブレイズならこの力で、静かで平和な海を取り戻してくれるだろう”とおっしゃっていました」
アークバード「ファルケンは非常に強力な兵器です。ブレイズ、この力を平和の為に使うと約束できますね?」
ブレイズ「もちろんだ。大統領から渡されたこの機体、大統領の望む人類の平和の為に使わせてもらう」
アークバード「良い答えです。それでこそラーズグリーズの英雄と称される部隊の隊長です。期待していますよ、ブレイズ」
―――――
―――
―
―――横須賀鎮守府・会議室―――
元帥「ご苦労、提督君。そしてオーシアの皆様も数々の戦闘支援、真に感謝しております。日本政府を代表してお礼申し上げます」
元帥「そしてこの度はオーシア、ユークトバニアが解析したデータをお持ちいただいたとのこと。重ね重ねお礼を申し上げます」
アンダーセン「深海棲艦が核を使用してきたとなれば、国境を越えてこれに対応しなければなりません。我々の願いは1つです」
元帥「深海棲艦が核を所有しているとなれば全世界の危機です。我々も全戦力を持ってこの脅威に対応する所存です」
提督「私も同意見です。元帥閣下、そろそろ始めさせていただいてもよろしいでしょうか?」
元帥「ああ、すまんな。始めてくれ」
提督「では、アークバード嬢、始めてくれ」
アークバード「はい。では、まずこちらの画像をご覧ください」
―大画面には所々にマッピングされた世界地図が映し出された―
元帥「ふむ、やはり改めて見ると日本の付近は多いな」
アークバード「その通りです。深海棲艦が何故日本を重点的に狙うのかまでは判明出来ていませんが、日本が主に狙われているのがわかります」
アークバード「しかし甚大な被害を及ぼしたとはいえ、日本以外の国では迎撃に成功していることも珍しくありません」
提督「しかし、そのためには膨大な戦力を持ち出していると聞いているが」
アークバード「そうです。艦娘を運用していない国では通常の兵器で迎撃するしかありませんので、必然的に大規模な部隊となります」
アークバード「しかし、日本はどうでしょうか。艦娘を運用する前は通常の兵器でしか対応していなかったはずです。そしてその戦力は日に日に増していき、通常の戦力では太刀打ち出来なくなったはずです」
アークバード「そして旧帝国海軍縁の地より艦娘が誕生し、今では迎撃に成功しております。これはお間違えないですね?」
元帥「その通りだ。ある日横須賀を始め、呉、佐世保、舞鶴など海上自衛隊の基地が壊滅的になり放棄されようとしたところに突如妖精が現れ、その妖精が艦娘を生み出し今に至る」
提督「自分も元を辿れば海上自衛隊のいち自衛官でした。自分の基地で妖精が現れた時は何が起こっているのか理解出来ませんでした」
アークバード「当時の日本は軍事力自体はかなり大きなものでしたが“通常の兵器”では全く対応しきれなくなってますね?」
アークバード「オーシアやユークトバニアに比べれば少ないかもしれませんが、それでもイージス艦をはじめ十分な戦力であったはずです」
アークバード「各国では今でも苦しみながらも現状の戦力で対応しております。しかし日本ではそれが不可能な状態となった」
元帥「全く持ってその通りだ。しかしそれだけが敵の本拠地の根拠と言えるデータなのかね?」
アークバード「いえ、本題はここからです。さらにこちらの画像をご覧ください」
―そう言うと、次の画像を画面に映し出す―
アークバード「これは日本以外では深海棲艦に対応出来なかった海域と、日本で艦娘を用いても甚大な被害を出した海域をマッピングしたものです」
アークバード「さらにこれを海底深度と照らし合わせた画像がこちらです」
―そしてもう一度パソコンを操作し、画像を変える―
ビーグル「海底深度が深いところに集中しているな」
アークバード「そしてオーシアとユークトバニアが衛星で捉えた弾道ミサイルをはじめとする核ミサイルが発射された位置が、この画像の赤い印が付けられた場所です」
提督「この位置は…!」
元帥「伊豆・小笠原海溝か!」
アークバード「そうです。そして今回、クラスターミサイルを使用する潜水空母と対峙した場所も伊豆・小笠原海溝に近い位置です」
アークバード「しかし、いくら深海棲艦といえど、シンファクシ級の装備を持ち込んだとしても、その水圧にシンファクシ級の兵装が耐えることは不可能でしょう」
ブレイズ「確かに高い潜水能力や頑丈な装甲を持っているシンファクシ級といえど、極度の深海の水圧に耐えられる設計ではないはずだ」
アークバード「オーシア、ユークトバニアでも独自に研究を行った結果、深海棲艦も極度の深度では圧力に耐えられないと結論付けられました」
アークバード「つまりある一定の深度の位置に鎮守府で言うところの工廠があるのではと推測されます」
アークバード「その通りです。そして今回、シンファクシ級潜水空母の武装を使用したことを踏まえ、深海棲艦が使用した核ミサイルは」
アークバード「ラーズグリーズ隊が沈めた戦闘衛星“SOLG”の物の可能性が非常に高いことがわかりました」
ブレイズ「なんだと!?」
ビーグル「ソーグに搭載されたV2だと言うのか!?」
アンダーセン「そのことに根拠はあるのかね?」
アークバード「これはシンファクシ姉妹がいくつか任務で出た時のことですが、本来その場所に沈んでいるはずのシンファクシ級の船体や、ソーグが無くなっていたと言っておりました」
ビーグル「ヒューバート級の空母や他の軍艦などはあったのかね?」
アークバード「はい。ケストレルをはじめ、その他の沈んだ船体はソナーに反応がありましたが、シンファクシ、リムファクシ、そしてソーグは後日の調査でも見当たりませんでした」
ブレイズ「あんなものがまた使われているとは…」ギリッ
アークバード「これら全ての要素を踏まえた結果、この辺りに本拠地があるのではと推測されました」
―パソコンを操作し、海域を拡大された画像を画面に映し出す―
アークバード「相手は神出鬼没に出現します。しかし戦力が集中している海域、そして核を発射された位置を考慮した結果がこの海域です」
提督「完全な特定は不可能ということか」
アークバード「そうなります。しかしソーグは巨大であり、そもそも俊敏に動ける物ではありません。ある位置から浮上し、MIRVである核を発射すると推測されます」
ビーグル「それを踏まえると、前回核が発射された位置に近い場所を捜索するのが適切ということになるな」
アークバード「しかし相手も戦力がある以上、移動していることも考慮した上で表示している画像の海域となります」
元帥「ふむ、了解した。このことは大本営に持ち帰り、直ちに対策を練ろう。データのコピーは貰えるかね?」
アークバード「こちらがデータのコピーとなります。大統領閣下より日本政府にも渡すよう言われております」
元帥「ありがとう。私は戻って早急に対策を練るよ。このデータを作成してくれたオーシア、ユーク両国には政府を代表してお礼を申し上げる」
提督「では元帥閣下、迎えをご用意しますのでしばらくお待ちください」
元帥「頼んだ」
霧島「金剛型戦艦4番艦、霧島です!緊急でお伝えしたいことがあります!入ってもよろしいですか!?」
提督「丁度会議が終わったところだ。入りたまえ」
霧島「失礼します。よかった、まだ元帥さんもいらっしゃったわ」
元帥「どうしたのかね?霧島ともあろう艦娘がそんなに血相を変えて」
霧島「それが、先ほどこちらに連絡がきまして、キス島が…」
提督「キス島がどうかしたのか?」
霧島「キス島が核ミサイルの攻撃により壊滅したとのことです!」
元帥「なんだと!?それで被害状況は!?」
霧島「いくつかの基地より哨戒任務で出撃していた艦隊がほぼ全滅。核爆発に巻き込まれ轟沈艦多数、大破艦数隻。放射能汚染により付近の海域に近寄れず、大破した者も恐らくは…」
提督「なんということだ…!」ギリッ
元帥「おのれ、深海棲艦め!ここまでやってくれるとは」
ブレイズ「くそっ…たれがぁ!」ガンッ!
ビーグル「落ち着け、ブレイズ!アークバード、オーシアに連絡して発射位置の特定を」
アークバード「既に衛星通信で連絡しております。……特定出来ました。場所はここです」カチッ
―アークバードは特定した発射位置をマッピングし、画像に表示した―
元帥「前回核が発射された位置からほど近い場所だ。このデータもコピーしてくれ。提督君、車ではなくヘリで迎えに来るよう伝えてくれ」
提督「了解しました。至急手配します」
元帥「提督君、くれぐれも早まった真似はするんじゃないぞ。オーシアの部隊がいるとはいえ、相手は核武装している連中だ。むやみに動けば同じ轍を踏むことになりかねん」
提督「わかっています。ではヘリの手配をしますので失礼します」ガチャ
パタン
元帥「オーシア軍の皆さん、次の戦いは非常に辛い戦いになるかもしれません。それでも協力を願いたい。政府の代表としてだけではなく、私個人としても」
アンダーセン「我々も同じ気持ちです。このようなことはあってはなりません。この脅威を排除することに全力を尽くす所存です」
元帥「本当に感謝します。全基地に通達し、あなた方のバックアップをするよう通達します。どうか、よろしくお願いします」
元帥「ブレイズ君と言ったね。必ずソーグを潰してくれ。ラーズグリーズの英雄を信じさせてほしい」
ブレイズ「自分達がラーズグリーズの英雄であるとか関係ありません。核の悲劇を繰り返させないために全力を尽くします」
元帥「頼んだぞ、ブレイズ君」
―――――
―――
―
ついでにちょっとしたおまけ的な小ネタを投下します。
最小限に留めたつもりですが若干のキャラ崩壊があります。
このストーリーの流れで投下すると雰囲気ぶち壊しな可能性もありますので、雰囲気を壊れるのが嫌な方は飛ばしてください。
スノー「なぁ、ところでファルケンってどうやって運んだんだ?」
ナガセ「あれじゃないかしら。空母の艦娘達みたいに妖精の力で小さくして…」
グリム「でもあのファルケンは完全な実機ですよ?いくらなんでも妖精の技術が及んでない機体を小さくするのは無理がありませんか?」
ナガセ「それもそうよね」
ブレイズ「単純に出航する前に空母の状態になって搬入したんじゃないか?そうでないと説明が付かん」
スノー「その可能性が一番濃厚だな。だとすると、アークバードはどうやって飛んだんだ?」
グリム「それこそマスドライバーを使って離陸したんじゃないですか?」
ナガセ「だとするとマスドライバーが無い場所だとアークバードは飛べないってことになるわね」
スノー「ケストレルⅡに乗り込む時も何事も無かったように甲板にいたしなぁ」
ブレイズ「…もしかしたらマスドライバーを装備してるのではないのか?」
グリム「まさか!あんなデカイ施設を装備だなんて常識破りにもほどがありますよ。隊長も冗談が過ぎますってば」
スノー「いや、もしかしたらあながち冗談じゃないかもしれんぞ」
ナガセ「そうね。鎮守府の艦娘もそうだし、妖精もそう。正直鎮守府自体が常識破りの塊みたいなものだもの」
明石<修理ですか?どこが壊れてます?
足柄<ちょっと連装砲の調子が悪いのよ~
ブレイズ「いや、あれは工作船だから施設ではないだろう」
ナガセ「そ、そうよ。いくら大掛かりな設備とはいえ、工作船なんだから艦娘になってもおかしくないわ!」
スノー「そ、そうだな。あれは違うな!」
グリム「じゃ、じゃあいったいアークバードはどうやって飛んだんでしょうか」
ブレイズ「…本人に聞くしかないだろうな」
ナガセ「バートレット大尉に聞いたほうが…」
スノー「サンド島で生まれてすぐに来たって言ってたぞ」
グリム「サンド島にマスドライバーは無かったですよね」
一同「………」
スノー「グリム、ちょっとアークバードに聞いてくるんだ」
グリム「い、イヤですよ!ナガセ大尉なら同じ女性ですし聞きやすいんじゃないですか?」
ナガセ「私でも聞きにくいわよ!凄いプライバシーな所に突っ込みそうだし。ブレイズなら隊長だしいけるんじゃないかしら?」
ブレイズ「お、俺か!?俺が聞くのか!?」
スノー「そうだ!ブレイズは隊長だから部隊の部下がどういうことになっているのか知る必要があるだろう!」
グリム「そうですよ!部下の管理をするのも隊長の仕事ですよ!隊長ならいけますよ!」
ナガセ「流石に部隊長の言葉なら話してくれるわよ。ブレイズ、お願いするわ」
ブレイズ「……わかった、俺が聞いてくる」
グリム「やったぁ!隊長、お願いします!」
ブレイズ(正直気が進まん。部隊長とはこんな損な役回りだったか…?)
―――――
―――
―
ブレイズ(あいつら、物陰から覗くぐらいならこの場で一緒に聞いてくれてもいいのではないか?)
ナガセ・スノー・グリム「「「…」」」コッソリ
アークバード「私の出撃の方法が気になりますか?」
ブレイズ「いや、話しづらいなら無理に話してくれなくてもいいんだが」
アークバード「別に話しづらいことなんてありません。実際にお見せしてあげましょう」
ブレイズ「いいのか?」
アークバード「簡単なことですから」
―アークバードはそう言うと、人間に使用するサイズ(?)ぐらいのマスドライバーらしきものを取り出した―
ブレイズ「これはなんだ?」
アークバード「これは私専用のマスドライバーです。流石に元の大きさの状態ではマスドライバー自体が大きくなってしまうので、人型の形状で飛びます」
アークバード「これをこうセットして、このように離陸準備をします」カチャカチャ…ガシャン!
ブレイズ(いったいどこから取り出したんだろうか…)
アークバード「そしてマスドライバーの電力を上げて…」
ブレイズ「うわっ!」
ブレイズ(本当にマスドライバーを使って飛んでいったな。本物のマスドライバーはもういらないんじゃないかって、ん?マスドライバーが無くなってるな)
―――数分後―――
アークバード「わかりましたか?これが私の出撃方法です」
ブレイズ「あ、ああ、よくわかった。わざわざすまなかったな。ところでアークバードが発進した後、使用したマスドライバーはどうするんだ?」
アークバード「そのまま引っ張って空中で回収します。一度飛んでしまえば元の大きさに戻っても支障はありませんから」
ブレイズ「回収するのか!?というか、そんなことが出来るのか!?」
アークバード「少々コツが必要ですが、そんなに難しいことではありません。用事がなければリムファクシに用事があるので失礼しますが」
ブレイズ「ああ、引き止めてすまなかったな。理解出来たよ。ありがとう」
アークバード「では失礼します」
ブレイズ(なんだろう…。そのマスドライバーをどこから出したのか凄く聞きたいが、絶対に聞いてはいけない気がする)
―――横須賀・鎮守府・ブリーフィングルーム―――
―深海棲艦によるキス島核攻撃から数日後、鎮守府の全員が集められ決戦の作戦概要が説明されようとしていた―
提督「皆ご苦労。皆も既に知っているとは思うが、キス島が核ミサイルの攻撃により壊滅状態になっている。哨戒任務に出ていた数艦隊は完全に全滅となってしまった」
提督「オーシア、ユークトバニア側からの情報提供により発射位置はほぼ特定されている。その海域に向かい大規模艦隊を出撃させる」
提督「なお、周辺の海域は各鎮守府の艦隊の援護により制海、制空ともに抑えてくれる。我々は本丸を叩く」
提督「我々の戦果が今後の世界の平和を左右する作戦だ。失敗は絶対に許されない。心して聞くように。では作戦を説明する」
―オーシア、ユークトバニアからの情報により敵の本陣は伊豆・小笠原海溝周辺にあると推定された。また、SOLGの物である核ミサイルが発射された位置も程近い場所と判明している―
―SOLGがいるであろう海域までは各地の鎮守府の艦隊の援護により制海権は抑えられている。しかし核ミサイルが発射された海域付近は横須賀のメンバー、オーシア・ユークの艦娘、そしてラーズグリーズ隊のみとなってしまう―
―範囲が絞られているとはいえ、広範囲の索敵が必要とされる。また、SOLGはミサイルを発射する際に海面に浮上してくる。SOLGを発見した場合は速やかに連絡を行い、これを殲滅せよ―
―なお、上空からはアークバードが監視を行うが、相手には弾道ミサイルも装備されている。アークバードが落とされてしまえば核の発射を防ぐことは不可能になるだろう―
―また、シンファクシ級の武装であるクラスターミサイルを使用してくる可能性もある。各員は常に連絡を取り合い、この脅威に対しても対処せよ―
提督「相手は核武装をしている。撃たれたら日本は終わりだ。すまないが、皆の命を私に預けてくれ」
大和「何をおっしゃっているんですか提督。私達は皆日本の、いえ世界の平和のために戦っているんです。そのために全力を尽くすだけです」
武蔵「上からはラーズグリーズ隊、さらに超上空からはアークバードが見ているのだろう?絶対に撃たせはしないさ」
酒匂「あんなとんでもないもの絶対に使わせないよ!日本の平和は私達が守るよ!」
長門「そうだ。無差別報復兵器などあってはならんものだ。その脅威は私達が取り除く。提督は安心して待っていればいい」
提督「皆…。すまない、ありがとう」
ビーグル「今度は沈めるだけではなく、再利用が出来ぬよう完全に破壊する必要がある。最低でも核ミサイルは二度と使えないようにするんだ」
ビーグル「いくら精度が高いとはいえ、角度的に艦砲射撃では難しいだろう。ラーズグリーズ隊の手腕とアークバードにかかっている。必ず破壊するんだ」
スノー「ソーグの構造を考えると俺達にしか出来ない任務だな」
ナガセ「ベルカ戦争の悲劇を日本で起こさせるわけにはいかないわ」
グリム「必ず破壊しなきゃ。無関係の民間人まで巻き込むわけにはいかない!」
ブレイズ「ベルカとの因縁はここで断ち切る。大統領が送ってくれたファルケンなら可能なはずだ」
アークバード「人類の未来のために、その未来を破壊せんとする脅威を取り除きます。それが大統領閣下が私達に託した想いです」
ビーグル「これがラーズグリーズ隊の日本でのラストミッションになるだろう。失敗は絶対に許されん。必ず勝利するんだ」
『了解!』
―――――
―――
―
ビーグル「では、我々は先に海上に出る。予定通りに進めば定刻どおりに合流地点に着くはずだ。あとで海上で会おう」
アンダーセン「頼んだぞ、ラーズグリーズ隊。お互い無事にオーシアへ帰れるよう奮闘しよう」
ブレイズ「艦長達もお気をつけて。後ほど合流海域でお会いしましょう」
アークバード「私は先行して上空から監視します。通信は常時行いますので、聞き逃さないよう気をつけてください」
大和「よろしいでしょうか。艦隊、出撃準備完了です」
ビーグル「艦長」
アンダーセン「うむ。ブレイズ、後は頼んだ」
アンダーセン「アンカーを上げろ!ケストレルⅡ発進!」
クルー「了解!抜錨!ケストレルⅡ発進!」
アンダーセン「全艦出撃!」
『了解!』
―ラーズグリーズ隊を残し、艦隊はSOLG破壊の為に出撃。ラーズグリーズ隊の面々も出撃のためそれぞれの機体へ向かう―
――――――
ブレイズ「なんでしょうか」
提督「一言お礼を申し上げたくてね。恐らくこれがラーズグリーズ隊との最終任務だろうからね」
ナガセ「お礼は無事に帰ってきてから言ってください。まだやるべきことは終わってませんから」
グリム「そうですよ。それにお礼なら僕達から言いたいぐらいです。ここの鎮守府にも艦娘の皆にもたくさん助けられましたし」
スノー「全員無事に帰ってきたら、またパーティでも開いてください。お礼の言葉はその時に聞かせてもらいますよ」
提督「…そうだな。無事に帰ってきたら祝賀パーティを開かせてもらうよ。艦娘達を…いや、世界の平和を頼む!」
ブレイズ「俺達は俺達に出来ることを全てやるだけです。必ずソーグを破壊してきます」
提督「やはりオーシアを頼って正解だったよ。心強い味方がいるというのは素晴らしいものだ。吉報を待っているよ、ラーズグリーズの英雄の諸君」
ナガセ「ブレイズ、まもなく時間よ」
ブレイズ「ああ、了解した。ではラーズグリーズ戦闘機隊、出撃します」
提督「頼んだよ!」
あきつ丸『時間であります!ラーズグリーズ隊、出撃を!』
鳳翔『周辺空域クリアです。ラーズグリーズ隊の皆さん、艦娘のみなさんをお願いします』
グリム「了解です!アーチャー、ファントムⅡ、行きます!」ゴォォ!
スノー「鎮守府の守りは頼んだぞ。ソーズマン、ファイティング・ファルコン、出るぞ!」ゴォォ!
ナガセ「帰ったらみんなでお祝いしましょ。エッジ、スーパーフランカー、出ます!」ゴォォ!
間宮『ブレイズさん、戦えない私達の代わりにソーグの破壊をお願いします!』
伊良湖『皆さんの武運をお祈りします。どうか無事に帰ってきてください!』
ブレイズ「誰一人欠けることなく必ず戻ってくるさ。ブレイズ、ファルケン、出る!」ヒュィィィィ!ゴォォ!
アークバード『作戦海域には敵艦隊の展開が見られます、いつソーグが出てくるかわかりません。ラーズグリーズ隊の皆さん、早めに艦隊と合流してください』
ブレイズ「何かを察知して艦隊を展開してきたか。皆急ぐぞ!」
一同『了解!』
―――――
―――
―
―――伊豆小笠原海溝付近・作戦海域―――
アークバード『これより先、艦隊の展開が見られます。皆さん十分に警戒してください』
アンダーセン「各基地の援護のおかげでここまで無傷で来れたが、ここからはそうはいかん。皆気を引き締めて挑め!」
『了解!』
ビーグル「ラーズグリーズ隊の到着はどうだ?」
アークバード「空中給油は終了しているとのことで、あと5分程度で合流します」
ビーグル「ほぼ定刻どおりに進んでいるな。よし、では作戦開始だ!各部隊はそれぞれ分散して索敵に当たれ!敵部隊を発見したらすぐに連絡するんだ。決して自分達だけで沈めようとはするな!」
『了解!』
ビーグル「アークバードが発見した展開済みの艦隊はどうか?」
シンファクシ「私達の部隊が既に殲滅したわ。索敵範囲を広げていくわよ」
飛鷹「話には聞いてたけど、シンファクシさんのクラスターミサイルの威力は凄いわね」
神通「敵艦隊の8割は最初の1発だけであっという間に轟沈していきましたね」
妙高「おまけに攻撃範囲も広いとなれば、本当に味方で良かったと思うわ」
陽炎「これじゃ私達、ほとんど出番無いわね」
黒潮「潜ればクラスターミサイル、浮上すればVTOLの艦載機、弱点らしい弱点があれへんのとちゃうの?」
シンファクシ「ほ、褒めても何も出ないわよ!それに次弾装填に時間がかかるんだから、その間はしっかり働いてもらわないと困るわよ!」
黒潮(ツンデレさんやろか?)
陽炎(この雰囲気は山城さんとも瑞鶴さんとも違うし…)
飛鷹(霞に近いのかも)
妙高(でも霞は駆逐艦ですし)
神通(ユークトバニアの土地柄なんでしょうか)
シンファクシ「なにをこっそり話してるのよ!殲滅目標はまだ発見出来てないのよ。次弾の装填もまだ終わってないんだからあなた達が頑張る番なのわかってるの!?」
飛鷹「わっ!りょ、了解!彩雲、飛び立って!」ブゥゥゥゥゥン
シンファクシ「こっちも出すわ。ハリアー、発進!」ゴォォ!
――――――
伊8「海中にも見当たりませんでした。どうしましょうか?」
ビーグル『敵部隊の規模はどうか?』
ケストレル「主力部隊と言った感じではありません。哨戒部隊と思われます」
ビーグル『可能なら迎撃行動に入れ!まだ殲滅対象は発見されていないから被弾は極力避けるんだ』
『了解!』
ケストレル「艦載機で数を減らします!スーパーホーネット部隊、発進!」ゴォォ!
―ケストレルからF/A-18E編隊の発艦。その圧倒的火力で敵艦隊の8割を沈める―
ケストレル「敵部隊撃沈確認しました!残存戦力をお願いします!」
ケストレル「敵部隊の殲滅を確認しました。これより索敵範囲を広げます」
伊8「凄いです。これがオーシアの空母の実力なんですね」
羽黒「音速戦闘機ってこんなに火力が大きいんですね」
球磨「敵がほとんど何も出来ずに沈んでいったクマー」
響「圧倒的航空戦力ほど怖いものはないね」
暁「一人前のレディになるためにはこんな力も求められるのかしら」
ケストレル「ラーズグリーズ隊と共に戦った空母は伊達じゃないですよ。さぁ、さらに索敵範囲を広げます。ラファール、発進!」ゴォォ!
伊8(ケストレルの艦載機はラーズグリーズ隊がベースなのかな)
羽黒(でもラーズグリーズ隊の皆さんは、ケストレルよりも地上から発進することが多かったと言ってましたよ)
球磨(でも飛び方がブレイズに似てる気がするクマー)
響(そうだとすると、ケストレルの艦載機は全部ブレイズ級ってことになるね)
暁(そんなのに誰も勝てる気がしないわ)
ケストレル「?先の海域はクリアです。皆さん進みますよ!」
『了解』
――――――
蒼龍「敵の本陣だし、それだけ敵だって本気ってことでしょ。私達だってここからよ!」
リムファクシ「飛龍さん、蒼龍さん、艦載機をすぐに戻してください。無理なら高度5000フィートまで上昇させてください!」
飛龍「クラスターミサイルを使う気なの!?」
蒼龍「巻き添えを喰らったらアウトね。みんな上昇して!」
リムファクシ「クラスターミサイル、発射します!」バシュゥゥゥゥン
―リムファクシの発射したクラスターミサイルが上空で炸裂、敵艦隊に向かってミサイルの雨が降り注ぐ。その威力は凄まじく敵部隊のほとんどが撃沈、または航行不能に陥る―
リムファクシ「私のミサイルは再装填まで時間がかかります。残存戦力の殲滅をお願いします!」
川内「そうは言ってもほとんど残ってないよね」ドォン!
漣「なにこれ怖い。もうリムファクシ一人でいいんじゃないかなぁ」ドォン!
鳥海「とはいえ、増援が来られると大変です。確実に沈めます!」ドォン!
リムファクシ「敵部隊殲滅を確認しました。索敵範囲を広げますね」
ビーグル『シンファクシ級のクラスターミサイルは再装填に時間がかかる。くれぐれも下手に突っ込みすぎるなよ。火力はこちらが上だとはいえ、油断すれば沈めかねられん』
リムファクシ「了解です!」
蒼龍「話には聞いてたけど、クラスターミサイルって本当に凄い威力よね」
鳥海「そうですね。私は敵のクラスターミサイルの直撃を受けましたけど、正直沈まなかったのが奇跡なぐらいです」
飛龍「鳥海ちゃんも不沈艦の仲間入りね。まさか多聞丸もこんなとんでもない戦闘になるなんて予想もしなかっただろうなぁ」
漣「ユークトバニアのチート級火力ワロエナイ。これ沈めたラーズグリーズ隊とはいったい…うごごごご」
川内「これじゃ夜戦にならないね。私の活躍の場が全然無さげだよ」
リムファクシ「夜まで悠著に捜索している時間なんてありませんよ。早く見つけないと」
川内「わかってるって!夜戦はしたいけど、核ミサイル撃たれたらそもそも戦闘どころじゃなくなっちゃうからね!」
リムファクシ「再装填までまだ時間がかかります。それまで敵の相手をお願いします。ハリアー、発進します!」ゴォォ!
蒼龍「我が艦載機部隊も索敵再開よ!彩雲、発進!」ブゥゥゥゥゥン
飛龍「わっ!出遅れちゃう!こっちも発艦よ!」ブゥゥゥゥゥン
――――――
アークバード『先に出てきた敵部隊はシンファクシの部隊により殲滅。その他周辺に展開する部隊も各部隊により殲滅されていってます』
ナガセ「ソーグの様子はどう?」
アークバード『まだ姿を現してません。索敵範囲を広げていますが、未だ発見されていません』
スノー「燃料と弾薬の消費を待っているのかもしれんな」
グリム「けど、迎撃しないとこっちがやられてしまいますから」
ブレイズ「現状の戦力展開を見る限り、補給部隊も近づけずにいるな。囲い込みをかける気なのか」
スノー「どうするブレイズ。穴を開けるか?」
ブレイズ「いや、俺達はソーグの捜索を行う。なにか嫌な予感がする」
スノー「了解だ。さっさと片付けてしまうか」
グリム「索敵範囲がまだ及んでない海域は……ここですね!」ピッピッ
ナガセ「アークバード、引き続き空から監視をお願い。私達は敵部隊を抜けて一気に索敵範囲を広げるわ」
アークバード「了解。データは随時送ります。敵はいつ展開してくるかわかりません。十分警戒してください」
『了解!』
ブレイズ(さっきから妙な胸騒ぎがする。嫌な予感が当たらなければいいが…)
―――――
―――
―
ブレイズ「敵艦隊を発見した。相手は戦艦、巡洋艦クラスと空母が数隻!」
ビーグル『こちらより防衛網が濃いな。迎撃は可能かね?』
スノー「これぐらいの相手なら問題ありませんよ。燃料、弾薬ともにいけます」
ビーグル『では可能な限り迎撃を行え!今ケストレルの艦隊と赤城と加賀の艦隊がそちらの援護に向かっている。燃料と弾薬を無駄使いするんじゃないぞ!』
『了解!』
ナガセ「艦載機の発艦を確認。…戦艦からも艦載機が発進!?航空戦艦がいるっていうの!?」
ブレイズ「恐らく話には聞いていた戦艦レ級と呼ばれているやつだろう。艦載機を迎撃しつつ、航空機運用艦を重点的に潰すぞ!」
グリム「了解!こっちはお前達に構ってる暇なんかないんだぁ!」ドガガガガガ
ナガセ「道を開けてもらうわよ!あなた達に核は使わせない!」ドガガガガガ
スノー「やっかいなレ級とやらから潰させてもらうぞ!ソーズマン、フォックス2!」バシュゥゥン
―横須賀での演習を経て個人の技量がレベルアップしたラーズグリーズ隊は次々と艦載機を落とすが、敵の本拠地とも言える場所は伊達ではなくその物量差は凄まじいものである―
スノー「クソッ!次から次へとキリがないぞ!」
ナガセ「ダメよブレイズ!TLSは対ソーグ用の切り札だから今は使うべきじゃないわ!」
ブレイズ「このままでは物量差で押されるだけだ。空を開ける!」
赤城「その必要はありません!第二次攻撃隊、発艦してください!」
加賀「ラーズグリーズ隊との演習の経験は伊達じゃありません。心配いらないわ」
グリム「赤城さん!加賀さん!」
ケストレル「F-35飛行編隊発進!ラーズグリーズ隊を援護してください!」
ナガセ「ケストレルも来てくれたのね!」
ケストレル「ここは私達に任せて先に抜けてください!」
―赤城、加賀の艦隊とケストレルの艦隊が合流。押されていた戦力差が反転し一気に押し返す―
比叡「スノー大尉がレ級にダメージを与えてくれていたおかげでかなりこちらが有利です!このまま!一気に!いきます!」ドォンドォン!
愛宕「赤城さんと加賀さんに、ケストレルさんのおかげで制空権もバッチリね!主砲、撃てー!」ドォンドォン!
ブレイズ「わかっている。ここは頼んだぞ!全機、先の海域に向かうぞ!」
一同『了解!』
伊401「待ってください!敵潜水艦を発見しました!クラスターミサイル搭載艦と思われます!」
スノー「何っ!?ここにいやがったのか!」
伊401「艦隊の後退は間に合わない。アークバードさん!」
アークバード「座標確認しました。レーザー照準開始します」
バシュゥゥゥゥゥン
グリム「ミサイル発射を確認!ダメです!アークバードのレーザー照射、間に合いません!」
ナガセ「全機空に上って!艦隊は対ショックを!気休めでもいいからダメージを最小限に食い止めて!」
ブレイズ(集中しろブレイズ。ミスは許されない……。ここだっ!)
ブレイズ「させるかっ!」カチッ
―ファルケンのTLS照射。クラスターミサイルは上空で炸裂する前にレーザーの直撃を受けて撃墜される。ブレイズの凄まじい集中力と腕があってこそなされる神業である―
ドゴォォォォォン!
ナガセ「クラスターミサイル、ブレイズのTLSにより撃墜を確認!」
伊8「敵シンファクシ級、移動しつつ浮上を開始しています!」
アークバード「わかりました。ブレイズ、敵のシンファクシ級が出てきたということはこの付近が敵の本拠地と思われます。気をつけてください」
ブレイズ「了解した。各艦、敵シンファクシ級に潜行させるな!潜られたらクラスターミサイルを撃たれるぞ!敵から絶対に目を離すな!」
『了解!』
―敵部隊の殲滅を味方に任せ先の海域へ進もうとしたその時、猛スピードで接近する複数の機影をレーダーが捉えた―
グリム「敵機補足!この速度は…間違いありません、航空機です!」
ナガセ「それもかなりの速度。今までの空母の艦載機の速度じゃないわ!」
ケストレル「私の艦載機が相手をします!トムキャット部隊、発進!」ゴォォ
ブレイズ「アークバード!」
アークバード『機影を完全には捉えられませんが、形状、それに音速に近い速度が出ていることからジェット機の可能性が高いでしょう』
スノー「相手も出してきたということか」
ケストレル「…ッ!損傷機発生!トムキャット部隊の攻撃網、抜けられました!こちらに真っ直ぐ向かってきます!」
ナガセ「ケストレルの艦載機の攻撃網を抜けたですって!?」
ブレイズ「どうやらこの先が目的地になりそうだが、すんなりとは行かせてもらえなさそうだな。各機、ここで迎撃するぞ!味方の艦砲射撃に巻き込まれるな!」
ラーズグリーズ隊一同『了解!』
スノー「Su-32だと!?」
ナガセ「この機体を使っている部隊と言ったら…」
ブレイズ「グラーバク隊かオヴニル隊だ!まさかベルカの連中なのか!?」
グリム「灰色の男達が生きていたなんて!」
ナガセ「違うわ。よく見て!細部に深海棲艦の艦載機と似たようなものが付いてるわ!」
スノー「深海棲艦の技術で改造された戦闘機ってことか!」
ブレイズ「ベルカの連中の無念が具現化したということか!各機、散開して各個に迎撃だ!固まっていたらやられる!」
『了解!』
ケストレル「こちらも援護します!ラファール、スーパーホーネット混成編隊、発進!」ゴォォ
シンファクシ「敵部隊をここから引き離して!ここじゃ味方を巻き込むからクラスターミサイルを撃てないわ!」
ブレイズ「わかっている!チャンスだと思ったらクラスターミサイルを撃ってくれ!」
アークバード『1機猛スピードで接近する機体があります。ラーズグリーズ隊の有視界域到達までおよそ1分です』
ナガセ「アークバード、その機体の詳細はわかる!?」
アークバード『データ照合の結果、MiG-1.44と同型と思われます』
ブレイズ「MiG-1.44だと!?クソッ!こんなときに!」
―MiG-1.44が戦闘空域に到達。その機体は他に目もくれず真っ直ぐにブレイズの元へ向かっていった―
スノー「あの機体、ブレイズの方に向かってるぞ!」
『ブレイズゥゥゥゥゥ!!』ドガガガガガ
ブレイズ「くっ!」チュイーン!
ナガセ「ケストレル!」
ケストレル「ダメです!他の護衛機が邪魔で援護できません!」
グリム「隊長!?」
ブレイズ「こいつは俺が相手をする!皆はSu-32とハリアーに集中してくれ!ソーグを発見することが最優先だ!」
ナガセ「くっ!了解…!」
ブレイズ「ちっ!かなりの技量のパイロットか!」ドガガガガガ
???『我々ハ戦争ヲ望ンデイタンダァァ!』チュイーン!チュイーン!
ブレイズ「この声…ハミルトンか!」
ハミルトン『オ前サエ落トシテシマエバ!』バシュゥン!
ブレイズ「ちぃ!」フォォン!
―ブレイズを執拗に追い回すハミルトン機。ブレイズは徐々に味方から引き離されていく―
グリム「隊長が編隊から離されていきます!」
ナガセ「どうにかして援護を…ッ!邪魔よ!」バシュゥン
スノー「ソーズマン、フォックス3!ブレイズを孤立させるのが狙いか!」ドガガガガ
ブレイズ「ハミルトン!もうこの世に灰色の男達はいない!何故また戦争をしようとする!?何故核の悲劇を繰り返そうとするんだ!?」
ハミルトン『最早世界ノ覇権ナドドウデモイイ!全部破壊シテヤルンダロウガヨォ!』ドガガガガガ
ブレイズ(最早自分の思い通りにならなかった世界への恨みだけで動いてるのか。なんとかしないと…)
ブレイズ「!?何をさせる気だ!」
ハミルトン『邪魔ナ物ヲ排除スルンダヨ!ブレイズハココデ指ヲ咥エテ見テルンダナァ!』バシュゥン!
ブレイズ(この位置ではTLSのレンジ外だ。ハミルトンの狙いはアークバードのエネルギーを使用させ、再充電の間に核を発射することか!)フォォン!
ブレイズ「各艦!シンファクシ級を最優先で沈めるんだ!敵の狙いはアークバードの特殊兵装を使用させることだ!」
『了解!』
ハミルトン『オ前ハ行カセンゾ!オ前ノ相手ハ俺ガ直々ニシテヤッテンダカラヨォ!』ドガガガガガ
ブレイズ「くっ!やはり手強い。だがお前に構っている暇はない!さっさと落とさせてもらうぞ!」チュイーン!チュイーン!
金剛「潜行はさせないヨー!Fire!」ドォンドォン
扶桑「浮上している今、徹底的に狙います。瑞雲発艦と同時に主砲、副砲、撃てぇ!」ドォンドォン
伊19「海の中にはイかせないのー!魚雷発射するのー!」ドシュゥン
摩耶「艦載機のVTOL機なんかブレイズ達に比べれば止まって見えるぜ!落ちろぉ!」ダダダダダ
足柄「まずいわ!シンファクシ級が潜行を開始してるわ!水雷戦隊、雷撃用意!確実に当てるのよ!撃てぇ!」ドシュゥン
ドゴォォォォォォン
大和「敵潜水空母、大破確認!潜行不能です!」
瑞鶴「やったわ!これで海中からのミサイル発射は封じたわ!」
ブレイズ「艦娘の実力を甘く見たな。これでミサイルは撃てなくなったぞ!」
ハミルトン『……シンファクシ級、オ前ノ任務ヲ果タセ!』
ブレイズ「悪あがきを!お前の野望はここまでだ」ドガガガガガ
ハミルトン『撃テェ、シンファクシ級!ナンノタメニオ前ヲ蘇ラセタト思ッテイル!』ビシッ!チュイーン!ビシッ!
シンファクシ級「」ギギギギ
加賀「ミサイルの発射口開口確認。撃たせるわけにはいかないわ」
武蔵「全艦、一斉射!トドメを刺すぞ!撃てぇ!」
―艦隊による一斉射。しかし…―
バシュゥゥゥゥゥゥン!
ドゴォォォォォォォン
比叡「敵潜水空母撃沈です!けどミサイルが!」
長門「総員対ショック!気休めでもかまわん!少しでもダメージを減らすんだ!」
龍驤「艦載機の皆は5000フィートまで急いで上るんや!」
ハミルトン『ヨクヤッタ!ソレデイイ、ソレデイインダシンファクシ級!』
ブレイズ「味方を犠牲にしてまで俺達を滅ぼしたいのかお前は!」
ハミルトン『世界ガ手ニ入ラナイナラ滅ボスダケダ!ソレノ何ガ悪イ!』
ブレイズ「お前みたいな奴がいるから平和が続かないんだ!落ちろぉ!」バシュゥン!
ハミルトン『ナンダト!?避ケキレナイ!クソォォォォ!』
ドゴォォォン
ブレイズ「ミサイルは!?」
ナガセ「ミサイル高度上昇中!高度3600…4300…」
グリム「ミサイルが高度5000フィート突破!まだ加速しています!」
スノー「こいつはクラスターミサイルじゃないぞ!弾道ミサイルだ!」
ブレイズ「弾道ミサイルだと!?…そうか!敵の狙いは艦隊じゃない!避けろアークバード!」
アークバード『クッ…!ブースター点火。回避運動開始』
ブレイズ「ダメだ!間に合わない!」
ハミルトン『ブレイズゥゥゥゥゥ!!』ゴォォ!
ブレイズ「ミサイルの直撃を受けてまだ動けるというのか!?」
ハミルトン『キサマダケハ…キサマダケハ道連レダァ!』
ブレイズ「カミカゼ!?回避をっ!」
ドゴォォォォォォォン
アークバード『くぅッ!ミサイル直撃。推進力低下』
スノー「アークバード!?」
アークバード『まだです。まだ落とされたわけでありません。ソーグを撃つまでは…』
ナガセ「ブレイズ!?」
ブレイズ「クソッ!ダメージで操縦が!」
ハミルトン『先ニ地獄デ待ッテイルゾ。ブレイズゥゥゥゥゥ!!』
ドォォォォォォォン!
ブレイズ「ダメだ。ハミルトンのカミカゼのダメージで全ての機器がダウンしている。海上に不時着する」
ナガセ「システムダウン!?脱出してブレイズ!そのままじゃ不時着は無理よ!」
スノー「ファルケンは後で回収すればいい!ベイルアウトするんだ!」
ブレイズ「ベイルアウトも無理だ。さっきからやってみているがフレームが歪んでるのか作動しない」
???『機体から飛び降りて!』
ブレイズ「なんだこの通信は!?」
???『ブレイズ。私を信じて機体から飛び降りて!』
ブレイズ「ハッチは衝撃で割れている。誰かはわからんが、信じるぞ!」カチャッ!
スノー「ブレイズがハッチの割れた場所から飛び降りようとしてる!?」
グリム「隊長!?」
ブレイズ「パラシュートはある。頼むぞ!」バッ!
ヒュゥゥゥ!
ドサッ!
ウィィィィン!
ブレイズ「いつつ…。何が起きたんだいったい…。それにこれは…コックピット!?」
???「ブレイズ、説明してる暇はないわ!さっさとソーグを落とすわよ!」
ブレイズ「このコックピットは…!」
―――――
―――
―
ケストレル「あなたは本来艦載機ではないけど、ブレイズのために行ってほしいの」
ケストレル「無茶かもしれないけど、あなたなら飛べるわ。飛べるはず!」
ケストレル「あなたはブレイズの愛機。いけるはずよ!」
ケストレル「だから行って!ブレイズ達を助けてあげて!」
ラプター…
―――――
―――
―
???「ブレイズ、説明してる暇はないわ!さっさとソーグを落とすわよ!」
ブレイズ「このコックピットは…!」
???「ブレイズ!」
ブレイズ「っ了解!」カチャッ!
ブレイズ「ブレイズ、ラプター、行くぞ!」
ラプター「了解よ!」ゴォォォォォ!
このスレッドは2機のコストで3機生産
技術のグランダー社の提供でお送りします
本編でも新年ネタでもなんでもないですが>>340を見て(余計なことを思いついて)ネタが出来上がったので投下したいと思います
ていうかそんなAAあったんだ…
では投下します
ヒャッハー!ここで全力でネタに走るのさ。いっけぇー!
―――最新鋭機っていいよね!―――
瑞鳳「ねぇケストレルさん」
ケストレル「なんですか?」
瑞鳳「ケストレルさんの積んでる艦載機って最新鋭機のものですよね?」
ケストレル「ええ、F-35はもちろん最新鋭機ですし、ラファールとかスーパーホーネットとかは今でも現役の機体ですよ」
瑞鳳「それってやっぱりお高いですよね?」
ケストレル「そりゃあダッソーとかボーイングとかから直接買い付けたら高いですけど、オーシアではグランダー社から買ってましたから普通より安かったですね」
瑞鳳「どれぐらい安かったんですか?」
ケストレル「戦闘機自体安いと言える代物ではないですけど、グランダー社の売りは『2機のコストで3機生産』でしたから、それなりに安かったみたいですよ」
瑞鳳「え!?2機発注したら3機目まで付いてくるってこと!?」
ケストレル「そんなどこかのテレビショッピングみたいな感じではないですけど、とにかくコストが低いのでグランダー社に発注して戦闘機を作ってもらってましたね」
瑞鳳「それって日本からでも発注出来ます?」
ケストレル「出来るとは思いますけど、政府を通さないと問題が起きると思いますよ」
ケストレル「でもグランダー社は実機を生産してるのであって、艦娘用の艦載機は生産してませんよ」
瑞鳳「そこはほら、VTOL機とかあるでしょ?ハリアーだっけ?あれなら使えそうだし」
ケストレル「確かにハリアーは垂直離着陸が可能ですけど…」
瑞鳳「それにここで頼むついでにハリアーが増えればラーズグリーズ隊の助力にもなるし!」
ケストレル「いや、ハリアーは海軍や空軍というより海兵隊が使うことがセオリーなんで…」
瑞鳳「ケストレルⅡには海兵隊のメンバーはいないんですか?」
ケストレル「海兵隊部隊のシー・ゴブリンの皆さんはオーシアで活動しているのでここには来てないですね。それにハリアー使うことよりオスプレイの方が使用機会多いですから」
瑞鳳「でもまぁラーズグリーズ隊が使わないなら皆で使えばいいし…。よし!提督に相談してこよっと!」タタタッ
ケストレル「あ、ちょっと!あぁ、行っちゃった…。大丈夫かしら…」
瑞鳳<提督!最新鋭機が欲しいの!発注してよ!
提督<つい最近烈風改や紫電改二を造って瑞鳳には乗せたではないか。それで十分だと思うが?
瑞鳳<違うの!ケストレルさんが使ってるような戦闘機が欲しいの!
提督<スキージャンプはおろか蒸気カタパルトを搭載していない君達では運用は不可能だよ
瑞鳳<それはわかってるからVTOL機が欲しいの!オーシアのグランダー社なら安く手に入るらしいから発注かけて!
提督<そうは言ってもだなぁ。君達の甲板は…
瑞鳳<お願い提督!戦果も上げるし、玉子焼きいっぱい作ってあげるから!
提督<う~む…
――――――
バートレット「なにぃ!?日本の艦娘用に戦闘機を造れだぁ?」
アークバード『ええ、なんでも日本の空母の艦娘に搭載したいのですが、こちらでは造れないのでバートレット提督にお願いしたいと』
バートレット「日本の艦娘の基準じゃあジェット機の搭載は無理だろ。第一積んだところで発艦出来ねぇぞ」
アークバード『横須賀の提督さん曰く『一度搭載させてやれば懲りると思うのでお願いしたい』とのことです』
バートレット「んなことのためにアークバードの衛星通信使ったってのかよ。ハァ…、わーったよ。造りゃいいんだろ?造りゃ」
アークバード『すみません、バートレット提督』
バートレット「まぁ横須賀の提督には借りもあるしな。出来上がったらこっちのやつに運ばせるから、数日待ってもらってくれ」
アークバード『了解しました。ではよろしくお願いします』
―――――
―――
―
瑞鳳「無理を言っちゃったけど戦闘機は頼んでもらったし、そろそろ届く頃よね」
ケストレル「バートレット提督は空母に運ばせると言ってましたけど、誰が届けに来るんでしょうか」
妖精「来客だよー。オーシアから荷物を持ってきたみたい」
瑞鳳「来た来た!」
ケストレル「私も行きます。誰が来たんでしょうか」
――――――
???「あ、はい。荷物はこちらでいいんですね」
ケストレル「ヴァルチャー姉さん!」
瑞鳳「え?姉さん?ケストレルさんと同型の方なの!?」
ヴァルチャー「あら、ケストレルじゃない。元気してたかしら?」
ケストレル「はい、元気で頑張っています。まさかヴァルチャー姉さんが届けに来るなんて思ってませんでした」
ヴァルチャー「私もまさか日本に行く日が来るなんて思ってなかったわ」
ヴァルチャー「ええ、そうよ。ケストレルと同じヒューバート級の航空母艦よ。ケストレルがお世話になってるみたいで」
瑞鳳「いえ、こちらこそ。ケストレルさんには色々助けられてますから」
ヴァルチャー「そう。皆さんと仲良くやれているようで安心したわ。あ、そうそう、これが荷物よ」スッ
瑞鳳「この中に艦載機が…」
ヴァルチャー「ええ、そうよ。まったく、バートレット提督は私をなんだと思ってるのかしら。航空機を輸送だなんてスーパーグッピーじゃあるまいし」
ケストレル「あ、あはは…」
ヴァルチャー「じゃあ私はもう行くわね」
ケストレル「もう戻られるんですか?もっとゆっくりしていったら…」
ヴァルチャー「そうは言ってもオーシアで任務があるのよ。忙しくて観光する暇もないのよ」
ケストレル「そうですか。この戦いが終わったら一緒に日本を観光しましょう!」
ヴァルチャー「そうね。次に来る時はスシとテンプラが食べたいわ。じゃあ元気でやるのよ」
ケストレル「はい!姉さんもお元気で!」
―――――
―――
―
瑞鳳「よし!ハリアー搭載完了!」
ケストレル「大丈夫でしょうか…」
ブレイズ「いや、多分大丈夫じゃないと思うが…」
グリム「ケストレルの様な蒸気カタパルトが無いにしても、VTOL機なら使えるんじゃないですか?」
ナガセ「そのVTOL機の特性がまずいと思うわ」
スノー「現代の空母は余裕で耐えられるが、確か艦娘の元々の甲板は…」
提督「まぁ一度発艦させれば懲りるでしょう。瑞鳳の新鋭機を欲しがる癖を直すいい機会ですよ」
ビーグル「提督がそうおっしゃるのなら我々は見守るだけですが…。ブレイズ、すまないがF-35に乗って一応“あれ”の準備はしておいてくれ」
ブレイズ「了解」ハァ
瑞鳳「よし!ここなら行けるわね!ハリアー、発艦!」ゴォォォォォォ
瑞鳳「凄い迫力!これよこれ!やっぱり新鋭機はいいわn…って、あれ?」チリチリ
瑞鳳「ちょちょちょちょっと!燃えてる!飛行甲板が燃えてる!消火消火!」メラメラ
瑞鳳「アチアチアチッ!発艦中止!誰か甲板の火を消してー!」メラメラメラ
提督「ではブレイズ、手はずどおり頼むよ」
ブレイズ『了解。消火剤投下!』ピッ
瑞鳳「は、早く消してー!全部燃えc」ドバッサー!
瑞鳳「」パチクリ
スノー「まぁ、ああなるよな」ワカッテハイタガ
ビーグル「ハリアーのペガサスエンジンは噴射角を変えることによって垂直離着陸が可能になった画期的なシステムではあるが…」ヨソウドオリダナ
ナガセ「超高温のガスを甲板に向かって噴射するわけだから、たとえ難燃加工された木材であってもあれだけ噴射されれば燃えるわよね」ソリャソウヨネ
ケストレル「それに着艦はもっとシビアですから、仮に発艦に耐えれたとしても着艦時に結局燃えてたでしょうね」ヤメトケバイイモノヲ
グリム「元々はジェット機が無い時代の空母でしたから木製やラテックスでも問題なかったんでしょうけど、さすがにジェット機だとそうはいきませんね」シヨウヒョウミナカッタノカナ
提督「木板の下は鉄板とはいえ、飛行甲板が燃える事態になったんだ。これで瑞鳳の新鋭機を欲しがる癖もマシにはなるだろう。いい薬だ」ムチャシヤガッテ
ブレイズ『一応任務は完了した。これより帰投する』ナンテニンムダ、マッタク
一同「ハァ……」ヤレヤレ
―――――
―――
―
瑞鳳「ハリアーは失敗だったけどこれならいけるはずよ!今度はこれ発注してもらうわ!」つ F-35Bの仕様表
ケストレル「いい加減懲りなさいよ…」
>>1の技量ではドタバタ劇なんて書こうとしても、小ネタ程度で終わってしまうのでこの程度までしか書けません
皆さんが今年1年良い年でありますように。
本編はあと少しですが、今年もよろしくお願いします。
―シンファクシ級から弾道ミサイルが撃たれたその時、少し離れた場所では深海棲艦側の計画が動き出そうとしてた―
???「ヨシ、シンファクシ級ハ弾道ミサイルヲ撃ッタヨウダナ。アークバードハ対応出来マイ」
???「ハミルトンノ奴はヨクヤッタ方ト言ッタトコロダナ。浮上開始シロ!」
???「…コレデ我々ノ望ミは叶ウ。ベルカヲ受ケ入レナカッタ者達ヘノ報復ダ」
―アークバードにミサイルが直撃すると踏んだ深海棲艦側はソーグの浮上を指示した。そして…―
ズォォォォォォォォ…
ザッバァァァァァァァ!
???「私モ出ル。不安ノ種デアルアイツラヲ落トサネバコノ報復ハ達成不可能ダ」
アークバード『…レーダーに反応がありました。間違いありません。ソーグが浮上してきました』
ブレイズ「場所は…ここか!」
ラプター「ブレイズ、急ぐわよ!」
ブレイズ「わかっている!アークバード、ソーグ浮上と同時に撃てるか?」
アークバード『先ほどの弾道ミサイルのダメージでエネルギーの充填システムに異常が出ていますが、やってみましょう』
ブレイズ「俺たちも急ぐ。頼んだぞ!」
スノー「やはり先ほどのミサイルが浮上のタイミングだったか」
グリム「急がなきゃ!でもこいつらが…!」
武蔵「ここは私達に任せろ!ラーズグリーズ隊はソーグへ急げ!」
摩耶「お前等との訓練で音速機との戦闘はバッチリなんだからよ。キッチリ決めてこい!」
ケストレル「私達が援護します!皆さんはソーグへ!」
ナガセ「…わかったわ。皆お願いね。相手はベルカの飛行部隊よ。油断はしないでね!」
スノー「ファルケンの回収も頼んだぞ!ナガセ、グリム、行くぞ!」
グリム「了k…くぅっ!邪魔だ!」ドガガガガガ
夕立「ロックオンっぽい!?ラーズグリーズ隊の邪魔はさせない!」ダダダダダ
古鷹「私達が相手になります!さぁ、早く行ってください!」ダダダダダ
―ナガセ、スノー、グリムが戦闘機を振り切ろうとしていたその時、1発のミサイルが飛来する―
バシュゥゥゥゥゥン
ドゴォォォォォォン
ブレイズ「急ぐぞ!今のアークバードではソーグを破壊しきるのは無理だ!俺達でなんとかするんだ!」
ナガセ「ブレイズ!」
ラプター「外すわけないでしょ?誰の機体だと思ってるのよ!」バシュゥン
ドゴォォォォォォン
スノー「Su-32が2機撃墜。これなら抜けれるぞ!」
グリム「ここはお願いします!行きましょう!」
大和「お任せください!空母機動部隊は戦闘機を!水雷戦隊は敵艦隊を狙ってください!」
―――――
―――
―
アークバード『そうはさせません』
カッ!
ドォォォォォン!
???「アークバードダト!?」
アークバード『くぅっ!』ボン!
―ソーグが核ミサイルを発射しようとしたその時、アークバードの特殊兵装の攻撃が命中する。しかしエネルギーシステムに異常が出ていた状態での発射は威力が不十分であり、かつアークバードには負荷が大きいものであった―
アークバード(やはりエネルギーシステムのダメージの負荷が大きい。特殊兵装はあと1発が限界といったところでしょうか…)
???「忌々シイ白イ鳥メガ!」
バシュゥゥゥゥゥン
ドゴォォォォォォン
???「オノレ、ラーズグリーズノ亡霊共ガ!」
グリム「ミサイル命中!ダメージ軽微!」
スノー「やはりデカイ分、装甲も堅くなってやがるな」
ナガセ「護衛機も出てるわ。グラーバクカラーのSu-32…。グラーバク戦闘機隊のようね」
ブレイズ「ベルカの連中には構わなくてもいい!ソーグのみに集中するんだ!」
『了解!』
???「コノママデハ的二ナルダケダ。ソーグヨ!上昇シツツ日本二向ケテ飛ベ!」
ブレイズ「この声は、大統領を誘拐した時のあいつか!」
ナガセ「ソーグが移動を開始してるわ!」
グリム「あの時みたいに最悪日本に直接ソーグを落とす気なのか!?」
ベルニッツ『深海棲艦ノ技術ヲ集メタ最高傑作ノソーグナラ、前回ノ様ニハ行カンゾ!』
スノー「ピンポイントにV2の発射口を狙うしかない。アークバードはどうだ!?」
アークバード『エネルギーシステムの異常が思ったより深刻な状態です。あと1発が限界でしょう』
ブレイズ「俺達だけでやるしかない。アークバードは最後までエネルギーを温存するんだ!」
アークバード『わかりました。ブレイズ、お願いします』
ブレイズ「大幅なチューンはされているとはいえ、基本構造は変わらないはずだ!ミサイル発sh…」ビーッ!ビーッ!
ベルニッツ『邪魔ハサセンゾ、ブレイズ!』バシュゥン
ラプター「今のままじゃ無理よ!せめてあいつだけでも落とさないと!」
ブレイズ「わかっている!しかしV2が…!」
グリム「クソッ!ロックしてもこいつらが邪魔で…!」
ナガセ「あなた達に構ってる暇なんてないのに…!」
スノー「せめて発射口さえ潰せれば!」
ベルニッツ『時間稼ギニ付キ合ッテモラウゾ、ラーズグリーズ!』ドガガガガガ
ブレイズ「クソッ!これでは近づけん」
ラプター「ブレイズ!」
ブレイズ「…ちぃ!ブレイズ、フォックス3!」ドガガガガガ
―ベルニッツの発射合図と共にソーグがV2の発射準備を行う―
ブレイズ「V2が!?せめて発射阻止だけでも!」
ベルニッツ『行カセルトデモ思ッタカ!オ前ノ相手ハコノ私ダ!』ドガガガガガ
ブレイズ「くっ!邪魔だ!」チュイーン
―V2の発射準備が終わり、今まさに発射されようとしていた―
ブレイズ「ダメだ!間に合わない!」
ベルニッツ『皮肉ナモノダナ、ブレイズ。元々ハ我々ベルカニ向ケテ造ラレタソーグガ二度モ貴様ラニ向ケテ使ワレル運命トハナ』
ブレイズ「せめてV2だけでもっ!」
『全艦、全砲門開け!目標SOLG!撃てぇー!』
―V2発射間際で艦隊からの艦砲射撃による援護。これによりソーグは発射準備のやり直しをせざる得ない状況となった―
ドゴォォォォォォン!
ベルニッツ『ナンダト!?』
ナガセ「皆!」
スノー「来てくれたのか!」
酒匂「核の悲劇はもういらないよ!それでも核を使うなら相手が人であっても遠慮しないよ!」
榛名「発射口を潰すのは無理でも、発射を遅らせることなら私達でも出来ます!」
グリム「これなら、皆がいてくれるなら僕達も!」
―SOLGは深海棲艦の技術により上昇、移動が可能にはなった。だが大気圏外から移動した前回と違い、今回は低空からの移動であった。それが仇となり艦隊の射撃が届く高度を移動することとなっていた―
ベルニッツ『オヴニル隊ノハイメロートヲ落トシタト言ウノカ!?旧世代ノ艦隊ガ』
ブレイズ「平和を望む者達の想いがこの結果に繋がったんだ!誰も戦争なんか望んでいないんだ!それをわかれ!」バシュゥン
ナガセ「あなた達はこの時代に必要無い人達なのよ!」バシュゥン
グリム「信じていれば、仲間は増えるんだ!もう戦争なんかたくさんだ!」バシュゥン
スノー「ベルカの時代は終わったんだ!あの世に帰りやがれ!」バシュゥン
ドゴォォォォォォン
ベルニッツ『コレガ我々ノ運命ダト言ウノカ。ダガセメテ日本ダケハ手土産ニモラッテイクゾ』
ベルニッツ『我々ニ…ベルカニ勝利ヲ…!』
ドゴォォォォォォン
ブレイズ「目標撃墜!残りはソーグのみだ!」
扶桑「私達も追えるところまでは追撃します。ラーズグリーズ隊の皆さん、お願いします」
武蔵「全艦、休まずソーグを撃て!ラーズグリーズ隊のソーグ破壊の援護だ!」
那智「間違ってもラーズグリーズ隊に当てるんじゃないぞ!」
―全艦隊による一斉射撃によりソーグは徐々にダメージを負っていく。しかし推進力に衰えは見られず、徐々に日本に向かって進んでいく―
時雨「ダメだ!このままだと引き離されちゃう!」
加賀「私達は推進システムを狙うわ。皆は本体の破壊を続けて」
ケストレル「私の艦載機でソーグの発射口を狙っt」
???「なら俺の出番だろ!?」ゴォォ
ナガセ「この声は…チョッパー!?」
ダヴェンポート「久しぶりだな、ナガセ。ようやく乗り込めたぜ。ケストレルはせっかちだから俺が乗り込む前に艦載機発進させやがるから出番が遅れちまったよ」
スノー「ずいぶんと遅い出撃だな、ダヴェンポート中佐。もうひよっこではないんだろ?」
ダヴェンポート「ヒーローは遅れてやってくるものであります。スノー大尉殿」
グリム「チョッパー中佐…!」
ブレイズ「感傷に浸るのは後だ!今はソーグのV2の発射システムを破壊するのが先だ!」
ダヴェンポート「ブービーの言うとおりだ!さぁ行くぜ!Rock'n Roll!」
ブレイズ「発射機構は潰した。だがこれではまだソーグは破壊しきれない」
ダヴェンポート「艦隊の砲撃のダメージも中々入ってるはずなんだけどよぉ。こうも堅ぇときっついもんだぜ」
ナガセ「前方からソーグに向かって飛来する物があるわ!この軌道は…ミサイル!?」
グリム「日本本土方面からです!着弾します!」
ドゴォォォォォン
スノー「ソーグの推進力低下!一体誰が…?」
提督『聞こえるかね?君達が置いていってくれたラファールの巡行ミサイルをこちらで発射した。かなり無理矢理発射しているので3発が限界だが、援護にはなるだろう』
ブレイズ「日本から援護が…!」
提督『あと2発も発射した。あとは君達が頼りだ。頼んだよ』
ドゴォォォォォン
ナガセ「ソーグ側面にミサイル着弾!」
ダヴェンポート「今のミサイルでソーグにでっかい穴が開いたみたいだぜ!」
ブレイズ「よし!各機、ソーグに開いた穴に向かって集中攻撃だ!内部から破壊する!」
『了解!』
グリム「これで終わりだ!」バシュバシュゥン
スノー「落ちろ!フォックス1」バシュバシュゥン
ダヴェンポート「きっちり仕事させてもらうぜ!落ちな!」バシュバシュゥン
ナガセ「あなたの役目はもう終わりよ!」バシュバシュゥン
ブレイズ「核の悲劇は繰り返させるわけにはいかない!」バシュバシュゥン
ドゴォォォォォン
『了解!』
ブレイズ「アークバード!」
アークバード『応急修理は完了しています。最大出力で撃ちます。皆さんは離脱してください』
ブレイズ「了解!各機最大速度で離脱!巻き込まれるなよ!」
アークバード『さようならSOLG。願わくば、今度は平和な宇宙(そら)を一緒に飛べることを願います』
カッ!
ドゴォォォォォォォォォォン…
ッドォォォォォォォ
ナガセ「くぅっ!」ビリビリッ
ブレイズ「推力は落とすな!衝撃波で墜落するぞ!」ビリビリッ
ラプター「燃料切れ覚悟で飛ばしてるわよ!」
ォォォォォォン…
―核爆発の衝撃が収まり、ソーグのあった場所に巨大なきのこ雲が現れる。それはこの戦いが終わったことを意味した―
ナガセ「これでまた平和な世界に戻るのね」
ダヴェンポート「いや、まだだろうな。ベルカの連中はいなくなったけど、まだ敵の本拠地を完全に潰したわけじゃねぇからな」
スノー「確かに。深海棲艦の本拠地は完全に発見されていない。本当に静かな海になるのはまだ先になりそうだな」
グリム「今の技術では深海棲艦の本拠地を発見するのは難しいですね。でももう核を使われる心配は無くなったんじゃないかと思いますよ」
ブレイズ「深海棲艦は何故誕生するのか、まだ謎が多いこともある。だが今は帰ろう。皆が待っている」
ビーグル『皆、ご苦労だった。こちらでもソーグの破壊は確認した。よくやってくれた。幸い周辺に被害が及ぶことの無い場所での破壊だったことで日本にも被害は及ばないそうだ』
ビーグル『これでベルカとの因縁も終わりだ。皆ケストレルⅡに帰艦してくれ。着艦は…出来るな?』
『了解!』
武蔵「終わったな」
大和「ええ、これで核の脅威に怯えることは無くなったはずよ」
赤城「けど、まだ深海棲艦は現れるでしょうね」
妙高「人間にも海を荒らす人はいます。もしかしたら深海棲艦はそういう人に向けた警告を発しているのかもしれませんね」
電「それでも人は反省はするのです。悪い人達でもきっとわかってくれる日が来ると思うのです。だから、皆を助けたいのです!」
吹雪「私達が出来ることをこれからもやっていきましょう!」
矢矧「そうね。私達に出来ることをやるだけね。小さなことからでもやれることを」
加賀「一人一人が意識してやればきっと出来るわ。皆でやればどうにかなることをラーズグリーズ隊が体現してくれたわ」
金剛「皆さん!帰りまショウ!テートクが待ってくれてるネ!」
大和「そうね。帰りましょう!全艦、横須賀に向けて帰投するわよ!」
『了解!』
―――――
―――
―
―ソーグ破壊任務を無事に終え、鎮守府では祝賀パーティーが行われた。皆は核の脅威が去ったことに歓喜した。そして数日が経った…―
提督「もう行ってしまわれるのですか」
アンダーセン「深海棲艦の力は衰えたとはいえ、まだ完全に殲滅したわけではありませんのでな」
ビーグル「それに我々はオーシアの人間です。いつかはオーシアに戻らねばなりません」
提督「そうですか。この度は我々の支援を受けていただいて、本当にありがとうございました」
アンダーセン「我々こそ提督の支援が無ければ深海棲艦にやられていたことでしょう。それにラーズグリーズ隊を始めとしたオーシア、ユークトバニアにも助力していただいた」
ビーグル「あなたがいなければこの戦いは負けていたでしょう。こちらこそ感謝いたします」
提督「またいつか、今度は静かな海でお会いしたいです」
アンダーセン「平和になったその時は今度はオーシアに皆と来ると良いでしょう。我々は歓迎いたしますよ」
提督「ええ、その時は是非お願いいたします」
提督「どうぞ、入りたまえ」
クルー「失礼します。艦長、ケストレルⅡ出港準備完了しました!」
アンダーセン「そうか。では我々は行くとしよう」
ビーグル「長い間お世話になりました。これからもどうか御武運を」
提督「こちらこそ。オーシアへの航海が無事に終わることを」
―――――
―――
―
スノー「これで俺達の役目も終わりか」
グリム「長かったようで短かったですね」
ナガセ「でもまだ私達には役割がありそうね」
ブレイズ「今後は俺達が主力ではなく、あの艦娘(こ)達が海を守っていくだろう」
グリム「そうですね。けど守られっぱなしというわけにもいきませんよね」
ナガセ「そうね。私達にも出来ることをやっていかないとね」
スノー「ところでダヴェンポートはどうした?」
ブレイズ「あれはある種の妖精化したようなものらしい。今はケストレルの中に納まって出て来れないらしい」
ナガセ「なんか、あまり考えたくない状態ね」
グリム「チョッパー中佐が妖精って…。まぁ出てきたら出てきたで、オーシアに戻ったらバートレット大尉に色々言われることになるでしょうね」
ブレイズ「そのバートレット大尉だが、今回のことで昇級して大佐になったらしい」
ナガセ「あら、それじゃオーシアに戻ったらお祝いしないといけないわね」
スノー「バートレット大尉…いや、大佐のことだ。照れくさがるだろうな」
グリム「バートレット“提督”と言われることすら照れていたらしいですからね」
ビーグル「出港準備が終わったぞ。まもなく出航だ。皆ケストレルⅡに乗船してくれ」
『了解!』
クルー「機関異常無し!ケストレルⅡ発進準備完了です!」
アンダーセン「よし!ケストレルⅡ、オーシアに向けて出航!」
クルー「了解!ケストレルⅡ発進!」
スノー「見送りも盛大だな」
グリム「こうして見ると、本当に艦娘って多いですね」
ナガセ「彼女達がこれからの日本を守っていく大きな存在になるわね」
提督「オーシア軍の多大な支援に感謝の意を表して、敬礼!」
ビシッ!
ブレイズ「日本の援護に感謝の意を表して、敬礼!」
ビシッ!
―――――
―――
―
―――オーシア・大統領官邸―――
コンコン
ハーリング「入りたまえ」
ガチャ
ブレイズ「失礼します。今日はどういったご用件でしょうか」
ハーリング「まずは君達の武勲を称えようと思う。本当によくやってくれた」
ナガセ「いえ、これも私達の任務ですから。平和の為に戦うのが兵士の役割です」
ハーリング「そう謙遜しなくてもいい。ラーズグリーズ隊ならやってくれると信じていたさ」
スノー「ラーズグリーズ隊の公表、ファルケンの凍結解除など、大統領のご決断があってこそ得られた平和です」
グリム「大統領のお力が無ければ、自分達は負けていたと思います」
ハーリング「私はただ君達にわずかな援護をしただけにすぎないよ。君達がこの平和を勝ち取ったんだ」
ブレイズ「もったいないお言葉です」
スノー「いったいどういったご用件ですか?」
ハーリング「うむ、日本からエアメールが来てな。ラーズグリーズ隊には再び日本に行ってもらう事になりそうでね」
グリム「またですか!?」
ナガセ「ベルカの脅威は去ったというのに、深海棲艦が力を増してきたんでしょうか?」
スノー「やはり本拠地を叩かねばならなかったということなのか…」
ブレイズ「日本からオーシアに支援要請ですか?」
ハーリング「そう早まることはない。このエアメールを見ればわかるよ」スッ
―そう言うと、ハーリングはブレイズに手紙を差し出した。手紙の内容は支援要請とは別のものであった―
『前略 ラーズグリーズ隊の諸君、先の戦闘では日本の支援を受けていただいて感謝する。各国の海の情勢も落ち着き、今や深海棲艦は一時期の様な勢いも見られなくなった。』
『これもラーズグリーズ隊の奮闘のお陰である。そこでラーズグリーズ隊には感謝の意を表して今度は日本に慰安目的で来てもらおうと思い、この手紙を出した。』
『艦娘の皆もラーズグリーズ隊に会いたがっている。大統領閣下にはラーズグリーズ隊に長期の休暇を与えてくれるよう進言している。』
『ラーズグリーズ隊がよければ再び日本に来てもらえないだろうか。皆心待ちにしている。良い返事を期待している。 横須賀鎮守府・提督より』
ハーリング「ベルカ事変から君達には休みと言える休みを与えれなかったのでね。丁度長期休暇を与えれる良いタイミングだ」
ナガセ「ブレイズ、断る理由なんてないわ」
グリム「そうですよ、隊長!せっかくの機会ですから行きましょう!」
ハーリング「他にもこちらからはケストレルとアークバードが、ユークからはシンファクシとリムファクシが同行する予定だ。どうだ、ブレイズ?この“支援要請”を受ける気はないかね?」
スノー「前はなんだかんだでゆっくりする機会なんてほとんど無かったしな。あとはブレイズの判断次第だぜ」
ブレイズ「…了解しました。ラーズグリーズ戦闘機隊、日本に向けて出発いたします!」
ハーリング「そう言ってくれると思っていたよ。出発は数日後だ。航空機のチケットも手配してある。準備を整えて日本に行ってくれたまえ」
『了解!』
To be Continued“Kantai Collection”
今まで見ていただいた方々、本当にありがとうございました。
最後に>>365でラファールの弾道ミサイルとなってますが、巡行ミサイルの間違いです。
最後の最後にまたやってもうた…
あと夜に、どこかで投下しようと思ってズルズルと投下せずにいたおまけを投下してこのSSは完全に終了となります。
遅筆で未熟な>>1にお付き合いいただきましてありがとうございました。
提督「隊長さんは様々な戦闘機に乗っていますが、軍用艦に興味はありませんか?」
ブレイズ「軍用艦ですか…。まぁあると言えばありますが、自分は船舶の免許は民間で動かせる小型艇程度のものしか持っていませんから。それがなにか?」
提督「そうですか。いえ、あなたの操縦技術を艦娘たちの動きに応用できないかと思いましてね。よろしければ同乗、もしくは操舵してもらえないかと考えてましてね」
ブレイズ「はぁ…。しかし大型船舶となると一人で動かすものではないので、提督の考えているようなことにはならないかと」
提督「そのための艦娘なのですよ。艦娘の戦闘技術向上のためにも一度操舵をお願いできませんか?同乗してアドバイスする程度でも構いませんので」
ブレイズ「そういうことでしたら自分に出来る限りの範囲になりますが協力します」
提督「ありがとう。なにか条件とか希望はおありですか?」
ブレイズ「そうですね…」
―――――
―――
―
雪風「ひぇぇぇぇぇ!」グィィィィ!
ブレイズ「砲撃しつつ取り舵で7時方向へ旋回!やつの背後に回りこむ!」
雪風「いやぁぁぁぁぁぁ!」グィィィィィィッ!
ブレイズ「その背中に撃ち込む!沈め!」
雪風「雪風は沈みませんっ!けどっ…!」ドン!ドン!
ブレイズ「敵艦の撃破を確認。11時方向へ急速旋回!」
雪風「この人ぉぉぉぉ!」グィィィィ!
ブレイズ「まずい!ロックオンされるぞ。3時の方向へ!」
雪風「振り回しすぎぃぃぃぃ!」グィィィィィ!
その場にいる一同(…駆逐艦ってあんな動きできたっけ?)
雪風「傾いてる傾いてる!!敵の攻撃じゃなくて自分の動きで沈んじゃいますぅぅぅ!」ドン!ドン!ドン!
ブレイズ「! やつの背後ががら空きだ!恐らくあいつが頭だ。傾いてる今のこの射角を利用して全弾撃ち込めぇ!」
雪風「まだ船体が安定してないですってばぁぁぁぁ!」ドン!ドン!ドン!ドン!
戦艦レ級「へ?」イツノマニソンナトコロニ?
ドゴーーーーーーーン!
ブレイズ「敵戦艦の撃破を確認。6時方向へ急速離脱!残りを片付けるぞ!」
雪風「もうイヤぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」グィィィィィィ!
―――――
―――
―
ブレイズ「軍用艦もなかなかいいものでした。勉強にもなりましたし、楽しかったですよ」ツヤツヤ
提督「そうですか。戦果も素晴らしく艦娘たちの戦闘技術も向上、そして資材も大量で我々は万々歳ですよ」
ブレイズ「それはなによりで」
提督「隊長さんがよろしければ、また別の機会に乗っていただきたいものですよ」
ブレイズ「自分でよろしければ是非こちらかもお願いしたいです」
提督「まさにこの鎮守府にとってもラーズグリーズの英雄ですよ」
ハハハハハハハ
―――――
―――
―
雪風「もう無理ぃ。何も思い出したくありません」グッタリ
大和「いったいなにがあったんでしょうか。被弾はしてないのに大破したみたいになってます」
陸奥「あなたたちは一緒に出撃してたよね?雪風だけいろんな意味でボロボロだけどなにがあったの?」
天龍「いや、まぁ…あれは、なんていうか…なぁ?」アンナノナシダロ
島風「あんな動き私は出来ないよ。速いとか遅いとかそういう次元じゃないよ」イロンナホウソクヲムシシテルキガスル
瑞鶴「取り回しの利く私の艦載機でもあんなの見たことないわ」ドンナハッソウシタラアンナコトニ
金剛「あんなHENTAI航法、英国でも見たことないデース」テイウカドコイッテモミレナイキガスルネ
雪風「HENTAIはイヤァァァァァァァァ!!」ガクガクブルブル
扶桑「いけない!トラウマに触れたみたいね。急いでドックへ!」
加賀「修復…は必要ないけどメンタルケアが必要ね」
阿武隈「急いで間宮さんと鳳翔さんを呼んで!手遅れになる前に!」
雪風「甲板が海面に触れちゃうぅぅぅ!それ以上曲げないでぇぇぇぇぇ!」
―まるで戦闘機のように扱うブレイズの航行に、深海棲艦はただただ圧倒され鎮守府は大きな戦果を上げることに成功した―
―しかし、その代償として一人の艦娘の心に大きな傷跡を残すこととなった―
―その後、艦娘たちの間ではブレイズが“ラーズグリーズの悪魔”として認識されることになる―
提督「今度の出撃には誰かに隊長さんに同乗してもらうから、よろしく頼むぞ!」
艦娘一同「「「絶対にイヤ!」」」
伊勢「あ~!やっぱり冬はこたつよねぇ」ヌクヌク
陸奥「そうよねぇ。このぬくぬくがいいわよねぇ」ヌクヌク
日向「こたつの熱で爆発とかしないだろうな?」
陸奥「やぁねぇ、大丈夫よ。こたつ程度の温度で爆発なんてするわけないでしょ?」
日向「それもそうか。では私も温まらせてもらおう」ヌクヌク
長門「みかんを持ってきたぞ。ついでにお茶も用意した」
伊勢「ありがとう、長門。さすがビッグセブン、よくわかってるわねぇ」
陸奥「どうせ私は爆発オチ担当よ」
長門「そう拗ねるな。ほら、みかんでも食ったらどうだ?」ヌクヌク
日向「甘くて旨いな。いいみかんじゃないか」モグモグ
伊勢「こたつで食べるみかんって本当に美味しいよねぇ」モグモグ
陸奥「それにお茶もよく合うわよねぇ」
一同「はぁ~~~~」マッタリ
伊勢「は~い。どうぞ~!」
ガチャ
ブレイズ「休んでいるところすまない。今から出撃してほしいんだが頼めるか?」
長門「出撃か。ならば行くしかないな」
伊勢「えぇ~。外寒いじゃないですかぁ。他の艦娘(こ)達じゃダメなんですか?」
日向「我侭を言うな、伊勢!これも任務だ」
陸奥「ブレイズ提督もこたつで温まりませんか?」
長門「陸奥!仕事だと言われているんだぞ」
ブレイズ「いや、構わん。休んでるところすまなかったな。今日はゆっくりしていてくれ」
伊勢「出撃無しですか!?やった~!」
日向「伊勢!」
陸奥「そうそう。私達だって休みたいのよ」
長門「まったく…。すまない、私だけでも出撃しよう」
ブレイズ「大丈夫だ。長門も日向もゆっくりしていてくれ。では、失礼する」ガチャ
パタン
ブレイズ「これで戦艦も全滅か。潜水艦も空母も重巡も軽巡も駆逐艦もダメ。これだけ冷え込んでは人間に近い艦娘ではやはり戦意は落ちるか」
ブレイズ「こうなったら仕方ないな…」
―――――
―――
―
金剛「Hey!テートク!こたつでみかんもいいケド、私達とティータイムにするネー!ってあれ?」
榛名「ブレイズ提督、いらっしゃらないですね」
霧島「どこかへ出掛けられたんでしょうか」
比叡「なにか買出しにでも行ってるんじゃないですか?」
金剛「ならきっとスグ戻ってくるネー!このまま待ってるネ」
――――――
ガチャ
足柄「提督、一緒に甘酒はいかが…ってあれ?金剛姉妹じゃない。どうしたの?提督は?」
金剛「テートクは出掛けてるみたいネ。足柄達はどうしたんデス?」
那智「いや、こうも寒いと仕事がはかどらないだろうと思って甘酒を差し入れに持ってきたんだ」
霧島「仕事中にアルコールはどうかと…」
羽黒「大丈夫です。その辺は考えてありますので、きちんとノンアルコールの物を用意してます」
妙高「けど、提督はどちらに出掛けられたんでしょうか」
比叡「重巡のところにもいなかったんですか?」
妙高「私達の所に出撃の命令を下しにいらしたんですが、私達が暖を取っているところを見て出撃を取り止めになられたんです」
榛名「いったいどちらに行かれたんでしょうか…」
ガチャ
翔鶴「失礼します。提督、差し入れをお持ちしま…って、みなさんどうされたんですか?」
金剛「テートクなら出掛けてるみたいネー。翔鶴達はどうしたんデス?」
瑞鶴「私達は提督の小腹が空く頃だろうと思って、焼きたてのお餅を差し入れしにしたのよ」
那智「空母の方にもいなかったのか?」
龍驤「だいぶ前にこっちにも来たんやけど、うちらがこたつに入っとるところを見て出撃命令を撤回してどっか行きはったで」
鳳翔「なんでも、軽巡のみなさんにも駆逐艦の娘達も潜水艦もダメだったと言ってましたね」
足柄「全部周ってるってことは、いったいどこに…って、あーーーーー!!」マドノソトヲガンミ
那智「どうした足柄。て、提督!?」マドノソトヲ(ry
金剛「テートクを見つけたデスか!?って、あそこにいるのって…!」マドノ(ry
翔鶴「間違いありません!滑走路のあれは提督の愛機F-22ラプターです!」マ(ry
霧島「まさか全員ダメだと判断してご自身で出撃なさる気では」
瑞鶴「どうやって追いかけるのよ!?相手はアフターバーナー未使用で音速を超えるスーパークルーズ可能なステルス機よ。彩雲だって追いつけないし電索にも引っかからないわよ」
榛名「提督の行き先に向かいましょう!とりあえず追いかけないと」
鳳翔「どちらに向かわれるかご存知なんですか?」
龍驤「うちは知らんで」
妙高「私達も知らないですね」
霧島「当然私達も知りませんよ」
金剛「とにかくなんとかするデース!」
――――――
ブレイズ「久々の空か。ラプター、出る!」ゴォォ!
――――――
羽黒「て、提督が離陸しちゃいました!」
那智「管制室に行って無線で連絡を取るしかないな。むやみに行動しても無駄足になるだけだ」
金剛「それデス!管制室に急ぐデース!」ダダダッ
―――――
―――
―
金剛「結局テートクは行き先を告げずに行っちゃったままデス。早く戻ってきてほしいネー」
羽黒「ご無事ならいいんですけど」
蒼龍「流石にF-22に追いつくのは無理があるから」
神通「提督はまだ戻ってこられませんね」
雷「きちんと言ってくれれば出撃したのに。司令官は詳細言わないんだから。もっと頼ってくれればいいのに」
伊58「まさか本当に自分で出るなんて誰も思わないでち。でもよく考えれば元々空軍の人だったんだから戦闘機に乗れて当たり前よね」
大和「あ、レーダーに反応が!提督が帰ってきました!」
利根「急いで滑走路に行くのじゃ!」
―――――
―――
―
キィィィィィィィィン……
プシュー
金剛「テートクーーー!」
高雄「ご無事ですか!?」
満潮「あんたいったい何考えてんのよ!?」
大淀「提督、お怪我はありませんか!?」
ブレイズ「大丈夫だ。俺も機体も損傷は無い」
扶桑「一体どちらまで行かれたんですか?」
ブレイズ「南方海域だ」
電「南方って、今この鎮守府が攻め込んでいる海域なのです」
摩耶「アタシらが苦戦してる海域じゃねぇか!んな危ねぇ所でなにやってたんだよ!」
ブレイズ「海域の制圧だ」
木曾「は?制圧?…まさかとは思うけどよ」
武蔵「南方海域の制圧が完了したとは言わないだろうな?」
ブレイズ「制圧完了だ。今後は南方海域の哨戒と中部海域に出るぞ」
ブレイズ「そうだ。他に出撃出来そうな者はいなかったからな」
伊勢「確かに休ませてもらったのは嬉しいけど、なにも提督自身が出撃しなくったって…」
ブレイズ「いつも皆に出てもらっているからな。今日みたいな冷え込む日ぐらい休ませても問題無いだろう」
日向「航空戦艦どころか、航空機だけで済まされるとは…」
曙「なに考えてんのよ、このクソ提督!司令官がいなくなったら鎮守府を誰が運営するってのよ!」
ブレイズ「任務である以上は誰かがこなさねばならない。それがたまたま俺だっただけだ」
ブレイズ「とにかく、いつまでもこんな寒い外にいることもないだろう。さぁみんな中へ戻って休むんだ。俺もラプターをハンガーに入れたら戻る」
艦娘一同(艦娘の存在意義ってなんだっけ……?)ドヨーン
―この一件以降、艦娘全員どんなに暑い日も寒い日も文句一つ言わず出撃するようになったとか…―
ブレイズ「ふむ、大規模作戦か。今度はファルケンで飛ぶ必要性がありそうだな」
艦娘一同「ブレイズ提督は出撃しないでください!!」
本当は新年1発目に投下したのも含めた小ネタのようなドタバタ劇を書いていくつもりでした。
最終的にエンディングは決まっていたのですが、もっとこんなほんわかするようなSSを書きたいと思っていたのですが、なにぶん>>1にはドタバタ劇を書く才能が無いらしく真面目に戦争してました。
だからと言って真面目なSSを書く才能があるとも思ってませんが…
ネタがあればもっと書きたいんですが、>>1の技量では本編を書き上げるだけで手一杯で小ネタすらもろくに浮かびませんでした。
ネタ募集してもよかったんだろうかと今になって思います。
では、これにて投下終了になります。
遅筆故に長い期間になりましたが、お付き合いいただき本当にありがとうございました。
日本・艦娘・鎮守府全般
艦娘は通常、人型として行動している。作戦海域付近までは人型として行動し、作戦が開始されると実際の軍艦の姿となり作戦遂行する。
これはステルス性を重視したとも言われているが、艦娘たちの意見とは若干の相違があるとも言われている。
船舶時に受けたダメージなどはそのまま人型に継続されてしまう。修理などは船舶形体となりドックで修復を受ける。
なお、人型時であっても回復はするが、ドックでの修復に比べると完治までに格段に遅くなってしまう。
燃料補給は軍艦時は通常の船舶同様に燃料の補給を受ける。人型時は食料を食べて補給する。化石燃料に比べ食料の方がコストが良いので補給時は人型になって受けることが大半である。
食料の大量消費による地域経済効果もあり、各地では鎮守府を好意的に受け入れられている。
国の軍事費用で賄われているため否定的な意見を述べる者もいるが、確かな経済回復と食料の自給率向上に大きく貢献しているためか、その意見が表立って出ることは少ない。
研究者の中には、この技術を応用した新たなエネルギー問題や、環境問題の解決、医療技術の向上に役立つのではと研究している
しかし、未知の部分が多いためか、解析に時間がかかり中々進まない研究に日々頭を悩ませている。
これを解析しきることができれば、深海棲艦の謎も解明されるのではないかと言われている。
環太平洋戦争にて副大統領や灰色の男達の暗躍により、泥沼の戦争を行っていた国。
しかしラーズグリーズ隊が平和主義者であるオーシアのヴィンセント・ハーリング大統領と、ユークトバニアのセリョージャ・ヴィクトロヴィッチ・ニカノール首相を救出したことにより事態は好転。
灰色の男達を筆頭とする戦争を望む者達を倒し、本当の平和を両国とも勝ち取る。
今SSにおいては、戦後復旧の最中に人道的、また経済的支援を受けていた日本から両国家に軍事支援の要請がくる
世界各国で深海棲艦による小規模の被害は報告されてはいたももの、両国共に未だ被害が無い状態であったため要請を受諾。
オーシアが人員、または船舶を、ユークトバニアが戦闘機や弾薬などを互いに出し合いこれに参加している。
しかし両国首脳陣も深海棲艦による攻撃に対し危機感を持っていたため、主力艦隊を出すことは出来なかった。
先の戦争でレジスタンスと行動を共にし、ニカノール首相を救出したジャック・バートレット大尉の手腕を買い、日本での諜報員として任命する。
バートレット大尉の表向き顔は、ニカノール首相を救出した英雄として、ユークトバニアへの支援要請などの交渉役となっている。
平和のために今出来ることを世界に示すために、両国家が協力し合い行動で示すために非公式部隊であった大統領直属部隊であるラーズグリーズ戦闘機部隊を公表することを決断。
これにユークトバニアが全面的にバックアップをすることで、世界に平和のためには協力し合うことが必要であると訴えかける狙いがある。
環太平洋戦争時において、アークバードの本来の目的と違った軍事利用、SOLGの件を踏まえ、戦後間もないこともあり宇宙開発計画は一時中断されている。
それに伴い、アークバードに近い武装面を持つ特殊戦闘機ファルケンも、国民の不安を払拭するために一時使用が凍結されている。
しかし、宇宙開発を諦めたわけではなく、あくまで戦後復旧が終わり、情勢が落ち着いたその時には宇宙開発計画を再開すると発表している。
基本は艦娘同様に人型の形状を持つ者もいるが、一部の軍艦などは人型とは程遠い外観をしている。
火力面では形状変化を問わず高いものの、防御面では被弾面積が広くなってダメージが大きくなってしまうため、これも艦娘同様に実際の軍艦クラスの大きさに変化し戦闘を行うことが多い
日本同様、未知の技術で作られているためか、装備面は第二次世界大戦時の基準に近いものの、防御面では現代の兵器をもろともしないほど頑丈である。
また武装面も装備に見合わないほど汎用性が高く、非常に優れた精度を持ち合わせている。これは艦娘同様、生命体における反応や脊髄反射的なものからきているのではと言われている。
火力面から見れば現代の軍艦等に劣るにも関わらず、各国で被害が続出しているのはこの非常に高い精度からくるものではないかと考えられている。
各国で解析作業は行われているものの、追い返すのが精一杯の状態であることと、イージスシステムでも早期に確実に捉えきれないほど神出鬼没であることが加わり中々進まないようである。
今のところ各国の沿岸に出没してくることは無いものの、いつ沿岸に現れてくるかもわからない状況に、各国は不安を抱いている。
最新鋭の防衛システムでも捉えきることが難しく、さらに沿岸の不安要素が各国が攻勢に出れない理由でもある。
何故日本を重点的に狙うのか、また世界中に攻撃しているのか、その行動目的などは現段階ではわかっていない。
若干矛盾点などはありますが、大まかには設定に沿えたのではないかと思います。
ありがとうございました。
元スレ
ブレイズ「日本からオーシアに支援要請ですか?」
ブレイズ「日本からオーシアに支援要請ですか?」
ブレイズ「日本からオーシアに支援要請ですか?」
ブレイズ「日本からオーシアに支援要請ですか?」
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コメント一覧 (43)
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- 2016年04月29日 17:12
- クロスかあ…
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- 2016年04月29日 17:25
- 俺、実は生前に鎮守府にも恋人がいたんすよ!帰ったらプロポーズしようと…花束も買ってあったりして!
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- 2016年04月29日 17:26
- まあまあまあまあ、やないの
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- 2016年04月29日 18:19
- ファルケンくらいしか役に立たなさそうだが
今から読んでみるか
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- 2016年04月29日 19:07
- エスコン要素もエスコンである必要も全く感じない
しかも同じようなSSが他にもあるなんて冗談言ってるんじゃないです
本当にプレイしたことあるの?このシリーズの作者
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- 2016年04月29日 19:16
- 母艦からラプター飛ばしたり空対空誘導弾で海上目標撃ったりツッコミが追い付かんな
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- 2016年04月29日 19:56
- 思ったより酷かった
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- 2016年04月29日 19:56
- エスコンの世界の誘導方式はすこし特殊でな、AWACSが直接指示してるのよ。空母からF-22も仕様ですよ。Ac2op参照
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- 2016年04月29日 21:11
- FOX1とFOX2の区別がつかないのか…(困惑)
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- 2016年04月29日 21:21
- 空母からラプターに文句言ってるやつはエースコンバットを何もわかっていない
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- 2016年04月29日 21:22
- え?空対空ミサイルをノーロックで敵に叩き込むのって普通じゃないの?それに母艦からラプターはケストレルがやったやん。
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- 2016年04月29日 21:24
- ラーズグリーズ隊なんだから5基準として、ケストレルから陸上機出せるのは最後の出撃時だけだったろ。
キャンペーンじゃなくフリーミッションならわからんでもないが
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- 2016年04月29日 21:36
- AMRAAM(AIM-120)って中距離空対空誘導弾なんですが。飛行機を落とす為のミサイルであって、艦に使うものじゃない。当然弾頭威力も小さい。
これで何とかなるなら、AMRAAMを凌ぐと言われているAAM-4(99式空対空誘導弾)を装備する空自が遅れをとる訳が無いでしょうに。
空対艦ミサイルなら、ASM-84空中発射型ハープーン、AGM-65マーベリックF型、J型など。日本製ならASM-2(93式空対艦誘導弾)、ASM-1C(91式空対艦誘導弾)、正式化が近いXASM-3がある。
-
- 2016年04月29日 21:39
- 艦これじゃない上に架空機に乗るけどエスコンの長編クロスSSが他にもあったりするよ。
act.1 派遣任務
をピクシブで検索すれば出てくる。
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- 2016年04月29日 21:44
- ごめんFOX3で機銃を撃った所でもうダメだった
-
- 2016年04月29日 22:28
- この作品続かないと思っていたのに、まさか完成させるとは…しかも続きでゼロの方まで書くって…ただの地雷だと思っていたら核地雷に化けやがった
読まなくて正解だったわ
※14
ISとクロスの作品がまだ続いていたのに驚きだわ。面白かったし、久々に読むか
-
- 2016年04月29日 23:08
- ※16
久々に戦闘やってる。展開のスピードは相変わらず遅いが考察は深いね。役一名片方の原作者に見せてやりたい位に。誰とは言わないけど。
欲を言えばやっぱ空の真の強者達の戦闘が少なめなんだよね。
-
- 2016年04月30日 00:15
- まだ読んでる途中でなんだが
今のところ、艦これとエスコンは混ぜるな危険だと思う
-
- 2016年04月30日 01:23
- ※17
ありがとう
続き読むのが楽しみになってきたわ
※18
今のところというより、今後もだと思うぞ。艦これとエスコンは調整が難しいし…特にエスコンの方が。他の作品を見るとキャラがメアリーになりやすいのが分かる
自分も書こうとしたけど断念したわ
-
- 2016年04月30日 05:11
- 読んでないけど米欄見る限りじゃやっちまった感じなの?
-
- 2016年04月30日 05:22
- 俺つえーが臭すぎて無理だわ
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- 2016年04月30日 09:02
- 大好き×大好きが決して良作になるとは限らない
いいお手本SSだったと思います
-
- 2016年04月30日 09:15
- ※13
ゲームやってみ?
空対空ミサイルだろうが、ロックオンできなくても撃てて当たるから。
というかゲームやってない勢多くね?
エスコンに常識は通用しないぞ?
-
- 2016年04月30日 10:31
- F-5でF-22に勝てるゲームだからな
エスコンはヒコーキごっこをするゲーム
-
- 2016年04月30日 11:02
- ※12
なんたって飛行空母のある世界だぞ
どんな航空機でも発艦できるようなムチャクチャな設計で作ったのやもしれんぞエスコンだし
※15
だが待って欲しい
ZEROではモルガンが機銃を曲げて交わした
つまりエスコン世界の機銃の弾はアクティブ誘導なのやもしれんぞエスコンだし
-
- 2016年04月30日 11:37
- ※13
悪いけどエスコンは実機のガワかぶったスーパー戦闘機だから
そういうミリおた知識はお門違い動画とか見てみなベクターノズルもないのにF14でコブラができたり
ロックオンすらしてないのに置きミサイルで敵撃墜してるから
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- 2016年04月30日 12:24
- エスコンの不思議戦闘機と不思議武装じゃなきゃ
深海とタメはれんわな
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- 2016年04月30日 12:55
- 13だが...
AMRAAMで深海棲艦潰しても、それで世界観が成立しているなら構わんのよ。それが全くほったらかしだから、読めた物では無い訳で。
また「ミサイル」で済むところを、現実に存在する中距離空対空ミサイルの名前なんか使うのも、違和感を酷くする一因だから。
-
- 2016年04月30日 13:30
- エスコンの世界のAMRAAMなんだろ
-
- 2016年04月30日 14:20
- ※28
まぁエスコンsageでも艦これsageでも無いように頑張ってるのは分かる
エスコン超兵器を艦娘にしたらチートだし結局エスコンageになっちゃったのも分かる
固有名詞を使ってリアル感を出そうとしてるのも分かる
でも作者の技量と知識が圧倒的に足りてないからしかたない
だがF-22ラプターてめーはダメだ
ラーズグリーズはF-14トムキャットと相場は決まってるんだよ
-
- 2016年04月30日 15:13
- ダサい
-
- 2016年04月30日 16:38
- 意図的に人物像をぼかして描写してあるキャラに喋らせるとここまで酷く違和感を感じる物なんだな。
-
- 2016年05月01日 14:58
- チョッパーは死んだんじゃ(ry
-
- 2016年05月02日 23:56
- アークバードって単語見た瞬間に読むの止めたわ。
アークバード出したら、艦むすは要らんよ。
-
- 2016年05月03日 20:12
- なんかラーズグリーズが艦娘のカマセだなあ? と思ってコメ欄みたらひどくてわろたw
-
- 2016年05月10日 11:03
- ZEROは良いと思ったけどこれは・・・
-
- 2016年05月11日 14:39
- ラーズグリーズがF14じゃないだと!?ふざけろ
-
- 2016年05月15日 19:33
- わりと好きw
ミリオタではないので知識が乏しい分、叩かれてるほど酷いと思わなかった。
エスコンもあり得ないがあり得るゲームなので、十分まとめられてたと感じたよ
-
- 2016年05月26日 22:02
- 面白かったよでもエースコンバット5と言えばF-14なので、最後はF-14で決着つけてほしかったかな。
-
- 2016年05月30日 12:14
- 読んでたら久々にやりたくなったけどps2壊れたままなんだよなぁ…
早くAC7出してくれよなぁ~頼むよ~
-
- 2016年08月03日 01:28
- コールは空自準拠かな?
空自では中距離AAMは全部FOX1、短距離AAMは全部FOX2、機銃はFOX3だ
だが、対艦攻撃にAAMはちょっとね…
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- 2017年04月24日 05:25
- ケレストレルから発艦した事はあったけどあれは緊急時のもうどうなっても構わないって、状況から来たのであって通常時にやるもんじゃないよ…。
あとケレストレルⅡじゃなく普通にケレストレルで良かったんじゃないのかなぁ。
-
- 2017年12月10日 23:34
- イ級をちゃんと駆逐艦と認識できてるのに「あんな戦艦見たことない」って当たり前だ、駆逐艦は戦艦じゃない
軍艦とか戦闘艦って言うならわかるけど、駆逐艦を「戦艦」呼ばわりする奴がまともなの書けるわけないじゃん
ってことで、そこでリタイアした