めぐみん「サキュバス!?」カズマ「!?」
- 2016年03月21日 22:10
- SS、この素晴らしい世界に祝福を!
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その仲間---カズマは明らかにソワソワしている。
トイレにでも行きたいのだろうか?
するとカズマは路地裏に入って行った。
ソワソワするカズマの様子が気になって、私も距離を置いて行く。
すると……。
「路地裏の……小さな喫茶店に入っていきましたね。そういえばちょうどお昼時でした。運が良かったです。カズマにご馳走して貰うことにしましょう」
なんだかんだ味にうるさいカズマの事だ、きっとこのお店は美味しいのだろう。
私は何をご馳走して貰おうと胸を躍らせながら、カズマを追いかけるようにお店に入った。
「いらっしゃいませ」
あくまでも例えばの話。
もし、私がその力を持っていて、チャームの力をカズマやダクネスに使ったとする。
これでカズマは私の恋人に。ダクネスは私の大親友になってしまう。
ここまで聞くと大した力ではないように聞こえるが、警戒心や猜疑心が消えてしまうのが大問題なのだ。
親友や恋人から「お金を貸して。明日返すから」と言って、貸す人はほとんどいないだろう。
でも、このチャームの力で親友になっていまうと、『明日返してもらう』という言葉を簡単に信じてしまう。
普通なら「本当に返してもらえるの?」「明日? 無理でしょう」と人を疑う気持ちや警戒する気持ちが優先されるのだが、チャームの力ではこれがなくなる、これがとても厄介。
なぜ私がこんな話をするかというと、後から知ったのだが、この時の私はチャームの力によって、こともあろうかサキュバスを親友と思っていたらしい。
「あら?こんにちは。迷子の小さな魔法使いさん」
そこには私の無二の親友のサキュ……人間のお姉さんが働いているお店だった。
「こんにちは、お姉さん。さて、小さい魔法使いとは誰の事か聞こうじゃないか」
紅魔族は売られたケンカは絶対に買う。
それは相手がお姉さんでも同じことだ。
「ふふふ。ごめんなさい、冗談よ。………で、今日も紅茶でよろしかったかしら?」
「いえ、今日は知り合いの人がこのお店に入ってくるのを見まして。それで奢ってもらおうかと」
「あら? 来ていないわよ。そんな人」
あれ?カズマを見かけたはずなのだが---
「お姉さんがそう言うのならそうなのでしょう。私の見間違いのようですね。では、紅茶を一つお願いします」
ここは私のお気に入りのお店。そしてここの紅茶を私はいつも飲んでいる。
「ええ。少し待っていてね」
よくよく見るとこのお店は男性客が多い。
いや、多いというより私以外は全員男性客だ。
しかも、その男性客たちは料理も頼まずに、何かを必死に書いている。何を書いているのだろう?
私が物珍しそうにキョロキョロしていると。
「魔法使いさん。ごめんなさい。この席、次の予約が入っていて--」
親友のお姉さんが申し訳なさそうに言ってきた。
いつの間にか長居していたのだろう。さっさとお店から出ることにしよう。
………………あれ?そんなに長居していたのかな?紅茶も飲んだ記憶が……?
「それはすいませんでした。お会計をお願いしたいのですが」
「いえ。今日はお姉さんが奢ってあげる。だから、このお店の周りに二度と近づいたらダメよ?」
「ありがとうございます。また今度奢ってください。なんなら今日の夕ご飯でも。見ての通り育ち盛りなのでカ口リーが高いものがいいです」
「う、うん。またそのうちね。とにかくお店に近づいたらダメよ?」
「はい」
素直に返事をした私がお店を出ようとした時に----
「カズマ----?」
「げっ」
あれ?さっきお姉さんに「来ていないわよ。そんな人」って言われたはずなのに……。
あれ?じゃあ、なんでカズマがここに……?
あれ?あれ?あれ?
「常連さん!早く逃げて!彼女はまだ混乱しているから大丈夫なはず!」
よくわからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。
どういうことなのか。わからない。
そうだ。こんな時はいつもみたいにすっきりしよう。
----爆裂魔法を使って----
「めぐみん!やめろーーーーー!!!」
爆裂魔法を止める事に定評があるカズマでも、今回の私は止められませんよ。
なぜなら、状況がよくわからないから。
でも、きっと爆裂魔法を使えば、何もかもすっきりするはず。だから私は----
----あれ?私はなにをしてるの?
「チャームを解きました。お願いします!誰か!誰か早く止めてください!」
「めぐみん!」
カズマが私の口を塞いできた。
紅魔族は頭が良い。
混乱していた私だが『チャームを解きました』を聞いて、私がどんな状況だったのか全て理解できた。
* * *
「で、どういう事でしょうか?」
「いや、その……あの……だな」
カズマは正座している。
「で、どういう事でしょうか?」
「いや、その……このお店は素敵なお姉さんとお茶できる、素敵なお店で……」
「で、どういう事でしょうか?」
「あー! もうわかってるんだろう!? ああそうだよ! ここはいかがわしい店だよ! なんか文句あんのか!? 誰か迷惑してんのか!? ああ!?」
「開き直りましたね。この最低男は」
ちなみに、「おい、この店を消されたくなかったら、どういう店か教えろ」と脅し……頼んで、サキュバスから事情を聞いた。
だから、まぁ、何のお店か知ってるし、男性冒険者にこういうお店が必要なのも理解しているつもりだが……
カズマがこのお店を利用するのは、なぜか納得がいかない----
「なんです?」
近くでこの状況を見守っていたサキュバスが、私に近づいて来て耳打ちした。
「見逃して貰えるならば、あなたに無料で夢をお見せしますが。ちなみにあなたは女性なので精をとったりはできないので、無料でデメリット無しです」
まさか私を買収しようと?
残念ながら私はそんなに安い人間じゃない。
「考えが変わりました。やはりこのお店は消し飛ばします」
「あ、あの、よかったら常連……カズマさんの夢を見せる事も」
「!?」
な、ななななななな何を!?
私が軽く……本当に軽く、悪魔のささやきに動揺しているとサキュバスがニヤリと微笑み。
「なんなら、今度からカズマさんの夢の相手を、ずっとあなたにする事も----」
悪魔が悪魔のささやきをしてくる。
なにを言ってるんだろう?この悪魔は。
私がそれを言われたからと言って、なにを悩むというんだろう?
そう、何も悩むことはなかった。
私は立ち上がり何も迷うことなく。
「はぁ……。仕方ありませんね。そこまで言うのなら、このままにしておきましょう」
それは夜に男性冒険者に襲われる危険性。
奴らは家だろうが部屋だろうが、どこでも襲ってくる。モンスター以上に危険な奴らと注意を受けていた。
だがアクセルの街では、女性冒険者が襲われた話を全然聞いたことがない。このお店のおかげのようだ。
私がアクセルの街に来る前の街ではセクハラが凄かったのにだ。
このお店のお陰で、この街の女性は襲われる心配がなく夜ぐっすり眠れる。
そういう事であれば、いちいちサキュバスを倒す必要もない。
共存生活とは素晴らしいものだと思う。
「え!?め、めぐみん、大丈夫か? ケンカの早さだけでは誰にも負けないめぐみんが何もしない? お前まだチャームが残ってるんじゃないか!?」
カズマからびっくりする声が。
この男は私をなんだと思っているのだろう? 一度しっかり話し合う必要がありそうだ。
でも、今日の私は機嫌がいいのだ。
サキュバスに今晩お願いしますと耳打ちして、今後のカズマとの進展を願いながら、私は宿に向かった。
* * *
良い朝だった。
昨日から同じ紅魔族であり同級生のゆんゆんがいる宿に泊まった。
それにしても夢があんなにすごいなんて。
カズマたちがハマる気持ちがわかるかも----
そんな事を考えながら朝食をとっていると、ゆんゆんが不思議そうな顔で。
「ずっとニヤニヤしているけど、何かいい夢でも見たの?」
「み、見てません! 見ていませんよ!」
「ふーん?」
これはヤバい。夢の内容を思い浮かべただけで……積極的なカズマもなかなか……。だ、ダメだ。私がダメ人間に……。
さっさと家に帰って、自室でゆっくり夢の内容を思い出そうと決意し。
「さて、私は帰ります。今日は泊めてくれてありがとうございました」
「うん、いいよ。だって私たち、しっ、親友だからね! いつでも歓迎だよ。いつでも泊まりに来ていいよ。だって親友だし!」
「はい。これから好きな時に好きなだけ泊まらせてくださいね」
「うん。いいよ。いつもで好きな時に好きなだけ-----ってあれ? 私都合よく使われているだけのような……。ね、ねえ? めぐみんにとって私って都合の良い親友とかじゃないよね?」
「あたりまえじゃないですか」
「ねえ! 今の棒読みだよね!? もっと感情を込めて言ってよ! ねえ!」
騒々しいゆんゆんを後にして宿を出た。
帰路でゆっくり夢の事を思い返そうかと思ってたら、なぜかゆんゆんもついてきた。
「私くらいのレベルになるとその辺のゴロツキくらい楽勝ですよ」
「いや、だから相手が危なくて----って、痛い。髪を引っ張らないで!」
「あっ」
カズマ。カズマがいた。
そうか。ここは宿が密集している地域。
きっとカズマも宿に泊まって----え? 宿に泊まって何をして…………たの?
「おはようございます。カズマさん」
「あ、ああ、おはよう。ゆんゆん……めぐみん」
「カズマさん。風邪ですか? 顔が真っ赤ですよ?」
なっなななななな!!!?や、やっぱりこの男!?
「あれ? なんでめぐみんも顔が真っ赤なの? もしかして風邪が流行ってるの? 私も気を付けたほうがいいかな? 痛っ。なんで!? なんで杖で打つの!? 痛い! 痛いから!」
こうして、私たちは顔を合わせるごとに赤くなり……意識して----
仲は進展するどころか。見事に停滞するのであった----
終わり
また機会があればよろしくお願いします!
元スレ
めぐみん「サキュバス!?」カズマ「!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1458557320/
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- チノ「いらっしゃいま……」テロリスト「この店は俺たちが乗っ取ったぁ!」
コメント一覧 (43)
-
- 2016年03月21日 22:16
- ベストを尽くそうぜ!
-
- 2016年03月21日 22:21
- 原作読んで無いとゆんゆんが誰だかまだ解らない人も多いだろう
どうでも良いけどアニメ終わってから原作本のブーストが半端無い
友人の本屋が嬉しい悲鳴を上げてたよ
-
- 2016年03月21日 22:36
- ※1
このすばのSSほぼ全部俺修羅の人が書いてる事実
いいぞ、もっとふえろー
-
- 2016年03月21日 22:38
- めぐみん可愛い
このすばのサキュバス設定については本当、男にも女にも得しかないよな
治安が良い話にも説得力が生まれる
-
- 2016年03月21日 22:47
- 未だにメインヒロインである女神様がメインのssがないんですけど!
-
- 2016年03月21日 22:51
- エリス様か確かに無いな、……アクア?お前はペット枠だろ
-
- 2016年03月21日 22:59
- 諦めろ、この作品の正ヒロインはめぐみんで、サブヒロインはダクネスだ
-
- 2016年03月21日 23:03
- はい、カズマです
-
- 2016年03月21日 23:44
- いつの間にか専用カテゴリが出来ておる……!
-
- 2016年03月21日 23:47
- 何言ってんだお前ら正ヒロインは六花の王女様に決まってんだろjk
-
- 2016年03月22日 00:15
- 毎日毎日俺の城に爆裂魔法打ち込んでくる頭のおかしい大馬鹿は誰だァアアアアアアアアア!!!!
-
- 2016年03月22日 00:16
- はい、カズマです
-
- 2016年03月22日 02:00
- あれ、おかしいな?
夢の詳細が見当たらない
-
- 2016年03月22日 02:19
- ※13
お前だったのか
-
- 2016年03月22日 02:24
- このすばSSはなんとなくみちゃうw
-
- 2016年03月22日 02:31
- カズマが、寿命を迎えてエリス様に召し抱えられた後、天界に戻ったアクアが寂しくなってカズマを連れ戻そうとして、エリス様とカズマがいちゃついてるのを目撃して病んでしまう話とか誰かかいてくれないだろうか。
-
- 2016年03月22日 02:39
- 米5
一見良いこと尽くしに思えるけど出生率も激減してんだぜあれ
まぁ異世界から人送られてくる世界だから何とでもなるだろうけど
-
- 2016年03月22日 05:18
- 原作は知らないが、めぐみんはそんなにカズマが好きでダクネスと仲良くなっていたのか
あ、あれ、女神様は……
-
- 2016年03月22日 06:52
- web版は知らんけど、文庫版読んでみるに、アクア様がヒロインする光景が全く想像できないんだよな。可愛くはあるんだけど。個人的には8巻のプロローグでカズマにありがとう言ってるシーンが一番ヒロインしてる所だと思うの。
-
- 2016年03月22日 11:36
- ※20
安心しろweb版でも最後の最後までヒロインしないよ。特にイチャつくことなくトラブルメーカーの相棒で終わる。(エリスだけがアクア自身も気づいていないカズマへの気持ちに気づく)
-
- 2016年03月22日 14:17
- ※7
ペッ
-
- 2016年03月22日 14:30
- 詰まらんにもほどがある
-
- 2016年03月22日 16:58
- ※4
>このすばのSSほぼ全部俺修羅の人が書いてる事実
!? これマジじゃないのよね? このすばSSって妙に出来良いというか原作に近いノリで書かれてるのが多いから不思議に思っていたが…。
-
- 2016年03月22日 18:18
- サキュバス好き
-
- 2016年03月22日 19:54
- 美人で通ってるギルドの受付のお姉さんが結婚できないって嘆いているくらいだから、あの店の影響はでかい
出来れば今度アイリス様のSSも書いて欲しいな
-
- 2016年03月22日 19:57
- このすばは気楽に読めるからいいわ
ハラハラドキドキの物語もいいけど、疲れてるときはこういった不安にならないギャグ路線の物語が楽しめる
-
- 2016年03月22日 20:15
- 書籍版はめぐみんがあんまりカズマにデレないんだよな
WEB版だと自分からカズマに告白したりキスしたり、肉体関係を迫ったりするのに(ネタではなくガチで)
-
- 2016年03月22日 21:21
- サキュバス店があるせいで、賢者タイムをキープしてる男冒険者が女冒険者に手を出さないのはあるだろうね。
女側からしたら、自分が好きな相手にそれとなくアプローチしてるのに、全然手を出してくれないのはイライラしてそうw
-
- 2016年03月22日 21:22
- さきゅばす漁業
-
- 2016年03月22日 22:52
- あの街普通にレベル30とかいたし、すごい住み心地いいんだろうな
そのせいで周辺のモンスターほとんど刈り尽くされちゃってるみたいだけど
-
- 2016年03月23日 01:06
- ※28
スカートめくりしているカズマの頭をなでながら「これもらってもいいですか」は最高によかったな
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- 2016年03月23日 01:21
- 原作は読んだことないけどスニーカーはハルヒ以来の起死回生を掴んで作者とアニメスタッフに
足を向けて寝れないな。今度は同じ失敗を繰り返さない様にしろよ
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- 2016年03月23日 01:49
- めぐみんがあれだけ爆裂魔法ぶっ放して動けなくなってるのになんにもない理由の一つなんだけどね
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- 2016年03月23日 11:22
- カズマとめぐみんに爆裂を!
-
- 2016年03月23日 11:35
- ※32
レジーナ編ホント好き
というかweb版のめぐみんの破壊力はヤバい、ダクネスも2○歳だから愛人感パない
ダクネスの髪引っ張りも良い
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- 2016年03月23日 21:23
- 見たかった・・・
積極的なめぐみんめっちゃ見たかった
惜しむらくは俺がこの作品を知ったのがアニメからでweb版は消した後だったと言う事だ
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- 2016年03月23日 21:38
- ゆんゆんはOpでボッチで出ている事実
-
- 2016年03月24日 08:16
- web版めぐみんはクーデレの鑑
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- 2016年03月25日 12:13
- Web版は信者が暴れて出版社に凸したから消されたよ
-
- 2016年03月27日 21:51
- まあ、今でも祝福魚拓で調べれば出るけどね、Web版も全話
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- 2016年04月06日 10:58
- アーカイブでPDFが保存できたのはビックリした
-
- 2016年04月15日 00:54
- WEBめぐみんは最高に可愛いけど
17歳だからロリ分が不足してるのがなんとも
書籍で実家での過激なアプローチが削られたのも年齢のせいなのか
それとも今後別のところでやるのか
今度の流行りはこのすばssか