提督「無気力になった」
気味の悪い未来を求めていた。
あの人は、おそらく私を愛してはくれないだろうと知っていた。
それでも指輪を受けたれたのは、きっと愛があったのだろう。
夢を見ていた気がして、ふと傍らを見た。
いるはずのない布団の盛り上がりが見えた気がして、思わず女の名前を呼んでいた。
返事があるはずもない。
自嘲していると、自室のドアを誰かが叩いた。
若い女の声だった。
ああ、今日は彼女か。
そう思いながら、私は黒い軍装に袖を通した。
間宮で朝食を取ろうとすると、少女が用意したと言う。
断るわけにも行かず、私は彼女の用意した食事をとる。
微笑む彼女の顔を見ていると心が晴れない。
あの女はいつだって私に食事の量をせがんだのに。
食事を終え職場の扉を開けると、メガネをかけた少女が私の書類を整理していた。
彼女は私に気がつくと、挨拶をする。
後ろで少女が上着の裾を掴む。
何故だろうと思うより早く、メガネの彼女が仕事の催促をする。
「提督、本日の執務ですが」
備蓄と戦績をまとめ、データを渡す。
作戦立案など軽いモノだ。
終わらせるのにそう手間はかからない。
ぼんやりペンを止めるとノートpcの画面の向こうに、秘書艦の少女が立っていた。
「珈琲です」
礼を口にしたが、マグが足りない。
私はちらりとメガネの彼女を見る。彼女も知らない振りをしている。
私は礼だけ言うと、彼女に言う。
「ありがとう。飲み終わったら、お使いを頼まれてくれるか?」
「はい」
彼女がそう応えたのを聞いて、私は出すには少し早い手紙を渡した。
「コレを書留で」
「かしこまりました」
「悪いけれど、外で出してくれ」
彼女の顔が曇ったが、私は続ける。
「手間の礼に食事に連れて行こう。今夜は時間開けてくれよ?」
少女の顔がパッと明るくなる。
「分かりました!」
彼女が出て言ったのを確認してから、私は彼女を見た。
やはり立ち上がってコチラを見ている。
「ヒドイ人ですね」
そう大淀は言うと、メガネをハズす。
クセの様なものだと覚えてる。
「オマエよりマシだ」
私が言うと彼女は、艶めかしい微笑みを浮かべる。
私の暗い部分の共犯者である彼女は言った。
「それでも、ですよ提督」
私のヒザの上に、彼女は躊躇なく座り、私の顔に手を添える。
彼女の冷たい指が耳に触れた。
「貴方は好かれていますもの」
「オマエはどうだ?」
「ええ、好きです」
彼女はそういうと、青い目で私を見た。
「私は貴方に恋してます」
「…嬉しいな」
「愛してもいますよ」
「私もだ。部下として」
「ひどい人。…貴方が望めば」
そう言って、彼女は私の手を取り自らの胸に当てさせた。
「何時だって好きにしてくださっていいのですよ?」
私は手を離すと、彼女の髪に指を通す。
あの女も、こんな髪をしていた。
「バカを言うな」
「上書きしてくださればいいだけです。私は、待っていますから」
そういうと、彼女は私のヒザから立ち上がる。
不意に彼女の重さが抜ける。
私が意外に思っていると、部屋を誰かがノックする。
女の勘だろうと、私は思った。
訪ねてきたのは清霜だった。
『いつになれば戦艦になれるの?』
と、ねだられて苦笑する。
大淀に目配せして、間宮の菓子を渡して帰らせた。
入れ替わるようにして、神通が戻ってきた。
私は疑われさえもしなくなった作り笑いを浮かべ彼女を出迎えた。
今は無性に仕事に戻りたかった。
演習の終わった金剛が抱きついてきた。
甘い香りは香水だろうか。
なすがままに頬ずりされると、金剛はちょっとしかめっ面をする。
「テイトクー、髭が固いデス」
「ならするな」
「ohu。それはキッツいネー。とっても提督はcoolだかラ。我慢できないノ!」
「褒めてくれて嬉しいよ」
「本気なのニ。ツレないデス」
金剛が離れた後で、私は吹雪を労う。
「よくやった」
「ありがとうございます!」
もどかしそうにしている瑞鶴を見てから私は言った。
「流石だな」
「当然よね!」
ふんすと胸を張る瑞鶴から視線を外す。
北上と大井は中破していた。
私は上着を脱ぐと、大井にかける。
「報告はいい。早く行きなさい」
「…指揮が悪いのよ」
「そうだな。北上」
「ほーい」
「後は任せた」
私は、それから加賀を見た。
「助かったよ、加賀」
「問題ありません」
そう言ってから、私は彼女の肩を叩く。
「よくやってくれた」
「……こそばゆいわ」
小声だった。
私はそれを聞こえなかったことにして、言う。
「後は神通に報告。私は執務に戻る」
そこで皆私に敬礼した。
なんとなく、補給を訪ねるあの女の過去の顔が思い出された。
『補給はまだですか?』
執務を切り上げ、屋上でタバコを吸う。
艦娘たちも自由時間だ。
約束していた神通との食事までは時間がある。
そうして時間を潰していると、声が聞こえた。
「何吸ってんだよ」
摩耶だった。
私はタバコの灰を灰皿代わりのコーヒー缶に落として答えた。
「タバコだが?」
「やめろよ」
「確かに体に悪いぞ」
「なら、」
「ん?」
「何で吸うんだよ?」
「心のために」
摩耶は呆れた顔をしていた。
「私に用か?」
摩耶は、思い出したように私に装備についての相談をしてきた。
が、私には彼女の話は言い訳に過ぎないと見抜いていた。
「・・・そのさ」
摩耶がうつむきながら切り出す。
「今度、ネーちゃん達と外に出るんだけど」
「許可を出していたな」
「どこに行ったらいいと思う?」
「高翌雄にまかせておけ」
「それは悪いじゃんか、だから」
私は、机の上の書類の山を思い出す。
チケットなら何かあったはずだ。
「では、私と出ようか?」
「はあ?」
摩耶はそういうが、どこか喜色が滲んでいる。
「めかしてこい。芝居でも行こう」
「芝居かよ…」
「嫌か?」
「じゃねえけどさ、キャラじゃないっつーか」
「なら、熊野か鈴谷とでも行く」
「行くよ。行かねえって言ってないだろ?」
「わかった」
「約束だぞ?!」
そう元気よくいって摩耶は去って行った。
私は、そのままもう一本タバコに火を点けた。
食えないからタバコは苦手だと言ったっけな、あの女は。
フレンチに彼女は満足してくれたようだ。
私は、会計を済ませつつ彼女を先にタクシーに乗せる。
彼女の会話に合わせながら、鎮守府まで戻る。
軽巡寮まで送っていくと言ったら、彼女は大丈夫だと言った。
「た、楽しかったです」
「それは良かった。またな、神通」
私がそういうと、彼女は恥ずかしそうにかけていく。
私はソレを見てから自室へと向かった。
あてがわれた私室のドアを開けると物音が聞こえた。
…戸棚に誰かがいるな。
誰だと思ったら龍驤だった。
私は呆れつつも、赤い顔の彼女に質問する。
「ギンバエか」
「…うちだってしたくはないけど」
どうせ、鳳翔の所で飲んでだろうと私は当たりをつける。
「罰ゲームか」
「うん…」
龍驤は私を上目で見てくる。
どうやら懲罰を覚悟しているようだ。
これでは、酔いも飛んでるな。
私は一人で飲もうと思っていたが、龍驤を見て気が変わった。
「付き合え」
「珍しいやん?」
「懲罰つけてもいいだぞ」
「それは堪忍してや…ところで、どないしよこれ?」
彼女はダルマの瓶を振った。
「酔っ払いの罰ゲームだろ? 頼んだ相手も忘れるさ。それに私にも、そんな日もある」
彼女を部屋に招いて適当に酒を作って出すと、彼女は言った。
「キミ、器用やな」
「あれが食ったからな」
私の言葉に、彼女はすこし表情を暗くする
「もう、昔の話しやよ」
「そうだな」
龍驤は小さな手でグラスを取りながら言った。
「もうええんとちゃう?」
「何がだ?」
「ケッコン」
「…かもしれない」
「うちだって」
そう龍驤は私にいいかけ、言葉を切った。
私は彼女の言おうとした続きを尋ねなかった。
代わりにろくに薄めなかった酒を飲む。
彼女は随分と黙っていた。
不意に彼女が切り出した。
「どうもしない」
「もう渡せばいいやないの、次のコに」
私は彼女を見る。
「では、私と寝てみるか?」
龍驤は吹きだした。
「キミは何をいってんの?!」
「試しだ」
「アホか!そんな外人みたいな」
「ならイタリアかビスマルクに頼むか」
「・・・キミ、そういう子が好きなの?」
龍驤は私に軽蔑の宿った眼差しを向ける。
「冗談だ。もう寝なさい」
「ちょい待ち!駆逐みたいにあしらうなや!」
私は彼女に視線を合わせる。
「駆逐なら誘わん」
「いや、そういうことちゃう」
「だったら部屋まで送ろうか?」
私が龍驤を見つめて言うと、彼女は顔を真っ赤にしてそらした/
「キミはそういうことをするからあかんのや!」
「うん?」
「お休み! うまかったけど!」
慌ただしく彼女は出て行く。
飲み直すにはいい時間だった。
「アドミラール、起きてるか?」
ノックで気がつき扉を開けるとグラーフが立っていた。
秘書官が変わったのかと思っていると彼女は言った。
「朝食を用意した。秘書官の務めなのだろう?」
私は礼を言ったが、気が重かった。
ビスマルクならタバコが吸えたが、空母である彼女の前で吸うわけに行かない。
席を外すと言って、彼女から離れた。
工廠近くの灰皿でタバコを吸っていると、明石が私を呼んだ。
「タバコ、大丈夫ですか」
「あるからいい」
私が言うと、彼女はにやりとする
「ぐらーふさん、苦手なんですか?」
間の抜けたイントネーションを指摘しようと思ったが、やめた。
…苦手とする理由は別なのだが、彼女の言葉に来るモノはあった。
「かもしれないな」
「プレイボーイなの変ですね」
「オマエを口説いたかな」
「いやだそんな言い方」
けらけら彼女は笑っていたが、だんだん表情が暗くなる。
「…私は対象外ですしね。テイトクは、オイル染みなんてお嫌いでしょう?」
胃が痛んだが、私は笑顔を作った。
「そんな顔をするな。今度、一緒にレストアでもしようか」
倉庫で埃を被っている物の事を思い出して言うと、彼女は言った。
「え、手間じゃないですか?イヤですよ、そんなの」
「あれだ、倉庫の」
言えば、私のおもちゃに彼女が食いついた。
「ホントですか? あの車ですよね?!」
彼女の顔が明るくなる。
「ああ…動けば乗せてやる」
キャブの機嫌が悪いだけで、動くことは黙っておいた。
「ちょっとテンションあがりましたよ!夕張より先ですからね!」
彼女が笑うのを見てから、私はタバコを吸いきることに決めた。
執務室に戻ると、大淀とグラーフの2人で静かに仕事をしていた。
先にグラーフが私に気付いた。
「アドミラールか。指示された分の仕事は終わったぞ」
「ありがとう」
そういうと、大淀が近づく。
手には資料の束を手にしていた。
「次の出撃ですが…」
「熊野、羽黒、夕張、睦月、卯月、19で出してくれ」
「了解しました」
そう大淀が返事したのを確かめてから、私は言った。
「あとは引き取る」
昼食を間宮で食べていると、変わる変わる駆逐艦が来る。
夕立が新しいマフラーが欲しいと言って、その後で秋雲がペンタブをねだった。
続いて暁がレディらしい物を頂戴と言い出し、姉妹に弄られていた。
私は一人一人断りつつ、イースターくらいまでには何か用意をするかと考えた。
かしましい駆逐たちが立ち去った後で、グラーフが言った。
「貴方は好かれてるのだな」
その言葉が、何故か引っかかった。
『どうしようも無い人ですね。女のコにばかり好かれて』
突然、そう笑った女の顔が思い出された。
強い眩暈がした。
「アドミラール?」
心配そうに彼女が私を見る。
その顔が、あの女とオーバーラップする。
「なんでもない」
目元を押さえそう言うと、私は席を立った。
「立ちくらみだ。すこし外す」
逃げるように歩いていると、訪問着姿の鳳翔と出くわした。
「あら、テイトク」
私の顔から何を読み取ったのか、彼女は言った。
「・・・こちらへ」
彼女はそういうと、彼女の店に私を招いた。
ほうじ茶を飲みながら、私も彼女も黙っていた。
飲み干すと、ふとあの茶碗をどこにやったのかと思い出した。
鳳翔が贈ってくれたのだったか?
やつの方が大きな茶碗。
「…すまないな」
鳳翔は無言でいてくれた。
その事がありがたかった。
洗い物と仕込みを終えたらしい。
今まで厨房に立っていた彼女が、私の隣に座る。
「…今のままでいいではないですか」
「そうかな?弱くなったよ。それに――」
「何でしょうか?」
「無気力だ」
「熱意や強さだけで生きる必要がありますか?」
彼女はそういうと、私に体重を預ける。
「わからない」
「少しずつ変えればいいんです」
「だが、鳳翔。もう私は腰抜けだ」
「・・・それでもいいではないですか」
鳳翔は、そういうと私に言った。
「寝て、私と夢でも結んで行かれますか?」
「まだ起きていたい」
「いけずですね」
彼女はそう私の右小指をつねりながら言った。
戻ると、事情を知ったらしい大淀が私を責めた。
「体調が優れないのなら、ご無理をされても」
「たいした事は無いさ」
そう言ってから、私はグラーフに言う。
「すまないな」
「問題は無い」
「気遣い感謝する」
私はそういうと、仕事に戻った。
艦隊が戻ってきた。
帰ってきた子達を見にいくと、新しい顔があった。
まさかと思うと、その黒髪の人は私に言った。
「航空母艦、アカギです」
私は、目の前が黒くなったとさえ思った。
どう帰ったのか定かでないが、自室には帰り着いた。
複雑そうな顔をした加賀だったが、やはり喜びは隠せてなかったことを思い出した。
いや、それは違う。
加賀は出していない。であればあれは誰だ?
まともに記憶してないらしい。
よほど動揺していたようだ。
一人、そう思っていると自室に誰かが訪ねてきた。
「加賀です」
少し、悩んだ。
だが私は彼女を部屋に招いていた。
珈琲を出すと、彼女はマグを手にしたまま黙っていた。
口べたのこの娘が話すのを待っていると、彼女はポツリと言った。
「ごめんなさい」
「なぜ謝る?」
「嬉しいと思っている私がいます」
生真面目な答えを聞いたが、茶化すことは出来なかった。
彼女の表情は真剣で、私は自分の珈琲を飲む。
「けれど」
「けれど?」
「怖いんです。…こんな事を思ってしまった自分が」
「?」
私が彼女を見ると、加賀は言った。
「また、貴方が取られてしまう。そう思ったんです」
加賀はマグに視線を落とす。
ギュッと握ったマグはいつ割れても不思議ではなかった。
私はしばらく黙り、それから言った。
「彼女は、違う」
私の事を理解した上で受け入れてくれた女はもういないのだ。
「でも赤城さんです」
「私は、もう誰とも」
そう言いかけ、加賀が泣きそうな顔をしていることに気づいた。
「…追々話そう」
逃げるように言うと、加賀がすぐさま言葉を放った。
「あなたは艦隊の誰かを愛してはくれないんですか?」
『もう自信が無い』
そう言おうとしたが、私はやめた。
「キミらを私は大切に思っているよ」
そのひどく不格好な言葉が、私の限界だった。
翌朝の秘書官は妙高だった。
テキパキと予定を読み上げる彼女に私は言った。
「妙高」
「はい」
「悪いがリスケしてくれ。大淀に、今日の執務はしないとな」
「…それは?」
「外に出たい。キミも来てくれ」
私が言うと、妙高は仕方が無いですねと呟いた。
当てもなく、最寄り駅から各停の電車に乗った。
ストールを羽織った着物姿の妙高と座席に座って幾つもの駅を通り抜けていく。
海が見えなくなる事に安心している事に私は気付いていた。
ぼそりと、私は本音を口にする。
「このまま、逃げようか」
「私とですか?」
妙高は私を見た。
彼女の目が私を見つめる。
「冗談だ」
「信じてしまいたい嘘でした」
彼女はそう言ってから、車窓の向こうを見ながら呟く。
「彼女、帰ってきちゃいましたね」
「戻りはしない。キミがキミであるように」
「…貴方だけですよ、そんなこと」
「沈めた娘はいまでも夢に見る」
そう私が言うと、彼女は言った。
「想ってくださって、彼女たちも本望でしょう」
「…本音か?」
「ええ、嫉妬するくらいに。赤城さんのこともそうでしょう?」
「……」
「彼女が選ばれた時、私、ひどく傷ついたんですからね」
私は黙り、言えなかった事を彼女に言った。
「赤城は」
「はい」
「皆に殺されたんじゃないかと思ってしまったこともあった」
「初めて聞きました」
「言わなかったからな」
「それは、気遣いからですよね」
「責任転嫁だと思われたくなかったからな」
「なら、なおさら赤城さんが羨ましいですね。あなたをここまで執着させるんですから」
「そう言うものか?」
「そうですよ。だから、分かりました。彼女の面影があるから、グラーフさんが苦手だったんですね」
「ああ」
「でも、提督。私たちはそんなことしませんよ」
「本当か?」
「そうですね。可能性は考えないことはなかったですよ、彼女がいなくなればと」
「やはりか」
「けれど、貴方は微笑んでくれない。違いますか?」
「……」
「だから決めたんですよ、皆で」
「そうか」
「期待しちゃいました。逃げようと言うのは」
「…すまない」
「いいんです。私はね、提督。貴方から、信頼を受けているのだと分かっているのですから」
戻ると、やはり大淀は怒っていた。
妙高に上がるように行ってから、私は彼女に小さな箱を渡す。
「?」
「開けたまえ」
私が言うと、彼女は中身を見て驚いた。
「栞ですか?」
「ああ、本を読むんだろう?」
彼女は言った。
「本当に、ずるい人です。テイトク」
「…そういう男だ」
「でも、妙高さんとの抜け駆けはダメですから」
「勘弁してくれ」
「摩耶さんとも芝居とか」
「流れだ」
「なら今週末です」
誰もいない食堂で酒を飲みつつタバコを吹かす。
ふと気づくと冷水の入ったグラスが出てきた。
酔いの回りつつあった隣に誰かが座った。
「大丈夫ですか?」
「体に触る。寝ろ」
私が言うと、翔鶴は困った顔をした。
「…それは提督がです」
「私など気にしないでいい。捨てておけ」
「……それはできません」
彼女は言うと、私のグラスを取り上げた。
「なにをする」
「歩きませんか、提督。酔い覚ましに」
私は口調を強めようとしてやめた。
この娘らに言っても無駄だと知っていたからだった。
「いい夜ですね」
潮騒を聞きなが歩く。
彼女に寒かろうとマフラーを渡すと、彼女は笑って断った。
「いいですよ」
そのまま歩き出すと、彼女は言った。
「綺麗ですね。星が」
「高気圧らしいからな」
「冷えるでしょうか」
「雪も降るだろう」
「積もらなければいいんですが」
「海の上では溶けて消えるさ」
翔鶴は私の三歩前を歩いてる。
あのふと彼女の長い髪が、彼女と重なった。
作戦のため出向いた南国のスコールに打たれた彼女の背中がありありと思い浮かんだ。
彼女は、笑っていたか。
「提督?」
翔鶴が心配そうに見ていた。
「ご無理をなされないでください」
「…そうだな」
「私がいますから」
彼女はそう言って私の手を取った。
彼女の手は、ひどく冷えていた。
提督は艦娘に好かれるものらしい。
ただ、私はその好意に応えられない人間だと理解していた。
向けられる無償の行為に私は戸惑うばかりで、苦しくなるばかり。
昔からそうだった。
人の心がわからない、いや対価のない行動を信じられなかった。
だからこそ、彼女たちの好意は私には重かった。
好意を受け取れないくせに、心の機微はわかってしまうから結局取り繕ってしまう。
このような私の歪んだ性根を知っているのは鎮守府内でもごくわずかで、
だからこそケッコン相手はあの女しかいなかった。
赤城だけ私に執着していないように思えたのだ。
だからこそ、大本営から来た指輪も彼女に渡せたのだと覚えている。
君をきっと愛せないと告白しても、あの赤城は笑った。
『気にしませんよ。お勤めさえしてくれるなら』
あの時、自分は救われたのだろう。
彼女は私が与えるものなど望んでいないようだったから。
「提督、朝です」
起こしに来たのは驚いたことに赤城だった。
何から何まで同じ彼女に面食らう。
黙ったままの私を彼女は不思議そうに見て言った。
「食事にいたしましょう」
彼女は同じように食い、同じように仕事をした。
大淀でさえ、時に手を止め赤城を見ていた。
そうして執務を終えた頃、大淀が私の肩を叩いた。
「追加の処理が」
二人だけの符丁だった。
言葉からして即急だろうと判断した私は、赤城に言った。
「赤城、これを」
「間宮券ですか?」
キョトンとしてから、嬉しそうな顔を彼女はした。
「加賀とでも行きなさい」
私の言葉を聞くと、この赤城も嬉しそうに執務室を出て行った。
レティクルを合わせて引き金を引くと、遠くで人体が吹っ飛んだ。
男の心臓が失われたことに、傍の少女が硬直した瞬間、彼女にも弾頭が炸裂した。
バーストは二発。外さず済んだらしい。
炸薬はいつものように艦娘の体を四散させた。
半身を失った彼女と、心臓の無い彼はお互いを抱えるように水底へと落ちていった。
海面が濁り、燃料だろう油が浮いた。
私は噛みタバコを吐き捨てると、モーターボートのエンジンを入れた。
防寒しているはずなのに寒かった。
母港に戻ると、大淀と明石が出迎えた。
「お疲れ様です」
「報告は明日。対象は処分した」
「了解しました」
大淀はそう言うと、私の手を取った。
「大丈夫ですか?」
「無問題だ」
私は仕事道具の入った鞄を明石に渡す。
「拳銃も見ておいてくれ」
「分かりました」
「私は部屋に戻る。火器は明後日以降に手元にあればいい」
そう言うと、私は自室へ切り上げた。
翌朝、眼が覚めるといつもの起床より早かった。
少し走ってから戻る。
戻ると摩耶が、私の自室の前で扉に背をつけるようにして待っていた。
「起きていたなら、言えよ」
咎めるように彼女は私を見た。
彼女の怒りも、行動も、好意からだとわかっている。
だからこそ、私は作り物の笑みを浮かべる。
「悪かった。朝食は外で食べようか」
遅刻して執務を始めると、大淀の機嫌が良くなかった。
彼女は明石に渡したおもちゃの件にも触れた。
どうやら、贔屓にヘソを曲げたらしい。
…女は勝手だ。
その私が車を持っていると言う話に摩耶が食いつき、『今度はドライブだな』と勝手に言っている。
そうしていると、執務室を誰かがノックした。
「…入れ」
「失礼します」
「五月雨か」
最古参の少女は私を見ると、手に持っていた封筒を渡す。
「大本営からです」
「…下がっていい」
私が言うと、彼女は私を見た。
「提督」
「なんだ?」
彼女が呼んだので、私は書類から視線を外し彼女を見た。
「今夜お時間をください」
突然の彼女の申し出に私は断ろうとした。
「今夜は…」
そこまで言葉にして、私は言葉を止めた。
「提督」
「忘れてくれ。問題ない。正門前だ」
「了解しました」
大淀も摩耶も、さっぱりわかっていないようだった。
私だけが気が重く、さっさと仕事に没頭することだけを考えていた。
気を紛らわせるために高速戦艦のお茶会に出た。
マカロンやらラスクやら、彼女たちは私の取り寄せの菓子に目を輝かせる。
そうして談話したところでビスマルクをダシに外に出た。
タバコ代をくれてやって、金剛たちに言付けを頼んでから私は執務に戻った。
今回だけよ。アトミラール?
背中にビスマルクの言葉が刺さった。
執務を終えて、車を暖気していた。
気が重いのか、緊張しているのか自分でも分からなかった。
五月雨を待つ間に手紙の内容を確認する。
内容は艦娘関係で、鬼や姫と言った存在への言及にすぎない。
…だが、その中の一文が私の気を止めた。
「…高翌練度艦娘の深海化か」
私が、そう呟くと助手席側のウィンドウを小さな手が叩いた。
目的地など無い。
惰性で高速に車を乗せた。
速度は出している。
が、隣の少女は何も言わない。
長い付き合いだからこそ、許されることだった。
「帰ってきましたね」
妙高と同じことを、彼女よりも、いや鎮守府の誰よりも年上の五月雨は言った。
「そうだな」
ウィンカーを出しつつ車線を変える。
バイパスに向けて車を進める私に、彼女は言った。
「どんな気分ですか?」
「どんな気分?」
「本音です。妙高さんには話したんでしょう」
鋭かった。
私はシフトアップをしながら答える。
「最悪だ」
「彼女が来たことですか」
「沈めた自分も、戻って来た彼女にもだ」
「勝手な人ですね」
「なんとでも言え」
私が言うと、五月雨は身を乗り出してきた。
彼女の顔を時々ナトリウム灯の明かりが照らす。
幼い顔と、違う顔。
そう交互に私には見えた。
そっと彼女の指が私の左手に絡みつく。
「このままハンドルを切りましょうか」
「私だけが死ぬな」
中央分離帯の、あのコンクリートの塊に、この速度で当たれば即死だろう。
「そうですね」
「お前は艦娘だから」
「死なないでしょうね」
「それでどうする、私が死んだら?」
「残された私はあなたの右腕をもらって生きます」
「…何が言いたい?」
「私はあなたを独占したいんです」
「死んでほしいほどに、か」
「その通りです。提督」
「私なんて愛すな」
「でしたら、他の子達への振る舞いはなんですか?」
「……」
「本当は艦娘専門の処理役なのに、まるで気さくな人格を演じて見せて」
「円滑な運営のためだよ」
「そうですか。でしたら私を見てください。他の女を見ずに」
「愛し方を知らない」
「なら、艦として使ってください」
「出撃はしているだろう」
「赤城さんが死んでから、目に見えて頻度が落ちてます」
「何が言いたい?」
「無気力すぎです。だから、見てられられない」
「私など捨てろ」
「出来ないからこうしてるんです」
「もう疲れた」
「何がです?」
「いつまでお前とこんな会話をすればいい?」
「…ダメな人ですね」
「お前と、赤城とそれから鳳翔妙高くらいだよ、そう言えるのは」
「でしたら、しゃんとしてください。ダメ人間。いいえ無気力になった自覚はあるんでしょう?」
「自覚はある」
「それなら」
「それでも普通にはしてる」
「分かりました。だから、せめて女の子には好まれるように嘘を重ねるんですね」
「どうだろうか?男と言うのは、ほとんど私のようなものだ。得たい、食いたいとばかり考えている。私だけとは思わない」
「それすら厭う人もいるんですよ」
「それはクズだな」
「あなたも近しいですよ」
五月雨がため息を吐いたのを私は横目で見た。
「どうして好きになったんでしょうね?」
「私もそう思う」
「提督」
「なんだ?」
「言ってもいいですか? あなたを取った赤城さんが大嫌いでした」
「…俺が女でもそうだろうな」
「ええ。性格がよくても、問題がなくても、あなたを奪っただけで妬ましかった」
「そうか」
「なぜ、彼女がいなくなったのにケッコンしないんですか?」
私はシフトを下げる。
いつの間にか、車間が詰まってきていた。
「今は戦時だ」
「それは詭弁でしょう」
「だったら何だ」
「本音を言って」
五月雨が私を見る。
このままだと本気で左腕ごとハンドルを切るだろう。
私は耐えかねて、答えていた。
「……もう、沈めるとこを見たくない」
「勝手ですね」
そう言うと、五月雨は手を離した。
私はシフトを落とす。
そのバーの上の私の指を彼女は握った。
「でも、そんなあなただから良かった」
外泊して、少女がシャワーを浴びる音を聞いていた。
先にベットで横になっていると彼女がシーツに入ってきたのがわかった。
「ベッドは二つだが」
「いいじゃないですか」
私は黙ると、明日大淀が酷く怒るだろうと予想した。
翌朝、大淀は五月雨を少し睨んだ。
五月雨は知らぬと言った顔である。
ただ今日の秘書官の天城がどうしていいのかわからずににいた。
そのまま執務を始めると、大淀は完全に今朝のことは別枠で処理したらしい。
切り替えの早い女だ。
そうしてひと段落ついたところで、天城が私に質問した。
「提督」
「何だ」
「噂になってましたよ。昔赤城さんとケッコンしていたって」
出処はいくらでもある以上、天城の指摘は別にどうでも良かった。
ただ彼女の言葉で、あの女が過去だったのだとより一層私は感じた。
「…ああ」
「すみません。高練度の方が噂をしていたので」
天城がそれ以上聞かなかったのは、大淀がいたからだろう。
私は黙って再び書類にハン片手に向かうが、一つも頭に入ってこなかった。
タバコを吸いに屋上に出ると、加賀が艦載機を飛ばしていた。
その操作を見ていると、彼女は言った。
「声をかけてはくれないの?」
「見ていただけだ」
私が言うと、彼女は艦載機を戻しつつ私を見た。
彼女の表情が変わる。
「……やつれているけれど」
「そうでもない。これくらい」
私が言うと、加賀が遮るように言った。
「今日、赤城さんに言われたわ」
ピクリと体が反応してしまった。
「提督は、私に距離を作っているのじゃないかって」
その指摘に私は何も言えなかった。
「…私もそう思います。提督、あなたは過去の赤城さんを見過ぎていると思うの」
何か問題でもあるか。
お前にわかってたまるか。
と言いかけて、私は黙った。
私がそんな言葉を言えるだろうか?
多くの艦娘を殺しておいて。
それも幸せになりたかっただけの彼女たちを。
長く黙っていると、加賀はこちらへ近づく。
やめろと、その言葉が出なかった。
「代わりにはなれないことは知っています」
彼女の顔が近い。
「あなたが好きです」
私は、またしても何も言えなかった。
大淀からまた仕事があり、私は海に出ていた。
脱走した個体を処理した時だった。ふと、ありえない声を聞いいた。
ーーーまだ、いますか
その声色に私は振り返った。
忘れもしない、赤城の声。
私は四方を見たが、何も見えない。
疲れているのだ…
そう私は思うことにして、ボートのエンジンに火を入れる。
なかなかかかってくれない中、加賀の言葉が思い出された。
「返事をいつまでも待っている」と。
私はどれだけ苦しめばいいんだろうか?
翌朝、三隈をつれて大本営の会議に出た。
急な依頼で金剛を演習に出したので、三隈をつれていった。
そこに深い意味はない。
鎮守府自体も大淀に代理を任せているから問題はないだろう。
会議では私の戦績の悪さについての叱責の後で、別業務についてはお褒め頂いた。
三隈は何も知らないからか、私の顔を不思議そうに眺めていた。
帰り道に喫茶店によると、彼女は彼女の頼んだソーダ水を見ながら言った。
「よくわからない人ですね」
「誰がだ?」
「提督がです」
「かもしれない」
彼女は焼きたてのパンケーキにナイフを入れつつ言った。
「でも、人気が高いのですのね」
「そうか?」
「けど三隈は、提督が時々冷たいのではないのかと思います」
私はストローを再びソーダ水に戻す三隈を見た。
ずしりと冷たいものが胃に出来た気がした。
「当たってましたか? 私、おっとりしてるように見えるだけですの」
私は彼女が桜桃を口に含むのを見ていた。
真っ赤な果実。
やけに印象に残った。
赤城は結べたんだっけか。
艦娘の誰からも好かれる。
それは単に、私が提督だからだ。
命を預かり、命令を出し、これで仕事が出来るのだから好きになるだろう。
憧れと言うやつだ。
あるいは少ない男だからか。
だが、本当の私はそうじゃない。
隼鷹に引っ張られ、鳳翔で皆と飲んでいた。
が、案の定皆潰れた。
私の膝で寝ていた龍驤を抱えて奥座敷に。
同じように突っ伏す隼鷹も運ぶ。
そうして彼女たちにそなえつけの毛布をかけたところで、鳳翔が言った。
「そう言えば」
「ん」
「五月雨ちゃんと抜け駆けですか」
「何もしない。少女趣味は私にない」
「そうですか?」
すっと背後から鳳翔が抱きつく。
腰に手が回るのを私は感じた。
「見ていて痛々しいんです。あなた、無理してるじゃないですか」
「してなどいない」
「嘘でしょう?」
「…」
「赤城がいなくなってから…ずっとです。新しい彼女が来てから、特に」
「嗚呼」
「お大事にしてください。体を」
「それは、君らの方だ」
「兵具ですよ。私たちは」
「…ならば」
私が私の疑問を口にしようとすると、鳳翔自ら答えを言った。
「まがい物であろうと女です。世の女のように望むことは自然ではありませんか?」
その心を嬉しく思う自分を自覚した私は、強烈な自己嫌悪に襲われた。
心はあって欲しいと願うくせに、自分に向けられることを嫌うのは何て傲慢だ。
兵具だから?
お雨はその関係性を悪用してるだけじゃないのか?
どこかで人形だと思いつつ、彼女たち都合のいい関係に甘えてるだけじゃないのか。
「だったら私を望むな」
震えた声で、私が言うと鳳翔は断言した。
「あなた以外、誰がいるんですか?」
執務室の窓を開け、タバコを吸っていた。
珍しいことをしていたからか、手紙を出せに行かせていた大淀が戻ってきた。
彼女はタバコの残り香を嗅ぎながら言った。
「変わったことをしていますね」
「ああ」
「灰皿なんてなかったのに」
私は空のペン立てを見せる。
大淀は呆れた顔をして言った。
「幻滅しますよ」
「かまわない。むしろ私を嫌ってくれた方がいい」
「それは無理な話です」
大淀はそう言うと、机の上からタバコを一本取った。
「吸うのか?」
「吸いませんよ」
彼女はペンのように安タバコを回してから、私に手渡す。
「ビスマルクくらいじゃないですか? 喫煙するのは」
「そうだったな」
洒落たシガーケースをくれてやった覚えがある。
黒い子猫が欲しいと言ったのは、彼女だったか。
ふと自分でも記憶が混同していることに気づいて驚いた。
赤城の顔や声を強く覚えているのに、どうしてそうした思い出が溶け合ってしまっているのか。
「……提督?」
「聞くな」
「良くないです。あの赤城がきてから提督は…」
「…赤城なら何人も沈めてる」
私が言うと、大淀はきつい視線を私に投げて言った。
「処理したものでなく、あなたが沈めたのは彼女だけです」
「……」
いつか、この女に聞いたことがあった。
仮にも同胞を殺すことに抵抗がないのかと。
彼女は何と言ったか。
「あのひとは戻らないんです」
大淀はそう言って、床を見つめるようにうなだれた。
「前を見てください。お願いです」
風が吹いて、カーテンが私の背中を押すようにさえ思えた。
ただ私の体は動かなかった。
誰でもいいから、私を殺してくれと願いながら鎮守府を出た。
私服に着替えて、持ち物はハンドバック一つ。
誰も隣には載せない車で海岸沿いの道を走る。
放置された海の家の跡地近くに車を止める。
タバコを携帯灰皿にねじ込むと、遠くまで出たことを実感した。
「………」
黒い渚をバカみたいに見ていた。
そこで出来もしないことを夢想した。
このまま逃げてしまえばいいと本気で考えた。
けれども途端に思い直す。
軍属でない自分が生きられるだろうか?
あの娘らから向けられる歪なものに何一つ答えを出さずにしていいのだろうかとつらつら考えた。
答えは出ない。
当然だった。
その時、私の携帯が鳴った。
鎮守府まで車を飛ばすと、湾岸線から見えていた煙が大きくなった。
車を止めると当然で、火の出元は鎮守府からだった。
規制や検問を突破しただけあって流石に見間違えようがない。
だだ、襲撃と、その経過が私にはわからなかった。
しかし、回らない頭でも私の外出と同時の襲撃があったのは事実であると理解していた。
「なんて日だ」
車を捨てて鎮守府へと駆け出す。
上陸した敵から防衛するための憲兵隊や予備役の軍人の到着はしていないらしい。
部隊の展開がされていないところを見ると、私の部下たちが戦っているのだろう。
あの煙の下で、あの娘たちが戦っている。
大淀は指揮しているのだろうか?
五月雨は出たのか。
他人事のような気分で、そんなことを走りながら私は考えていた。
思考が脇道にそれ、このままでは懲戒と処分は免れないことを思い出す。
こんな時まで、保身を考えている自分に気づいておかしくなった。
ああ、いっそここで死ぬのも悪くないのかもしれない。
そうして、鎮守府の門を抜け母港へと入る。
遠くで見える砲火の明かりを超えて、資料で見た敵の艦載機が目の前を通り過ぎた。
あれはーーー、
大きな炸裂が目の前であった。
ただあくまでそれは僕の施設を狙ったものらしい。
私からは距離が離れていたため、私への被害は軍帽を飛ばすだけだった。
クレーンが燃えている。
その燃える炎の向こうに、人影が立っているのが見えた。
私の目の前には、変わり果てた女がいた。
白い肌、目から溢れる燐光。
何もかも違うのに、面影は強く残っていた。
私の敵となった彼女は言う。
「愛してくれないと、知っていました」
中間棲姫。
だが薬指にはめられた指輪と、その懐かしくてたまらない声を忘れるものか。
「赤城…」
私の言葉に彼女は破顔した。
「気づいてくれて嬉しいですよ。提督」
彼女は背後を見てから言った。
彼女の背には暗い海が続いている。
「おかしな話ですよね。沈めば強くなるなんて」
「お前は強かったからな」
「そうですね、指輪を貰ったの私だけですから」
彼女はそう、うっとりと言った。
こんな笑い方をしただろうか。
「あなたを見ていました。提督」
そこで赤城は言葉を切る。
「けど、あなたが私含め誰も愛さなかったのを見て、少し思ったんです」
彼女は悲しそうな顔をする。
「あなたは、きっと誰も愛せない」
何処からか砲撃が打ち込まれた。
その砲弾は彼女に直撃したかのように見える。
だが、彼女は…その攻撃を気にするでもなく、砲撃してきた少女に言った。
「…しぶといですね。五月雨。けど、無駄ですよ」
「提督は…まだ」
「寝ててください」
艦載機の攻撃が五月雨を捉える。
甲高い破裂音がした。
そのまま壊れた艤装に引きずられるように、五月雨は昏倒する。
陸の上だから轟沈は免れたらしい。
「…強いな」
「妙高や鳳翔の方が手間取りましたよ」
他の名が無いのは、すでに沈めたからだろうか。
そんなことを思いながら、私は赤城との会話を続けた。
「お前は何のために?」
私の質問に、赤城は答えた。
「決まってますよ。提督。今度は、あなたに愛してもらうためですよ」
彼女は近づいてくる。
「他人なんてどうでもいいです。あなたが愛してくれないことも気づいていました」
「それでよかったんじゃなかったのか」
「そう思っていました。けど、私はそれでもあなたがいないとダメだったんです」
濡れたままの彼女は私に手を伸ばす。
「青木さんのように、あなたに逃げられたままは嫌なんです」
彼女の顔は悲痛なものだ。
胸が痛む。
そして、私はどうしようもない感情が浮かび上がったのを知った。
こいつなら、私を殺してくれるだろう。
煩わしいものから全て逃げられる好機が目の前にあるという事実が、私をざわつかせる。
けれども、私はいつもと同じようにタバコをくわえてしまっていた。
「私はそういい男じゃない」
「そんなことはいいんです。あなたさえいてくれれば」
赤城がそう言った時だった。
彼女が手を伸ばせば、私の手に届く距離だった。
何か黒いものと、艦載機が飛来する。
とっさに赤城は振り返り、黒いものは私の足元に転がった。
仕事道具の鞄だった。
鍵は外していたらしい。地面に叩きつけられ中身が私の足元へと転がる。
使い慣れた道具に驚いていると、声がした。
「赤城さん。止まってください」
加賀だった。
と、言ってもすでにボロボロ。
どうやら、この赤城が手心を加えたから動けているだけらしい。
よく見れば弓は鳳翔のもので、後ろで翔鶴が支えていた。
…飛んでいるあの艦載機は龍驤に昔渡したものだった。
「あら」
赤城はそう言うと艦載機を放つ。
それは艦載機を落としに掛かるが、強力なはずのその深海艦載機を高射砲が落とした。
妙高か摩耶からだろう、借り受けたらしい砲を大淀が手にしていた。
その後ろには、明石が神通と立っていた。
おそらく鞄を投げたのは彼女たちだろう。
「三隈さん以外も動けたの」
赤城はそう言うと、新しい艦載機を取り出す。
「邪魔をしないで。泥棒猫たち」
怒気を放ちつつ赤城はまだ動けた艦娘を戦闘不能に追い込む。
時間にしてはごくわずかだが、私から赤城の気が逸れた間に、私は仕事道具を拾う。
拾ったのは、艦娘殺しの大型拳銃だった。
人間の恐怖の結晶。
彼女たちを沈めるためだけに作られた弾丸が込められたものだった。
「あなた達になんて、渡しません」
その言葉は、どの娘に向けて放たれた言葉だったか。
赤城は残る彼女たちを次々戦闘不能に追い込むと、私を見た。
「…危ないですね」
赤城は、私の得物に気がついた。
魚雷を模した弾丸は、彼女も知っていた。
だからこそ私はゆっくりと銃口を彼女の眉間に向けた。
それでも、彼女は笑みを私に向けてくれた。
「殺せます。私を?」
「私が殺すべきだろうから」
「泣いてるのに?」
「そんな訳ないだろう」
「やっぱり、あなたの一番は私ですね」
彼女が艦載機を放つ。
私のタバコの先が、機銃で吹き飛んだ。
それで理解した。
…彼女は私を殺す気などなかった。
「誰より愛しているよ」
怯みはしなかった。
慣れた動作で撃鉄を上げる。
動作は一連で終了した。
「待ってますから、暗い底で」
彼女はそう囁く。
私は、引き金を引いていた。
「さよなら、赤城」
ーーまた会いましょう。提督。
そんな声が聞こえた気がした。
手のひらから痺れが抜けた。
涙は出なかった。
目の前にあるのは、仮にもケッコンした女の屍体だと言うのに。
おそらく表情も変わらないのだろうと、私は想像していた。
ただ口元からぽとりとタバコが落ちた。
ビスマルクにシンセイを買いに行かせたところで、私はぼそりと大淀に本音を漏らした。
「いつ、君らは私を殺してくれるんだろうか?」
私が言うと、彼女は言った。
「そんなことしませんよ」
私は資料を読むふりをしてこの顛末について考えた。
私が赤城を殺したのは、すぐさま鎮守府に広まった。
艦娘殺しの弾薬は、元艦娘だろうが効果を発揮したようだ。
表向きには鎮守府を強襲した姫級を撃破したことで、私は叱責なく現状を維持した。
いくばくかの褒賞と、艦娘の傷だけが残ったが、それはどうでもいい話だ。
むしろ赤城殺しの手段からして、私は彼女たちの同胞を平然と殺してきたことが分かったはずだった。
それなのに、それでも彼女たちは私を愛を向けてくれた。
ただただ私は混乱するばかりだった。
ふと思う。
赤城なら私は殺してくれただろうか。
そう私は思いながら、自分の指輪見た。
特に考えず、これを捨てることを決めた。
指輪を抜くと、目ざとく大淀が聞いてきた。
「…外すんですか?」
「悪いか」
指輪を抜くと、指の形に変形していた。
私は赤城から抜き取った指輪のそばにそれを置く。
気力は湧かなかった。
けれどやることの道筋は儚いが見えた。
苦しんで戦争を終わらせてから死のう。
私はそう決めると、大淀に言った。
「私が好きか?」
お付き合いありがとうございました。
HTML化依頼出してきます。
元スレ
提督「無気力になった」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1451750057/
提督「無気力になった」
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コメント一覧 (113)
-
- 2016年01月03日 12:10
- 青木さんで混乱してる米欄をみると、艦これ厨は兵器オタ程度にしかならんということですな。
-
- 2016年01月03日 12:11
- 良かったゾ
この雰囲気はかなりイイ感じ
-
- 2016年01月03日 12:43
- エアプが青木って誰って騒いでるだけだろ
-
- 2016年01月03日 12:54
- 良かったぜ
艦これSSはこういうハードボイルド調のが少ないから貴重だ
-
- 2016年01月03日 12:55
- 読んでるこっちの方が無気力になりそうだった…食事の催促、タバコは食いもんじゃ無い辺りで赤城さんか?と思ったらそうだった。
赤城さん最後の青木って艦長と、加賀さんの青いスカートは流石に関係無いよな?
-
- 2016年01月03日 15:52
- ※14,16
青木艦長知らない奴がいるとか話にならないよな
ここの※欄はいかに多くのエアプが偉そうに評価下しているかが発覚した
キモすぎ笑えない
-
- 2016年01月03日 16:22
- 米12.13の方感謝です
-
- 2016年01月03日 16:34
- 提督がキモかったです
いくらなんでも甲斐性なしすぎる
-
- 2016年01月03日 16:42
- はい、合格
次も期待してる
-
- 2016年01月03日 17:10
- なるほど、青木さんとは、艦長さんだったのね
これを知らなければエアプになるということは、世のゲーマーというものは、そのゲームの元ネタを一から十まで知り尽くしているってことなのか?
かっこいいなあ、尊敬するわ
-
- 2016年01月03日 17:13
- 最初のページだけ読んで面白そうやなって
思ったんだけどあまりにも読みにくすぎる…
文章力がない人が叙述トリックやろうとするとこうなるよね
-
- 2016年01月03日 17:20
- 読みにくかったのか?これ
特に違和感無かったんだけど
-
- 2016年01月03日 17:27
- 青木…青…ブルー…つまり、僕だ!
-
- 2016年01月03日 17:27
- そういえばふと気になることがあるんだが・・・
この※欄を書いている上で、まぁ俺も自分の意見を言って、
時には食い違うときもあるんだけど・・・
でももしその衝突した人と、他の※欄では意気投合していたという
事実があった場合、なんか気不味くならない?
お互い顔も見ることができないから、尚更ね・・・
みんなはどうなんだろう?
-
- 2016年01月03日 17:31
- 嫁艦なんですよって言っている人ならまだしも、赤城について興味なければ艦長なんて覚えてなくても仕方ない。ゲーム内で言及されているならエアプって言われても仕方ないが。
-
- 2016年01月03日 17:37
- このダウナーさ好き。ただ※21が言うように流石に提督甲斐性なさ過ぎ。五月雨はともかくこの提督は独り身提督と比べると恵まれ過ぎだし。
それと艦娘だけ沈める弾丸なんて都合よすぎないか。
けど全体的な雰囲気やダウナーさは好き。提督が艦娘を沈めてる設定自体も好き。
-
- 2016年01月03日 17:47
- ゲーム内の赤城が青木艦長について一切言及してないのにエアプですかーwww
※16と※19はテキトーにエアプって書けば煽れると思ってるバカなんだろうねえ
煽りすらマトモに出来ないとかwww
-
- 2016年01月03日 17:47
- そういやミッドウェイの4空母で唯一艦長が生還したのが赤城の青木艦長だっけ?
加賀の岡田艦長、蒼龍の柳本艦長、飛龍の加来艦長は艦と共に戦死しているし
-
- 2016年01月03日 17:51
- 突然青木さん言われても軍オタ以外わかんねーわな
青木艦長って言い回ししてたら察せたかもしれんけどさ
-
- 2016年01月03日 17:53
- ※30
えっ、キモ
-
- 2016年01月03日 19:31
- 提督の掘り下げが中途半端なせいで凄く消化不良
結局この提督とやらは何なわけ?
-
- 2016年01月03日 20:01
- 普通に艦これ民だけど青木艦長は知りません
って言ったらエアプ扱いされちゃうね
おお、こわいこわい
-
- 2016年01月03日 20:32
- ※26
お前だったのか!
-
- 2016年01月03日 21:21
- いい雰囲気出そうとしてスベった感じ
駄作
-
- 2016年01月03日 21:30
- ちょっと弄れば名前のない怪物に繋がる気がしないでもない
-
- 2016年01月03日 22:12
- 要はこの提督は反乱艦娘を処分する暗殺担当なんだろうけど(全ての提督がそうなのかもしれんが)
その拳銃は艦娘の艦砲より強力なんですが
なんかもう提督が厨二にしか見えなくて
-
- 2016年01月03日 22:52
- ※39
拳銃マニアか
まぁ、9mmも8mmも艦娘には・・・
-
- 2016年01月03日 23:08
- 正直解体用ならともかく個人携行出来て戦艦や空母ワンパン出来る武器作れるならそちら量産して深海勢ボコれよと思ってしまう
-
- 2016年01月04日 00:09
- 俺も拳銃は気になった。
けど艦娘殺しだからじゃないかって思ってたわ。だって敵さんが元艦娘とは限らないじゃん?あくまで元艦娘だから〜とかな気がする。
-
- 2016年01月04日 00:25
- 艤装展開時であれば通常兵器が効かず、
通常時であれば生身の人間と変わらないとか、
艦娘は選択制で人間がなれるもの
とかの設定があれば良かったかも
-
- 2016年01月04日 02:20
- 最近さぁ、ここの管理人面白い艦これSSまとめなくなったよね
※欄が稼げるようなのも敢えて避けているような気がする
前はもっと数多くまとめていたはずなんだけど・・・
-
- 2016年01月04日 02:26
- ※44
それ思ってたわ。なんかアイマスばっかだよね。管理人変わったのかな?
-
- 2016年01月04日 02:31
- ※45
君もそう思っていたか
そうそう、進撃の巨人とかラブライブとかやたらまとめるようになったし
管理人変わることってありえるの?
-
- 2016年01月04日 02:51
- まあ変わったのかなぁ。まとめ依頼でもスルーしてるみたいだし、暫く艦これはまとめられにくくなりそう。何にせよ方寄るのはやめて欲しいな…
-
- 2016年01月04日 03:15
- 艦これで軍艦に興味を持ち詳しくなりました!(艦長の名前を知らない、疑問に思っても調べようとすらしない)
-
- 2016年01月04日 03:16
- ※やっぱりそうだったのね・・・管理人に一体何があったのか
じゃあ俺も艦これSSより俺ガイルSSを書く方に集中するよ
まとめられれば良いんだけどね・・・
-
- 2016年01月04日 03:41
- え、まとめられないとか萎えるわ
本当に変わったのか管理人にメール送ってみよう・・・
-
- 2016年01月04日 03:48
- ※50
わざわざありがとうね、頼みます
良い返事が聞ければ良いが
-
- 2016年01月04日 05:17
- 管理人が艦これに飽きたか、艦これSSの閲覧数が伸びなくなったかだと思う
-
- 2016年01月04日 06:41
- 「赤城 青木」って検索するだけで幾らでも情報でてくるのに…
ほんの僅かな手間をクレームに回すとかまるで餓鬼だな
お前ら文章中に知らない熟語があったら調べたりしないのか?
-
- 2016年01月04日 07:11
- しょっぱらなから意味不明で読みにくい
-
- 2016年01月04日 08:18
- おおかた軍艦が意思をもって戦ってたとかゲームと現実を混同してるんでしょうね。調べもしない。だから青木って誰だよとか小学生みたいなコメントができる。
命を懸けて戦ったあなた方の祖父、曾祖父も草葉の陰で泣いていますよ。
-
- 2016年01月04日 10:05
- 分かりやすく一人激怒して連投しててワロタ
-
- 2016年01月04日 10:08
- イライラしてるのは分かったけどSSの感想くらい書けばいいのに。作者も報われないなぁ。
-
- 2016年01月04日 11:41
- オタクの悪い癖だな、自分が知ってることは全員が知ってて当然の常識で知らない方が一方的に非常識って考えるのは
艦これっていうゲームを舞台にした二次創作で原作のゲームで全く触れられてない部分や人名まで網羅する方が無理だろ
大方「青木も知らないとか(笑)」って鼻息荒くしてる奴も慌ててググって始めて知ったのがほとんどじゃないの?
-
- 2016年01月04日 12:03
- ※52
なるほどね、俺ガイルはどうかな・・・
ちょっと微妙かも(最近のまとめ回数的に)
-
- 2016年01月04日 12:46
- 文章のセンスはいいけど誤字が多くてギャップが面白い
作者の人となりに興味がわく
-
- 2016年01月04日 13:22
- ※欄で喧嘩してもこのぐらいしか伸びない辺り、ブームは終わったんだな
-
- 2016年01月04日 14:40
- そうは言ってもデイリー三位なんだよなぁ。もしかして管理人轟沈させちゃって嫌になったとかww
-
- 2016年01月04日 14:53
- もう少し校正した方がいいな
-
- 2016年01月04日 14:55
- 艦これアクティブユーザー150万超えてんのにSSコメ欄の伸びごときでブーム終わったとか言ってる妄想くんww
一番新規ユーザーが伸びてた時期でも内容の薄いSSは30コメも付いてなかったわww
-
- 2016年01月04日 15:05
- 軍艦の艦長とか知ってる方がマイノリティでしょ
知らないのが普通
けど知らないことを調べようともしない姿勢の方がドン引き
何もかもおんぶにだっこしてもらわなきゃ文句言うって
そういうのが赦されるのは精々小学生までだよ
-
- 2016年01月04日 15:17
- ※62
SS作者として、それは困るぜよ
-
- 2016年01月04日 15:34
- 先月のユーザー戦果ランキングに載ってるスコア推移から勘定したおおよその数字だけでも
DAU(1日あたりのアクティブユーザー数)はその半数にあたる50万人規模で
MAU(1ヵ月に1回以上プレイしているアクティブユーザー数)が40~50%(100万人規模)だっけか
ブラウザゲーとしては充分すぎるわな
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- 2016年01月04日 16:22
- ※66
流行りもので書きたいならモバマスか俺ガイルにでも行った方がいいぞ
というか人気に便乗してるだけのようなのは読みたくない
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- 2016年01月04日 16:25
- いや、ここ最近のことを思い返してみても、
明らかに管理人が変わったとしか思えない
今までここでまとめられていた作者達のSSが
急にパッタリとまとめられなくなった
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- 2016年01月04日 16:31
- ※69
管理人を擁護する気はないから、ちょっと挙げてみて
速報の依頼スレ見てもピンと来ない
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- 2016年01月04日 16:43
- ※67
演習や遠征じゃなくて出撃してボスマス勝利しないと戦果増えないからな
一日に約50万人の人間がプレイしてるのは確実ってことだな
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- 2016年01月04日 17:23
- ※29
言葉遊びの域だけど「艦娘を殺せるほど強い銃」ではなくて「艦娘を殺せるように作った銃」なんだろう
種族特効武器で物理耐性が高いエネミー(標的の艦娘)をザクザク斬れるようになるが、雑魚(普通の人間の提督)は効果関係なく死ぬ、みたいな感じだろうか
量産しても爆撃で木端微塵、主砲の衝撃波でも死ぬ、寧ろ機銃を撃てば倒れるだろう人間は教育や治療の手間で戦うのは無駄が多いだろうとフロム脳が囁いている
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- 2016年01月04日 17:39
- ※67
先月…先月だと…?
年末…クリスマス…大晦日…うっ…頭が…
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- 2016年01月04日 20:10
- 稀にこういうのが読めるからSS漁りが止められないんだよなあ
素人でも感じるくらいのセンスを無理やりSSに押し込めたような感じ
また出会える機会を楽しみにしてます
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- 2016年01月04日 21:01
- こゆのとかとある司令官のやつとかたまにぐぅ良いのがあるのよな。
でも他※にある、管理人変わって艦これ少なくなったかも?ってのは事実ならさみしいなぁ
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- 2016年01月04日 21:28
- なんて日だ!!
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- 2016年01月04日 21:31
- そもそも今は艦これのSS自体が依頼出てねーんだよ全然
管理人はこれでも割と依頼だしてるの拾ってるぞ
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- 2016年01月04日 21:50
- >23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします 2016年01月03日 17:10
>なるほど、青木さんとは、艦長さんだったのね
>これを知らなければエアプになるということは、世のゲーマーというものは、そのゲームの元ネタを一から十まで知り尽くしているってことなのか?
>かっこいいなあ、尊敬するわ
当たり前だろうが。クソボケ。
ゲーマー様をお前みたいな程度の低い奴と同じ土俵に上げて考えるだなんて、おこがましいにも程があるな。
エアプの分際で・・・身の程を知れよ。わかったら二度と滅多な事を書き込むんじゃないぞ。約束だ。
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- 2016年01月04日 22:56
- 無気力な雰囲気がよく感じられた。最後まで、提督が後ろ向きなままで悲しい物語だけど、生々しい感情が感じられて読みいってしまった。
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- 2016年01月04日 23:40
- ※78
くっさ
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- 2016年01月04日 23:47
- 普通のアンチも
信者の振りしたアンチも
釣り針を小型化する努力くらいしろ
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- 2016年01月04日 23:51
- 久しぶりに地文多いSSよんだ
良かったわ
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- 2016年01月05日 08:02
- 面白かったけど※欄だと意外と論争があって驚いた。
誤字が多かったのは気になるけどまぁ許容範囲内かな。
叙述トリックの話出てたけど叙述トリックとかあったか?
書き込み4で艦これファンなら赤城って一発で気がつくと思うけど。
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- 2016年01月05日 21:07
- 終わこれなんてまだやってらっしゃるの?
もうオワコンなのに?
そのうえ、ただの萌え豚のくせしてミリオタや歴オタのふりして語り出す。キモス
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- 2016年01月05日 22:51
- まだオワコンなんて言ってんの?
新規ユーザーも増えつづけてアクティブも多くて業務展開の規模も広がり続けてて黒字なのに?
いい歳して現実と妄想の区別くらいついてないと施設に容れられちゃうよ?
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- 2016年01月06日 14:25
- 艦これに関して批判も無いけど艦これ厨=ミリオタみたいな流れは勘弁
俺の場合ミリオタになった後に艦これしたんだけど普通に分別してやってるし艦これ自体は凄く面白いよ
ただ艦これやってる奴が〇〇は雑魚だとか言ってるとイラつく時はあるけどね、現実海戦時の戦績やスペックを知ってる人間からすれば多少イライラするけど仕方ないじゃん、他のゲームだって神の名前使って戦わせ、んで他国の神なのにインド神の〇〇弱過ぎwwwとか言ってんだしさ
神や武将や英雄、軍艦や航空機や戦闘機や戦車や重火器や城まで二次化してるんだからある程度分別できる人間になれよ
その分別も出来ない奴は二次オタ(艦これ厨等)であろうと三次オタ(ミリオタ等)であろうとただの幼児
考えてもみろよ、「〇〇(他国の神)が糞性能で雑魚」とか言ってたらその国の出身の外国人に殴られた、この例がまさに分別できない奴のそれ
もっとおおらかになれんもんかね、青木泰二郎大佐の名前を知らないだけで批判するな
ならお前はアメリカ歴代大統領の名前を全て言ってみろ、勿論言える人間だっている訳だ、それを熱心に調べる人間からすればな
言えなかっただけで批判される身にもなれ、当たり前の事ならいざ知らず知らない人間の方が多いのにも関わらずそれをさも当たり前の知識と言うお前は一体何様のつもりなんだよ
そこらへんの知識自慢の赤っ恥野郎と変わらんのによくもまあそんな偉そうな口ぶりでいれるもんだな
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- 2016年01月06日 23:32
- 知らないのは恥ずかしい事じゃないけど
自分の無知に思い至らず青木って誰だよとか書き込んじゃうのは恥ずかしいよ
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- 2016年01月07日 02:37
- 知らないこと分からないことを調べようともしないで相手を叩こうとする無神経で怠惰なメンタリティを批難されてることに気付け
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- 2016年01月07日 05:22
- SSは面白かったけど重い雰囲気の作品で誤字は致命傷だった。誤字の度に冷めるのがストレスだったかな
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- 2016年01月07日 20:08
- ※50さんは本当にメール送ったのかな……
結果が気になる……
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- 2016年01月08日 23:11
- 高雄の事を高翌雄とかよく見るけど何なん?ただの誤変換?
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- 2016年01月09日 01:37
- 艦これの提督は二種類ある。
・一つはゲームを楽しむ派。
あくまでも多数あるゲームの一つとして認識している。だから攻略に必要な知識しか求めない。深く考察はせず、楽しめればそれでいいと思っている。
一般人は大抵このタイプ
もう一つは歴史的背景を知りたい派
なぜこのようにしたのか理由を求め、納得がいくまでとことん調べる。
理解できないものに対しては心底嫌う。
それ故に、本来なら攻略に不要な知識まで覚えていく。
艦これの場合は先祖が海軍、もしくは自衛隊に関わる仕事をしている人が当てはまるかな。そういう人達は誇りをもって生きているため、仕事や先祖を侮辱されると烈火のごとくに怒る。
特に先祖が海軍の人は艦これには複雑な心境だろうな。血筋は争えないのか、テレビで艦の名前が出る度に反応をしてしまう。うちの友人もそうだった。無意識に先祖を尊敬し、艦にも一種の憧れをもっているんだろうな。
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- 2016年01月09日 01:56
- ※92の続きです。
そうそう、艦の名前に思わず反応してしまう人は家系図があれば、ぜひ調べてみてください。
十中八九、先祖が海軍に属していたと思います。先祖が艦と過ごした思い出が血筋となりDNAに刻まれ、現在の子供達に脈々と受け継がれている。
そう考えたら、これほど奇跡なものは他にないのではないでしょうか?
長文失礼しました。
by大和戦艦の艦長を先祖にもつ者
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- 2016年01月09日 03:58
- ただの自己顕示欲丸出しの妄想の垂れ流しはやめた方がいいよby特筆することのない先祖を持つ者
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- 2016年01月09日 17:50
- 青木さんが誰なのかってだけで、誰も先祖がどうたらなんて言って無いんだけどby先祖からしたら、絶望するかもしれない駄目人間
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- 2016年01月10日 15:52
- ※91
このSSが投稿された掲示板の仕様
メル欄にsagaと入れないとそうなる、らしい
正直、青木艦長は艦これユーザーで赤城にそれほど興味なければ分からんネタだと思うよ
ただ飛龍や長波など座乗していた司令官や艦長に言及する子もいるので
この手のSSでその辺り「?」と思ったらコメ書く前に調べた方がいいのは確か
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- 2016年01月12日 20:46
- 作中で触れられてる人物ならともかく全く艦が触れてないのを一々調べて確認しないのは怠惰だってのはおかしくないか
んなこと言ったらオリジナル人物に適当に名前つけてたら一人一人確認しないやつが間抜け呼ばわりされるだろうし史実ネタに拘るならそもそも同一提督の元にいちゃいけない艦娘が出てくるぞ
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- 2016年01月13日 23:09
- 検索して調べる手間をネット社会の現代で惜しむ方が異常だわ
ワード組み合わせて検索してそれっぽいページタイトルがなきゃスルーすりゃいいだけだろ
ほんの3分も掛からないであろう手間なのにそれさえしないのは怠惰以外の何ものでもないだろ
上げ膳下げ膳でオムツ換えて寝かし付けてやらなきゃいけない赤ん坊じゃあるまいし
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- 2016年01月14日 00:21
- ※96
疑問解決、解答ありがとうございました。
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- 2016年01月14日 15:24
- 青木に関しては説明不足
唐突に名前出されても誤記入と思われかねない
調べればわかる事とはいっても読むのを中断して不明点を読み手が調べなければ話がわからないなんてのは読み物としては単純に短所だよ
もっともこのSSにおいての青木は別にストーリーの根幹に関わる重要なピースではなくフレーバー程度だよね
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- 2016年01月18日 02:18
- 青木って誰?
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- 2016年01月18日 11:48
- コメ欄の過去ログすら読まない奴~
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- 2016年01月23日 14:46
- 何も予備知識も持たずに読んでて唐突に青木とか言われたらシュール過ぎて笑うだろ
ただそれだけなのになにマジになってんだよw
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- 2016年03月31日 03:30
- 悪くない、全体的に面白いし一々セリフ毎に名前を書かないのも読みやすくて良い
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- 2016年09月17日 20:14
- 艦娘の名前はちゃんとしてほしいですね。
高翌雄って誰ですか?
艦これに高翌雄はいませんよ。
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- 2016年10月21日 17:12
- 大人な雰囲気の五月雨ちゃんいい…襲われたい
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- 2016年12月12日 01:41
- 『翌』の謎が解けたなぁ、確かにここでしか見たことないかも
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- 2016年12月12日 01:51
- 五月雨がドジッ子じゃないだと……!?
by先祖に限らず親類縁者にまるで興味なくて祖父母の名前すら怪しい者
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- 2016年12月20日 12:44
- 誤字が多すぎて台無し こりゃ全部掲示板の仕様なのかね
わかってもらおうなんて思ってないから艦長もつけずに青木さんなんて書いてんだろ 自分に酔いすぎだわ
それに対して調べろだのわかれだの何か勘違いしてるんじゃないのか
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- 2017年02月06日 21:44
- まず提督(ユーザー)の人数だけでみると国が何個あるかわからないくらい多いよね
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- 2017年02月14日 06:35
- 誤字脱字は減点
村上春樹タッチばり艦これ流BladeRunner
楽しく読ませていただきました。
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- 2018年05月29日 11:52
- プレイヤーは登場するすべての艦の寸法に重量、搭載兵器量に歴代艦長の名前、製造地にメーカー、設計責任者、艦名の由来になった地名の詳細、戦果などを知っていて当たり前だからな。
一つでもわからなかったらエアプ。
いうまでもなく多くのゲームで使い回されている聖剣魔剣、幻獣、地名人名についても同じことが言える。
これらに造詣がなければ本来プレイすることなど許されないのである。
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- 2018年08月17日 10:47
- 最高だった。望んだエンディングに辿り着かないのもわかっていたし、そもそも全員の幸せは有り得なかった。だが、この最期には意味があると思えた。作者に感謝と賞賛を。