雪歩「戦車道やりますぅ」
P「雪歩が主演のTVドラマの製作が決定したんだが」
真「本当ですかプロデューサー! おめでとう! 雪歩」
雪歩「ありがとう、真ちゃん」
伊織「でも、その発表だけでなんでみんな集めてるのよ」
P「そのことなんだが、今回のドラマは『戦車道』の話でな」
春香「せんしゃどう……ってなんでしたっけ?」
あずさ「華道、茶道とならんで、乙女のたしなみとされている伝統武道ですよね」
響「なんか堅苦しそうだぞ」
亜美「ちょっと古臭いカンジだよねー」
P「まぁまぁ、それで今年の第63回戦車道全国高校生大会で活躍した」
P「大洗女子学園がドラマの舞台になっているんだ」
真美「ゆきぴょん、戦車乗るの?」
貴音「真、風情があってよろしいですね」
美希「あふぅ……ハニー、はやく本題を話して欲しいの」
P「そうだな、それでドラマの番宣も兼ねて『生っすか!?サンデー』増刊号枠にて」
P「765プロ総出での『戦車道』体験をしてもらうことになった」
一同「ええ~っ!」
765プロ所属アイドル
ttp://765pro.jp/idol/yukiho.html
ガールズ&パンツァーキャラクター
ttp://girls-und-panzer.jp/chara_list.html
ガチの戦車道のSSがあまりないので挑戦してみました
登場人物が多くて死ぬ……
律子「大洗女子学園も全面協力してくれるそうなので、頑張りましょう!」
千早「あの……プロデューサー、どうしても全員で参加しないとダメなんですか?」
P「ん? どうした?」
千早「戦車は……ちょっと」
春香「一緒にやろうよ! 千早ちゃん。みんなでやればきっと楽しいよ」
やよい「私も戦車に乗ったことないから不安ですけど、雪歩さんのためにもやります!」
千早「春香、高槻さん……。そうですね、わがままを言ってすいません」
P「よし! あと、まだ決まっていない役もあるそうだから」
P「この体験番組で頑張れば、他のみんなも雪歩と一緒に出演できるかもしれないぞ」
美希「みんなライバルなの。はやく戦車動かせるようになるの」
貴音「ところで、戦車道をやったことのある者はいないのでしょうか?」
雪歩「あ、あの私。小学生の時、少しだけ習い事で……」
真美「それで、ゆきぴょん主役ゲットできたんだ」
亜美「ハッ! まさか穴掘りの技能もそのときに?」
律子「コラ! でも、未経験者も大洗女子でみっちり鍛えてくれるそうだから大丈夫よ」
亜美「う~、りっちゃんが鬼軍曹モードになってるよー」
P「とりあえず、3人ずつのユニットを発表するから車長、砲手、操縦手を決めてくれ」
柚子「そんな理由があって戦車が4台も運ばれてきたんですね」
杏「放送局の方で用意した『アイドル戦車』だってさー」
優花里「てっきり、新しい戦車が増えたかのかと思ったのに」ガックシ
杏「それで、西住ちゃん。迷惑かけるけど、アイドル達の面倒見てくれないかなー?」
みほ「それはいいですけど、大洗女子を舞台にしたTVドラマって……」
杏「ああ、主役の萩原雪歩はもちろん、西住ちゃん役だよ」
華「すごいです、みほさんが主人公のドラマだなんて」
沙織「もしかして、私役もいるのかな? もうやだー、どうしよう!」
麻子「あまり期待しないほうがいいぞ。沙織」
沙織「ブー。いいじゃん、それにドラマの登場人物になればきっとモテモテに」
桃「それはともかく、大洗女子の宣伝にもなるし、今回の企画はぜひ成功させてほしい」
杏「学園が残ったといっても予算不足は相変わらずだしね」
柚子「特番とドラマが売れれば、新しい戦車も買えるぐらいの予算とれるかも」
桃「我々も含めて、他の戦車道チームも協力する。西住隊長、頼んだぞ!」
みほ「あ……はい!」
優花里「では早速、アイドルの戦車を見に行きましょうか!」キラキラ
沙織「さすがゆかりん、生き生きしてるね」
華「でも、わたくしもどんな戦車か興味あります」
沙織「なんか、戦車道始めてからどんどん詳しくなっていったからね」
沙織「前はどの戦車も同じに見えてたのに……」
麻子「職業病ってやつだな」
沙織「そういう麻子だって、戦車道のおかげで朝起きれるようになったじゃん」
麻子「うぐ」
みほ「……」
沙織「みぽりん? なんかおとなしいね」
みほ「あ、うん」
沙織「アイドルに戦車道教えるのが不安とか?」
華「大丈夫ですよ。わたくし達に戦車道を教えていただいた時のようにすれば」
優花里「そうです! それに今回は我々もいますし」
みほ「はは、ありがとうみんな。そうだよね」
優花里「どんどん、頼ってください!」
ワイワイガヤガヤ
優花里「あれ? 他のチームの皆さんもいますね」
麻子「みんな、なんだかんだで興味あるんだろう」
華「4台とも違う種類の戦車のようですが……」
沙織「なんかちっこいのから大きいのまで、いろいろだね」
優花里「解説ならお任せください!」
典子「これは、シャーマンだな」
妙子「サンダース大付属との追いつ追われつを思い出します」
あけび「でもなんか角張ってごつくなっているような」
優花里「バレー部の皆さん。この戦車はM4A3E2突撃戦車です」
妙子「これがあのジャンボなんですね」
忍「でも先輩、普通のM4となにか違いがあるんですか?」
優花里「はい! 初期のM4に比べて砲もサスペンションも強化されてます」
優花里「しかしなんといっても一番の特徴はその装甲です」
優花里「重戦車並の装甲厚で、圧倒的な防御力を誇ります」
優花里「そのかわり、機動力が犠牲になってしまってますが」
優花里「近藤殿が言っていたように『ジャンボ』とも呼ばれている防御力特化改良型ですね」
優花里「あと特にこの車体はブーブーエスTVの伝説の番組」
優花里「『痛快なりきり番組 風雲!タジリ城』で使われた……」
沙織「はいはいそこまで」
優花里「ああん、まだ半分も解説してないですのにー」
華「本当にTVで使われてた『アイドル戦車』なんですね」
優花里「戦車道があまり盛んに行われなくなって、撮影用などで払い下げられた『子』はいっぱいいると思いますよ」
麻子「次いこう」
おりょう「ごつい戦車ぜよ」
カエサル「でも、どこかで見たことあるような」
優花里「歴女チームの皆さん、これはKV-1重戦車ですね」
左衛門佐「おお、プラウダ戦の時の」
エルヴィン「あの時戦ったのはKV-2だったな」
優花里「元々両方とも同じ車体でKV戦車と呼ばれてましたが、KV-2と区別するためにこう呼ばれるようになりました」
ねこにゃー「これがKV-1なんですね……」
ももがー「うわぁ」ドンビキ
優花里「どうかしましたか?」
ぴよたん「ネットの戦車ゲームでこのKV-1が敵で出てくると、硬すぎて撃破できないんです」
優花里「そ、そうなんですか。たしかにⅢ号やⅣ号の初期型では撃破は難しいかもしれませんね」
左衛門佐「KV-2を撃破した時のコツを伝授しようか?」
ぴよたん「三式でもできるんでしょうか?」
梓「うわあ~」キラキラ
あや「なんか、澤ちゃんがキラキラしてる~」
紗希「……」
優花里「おおう、この戦車は!」キラキラ
あゆみ「秋山先輩にキラキラがうつった……」
優花里「一年生チームの皆さん! これはコメット巡航戦車ですよ」
優季「いかにも戦車ーって格好してますよね」
優花里「イギリス最後の巡航戦車で、走攻守バランスのとれた傑作戦車ですよ」
桂利奈「澤ちゃん、そういえばこの戦車好きだったような」
優花里「特にパンターの攻撃力にも匹敵する76.2mm砲は……」
麻子「はい次々」
優花里「うわああああん」ズルズル
華「最後の戦車は小さいですね」
沙織「あれ? これって38(t)じゃない?」
麻子「そっくりだな」
優花里「ひゃううう」
沙織「わっ、ゆかりん、変な声出さないでよ」
優花里「これ、レア戦車ですよ~」スリスリ
麻子「そうなのか」
優花里「新型38(t)偵察戦車です。数両しか作られてないんですよ」
優花里「38(t)nAともいって、装甲がリベットから溶接になっていたり」
優花里「エンジンが強化されて、最高速度は時速60キロ以上にも達します」
優花里「後に部品がヘッツァーに使われたりしているあたりは、Pティーガーとエレファントに似た関係とも言えますね」
沙織「まぁ、番組作りで貸し出されてるだけだしね」
華「結局わたくし達が指導することになるので、優花里さんも乗る機会あると思いますよ」
優花里「はっ! そうですよね! うふふふ」ズズ
麻子「なんかよだれが出てるぞ……」
沙織「それよりさ、肝心のアイドルだけど、どんな人達が来るかみんな知ってる?」
優花里「わたしは、戦車は知ってますけど、そちらはさっぱりです。すみません」
麻子「なんでも765プロってとこのアイドルらしいぞ」
沙織「和む風呂!?」
麻子「765プロだ。最近売れてきている芸能プロダクションらしい」
沙織「どんなアイドルがいるの?」
麻子「竜宮小町とか聞いたことないか?」
華「あら、そのアイドルグループならわたくしも知ってますよ。なないーろぼーたんー♪」
沙織「急に歌い出さないでよ! でもたしかに聞いたことあるかも」
麻子「あとは、日曜の番組で『生っすか!?サンデー』とか」
優花里「すいません。両方とも知らないです」ウウ
沙織「でもアイドルってぐらいだから、みんなかわいいんだろうなぁ」
麻子「戦車道を教えるかわりに、モテ道を教わろうとか考えてないだろうな?」
沙織「」
みほ「あ、ごめんなさい。考え事してて」
優花里「さすが西住殿。もうアイドルへの指導方法を考えていたんですね!」
みほ「……えへへ」
華「それにしても、みほさん役の萩原雪歩ってどんな方なんでしょう?」
そど子「萩原さんのデータならこれよ」パッドサシダス
麻子「そど子。どこから湧いたんだ?」
そど子「そど子って呼ばないで! あと風紀委員としてアイドルの戦車をチェックしてたの!」
麻子「なんだ、結局わたし達と同じ野次馬か」
沙織「この人が雪歩さん? 可愛い人だなー」
優花里「なんとなく髪型も西住殿に似てます」
華「優しそうな方ですね」
みほ「……」
そど子「見終わったらパッド返してよ」
麻子「ほい」ポイッ
そど子「あわわ。危ないじゃないの!」
優花里「そういえば自動車部の方たちはいませんね」
そど子「アイドル戦車の整備はとっくに終わったみたいよ」
そど子「でも、私達の戦車に車内カメラとか取り付けるのに忙しいみたい」
沙織「うわー。TVに出ちゃうんだ私。ファンレターとか殺到するかも?」ポー
麻子「映像が使われるとは限らないけどな。そもそも決勝の中継でTVデビューしたのにファンレター来たのか?」
沙織「表彰式の時以外は、戦車しか映ってなかったから無効!」
麻子「はいはい」
そど子「アイドルも明後日には第一陣が来艦するから、みんな浮かれないで準備してよ」
優花里「楽しみですね。アイドルの人たちと戦車道するの」
麻子「あっちは仕事だからな、授業のわたし達と違ってあまり乗り気じゃないかも」
優花里「そうかもしれませんけど……。やれば楽しさを理解していただけるかと」
華「アイドルといっても、わたくし達と同じ人間ですからね。生真面目な人も入れば、ちょっとドジな方とか、歴戦のヤンキーとかもいらっしゃるかも…」
麻子「最後のはないな」
優花里「それに指導するのは我らが西住殿ですし」
みほ「……うん、頑張ってみる」
P「ふうう、ロケで何回も行ったことはあるといえ、学園艦への移動は慣れないな」
律子「だらしないですよ、プロデューサー殿。これから毎日のように来るんですから」
P「この大洗女子学園は小さめの艦なんだな」
律子「でもいい感じのところですね」
桃「失礼。765プロの方でしょうか?」
P「ええ、そうですけど君は?」
桃「大洗女子学園の生徒会のものです。アイドルの皆さんをお迎えに来ました」
P「生徒会の方でしたか、どうぞよろしくお願いします。俺とこちらの秋月はプロデューサーです」
桃「お待ちしておりました。ご案内しますのでこちらへ」
P「よし、みんな行くぞ~」
P(こうして、765プロの戦車道への挑戦が始まった)
杏「よーこそ、大洗女子学園へ。生徒会長の角谷杏だよ」
春香「なんかずいぶんフレンドリーな会長ですね」
亜美「学園の生徒会ってそのケンリョクをりよーして、オーボーなヨーキューを突きつけるんじゃなかったっけ?」
貴音「まあ、それは真でしょうか?」
響「マンガやアニメの見過ぎだぞ、亜美」
律子「今回は初顔合わせということで、765プロのメンバーは全員揃っています」
P「ただ、このあとのスケジュールもありますので、何人かはすぐに別の現場に移動しますが」
柚子「アイドルって大変なんですね」
杏「プロデューサーちゃん。こちらから連絡した準備は終わってる?」
P「各戦車へ搭乗するアイドルの、チーム分けと役割は、すでに決めてあります」
杏「ご苦労さん」
P「これがそのチーム分けの資料です」サッ
Aチーム ジャンボ 車長:如月千早 砲手:双海真美 操縦手:天海春香
Bチーム KV-1 車長:水瀬伊織 砲手:双海亜美 操縦手:三浦あずさ
Cチーム コメット 車長:我那覇響 砲手:四条貴音 操縦手:星井美希
Dチーム 新型38(t) 車長:萩原雪歩 砲手:菊地真 操縦手:高槻やよい
杏「ふーん」チラッ
雪歩「……」モジモジ
杏「萩原ちゃん。ドラマの主演なのに軽戦車の38(t)で大丈夫ー?」
雪歩「あっ、あの…。その戦車でお願いしますぅ」
杏「あっそ。まぁ、本人がいいならいいんだけど」
桃「会長、そろそろ」
杏「ん。じゃ、うちの戦車道のメンバーも集合終わったようなんで、格納庫前に移動しよっか」
杏「あと、かーいいチーム名を西住ちゃんに考えてもらってねー」
優花里「いよいよアイドルの方たちに会えますね」
沙織「あ、きたきた」
杏「みんな、お待たせー」ゾロゾロ
あや「あ、竜宮小町の伊織ちゃんがいる!」
優季「きゃー。真王子ー!」
ももがー「亜美真美ちゃんかわいい」
おりょう「千早ちゃんの歌、ききたいぜよ」
あけび「生の響ちゃんだー」
紗希「……」アッチヲミテル
みほ「すごい人気」
麻子「意外とみんな詳しいんだな」
桃「あー、静かに! こちらが765プロのアイドルの皆さんとプロデューサーの方だ」
沙織「ちょっと! あのメガネの男の人がプロデューサーさん?」
華「そのようですね」
沙織「かっこいい……。芸能プロダクションのプロデューサーって、ゲフフとかいって若い女の子をたぶらかすオヤジだと思ってたのに!」ワキワキ
麻子「どんなイメージだ」
沙織「彼女とかいないのかなー?」
麻子「綺麗なアイドルをプロデュースしてるような人に、沙織が入り込む余地はないな」
沙織「いーや。意外とそういう人に限って家庭的な女の子が好みなんだってばー」
雪歩「あ、はい」アワアワ
雪歩「あの、いろいろご迷惑をお掛けしますが、精一杯がんばりますのでよろしくお願いしますぅ」ペコリペコリ
みほ「アイドルの皆さんは、初めて戦車道をする方も多いと思いますが怪我などしないように気をつけてください」
一同「パチパチパチ」
沙織「なんか雪歩さんって、おもしろいね。初めて会った頃のみぽりんみたい」
華「でも、やっぱりアイドルですね。華があるというか」
沙織「そう?」
桃「あー、言い忘れていたが、番組の企画で最後にアイドルチームと我々とで紅白戦をすることになった」
桃「それまでにアイドルの方々は戦車に慣れておくように」
やよい「うっうー……プロデューサー! 今の本当なんですか?」
P「ああ、練習期間が短くてすまないが」
真「全国大会に出た戦車道チームに勝てるわけないじゃないですか!」
伊織「そうよ、ムチャクチャな番組ね、まったく!」
律子「そのかわり、勝てば豪華賞品が番組からもらえるらしいわよ」
貴音「らぁめん一年分とかでしょうか?」
真美「んっふっふ~。それだとお姫ちんは一ヶ月分になっちゃうけどね~」
美希「負けた場合は罰ゲームなの?」
杏「大洗女子の伝統で、負けた方には『あんこう踊り』踊ってもらうからねー」
響「自分、ダンス得意だから、そのぐらいなんくるないさー」
大洗女子一同「」ガクガクブルブル
響「あ、あれ? 自分変なこと言ったか? 空気がおかしいぞ」
P「チーム名といえば、音無さんがいいのを考えてくれたらしいぞ」
律子「小鳥さんが渡してくれたこれですね」メモヨウシヒラク
『アサルト』『グロブダー』『バタリアン』『サイバーS』
律子「却下!」グシャグシャ
あずさ「あらあらー」
P「ハハ、やっぱり西住さんに相談してくるか……。おーい雪歩!」
雪歩「あ、はい、何ですか? プロデューサー」
P「伊織と響も来てくれ! それぞれのチーム名を西住さん達と一緒に決めるぞ」
伊織「いくらなんでも長過ぎよ!」
優花里「それなら、普通に『リュウグウチーム』がいいのではないでしょうか?」
伊織「にひひっ、そうね、それなら問題ないわ」
伊織(リュウグウノツカイってどんな魚だったかしら? ま、竜宮ってぐらいだから綺麗な魚だとは思うけど……)
千早「じゃそれで決まりね。私たちのチームは……」
沙織「赤青黄色のイメージカラーのアイドルのチームだから」
沙織「『チューリップチーム』とかどう? あかあおきいろ~♪」
華「その歌詞は『赤白黄色』ですよ……。何かイメージしやすい動物とかいればいいんですが」
響「じゃあ千早の持ち歌のアレなんてどうだ?」
雪歩「『蒼い鳥』?」
千早「そうね、じゃあ私たちは『アオイトリチーム』で」
響「実は自分達は話し合ってもう決めてあるんさー。『妖精さんチーム』でいくぞ」
P「お、なかなかいいな」
響「なんかしっくり来る名前だからなー」
雪歩「私達はどうしよう……」
みほ「雪歩さん、特に気に入ったものはない?」
雪歩「ごめんなさい……。うぅ、名前ひとつ決められないダメダメな私は……」
P(ヤバイ)
雪歩「穴掘って埋まってますぅ!」ザックザックザック
優花里「うわわ。いつの間に戦車の装備品のシャベルを!?」
P「落ち着け! 雪歩」
華「凄いです。この技術(ワザ)、戦車道に使えるかもしれませんね」
優花里「感心してないで止めてください! 練習場が使えなくなります!」
沙織「最近のアイドルってこんなこともできるんだねー」
麻子「沙織。その認識は多分間違いだ」
雪歩「うぅ。ごめんなさい」
優花里「掘るときもあっという間でしたが、埋め直すのも一瞬でしたね」
麻子「あとでⅣ号で踏み固めておこう」
P「まぁ、チーム名なんてそんなに深く考えなくても大丈夫だよ」
雪歩「はい……」
沙織「そうだ! 大洗のアイドルといえばアレなんてどう? 駅前にあるやつ」
みほ「あ、イルカ?」
沙織「そうそう、ちょうど3頭の像だし、アイドルのユニットと同じ数だよ」
雪歩「『イルカさんチーム』?」
優花里「いいかもしれませんね、それ!」
麻子「沙織にしては上出来だ」
アオイトリチーム ジャンボ 車長:如月千早 砲手:双海真美 操縦手:天海春香
リュウグウチーム KV-1 車長:水瀬伊織 砲手:双海亜美 操縦手:三浦あずさ
妖精さんチーム コメット 車長:我那覇響 砲手:四条貴音 操縦手:星井美希
イルカさんチーム 新38(t) 車長:萩原雪歩 砲手:菊地真 操縦手:高槻やよい
P(こうして無事チーム名も決まり、スケジュールの合間をぬって、本格的な練習が始まった)
沙織「あ! 私、プロデューサーさんに話しかけるの忘れてるじゃん!」
みほ「これより本日の練習を始めます、アイドルの皆さんは制服がないので」
みほ「これからも各自、トレーニングウェアに着替えるようにしてください」
みほ「練習中は各戦車に指導係が数名同乗しますので、彼女らの指示に従ってください」
みほ「あと、戦車への乗降車時に足を踏み外したり、ハッチに手を挟んだりしないよう気をつけて」
アイドル一同「はい!」
みほ「それではよろしくお願いします!」レイ
アイドル一同「よろしくお願いします(なの)!」レイ、ガルーン
雪歩「……」スタスタッ
優花里「おお、軽やかに戦車に登って! 萩原殿は戦車道やったことあるんですか?」
真「へへっ、765プロで唯一の経験者だよ!」
やよい「真さんが自慢してどうするんですか。それより乗るの手伝ってくださいー」
真「ああ、やよい、ごめんごめん」
やよい「入り口がちょっと高くてこわいですー」ウッウー
優花里「まずは、戦車に慣れるために基本的な動かし方と、射撃を練習しましょうね」
千早「改めてよろしくお願いします、秋山さん。それじゃ春香、射撃場まで運転お願い」
真美「ワクワクしますなー」
春香「えーと、えーと」キョロキョロ
麻子「Zzz……」
春香「ちょっと、麻子さ~ん!」
麻子「あふぅ……。もう練習終わったのか?」
春香「これからですよ、これから! 動かし方を指導してくださいよー」
麻子「大丈夫。シャーマンは燃料さえ入っていれば、天海さんでもすぐに動かせる。おやすみ……」
春香「そ、そうなんですか。よかった!」
真美(はるるん……。その反応でいいの?)
美希『お先に失礼なの~!』
コメット「ドドドドドド」
千早「美希。昨日練習しただけで、もうあんなに動かせるようになったのね」
優花里「星井殿は戦車道のセンスがあるのかもしれません」
真美「天才はよく寝るってホントなんだねー」
麻子「Zzz……」
伊織「この戦車、外が見づらいわよね」
KV-1「ガゴッガゴッ」プスン
あずさ「あら? あらあらー」
伊織「ちょっと、あずさ! どうなってるのよ?」
ホシノ「あー、こりゃクラッチいっちゃったね」
ナカジマ「ちょっと直してくるんで、まっててくださいねー」
伊織「余計な手間取らせて、悪いわね」
ナカジマ「いえいえ。我々は整備のしがいがあって楽しいんで。じゃ」
亜美「あずさお姉ちゃん。運転大変そうだけど大丈夫?」
あずさ「ええ、でも昨日よりだんだんコツがわかってきたから」
あずさ「伊織ちゃんも、心配かけてごめんなさいね」
伊織「まったく、はやくまともに動かせるようになりなさいよね」
あずさ「ところで、ここはどこかしらー?」
伊織「え?」カパン、ソトノカクニン
サークルKサンクス
伊織「ど、どう運転すれば練習場からコンビニの駐車場に来れるのよ!」
亜美「いおりん。戦車直してもらっている間、塩豚まん食べてようよー」
コメット「ゴゴゴゴゴゴ」
忍「美希さん、運転うまいですね」
美希「ダンスの振付おぼえるより、簡単なの」
響「自分達、完璧だからな」エッヘン
あけび「では、射撃場に到着したら、停止位置に止まって標的に射撃をお願いします」
貴音「心得ました」
あけび「四条さん、もう戦車慣れました?」
貴音「そうですね。この『こめっと』、『はうにぶ』に比べるといかほどか窮屈ですが」
あけび(ハウニブってなんだろ? 戦車の名前かな?)
美希「そろそろ撃つ場所なの」
響「美希。停止して射撃用意!」
美希「はいなの」
コメット「キキッ」ピタッ
響「撃て!」
貴音「……」カチッ
コメット「ドッゴーン!」ガッコン
ヒュン、ドッ!
貴音「響! 見ましたか! 見事、的に命中しました!」
響「うがーっ! 貴音、喜んでるとこ悪いけど、当たったの狙った隣の標的だぞ!」
貴音「め、面妖な……」
あけび「逆にすごいかも」
雪歩「ごめんね真ちゃん。装填もまかせちゃって……」
真「大丈夫大丈夫! それより雪歩、そろそろ射撃場だよ」
みほ「みなさん、射撃場についたら、停止位置まで前進、その後完全停止してから、一呼吸おいて射撃してください」
やよい「りょうかいですー」
真「はいっ! 隊長!」
雪歩「射撃位置までまもなくですぅ。射撃用意!」
真「了解!」スコープノゾク
雪歩「……。はい! 停止してくださいっ!」
やよい「うっうー」クイッ
新38(t)「キキキッ」ピタッ
雪歩「撃て!」
真「……」チャー、シュー
真「メン!」カチッ
新38(t)「ドウッ!」ガコン
ヒューーン……
真「あ、あれえ?」アセアセ
雪歩「真ちゃん。外しても当たっても次弾の装填準備をお願い」
真「う、うん。ごめん雪歩」ガチャガチャ
みほ「標的の上にそれました。距離の確認を」
真「間違ったのかなぁ? 計算が難しくて」ガコン
みほ「あと、停車時に車体が目標に対してかなり斜めになって、停止位置を過ぎちゃってます」
やよい「ごめんなさい。みほさん」ウッウー
みほ「初めてなので、しょうがないよ高槻さん」
みほ「そのための練習だから。少し戻ってからもう一度やってみよう」
やよい「はいっ!」
千早「……」ペラリ
優花里「みなさん、お疲れ様でした。如月殿、何をお読みになっているのですか?」
千早「戦車道のルールブックです。やはり、昔からある武道には厳格な決まりがあるのね」
優花里「試合においては礼を重んじる事が重要になってますからね」
優花里「でも、そのように難しく考えなくても大丈夫です」
優花里「私など、何より戦車に乗れるだけで、幸せですから!」
千早「本当に戦車が好きなのね、秋山さん」
真美「千早お姉ちゃんの『歌』みたいなものだよねー。きっと」
優花里「真美殿……そ、そのような。恐縮です」アセアセ
春香「それに千早ちゃん、戦車あまり興味なさそうだったのに、ノリノリだね」
千早「やるからには全力でやらないと。春香も操縦もっと練習しなくちゃね」
春香「ヴァイ!? 千早ちゃん……厳しいよー」
真美「シャチョーの命令は絶対なのだ!」
麻子「ふにゃ……。そういえば秋山さん、あのことは伝えたか?」
優花里「そうでした! みなさん! 本日放課後もしよろしかったら」
優花里「私の家で行なう『765プロ歓迎パーティ』にいらしてはもらえないでしょうか?」
千早「残念だけど、今日はスケジュールの都合が……ごめんなさい」
真美「あーあ。真美いきたかったよー」
優花里「そうですか……。お忙しいですもんね」ショボーン
春香「あっ、でも雪歩や真なら大丈夫じゃないかな?」
千早「そうね、確かイルカさんチームは今日から学園艦に泊まりこみだったような」
真美「他にも都合つくメンバー確認とってみるねー」ケータイトリダシポパピプペ
優花里「あ、ありがとうございます!」
優花里「えー、本日はお忙しいなか、あんこうチーム主催の『765プロ歓迎パーティ』にお越しいただきありがとうございます」
優花里「ささやかですが、お食事などもご用意しましたのでぜひ楽しんでいってください」
優花里「では、西住殿!」
みほ「は、はい! じゃ、かんぱーい!」
一同「乾杯!」ジュースデカンパイ
貴音「ふむふむ。真に、美味しい料理ですね」モグモグモグモグモグモグモグ
華「沙織さんと優花里さんのお母様の力作ですね」モグモグモグモグモグモグ
響「は、はやく食べないと無くなりそうだぞ」
沙織「まだまだいっぱい作ってあるからゆっくり食べて大丈夫だよ、ひびきん」
響「でも沙織はすごいな。こんなに美味しい料理作れるなんて!」
やよい「ほんとうに、美味しいですよ~、沙織さん」キラキラ
美希「ミキにも明日おにぎり作って欲しいの」
麻子「沙織、良かったな。アイドルにもモテモテで」
沙織「なんで、女の子にばっかモテるんだろう私……」
真「そうなんだよなぁボクも、どうしてなんだろう?」セツジツ
雪歩「真ちゃんは今のままがいいんだよ! そうだよね? 西住さん!」
みほ「え? はは……」タラー
真「でも、優花里の部屋って戦車グッズいっぱいだね。このぐらいやらないと隊長や優花里みたく乙女っぽくならないのかなぁ?」
優花里「そ、そんなことは……。ああ、なぜか、菊地殿に名前を呼び捨てにされると、ドキドキしますうー」カァ///
沙織「だからさー、どうすればミキミキみたいなモテモテ女の子になれるのかなーって」
美希「ハハッ、そんなのパッとまってガッとやってチュッと吸ってはぁ~ん、てアピールすればいいのー!」
麻子「Zzz……」
華「一部、酔っぱらいの方みたいになってしまってますね」モグモグ
貴音「美希、人様の家で、はしたないですよ」モグモグ
響「貴音……自分、つっこまないからな」
やよい「うっうー……。私もちょっと眠いかもしれないですー」
優花里「では、名残惜しいですがそろそろお開きにしますか」
響「そうだな、みんな練習で疲れてるみたいだし」
響「やよい、今日は自分達も泊まりだから一緒に宿に帰ろう」
雪歩「秋山さん、西住さん、歓迎パーティ、本当にありがとうございました」ペコリ
優花里「いえいえ、私達も楽しかったですから」
みほ「……練習で疲れてたのに、ごめんなさい」
真「……」
真「そうだ! このあと、迷惑じゃなかったら隊長の家におじゃましてもいいかな?」
みほ「え? え?」
真「戦車のことで、隊長に聞きたいこともあるし。雪歩もいいよね?」
雪歩「え? 迷惑でなければ、いいよ」
みほ「それは大丈夫だけど……」
真「じゃ、一緒に行こう! 響、やよいのことよろしくね」
真「うわぁ~。隊長の部屋良い感じですねっ! 女の子ーって感じですよ!」
みほ「そうかな? 普通だと思うけど」
真「ほら! 雪歩! ボコられグマのボコのぬいぐるみがこんなに! カワイイなぁ~」ニヘラッ
雪歩「真ちゃん、はしゃぎ過ぎだよぅ」
真「だって、隊長は強くて可憐な戦車道のタツジン! だから部屋も掛け軸とかかかってるイメージがあったからさ~」
雪歩「私のお父さんの部屋でもそれはないよ~」
みほ「あはは……お二人とも、座って待ってて、お茶入れるから」
雪歩「あ! お茶ならまかせてくださいっ!」ギュッ
みほ「え?」
真「隊長、雪歩のいれるお茶は絶品なんだ。ぜひ飲んでみてよ」
真「ね? 雪歩のお茶いいでしょう?」ズズ
雪歩「えへへ、急須にお湯を注ぐ前に少し水を入れて温度の調整したり」
雪歩「あと浸す時間に気をつければ、西住さんや真ちゃんにもできるよ」
真「それが難しいんだよ、ボクには」
みほ「雪歩さん、すごいです」
雪歩「そんな、わたしなんてダメダメで……」
真「そんなことないよ。今日の戦車道だって、指示うまかったじゃないか」
雪歩「うぅ」
みほ「……あ! 菊地さん。そういえば戦車のことで聞きたいことがあったんじゃ?」
真「えっ!? うん、そうそう。ちょっとまってね隊長」ガサゴソ
真「あっれ? メモがない……。ああーっ!!」ガタッ
みほ「ど、どうしたの?」
真「隊長! ごめん! メモ、やよいの荷物と一緒にしちゃってたんだ」
真「ちょっと走って取ってくるから、待ってて!」ガチャッ、タッタッタッ
みほ「あ、あっ……。いっちゃった……」
みほ「……」
雪歩・みほ「あっ、あの!」
雪歩「あ、西住さんからどうぞっ!」
みほ「はいっ! あの……、雪歩さんは、どういうきっかけで戦車道をしてたんですか?」
雪歩「うぅ。わたしのお父さん、厳格……というか女性は清楚であれ、おしとやかであれという考えの人で」
雪歩「色々と習い事をすすめてきて、それで」
みほ「そうだったんだ」
雪歩「でも、ダメダメなわたしは戦車道も中途半端にしかできなくて、結局長続きしなくて……ごめんなさい」ペコペコ
みほ「今はアイドルとして頑張ってるじゃないですか。ダメなことなんて……」
雪歩「今回の仕事だって、男の人が苦手なわたしに、女子校のドラマだって、プロデューサーが取ってきてくれたもので」
雪歩「だからせめて、うまく出来るように頑張ろうとしてるんだけど、空回りしちゃって……」
雪歩「戦車だって、昔、習った時に乗った、唯一のが38(t)だったから、今のを選んだんだ」
みほ「でも菊地さんも言ってたけど、今日の訓練の時、雪歩さんの指示は的確だったです」
みほ「戦車道が初めての他の765プロの方にも、色々アドバイスしたり立派です」
雪歩「うぅ」
みほ「雪歩さん、わたしっ! 実は戦車道をやめるために、この学校に転校してきたんです!」
雪歩「えっ?」
みほ「ある出来事がきっかけで家を飛び出して、大洗女子に来たの」
みほ「でもここで、友達や戦車道の仲間と出会って。楽しい戦車道に巡り会えた」
みほ「だから、雪歩さんにも、楽しい戦車道を知ってもらいたい」
みほ「だから、雪歩さんにも、自信を持ってもらいたいんです!」
雪歩「みほ……ちゃん……」
みほ「765プロの皆さん、初めてなのにとても楽しそうに戦車を動かしてました」
みほ「それって、皆さんが雪歩さんを信頼しているから、雪歩さんを助けようとしているからだと思うんです!」
みほ「そんな雪歩さんに、皆さんと一緒に戦車道を楽しんで欲しいんです。昔の私みたいにならないように」
雪歩「……」
みほ「あっ! その、すいません。偉そうなことを言っちゃって……」アワアワ
雪歩「うううん。ありがとう、みほちゃん。やっぱりわたし、ダメダメだね」
雪歩「みほちゃんにまで気を使ってもらっちゃって……」
みほ「雪歩さん……」
雪歩「やってみるよ! 今までも、通りの犬を怖がって遅刻しそうになったり、ダンスが上手く出来なかったり、男の人が近くにいただけで震えちゃったり、事務所の床に穴をほったり……」アト、アレトコレト
みほ(そんなにいろんなことがあったんだ……)タラー
雪歩「でも、その度に何とかしてきた。わたしはそんなアイドルを続けることが楽しい。だから、戦車道も楽しくできるようがんばってみる!」ギュッ
雪歩「え、えっとね。こんな話のあとに、こんなこときくのおかしいと思うけど……」
雪歩「みほちゃん。さっきまであまりわたしと話してくれなかったから、どうしてかなって」
雪歩「もしかして、わたしみたいなのがドラマでみほちゃんの役になったのが嫌だったり」
雪歩「戦車道の話をアイドルが演じるのが嫌なのかなって……。ごめんなさいっ」ウウ
みほ「あ、ええと、それは///」
みほ「嫌じゃないんです! 嫌じゃないんだけど……ちょっと照れくさかったんです///」
みほ「じ、自分の役をしてくれるアイドルに話しかけるのって、けっこう勇気いるかな~」タハー
雪歩「じゃあ、もう大丈夫だね! お友達だもん」
みほ「ええ、よろしくお願いします!」レイ
雪歩「戦車道の時みたいな、凄い礼になっちゃってるよぅ!」
みほ「あ、ふふふ」
真(……やーりぃ! ふたりとも打ち解けて、よかった)ウンウン
真(でも、部屋に戻るタイミングどうしよう……。戦車の質問メモなんて元々ないし……)タラー
優花里「今日は765プロは、イルカさんチームとリュウグウチームだけ練習に参加のようですね」
みほ「うんリュウグウチームは、会長たちが受け持ってくれてるみたい」
沙織「ヘッツアーとKV-1で、連携の練習とかすごいね」
麻子「お互いの位置の確認とか大変そうだな」
雪歩『こちらイルカさんチームですぅ。みほちゃん、先に格納庫へ戻ってるね』
みほ「はい! 雪歩さん。気をつけて」
新38(t)「ドドドド」ウッウー
沙織「その点、Ⅳ号と新型38(t)は視界がいいから楽よね~」
麻子「沙織が見てるわけじゃないだろう」
沙織「て言うか、みぽりん! いつの間に『みほちゃん』て呼ばれる仲に!」
華「みほさん、一昨日の歓迎パーティで、萩原さんと仲良くなられたんですね」
沙織「華は他の標的を直接照準してたからねー」
華「はい?」
優花里「それにしても、アイドルの方々もかなり戦車の扱い慣れて来ましたね」タカツキドノチイサイノニ…
華「やはり、こういうことを覚えるのも早いんでしょうか?」
麻子「紅白戦も、うかうかしてられないな」
沙織「あんこう踊りだけは勘弁してー」
杏「西住ちゃーん、萩原ちゃーん、今日もお疲れ!」
みほ「お疲れ様です。リュウグウチームの方はどうでした?」
杏「うーん、まぁ、ほとんど問題ないんだけど、ちょっと変なとこに迷い込んだりするのがねー」
雪歩(あずささん……。伊織ちゃん大変だなぁ)
杏「あ、それより、今ちょっと話いいかな?」
みほ「はい、大丈夫です!」
杏「お、元気出てきたねー。実は紅白戦の相談なんだけど」
杏「うちらと765プロそのまま戦うと、どうしてもアイドルのほうが不利になるとかで、番組の方から提案があったんだよね」
みほ「どんな提案ですか?」
杏「うちらが8両、アイドルが4両の状態なんで、2両アイドルの方に加勢して」
杏「6vs6の同じ条件にしたいんだってさ。プロデューサーちゃんにも了承してもらったよ」
杏「で、カメさんチームとあんこうチームがアイドルの方へと思ってるんだけどねー」
優花里「ほんとうですか? アイドルの戦車と共に戦えるのは楽しみですね!」
やよい「みほさんたちが、一緒のチームなら百人力です」
真「でも、そうなると765プロの隊長はどうなるのかな?」
みほ「あくまでもアイドルのチームだから、雪歩さんが隊長になるかな?」
雪歩「が、頑張りますぅ!」ギュッ
杏「まぁ、そこまではいいんだけど。そうなってくると、逆に大洗女子側の方で新しい隊長を決める必要があるんだよね」
杏「そこで西住ちゃんに、新隊長の選出をお願いしたいんだけど、まかせてもいいかなー?」
杏「と、言う訳で紅白戦は今週末、大洗に上陸して行なうことになったから」
カエサル「聖グ口リアーナの時と同じ試合会場か?」
みほ「今回は市街地へは撮影の関係上入れません。そのかわり隣接するゴルフ場から海岸にかけてなら試合を行なっていいそうです」
典子「水族館のあたりまでですね」
伊織「正直、市街戦だと私達に勝ち目無さそうなのでよかったわ」
響「リュウグウチームは特に迷いそうだぞ」
杏「前日は予備日にしてあるんで、練習するなり作戦会議するなり買い物するなり自由にしてね」
ねこにゃー「会長……。いつもながら大雑把ですな」
そど子「でも、門限までには艦に戻ってくるように!」
杏「前夜祭として、アウトレットや商店街でイベントとかもやってるので楽しんでねー」
千早(なるほど、そこで……)
雪歩「みなさんっ! 練習の成果が出るようにがんばりますので、よろしくお願いしますっ!」ペコリ
一同「オーパチパチパチ」
みほ「それで、765プロと、カメさん、あんこうチームが白組」
みほ「残りが赤組となりますが、赤組の隊長を……」
みほ「澤さん。よろしくお願いします!」
梓「え? 私ですか?」
みほ「澤さんが隊長を努めてくれれば、私がいなくても赤組を十分引っ張っていけるはずです」
杏「他の赤組のみんなが良ければ、これで行きたいんだけど、どう?」
ナカジマ「異議なーし」
カエサル「私は一向に構わん」
典子「根性があればできる!」
ねこにゃー「よろしくね」
そど子「的確な指令を期待してるわ」
杏「じゃ、決まりでー」
梓「……わかりました! ただし、隊長を務めるからには、紅白戦といっても勝負に勝ちにいきます!」
雪歩「もちろんだよ、梓ちゃん! わたしも勝つつもりで隊長をやるよっ!」グッ
杏「んー、熱いねえ。よかったよかった」
みほ「このあとそれぞれの隊長は、作戦会議などを各組のメンバーで行なってください」
みほ「全体のミーティングは以上。質問がなければ解散です」
雪歩「……以上、作戦の概要はここまでですぅ。質問や提案があればお願いします」
伊織「ずいぶんと悠長な作戦のようにも思うんだけど。大丈夫? 雪歩」
雪歩「わたし達の白組は、戦車経験のなかったメンバーが多いから、あまり派手な作戦はできないと思うの」
雪歩「戦車の性能自体は高いので、基本を抑えた戦い方が有効だと思ったんだ……」
伊織「そう言われちゃうと、なにも返せないわね」
真「隊長……じゃなかった、副隊長はどう思う?」
みほ「雪歩さんらしい戦い方だし、皆さんもやりやすいと思う……」
桃「西住副隊長。意見があるならどんどん言っていいぞ」
みほ「はい! おそらく、赤組はかなり変則的な作戦を立ててくると思います」
みほ「もし、不利な状況に陥ってしまった場合、そのまま一気に負けてしまう可能性もありますから」
みほ「体制を立て直す、守りの作戦も抑えていたほうがいいと思います」
雪歩「みほちゃん……そうだね。ただ、私の戦車が3人しかいないので。細かい作戦指示を出せるかどうかだけど」
沙織「ふっふっふっ。ここで私の出番ね!」
雪歩「沙織ちゃん?」
沙織「私が通信手として、ゆきぴょん隊長の38(t)に乗り込むね」
沙織「やっぱり隊長車は細かい指示が出来るようにしておいたほうが、いいだろうし」
麻子「お、いい考えだ」
沙織「って、実はみぽりんの受け売りなんだけどね」アハハ
雪歩「ありがとう、沙織ちゃん。すごく助かるよ」
やよい「うっうー。沙織さんと一緒でうれしいです!」
伊織「結構3人だけって辛いのよね」
響「自分たちは3人でも大丈夫だぞ」
亜美「え? りっちゃん!? いきなりどうしたの?」
律子「みんなの衣装を用意してきたのよ。いつまでもトレーニングウェアじゃ、アイドル失格でしょ?」ガラガラ
沙織「わ、これが衣装ですか? わたし達の試合用の制服と同じじゃん!」
華「しかも、色とりどりですね。華やかです」
律子「試合にも使える、パンツァージャケットよ。全員のイメージカラー分、揃えてあるわ」
律子「これでアイドルらしく見えるでしょう? そして!」バッ
優花里「あ、緑色のジャケットですね」
律子「これを着て、私も試合に参加するわ!」バーーーーン!
伊織「って、律子! あなた戦車に乗れるの?」
律子「資格なら持ってるわよ。ほら!」メンキョショウミセル
春香「えーと『カタピラ車に限る』?」のヮの
律子「ま、でも、いきなりは無理だから、私も通信手を練習させてもらって、予備要員としてリュウグウチームに入ります」
あずさ「律子さん、助かるわ~」
亜美「ええ~。鬼軍曹が一緒に!?」
律子「亜美? なんか言った?」
亜美「あいあいさー。光栄であります」トホホ
伊織「にひひっ。一緒にあんこう踊り、よろしくね」アハハ
雪歩「律子さん。いろいろありがとうございますっ!」
律子「いえいえ。あ、でも作戦会議の途中だった? 邪魔して悪かったわね」
試合形式:フラッグ戦
白組
隊長:萩原雪歩
副隊長:西住みほ
イルカさんチーム 新型38(t) フラッグ車
車長:萩原雪歩 砲手:菊地真 操縦手:高槻やよい 通信手:武部沙織
あんこうチーム Ⅳ号戦車D型改H型仕様
車長:西住みほ 砲手:五十鈴華 操縦手:冷泉麻子 装填手:秋山優花里
アオイトリチーム M4A3E2シャーマンジャンボ
車長:如月千早 砲手:双海真美 操縦手:天海春香
リュウグウチーム KV-1
車長:水瀬伊織 砲手:双海亜美 操縦手:三浦あずさ 通信手:秋月律子
妖精さんチーム コメット
車長:我那覇響 砲手:四条貴音 操縦手:星井美希
カメさんチーム 38(t)改ヘッツァー仕様
車長:角谷杏 操縦手:小山柚子 装填手:河嶋桃
赤組
隊長:澤梓
副隊長:磯辺典子
ウサギさんチーム M3リー フラッグ車
車長:澤梓 砲手:山郷あゆみ、大野あや 操縦手:阪口桂利奈 装填手:丸山紗希 通信手:宇津木優季
アヒルさんチーム 八九式中戦車甲型
車長:磯辺典子 砲手:佐々木あけび 操縦手:河西忍 通信手:近藤妙子
カバさんチーム Ⅲ号突撃砲F型
車長:エルヴィン 砲手:左衛門佐 操縦手:おりょう 装填手:カエサル
カモさんチーム ルノーB1bis
車長:園みどり子 砲手:金春希美 操縦手:後藤モヨ子
レオポンさんチーム ポルシェティーガー
車長:ナカジマ 砲手:ホシノ 操縦手:ツチヤ 装填手:スズキ
アリクイさんチーム 三式中戦車
車長:ねこにゃー 砲手:ぴよたん 操縦手:ももがー
名称は記載ママ
真美「兄ちゃん、にーちゃんー。おはようー」
亜美「今日も、仕事に精が出ますなー」
P「お? おはよう2人とも、みんなもう船から降りてきたのか?」
真美「戦車の運び出しも終わったよー」
亜美「いおりんが、戦車に描かれたリュウグウチームのマーク見て、『ウミヘビだー』って騒いだぐらいかなー事件は」
P「そうか、今日はよろしくな」
真美「まかせたまえー」
亜美「重戦車に乗ったつもりでいたまえよー」
真美「それより、にーちゃんー。なんか忘れてない?」
P「ん? 準備は大体用意できてるが?」
亜美「今日が何の日か忘れた?」
P「んん? 全然わからないぞ」
真美「ああ、なんという事でしょう亜美隊員」
亜美「われわれは、見捨てられてしまったのだ、真美隊員」
真美・亜美「今日は可愛い双子の誕生日っしょー!」
P「ええっ! す、すまない。すっかり忘れて」
真美「これは罰を与えないといけないですな」
亜美「んっふっふ~。今日は2人の命令に従ってもらうしかないですな」
P「ちょ、ちょっとまて、俺にもまだ仕事が残って……って、あれ?」
P「……確か、誕生日って5月じゃなかったか?」キョウハチガウゾ
亜美「ちっ。さすが、にーちゃん。情報戦は得意ですな」
真美「ここは一時退却だ、亜美隊員!」
ニゲロー
P「な、何だったんだ一体……」
優花里「あ、西住殿~! こちらです!」ブンブン
みほ「みんな! アイドルの方たちは?」
華「まだいらしてないようです」
沙織「もー、こんな混んでいる所で待ち合わせなんてー。何の用事なんだろ?」
麻子「暗くなってきたとはいえ、アイドルの正体もバレそうだけどな」
みほ「はは、そうだよね。みんなはお家とかに行ってきた?」
華「わたくしは挨拶に行って参りました。新三郎も『世界一ィィィ!』などと応援してくれましたし」
沙織「聞いてよ、みぽりん! その後、会長おすすめのとんかつ屋さんに行ったんだけど」
沙織「華ったら、こーんな大きな戦車の形のカツをひとりで……」
華「沙織さんたら、もう過ぎてしまったことはよろしいじゃないですか」
みほ「麻子さんは?」
麻子「おばあのところに行ってきた。高槻さんのサイン渡したら、見たことのない笑顔になってた……」
優花里「冷泉殿のおばあさん。高槻殿のTV番組「お料理さしすせそ」をかかさず見ているそうで」
沙織「それにしても、遅いー。ゆきぴょん達、いつになったら来るの?」
パァァァーッ
??『みんなーっ。おまたせーっ!』
オオーッ!
華「ええっ? 春香さん?」
優花里「どうしてイベントステージに?」キョトン
千早『私たちは今、大洗女子学園の方たちと戦車道をしています』
真美『みんな優しいお姉ちゃんたちで、わかりやすく戦車道教えてくれて、真美もドンドン撃ちまくってるよー』アハハ
春香『そんな、大洗女子の方と、大洗のみんなに感謝をこめて、サプライズのミニライブを行ないたいと思います! ぜひ、最後まで聞いていってくださーい!』
千早『最初の曲は私達、戦車道ではアオイトリチームの3人で GO MY WAY!!』
♪~
みほ「待ち合わせって、このライブのことだったんだ」
沙織「みんな凄いよ!」
華「ジンジンします」
優花里「『GO MY WAY!!』のところを一部『Panzer vor』に歌い変えてますう。大洗特別バージョンですね!」
麻子「天海さん……。格納庫だとよく転んでたのに、ステージ上だと凄いダンス踊るんだな」
杏「やあやあ、みんな楽しんでる?」
みほ「会長! このライブは」
杏「ああ、ごめんねー、西住ちゃん。アイドルのみんなとプロデューサーちゃんに秘密にしといてって言われててね」
杏「765プロからの、戦車道を教わったお礼だそうだから、ぜひ、みてあげてよ」
杏「他のチームのみんなも、ここに呼び出しといたからみんな見てるはずだよ」
♪~
チハヤチャーン!
沙織「チハヤチャーン!」クイックイッ
麻子「いつの間にサイリウムを用意したんだ?」
響『はいさーい! 次は自分たち妖精さんチームで、きゅんっ!ヴァンパイアガール、だぞ!』
♪~
華「可愛らしくて、それでいて心に響く歌ですね」
沙織「ミキミキと貴音姫も素敵~」ブンブン
伊織『おまちかね! 竜宮小町で、ハニカミ!ファーストバイト、よ。心して聞きなさい!』
♪~
優花里「水瀬殿……ステージ上だと、ものすごくカワイイですね!」
沙織「亜美ちゃーん、あずささーん、結婚してくれー」ブンブン
真『次はボク達、イルカさんチームで』
やよい『ALRIGHT*、でーす!』
雪歩『元気よくいきますぅ!』
♪~
優花里「西住殿! 萩原殿たちですよ!」
みほ「やっぱりすごいね」
華「皆さん、可愛らしい衣装ですよね」
優花里「こんな方たちと一緒に戦車道やってるなんて。私は感激です」
沙織「ゆーきーぴょん! ゆーきーぴょん!」ブンブン
麻子「……」ブンブン
雪歩『わたしが作詞した曲を送ります。どうか聞いてください』
雪歩『First Step』
♪~
優花里「いい曲ですね。ふたりが助けあって、ともに道を歩んでいく……」
優花里「……! これって、戦車道のことでしょうか?」
沙織「ええー。違うよ、これは恋の歌だよ!」
華「でも、雪歩さん。親友に語りかけるように歌ってますよ」
麻子「秋山さんのように、思っていたほうがいいかな」
みほ「……雪歩さん」
~♪ポロロン…
ウォォー
沙織「アンコール! アンコール!」ブンブン
麻子「いい雰囲気が台無しだぞ、沙織」
優花里「おお、アイドルの皆さんの試合用制服。さすが決まってますね!」
麻子「色がちょっと派手だけどな」
華「アイドルですし、このぐらいの力強い色合いの方がよろしいかと」
雪歩「みんな、戦車の整備や砲弾の確認は大丈夫ですか?」
みほ「問題ありません」
響「うぎゃー。いよいよだな!」
千早「試合開始までまだ1時間ほどあるから、あまり気張っていると大変よ、我那覇さん」
響「うう。自分、オーディションやフェスの時より緊張してるぞ!」
伊織「仕方ないわね。もう」
響「伊織だって、ちょっと足ががくがくしてるぞ」
伊織「そ、そんなわけないじゃない!」
杏「まあまあ、この試合は公式戦じゃないし、お祭りだと思って楽にしてよ」
みほ(会長……。それなのに負けたらあんこう踊りなんだ)タラー
みほ「ケイさん?」
杏「お、ケイ。見に来てくれたんだねー」
ケイ「面白そうなことしているみたいだからね! ま、実は番組でみほと戦ったチームへのインタビューがあるんで、それで招待されたんだけど」アハハ
真美「誰? あのお姉ちゃん」
柚子「全国大会で戦った。サンダース大学付属高校の隊長さんです」
春香「へー、やっぱり戦車道って礼を大切にする競技なんですね。わざわざ挨拶に来てくれるなんて」
アリサ「あっ、あの!」
春香「うわっ、びっくりした。あれ? あなたもサンダース大付属の?」
アリサ「えっと、千早ちゃ……じゃなかった。如月千早さんのファンのタカシ……じゃなかった知り合いがいまして。ご、ご迷惑じゃなければサインを」シキシサシダス
真美「あ、じゃ千早お姉ちゃん呼んでくるからまっててねー!」
アリサ「ありがとうございます!」パァァァ
春香「千早ちゃん、すごいなぁ。ファンたくさんいて」
アリサ「あ! 春香さんもサインお願い出来ますか? 私『生っすか!?サンデー』楽しみにしてるんです!」CD'タイヨウノジェラシー'サシダス
春香「ありがとう! へぇー、このCD聞いてくれたんだー」サラサラ
アリサ「いい曲ですよね! あ、『アリサへ』ってお願いします!」
律子(戦車の確認をしにきたら、KV-1をじっくり見ている肩車の二人組がいた……)
カチューシャ「ノンナ! かーべーたんに描かれている、この変な生き物のマークはなんなの?」
ノンナ「リュウグウノツカイです」
カチューシャ「なんでそんなマークにしてるのかしら?」
ノンナ「アイドルグループの竜宮小町が乗る戦車ですから」
カチューシャ「え? それ本当なの? 聞いてないわよ!」
ノンナ「さっき言いました」
亜美「こんにちはー。お姉ちゃんたち、誰?」
あずさ「ファンの方かしらー?」
カチューシャ「あ……あ……、竜宮小町……。カチューシャ達は……」
ノンナ「プラウダ高校の者です。よろしく」
亜美「へー。お姉ちゃんたちも戦車道の?」
カチューシャ「そ、そうよ! 去年の全国大会では優勝したんだから!」
あずさ「あらあら、すごい方たちだったんですね。失礼いたしました」ペコリ
カチューシャ「あ、で、でも。サインぐらいだったらもらってあげても、いいわよ!」///カァ
あずさ・ノンナ(かわいい)
律子(なんか、どこかで見たような性格ね、この子)
カチューシャ「と、とにかく、かーべーたんに乗るんだから、頑張りなさいよね! すぐやられちゃったら許さないんだから!」
ノンナ「Ни пуха, ни пера!」
貴音「よい香りに誘われてきてみれば」
美希「すごいの! こんなところで紅茶してるなんて!」
ダージリン「ごきげんよう。私達は聖グ口リアーナ女学院の者です」
オレンジペコ「765プロの、星井美希さんと四条貴音さんですね。よろしかったらサンドイッチなどいかがですか?」
貴音「よ、よろしいのですか?」ジュルリ
美希「ミキはおにぎりのほうがいいかな?」
ダージリン「紅白戦。お二人も出場なさるんですわよね?」
美希「うん、ミキはね、戦車を運転するんだ」
ダージリン「戦車を動かすのは、楽しいですか?」
美希「最初は仕事で、ってカンジだったんだけど、今は面白いの。みほ……さんや雪歩の指導も、ダンスのトレーナーさんよりわかりやすかったし」
ダージリン「良い教師に巡りあう事ができて、よろしかったですわね。今日の紅白戦、応援させていただくわ」
美希「ありがとうなの」
ダージリン「『ダービーは常に強い馬が勝つ。だが、いちばん強い馬が勝つとは限らない』 最善を尽くせば女神は微笑むでしょう」
美希「? よくわからないけど、がんばるの!」
貴音「……」モグモグモグモグ
オレンジペコ(サンドイッチ……私たちの分が……)
P「ふう、何とか無事に、試合も行えそうだな」
黒井「おや? そこにいるのは三流プロダクションの、三流プロデューサーじゃあないか」
P「ええっ? あなたは黒井社長! なんでここに」
黒井「私がここにいたら、おかしいことでもあるのかね? ん?」
P「まさか、また何か企んでるんじゃ?」
黒井「失敬な! 961プロが貴様ら弱小プロダクションに、毎回毎回かまっていられるとでも思っているのか? 馬鹿馬鹿しい!」
P「じゃあ、どうして大洗に?」
黒井「私のようなセレブも、たまには田舎の町でくつろいでみたくなるのだよ。決して学園艦の生徒をスカウトしにきたとかではないぞ!」
P(あ、スカウトしに来たんだな、これ……)
黒井「そもそも、戦車道なぞもう古い! 鉄と油にまみれ、火薬の匂いにむせる。そんな女子のたしなみが流行るわけがない!」
P「それはどうでしょう?」
黒井「フン! これだから三流プロデューサーは……いいか! これからの時代は『仙道』だ!」コォォォォォ
P「……」
黒井「そのうち961プロから『仙道ユニット』が現れて、貴様らを叩き潰すだろう」
P「え? 一体どんな……」
黒井「フフフ、どんなユニットか、その時を楽しみに待っていてくれたまえ!」
P「ハイ、タノシミニシテマスヨ……」
黒井「ウィ。それでは、せいぜい今のうちに戦車で遊んでおくんだな、アデュー!」ハッハッハッ
P「……」
P(黒井社長。きっと、俺たちを油断させるためにわざとあんな事言ったんだよな? 本気じゃないよな?)タラー
アンチョビ(あの戦車道をバカにした黒い奴に文句言ってやろうかと思ったけど、やめといてよかった)
真「沙織、無線機の扱いは大丈夫そう?」
沙織「Ⅳ号と比べると座席はちょっと狭いけど、バッチリだよ、まこりん」
やよい「さすが、大洗のトップ通信手です!」
沙織「でも、まこりんの足とかに手がぶつかったらごめんね」
真「そのぐらい、気にしないよ!」
エリカ「あら、こんな小さな戦車が隊長車なの?」
やよい「あれ? どなたですか?」
沙織「あ、あなたは!」
真「知り合いの人?」
エリカ「それに、アイドルが戦車って、戦車道もバカにされたものよね」
やよい「うっうー、ひどいです。そんなこと言うなんて!」
真「そうだよ! いきなり失礼だよ、名乗りもしないで!」キリッ
エリカ「あなたこそ、どこのアイド……!」ズッキューーーーン
エリカ(あ、あれ? 誰? このかっこいい人)
エリカ「あ、あの、私は黒森峰女学園の逸見エリカといいます」
エリカ「元副隊長、あ、今は大洗の隊長で、あ、今回は副隊長なんですね――には、お世話になっておりまして」モジモジ
沙織(この人、こんなキャラだったっけ!?)
エリカ「本日はうちの隊長ともども、応援のために駆けつけました! 頑張ってくださいっ!」
やよい「なんだー。みほさんのお知り合いだったんですね」
真「へへっ、それならそうと最初から言ってくれればいいのに。ボクは菊地真だよ。よろしくね!」バーン
エリカ「真様! よろしくお願いしますっ!」ポワーン
沙織(また、真王子の犠牲者が一人……。まこりん恐るべし)
まほ「失礼、白組の隊長の萩原雪歩さん?」
雪歩「はい、そうですぅ」
まほ「みほの姉で、黒森峰女学園の西住まほです。妹がお世話になって」
雪歩「はうっ! みほちゃんのお姉さん!? はっ、はじめまして」ペコリペコリ
雪歩「ちょっと待っててくださいね。いま、みほちゃんを呼んできますから!」
まほ「いや、その前に雪歩さんと話がしたい。よろしいですか?」
雪歩「は、はい」
まほ「あなたが、ドラマでみほの役をやると聞いたのですが、本当でしょうか?」
雪歩(うぅ。なんか怒られるのかな?)
雪歩「はい」
まほ「みほから今までの戦車道の経緯は聞いているのでしょうか?」
雪歩「はい、お家の方で戦車道をやっていたとか……。大洗女子学園に来た理由も……」
まほ「そうですか」
雪歩「あっ、でも、みほちゃんは今は戦車道、がんばってやってますよ! 私達にもわかりやすく教えてくれたし」
まほ「そこが、みほのいいところなんだろうな」
雪歩「え?」
まほ「仮に、私が『アイドルに戦車道を教えてくれ』と言われても、きちんと教えられる自信はない」
雪歩「そんなことは」
雪歩「……」
まほ「結局のところ、私はみほがうらやましいのかもしれないな。堅苦しい家元から開放された妹が」
雪歩「でもっ!」
まほ「!」
雪歩「みほちゃんと、お姉さんはやり方は違うかもしれないですけど、2人とも戦車道が好きなんですよね!?」
雪歩「だからどっちかが正しいとか悪いとか、そういうのはないと思うんですぅ!」
雪歩「私も、アイドルをやっていて、いろんな仲間と一緒にお仕事させてもらってます」
雪歩「本当にいろんな仲間がいますけど、みんなそれぞれいいところがあって、フォローしあって」
雪歩「私なんてダメダメで、みんなに迷惑かけてばっかりだけど」
雪歩「それでも、みんなで一緒にがんばれば、必ず壁を乗り越えることができました」
雪歩「だからお姉さんとみほちゃんも、いつかきっと一緒に!」
まほ「……すまないな、雪歩さん。変な愚痴を言ってしまって」
雪歩「いえっ! あの、私なんかダメダメですけど、一生懸命みほちゃん役をやりますから」
雪歩「みほちゃんや、大洗のみんな。お姉さんの気持ちを大切にして、演じるよう努力しますから!」
まほ「……雪歩さんの気持ちはわかりました。試合前に心を乱すようなことを言ってすまなかった」
雪歩「いえ! じゃあ、みほちゃん呼んできますね! きっと喜びますよ! 待っててください」タッタッタ、ミホチャーン!
まほ「……雪歩さん。ありがとう」ボソリ
主審「それではこれより、大洗女子学園、765プロ合同紅白戦を開始します」
主審「試合は、公式戦に準じた形で行われる」
主審「それぞれ、隊長副隊長は前へ」
雪歩・みほ・梓・典子「はいっ!」
主審「両チーム、挨拶!」
雪歩「よろしくお願いしますぅ!」レイ
一同「お願いします!」レイ
主審「それでは試合開始地点へ移動してください」
主審「お互いの健闘を祈ります!」
雪歩「最初は、事前に打ち合わせたとおりの作戦でいきます」
雪歩「2両1組のデュオ……ペアで、イルカさんとあんこうが左翼、カメさんとリュウグウが右翼でそれぞれ偵察」
雪歩「少し引いて、中央をアオイトリと妖精さんで展開してください」
杏「萩原ちゃん、これ作戦名とかないの?」
雪歩「えっと、それじゃ、最初の作戦なので……『ファーストステージ作戦』にします」
雪歩「赤組の火力はこちらより低めですが、レオポンさんには一番気をつけてください」
雪歩「フラッグ車、M3の撃破が最優先ですが、無理な追撃は行わず、各チームの連携を大事にしていきましょう」
雪歩「最後に、みなさん、ケガなどしないよう、消火や脱出手順の確認も改めてお願いしますぅ」
雪歩「では、戦車に乗り込んでくださいっ!」レイ
一同「了解!」レイ
みほ「雪歩さん、よろしくお願いします!」
雪歩「みほちゃん、負担をかけるかもしれないけどよろしくね」
主審『それでは! 試合開始!』
雪歩「Panzer vorですぅ!」
優花里「大洗のみなさんと、本格的に戦うのは久しぶりですけど……」
優花里「なんか黒森峰との決勝より、手強い感じがします!」
華「それは、赤組も同じなのではないでしょうか?」
麻子「私だったら、西住さんと戦うのは嫌だな」
優花里「そうですね。同じ戦車のクルーでよかったです」
みほ「岩場に入ります、見通しが悪いので、外に出てるね」カパッ
優花里「お気をつけて!」
みほ(雪歩さん達はやや先行、接敵が早ければそろそろ相手が見えるはず)
新38(t)「キキッ!」
みほ「!」
みほ「麻子さん、停止してください!」
Ⅳ号「キキッ」
雪歩『敵車両発見しました! 1両、ポルシェティーガーですぅ』
みほ「……!」ソウガンキョウノゾク
みほ「レオポンさん……前方の平地を移動中? まわりに、他の車両は見当たらない」
雪歩『こちらにはまだ気づいていないようですぅ。でも、38(t)とⅣ号だけで相手するのは大変そう……』
みほ「妖精さんとアオイトリチームに応援を頼みましょう。わたし達は周囲を警戒。潜んでいる敵がいないか捜索を」
雪歩『そうだね! 千早ちゃん、響ちゃん。レオポンさんの進路に先回りしてください』
響『了解だぞ』
千早『わかったわ』
雪歩『カメさんとリュウグウチームはバックアップをお願いしますぅ』
杏『はいよー』
伊織『気をつけなさいよ、雪歩』
真「先手はこちらが打てそうだね」
やよい「この戦車、ちっちゃいですけど敵を見つけるのはすごいんですねー」
雪歩「……」
沙織「ゆきぴょん、どうしたの?」
雪歩「沙織ちゃん、うん……。なんかレオポンさん、わざと見つかりそうなところを移動しているなって」
沙織「オトリってこと?」
雪歩「みほちゃんもそれを警戒するように言ってたけど。でもまわりには他の誰も潜んでないようなんだよね」
やよい「レオポンさん、大洗で一番おっきい戦車だから、他のみんなにおいてかれちゃったんじゃないですか?」
千早『萩原さん。迎撃できそうな地点でアオイトリチームは待機に入ります。妖精さんチームは側面から攻撃するよう位置取り中』
雪歩「千早ちゃん、了解だよ。アオイトリチームのジャンボの攻撃に合わせて、イルカさんとあんこうチームも背後から砲撃するね」
沙織「4対1……オトリでも、ここでレオポンを撃破しちゃえば、かなり有利になるよね」
真「えーと、距離は……」
杏『こちらカメさん! 敵フラッグ車、発見したよー!』
沙織「ええっ?」
杏「こやまー、待ち伏せに注意しつつ、追跡ー。かーしまは装填準備よろしくー」
桃「了解!」ググ、ホウダンオモイ…
柚子「海岸の方に逃げていきますね」
杏「リュウグウチーム、ついてきてる?」
伊織『ちょっとまって、こっちはあまり派手に動かすと故障しちゃうのよ』
杏「じゃあ、KV-1は海岸沿いの道を押さえといて。M3が海岸から上がってきたら頼むよ」
伊織『わかったわ』
雪歩『フラッグ車がいるのは海岸沿いなんですか? だとしたら、こちらとは反対側ですぅ』
杏「陽動かもしれないけど、フラッグ車を見逃す手はないからね」
みほ『会長、気をつけて』
杏「んー」
柚子「あ、M3……いなくなりました」
杏「まずいね……でも、砂浜に履帯の跡があるからそれを追っていこっか」
柚子「でもこの先は、試合会場の端ですよ?」
杏「なにか企んでるのかなー?」
伊織『リュウグウチームは道路を進行中。M3や他の戦車の姿は見えないわ』
桃「こちらも見通しが良い海岸だが。待ち伏せているような戦車は見えないな」
柚子「会長~。大変です~」
杏「どうした? こやま」
柚子「履帯の跡が、砂浜の途中で途切れてなくなってます~」
杏「……」
杏「こやま! 全速でここを離……」
ドッゴォォーン、バラバラ
白旗「シュパッ!」
主審『白組、ヘッツァー。行動不能!」
白組
○イルカさんチーム 新型38(t) フラッグ車
○あんこうチーム Ⅳ号
○アオイトリチーム ジャンボ
○リュウグウチーム KV-1
○妖精さんチーム コメット
×カメさんチーム ヘッツァー
赤組
○ウサギさんチーム M3リー フラッグ車
○アヒルさんチーム 八九式
○カバさんチーム Ⅲ突
○カモさんチーム B1bis
○レオポンさんチーム ポルシェティーガー
○アリクイさんチーム 三式
杏『や~ら~れ~た~』
伊織『ちょっと! どこから撃ってきてるのよ!』ガガン
雪歩「お、落ち着いてくださいっ! カメさんチーム、ケガはありませんか?」
杏『うん。ごめんねー、萩原ちゃん。まんまと誘い出されちゃったよ』
柚子『あらかじめ履帯の跡をつけておいて、そこに砲撃の狙いをさだめてたんですね』ウウ
桃『真後ろを撃たれるとヘッツァーは脆いからな……』
沙織「みんな大丈夫そう」
雪歩「よかったですぅ。リュウグウチームの皆さん! 敵の確認はできますか?」
伊織『そんな余裕ないわよ! とにかく、めちゃめちゃ撃たれてるわ! ちょっとあずさ! どっち動かしてるの!』グワン、グワン
律子『みんな落ち着いて!』
雪歩「律子さん、とにかくジグザグに回避して、遮蔽物を見つけて隠れるように伝えてくださいっ!」
やよい「伊織ちゃん……大丈夫かな?」
真「完全に不意打ちを受けちゃったようだね」
やよい「このままだと、リュウグウチームもやられちゃいますよう」ウッウー
雪歩「……」グッ
雪歩「千早ちゃん、響ちゃん。アオイトリと妖精さんチームはリュウグウチームを援護しに行ってくださいっ!」
雪歩「みほちゃん、作戦変更してごめんね。レオポンさんはわたし達2両だけで倒しますっ!」
雪歩「ただし、ジャンボは離脱直前、一回だけポルシェティーガーに射撃を」
雪歩「それを合図に『インフェルノ作戦』を開始しますぅ! やよいちゃん! よろしくね」
みほ「イルカさんチームの突撃に合わせて、あんこうも移動します。麻子さん、作戦実行地点を砲撃できる高台へお願い」
麻子「了解」
みほ「華さん。狙撃のタイミングはまかせます」
華「わかりました」
優花里「フラッグ車自らの突撃……かなり難しい作戦です。うまくいくんでしょうか?」
みほ「万が一の時は、Ⅳ号も突撃します。でも、雪歩さんを信じてみよう、優花里さん」
ジャンボ「ドッゴオン」ガラガラ
千早『アオイトリ、移動します。幸運を』
雪歩『ありがとう、千早ちゃん』
みほ「千早さん。そちらも気をつけて」
新38(t)「ドドドドドド」ウッウー
みほ「ジャンボの射撃に気を取られてる隙に、イルカさんの突撃は成功しそう」
優花里「さすが、高速の戦車ですね。問題はこの後……高槻殿……」
雪歩「外に出ます!」カパッ、ミヲノリダス
雪歩「真ちゃん! 砲塔を常にレオポンさんに向けるようにできる? やよいちゃんに方向を知らせるために」
真「わかった!」ウィーン
雪歩「やよいちゃん! レオポンさんの砲口の前に飛び出さないよう指示します。フェイントと接触に気をつけて」
やよい「がんばります!」ガチャガチャ
沙織「あんこうチームへ『インフェルノ作戦』始めます。誤射に気をつけてください」
みほ『了解』
新38(t)「グルグル」
Pティーガー「!」ウィーン
雪歩「取り付きましたっ! このまま相手に密着して周囲を回りますぅ!」
Pティーガー「グググ」チョウシンチセンカイ
雪歩(超信地旋回と砲塔の回転速度をあわせても、こちらのほうがスピードは早いですぅ! 砲口はこちらに向けさせません!)
Pティーガー「ピタッ」ギャクカイテン
雪歩「! やよいちゃん、全速後退! 逆に回って!」
やよい「うっうー」グイッ
沙織(うう、体をねじりながら通信中にこれはきついかも)ウプ
やよい「レオポンさん、ダンスは苦手みたいですねー。私達としばらく練習しましょうー」
雪歩(みほちゃん、はやく撃ってっ!)
華「……」スコープノゾク
優花里「五十鈴殿……」
華(今、撃つと38(t)に当たってしまいます。せめて、少しの間でも止まっていてもらえれば……)
華(味方のフラッグ車を誤射、とは、あまりにも最悪な負け方になってしまいますよね)タラー
華(でも、みほさんがわたくしに任せてくれたのですから、自分を信じて撃たなければ)グッ
華(相手のエンジンがこちらに向きつつある時に、あわせて……)
Pティーガー「ピタッ」ギャクカイテン
華「!」
Pティーガー「ガゴッ、ギャギャギャ」ガクンガクン
みほ「履帯が外れた! 華さん!」
華「……」カチッ
Ⅳ号「ドグォン!」ガッコン
ヒュン、ドッ!
みほ「……」
Pティーガー「……」
白旗「シュパッ!」
主審『赤組、ポルシェティーガー、行動不能!』
優花里「やりました! 五十鈴殿!」
白組
○イルカさんチーム 新型38(t) フラッグ車
○あんこうチーム Ⅳ号
○アオイトリチーム ジャンボ
○リュウグウチーム KV-1
○妖精さんチーム コメット
×カメさんチーム ヘッツァー
赤組
○ウサギさんチーム M3リー フラッグ車
○アヒルさんチーム 八九式
○カバさんチーム Ⅲ突
○カモさんチーム B1bis
×レオポンさんチーム ポルシェティーガー
○アリクイさんチーム 三式
雪歩「やったよ! みほちゃん! 真ちゃん、やよいちゃん、沙織ちゃんありがとう!」
真「へへっ、やーりぃ!」
沙織「足回りが弱いレオポンさんに対する。ゆきぴょんの作戦勝ちだね!」
やよい「沙織さん! ハイターッチ!」
雪歩「でも、すぐにリュウグウチームを助けに行かないと」
みほ『Ⅳ号も合流します。急ぎましょう』
主審『白組、コメット、行動不能!』
雪歩「えっ!?」
白組
○イルカさんチーム 新型38(t) フラッグ車
○あんこうチーム Ⅳ号
○アオイトリチーム ジャンボ
○リュウグウチーム KV-1
×妖精さんチーム コメット
×カメさんチーム ヘッツァー
赤組
○ウサギさんチーム M3リー フラッグ車
○アヒルさんチーム 八九式
○カバさんチーム Ⅲ突
○カモさんチーム B1bis
×レオポンさんチーム ポルシェティーガー
○アリクイさんチーム 三式
グワァァン、グワァン
律子「あずささん、車体を左右に振りながら移動。伊織は隠れられそうな建物や地形を探して」
亜美「もうだめだよー、りっちゃん。亜美達ここでやられちゃうんだよー」ナミダメ
亜美「ひびきん達もやられちゃったし、誰も助けにこないし……」
律子「何弱気なこと言ってるの! 亜美らしくもない」
亜美「だってこんなにガンガン、当たってるんだよ! もう、まな板のうお座だよー」
グワァン
律子「確かに、砲弾は当たってはいるけど、全部跳ね返してるわよ」
亜美「でも、すごい音が……」
律子「こんな音や衝撃、竜宮小町のライブの時のファンの歓声に比べたら、線香花火みたいなものよ!」
亜美「……」グス
律子「怖いのはみんな同じ。ここで亜美が諦めたら、わたし達みんなが負けることになるの」
律子「だからいつもの亜美みたいに、元気出して」
律子「?」
亜美「りっちゃん、鬼軍曹のくせに、戦車の中だとやさしいんだねー」ナキワライ
律子「いつもの減らず口を叩けるようになった?」
亜美「わかったよー。大洗女子のお姉ちゃんたちにも笑われちゃうからね―」
亜美「お姉ちゃんたちへのお礼に、こっちも砲弾プレゼントしてあげなくちゃ!」
律子「その意気よ。反撃するときは私が装填手になるから」
伊織「! あずさ、脇道があるわ! あそこに逃げ込んで!」
あずさ「了解よ、伊織ちゃん」
KV-1「ドドドドド」
伊織「砲撃、やんだわね」
律子「赤組の戦車は、道路沿いや海岸を狙える位置に展開しているみたいね」
伊織「よーし、あずさ、このまま脇道を進んで! 隠れられるところを探すわ」
亜美「そうしたら、隠れ場所でマチブセだね!」
律子「えっと、この先は……」マップミル
律子「ゴルフ場に続く道か。とりあえずクラブハウス前の駐車場まで移動して様子を見ましょうか」
杏「我那覇ちゃーん、こっちこっちー」
響「あ、会長。ごめんなー、自分達、すぐにやられちゃって……」ショボン
杏「お互い様お互い様、それより、ここでみんなの応援してよっか」
貴音「なんと、この『すくりいん』では、全ての戦車の位置がわかるのですね」
柚子「やはり赤組の戦略は、すごいですー」
桃「リュウグウチームに当たっているのは、八九式と三式だけ、妖精さんのコメットは突出したところをルノーで誘い出して、Ⅲ突とM3で背後を取って砲撃だったな」
柚子「1両ずつ、各個撃破。という作戦のようですね」
美希「あの時、みほ……さんや雪歩が、レオポンを撃破したのを聞いて、ミキ達一瞬油断したの」
響「うがー。やっぱり悔しいぞ!」
ナカジマ「こっちも悔しいですねー」
杏「お! 自動車部の。ケガは大丈夫ー?」
スズキ「大丈夫ですー」
桃「やはりレオポンは陽動で単独行動していたのか?」
ナカジマ「まぁ、そんなところですね」
ツチヤ「でも、最初にレオポンが撃破されるとは思ってませんでしたー。操縦には自信あったのに……」
ホシノ「リムジンでライトスポーツカーにレースを挑んだようなもんだったからねー」
ナカジマ「ここで一緒に観戦してもいいですか? 会長」
杏「いいよー。いっぱいいたほうが、楽しいからねー」
貴音「もともと皆同じ釜の食事をとっていたもの同士。それに試合離脱後は仲良くするのが、戦車道というものでしょう」
響「壊れた戦車達も、あとで直してやって欲しいぞ」
美希「そうだ、ミキ、みんなの分のおにぎりかなんかもらえるか聞いてくるね」
杏「干し芋ならあるからねー、星井ちゃん」
やよい「響さん達もやられちゃったです。雪歩さんどうしましょう?」
真「4対5か、やっぱりフラッグ車狙いで、一発逆転しかないなぁ?」
沙織「リュウグウチームは何とか海岸沿いを脱出。ゴルフ場に向かっているそうです」
雪歩「……」
雪歩「少し早いかもしれませんが、守りの作戦『コスモス作戦』に入りたいと思いますぅ」
雪歩「アオイトリチームもゴルフ場に向かってくださいっ」
千早『了解。水瀬さん達と合流します』
雪歩「イルカさんと、あんこうチームは山をショートカットして、直接ゴルフ場に急行します。みほちゃん、ついてきてね」
みほ『わかりました』
雪歩「リュウグウチームは、クラブハウスを盾にしながら、敵の突入に注意していてください」
伊織『わかったわ。ここから逆襲してやるんだから!』
千早「春香、『コスモス作戦』開始。ゴルフ場に向かって」
春香「了解だよ。千早ちゃん」
真美「うー。亜美達大丈夫かなー?」
千早「リュウグウチームも砲撃は受けたみたいだけど無事そうね」
真美「早く合流して、エンゴしてあげなくちゃ」
千早「……」
春香「どうしたの? 千早ちゃん」
千早「うん、この作戦を始めるということは、もう後が無いんだなって思って」
真美「やっぱり、全国大会のツワモノには真美達もかないませんかー」
春香「仕方ないよ。あ、そろそろクラブハウスにつくよ」
千早「水瀬さん。アオイトリがゴルフ場に到着します。こちらを撃たないよう気をつけて」
伊織『待ちわびたわよ。今のところ敵の気配はないわ』
春香「じゃ、ゴルフ場内に移動するね」
千早「まって、春香。萩原さん、聞こえる? アオイトリチームはゴルフ場入り口に待機して、海岸からの敵を迎撃します」
伊織『ちょ、千早、何言ってるの?』
千早「わたし達は、みんなを守る壁になる!」
千早「そして『コスモス作戦』が失敗した場合の脱出経路を押さえるわ」
伊織『それだったらわたし達が……』
千早「アオイトリ以外の戦車は乗員が多いので、作戦の細かい連絡のやり取りができる。だから、この役はジャンボが適任だと思う」
伊織『ちょっと、雪歩! 千早を止めなさいよ!』
雪歩『千早ちゃんは、そうしたいんだね?』
千早「わがままを言ってごめんなさい。萩原さんがダメというなら、指示に従います」
雪歩『いいよ。千早ちゃんのやりたいようにやってみて。そのかわり無理はしないでね』
伊織『もう、みんな勝手なんだから……。副隊長、申し訳ないわね、こんなメンバーばっかりで』
みほ『いえ、千早さんの提案ももっともです。ただし、迎撃は道寄りではなくクラブハウスの建物付近で行なってください』
みほ『その方が包囲を受けにくいと思います』
千早「ありがとう、西住さん。春香、真美よろしくね」
真美「シャチョーの命令は絶対だからね!」
春香「最後まで付き合うよ、千早ちゃん!」
梓「アヒルさん、アリクイさん。状況をお願いします」
典子『リュウグウチームのKV-1は脇道に逃げたきり、反撃して来ない』
ねこにゃー『後を追ったほうがいいのかな?』
梓「あと2分だけ様子を見て、反撃がないようでしたら前進してください」
梓「わたし達と、カバさん、カモさんは引き続き、リュウグウチームを救出に来る戦車の索敵を続行します」
典子『了解!』
エルヴィン『ゲリラ戦続行!』
そど子『きっちり、仕事するわよ!』
優季「なんか隊長っぽいやりとりね―」
あゆみ「いや、隊長なんだけどね……」
梓「残りの戦車……アオイトリのジャンボはともかく、レオポンさんを撃破した、あんこうとイルカさんチームは強敵……」
梓「みんな気を引き締めていくよ!」
あや「重戦車キラーの意地。見せつけるね!」
桂利奈「っしゃぁぁ!」
紗希「……」ポケー
ねこにゃー『奥まで逃げたのかな? この先はゴルフ場みたいだけど』
典子『隊長、このまま進んでいいか?』
梓「気をつけて進んでください。KV-1の装甲は硬いので無理に戦わず、さっきまでと同じく威嚇としての砲撃をお願いします」
ねこにゃー『ラジャー』
典子『情け無用! 連続アタック用意!』
ドドン
梓「!?」
ねこにゃー『敵の砲撃!』
典子『やっぱり待ち伏せか! アリクイさん、ここでブロックを! サイドから敵が見える位置まで駆け上がる!』
梓「相手を確認したら、有利な位置まで下がってください」
典子『? 敵の姿を確認! でも、あれはシャーマンジャンボ?』
梓「KV-1は見えないですか?」
典子『1両だけだ。クラブハウスの脇にいる。こちらも後退して威嚇射撃(フェイント)を開始するぞ』
梓「了解です」
優季「KV-1は逃げちゃったのかな?」
梓「八九式と三式だけでは、2両相手は危ない。カバさん、カモさん! 我々もクラブハウスに逆側から接近します」
梓「なるべく早く到達して、ジャンボを撃破する必要があるので、それで行きましょう」
梓「隠れているKV-1に注意しながら前進! Panzer vor!」
桂利奈「あいぃ!」グッ
M3「ドドドド」
あや「フェアウェイの芝さん、ごめんなさい」
そど子『こちらカモさん。クラブハウスに一番近いので、到達次第砲撃を開始するわ』
梓「了解です」
そど子『ジャンボが見えたわ! ゴモヨ! 停止して……』ガガッ
ドォン!
そど子『きゃっ!』
白旗「シュパッ!」
主審『赤組、B1bis、行動不能!」
白組
○イルカさんチーム 新型38(t) フラッグ車
○あんこうチーム Ⅳ号
○アオイトリチーム ジャンボ
○リュウグウチーム KV-1
×妖精さんチーム コメット
×カメさんチーム ヘッツァー
赤組
○ウサギさんチーム M3リー フラッグ車
○アヒルさんチーム 八九式
○カバさんチーム Ⅲ突
×カモさんチーム B1bis
×レオポンさんチーム ポルシェティーガー
○アリクイさんチーム 三式
エルヴィン『敵の砲撃あり! 回避しつつ林に隠れる!』
ドン!
あや「うちらも、砲撃受けてるよ! 至近に着弾!」
優季「桂利奈ちゃん、回避回避!」
桂利奈「あいあいー!」
梓「9時方向からの攻撃?」カパッ
あや「顔出すと危ないよー」
梓「……」ソウガンキョウノゾク
梓(こっちからは見えない……)
そど子『こちらカモさんチーム、後ろから砲撃をうけたみたい』
梓「大丈夫ですか!?」
そど子『全員大丈夫、続けてやられないように気をつけるのよ』
梓「はいっ!」
エルヴィン『林の中に退避完了。砲撃はやんだぞ』
梓「カバさんチームはそのまま待機してください。ウサギさんチームで索敵します」
エルヴィン『了解。こちらも出来るだけ、付近を警戒する』
梓(同時に3両とも攻撃された? KV-1だけではこんな攻撃はできない……)
梓(それに向こうから、こちらは丸見えなの?)
あゆみ「こっちへの砲撃もやんだみたいね」
梓「ジャンボを叩きに行こうとすると後ろからやられる……。それに、砲撃の仕方から、フラッグ車を含め白組全車がここにいるみたい」
梓「逆に言えば、ここでフラッグ車を叩けるチャンス! カバさんチームへ、ウサギさんはジャンボに突撃します!」
あゆみ「え?」
梓「と、見せかけて敵の砲撃を誘うので、敵車両の位置の特定をお願いします」
エルヴィン『Bei Gott!』
亜美「敵、Ⅲ突、林に隠れてみえなくなっちゃったよー。背が低いからわかりづらいー」
伊織「亜美、砲撃は一時停止。雪歩の指示を待って」
亜美「りょーかい」
律子「あんこうの射撃は、カモさんに当たったみたいね。さすが西住さん」
あずさ「このままここにいて大丈夫かしら?」
伊織「せっかくいい位置にいるんだから! それにあずさが下手に動かすとそばの池とかにハマりそうよ」
あずさ「伊織ちゃんたら、もう戦車の操作も慣れたから大丈夫よ」
律子(うーん。どっちを信用したものやら)
亜美「でも、ゴルフコース内に陣取るって、なかなかいい作戦だよねー」
亜美「コースデータで距離もわかるから、亜美やまこちんも照準調整しやすいし」ヤードダケド
律子「後は、赤組が見えるところに誘い出されてくれればいいんだけど」
伊織「1両やられたから、そうそう引っかかってこないでしょうね」
あずさ「まあ、ゆっくり待ちましょうか」
亜美「亜美は待つのは苦手だなー。火砲は寝て待てっていうけどさ」
律子「今はガマンなさい! あと発音が変よ」
雪歩『敵、フラッグ車。クラブハウスに向かって突撃開始しましたっ。現在3番ホールのフェアウェイを横切っていますぅ!』
雪歩『リュウグウチームが一番近いので射撃をお願いします。当たらなくとも千早ちゃんへの攻撃は牽制できるので』
律子「了解! 亜美、頼むわよ!」
亜美「動いてるのは狙いづらいよー」ウィーン、カチッ
KV-1「ドッゴーン!」ガコン
ヒューン
伊織「外れ! 律子、装填急いで」
律子「いわれなくともっ!」ググッ、オモイ
ドゥン!
あや「敵の射撃、続いて着弾。直撃はしてないよ」
梓「ジグザグに動きながら、ジャンボと後方の影になる横の林に逃げ込んで!」
エルヴィン『1両発見した! こちらの近くのコースのバンカーの中から、砲煙確認』
優季「バンカーの中?」
梓「了解! 回りこんで敵に接近してください。なるべく林の中を進んで! こちらも位置確認後、向かいます」
あや「確かにバンカーなら、陣地代わりに使えるかも」
梓「他の車両も、バンカーの中にいると思う。みんな気をつけて!」
紗希「……」
亜美「M3、林の中に逃げちゃったよー」
伊織「とりあえず千早への攻撃は大丈夫そうね」
律子「千早ががんばってくれているおかげで、ゴルフ場内は3対2の状況ね。このままうまくいくといいんだけど」
亜美「でも、M3。あんな動きされたんじゃ、なかなか当たらないよ」
ドゥン!
伊織「! 攻撃!?」
あずさ「見つかっちゃったのかしら?」
伊織「雪歩! 敵に見つかったわ」
雪歩『伊織ちゃん、回避出来る?』
伊織「バンカーから出ると、逆に危なそうね。ここで持ちこたえてみる」
律子「相手は……Ⅲ突? グリーンの傾斜の向こう側から砲だけ覗いて攻撃してる」キヨウネ
亜美「いおりん、反撃するよ!」
伊織「……まって、亜美」
伊織「雪歩! わたし達が持ちこたえている間、副隊長に回りこんで攻撃してもらうよう、誘導お願いできるかしら?」
伊織「もしかしたら、M3もこちらに向かってくるかもしれない。そこを叩くのよ!」
雪歩『わかった! みほちゃん、バンカーから出て、Ⅲ突の背後に回ってください』
みほ『了解です』
伊織「亜美! 砲塔はⅢ突に向けておいて! ただしM3が違う方向から来るだろうから周囲に気をつけて」
伊織「M3を見つけ次第、副隊長に位置を通信! 律子頼んだわよ!」
みほ「これで決着がつくかもしれない」
優花里「萩原殿の作戦も、如月殿の防戦も、水瀬殿の提案も見事です」
麻子「アイドルみんな、西住さんから教わった戦車道を元に、独自に実践してるんだろう」
華「もう皆さん、立派な戦車道のチームです」
みほ「わたし達もそれに応えなきゃね」
優花里「はいっ!」
麻子「そろそろ、Ⅲ突の背後を狙える位置に出る」
みほ「攻撃用意!」
華「……」グッ
M3「ドドドドド」
みほ「!」
優花里「M3、ウサギさんチーム発見! 3時の方向! 林を挟んで隣のコースを並走してます!」
みほ「華さん、M3に照準! 麻子さん、速度はそのままでM3の背後に回るように移動!」
麻子「了解」
優花里「M3も後ろを取られないよう、こちらに合わせて移動してきますね。副砲がこちらに旋回! 狙われてます!」
みほ「このまま射撃! 撃て!」
M3「ドゥン!」
Ⅳ号「ドグォン!」
ガガン!
雪歩「みほちゃん! そちらの状況は? 大丈夫?」
無線「……」
沙織「Ⅳ号から応答なし」
真「副隊長、やられちゃったのかな?」
雪歩「撃破判定は出てないから、無線の故障とかだと思うけど……」
やよい「うっうー。心配です」
伊織『M3と接触したようだから、戦闘中なのかもしれないわね』
伊織『よし! あずさ、バンカーから出て、Ⅲ突に突撃するわよ!』
雪歩「伊織ちゃん?」
伊織『このまま、副隊長の援護を待っていても、状況が良くなるかはわからない。1対1の間に、Ⅲ突を何とかしないと』
真「ムチャだよ! 伊織」
伊織『千早のムチャも聞いたんだから、私のも聞いてくれてもいいんじゃない?』
雪歩「伊織ちゃん……。そうだよね、まかせるよ」
伊織『にひひっ。そうこなくっちゃ! Ⅲ突をやっつけたら、フラッグ車にもとどめを刺しに行くわよ!』
エルヴィン「ウサギさんチームへ、KV-1に動きあり。バンカーから出てくるようだ」
優季『こちら手が離せませーん。援護まで少し待ってください』
エルヴィン「了解」
おりょう「グリーンから移動した方がいいぜよ」
カエサル「相手が起伏を超えるときに、装甲の薄い車体下部を狙おう。池のそばの低地ラフで待機」
左衛門佐「背水の陣か」
エルヴィン「KV-1は砲の俯角があまり取れないはず。背の低いこちらが有利だ」
KV-1「ドドドドド」
カエサル「くるぞ!」
KV-1「ゴゴゴゴ」
エルヴィン「ファイア!」
左衛門佐「……」カチッ
Ⅲ突「ドッゴォーン」ガッコン
ドン!
カエサル「超至近距離の一撃! どうだ!」
KV-1「……」
白旗「シュパッ!」
主審「白組、KV-1、行動不能!」
白組
○イルカさんチーム 新型38(t) フラッグ車
○あんこうチーム Ⅳ号
○アオイトリチーム ジャンボ
×リュウグウチーム KV-1
×妖精さんチーム コメット
×カメさんチーム ヘッツァー
赤組
○ウサギさんチーム M3リー フラッグ車
○アヒルさんチーム 八九式
○カバさんチーム Ⅲ突
×カモさんチーム B1bis
×レオポンさんチーム ポルシェティーガー
○アリクイさんチーム 三式
エルヴィン「よし! このままウサギさんの援護に向かうぞ!」
左衛門佐「あ……」
KV-1「ズ……」
カエサル「ええっ!?」
KV-1「ズルズルズル…」
Ⅲ突「ドガッ……ボチャン」
エルヴィン「そんな……撃破された戦車に押されて池へ……」
Ⅲ突「プシュー」
おりょう「さらに重戦車にのしかかられて身動き取れないぜよ」
左衛門佐「やはり低地に陣を張るのは下策であったか……」
主審『審判判断により、赤組、Ⅲ突、走行不能とみなします』
白組
○イルカさんチーム 新型38(t) フラッグ車
○あんこうチーム Ⅳ号
○アオイトリチーム ジャンボ
×リュウグウチーム KV-1
×妖精さんチーム コメット
×カメさんチーム ヘッツァー
赤組
○ウサギさんチーム M3リー フラッグ車
○アヒルさんチーム 八九式
×カバさんチーム Ⅲ突
×カモさんチーム B1bis
×レオポンさんチーム ポルシェティーガー
○アリクイさんチーム 三式
伊織「……」
亜美「……」
律子「……」
あずさ「あらあら」
伊織「タンカを切って出て行った竜宮小町の結果がこれ?」ワナワナ
亜美「ま、まぁカバさんチームも行動不能になっちゃったし、結果オーレだよ、いおりん」
律子「ごめんね、雪歩」
雪歩『ケガはないですか?』
亜美「少し焦げただけだよー。カーボンコーチングってすごいねー」
伊織「相手も大変な状態だし、脱出を手伝ってくるわ。雪歩、まだあきらめないで頑張ってね」
雪歩『はいっ!』
雪歩「千早ちゃん、アオイトリチームの状況は?」
千早『ずっと撃ち合ってるわ。相手は2両とも突撃してこないみたいね』グワァァァン
千早『くっ……。萩原さんどうするの? ゴルフ場から撤退する?』
雪歩「撤退はしません。ここで決着をつけます!」
雪歩「まだ、みほちゃんがここで戦ってるから、それを放っておくことはできない」
雪歩「私の……いえ、わたし達の戦車道は、仲間を見捨てない! それにそんな勝ち方をしても、みほちゃんも、大洗女子の人たちも納得してくれないと思う」
雪歩「納得のいく戦いをして負けるのなら、悔いはありませんっ!」
沙織「ゆきぴょん……」
雪歩「みほちゃんを助けに行くよ! 真ちゃん、やよいちゃん、沙織ちゃん!」
真「へへっ! さすが雪歩、そうこなくちゃ!」
やよい「全力をぶつけに行きましょう!」ウッウー
千早『わかったわ、萩原さん。こっちの2両は絶対そちらには行かせない!』
沙織「私も踏ん張るよ!」
雪歩「みんな……ありがとう!」ギュッ
雪歩「イルカさんチーム! Panzer vor!
みほ「華さん、砲塔はダメそうですか?」
華「手動でなら回りますが……さっきのダメージでプラウダ戦の古傷が再発したのかもしれません」
優花里「西住殿、無線の方もつながりませんか?」
みほ「連絡はともかく、試合状況がわからなくなったのは辛いね」
麻子「少なくとも、敵のフラッグ車はそこにいるから、相手がまだ負けてないのはわかるな」
みほ「落ち着いていきましょう。ウサギさんにはこちらのダメージはわからないはず」
麻子「駆動系には問題ないので、多少の無理な運転はできると思う」
優花里「M3、砲台グリーンの向こう側に隠れたままですね」
麻子「いまは、むしろありがたいな」
みほ「……」
みほ「華さん、砲塔は前方に向けておいてください」
みほ「M3の主砲も、ほぼ前方固定なので、回りこんで撃ち込みます」
華「どちらが、主砲を早く相手に向けられるか、ですね」
みほ「麻子さん、グリーンを全速で迂回して、相手の真横を突きます。ただ相手も予想しているでしょうから、接敵と同時に相手の旋回方向とは逆に移動して、横から攻撃します」
麻子「了解」
M3「ドドドドド」
優花里「M3、グリーンを迂回して突っ込んできました!」
みほ「先手を打たれた! 麻子さん回避を!」
麻子「……」グイッ
Ⅳ号「ギャギャギャ」
梓「相手の砲塔と車体の旋回とは逆方向に飛び込んで! 横合いから主砲を撃てる位置へ!」
桂利奈「いけやぁぁぁ!」
M3「グルリ」
桂利奈「横とったぁ!」
梓「主砲、発射!」
あゆみ「えいっ!」カチッ
M3「ドゴォン!」ガッコン
Ⅳ号「スッ」
スカッ…
あゆみ「ええっ!? 旋回のフェイント?」
優季「さすが、冷泉先輩……」
あや「逆に撃たれるよ!」
梓「このまま全速でまたグリーンを回りこんで!」
M3「ギャギャギャ」
シーン
あゆみ「またにらみ合いだね」ガコン
梓「カバさんチームがやられてしまった今、ここで西住隊長を倒さないと……。次は、Ⅳ号の突撃に備えて!」
紗希「……」チョイチョイ
梓「え!? 紗希、どうしたの?」
紗希「……きたよ、雪歩さん」
真「砲撃音のした方向にM3確認!」
雪歩「やよいちゃん、砲台グリーンを駆け上がって! 真ちゃん、上から相手のエンジンルームを狙って射撃をお願い。行進間射撃になります!」
やよい「了解、グリーンに登ってから一周りして、また降ります」
沙織「近くにⅣ号もいると思うけど……連携できないのは辛いよね」
雪歩「みほちゃん達なら、このチャンスを逃さないと思う。信じるよ!」
真「M3の副砲がこちらを向いてる! もう気づかれた!」
やよい「回避しつつ突っ込みますー」グイグイ
優花里「イルカさんが突撃してきます! 萩原殿達、助けに来てくれたんですね!」
みほ「麻子さん! この隙にM3に攻撃を仕掛けます! 迂回後正面を相手に向けてください」
麻子「最後のチャンスか、了解!」
みほ「華さん、砲が相手に向き次第射撃をお願いします!」
華「これで決めます!」
梓「敵のフラッグ車を叩くよ! 副砲は、イルカさんを射撃! 主砲はグリーン向こうから回りこんでくるⅣ号を警戒!」
あや「了解!」
あゆみ「こんどこそ!」
桂利奈「うっしゃぁぁ!」
優季「おねがい!」
紗希「……」グッ
雪歩・みほ・梓「撃て!」
M3「ドンドゥン!」
Ⅳ号「ドグォン!」
新38(t)「ドゥン!」
・
・
・
白旗「シュパパッ!」
やよい「ゴホッゴホッ!」
真「うう、どうなった?」
沙織「エンジンが止まってる……」
雪歩「……」
雪歩「ごめん、みんな……やられちゃった」
真「雪歩……」
雪歩「でも、悔いはないよ! こんなダメダメな私でもここまでやれたんだもん」
雪歩「きっと、みんなわかってくれるよね?」
真「あ、あたりまえだよ!」グス
やよい「あんな強い、大洗女子のお姉さんたち相手にここまで戦えたんです! 雪歩さんはすごい人です!」グッ
沙織「そ、そうだよ! ゆきぴょんがアイドルじゃなかったら、うちの学校にスカウトしたいぐらいだよ!」グス
真「はは、沙織はおかしなこというなぁ。スカウトされるのはアイドルになる方だよ!」ボロボロ
やよい「沙織さあん!」ダキツキ
主審『試合終了!』
主審『白組、新型38(t)、行動不能』
主審『白組、Ⅳ号、行動不能』
主審『赤組、M3リー、行動不能』
雪歩「!?」
主審『精密判定装置のない、非公式紅白戦のため、両フラッグ車同時撃破とみなし』
主審『両チーム、引き分けとします!』
最終結果
白組
×イルカさんチーム 新型38(t) フラッグ車
×あんこうチーム Ⅳ号
○アオイトリチーム ジャンボ
×リュウグウチーム KV-1
×妖精さんチーム コメット
×カメさんチーム ヘッツァー
赤組
×ウサギさんチーム M3リー フラッグ車
○アヒルさんチーム 八九式
×カバさんチーム Ⅲ突
×カモさんチーム B1bis
×レオポンさんチーム ポルシェティーガー
○アリクイさんチーム 三式
ナレーター「試合終了直後、検討をたたえ合う、萩原雪歩と西住みほさん、澤梓さんの3人」
ナレーター「先程まで激しく戦っていた相手でも、たとえ勝負がつかなくても、お互い握手をして礼をします。これがまさに戦車道です」
小鳥「うっ、うっ、感動だわ~」ウルウル
P「只今、戻りましたー。って、音無さん! またその特番の録画見てるんですか!」
小鳥「だって、すごい迫力だからついつい」ズピー
P「はいティッシュ。実際の現場はもっとすごいんですけどね。音無さんにも見せてあげたかったな」
P「はっ!」ティン
P「音無さんも戦車道やって見ませんか? 最近は年配の女性にも人気なんですよ! 体験教室とかありますから」
小鳥「ねんぱいぃぃぃ?」ゴゴゴゴゴ
P「あ、いや、音無さんは、ワカクテキレイデスヨ」カワイイデスヨ
小鳥「それより雪歩ちゃんのドラマの撮影の方は順調なんですか?」
P「ああ、それならバッチリですよ。やっぱり大洗での体験はよかった」
P「響達も出演できたし、主題歌まで765プロで歌えることになりましたからね」エーンターエーンター
P「何より、雪歩がかなりのびのびと仕事するようになりましたし!」
小鳥「そろそろ、第1話が放送されるんですよね? こっちも楽しみだわ」ロクガシナキャ
P「これから来ますよ、戦車道ブーム! だから音無さんも……」
春香「きゃっ」ドンガラガッシャーン
小鳥「……」
P「戦車を動かせるようになっても、落ち着かない子もいますけどね」ハハ
伊織『あんたたち! そんなこと言ってるとこの学園に居れなくしちゃうから!』
美希『勝手なこと言わないでなの! みほは戦車道しないの!』
貴音『真、横暴すぎます!』
華「会長役の伊織さん、ものすごいはまり役ですね」
沙織「それよりまさかミキミキが私役だなんて、うれしすぎるよ!」ポワーン
麻子「わたしは、我那覇さんがやるそうだが……どうなるんだろう?」
優花里「みなさんはいいですよう。私なんか765プロの人でもないし……戦車見るたびに『ぎゃおおおおん』とか言ってる変な人だし」ガックシ
みほ「あはは」タラー
麻子「でもこのドラマのタイトル『ガールズ&パンツァー』って、なんで英語とドイツ語が混ざってるんだ?」
沙織「細かいことは気にしないの!」
雪歩『ふたりとも、本当は戦車道したいのに、わたしをかばって……』
優花里「本当にこんなやり取りがあったんですか? 西住殿」
みほ「え、えーと」
華「ドラマですから、色々誇張してあるんですよ優花里さん」
優花里「そうでしたか、どうです? 萩原殿の演技は?」
みほ「やっぱりちょっと恥ずかしいかな」///
みほ「でも……。雪歩さんが私の役で……」
雪歩『あのっ! 私っ! 戦車道やりますぅ!』
みほ「本当によかった」
雪歩「戦車道やりますぅ」 完
元スレ
雪歩「戦車道やりますぅ」
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1368/13686/1368620457.html
雪歩「戦車道やりますぅ」
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1368/13686/1368620457.html
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コメント一覧 (22)
-
- 2015年12月01日 16:09
- がルパンの主人公そっくりだもんな
-
- 2015年12月01日 16:29
- 忘れてた映画見に行かなきゃ
-
- 2015年12月01日 16:49
- 戦争を肯定する有害アニメ
-
- 2015年12月01日 17:48
- とりあえず澤ちゃんがカッコ良かった
-
- 2015年12月01日 18:26
- 〉3 なに言ってんだ、こいつ
-
- 2015年12月01日 18:43
- 懐かしいw
ガルパンとドリフターズのSSも当時あったね
あれって続きあるのかしら?
-
- 2015年12月01日 18:59
- ※5
触らないでおこうよ
-
- 2015年12月01日 19:10
- なんか分からないけどクロスです。って書かれると読みたくなくなる。
-
- 2015年12月01日 19:11
- あんこう踊りは踊ったのか・・・・・
-
- 2015年12月01日 19:50
- ※3
戦車道は戦争ではないってサンダース大付属のケイさんが言ってたよ
女の子と戦車が出てくるだけで中身はアイシールド21みたいなもん
これが有害に見えるならミロのヴィーナスだってポルノに見えるだろうよ
-
- 2015年12月01日 20:07
- アイシールド21ワロタwww
-
- 2015年12月01日 20:27
- なかなか良かった
-
- 2015年12月01日 20:50
- ※8
わかるわ、まぁどっちも知ってるんですがw
-
- 2015年12月01日 21:11
- 映画おもしろかったよ
アレは映画館で観なきゃ
-
- 2015年12月01日 21:35
- 双方の作品が違和感なく混ぜられててとても面白かった。
劇場版見て書いたのかと思ったが、2年以上前のssなのね。すごい
-
- 2015年12月01日 21:40
- 試合後は皆でお風呂はいったんだろうなぁ・・・・・・
何回か「くっ」が飛んでそうだけど
-
- 2015年12月02日 01:28
- ※1
ガルパン主人公もアイマス声優だしな
-
- 2015年12月02日 02:41
- 渕上舞はどう転んでもアイマス声優というよりガルパン声優やろがい
-
- 2015年12月03日 13:14
- ぎゃおおおん
それたぶん りょうちんや
-
- 2015年12月03日 20:17
- この作者とは仲良く山登れそう
-
- 2015年12月04日 19:32
- まほと雪歩の会話が映画見た後だとグッとくるな、でも2年前の作品というのが驚きだ
-
- 2015年12月08日 19:19
- 米10
俺も同感だ、行き過ぎた意見はアメリカや日本で発生したレッドパージになりかねん。永青文庫で開催中の春画展は芸術と教訓が一体化しているからな。