千早「気が付けば私は、病棟の一室で眠っていた」
[病室]
千早「ここは……」キョロキョロ
千早(ダメ……見覚えがない)
千早「……なんで私はこんなところに」
千早(……?)
千早「嘘……腕が鎖で繋がれてる……」ガシャリ
千早「……なんで――」
春香「……う、んん……」
千早「は、春香!」
春香「ち、千早ちゃん……? あれ、私なんでこんなところに」
千早「春香、大変なの!」
春香「え、どういう」
千早「これ」ジャラ
春香「え……く、鎖? あ、わ、私もだ!」
千早「これっていったいどういう――」
春香「千早ちゃん……こ、こんな紙が枕もとに」ペラリ
千早「……ちょっと読んでくれないかしら」
春香「う、うん。……『アリスは一人でこの部屋を逃げ出した』」
千早「……アリス?」
春香「まだ続きがあるみたい……。『鎖が取れたのはアリスだけ』」
千早「……どういうこと?」
春香「よくわからない……」
千早「続きは?」
春香「これ以外は……特には……」
千早(春香が隣のベッドで寝ていたということで、私は少しだけ落ち着きを取り戻した。私一人ではない、それが安心へと繋がったのだ)
千早(しかし、この状況。冷静になっても何もわからない。ただ、部屋は薬品の匂いが漂っている)
千早(私たちは、これからどうなると言うのだろうか)
春香「ち、千早ちゃん?」
千早「……どうかした?」
春香「黙っちゃったから、……不安になって」
千早「……ごめんなさい。今の状況を考えていたの」
春香「……そうなんだ。でも、ここどこだろうね」
千早「病院……であることは、間違いないとは思うんだけど」
行動安価 >>下3
1 このままじっとしておく
2 とりあえずいろいろ探してみる
鎖に繋がれて探せるのか?
3.どつく
2
千早「とりあえず、繋がれたまま色々と探してみましょう」
春香「う、うん……。分かった」
千早「……」ゴソゴソ
春香「……あっ」ゴソゴソ
千早「何かあった?」
春香「……これが、足元に」
千早「これは……鍵?」
春香「何の鍵だろう……?」
千早(恐らく……この鍵は……)
千早(恐らく……この鍵は……)
千早「もしかすると、この鎖の鍵かもしれないわ」
春香「本当に!?」
千早「ええ、でも……」
千早(あの不可解なメッセージ。それが意味していたのは……いったい……)
千早「鍵は一つだけ?」
春香「うん、一つだけ」
千早「……それじゃあ春香から先に使ってみて」
春香「私から? どういうこと?」
千早「……もしかすると、この鍵。一回しか使えないかもしれないから」
春香「……なんでそんなこと」
千早「さっきの紙に書いてあったこと。深読みじゃないといいけど……アリスは一人でって書いていたから、もしかすると……この鍵も一人しか使えないのかもと思って」
千早(この状況は明らかにおかしい。メッセージも誰かによって創られたことは明白だわ。だとすれば……私の推理は間違ってはない……はず)
春香「……だったら、千早ちゃんが使って」
千早「……え?」
春香「私、今の状況もまだあんまり呑み込めてないし……千早ちゃんなら、自由になったら何か見つけてくれるかもしれないから」
千早「春香……」
春香「だから、これ」ジャラ
千早「……分かったわ」
千早「…………」ガシャン
千早「ひ、開いた」
千早(だけど、やっぱり思った通り――鍵は刺さったまま抜くことが出来ないような作りになっていた)
千早「春香……。ごめんなさい、後で必ず迎えに来るから」
千早(そう言いながら、私が病室を出た――その瞬間だった)
ガシャン
千早「!」ハッ
千早「……閉まってる」ガシャガシャ
千早(春香といた部屋はすでに閉まっていた)
千早「……」キョロキョロ
千早(やっぱり病院みたいね)
千早(長く続いた廊下には同じような病室が立ち並んでいた)
千早(……春香のことも心配だけれど、自分の心配もしないと。何が出てくるか分からないわ)
「……だよ……なん……よ……」
「……よ……うん……そう……」
千早(声? 誰かが話している?)
安価下3
1見に行く
2見に行かない
1
1
1
千早(気になるわね……少しだけ、見に行きましょうか)
「だから……ここは……」
「そんなこと言っても……」
千早(聞き覚えのある声? これはもしかして……)
響「だーかーらー! 一刻も早くここから抜け出した方がいいって言ってるんだよー!」
真「それが出来たら苦労しないって言ってるんだろ!」
千早「響! 真!」
響「ち、千早……? 千早もいたのかー!」ダキッ
真「でも、千早……もしかして。千早も誰かを……」
千早「ええ……もしかして二人とも……」
響「……」
真「……」
千早「詳しく聞かせてもらえるかしら」
(二人の話を聞く)
千早「……つまり、二人とも――我那覇さんは四条さんを、真は萩原さんを病室に?」
真「……そうだよ。本当はボクが残るって言ったんだけど、雪歩が……」
響「貴音は最後までここにいるって聞かなかったさー……。たぶん、今も目を瞑っていると思う……」
千早「そう……」
千早(状況はやはり未だよく分からないままね。
でも、このよくわからない状況になっていると言うことが、私だけではなくて765プロの他の子たちもなっているということが分かったわ。
……とすれば、もしかするとここで名前が出てきたメンバー以外にも何かあったのかしら……。
ダメね、まだ情報が少なすぎる)
響「それにしても、ここ薄暗くて……なんだか嫌な感じ……」
真「確かに……なんだか肌寒いし……」
千早「他の人は見ていないの?」
響「自分はさっき真と会って……」
真「二人でここから出る方法と、みんなを助ける方法を探していたんだ」
千早「と、すると……」
千早(今できることと言えば、もう少しこのあたりに何かないか探してみること。もしくは、他に誰か出てくるまでここで待っておくか。そのどちらかが重要になってくるわね。前者は少し危険なような気もするけれど……)
千早「他に誰かいるかもしれないし、少しの間ここで待っておかない?」
響「ここで? ……うーん、ちょっと怖いけど……千早が言うなら……」
真「確かに、千早も後から来たんだし少しだけここにいようか」
千早「ええ」
千早(その間、もう少しこの状況を整理する必要があるみたいね)
千早(まず、今私たちは病院の中にいる。これは間違いない)
千早(そして、その病院の病室で二人一組になって鎖で繋がれていた)
千早(その鎖は片方しか外すことが出来ず、なおかつ病室から出れたのも一人だけ)
千早(それで、全員の共通点は765プロのアイドルということ)
千早(こんなところかしら)
千早(今欲しい情報としては、なんで私たちがここにいるかということ。これは他の全員が覚えていなかった。そして、ここからどうやったら出られるのか。もしくはここはどこなのか? あとは――私たちは無事でいることが出来るのか。これくらいかしら)
「……ここは……」
千早「……誰か来たみたいね」
響「あれは……」
あずさ「……みんな! こんなところにいたのね!」
千早「あずささん……!」
響「あずさー!」
真「あずささんもここに……」
あずさ「そうなの……。私、美希ちゃんを置いてきちゃったみたいなんだけど……」
千早「美希を?」
千早(あずささんは美希を置いてきた。つまり、現時点で二人一組ということは確定、ということね)
あずさ「それにしても、ここは……」
響「自分たちもよくわかってないんだ」
真「なんだか嫌な感じがするよね」
千早(三人とも体を震わしている。確かに、ここの廊下は底冷えするように冷気がこみ上げている。……薄暗いと思っていたけれど、灯りもあるし……。電気は通っているみたいね)
千早「まだ、他に来るかしら……」
真「あずささんも来たんだし、もう少し待っていた方がいいんじゃないかな」
響「うーん、でもやっぱりそろそろ動いた方がいいんじゃない?」
千早(あずささんの例もあるし、ここで待っていた方がいい気もするけれど……。でも、響の言う通りそろそろここを抜け出す手がかりを見つけにいかないと、時間が経てば経つほど春香たちは鎖で繋がれている以上、食べ物を口にすることも出来ない)
千早「そうね……」
安価下3
1動いてみる
2待つ
2
1
2
千早「もう少しだけ待ってみない?」
響「……待つの?」
真「まあ、うろうろするよりいいんじゃないかな」
あずさ「そうね……。他の子がいたとすると、心配だわ」
千早「ええ」
千早(私たちは、四人で固まってその場に待機することにした)
(30分後)
響「誰も来ないぞ……」
真「ねえ、もういいんじゃない?」
千早「そうね……」
あずさ「移動するの?」
千早「このまま何もしなくても、時間だけは過ぎていってしまいそうなので」
あずさ「そうねえ……。その前に、みんなどの部屋から来たか教えてくれないかしら?」
千早「どうかされたんですか?」
あずさ「うーん、部屋数に比べてなんだかわたしたちって少ないなあって思ってね」
千早「確かに……」
千早(あずささんの言う通り、私たちは二人一組で収容されていた。それなのにもかかわらず、部屋数はそれ以上だ。一応、部屋の番号は確認しているし……あずささんの意見に従おう)
千早「私は301号室です」
響「自分は309号室だぞ」
真「ボクは307号室だったかな」
あずさ「私は、303号室ね」
千早「やっぱり、間が空いていますね」
あずさ「ええ。その間の部屋には何かあるのかしら?」
響「うーん。部屋のことも気になるけど、自分も個人的に気になることがあって」
真「なにかあったの?」
響「うん。実はさっき309号室の方からこっちへ来るとき、階段があるような場所を見たんだ」
千早「階段?」
真「なんで先にそれを言わないんだよ!」
響「だって、その階段シャッターで封鎖されてて下にはいけなかったんだよ!」
あずさ「まあ……」
千早「階段……シャッター……それは、鍵とかがついていたのかしら?」
響「うーん。チラッとしか見ていないから、分かんないぞ」
千早「なるほど……」
千早(今、あずささんと我那覇さんの方から気になることが二つ出てきた)
千早(一つは、各部屋の間にある空白の部屋。そこに何があるのか、もしかすると部屋は開いているかもしれない)
千早(あともう一つは、我那覇さんの階段の件。下の階へ続く道があると言うことは、ここは階層のある病院ということになるのかしら)
響「ど、どうする?」
千早「そうね……」
安価下3
1階段を見に行く
2部屋を調べる
2
2
2
千早(階段の方も気になるけれど……、恐らくシャッターが下りてると言うことは、下へはいけない可能性が高いわね)
千早「部屋の方を調べましょう」
響「分かったぞ!」
真「階段の方は、後で見に行くってことでいいのかな?」
千早「そうね、やっぱり部屋の方が気になる点が多いわ」
あずさ「でも、どの部屋から見ていくの?」
千早「そうですね……」
響「とりあえず、その辺の部屋を全部開いてるか確認すればいいんじゃない?」
真「そんな感じで適当に調べてたら何か出てきたらどうすんだよ!」
響「え!? そんなことあるの!?」
あずさ「でも、真ちゃんの言うとおりね。今、むやみやたらに行動しても危ないわ」
千早(そう、そこがネックになってくる。今行動をするとしても部屋を調べることは安全なのかしら?)
響「まあ、大丈夫だぞー。ほら、こんな感じで――」ガチャ
響「……え?」
千早「が、我那覇さん……」
千早(我那覇さんは、一番近くにあった部屋の扉を開けてしまった――ここは、308号室か)
響「あ、開いちゃったけど……ど、どうしよう」
千早「……入りましょう」
真「入るの?」
千早「ええ。私が先に入るわ」
千早(確かに危険ではあるけれど、このまま立っていても埒が明かない。たとえ他の部屋を調べてみて開いたとしても同じことをすることになるでしょうし)
千早「さて……」キイー
響「ち、千早? 大丈夫?」
千早(後ろから、我那覇さんが怯えて声をかけてきた。……たぶん、大丈夫かしら)
千早(部屋は至って普通の部屋だった。私たちがいた部屋と同じく、ベッドが置かれており、そこには鎖が置かれていた)
千早「誰もいない……か」
千早(しかし、そこには誰もいなかった。そう、もぬけの殻だ)
真「千早? ……これは」
千早「ええ、何もないみたいね」
千早(何もない……。そう、ここには何もなかった。ただ寂れたベッドが置いてあるだけ……本当にそれだけ?)
千早「ちょっと待って」
響「ど、どうしたの?」
千早「あれ……」
千早(そこには一通のメモが置いてあった)
千早(私は、その瞬間一つのことを思い出す)
千早「皆、そう言えば――ベッドの近くに変な紙切れおいていなかった?」
千早(私はあのとき、あんな風な紙切れを春香と見たのだ。そうあれには『アリスは一人でこの部屋を逃げ出した』『鎖が取れたのはアリスだけ』と書かれていた)
千早「……そんなことが書かれた紙を見なかった?」
千早(恐らく、みんなも同じような紙が置いていたはず――私はそう考えていた。しかし……)
響「そんなの見てないぞ?」
真「ボクも知らないなあ……」
あずさ「私も……ごめんなさい」
千早「そう……ですか」
千早(しかし、その紙を見たのは私だけだった。なぜ、私の部屋だけあの紙が? その疑問を考えていたとき――我那覇さんが奥の紙を指さした)
響「あれ、見なくていいの?」
真「気になるよね」
千早「……そうね」
あずさ「ちょっと待って」
千早「あずささん?」
あずさ「今度は……私が」
千早(さっきは私が飛び込んだからか、今度はあずささんが紙を見ると言った。そうだ、この状況に頭がマヒしていたが、何があるか分からない。そんな状況で危険なものに手を出すのは迂闊だった)
千早「お願いします」
あずさ「ええ」コクリ
千早(あずささんが紙切れを手にし、その中身を覗いた時、少しだけ顔を強張らせた)
あずさ「……みんな、これって」
響「どうかしたのか?」
真「……ボクたちにも見せてください」
千早「……」
千早(私たちが紙切れを覗いた先には――不可解なことが書かれていたのだ)
【貴方はどれを選びますか?】
①大切な人を助ける
②連絡手段を手に入れる
③全てを忘れる
④メアリーと遊ぶ
響「これ、どういうこと?」
真「さ、さあ……」
あずさ「なんだか、気味が悪いわね……」
千早(この紙切れはどういう意味が含まれているのかしら?)
千早(少なくとも、ここにきて重要な意味を持っていることは間違いない)
千早(1に関して言えば……、恐らくここでは私たちが置いてきた仲間たち――私ならば春香、ということになるのかしら)
千早(それを助ける……それは確かに一番大切なことだけれど)
千早(2は外部との連絡……ということかしら)
千早(少なくとも、今助けを呼ぶとすればこれを選択する必要があるわね)
千早(3は……今の時点では意味は分からない)
千早(すべてを忘れる? 何か覚えていることがあるということかしら)
千早(4つ目は……正直言って、一番不気味ね)
千早(他の三つは明確に何かをすることが書いてあるけれど、これだけはそれがない)
千早(メアリーは誰のことを指すのかしら? ……それに、アリスというのも気になるし)
響「……この下に書いてあることって」
真「ん? 何か書いてる?」
響「ほら、ここ」
千早(我那覇さんが指さした場所には、確かに何かが書かれていた)
千早「これは……部屋番号かしら」
千早(そこには番号の羅列が書かれていた)
① ― 302
② ― 304
③ ― 306
④ ― 310
響「部屋の番号ってことは……この選択肢を選んだらその部屋に行くってこと?」
あずさ「……そのようね。ほらもう一枚の紙にも書いているわ」
【選べる部屋は一つだけ】
千早(なるほど。私たちは四人いるけれど、この中から選べる部屋は一つだけってことね)
千早(仮に四人一度に部屋を開けてみれば……ということも考えられるけれど、向こう側の選択肢がある以上、それを実行しても無駄か、あるいは何かしらの危険が及ぶかもしれない)
千早(となると、やはり――ここで一つの部屋を決断するしかないみたいね)
千早「……選択は、多数決でいいかしら?」
響「え!? 千早、もしかしてどれか選ぶつもり?」
真「そりゃあ、選ばないと進まない……けどねえ」
あずさ「……ちょっとこれは」
千早(三人とも、少し怖気づいている。いや、私が怯えていないだけかしら?)
千早「……何にせよ、これが向こう側の要求なのだとしたら、これを呑まないと先へは進めないはずよ」
響「……え、今向こう側って」
千早「……ええ。そう言ったけど」
響「……これって誰かから仕掛けられてるんだ! うがー!」
真「当たり前だろ……。こんなこと、普通に起きるわけないじゃないか」
あずさ「響ちゃんの気持ちもわかるけど……」
千早「とにかく、多数決で決めないと先へは進めません」
響「……そ、そうだな。千早の言う通りだ」
真「それじゃあ、せーので数字を指で表そうか」
あずさ「それが、自分の選択ってことね」
千早「ええ」
千早(さて、皆の選択肢は――)
安価
千早 下1
響 下2
真 下3
あずさ 下4
あえての4
一番やばい選択肢かもしれんが、一番手がかりが得られそう
2
4
4
千早「一応、みんなが選んだ理由も聞かせてもらえないかしら?」
響「そうだなー。自分はやっぱり、他の人と連絡とった方が一番いいと思ったんだ」
響「連絡手段が貰えるなら、すぐに連絡して助けてもらおうって」
千早「なるほど……」
真「ボクは……、うーん自分の勘なんだけど、こういうのって一番やばそうなやつが合ってたりするのかなって」
あずさ「私は、逆に他の選択肢がひっかけに思えたから……」
千早「……そうですね。私も概ね二人と同じ意見です」
響「うーん、そうなのかあ。自分、罠にはまるとこだったのかな」
真「一応、多数決だし……選択は4ってことでいいよね」
千早「そうね」
千早(でも、本当にこの選択で良かったのかしら?)
千早(メアリーという言葉にどこか引っかかりを覚えて、4にしてみたけれど)
千早(我那覇さんの言うとおり、ここは外部との連絡を優先した方が良かったのでは?)
千早「……」
千早(それに、他の選択肢もまだ気になるところはあった)
千早(本当にこれで良かったのかしら……?)
(そして私たちは移動して310号室の前にいた)
千早「ここね」
千早(そう言えば、308号室ではなくて先に他の偶数番号の部屋に入ってしまっていたらどうなっていたのかしら? ……もしかすると、308号室に入った後じゃないと入れなかったりしたのかしら)
真「それじゃあ……開けるよ?」ゴクリ
響「ゆ、ゆっくり開けてね……?」
あずさ「……大丈夫かしら」
千早(本当に私たちはこれで良かったのかしら?)
千早(まだ見落としていたことがあったのでは?)
千早(……いや、もう遅い。ここまで来たら、あとはそれに従わないと)
真「よし……開けるよ」ガチャッ
響「……ど、どう? なにかあった?」
千早(真が扉を開けると、私たちは頭だけを覗かせて部屋の中を見渡した)
千早(そこには――)
真「……?」
千早(結果から言えば――その部屋には何もなかった)
千早(あったものと言えば、308号室と同様ベッドが置いてあったくらいだ)
あずさ「……それじゃあメアリーと遊ぶって」
響「どういう意味……なんだ?」
千早「…………」
千早(私は少しの間、思案していた)
千早(何も見当たらなかった、この部屋)
千早(メアリーとは誰のことなのか?)
千早(そして、メアリーと遊ぶとは?)
千早(私の考えがぐるぐるとめぐっていた――そのときだった)
あずさ「これ、なにかしら?」
千早(あずささんの言葉に、私は振り返った)
千早「それって……」
響「これ……なんか真美がやってるの見たことあるぞ?」
真「亜美も……そうだったような」
千早(そう、そこには――ゲームボーイと書かれたゲーム機らしきものが置かれていた)
千早(これは……一体……)
あずさ「……懐かしいわね。ずっと昔のゲーム機よ、これ」
千早「そうなんですか?」
あずさ「ええ……この後ろにゲームソフトをセットしてね……」カチャカチャ
千早(あずささんが後ろを触ると、そこには確かにソフトが刺さっていた)
あずさ「……なにかしら、このゲームソフト……。聞いたこともないわね……」
千早(あずささんが、ソフトを取り出したのを私たちは後ろから覗き込んだ)
響「……なんだこれ?」
真「なんか、悪趣味だね」
千早「……」
千早(そのソフトは真っ黒な背景に、女の子が一人こちらを眺めているような装飾だった。そしてそのソフト名は――)
千早「『HOSPITAL:ALICE』……?」
千早(私が読み上げると、みんな顔を顰めた。どうやら誰も知らないみたいだ)
千早(しかし、このアリスという言葉……。あのとき、紙で見たアリスという言葉に関連しているのかしら……)
千早「どうしますか?」
響「ど、どうするって?」
千早「これをやってみるか? ってこと」
真「これ……やるの?」
あずさ「でも、メアリーと遊ぶって……このことなのかもしれないし」
千早「あずささんの言う通りよ。手がかりがこれしかないんだから、やるしかないでしょ?」
響「……これ、ホラーゲームっぽいんだけど」
真「そうだね……」
千早「……」
千早(そう、恐らくこれはホラーゲームだろう。しかし、聞いたこともないゲーム……そんなゲームがここに置いてあると言うことは何か意味があるに違いない)
千早「ゲーム、起動させましょうか」
千早(私は、あずささんからゲームボーイを預かると、すぐにゲームを起動させた)
千早(そのとき――私は、どこか耳鳴りのような音が聞こえた)
千早「……?」キョロキョロ
響「どうかしたのか?」
千早「いえ……なにも」
千早(耳鳴りは時々あるけれど……でも、あんな耳鳴りは初めて……)
千早(まるで、肩口から響いてきてたみたいな……)
真「あ! 始まったよ!」
千早「ええ……」
千早(しかし、そんな疑念も真の言葉にかき消された)
【HOSPITAL:ALICE】
千早(タイトルが映し出され――そして、ゲームは始まった)
――――
――
―
P「ここは……」
P(俺は病院の廊下のような場所で立っていた)
P「律子……」
P(そうだ、俺は律子を置き去りにして今ここに立っている)
P「絶対、助けてみせるからな」
P(鎖に繋がれたままの律子の姿を思い出し、俺は辺りを眺めた)
P「……何もないな」
P(部屋から出てきた後、俺は何もない場所をうろついていた)
P(廊下には、少しだけ明かりがさしかかっているが……)
P(待てよ……)
P「……まずは状況を整理しなければいけないな」
P(そのときだった)
「……な………ここ……」
P(誰かの声が聞こえる)
P「これは……行くべきか?」
安価下3
1一旦落ち着いて、考えをまとめる
2声のする方へ行く
2
1
2
P「気になるな……向こうへ行ってみるか」
P(俺が声のする方へ行くと、そこには誰かが怯えながら立っていた)
伊織「な、なによここ……誰か――キャッ! だ、誰!?」ガタガタ
P「い、伊織……?」
伊織「ふ、ふぇ……?」
P「伊織じゃないか! こんなところで、なにやってるんだ!」
伊織「なっ! あ、あ、アンタこそ……なんでこんなとこ……」
P「律子と俺だけじゃなかったんだな……」
伊織「ば、バカぁ……こ、怖かったのに……」プルプル
P「す、すまん。怯えさせちゃって」
伊織「ちょ、ちょっとだけこっちへ来なさい……」
P「……?」
伊織「……少しだけ、こうさせて」ダキッ
P「あ、ああ」
P(伊織は俺に抱き付いたまま震えていた)
P(どうやら、こんな暗い廊下を一人で歩き回っていたようだった)
P(まだ幼いのに無理もない。俺でも少し怖かったくらいだ)
P「……少しは落ち着いたか?」
伊織「…………まだ」ギュッ
P「……そうか」
真美「……なーんか、お熱いムードですなあ」ムスッ
P(そのとき、俺たちの背後から声がかかった)
P「ま、真美!?」
真美「……真美も怖かったけど……なんか、今そういうの見たら少しだけすっとんでっちゃったよ」
伊織「……ま、真美?」カタカタ
真美「と言うか、兄ちゃんもいおりんもいたとは……」
P「伊織、少しだけ……いいか?」
伊織「う、うん」
P(俺は伊織を話すと、真美に向き合った)
P「真美……こっち来な」
真美「な、なんだそんなの乗らないぞ」
P「……怖かったんだろ?」
真美「…………」テクテク
P「……?」
真美「…………うん」キュッ
P「よく頑張ったな……」
P(それから、真美と伊織を宥めると、俺たちは今の現状について考えることにした)
P(それから、真美と伊織を宥めると、俺たちは今の現状について考えることにした)
P「それじゃあ、伊織はやよいを、真美は亜美を部屋に置いてきたってことか?」
伊織「……そうね」シュン
真美「……うん」
P「そうか……」
P(俺たちは三人とも何の手がかりもなかった)
P(あるとすれば、やはりあの異常な部屋での出来事……。そして、今のこの取り囲まれている雰囲気程度だ)
P(俺たちは何もわからないまま、こんな場所に連れられていた)
P(……いや、本当にそうか?)
P(俺たちは、本当に何も分からないままここにいるのか?)
P「みんな、ここに来る前のことって覚えているか?」
伊織「ここへ来る前?」
真美「……うーん、そう言えば思い出せないかも」
P(そう、真美の言う通りだ。俺たちはここへ来る前のことを思い出せなかった――いや、思い出せないようにされていた。これが現状しっくりくる答えだ)
P「……どのあたりまで覚えてるか、教えてくれないか?」
伊織「……そうね。最後に食べた朝ごはんは覚えているわ」
P「つまり……夕ご飯は家では食べていないのか?」
伊織「……ええ、そうなるわね」キョトン
P(つまり、伊織は朝ごはんを食べた後――家には帰らなかったと言うことか)
真美「真美はね、亜美と一緒に家を出たのは覚えてる」
P「それはいつごろだ?」
真美「うーん、たしかいおりんと一緒で朝だったかな?」
P「そうか」
P(ここまでを整理すると……二人とも朝までの記憶しかないと言うことになる)
P(と、なると――)
P「その日は仕事の日だったか?」
伊織「そうね……。朝ごはんにオレンジジュースが出たから、きっと仕事だったと思うわ」
真美「真美も……亜美と一緒に行ったとき、たぶん仕事の話をしてたような」
P「やはりな」
P(無論、例外もあるだろうが――俺たちが一堂に会していると言うことは、やはりみんな仕事をするために事務所へ向かい、そこで集まっていたことが考えられる)
P(そして、俺たちは何かのきっかけでここへ連れてこられた――ということになるのだろう)
P「……まだ分からないことも多いな」
真美「ねえ、兄ちゃん。ずっとここで座ってるの?」
P「ん?」
真美「真美、こんなとこに長居したくないよぅ……」
伊織「……どこかへ行くの?」プルプル
P「……そうだな」
P(伊織が泣きそうな顔をしているが、どうしたものか……。真美の言う通り、ここで黙っていても仕方がないのは確かだ。やはり動くしかないか……)
P「……そうだな、少し移動してみるか」
伊織「……移動って言っても」
P「……そうだな、どっちへ行くか……」
安価下3
1右の奥へ進む
2左の奥へ進む
2
kskst
1
P「右の奥へ行こうか」
真美「なんで?」
P「……勘だ」
P(俺たちは、とりあえず右奥の方へと進むことにした。こっちは、そう言えば……俺と律子がいた部屋の方面だな)
P「……」チラッ
P(203号室――ここが、俺と律子のいた部屋か)
P(律子、待ってろよ。必ず助けて見せるからな)
真美「兄ちゃん! なんか階段っぽいのあるよ!」
伊織「本当ね……」
P(俺たちは階段らしきものを見つけた――だが)
真美「でも……シャッター降りちゃってるね」
P「ああ……」
P(厳重なシャッターが下ろされていて、上に上がれそうにもない)
P「……」チラッ
P「下も同じか……」
P(下階へも行けそうにはないな……)
P「どうやら、先へ進む道はなさそうだな」
真美「どうするの?」
P「うーん……」
安価下3
1もうすこし辺りを探してみる
2左の奥へ行ってみる
3考えを巡らす
千早-春香
響響-貴音
真真-雪歩
あず-美希
プロ-律子
伊織-やよ
真美-亜美
kskst
3
3
P(もう少し考えを巡らせてみるか……)
P「なあ、二人とも」
真美「なに?」
伊織「……?」
P「他の皆がいるって可能性はあると思うか?」
真美「他っていうと……」
P「ああ、春香や響、雪歩たちのことだ」
伊織「どうかしら……」
P「本当はいない方がいいんだけどな……」
P(もしもいるとしたら、どこかで何かをしているのかもしれない。それも、俺の知らない所で、ひどい目にあっているとすれば……)
P「……もしそうだとしても、俺がなんとかしてみせないと」
真美「兄ちゃん?」
P「ああ、あいつらのことはとりあえず置いておこう。まだ、仮説に過ぎない」
P(しかし、それにしても情報が少なすぎる……)
P(何か他に手がかりはないのか?)
安価下3
1真美に聞く
2伊織に聞く
1
金でちひろさんを釣る
1
※>>126のレスを安価にしました
P「真美、お前なにか気になることとかないか?」
真美「真美が?」
P「ああ、なんでもいいんだ。教えてくれ」
真美「うーん……そう言われてもなあ」
P「小さなことでもいいんだぞ」
真美「……うーん、そう言えばなんかこういうの知ってる気がするんだよね」
P「どういうことだ?」
真美「なんだろ、どっかで見たことあるみたいな」
P「見たことがある?」
伊織「どういうこと?」
真美「なんだっけなあ。確か……あ! そうそう、なんかゲームで見た記憶あるんだよね!」
P「ゲームだって?」
P(そりゃあ、こういうゲーム昨今のゲーム業界ならごまんとあるだろう)
P「ゲームなら、こういうシチュエーションはたくさんあるだろ?」
真美「いやいや、違うんだって! そーじゃなくてー、なんだろなあ……。そう! 一番最初の二人一組が鎖で繋がれてるーみたいなゲームを……確かやった気がするんだよねえ」
P「……ふうん」
P(真美の言うことは少し気がかりだった。やったことがある――真美はそう言ったが、その口ぶりはまるでこれを体験したかのような……)
P(そのときだった)
「ウァァァァァアアアアアアアアアア――ッ!」ガンガン
真美「ひっ!」ビクッ
伊織「きゃあっ!」カタカタ
P(何者かの声が俺たちの鼓膜を震わしたのだ)
P「……なんだ、今の」
伊織「……」カタカタ
真美「に、兄ちゃん……」プルプル
P「ああ、慌てるな……。聞こえてきたのは……この下からだ」
P(俺はそう言って、シャッターの降りている下の階を指さした)
P(さっきの声はなんだったんだ? それに――真美のいうことも)
P(俺は……どうすればいいだろうか?)
安価下3
1周囲の散策
2よく考える
あっ野生の音無さんだ!
kskst
1
P「……辺りをもう一度散策してみよう」
伊織「……え、でもさっきの」プルプル
P「ああ、だがここに居ても何だか危険な気がしてな」
伊織「……アンタが言うなら」
真美「……あ、兄ちゃんこれトイレあるよ」
P「ん? あ、ほんとだな。扉が壁の色と似てたから気づかなかった」
真美「……でも、こういう雰囲気でトイレとか入りたくないよね……」
伊織「……」ギュッ
P「……ああ、そうだな」
P(トイレか……。見たところ、男女共用のトイレらしいな。入口が一つしかない。水道が出るかどうかという確認のためにも入るべきなのかもしれないが……)
P(さて、どうしたものか)
安価下3
1入る
2入らない
2
1
1
P「……やっぱり、入ろう」
伊織「……本気?」
P「水道が出るかどうか確認しとかないと。……なんなら、俺だけでも行ってくるけど」
伊織「……」ギュッ
真美「兄ちゃん……」ギュッ
P「……一緒に行くか」
P(そして、俺はトイレのドアノブに手をかけた)
P(扉には鍵は閉まっていなかった)
P(しかし、明かりはついておらず、中はぼんやりと暗かった)
P「……」キョロキョロ
P(俺は顔だけを覗かせたあと、中へと踏み出した)
P「……」ドキドキ
P(勝手に心臓が鳴ってる……。無理もないな、俺もどこかビビってるようだ)
伊織「……」
P(伊織は目を瞑って、ぎゅっとおれの裾を掴んでいた)
真美「……」ゴクリ
P(真美は目を丸くしている。驚くほど、緊張しているみたいだ)
P「……」ソロソロ
P(俺はゆっくりとトイレの中を歩き出した)
P(正面には……鏡があったが、どうやらどれも割られてしまったようだ。……ここには、誰かほかの人たちが使っていたのだろうか?)
P「……さて水は」
P(……やっぱりダメか。水は通っていないみたいだ)
伊織「ねえ……も、もういいでしょ?」
P「……いや」
P(まだ、物色していない場所がある)
P「トイレの個室は……二つか」
真美「に、兄ちゃん……やめといた方が」
P「……そうか?」
P(だがここに何か手がかりがあるかもしれない。俺はそう考えていた)
P(……しかし、真美の言う通りやめた方がいいのか?)
P「うーむ……」
安価下3
1中を見てみる
2見ずに帰る
とりあえず一発やってスッキリしとこうぜ
かそく
2
P「……やっぱりやめとこうか」
真美「……うん、そうしよう」
P(俺たちはトイレの中を見ずに帰ることにした)
P「さて……」
P(トイレを出たはいいものの、何をしたらいいのか。……そういえば、さっき左端にはいかなかったな)
P「今度は向こう側にいかないか?」
真美「……そうだね」
伊織「……」コクリ
P(……左端に来た俺たちは、右端と同じくシャッターが下りている階段を見つけた)
P「……こっちも同じか」
P(やはり、俺たちはこの階で隔離されていたようだった)
P(逃げ道は残されていない、ということか)
P「うーん……」
真美「どうしたの?」
P「いや、どうしたものかと思ってな」
伊織「……一旦、落ち着いて考えてみない?」
P「……そうだな」
P(伊織の提案に沿って、俺たちは状況を整理することにした)
P(まずは、現状把握だ)
P(俺たちは、今病院の中にいる)
P(そして、ここはどうやらその2階に位置する場所にあるみたいだ)
P(右端も左端もシャッターが下ろされていて、下へは降りられない)
P(他の765プロがいるのかも分からない)
P(真美の意見では、なにかのゲームに似ているという話もあったが……それも考えすぎだろう。今は関係のないことだ)
P(あとは……トイレか。水は止められていたみたいだし、早いとこここを抜け出さないとダメだ)
P(それに、部屋にいる律子や亜美、やよいのことも気がかりだ。早くなんとかしないと……)
P「……あんまり考えがまとまらないな」
伊織「ね、ねえ、ちょっと!」
P「ん? どうした伊織」
伊織「……あれって、修繕後じゃない?」
P「……ん? どれだ?」
P(伊織に言われて気が付いたが、左端のシャッターの降りている壁の横側、コンクリートの壁面は、確かによく見てみれば修繕されたような箇所があった)
P「よし……」
伊織「何するの……?」
P「まあ、見てろよ」
P(俺は力を込めて、その壁を思い切り蹴とばした――しかし、びくともしなかった)
真美「……兄ちゃん、ださいよ」
P「……いけると思ったんだ」
真美「……んー、これ、たぶんこうすれば」
P(真美はそう言うと、修繕されていた壁を触りだした)
P「なにしてるんだ?」
真美「こういうのって、意外と壁の四隅にね……ああ、そうそうこんな感じで」
P(真美はそう言うと、修繕後の壁に張り付いていた板のようなものを外した)
真美「結構、突貫工事だったりするからね」
P「……真美、お前」
真美「褒めてもいいんだよ?」
P(内心、俺は驚いていた。真美の開けた壁はちょうど子供のサイズならば入れるようになっていたのだ)
P「これ……お前らなら入れるんじゃないか?」
真美「……そうみたいだけど、え?」
伊織「う、嘘でしょ?」フルフル
P「い、いや。嫌ならいいんだけどさ」
P(しかし、他に方法もないし……)
安価下3
1二人に行かせる
2二人には行かせない
1
1
2
P(いや……俺は何を考えているんだ! 二人に行かせること出来るわけないじゃないか!)
P「すまない二人とも……別の案を考えよう」
P(こうして俺たちは他の策を練ることにした――だが)
伊織「……どれも、ダメね」
P「ああ……そうみたい、だな」
真美「……兄ちゃん」
P(俺たちは寝不足と空腹で頭がフラフラになっていた)
P(何も食わずに頭と体を使っていたんだ――無理もない)
P「……ああ」
P(俺はどこかで間違えてしまったんだろうか?)
P(もっととるべき選択肢はあったのではないのか?)
P(……だが、今から動いたとしても――もう体力も残っていない)
P「……みんな、すまない」
P(俺はそこで眠りに落ちた)
P(それから俺は二度と目を覚ますことはなかった)
「……ゲームオーバーだ」
P(誰かの声が聞こえた気がしたが……それも気のせいだと思った)
【BAD END】
【continue】
安価下5までで多数決。
戻ったら、一回目に選ばなかった方へ自動的に進みます。
1 >>146からやり直す
2 >>160からやり直す
はよ!
2
1
1
支援
2
1
[トイレの中]
P(……やっぱり、中になにがあるのか気になるな)
P(今のところ危険な点に関しても感じられない)
P(誰かが潜んでいたとしても……そのときは俺がこいつらを守ってやらないと)
P(それにしても、さっきの声の件もあるしさっさとここを出ないといけないのに……)
P「……個室の中を見てみよう」
伊織「……」ビクッ
真美「……兄ちゃん?」
P「心配するな。まずは俺が見るから、お前らは少し後ろで待っててくれ」
P(……さて、この選択が吉と出るか凶と出るか)
P(どっちから見るかな)
安価下3
1右の方を調べる
2左の方を調べる
2
2で
2
P「……まずは左から調べるか」キィ
P(俺は左側の個室を開いた)
P(そこには、白い様式便座が置かれていた)
P「……汚いな」
P(だが、その便座は薄汚れており使うことは出来そうにもない)
真美「……に、兄ちゃん? あれ……」
P「……ん?」
P(何もないと思っていた矢先、俺は真美が後ろから覗き込み、そして何かを指さしていたことに気付いた)
P「……何かあったのか?」
真美「……ほら、便座の足元」
P(真美に言われ俺は少し頭を屈ませる)
P「……確かになんかあるな」
P(俺の身長では陰に隠れて見えなかったが、真美の身長まで屈ませることで俺は一つの物を見つけた)
P「……これは」
伊織「……なに?」ブルブル
P(俺が手に取ったもの――それは、薄汚れた注射器だった)
P「なんでこれがこんなところに?」
P(……注射器を使うのは普通、トイレではない)
P(これは誰かが使ったもの、ということになるのだろうか?)
P(……だとしてもいったい誰が?)
P(俺が頭を巡らせていた――そのときだった)
「ウガアアアアアアアアアアアアアア――――ッ!」ドンドン
P「……つっ!」ビクッ
伊織「ひっ!」ギュッ
真美「……ま、また」ワナワナ
P(俺たちはまた何者かの声を聴いた)
P(さっきよりも大きかったような気がしたが……気のせいか?)
伊織「ね、ねえ……まだここにいるの?」
P「……そうだな」チラッ
P(トイレの個室を調べるのも重要だが、声も気になるし……)
P(どうするか……)
安価下3
1個室調べを続ける
2声の方へ向かう
2
1
2
P(そして、俺たちはトイレを後にし、廊下へ戻ることにした)
P「……」チラッ
P(俺は顔だけを覗かせて、廊下を確認した)
P(ところどころ陰にはなっているが……恐らく、誰もいなさそうだ)
P「……大丈夫そうだ」
真美「……ほんと?」
P「ああ」コクリ
P(幸いにも廊下は誰もいなかった)
P(しかし、声は大きくなったり小さくなったりするということは……声の主は移動をしているということになるのか?)
P(だとすれば、ここではなく――やはり一階か)
P(一階には安全、危険は度外視にしても、とりあえず誰かがいるということは確実だろう)
P(しかし……一体誰が?)
真美「兄ちゃん? ど、どうするの?」
伊織「……」チラッ
P「……そうだな」
P(状況証拠として、今さっき俺たちは注射器を手に入れたわけだが……)
P(これについてよく思案する必要があるのだろうか?)
P(声の主の危険もある。もしかすると2階まで上がってくるかもしれない)
P(それに体力的な問題もある)
P(最悪、俺は何も食べずともなんとかなるが……むやみやたらに歩き回っても、こいつらの体力を浪費させるだけだ)
P「……さて」
安価下3
1注射器について考える
2この場所について考える
3これからどうするかを考える
3
1
支援
2
安価は>>232
P(そうだな、まずはこの場所について考えてみるか)
P(見たところ、病院には違いないが……何かわかることはないだろうか?)
P「二人とも……ここについて何か気づいたことはないか?」
真美「気づいたこと?」
伊織「……そうね」
P(どうやら伊織が何か言いたそうにしているな)
P「どうした、伊織? 何か気になったことあったか?」
伊織「……ほんの些細なことかもしれないけど」
P「ああ、なんでもいいぞ」
伊織「……ここって本当に病院かしら?」
P「……どういうことだ?」
伊織「私も何度か病院に行ったことあるけど……今のところ二人部屋しかないのっておかしくないかしら?」
真美「二人部屋しかない……。うーん、言われてみれば……。でも、真美のお父さんの病院も――ん?」
P「真美、どうした?」
P(そう言えば、真美のお父さんは医者だったな。何か手がかりがつかめるかもしれない)
真美「んー。なんだっけ? たしか、こういう造りの病院のこと聞いたことあるような……」
P「造り? どういうことだ?」
真美「いおりん言ってたじゃん。二人部屋しかないって」
P(二人部屋しかないということに真美は何かしらのとっかかりを覚えたようだ)
P「確かに普通の病院って、五人部屋とかの相室が多いな」
P(こういうものだと考えていたが……言われてみれば確かに不思議なことだ)
真美「そうそう、それそれ! だから、いおりんの言ってたことで……なんか引っかかり覚えたんだけど……」
P(真美は腕を組んで頭を捻らせていた)
P(しかし……二人部屋、か。それに注射器……。異様な空気が漂っていることは間違いないな)
P(二人……。一人ではなく……二人? なぜだ?)
P「……なんで一人部屋はないんだろうな」
伊織「……そうね」
P(普通の病院には個室は必ずあるだろう。しかし、今のところ三人とも二人部屋しかないと言っている)
P(もしかすると……個室もあるのだろうか?)
真美「個室? ……個室、個室……――――あっ!」
P(そのとき、真美は何かを思い出したように目を見開いた)
P「何か、思い出したのか?」
真美「うーん、でもこれって今いる情報かどうかわかんないなあ」
P「とりあえず、話してみな」
伊織「……」チラッ
真美「うん。前に亜美とお父さんと病院のことに聞いていたときのことなんだけどね」
P「ああ」
真美「たしか……二人部屋とか、個室が多い病院が増えてるんだって――えーと、あれは……精神病院だったかな?」
P「……精神病院」
P(真美の発言に俺は顔を曇らせた)
P(……真美の発言をそのまま鵜呑みにするわけではないが、精神病院か)
P(……真美の発言をそのまま鵜呑みにするわけではないが、精神病院か)
P(精神病院っていうと、頭に何かの障害を抱えているっていうのが俺の見解だが……)
P「精神病院って何をするところかわかるか?」
真美「うーん、真美もあんまり詳しくないけど……」
P(真美は再び頭を巡らせ始めた)
真美「たしか……精神病院って開放病棟と閉鎖病棟の二つがあったと思う」
P「開放と閉鎖?」
P(……なるほど、そういう種類があるのか)
真美「うん。それで、開放病棟はわりと普通の人が通うんだけど……閉鎖病棟は」
P(真美は顔を陰らせた)
真美「……人権を無視されたりもあるって、聞いたことある」
P「そうか……」
P(そうなると……ここは恐らく、閉鎖病棟ということになるのだろうか)
P(しかし、それだとしても……閉鎖という度合いが強すぎるだろう)
P(真美の話では、閉鎖病棟は施錠がされ、隔離された状態になるとは言っているが)
P(……そもそも、ここは精神病院なのか?)
P(ええい、分からないことが多すぎる!)
P(しかし、イライラしても仕方ない……。今、一番年上なのは俺なんだから、ちゃんと話を纏めないと)
P(……もう少し、考えてみる必要がありそうだな)
安価下3
1自分自身で考えてみる
2真美に話を聞く
3伊織に話を聞く
3
2
支援
3
安価は>>271
P「……伊織、少し話を聞かせてくれないか」
伊織「……なに?」チラッ
P「伊織は今の状況と、今まで俺たちが見てきたもの……どういう風に思ってる?」
伊織「……そうね」
P(伊織は考えるしぐさをすると、ぽつりを話し始めた)
伊織「……仮に、だけど」
P「ああ」
伊織「私たちが置いてきた……やよいや亜美、律子はあの状態のままで……特に何もないのかしら?」
P「どういうことだ?」
伊織「……だって、私が出てきたとき鍵が閉まっちゃって開けられなかったから……」
P「……そうだな」
P(確かに伊織の言う通りだ。中の皆の安否は考える必要がある)
P(仮に、伊織の言う通り……中でも何かが起きているとすれば)
P(……おいおい、先にそれを確認しとかなければダメだったのでは?)
P「伊織の言う通りだな。中の皆が無事が確認してみよう」
P「……ところで」
伊織「?」
P「お前たちは、どの部屋から来たんだ?」
真美「真美は208号室だよ」
伊織「……私は、206号室」
P「そうか……だったら」
P(今は俺と律子のいた203号室が一番近いわけだな)
P「……とりあえず呼んでみるか」
P(俺たちは、ひとまず一番近い203号室へ向かい、律子を呼ぶことにした)
P「律子! まだここにいるのか!」
真美「りっちゃーん!」
伊織「律子! いたら返事して!」
P(だが俺たちの叫びは空しく廊下に反響しただけだった)
P「……くそっ」
P(俺は壁を叩いた。……律子は返事をしてくれなかった。中はどうなっているんだ?)
伊織「ねえ……」
P「どうした?」
伊織「……この扉、もしかしたら防音になってるかも」
P「……そう言われると」
P(俺はまじまじと扉を見つめる。……さっき真美が言っていたように、ここが精神病院だとすれば――そして、それが閉鎖病棟だとすれば……俺たちのいた部屋は患者が入ることになる)
P(その患者たちが叫び散らかすと言う可能性はないか?)
P(だとすれば……、この防音設備にも納得はいくが……)
P「……なら、他の部屋も一緒か」
P(そう、他の部屋について……やよいや亜美のいる部屋もきっと呼んでも返事をしてくれることはないだろう)
P(……ん? 他の部屋?)
P「そう言えば、俺たちのいた部屋以外はどうなっているんだ?」
真美「どういうこと?」
伊織「……そうね」
P「ああ、つまり……ここの廊下にある部屋の数おかしいと思わないか? あまりにも数が多すぎる」
P(おれは立ち並ぶ部屋を見た)
P(そうだ、この部屋の数は……もしかすると間の部屋は開いているかもしれない)
真美「言われてみれば……たしかに」
P(俺たちがいた部屋は203号室、206号室、そして208号室だ)
P(……それ以外の部屋が開いていれば、そこに何か手がかりがあるかもしれない)
P「……少し、調べてみるか」
P(俺たちは三人で開いている部屋を調べた)
P(しかし、どれも鍵がかかっており入ることは出来なかった――そう、一室を除いて)
P「……この部屋だけ、鍵はかかってなかった」
真美「に、兄ちゃん……開けるの?」フルフル
伊織「ちょ、ちょっと……アンタ」ギュッ
P(二人は俺にしがみついてきていた。かなり怯えているようだ)
P(だが、この205号室は……なぜ開いていたんだ?)
P(何か理由があるのだろうか。それに、この一室だけというのも少し怪しい気もする)
P(……もしかすると、これは入らない方がいいのか?)
P(だが、他に手がかりもない……どうすれば……)
P「……さて」
安価下3
1入る
2入らない
1
1
1
P「……入るか」
伊織「……ほんとに?」
真美「……に、兄ちゃん?」
P(だが……やはりこいつらに何か危険が及ぶのはごめんだ)
P「俺一人で行ってくるよ」
真美「……うう」
伊織「……」ギュッ
P「なに、心配するな。何か手がかりを見つけてくるよ」
P(俺は二人を置いて、205号室に足を踏み入れることにした)
P「……よし」ゴクリ
P(俺は扉のドアノブをゆっくりと回した)
P「……」カチャ
P(扉をゆっくりと音を立てて開くと、俺はおずおずと中に踏み込んだ)
P(中は……そう、中にはベッドもなく、そこにはがらんとした部屋が広がっていた)
P「……なんだここは?」
P(俺が部屋の中心に足を踏み入れた)
P(――そのときだった)
「おいおまえら こんなところで なにをしているんだ」
P(何者かの声が俺の鼓膜を揺らした)
P「……なっ」
P(そこには一つのラジカセが置いてあった。キュルキュルと音を立てながら、録音した言葉を呟いていたのだ)
「ええい ぬけだしたやつらは こうしてくれる」
P(録音したテープから、そんな言葉が飛び出してきたとき……一瞬のことだった)
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ
「みなごろしだ」
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ
P「……かはっ」ドサッ
P(突如として轟音が響いたと思った。……だが、そのときには俺の腹には大きな風穴があけられていた)
真美「……兄ちゃん、今の音って」ガチャリ
P「ば、バカ……。こっちに……」
P(俺は意識が朦朧とする中で、真美たちの顔を見た)
P(……なぜ、俺は撃たれたんだ)
P(何が起きた……?)
P(すでに考える余力は残されていなかった俺は、暗闇の中に意識を放り出した)
P(何かが間違っていたのか? 俺は……どこかで選択を誤ったのか?)
P(分からない……。だが、きっと真相はまだ奥深くに眠っているようだ)
P(そして俺は遠のく意識の中で、二人のことを考えた)
P(すまない……俺が不甲斐ないばっかりに……)
P(だが、俺の声はもう誰にも届かなかった)
【BAD END】
BAD ENDが二回目となりました。
Continueするにあたって、二つの選択肢があります。
安価下5の多数決
1正規ルートに入り、P編の内容を知る
2このまま自分たちでゲームを続ける
すまんな…
コンティニュー
1
あそこは誰でも入ってた
しゃーない
2
2
開けてから引き返すという微妙な選択肢は
ストーリーを確実に知りたい気持ちもあるが
2
「自分たちでゲームを続ける」、になりました。
なお、もしも次にBAD ENDとなれば強制的に正規ルートに直行することになります。
【continue】
安価下5までで多数決。
戻ったら、一回目に選ばなかった方へ自動的に進みます。
1>>220
2(残る二つは再安価)
3>>267(残る二つは再安価)
4>>283
1
1
4
1
2-1
[トイレの中]
P「……声も気になるが」
P(今、ここであるものを全て検証してみないと……。何かが分かるかもしれないし)
P「……それじゃあ、右の個室開くぞ」
真美「……う、うん」コクッ
伊織「……」ギュッ
P(……俺は、扉に手をかけた)
P「……よし」キィ
P(扉はゆっくりと開いた)
P(そこで、俺は思わず目を細めた)
P「……なんだこれは」
P(そこには左の個室と同様に便座があった)
P(しかし、それだけではなかった)
P「……どういう意味だ?」
P(俺は顎に手を持ってくる)
真美「ど、どう?」
伊織「……」
P(二人が徐に俺の後ろから顔を覗かせた)
P(しかし、すぐに二人の顔は強張った)
真美「……なにこれ」
伊織「……」ギュッ
P「……」
P(そこには、壁に赤く何かの言葉が書かれていたのだ)
P(そう、それは……まるで……誰かの怨念のような……)
「わたしはだれ?」
P(俺は思わず身震いした)
P(俺たちは、すぐにトイレを出ることにした)
P(幸いにも、声は廊下ではなく一階からのものだった)
P(俺たちは、薄暗い廊下でさっきのことを話し合うことにした)
P「……さっきのは」
P(なんだったんだ、と言う前に伊織が俺の服を掴んだ)
伊織「……ね、ねえ。もう怖いの、い、いや……」フルフル
P「……」
P(俺は黙って伊織の頭を撫でた)
P(こんなにも怯えている伊織を見るのは初めてかもしれない)
P(しかし……)
P「……」チラッ
真美「……」
P(さっきから真美の様子がおかしい)
P(何かを考えているのか、ずっと眉を寄せている)
P(……それに、これも)
P「……」
P(俺は注射器を眺めた)
P(これは……なんであんな場所にあったんだ?)
P(……分からないことが多いな)
P(もう少し考えてみるか)
安価下3
1注射器について考える
2真美に話を聞く
3文字について考えてみる
2
支援
2
P「なあ、真美。どうかしたのか?」
真美「え? どうかって?」
P「さっきから、ずっと黙り込んでたから」
P(俺がそう指摘すると、真美は少しだけ顔を強張らせた)
P(やはり、何かあったのか?)
真美「うーん、でもなんでもないよ」
P(真美はそう言葉にした)
P(どういうことだ? 俺に何かを隠している?)
P(言いたくないことなのか? それとも、言わないようにしているのか?)
P(どうしたものか)
安価下3
1問い詰める
2問い詰めない
2
2
1
P「何か黙ってるんなら、俺たちに言ってくれよ」
P(俺は少し強めの口調で真美にそう言った)
P(真美は、そんな俺が怖かったのか、少しだけ体をびくつかせたあと……ちらっとこっちを見た)
真美「……うん、わかった」
P(真美は頷くと、こっちに向き直った)
真美「……前に真美が言ったこと覚えてる?」
P「真美が言ったこと?」
P(たくさんありすぎて覚えきれていないが……)
真美「……ほら、真美がさ、こういうシチュエーション……ゲームで見たことあるって話」
P「……そう言えばそんなこと言ってたな」
P(俺は真美との会話を思い出していた)
P(そう言えば、あのとき真美は――)
真美『……うーん、そう言えばなんかこういうの知ってる気がするんだよね』
真美『なんだっけなあ。確か……あ! そうそう、なんかゲームで見た記憶あるんだよね!』
真美『いやいや、違うんだって! そーじゃなくてー、なんだろなあ……。そう! 一番最初の二人一組が鎖で繋がれてるーみたいなゲームを……確かやった気がするんだよねえ』
P(そうだ、あのとき真美はこんなことを言っていた)
P(あのあとすぐに誰かの声が聞こえてきて、俺たちはその話をしなくなったんだっけ……)
P(だけど、そんな話をなぜ今するんだ?)
真美「……真美、さっきの文字見て思い出したんだ」
P「思い出した? 何をだ?」
P(さっきから、真美は何を言おうとしているんだ?)
真美「……兄ちゃん、いおりん。これ……今、真美たちがいるここは多分……」
P(真美は煮え切らない態度をみせていたが、最後に小さく呟いた)
真美「ゲームを再現してるかもしれないんだよ……」
P「……ゲームだって?」
P(俺は思わず真美に聞き返した)
真美「うん……たぶん、だけど」
P(俺は真美が何を言おうとしているのか分からなかったが、ひとまず真美の話を詳しく聞くことにした)
真美「真美ね、結構昔にゲームボーイっていう古いゲーム機でよく遊んでたことがあって」
P「ゲームボーイか……懐かしいな」
P(俺も昔よくやっていたものだ)
真美「でね、その中のゲームで……あれはたしか……うーんと」
P(真美は必死になって何かを思い出そうとしていた)
真美「そう! HOSPITALってゲームがあったんだよ!」
P「……聞いたこともないな」
伊織「……」
P(伊織に至ってはゲームボーイすらも知らなさそうだ)
真美「そのゲームがさあ、まあ一応コアなファンにはめちゃくちゃ面白いって聞いて買ってみたんだけど……」
P(真美は目をそらす)
真美「真美にはその面白さが全然わからなくて……亜美もなんかつまんないって言ってたし……なんか内容も暗いし……」
P「そうだったのか」
真美「うん。内容もあんまし覚えてないんだけどね」
P「覚えている限りで教えてくれないか?」
P(俺は真美からそのゲームのことを聞き出すことにした)
P(さて、何から聞き出したものか)
安価下3
1製造会社について
2ゲームの内容について
3登場人物について
4亜美は何か言っていたのか
3
2
2
P「そのHOSPITALってゲームの内容について教えてくれないか?」
真美「内容? たしか、ホラーゲームだったと思うけど……」
伊織「ホラーゲーム?」
真美「うん。なんか、登場人物が病院の中をうろうろして脱出するみたいな感じ」
P「……たしかに、何だか俺たちの今の状況に似ているところはあるな」
P(HOSPITALというゲームはホラーゲームだったのか)
安価下3
1もっと詳しく聞く
2他のことについて聞く
1
1
1
P「そのHOSPITALっていうゲームはどういう風に進めていくんだ?」
真美「うーん、確か探索していくんだったと思うよ」
P「探索?」
真美「そうそう。要所要所に、こう脱出するための糸口があってね。それをヒントに三人は抜け出すんだ」
P「なるほど」
P(つまりよくある脱出系のホラーゲームということか。俺たちも現状手さぐりで手がかりを探している)
P(ん?)
P「三人……だって?」
真美「……あっ、そうだ。そのゲーム、自分が使うのは一人だけなんだけど、パーティが三人いるんだよ」
P「三人……か」
P(ここまで真美の言う通り、ゲームと俺たちの状況には似ているところが多かった)
P(だが、それを決定づけてもいいものか)
P「他に、ゲームと俺たちの状況が似ているところはあるか?」
真美「それが、さっきの文字……なんだけど」
P「文字?」
P(さっきトイレで見た文字のことを言っているのか? 『わたしはだれ?』という言葉、それを見て真美はこのゲームとの結びつきを覚えたのだろうか)
真美「そうそう。最初の方はね、登場人物は二人なんだよ」
P「二人、なのか?」
真美「うん。男の子と女の子が二人だけ。だけど、トイレに行くとイベントが発生して、そこで……確か『メアリー』とかいう女の子に会う……とかだったと思う」
P「メアリー……」
P(一気に情報が出てきて混乱してしまった。一度整理してみよう)
P(真美が言うには、このゲームは初めは二人の登場人物だけだ)
P(それは男の子と女の子。名前は真美は覚えていなかったが……)
P(そして、二人はメアリーという女の子に出合う)
P(それは、トイレの中で――か)
P「そのメアリーと会ってどうするんだ?」
真美「メアリーはトイレでさっきの文字が書いてた個室で、一人で蹲っててね。それを見て二人は声をかけるんだよ」
P「それで?」
真美「それでメアリーが仲間になって、一緒に病院を抜け出そうってなった……と思う」
P「仲間に……」
P(それから三人で行動することになるってことか……)
真美「他に何かある?」
P「そうだな」
安価下3
1製造会社について
2登場人物について
3亜美は何か言っていたのか
3
1
2
P「登場人物について、もう少し詳しく聞かせてくれないか?」
真美「いいよ」
P「さっき言ってたメアリーっていうのは女の子なのか?」
真美「そうだったと思う。スカートはいてたから」
P(ふむ……メアリーは女の子なのか。というか女の子が多いのは何か関係あるのか?)
P(そう言えば、メアリーはトイレの個室にいたと言っていたな)
P「……さっきの文字はメアリーが書いたと言うことなのか?」
真美「たぶん……いや、ごめん。ちょっと分かんない……」
P「そうか……」
P(俺の予測が正しければ、メアリーはトイレに閉じこもり、そして自分でその文字を書いたということになる)
P(なんでそんなことをしたんだ?)
P「他に、何か登場人物について分かることはないか?」
真美「うーん……そうだね」
P(真美は頭を抱えて懸命に思い出していた。心配そうに伊織が見つめていた)
真美「あ、そうだ!」
P「何か思い出したか?」
真美「たしか、ゲームの終盤でね、メアリーの秘密が分かっちゃうんだよ」
P「……秘密?」
真美「そうそう。メアリーってね、この病院のこと何でも知ってて、それで二人はメアリーに助けてもらいながら、最後にはこの病院を脱出するんだけど……」
P「ああ」
真美「最後に振り返ったら、そこにはメアリーはいなかったんだ」
P「いなかった?」
真美「うん、そこでゲームはおしまい」
P(メアリーは逃げ遅れたのか? いや、そうではない……。メアリーは……元から存在していなかった?)
P「他に覚えていることはあるか?」
真美「……うーん、真美、そのゲーム適当にやってたから詳しく覚えてるのは序盤と最後くらいなんだよねえ……」
P「そうか、分かった」
P(情報を整理しよう)
P(HOSPITALに出てくるメアリーは女の子で、かつ病院のことはよく知っていた)
P(そして、メアリーは最後にはそこにいなかった)
P(メアリーは幽霊……とかいう類のものだったのか?)
P(ゲームだから、メアリーの消失も演出の一環と考えれば……一応納得はいくが)
P(それにしても、このゲームではメアリーという女の子がキーになっているのは間違いなさそうだ)
真美「他にある?」
P「そうだな……」
安価下3
1製造会社について
2亜美は何か言っていたのか
2
2かなあ
2
P「亜美もそのゲームをやってたんだよな?」
真美「うん、やってたよ」
P「亜美はそのゲームについて何か言ってたのか?」
真美「亜美が? うーん……どうだったかな」
P「何でもいいから、教えてくれ」
真美「……あ、そうそう。真美と亜美とじゃ話が合わないんだよ」
P「ん? どういう意味だ?」
P(そのゲームのことで喧嘩でもしたのか?)
真美「だって、亜美のやってたのはもう一つのHOSPITALだったから」
P「もう一つ……?」
P(亜美は違うゲームをやっていたのか? てっきり同じゲームをやっていたとばかり思っていたが……)
真美「うん、確か……亜美はね『HOSPITAL:ALICE』って方をやってたよ」
P「……それは真美の物とは違うのか?」
真美「うん、真美はね『HOSPITAL: MARY』って題名だったんだ」
P「……タイトルが微妙に違うのか」
真美「うん。もともと、このゲーム二人専用だったから」
P「二人専用? どういうことだ?」
真美「……なんでだっけ?」
P(真美は首を傾げた。一番重要なところを忘れていたみたいだ……)
P(しかし、これは有力な情報を手に入れた)
P(このゲームは、二人専用……そして、真美は亜美とは別のソフトをやっていた)
P(この二つのゲームは関連性があるのは間違いないだろう)
P(続編……というわけではなさそうだ。それなら二人専用という言葉は出てこない)
P(つまり……これは、二人いて初めて物語が成り立つ……そういうゲームなのだろうか?)
P「分かった、それじゃあ最後に製造会社のこと……何か覚えてることあるか?」
真美「製造会社? ……うーん、真美そういうのってあんまり覚えないんだよねえ」
P「……まあ、普通は覚えてないよな」
P(俺もゲームを作った会社のことなんて覚えないし……)
真美「……ん?」
P「どうした?」
P(真美はまた難しそうな顔を作り、腕を組んだ)
真美「亜美が……何か言ってたような……」
P「亜美が?」
真美「うん、なんかこのゲーム会社の名前見て、なんか言ってたんだよね」
P(真美は必死に思い出そうと頭を巡らせていた)
P(そして……)
真美「あ、そうそう! なんか、こんな感じのこと言ってたよ」
P「何て言ってたんだ」
真美「確か……『てーんって何?』って」
P「てーん?」
P(亜美はなんでそんなことを言ったのだろうか……)
P(それが製造会社と何か関係があるのか?)
P(――そのとき、俺は前に亜美が俺に向けて言っていたことを思い出した)
亜美『ねえ、兄ちゃん。これって、『よう!』って書いてるの?』
P『ん? どれどれ……ああ、違う違う。これは……』
P「……TEEN?」
P(てーん、はそれをそのままローマ字で読んでしまったのだろう……)
P(そうか、製造会社はTEENか……)
P(そういえば、何かそんな会社を聞いたことがあるような……)
P(俺は必死になって思い出そうとしたが、結局無駄に終わってしまった)
P(もしかすると、記憶も誰かの手によって消されてしまったのかもしれない)
P「……とにかく」
P(これでかなりの情報を手に入れることが出来た)
P(一応、整理してみる必要はありそうだが……)
P(真美の言ったことにしろ、それがローカルなホラーゲームを模倣してこの状況が作られているということは恐らく信じてもいいだろう)
P(だが……そんな都合よく話が進んでいいのか?)
P(仮に、真美がそのゲームを知らなかったとすればどうなる?)
P(いや……今は考えないことにしよう)
P(他に考えるべきことがたくさんあるのだから)
P(俺は廊下で縮こまっている二人を見て、そう考えた)
――――
――
千早(私たちは今、310号室にいた)
千早(そこに向かう道中、一枚の紙があり、そこには『メアリーと遊ぶ』という選択肢があった)
千早(私たちは、多数決でそれを選択した後、この部屋に訪れたのだ)
千早(そこにはゲームボーイという古いゲーム機と共に、『HOSPITAL:ALICE』という不気味なゲームソフトが置かれていた)
千早(そのゲーム機を手に、私たちはゲームを始めたのだが――)
千早「さて、ゲーム画面が来たわね」
響「うう……タイトルがゆらゆら揺れてるぞ……」ブルブル
真「響はビビりすぎだよ……でも、確かにずっと見てたら何だか不安になるな……」ブルッ
あずさ「……『ゲームをはじめる』を選べばいいのかしら」
千早「ええ、そのようですね」
千早(私はタイトルの下に映し出された『ゲームをはじめる』を選択した……)
アリス『ここは びょういんのなか』
千早(ゲーム画面には真っ暗な背景にドット絵の女の子が一人映し出されていた)
千早(みんな、その画面を見ていた)
アリス『ここは びょういんのなか』
千早(ゲーム画面には真っ暗な背景にドット絵の女の子が一人映し出されていた)
千早(みんな、その画面を見ていた)
アリス『わたしは ここにずっと とらえられている』
千早(アリス、と表記されている少女は真っ暗な闇の中で独り言をつぶやいていた)
千早(なんだか……不気味ね)
千早(そして、真っ黒な背景は……明るくなる)
千早(これは……)
アリス『…………』
千早(アリスという少女は病室のベッドの上で寝たきりの姿勢になっていた)
千早(そして……そこには、もうひとり女の子が眠っていた)
アリス『このてじょうを はずさないと わたしはぬけだせない』
千早(どうやら、手錠はアリスともう一人の少女の腕にそれぞれつけられており、二人は拘束された状態になっていた)
千早(……このシチュエーション、まさか)
アリス『でも ひるまにかんしゅから かぎをとっておいたの』
千早(アリスはそう言うと、ベッドの中から鍵を一つ取り出した)
アリス『このかぎをつかえば きっとぬけだせるわ』
千早(アリスが鍵を使うと、錠は簡単に外れた)
アリス『これで わたしも じゆうね』
千早(アリスはそう言うと、病室を後にした)
千早「…………これって」
響「なんだか、今の自分たちを見てるみたいだぞ……」
真「怖いこと言わないでよ……」
あずさ「でも、似ているところたくさんあったわよね」
千早(そう、私も皆と同意見だった)
千早(いや、似ているところがたくさんあるというだけではすまない――これは、あまりにも似すぎている)
千早(どういうこと? ……でも、もしかするとこれは)
アリス『くらいろうか こわいわ』
千早(いや、間違いない――私はそう確信した)
千早「みんな、ちょっと聞いてくれないかしら」
真「どうしたんだ? そんな怖い顔して」
あずさ「何か気になることでもあったの?」
響「自分、ゲームの続き気になる……」
千早「ええ、恐らく……」
千早(……いや、まだみんなに言うのはよしておこう)
千早(恐らく、この先の展開でみんなも気づくだろう)
アリス『だれかのこえがする』
千早(アリスは小さくそう尋ねかける)
アリス『だれかいるの?』
千早(アリスが恐る恐る声の方へ行くと、そこには三人の少女たちがいた)
千早(やはり……これは)
アリス『みんな なにをしているの?』
『わたしたち ここからにげだそうと おもって』
アリス『そうなのね わたしもいっしょよ』
『でも にげみちがなくって こまってたの』
アリス『ほんとうね かいだんも ふうさされてる』
『あっ だれかこっちへくるわ』
アリス『たいへん! はやく かくれなきゃ!』
1 302ごうしつに にげる
2 304ごうしつに にげる
3 306ごうしつに にげる
4 310ごうしつに にげる
千早「選択肢が……」
響「でも……あれ? この部屋番号どこかで見た気が……」
真「あれ、ほんとだね」
あずさ「千早ちゃん……やっぱりこれって」
千早(あずささんが私の顔を窺ってきた)
千早「ええ、確実にそうでしょうね」
千早(私は力強くうなずいた)
響「え? どゆこと?」
真「ボクたちにも分かる様に説明してよ」
千早(二人は何が何だか分からない、といったように眉を寄せていた)
千早「……ええ、恐らく――私たちは、このゲームの構成と同じ状況に立たされているわ」
響「ん? ……余計分かんないぞ」
千早「このアリスという女の子を含めて四人がゲームの中に出てくるわよね?」
真「そうだね……」
千早「これが、今の私たちということになるわ」
響「ええ!? それじゃあ、自分たちゲームの世界にいるってことか!?」
真「たぶんそれは違うんじゃないかな……」
千早(それから、私は二人に分かりやすく説明することにした)
千早(この現状がゲームの作りに沿っているということを理解してもらうまでには少しだけ時間がかかった)
響「……うう、それじゃあ自分たちどうなっちゃうの?」
千早「……でも、私たちは恐らく」
千早(そう、私たちはある種ゲームの中にいると言ってもよかった)
千早(現実にゲームの設定を持ち込んだと言うこと……。私たちはそれを知ることが出来た)
千早「きっと、これは正解だったのよ」
あずさ「正解?」
千早「ええ。私たちは恐らく、正解の選択肢を選んだんです」
響「なんでそんなことが分かるんだ?」
千早「だって、私たちは今このゲームの中にいる……そう言ってもいいってことでしょ?」
真「まあ、そうだけど。……千早は何が言いたいんだ?」
千早「……だから、このゲームの中に私たちのするべき行動が全部書かれているってことよ」
「!」
千早(全員が驚いたように顔を見合わせた)
千早(だが、私の仮説は間違っていなさそうだ)
千早(あの最初の選択肢、一番危険だと感じた『メアリーとあそぶ』というのはある意味で正解だったと言うことになるのかしら)
千早(こういう訳の分からない状況では、情報を得ていると言うことはかなり有利になる)
千早(このゲームをすれば、私たちは先の行動で何をすべきか分かると言うことになるのだから)
千早「……選択肢、どれを選ぶ?」
響「うーん、千早の言うことが本当だったら、この4を選べばいいんだよね?」
真「でも、他の部屋に入ったら、どうなってたのかも気になるよ」
あずさ「うーん、ゲームだしやり直しがきくからねえ」
千早(確かに、ゲームだからやり直しはきくだろうが……)
千早「私たちは、ここにずっといる余裕もありませんよ」
響「……確かに、お腹もすいてきちゃうだろうし」
千早「ええ、ライフラインは何一つない状況。一番重要なのは、時間だと私は思います」
千早(私はちらっと画面を眺める)
千早「他の選択肢を選んでもいいとは思いますが……私は4を選ぼうかと」
千早「……みんなはどうしたい?」
千早を含め、ゲームの選択肢をどれを選ぶか、多数決
響 安価下1
真 安価下2
あずさ 安価下3
1
4
3
千早「それじゃあ、多数決で4ということでいいかしら」
響「まあ、他の選択肢もきになるけど……多数決なら仕方ないね」
真「4、選ぼうか」
あずさ「……そうねえ」
千早「それじゃあ――」
千早(私は、ゲーム画面の4を選択した)
アリス『このへやに はいりましょう』
『わかったわ』
千早(アリスたちは、私たちと同じ310号室に足を踏み入れた)
アリス『ここは だれもいないみたいね』
『そうね でもだれか いたみたいよ』
アリス『どういうこと?』
『ほら あそこ』
アリス『ベッドのうえに なにかおいているみたいね』
『あれ なにかしら』
アリス『これ にっきみたいよ』
『にっき?』
千早(日記……? 私たちはゲーム機だったのに、この世界では日記が置いてあったの?)
アリス『にっきってかいてあるもの』
『メアリーのにっき?』
『ねえ メアリーってだれのこと?』
アリス『さあ わからないわ』
『なか みてみましょうよ』
アリス『そうね』
千早(アリスたちが日記を開くと、画面に文字が映し出された)
《わたしはメアリー このびょういんでくらしてる》
千早(メアリーという少女の名前が出てきたとき、私の頭に引っかかりを覚えた)
千早(私たちがここに来る前の選択肢……あれも『メアリー』が出てきた)
千早(このメアリーという女の子は、この病院で入院していたのかしら)
《びょういんは すこしだけ さみしいの》
『だって だれもわたしとは あそんでくれないから』
千早(メアリーは、遊び相手を探していた?)
《だから わたしはにっきをつけることにしたの》
千早(日記を見ていると、四人のうちの誰かがぽつりとささやいた)
『ねえ すこしきみがわるくない?』
アリス『そうね こんなのよんでも なにもたのしくないわ』
千早(アリスはそう言うと、パラパラとページを適当にめくりだした)
千早(そして、最後のページに差し掛かるとアリスの手が止まる)
『どうかしたの?』
アリス『ねえ、これって』
千早(アリスが呼びかけると、他の三人もそのページに顔を寄せる)
千早(ゲーム画面には、文字が映し出される)
《wtshhzkknsrtt zkknkrsh nnkmksrwnnd nnkmksrwht dndnwtshhwtshjnknr wtshhwtshgwkrnkntt dkrngrktnsht dmsrmdknktt》
千早(意味不明な文字の羅列の後に、一文が添えられていた)
《わたしはだれ?》
アリス『きみがわるいわね』
『なんなのかしら』
アリス『あら もういちぶん なにか かいてあるわね』
千早(アリスが顔を近づけると、そこには小さな文字でこう書かれていた)
《かぎはべっどのしたに》
アリス『ベッドのしたを みてみましょう』
『ええ』
千早(アリスたちがベッドの下を漁ると……そこには、一つの鍵が落ちていた)
アリス『これ にっきのとおりね』
『でも なんのかぎかしら?』
千早(私はここで一旦、ゲームから顔を離した)
千早「……ねえ、みんな」
あずさ「……ええ。もしかすると」
千早(あずささんがベッドの下を漁る。私たちはそれを真剣な目で見つめていた)
千早「……どうですか?」
あずさ「……これ」
響「うわァ! 本当に鍵があったぞ!」
真「やっぱりこのゲーム、ボクたちの現状に沿ってるみたいだね」
千早「ええ……」
千早(私は顔を曇らせた)
千早(やはり、私の仮説は正しかった)
千早(もう少し、ゲームを進めてみる必要があるみたいね)
アリス『どうしようかしら』
千早(ゲームの中でもアリスは戸惑っていた)
千早(だが、それにつられて一人が言葉を漏らした)
『これ たぶんロッカーのかぎよ』
アリス『ロッカー?』
『ええ そなえつけのロッカーが このへやにもあるでしょ?』
アリス『そうね たしかあったわ』
『たぶん そのかぎよ』
千早(これは……)
響「これ、ロッカーの鍵なのか? ……でも、確かにあそこにもロッカーおいてるぞ……」
千早(私たちが目をやると、確かにそこにはロッカーが置かれていた)
真「でも、ほんとかなあ」
あずさ「もう少し、先を見てみないと分からないわね」
千早「そうですね……」
千早(どうやらアリスは自由に動かすことが出来るみたいだった)
千早(私はアリスを動かし、この部屋のロッカーに近づいた)
アリス『あいたわ』
千早(ロッカーのカギを使うと、『ロッカーが開いた』という文字が映し出された)
千早「さて、このあとね……」
千早(アリスはロッカーを開くと、中を覗いた)
千早(そして、不可解な言葉を吐いた)
アリス『まあ たいへん ロッカーに どうぶつのしたいが はいっているわ』
千早(私たちは顔を強張らせた)
千早(特に響は眉にしわを寄せ、怪訝な表情を見せていた)
『あら ほんとうね』
アリス『なんでこんなところに どうぶつのしたいが?』
千早(アリスは三人の顔を見る)
『ねえ このしたいのなか なにかひかってない?』
アリス『ほんとうね』
千早(アリスたちが開いたロッカーの先、そこにはドット絵で四肢のある何かの動物の死体が描かれていた)
千早(そして、その内部に何かが光っていた)
千早(まさか……)
アリス『とりだしてみましょう』
千早(私たちは絶句した)
千早(あろうことか、アリスはその動物の中に入っていた光るものを取り出したのだ)
アリス『これ なにかのかぎかしら?』
『そうみたいね』
アリス『でもメアリーは このかぎで なにをしたかったのかしら』
『わからないわね』
千早(そして……再び、アリスを自由に動かせるようになったとき――私たちは誰も動くことが出来なかった)
真「ね、ねえ……」
千早(真が声を出した時、私ははっと顔を上げた)
千早「ま、真……」
真「う、嘘だよね?」
あずさ「…………」
千早(誰も口を開くことは出来なかった)
千早(特に、響は……)
響「そ、そんな……」
千早(私たちは――あのロッカーを開けなければいけないのだろうか?)
千早(私は硬直した体をほぐすため、一度息を吐いた)
千早「……どうする?」
「……」
千早(誰も応えなかった)
千早(それもそのはずだ。だって……あのロッカーには――動物の死体が入っているのだから)
千早(私はゆっくりと目を閉じた)
千早(……私は少し甘く見ていたようだ)
千早(このゲームがあれば、私たちは脱出できるはずだ――そう考えていたのだ)
千早「……」
千早(だが、このゲームの内容は思っていた以上に残酷なものだった)
千早(私たちは、このゲームのアリスたちと同様に……ロッカーの中の死体から鍵を取り出さなければならない)
千早(……だけど、やっぱりそんなこと……)
安価下3
1ロッカーを開く
2ロッカーを開かない
ainmmn mgmmn bkhkmdkwkztkni
tiyugkortitm bktkmdky kenid
嫌だけど1しかないかも
1
千早(やはり……開くしかないだろう)
千早「みんな……」
真「ち、千早?」
千早(真が不安そうな顔を私に向けた)
千早「……やっぱり開けるしかないと思うの」
千早(私がそう言うと、三人とも下を向いた)
千早「……私が、取り出すわ」
響「……」ビクッ
あずさ「……ち、千早ちゃん」
千早「大丈夫です……」
千早(私は強がりを言った)
千早(本当は何も大丈夫ではなかった)
千早(動物の死体から物を取り出すと言う行為を出来るはずがない――だが、これは先に進むためにしなければならないこと)
千早「……」テクテク
千早(私はロッカーのそばまで足を運ぶ)
千早(……少し、息も荒くなっているようだ)
千早「……」カチャ
千早(私が、ロッカーに手をかけたそのときだった)
響「……千早」
千早(部屋でじっとしていた我那覇さんが私の名前を呼んだのだ)
千早「……我那覇さん?」
響「その役、自分がやるぞ」
千早(おずおずとロッカーのそばまで近寄ると、我那覇さんは私に手のひらを差し出した)
響「……動物のことなら、自分が一番分かってるさ」
千早(我那覇さんは私が持っていた鍵を、今度は自分から奪い取った)
響「だから……、自分がやるよ」
千早(私は、思いつめたような表情の我那覇さんに思わず後ずさってしまった)
千早(……そんな、なんで我那覇さんが)
響「……開けるよ」カチャリ
千早(我那覇さんは、鍵を差し込むと――ロッカーを開いた)
千早(その瞬間、ぶわっと羽虫がロッカーから飛び出してきた)
響「……うわっ!」
千早「……あれ、なに?」
千早(私は、死体のことを思い出す。そうだ、死体には虫がわく)
千早(ゲームではその描写がカットされていたために、実感がわかなかったのだ)
響「……くそっ」
千早(だけど、我那覇さんは虫を手で払いながら、ロッカーの中を覗きこんだ)
響「……」
千早(そして、じっと――その光景を真剣なまなざしで眺めた後、我那覇さんは腰を屈めた)
響「……こんなとこに入れられて、辛かったな」
真「……響」
千早(そのときの我那覇さんは、ずっと穏やかな表情をしていたと思う)
千早(ロッカーの中は私たちからは見えなかったが、あれは……きっと死体を撫でていたのだろう)
響「……ちょっとだけ、体に触らせてもらうぞ」
千早(そのあと――部屋にはグチャグチャという不快音が鳴り響いた)
千早(私はその音に目を背け、そしてぐっと拳を作った)
千早(しばらくたって、我那覇さんはすっと立ち上がった)
響「……これ、鍵……」
千早(……我那覇さんの声に目を向けたとき、我那覇さんは下を向いたまま、鍵を私たちに見せてきていた)
千早(右手を真っ赤に染めて……)
あずさ「響ちゃん……ごめんなさい……私……」
響「大丈夫さー。自分、こういうの慣れっこだし」
千早(乾いた笑いを見せる我那覇さんに、あずささんはハンカチを差し出し、手を拭いていた)
千早(私は……そんな光景に、思わず目を閉じてしまった)
千早(何が正解よ! 何が正しい選択よ! こんなの……何もかも間違ってるじゃない!)
千早(私は激しく、私自身に激昂した)
千早(我那覇さんが鍵を代わりに取り出してくれて、それなのに……私は……私は……)
真「……千早」
千早「……真?」
千早(そのとき、私の隣に立っていた真が激しく怒りに満ち溢れた顔を見せていた)
真「……ボクは時々すごく怒ることがあるんだ」
千早(それは……静かな怒りだった)
千早(こんな真を見るのは……もしかすると、初めてかもしれない)
千早(でも……怒りがこみあげているのは私だけではなかったのだ)
千早(そう、みんなこの状況を作り上げた張本人に確かな怒りを向けていた)
千早(誰が……なんのために……こんなことを)
千早(私は、それを知らなければならない)
千早(ぐっと拳を握りしめながら、私はそう心に誓った)
千早(そのとき――再び、不快な耳鳴りが響いた)
千早「……?」
千早(何の音……かしら?)
千早(私は辺りを見回したけれど、何もなかった)
千早(……不思議ね)
千早(……我那覇さんが、少し落ち着きを取り戻してきたとき、私たちは状況の整理を行うことをしていた)
千早(ひとまず、私たちは我那覇さんが取り出した鍵を見ていた)
千早「……これ、何の鍵かしら?」
千早(私は、まだ赤く鈍い色を放っている鍵をぐるりと回した)
あずさ「……そうね、部屋の鍵かもしれないわ」
千早「部屋の鍵……ですか?」
あずさ「ええ……。ここ……、薄れて見えにくくなってるけど、番号みたいな書き込みがないかしら?」
千早「……たしかに」
千早(私はじっと鍵の持ち手を見つめた。そこには――薄くではあったが、305という数字が書かれていた)
千早「……そう言えば、305号室はまだ見ていませんでしたね」
響「……そうだね」
千早(この305号室には何かがあるのだろうか? 私は頭を巡らせる)
千早(よく考えてみないと)
真「とりあえず、ゲームを進めてみない?」
千早(そのとき、真がそんなことを言った)
真「一応、次に行く場所の手がかりは見つかったんだし」
千早「……それもそうね」
千早(そう言えば、アリスたちは鍵を手に入れてから自由に行動が出来たはず)
千早(私はゲーム画面に戻ると、アリスたちを動かすことにした)
千早(さて……どうしましょうか)
安価下3
1 305号室に行く
2 310号室を物色する
1
やっぱ305号室でしょ
とりあえず2
1
『さっきのひとも もういないわ』
千早(310号室から覗きながら、誰かがそう口にした)
アリス『ここが305ごうしつね』
千早(私は、アリスを動かし305号室の扉の前に来ていた)
『はいるの?』
アリス『もちろんよ』
『でも なんだか いやなおとがしない?』
千早(誰かが耳を扉に当てながら、そんなことを呟いた)
アリス『なんのこと?』
『ほら なにかが ゆれてるようなおと』
千早(私は……そのとき、冷や汗を一つ垂らした)
千早(まさか……まだ……)
千早(私は、ゲームボーイを強く握りしめた)
アリス『だいじょうぶよ きっと』
千早(アリスがはそう言うと、鍵を差し込んだ。『かぎがひらきました』というメッセージが出てきた)
アリス『あいたわ』
『はいりましょう』
千早(そして、アリスたちが扉をくぐると――305号室の画面に切り替わった)
『なによこれ』
千早(真っ先に、誰かがそんな言葉を吐いた)
千早(それに遅れて、アリスが言葉を漏らす)
アリス『なんでこのひと ちゅうにういているの?』
千早(私の頭が、どこかへ引き寄せられていくような錯覚を覚えた)
響「……これ」
真「……」
あずさ「……ええ」
千早(三人とも血の気が引いたような顔を見せていた)
千早(きっと……私も)
アリス『どうやら ひもでつるされているみたいね』
千早(アリスの言葉と共に、誰かが部屋の中央で首を吊っているドット絵が映し出された)
響「……う、嘘だよね?」
千早(真っ先に、我那覇さんが言葉を吐いた)
千早(正直、私もそう言い切りたいくらいだ)
千早(……なぜ、こんなことが……)
アリス『ねえ どうする?』
『どうするって?』
アリス『このへや なにもないもの』
『ういてるひとが いるじゃない』
アリス『それもそうね』
千早(淡々と会話が繰り広げられていく……。子供の会話じゃないみたい……いえ、でもここは)
アリス『それじゃあ このひとのからだを しらべてみましょう』
千早(……私は思わず目をそらした)
千早(アリスは、宙づりの人に近づき、立ち止まった――どうやら、体を調べているようだ)
アリス『ポケットに かぎがあったわ』
『あら ほんとうね』
千早(そのとき、選択肢が映し出された)
安価下3
1もう少し体を調べてみる
2部屋を調べる
3部屋を出る
1
1
2
アリス『へやもしらべてみようかしら』
『どうして?』
アリス『なにかじゅうようなてがかりが あるかもしれないでしょ?』
『それもそうね』
千早(すると、再びアリスを自由に動かせるようになった)
千早(……だけど)
「……」
千早(三人とも、すでに体から魂が抜け落ちているような状態だった)
千早(無理もない。動物の死体の次は――首つり遺体だというのだから)
千早(でも、だからと言ってここでやめることは出来ない……)
千早(そう、アリスたちの狂気が止むまでは)
千早「……どこを調べようかしら」
安価下3
1ベッドの下
2ロッカーの中
3部屋の四隅
3
1
2
千早(ロッカーを調べてみましょう)
アリス『ロッカーはあいていないみたいね』
『かぎが ひつようなのよ』
アリス『それもそうね』
千早(そう言えば、さっきもロッカーには鍵がかかっていたわ……。間違えてしまったわね)
千早(それじゃあ、他にはどこか調べられるかしら)
安価下3
1男の足元
2ベッドの上
3入り口近く
1
2
2
千早(ロッカーは開いていなかった。男のポケットから取り出した鍵も、どうやら違うものみたいね)
千早(それじゃあ、次はベッドの上を見てみようかしら)
アリス『ベッドのうえは なにかあるかしら?』
『どう?』
アリス『うーん なにもないみたいね』
『そう』
千早(どうやらこれも違ったみたい……それじゃあ他に何かあるかしら?)
千早(他に調べられる場所は……)
安価下3
1部屋の四隅
2男の足元
3ベッドの下
男なのか……
1
3
千早(それでは……ベッドの下はどうかしら?)
アリス『ベッドのしたは なにかあるかしら?』
『どう?』
アリス『これ なにかしら』
千早(そのとき、アリスは何かを見つけたようだった)
千早(文字の表示に何かが映し出される)
千早「『かみきれ を てにいれた』?」
千早(これは、何かしら?)
アリス『これ よんでみましょう』
『そうね』
千早(アリスたちの会話の後、すぐに紙切れの内容が映し出された)
《メアリー すまなかった》
千早(これは……この首を吊った男の書いた言葉なのかしら?)
アリス『さあ このしせつのこなんだろうけど』
『なんだかわたし メアリーのこと きになってきたわ』
アリス『なんで?』
『だって さっきから メアリーってこのことばっかりだもの』
アリス『それもそうね』
『あなたもきにならない?』
アリス『どうかしら』
『だっしゅつもだいじだけど メアリーってこについてもしらべてみましょうよ』
アリス『わたしはいやよ はやくここからぬけだしたいわ』
『もしかすると メアリーがだっしゅつのこと なにかしってるかもしれないわ』
アリス『・・・・・・』
『どうかしら』
アリス『そこまでいうなら わかったわ』
千早(アリスが頷くと、再び自由に行動できるようになった。だが、部屋を調べることはもう出来なかった)
千早(つまり……ここからはゲームではまた手さぐりで探さないとダメってことなのね)
千早(なんて、欠陥品なのかしら。さっきの鍵についても……ゲームでは分からなかったじゃない)
千早(……古いゲームはこういう造りが普通なのかしら? あまりゲームをしないから、分からないわね)
千早(ゲームに関しては、ここまで――となると)
千早「どうしますか?」
千早(私がそう尋ねた時、三人は顔を曇らせた)
響「正直、さっきよりも……やばそうだよね」
千早「……ええ」
千早(我那覇さんの言葉は、ここにいる誰よりも重く圧し掛かってきた)
あずさ「……私が、行くわ」
千早「あずささん……」
千早(そのとき、さっきまで黙っていたあずささんがすっと手を上げた)
あずさ「……響ちゃんが頑張ってくれたんだもの。次は……私が頑張らないと」
響「あずさ……」
千早(あずささんは神妙な面持ちで、そう言葉にした――だけど、あずささん一人を行かせていいのだろうか?)
千早(私は……)
安価下3
1行く
2行かない
1
1
1
千早「あずささん、私も行きます」
あずさ「千早ちゃん……」
千早(あずささんはこちらを眺めると、少しだけ唇をかんだ)
あずさ「……ごめんなさい」
千早(そして、小さく頭を下げた)
千早(きっと……不安だったのだろう。私はそう感じた)
響「自分たちも……」
真「ボクたちも行った方がいいよね……?」
千早(我那覇さんと真は、目をそらしながらそう口にした。そうだ、こんなこと誰もやりたくはない)
千早(きっと、怖いのを無理して言っているのだろう。……それは、私も同じだけど)
千早「……ええ、そうね」
千早(果たして、二人も連れてきていいのかしら?)
安価下3
1連れていく
2連れて行かない
1
1
1
千早「……みんなで行きましょう」
あずさ「……みんな、ありがとう」
千早(疲れも出ていたのか、あずささんは頭に手を当ててくらっとよろけた)
千早(真はそれを受け止めると、あずささんの肩をぎゅっとつかんだ)
真「みんな一緒なら、きっと怖くないですよ……」
あずさ「真ちゃん……」
響「真の言う通りだぞ」
千早「ええ、そうね」
千早(こうして、私たちは310号室を出て、305号室へ向かうことにした)
千早「……」
千早(実際に部屋の前に立つと、どこか異様な雰囲気が漂っているように思えた)
真「……響、なにやってるんだ?」
響「うん、ゲームみたいに何か聞こえないかなって思ったんだけど……」
千早(どうやらここはゲームとは違い、何も聞こえないようだった。もしかすると、扉が防音になっているのかもしれない)
千早「それじゃあ……行きましょうか」
千早(全員が頷く)
千早(私は、部屋の扉に鍵をおしこめると――そのまま鍵穴を回した)
千早「……開いたわ」
千早(部屋は簡単に開いた)
千早(問題は……ここからだ)
「……」
千早(全員が固唾をのんで、私がドアノブを捻るのを見守っていた)
千早(……覚悟を決めるしかなさそうだ)
千早「……開けるわよ」
千早(そして私は――扉を開いた)
千早「……」
千早(部屋の様相が見えた時、全員が――すぐに目をそらした)
真「……やっぱり、あったね」
千早(私は、逸らした目を戻せなかった)
千早(そうだ――部屋の真ん中には、誰かが宙に浮いていた)
千早「……入り、ますか」
千早(私は、いやに途切れ途切れに言葉を吐いた)
千早(もう、まともに考えることも出来そうにない)
あずさ「……入ってからはどうするの?」
千早(そのとき、あずささんがそんなことを言った)
千早(たしかに、この部屋には謎が多い。ゲーム中でもそれを回収しきることは恐らく出来なかった)
千早(だけど……私たちは今、この部屋で何をすべきなのか?)
千早(どうしよう……)
安価下3
1男を調べる
2部屋を調べる
1
kskst
1
首吊りなら糞尿まき散らしてるだろうな
千早「……まずは、やはりゲームに沿ってあの男を調べた方が……」
千早(私がそう言うと、誰もが目を背けた――、一人を除いて)
あずさ「……わかったわ」
千早「あずさ……さん?」
あずさ「……」テクテク
千早(……あずささんは物怖じしない、といった表情で部屋に足を踏み入れた)
千早(私たちは、その様子を扉の外から眺めていた)
あずさ「……ふう」
千早(どうやら、あずささんは目を瞑って男のそばまで近寄ったようだった――そして、ゆっくりと目を開いた)
あずさ「……」
千早(あずささんは、その場から三秒ほど動かなかった)
千早(私がその様子を不審げに眺めていた――そのときだった)
あずさ「……みんな、こっち来てもらえないかしら」
千早(徐に、あずささんは振り返り、そう言った)
千早「……どうかしたんですか?」
千早(私はおそるおそる、言葉にした)
あずさ「……ええ。この男の人……少し、変なのよ」
千早「……?」
千早(もはやあずささんは男の顔をまじまじと見つめていた)
あずさ「顔がないの……」
千早(私は――その言葉に戦慄した)
響「の、のっぺらぼう……ってことか?」
千早(隣にいた響が口を震わせながら、そう口にしたとき――あずささんは小さく首を振っていた)
あずさ「……これ、たぶん人形よ」
千早「……え?」
あずさ「ほら、これ人間みたいに作っているけど――ただの人形なの」
千早(私たちは、あずささんの言葉を不思議に思いながら、ゆっくりとその男に近づいた)
千早「……たしかに、顔がないですね」
千早(男には顔と言うものが付いていなかった。しかしそれは……単に妖怪だとか、そういうことではなく――ただ単純に、男にはもともと顔が備わっていなかったのだ)
千早(……それは精巧に作られた人形だった。あのゲームの後にこれを見せられれば……誰しもそれを疑ってしまうだろう)
真「……くそっ。こんなことしやがって!」
千早(真は怒りに打ち震えていた)
千早(しかし……さっきは本物があったのに。今度は偽物……やはり、人間の死体を手に入れることは出来なかったということなのかしら?)
あずさ「……千早ちゃん。ポケット、よね」
千早「あっ……、そうですね」
千早(今の状況に呆気にとられていた私だったが、あずささんはすでに冷静さを取り戻していた)
千早(男のポケットを漁ると、あずささんは鍵を取り出した)
あずさ「……これね」
千早(あずささんが取り出した鍵は、さきほどのものとは形状が異なっていた。ロッカーのカギでもなさそうだ。これは……何の鍵だろうか?)
千早「これは……何の鍵でしょうか?」
あずさ「……そうね」
千早(私たちは暫く考えてみたが、答えを導くことは出来なかった)
千早(そろそろ何か行動しないと)
千早(何をしようかしら)
安価下
1男を調べる
2部屋を調べる
2
千早(部屋を調べてみようかしら)
千早(でも、どこを調べれば……)
安価下3
1ベッドの下
2入り口付近
3部屋の四隅
1
1
1
千早(やはり……気になるのは、ゲームと同様に……あの紙切れがあるのかどうか、ということかしら)
千早「真、そこのベッドの下を見てくれない?」
真「……ああ、そう言うことか。分かったよ」
千早(真がベッドの下に屈んで覗き込む、すぐに真は声を上げた)
真「……何か落ちてるっぽいね」
千早(真は手を伸ばして、それを手に取った後、私たちに見せてきた)
真「……内容は、同じ」
千早「……そう」
千早(そこには、やはり《メアリー すまなかった》という言葉が書かれていた)
千早(それにしても、この言葉どういう意味なんだろう?)
千早(この男の部屋にあったと言うことは、男が何か関係していると言うことなのかしら?)
千早(さて、どうしようかしら……)
安価下3
1部屋調べを継続
2紙切れについて考える
3ここまでの状況を整理する
1
2
2
千早(紙切れについて……一度考えてみましょうか)
千早(紙切れはまず、ベッドの下に置いていた)
千早(ゲームのストーリ上、恐らくこれは男の書いたものになるのだろう)
千早(だとすれば、この内容が引っかかる)
千早(男は――なんで、メアリーのことを知っていたの?)
千早(メアリーも男も隔離された病棟に入れられていたはず)
千早(それなのに、男はメアリーのことを知っていた)
千早(それはなぜ?)
千早(……それに、男の書いたこの紙切れの内容)
千早(男は、メアリーに何か謝りたいことがあったのかしら?)
千早(だとすれば、これが男の病室にある以上、その謝罪はメアリーには届かなかったことになるわね)
千早(この男とメアリー、二人には何かの関係がある――これは間違いないわ)
千早(こんなところかしら)
千早(さて……それじゃあ次はどこを調べようかしら)
安価下3
1入り口付近
2部屋の四隅
3男の足元
kskst
2
3
千早(男に関してもう少し知りたいわね)
千早(そういえば、男の足元には何かあったような気がしたけど……?)
千早「……」テクテク
千早(私は、ぶら下がっている男の足元にひざまずいた)
千早「……なにかあるかしら?」
千早(……何もないわね)
千早(そこには、何もなかったようだった)
千早(さて、どうしようかしら)
安価下3
1入り口付近を調べる
2部屋の四隅を調べる
3ベッドの上を調べる
2
2
2
千早(部屋の四隅を調べてみようかしら)
千早「あずささん、その部屋の隅は何かありませんか?」
あずさ「部屋の隅? ちょっと待ってね」
千早(あずささんは屈みながら、目を凝らしていた――そして少しだけ声を上げた)
あずさ「……何か書いてあるわね」
千早「本当ですか?」
千早(私はあずささんのいる方へ近づき、あずささんの指さした場所を眺めた)
千早「……たしかに、なにか書いていますね」
千早「でも……これって」
千早(私はそこに書いてある文字をもう一度よく見た)
千早(そこにはこう書かれていた)
《メアリー わがいとしのむすめよ》
千早(これは一体……)
響「……まだ部屋の探索つづけるのか?」
千早「そうね」
千早(我那覇さんそう言ってから、私は顎に手を置いた)
千早(まだ見落としていたことがあったかもしれないけれど……とりあえず、現状探せるところは探してみたわ)
千早(もう少し考える余地のある謎もあるし)
千早(ゲームの方も進めていかないとダメね。何か手がかりがつかめるかもしれないわ)
千早「……一旦、外へ出ましょうか」
千早(私たちは、そうして外へ出ることにした――)
千早(まだ分からないこと、分かっていないことはたくさんある)
千早(だけど、この謎に関して――共通項があるとすれば)
千早(それはやはり、メアリーという女の子についてだろう)
千早(メアリーという少女は一体何者なのだろうか?)
千早(現状、分からないことがたくさんある中で、その謎は一層光っていた)
千早(私は……もう少し頭を働かせないとダメみたいね)
千早(私はそう言って、溜息をついた)
――――
――
P(俺たちはとある病院の中に閉じ込められていた)
P(そこは薄暗く、とても息苦しい場所だった)
P(少ない手がかりを頼りに、俺たちは探索を続けた)
P(そして真美が言った言葉――ここはHOSPITALという古いホラーゲームを踏襲した造りになっていたのだ)
P(半信半疑のまま、真美の話を聞くにつれて、その実態が少しずつ明らかになった)
P(しかし、真美はゲームについての記憶は断片的だった)
P(闇に照らした少しの光を頼りに、俺たちはこの状況を打破しなければならなかった――)
P「さて……」
P(真美からの話は、かなり大きな意味を持っていた)
P(それを信じる信じないは別にして、客観的に見てもそれは今の状況に大きくあてはまっていたようだった)
P(情報を手にしたと言うことは、かなり有利になったと言っても過言ではない)
P(何もない状況から一変して、その輪郭が少しずつ見え隠れしていたのだから)
P(だが、情報が手に入ったはいいものの、これからどうするかも考える必要がある……)
P(俺は、次に何をするべきか?)
安価下3
1行動する
2考える
闇雲に動くのは危ないし2
2
2
P(そうだな、一度じっくりと考えてみよう)
P(状況整理は……すでに何度も行っている)
P(この病院の中で、俺たちは何をしなければならないだろうか)
P(俺だけで考えても、埒が明かないな……。よし、一旦二人に話を聞いてみよう)
P(どっちに話を聞こうか)
安価下3
1伊織
2真美
1
1いおりん
1
P(さっきは真美に話を聞いたし、次は伊織に話を聞いてみるか……)
P「なあ、伊織」
伊織「……どうかしたの?」チラッ
P「さっきの真美の話を聞いて、伊織はどう思った?」
伊織「……そうね」
P(伊織は俯きながら、何かを考えていた)
伊織「ねえ、ゲームの続きってどうなっているのかしら?」
P「続き?」
伊織「ええ……。もしも、真美の言う通りこれがゲームを模倣して作られているなら……その先の展開も、真美は知っているはずでしょ?」
P(確かに……伊織の言う通りだ)
P(俺は別のことを深く考えすぎていたようだ――つまり、真美は一度ゲームをやっているのだから、先の展開についても何か知っているはずだ、と伊織は言ったのだ)
P「ありがとう、伊織」
伊織「……何か役に立てたなら、良かったわ」
P(伊織は小さく笑った)
P(さて、真美に話の続きを聞いてみるか)
P「なあ、真美」
真美「なに?」
P「この話の続きって、どうなるか覚えてるか?」
真美「続き?」
P「あー、つまり……ゲームの中では二人はメアリーと合流してからどうしたんだ?」
真美「……うーん、どうだったかなあ」
P(真美は腕を組んで頭を傾けた)
P「何でもいいから、覚えていることを教えてくれ」
真美「……たしか、鍵を取りに行くはずだよ」
P「鍵を?」
真美「うん。ここから逃げ出すには、……ほらこの病院の鍵が必要だって……そんな感じ」
P(そうか、鍵が必要になってくるのか)
P「鍵はどうやって手に入れるんだ?」
真美「うーん……確か」
P(真美はもう一度頭を傾けた)
真美「一階に……降りたと思う」
P(俺は……真美の言葉に目を細めた)
P(一階――その言葉に俺はあの時の叫び声を思い出した)
P(一階に誰かがいるのは間違いないだろう……だが、俺たちは一階に行かなければならないのか?)
P「一階で、三人は鍵を手に入れるのか?」
真美「……三人?」
P「ん?」
P(真美はきょとんとした顔を見せた)
P「どうかしたのか?」
真美「……三人じゃなかったと思う」
P「どういうことだ?」
P(俺は思わず聞き返した)
P(パーティは全員で三人のはずだが……?)
真美「一階に行くときに……行けない子がいたんだよ」
P「……?」
P(俺は怪訝そうな表情をしていたと思う)
P(どういうことなのだろうか?)
真美「男の子と女の子のどっちか一人が、一階には行けないって言ってたんだよ」
P「……」
真美「それで……どっちかが、メアリーと一緒に一階に行くんだったと思う……」
P(俺は眉をひそめた)
P(……これがゲームの作りと一緒だと言うならば、俺たちはこれから別行動をしなければならないということになるのだろうか?)
P(……だが、それはどうなるんだ? くそっ、分からないことが多いな)
P「ありがとう、真美」
真美「うん」
P(俺は真美から離れると、一度自分で情報を整理してみた)
P(恐らく、俺たちはこれから鍵を手に入れなければならない)
P(そのためには――、一階に降りる必要があった)
P(だが、一階には不可解な叫び声が響いている)
P(あの声の主は……一体誰なんだ?)
P(そして、もう一つ)
P(一階には、最高でも二人しか行けないと真美は言った)
P(……つまり、別行動を挟まなければならないということになるのだろう)
P(男の子と女の子、どっちがメアリーと一緒に行ったのだろうか?)
P(どうしたものか)
P「……さて」
安価下3
1一階への道を真美に聞く
2伊織にそのことを話す
3考えをまとめる
2
2
2
P(伊織にこのことを話してみよう)
P「伊織」
伊織「……?」
P(俺は真美から聞いたことを伊織に話した)
伊織「……続きはそうなっているのね」
P(伊織は顎に手を乗せた)
P(何かを考えているようだ)
伊織「……あっ」
P(そのとき、伊織が何かを思い出したかのような声を出した)
P「なんだ?」
伊織「……ううん、なんでも……ないわ」
P(伊織の様子がおかしいな、何か思い出したのか?)
安価下3
1問い詰める
2問い詰めない
1
1
1
P「何でもいいんだ、俺に教えてくれないか」
伊織「…………そうね」
P(伊織は一度こちらに目配せして、そのあと左の道を指さした)
伊織「……はじめ、私一人でうろうろしてたんだけど」
P「ああ……」
P(そう言えば、伊織は俺と出会う前からこの廊下にいたんだったな)
P(しかし、左端に何かあるんだろうか?)
伊織「……そのとき、壁に跡があるのをみたの」
P「跡?」
P(俺は聞き返した)
伊織「……なんだったかは、分からないんだけど」
P(伊織はそう言って俯いた)
P(だが、これはもしかして有力な情報ではないだろうか)
P(壁に跡……気になるな)
P(俺は……)
安価下3
1見に行く
2見に行かない
1
1
1
さよならP
P(見に行くか……)
P(俺たちは、伊織の言うその壁の後を見にいくことにした)
P(……左端についたとき、俺は声を漏らした)
P「そうか、こっち側にもシャッターが下りていたんだな」
P(左端には、右端と同様に階段があり、そこにはシャッターが下りていた)
P(俺はまじまじとその様子を見つめていた)
伊織「……これよ」
P(そのとき、伊織の小さな声がした)
P「……確かに壁に何かの跡があるな」
P(それは階段の横の壁であった)
P(壁面には、修繕後のような痕跡が残されていた)
真美「……これ、たぶん開くんじゃない?」
P「ん?」
P(そんな様子を見ていた真美が声を上げた)
真美「ほら、ここ。たぶん……こうすれば」
P(真美はそう言うと、修繕後に手をかけ――そして板のようなものを外した)
P「……随分、雑な修繕だな」
真美「そうだね」
P(……俺は少し疑り深い目を向けた)
P(明らかに……これは、わざと取れるように作っていたに違いない)
P(それは――ゲームの展開と同じにするためなのか?)
P(俺は顎に手を置いて、まじまじとその壁の抜け穴を見つめていた)
伊織「……ねえ、この抜け穴」
P「ああ」
P(抜け穴を見つめていた伊織が困ったように俺の方を見つめてきた)
P(そう――抜け穴は、明らかに俺が通れない大きさだったのだ)
P「……そうきたか」
P(俺は思わず声を漏らした)
P(さっき真美が言っていた一言――、一階には二人しか行けない)
P(これは恐らく……)
真美「真美たちなら通れそうだね」
P(真美が呟くようにそう言ったとき、俺は顔を顰めた)
P(そうだ、この抜け穴は俺が通るには小さすぎる――だが、真美と伊織なら通ることが出来るはずなのだ)
P「……だが」
P(一階には何度も言うように誰かがいる――そして、そこにこいつらを行かせてもいいのか?)
P(どうすれば……)
安価下3
1行かせる
2行かせない
ああ怖い…
1
1
P(だが……これを進めなければ、先には進めないのは事実だ)
P(俺は……二人に向き合った)
P「……二人とも」
真美「……」
伊織「……」ギュッ
P(二人とも怯えきった表情を見せていた)
P(無理もない、今から彼女たちは――二人だけで闇の中に踏み出そうとしているのだから)
P(俺は本当に……二人を行かせてもいいのか?)
真美「真美、行くよ」
P(そのとき、真美がぽつりとつぶやいた)
P「……真美?」
真美「……だって、そうしないと亜美も他の皆も助けられないんでしょ?」
P(真美の一言は、俺たちに強く響いた)
P(そうだ、こうしている間にも律子たちは――)
伊織「……私も」
P「……伊織?」
P(伊織は体を震わせながら、俺の袖から手を離した)
伊織「……やよいを助けないと」
P(そこには……きっと、かけがえのない友情があった)
P(俺は……)
P「二人とも……すまない」
P(二人に頭を下げた)
P(こんなにも恐ろしい場所に二人を行かせなければならない不甲斐ない自分を俺は責めたてた)
P(だが、そんな俺に二人は優しく微笑んだ)
真美「……真美たち、きっと戻ってくるから」
伊織「……ちゃんと、待ってなさいよね」
P(二人はそう言うと、顔を見合わせ――そして、抜け穴に潜り込んだ)
P(俺は……二人に何もないことを祈ることしかできなかった)
P(……二人とも、どうか無事でいてくれ)
P(俺は何度もそう祈った――)
――――
――
伊織(私は、真美と一緒に穴をくぐった)
伊織(そこは、さっきの廊下よりも薄暗かった)
伊織(まだ……手の震えは収まらないみたい)
伊織(私は、ぎゅっと自分の手を握りしめた)
真美「いおりん、階段があるね」
伊織(隣にいた真美がそう呟いた)
伊織「ええ……そうね」
伊織(目下には階段があった)
伊織(やはりあの抜け穴からこの一階に続いていたようだった)
真美「……降りる?」
伊織(真美は少し唇を震わせて、そう尋ねてきた)
伊織(私は、小さく首を縦に振った)
伊織(ゆっくりと、階段を降りると……そこには待合室と受付があった)
真美「……あれ、出口かな?」
伊織「……?」
伊織(真美の指さした方向に目を向けると、そこには両開きの扉があった)
伊織(少し気になるわね……)
伊織(どうしようかしら)
安価下3
1見に行く
2見に行かない
1
1
1
伊織「見に行きましょ……」
伊織(真美は頷くと、私の後ろをついてきた)
伊織(私たちが歩くたびに、パキリパキリと床が響いた)
伊織(これは……床が老朽化しているのかしら?)
真美「……鍵がかかってるね」
伊織「ええ……」
伊織(扉には厳重に施錠がされていた)
伊織(ここを開けるにも、鍵が必要なのね)
伊織(私は肩を落とした――そのときだった)
「ウオアアアアアアアアアアアアアアア――ッ!」
伊織「……」ビクッ
真美「……ひっ!」
伊織(また、あの声が響いたのだ)
伊織(さっき聞いたよりも、ずっと近い)
伊織(やっぱり……声の主は、一階にいるようね)
真美「い、いおりん……」
伊織(……真美は私の服を握った)
伊織(私も、小さく体を震わせた)
伊織(アイツがいないだけで――こんなにも恐怖が増してくるなんて)
伊織(私は目に浮かんだ涙を袖で拭いた)
伊織「……鍵はどこにあるのかしら」
伊織(極力、階段から離れないようにしながら、私は待合室と受付を探すことにしてみた)
伊織(どこを調べたら……)
安価下3
1受付近く
2待合室のソファ
3階段付近
下手に走ると床抜けそう
音でばれそうだし慎重に動きたいな
2
1
伊織(受付を探してみましょうか)
伊織(私たちは受付の方へ向かう。そこには机が置かれていた)
伊織(……何かあるかしら?)
伊織(――それにしても気になることがあるわ)
伊織(私は机を漁る前に少し違和感を感じた)
伊織(この違和感は何かしら?)
安価下3
1考える
2机を調べる
1
1
2
伊織(今は、机を調べることに専念しましょうか)
伊織(私と真美は、なるべく音をたてないようにして机を漁った)
真美「……いおりん、これ」
伊織(そこには……紙切れが何枚か置かれていた)
伊織(何枚かは掠れて見えないけど……これは何かしら)
伊織(私は土埃の被った紙切れを払い除けると、それが何なのかはっきりとわかった)
伊織「……誰かのことが書かれているわ」
伊織(私がじっと紙に目を落とすと――そこには『アリス』という女の子の名前が書かれていた)
伊織(アリス? 何か引っかかるわね)
真美「……これ、ゲームのタイトルに出てたよね?」
伊織(隣から真美がそう呟いて、私はすぐに思い出した)
伊織(そうだ、そう言えば亜美がやっていた方のHOSPITALのタイトルは――ALICEだったはず)
伊織(そのとき、真美は何かを思い出したかのように、はっと顔を上げた)
真美「ねえ、いおりん……ちょっと思い出したことがあるんだけど……」
伊織「……どうかしたの?」
伊織(私が真美から話を聞こうとした時だった)
「ウガアアアアアアアアアアアアアア!」
伊織「……」ビクッ
伊織(さっきよりも、近く声が響いていたのだ)
真美「……ごめん、やっぱりなんでもないや」
伊織(真美はそう言うと机の捜索を続けはじめた)
伊織(真美のことも気になるけど……声もだんだんこっちに来ているような気もするし……あまり悠長にしている暇はなさそうね……)
伊織(私は心臓を抑えながら、ぐっと目を閉じる)
伊織(どうしようかしら……)
安価下3
1部屋の捜索を続ける
2真美から話を聞く
2
2
脱出したいけど1
伊織(今は、脱出に専念しましょう)
伊織(私たちはそのまま受付の机を捜索することにした)
伊織(そして――机の引き出しから何かの鍵を見つけだした)
真美「……いおりん、これ」
伊織「ええ……」
伊織(私たちはこれが何の鍵なのか考えることにした)
伊織(そのとき、私は受付の奥に扉があることに気が付いた)
真美「いおりん……あそこ入るの?」
伊織「……」ギュッ
伊織(その空間がとても静かに思えた)
伊織(私たちは……あの扉に行くべきなのかしら?)
伊織(でも……どうしようかしら……)
安価下3
1扉の方へ行く
2扉の方へ行かない
2
2
2
伊織「……やめておきましょ」
伊織(私がそう言うと、真美も頷いた)
伊織(危険を冒す必要はない……私は自分にそう言い聞かせた)
伊織(それじゃあ……次はどこを調べようかしら……)
安価下3
1待合室のソファ
2階段付近
2
1
2
伊織「……階段の方へ行ってみましょう」
伊織(私がそう言うと、真美はこくりと頷いた)
伊織(……階段の近くに何かないかしら?)
伊織(私たちは降りてきた階段の方へ歩み寄り、床や壁面を調べていた)
伊織(――そのときだった)
伊織「……え?」グラッ
伊織(ちょうど階段の横の小さな空間に足を踏み入れた時だった)
伊織(私は――その瞬間、浮遊感に襲われた)
伊織「ち、ちょっと!」
伊織(私は力一杯に叫んだ)
伊織(だが――崩れゆく床は、待ってはくれなかった)
伊織(ゆっくりと落ちていく中で、私は真下に目をやった)
伊織(そこには大きな木の杭が上を向いていた)
伊織(――まるで、私の胸を突き刺すのを待っているかのように)
伊織(……私は何かを間違えてしまったのかもしれない)
伊織(選択肢は本当に正しかったの?)
伊織(もっと考えるべきことがあったんじゃないの?)
伊織(ゆっくりと落下する中で、私は真美と目が合った)
伊織(真美、ごめんなさい……みんなをよろしくね)
伊織(私は、そこで意識を失った)
【BAD END】
スレももう落ちそうなので、先にとってしまいますね、
【Continue】
安価下5の多数決
(次スレの頭は、コンティニューから書きはじめます)
1 >>822から
2 (強制的にソファに向かう)から
3 >>835から
4 >>846から
5 >>856から
安価はよ
4
2
4
ああ戻ってきた
次はいつ落ちるのか知りたいな
1
4
2
伊織「薄暗い病院の中で、私は彷徨っていた」
元スレ
千早「気が付けば私は、病棟の一室で眠っていた」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1442148186/
千早「気が付けば私は、病棟の一室で眠っていた」
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