二宮飛鳥「大人と子供の狭間で」
ちひろ「プロデューサーさん。これ、頼まれていた資料です」
P「ありがとうございます。すいません、いつも頼ってしまって」
ちひろ「いえいえ、これも私の仕事ですから。では、今日はこれで失礼しますね」
P「はい。お疲れ様です」
ちひろ「お疲れ様です」
ちひろ「飛鳥ちゃんも、また明日ね」
飛鳥「お疲れ様です」
静かに扉が閉じられ、部屋にはボクとPだけが残される。
P「飛鳥はまだ帰らないのか?」
飛鳥「キミの作業が終わるまで待っているよ」
P「待っていてもいいことなんてないぞ? まだ30分くらいかかるし」
カタカタとキーボードを揺らしながら、こちらを見ずに答えるP。
飛鳥「……鈍いね。キミは」
P「え?」
飛鳥「理解(わか)らないなら直球で言うけど、ボクはキミと二人きりの時間を持ちたいのさ」
そう言った瞬間、キーボードが音を鳴らすのをやめる。
スクリーンから視線を外した彼が、まじまじとこちらを見つめていた。
P「……おおう」
飛鳥「なんだい、その微妙な反応は」
P「いや……そうはっきり言われると、なんか照れるなと」
飛鳥「純情少年みたいな物言いだね……ボクより10も年上なのに」
P「子どもの心を失わないピュアな大人なんだよ。俺は」
飛鳥「へえ」
立ち上がり、Pの陣取っているデスクのもとへ歩いていく。
何をする気かとうかがっている彼の隣に立つと、ボクは彼の頬を優しく両手で包み込んだ。
飛鳥「アイドルに手を出すプロデューサーがピュアな心の持ち主とは、日本人もなかなかエキセントリックな人種になったものだね」
P「そう返されると、俺は何も言えないな」
ため息ひとつをついて、彼の瞳がボクの顔へと向けられる。
ボクとPは、互いに合意のもと恋愛関係を形成している。当然、自分達以外の人間にはひとりたりとも話してはいない。
飛鳥「今、いいかい」
P「仕事が終わるのが遅れるんだが」
飛鳥「………」
P「冗談だよ。だからそんなに落ち込むなって」
両手を挙げて降参のポーズをとるP。ボクの反応を楽しむかのように、けらけらと笑っている。
それが少し面白くなかったので、ボクは早速仕返しを敢行することに決めた。
飛鳥「んっ」
P「……ン!?」
前振りも何もないまま、不意打ちで唇を重ねる。
彼の目が驚きに見開くのを確認して、すっきりとした気分になった。
P「ぷはっ……びっくりした」
飛鳥「悪戯心を刺激したのはキミだ。悪く思わないでくれ」
P「いや、まあ俺的にはたまには強引な感じでされるのも悪くないから、むしろ役得ではあるんだが」
飛鳥「……マゾ?」
P「その解釈は飛躍しすぎじゃないか?」
飛鳥「参ったね。キミがそういう性癖の持ち主なら、ボクも時子さんに私事を仰がなければ」
P「だから違うって。俺嫌だぞ、鞭で叩かれたりするの」
唇に人差し指を当てて考えに耽っていると、Pが割と本気の声で否定してくる。どうやら、ボクがサディストになる必要はないらしい。
飛鳥「冗談だよ、冗談。それじゃあ、続きをしようか」
他愛のない話もそこそこにして、再びPと唇を重ねあう。
飛鳥「んっ……ちゅ、む」
初めは、互いに感触を確かめ合うかのようなついばむだけのキス。たったこれだけでも、Pの熱がボクに流れ込んでくるのを感じる。
……でも、もっとほしい。
飛鳥「ちゅ……れろ、んん……んっ」
舌を伸ばして、Pの唇を優しく舐めまわす。
それに合わせて、向こうもゆっくりと舌を突き出してきた。
舌と舌が触れあい、やがてキスが絡み合う物になっていく。互いの唾液が混ざり合い、増していく水音……ボクの身体も、熱を帯びる。
飛鳥「ミントの匂いがする」
P「口臭は対策が必要だからな。特にこういう仕事やってると」
飛鳥「ボクは、休みの日に嗅いだ、あのタバコ臭い匂いも好きだよ。Pの匂いって感じがしたから」
P「俺の匂いね……おっさん臭いだけじゃないか?」
キスの味というのは、実際に何度も経験した今となっても表現しがたいものだ。
おいしいとかまずいとか、もちろんそういう話ではなく……舌を絡ませるだけで、どうしてこうも頭がとろけてしまうのだろう?
飛鳥「ふぁ……ぁ、ちゅる……れろ、んぅ……ちゅむ、れろ」
比較対象がいないから、はっきり断定はできないけれど……Pのキスは、優しい。まだぎこちなさの残るボクのキスに合わせるかのように、臨機応変に動いてくれる。そんな感じだと思う。
それがまた愛しく思えて、ついつい暴力的なキスを望んでしまう。ボクの心をこじ開けるような、内にこもった衝動を解き放ってくれるような、そんな――
飛鳥「……ん?」
ふと視線をずらすと、Pの身体のある部分に目が留まった。
両脚の付け根の部分。その真ん中に存在する、大きな膨らみ。
ズボンの下からでも主張の激しい、男の性の象徴だった。
飛鳥「………」
張っている山を鎮めてあげたいという思いと、純粋な好奇心とが混ざり合い、自然とボクの手はPのソレに向かって伸びていく。
P「おっと」
けれど、それに気づいた彼は、ボクの腕を優しくつかんで元の位置に戻した。
P「約束しただろ。まだ早いって」
飛鳥「……そうだったね」
今は、キスだけ。それが、世間に認められないであろう関係になったボク達が決めた、最低限のルールだった。
P「飛鳥の手は、マイクやお客さんの手を握ったりするためのものだからな。俺のアレやソレで汚すわけにもいかない」
飛鳥「ボクの口は歌う時に必要なんだけど、その口でキミの唾液を飲み干しているのはいいのかい」
P「うっ……そこを突かれると痛いな」
困ったような顔で笑うP。ボクはそんな彼の頬を軽くつつくと、もう一度ついばむようなキスを行う。
飛鳥「でも、これはボクとキミとで決めたことだ。互いが望んで恋をして、互いが望んで今の関係を維持している。だから、アイドルをやり切るまではこのままでいい」
アイドルの仕事は、ボクのセカイに新たな彩りを与えてくれた。そして、それはまだ終わりではないとボクは確信している。
P「それまで、俺もちゃんと待つから」
飛鳥「あぁ。……強欲かな、アイドルも恋愛もどちらも獲ろうとするなんて」
P「子どもは欲張りなくらいがちょうどいいんだ。気にするな。もちろん、普通の子より我慢しなくちゃいけないことはずっと多いけどな」
飛鳥「理解(わか)っているさ」
背徳感はある。けれどそれさえも、キスをしている間は高揚へと姿を変えてしまう。
恋愛とは恐ろしいもので、同時に幸せなものなのだと、そう思う。
P「寮まで送るよ」
飛鳥「え? でも、まだ仕事が」
P「今日中にやる必要があるところは終わったから、残りは明日でいい。あんまり飛鳥の帰る時間を遅くするのもよくないしな」
飛鳥「……ありがとう」
ふとしたことで崩れかねない、綱渡りな恋。
それでもボクは、この想いが成就することを信じたい。
だから今は、彼とともにトップアイドルというヤツに挑戦してみよう。
終わりです。お付き合いいただきありがとうございました。
本番? まあそのうち……
転載元
二宮飛鳥「大人と子供の狭間で」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1431331272/
二宮飛鳥「大人と子供の狭間で」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1431331272/
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コメント一覧 (10)
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- 2015年05月11日 18:58
- 今更だけど14歳の少女と恋人関係ってすごくないか、恋愛感情沸くもんかね
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- 2015年05月11日 19:30
- いいSSでした。
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- 2015年05月11日 20:36
- ロリコンって13歳以下を性対象に見ることだから
14歳はセーフやん
やったぜ
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- 2015年05月11日 20:39
- ※1
本当に今更や…
恋をするのに年齢は関係ないんじゃないかな?
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- 2015年05月11日 20:46
- (俺の恋人はみりあちゃん!!)
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- 2015年05月11日 20:51
- ※1
まぁ趣味や話が合うかどうかじゃない?
いくら愛し合ってても、趣味や話が合わないとけっこう辛いもんよ。
まぁだからこそ惚れた方は相手に趣味とか合わせていくのが仲良くなる一番の手なわけだけど、でも付け焼き刃はかえって心証を悪くしたりもするって言う。
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- 2015年05月11日 22:12
- ※4
恋に年齢は関係なくとも、御天道様に顔向けできないことはするものじゃあない
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- 2015年05月11日 22:54
- 最初飛鳥を見たときなんでか知らんがフィギュアスケートが好きなキャラかと思った
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- 2015年05月12日 18:04
- ※8
多分飛鳥の服装が冬っぽいからだと思う
しかし安価等以外の飛鳥の恋愛SSやっとまともな人間に出会えた気がする
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- 2015年05月12日 21:13
- 飛鳥のssはそこそこ面白いの多いと思うけどな