錬金術師「経営難に立ち向かう事になった」銃士「その4!」【後半】
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――――【 2日後(3月4日) お店 】
銃士「…」
銃士「も、戻ってきたら大変なことになってたみたいだね…」
錬金術師「…非常に不味い。」
女店員「うん…」
新人鉱夫「仕事が増えるのはいいですが、店長さんの手が回らないですね…」
銃士「…しかし倒れたとは。」
銃士「大丈夫だったのか?」
錬金術師「少しは回復したが、大量生産が出来るほど余裕はねぇ…。」
錬金術師「……不味いんだよな」
女店員「私たちじゃ、その錬金術を手伝えるわけじゃないし…」
新人鉱夫「そうですね…。小さいことならお手伝いできるのですが…」
銃士「うーん…」
錬金術師「…」
錬金術師「…」
錬金術師「……頼りたくなかったが、最終的に頼ることにはなりそうだな」ハァァ
女店員「え?」
錬金術師「……俺らで何とかできないかと思っていたが、ここまでまとまらないんじゃ仕方がない。」
錬金術師「前々から少しだけ、最終的な案として考えてたが……それを実行しないといけなそうだ」ハァァ
銃士「…なんだ、考えがあったのか?」
錬金術師「いや、だけど頼りたくないっつーか……」
女店員「でも、ここまで追い込まれてたら頼らざるを得ないんじゃ…」
錬金術師「それはそうなんだが…」
新人鉱夫「えっと…その頼るっていう、最終的な案の詳細は何なんですか?」
錬金術師「…ほら。」
錬金術師「錬金術で、俺の指示のもとなら変わらない出来を造れる人間ならいるだろう…?」
女店員「えっ、そんな人が…?」
錬金術師「正直、仕事としてはあまり巻き込みたくないんだが…ココまで来たら仕方ないというか…。」
銃士「…知り合いか?」
錬金術師「いや本気で、頼りたくはないんだが……」
新人鉱夫「…誰ですか?」
錬金術師「……忘れてるだろ。」
錬金術師「隣町、錬金術機関。機関長と、術士先生だよ…」
3人「……あぁっ!」
錬金術師「…こんなカタチでは尋ねたくなかったが、さすがに俺だけじゃパンクしちまう。」
錬金術師「自分を見極められないなんて、情けな過ぎてな……。」
銃士「…で、でもそれならいいんじゃないか!」
新人鉱夫「そうですよ、あの二人なら力強い味方になります!」
女店員「…しのご言ってられないね」
錬金術師「…」
錬金術師「……はぁ、仕方ないよな。」
錬金術師「明日中には契約書出さないといけないし、今日、高速馬車でサクッと行ってくるわ…」
女店員「うん…。アクセショップの人にだよね。」
銃士「はは…気を付けて。」
新人鉱夫「お留守番は任せて下さいね」
錬金術師「あぁ…。」
錬金術師「こんなこと話したら、どうせ機関長に怒られるんだろうな…」
錬金術師「"己の力も分からないなんて、それでもマスターの称号を持った男かっ!!"」
錬金術師「なーんて……」
……………
………
…
…
………
……………
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――――【 隣町 錬金術機関 機関長の部屋 】
機関長「…己の力も分からないなんて、それでもマスターの称号を持った男かッ!!」
錬金術師「」キーン
機関長「……ったく情けない!」
機関長「相変わらずの開発技量、その知識と腕には感服するが…」
機関長「最も必要な、自分の体力管理を怠ってどうするんだっ!!」ビリビリッ…
錬金術師「わ、分かってるっつーの!」
錬金術師「今回のは久々に失敗しちまったし、反省もしてるって…!」
機関長「はぁぁ…。マスターの称号が泣くぞ…」
錬金術師「ほら、俺ってば既にマスターの称号は返還したし?」キャピッ
…ゴツッ!!
機関長「殴るぞ」プルプル
錬金術師「い、痛いっ!既に殴ってる!」プシュウッ…!
機関長「……しかしまぁ、事情は分かった。」
機関長「今後の対応が、自分じゃ出来かねるということだな」
錬金術師「生成魔石、マジエアコン、パワーアップユニット、超回復瓶を適宜制作。」
錬金術師「それに加えて、鉄クズの精製が100個。」
錬金術師「ついでに、毎週のハンティングで採ったカルキノスをある程度イジらなくちゃいけない」
機関長「…一人の人間の限界量を超え過ぎだ。」
機関長「普通なら倒れてるぞ」
錬金術師「だから倒れたんだって♪」キャピッ
…ゴチィンッ!
機関長「殴るぞ」プルプル
錬金術師「…」プシュー
機関長「…仕方ない。手伝えることは手伝おう」
錬金術師「お…いいのかっ?」
機関長「お前の頼みだ、断れるわけがないだろう」
錬金術師「…恩に着るよ」
機関長「だが、その前に…」ゴソゴソ
錬金術師「ん…」
機関長「…ほれ、うちとの契約書だ」ペラッ
錬金術師「……へいへい」
機関長「今回のことは、俺と術士先生、場合によっては白学士と錬成師を契約社員として扱ってもらう。」
機関長「各生成、製錬時に費やした時間による、時間給。それでいいな?」
錬金術師「へっ、それでいいのか?」
機関長「うちとしては、儲けが出るならいい」
錬金術師「…総売り上げから、割での計算のほうが高いぜ?」
機関長「そりゃそうだろうが、そこまでうちは貧乏じゃないから気にするな」
錬金術師「…それじゃお言葉に甘えるが。1時間辺りの金額はいくらにする?」トントン
機関長「800ゴールドでいい」
錬金術師「…やっす。錬金学生の特待学校でやるアルバイト以下だぞそりゃ」
機関長「もし5人が出る機会があれば、1時間で4500ゴールドになる。充分だ」
錬金術師「せめて1000ないとキツくないか?合計5000はいくぜ」
機関長「うちの機関は、研究が本分で…費用は国から貰っているからな。それ以上はいらんよ」
錬金術師「…言葉に甘えるぜ?」
機関長「よろしい」
錬金術師「…代わりに、何らかの理由で生成が出来なかった場合の損失は削除しておく」カキカキ
機関長「人災を含む、怪我による保険の部分もいらん」
錬金術師「おいおい、それは……」
機関長「俺らの腕で、そうそう事故が起きるものか…。」
機関長「それともなんだ、うちの機関は事故でも起こすと思うか?」
錬金術師「…起こすわけねえわな」カキカキ…
機関長「そういうことだ。よし、書いたか?」
錬金術師「こんな簡素で、いい契約したのは初めてだぜ」フゥ
機関長「あとで、3人には契約社員になったことを伝えておくぞ」
錬金術師「全くなんてオッサンだ。勝手に契約していいのかよ」
機関長「あいつらが話を受けたら、確実にお前にもっと有利な話で動くかもしれんからな。」
機関長「俺よりお前の方が慕われているくらいだ…。」
機関長「下手をすれば研究を疎かに、機関が潰れかねんし…勝手に契約させて貰う」フンッ
錬金術師「はっはっは、どーも」
機関長「…全く、これからは自分の体力を知ったうえできちんと仕事をするんだぞ」
錬金術師「わかってますよ~っと」ヒラヒラ
機関長「…はぁ。それじゃ、まずは何から手伝えばいいのか」
錬金術師「…とりあえず、製錬鉄クズを準備してほしい。」
錬金術師「オッサンの腕なら、恐らく俺のとそこまで相違ないモンが出来るはずだし…」
錬金術師「来週の頭までに100個。それ以後、常にストックがあれば嬉しいが…」
機関長「100個程度なら、1時間かからんな」
錬金術師「そりゃ集中製錬した場合だろうが…。」
錬金術師「休み休み…せめて1時間に20個ペースでやらんと、俺みたく倒れちまうぞ」
機関長「…1時間かからん。かかるわけがない。かかりませんっ」フンッ
錬金術師「子供かよっ!」
機関長「で、それだけでは他の者に仕事がないぞ?」
錬金術師「…あんたな、マジで1時間に100個ペースは倒れても責任はもたんぞ」
錬金術師「せめて、人数で割って100個を……」
機関長「早く、次の仕事内容は。来週までにやること、はよ」クイクイ
錬金術師「…」
錬金術師「……あと、ココに設計図を書いておくから。」
錬金術師「それにあわせて、さっきの3つの道具を造ってほしい…が……」
機関長「マジエアコン、パワーアップユニット、超回復瓶だな」
錬金術師「素材費用はそれぞれこっちが負担する。」
錬金術師「楽な順序は、超回復瓶、パワーアップユニット、マジエアコンの順だ。」
機関長「了解した。今後手紙で、1週間のうちにどれくらいのペースで制作してほしいか寄越してくれ。」
機関長「それに合わせ、こちら側で時間を割く。」
錬金術師「…おう、ありがとうさん」
機関長「うむ。では、今はそれだけか?」
錬金術師「まぁそれだけだな…。」フム
機関長「承知した。お前のものと完璧なオリジナルとはいかんだろうが、不満のない道具にはなるはずだ」
錬金術師「…おうっ、頼むぜ!」
錬金術師「だけど、マジで時間給で気にしてアンタが倒れることないようにな。」
錬金術師「それじゃ…時間もないし、失礼する。有難うな」
機関長「うむ、俺は1時間に余裕なんだっての」
錬金術師「そ、そうか。じゃあな…」
トコトコ……
ガチャッ…バタンッ……!!
機関長「…」
機関長「…はぁ」
機関長「……馬鹿モンが。」
機関長「見えていたぞ、両手にあった真っ赤な湿疹と、ペンを動かす時の手の震え……。」
機関長「とっくに限界を超えた証ではないか…。」
機関長「その努力を知ってる俺が、少しでも楽をさせてやらないでどうしようといおうか…ってな」
……………
………
…
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――――【 そして夜 錬金術師のお店 】
錬金術師「……ってわけで、契約してくれるそうだ」
女店員「良かったぁ…。少しは休めるね…」ホッ
銃士「ってことは、あそこの皆さんが一応、私らと一緒の店員ってことになるんだね」
新人鉱夫「へへ、少し不思議ですね」
錬金術師「まぁうちに来るわけじゃないし、そんな感覚もないだろうが……」
錬金術師「向こうで造ってくれたアイテムは基本的に俺が回収にいくから大丈夫だ」
女店員「…あっ。それなら私が行こうか?」
錬金術師「…いや、隣町まで大変だろ。重いモンもあるし、俺がやったほうが…」
女店員「ううん、私が行くよ。大丈夫っ」
錬金術師「…そ、そうか?」
女店員「うんっ!」
銃士(…ん?)
銃士(今までなら、"店長が頑張ってやる気出してるんだね!"とかだけで終わらせると思ったんだけど…)
銃士(女店員が率先してやろうとするのは…少し珍しいかな)
新人鉱夫(…なんか、店長さんと女店員さん、いい方向に向かってますね。)
新人鉱夫(喧嘩したあとの仲直りが上手く行った時ほど、距離が縮まるものもないですからねぇ……)
錬金術師「…んじゃまぁ、どうすっかなぁ」ポリポリ
錬金術師「今日は仕事終わりなんだが、次回納品は3月9日だし、明日は1日暇の予定だな」
女店員「お客さんを待ってることも仕事なんだけどね…」アハハ…
錬金術師「ん~…」
女店員「…納品分はもう終わってるんだよね?」
錬金術師「銃士とのハンティングは金曜日あたりに終日使ってやれば終わるし…」
女店員「新人鉱夫の鉱石もストックがあるし…」
銃士「…ふむ」
新人鉱夫「確かに、最近のことを考えると明日は…全員がお店に来てもやることが少ないですね」
錬金術師「…」
錬金術師「…ん」ピクッ
錬金術師「……ちょい、ちょっと待て。ちょっと待て」
女店員「うん?」
錬金術師「お前らさ、最近…休みとったか?」
女店員「休み?」
新人鉱夫「……休みですか?」
銃士「休みか…?」
錬金術師「そもそも、俺を除いて基本、全員週五日出勤だろ?」
錬金術師「…なのに、ここ最近は毎日、出張してるか出勤してるよな」
女店員「あ、確かに…」
新人鉱夫「…僕はここに住んでいるので、自然と出社状態になってますね」
銃士「出張だったけど、確かに仕事といえば仕事か…」
錬金術師「…」
錬金術師「……はぁ。こんなんじゃダメだな、俺以外も疲れてるだろうに…すっかり忘れていた」
錬金術師「そこはきちんとしねーとな」
女店員「…えっと、つまり」
錬金術師「週の真ん中が休みってのも普通にあるし。」
錬金術師「明日は全員、休日にしよう。店はクローズにしておく」
女店員「えっ!」
新人鉱夫「き、休日ですか?」
銃士「休日か…」
錬金術師「配布した道具の魔石はまだまだ消費されないし、オリジナル魔石の購入者もいないはずだ」
錬金術師「丁度いい機会だし、明日は全員の休みにしよう」
女店員「休日かぁ。考えてなかった……。出社でもいいような……」
錬金術師「しっかり休む日にしとけ」
女店員「う、うーん…」
新人鉱夫「えーと、じゃあ僕はどうしますかねぇ…」
錬金術師「寝坊していいぜ?」
新人鉱夫「でも、朝ごはんも作りますし結局…早く起きちゃいそうです」
錬金術師「たまにはのんびりしてもいいんだが…」
新人鉱夫「そうですかねぇ…」
女店員「…休日。お店もクローズかぁ」
銃士「明日は出勤しなくていいと…。」
女店員「…銃士、何かする?」
銃士「あぁそうか…。そうだな、二人で町にでも出てみるか?」
女店員「ショッピングするっ?」
銃士「…そうだな、私も欲しいのがあるし。一緒に行こうか」
女店員「うんっ♪」
銃士「1日まったりするのは久しぶりだな」
女店員「新しいカフェもできたみたいだし、そこも行ってみようよ♪」
銃士「うむっ」
新人鉱夫「二人はショッピングかぁ…。僕は……寝坊してもやることないかなぁ…」
錬金術師「…俺とショッピングするか?」
新人鉱夫「えっ」
錬金術師「えっ」
新人鉱夫「…店長さんとショッピングですか!」
錬金術師「い、いや。言ってみただけだ…」
新人鉱夫「…て、店長さんが良ければ行きたい…ですっ」
錬金術師「いやいや、嫌ならいいんだぞ?」
新人鉱夫「嫌なわけないですっ!いいんですかっ?」パァッ
錬金術師「お前が良ければ」
新人鉱夫「もちろんですっ!行きたいですっ!」
錬金術師「そ、そうか。じゃあ…明日は町に出るか……」
新人鉱夫「はーいっ♪」
銃士(……っ!)ゴゴゴ…
女店員(う、薄々思ってはいたけど……!)ゴゴゴ…
銃士(し、新人鉱夫って…)
女店員(新人鉱夫は…)
女店員(私より…よっぽど……)
銃士(私より…よっぽど……)
新人鉱夫「へへーっ♪」
新人鉱夫「楽しみです、店長さんっ!どこに行きましょうか~!」
錬金術師「お前が行きたい所も付き合うぞ。俺も行きたいところあるし」
新人鉱夫「はーいっ!僕の普段行く買い物場所とかも案内しますねっ♪」
女店員(女子っぽい!!)
銃士(女子力とやらが、高いのでは…!)
錬金術師「…」
錬金術師「……あっ」ハッ
新人鉱夫「どうしました?」
錬金術師「んじゃさ、どうせなら……全員で出かけないか?」
錬金術師「このままだと、どうせ町の中で4人で会うし」
女店員「!」
銃士「!」
新人鉱夫「!」
錬金術師「い、いや。仕事のことを忘れたい休日だろうが……。」
錬金術師「俺の顔を見たくないだろうし、無理にとは……」
女店員「…いくっ!!」
銃士「いこうっ!!」
新人鉱夫(…反応が早いですっ!)
錬金術師「…だけど、この面子じゃ仕事を忘れてリラックスを」
女店員「……この面子だから、リラックスできるっていうのもあるかも」
銃士「確かに、今はここにいないと少し落ち着かないというか」ハハハ
新人鉱夫「仕事が休日…っていうのは言葉が悪いですけど、そんな感じなのかもしれないです」
錬金術師「…そ、そうか?」
錬金術師「それなら、明日は全員で町に出てみるか……」
女店員(…本当は、休日って言われた時に店長を誘おうとしたけど)
銃士(お互いがいる手前、やっぱり言えないね……)
新人鉱夫(…と、思ってるんでしょうね)アハハ…
錬金術師「んじゃ、今日はこれで解散。」
錬金術師「明日はゆっくり10時くらいにでも店に集合してくれ。そこから町に行こう」
女店員「うんっ」
銃士「あぁ」
新人鉱夫「はーいっ!」
錬金術師「それじゃ、また明日。お疲れ~い」
女店員「お疲れ~!」
銃士「お疲れ様」
新人鉱夫「お疲れ様でしたっ!」
…………
……
…
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――――【 次の日 3月5日 】
ガチャッ!
女店員「おはよう~!」
銃士「おはよう」
新人鉱夫「あ、おはようございますっ!」
錬金術師「…おっ、来たか」
女店員「うんっ。いつでも行けるよっ」
銃士「私もいつでも大丈夫だ」
錬金術師「…」
錬金術師「……へぇ」
女店員「うん?」
錬金術師「…お前、今日は髪型違うのな。」
錬金術師「横結んでる…サイドテールっつーの?」
女店員「あ、うんっ…。ちょっと今日は…ね」
錬金術師「へぇ、似合うじゃん。可愛らしいと思うぞ」
女店員「えっ…?そ、そうかな?」
錬金術師「恰好もいつもと違うし、なんか新鮮だな」
女店員「え、えへへ…」テレッ
錬金術師「…銃士も。いつもと違う冒険者の格好じゃないし、新鮮だな」
銃士「いつもは戦いに使ってた服だからね。普段だとこういう恰好してるんだ」
錬金術師「…その青いパンツに、黒いジャケット。ボーイッシュでかっこいいな」
銃士「あ、ありがとっ」
銃士(……やっぱり、可愛い恰好の方が良かったのかな。でも、私は似合わないし…)
錬金術師「なんつうんだろ、銃士は普段からボーイッシュだからあれだが……」
錬金術師「スカートとか、可愛らしい恰好でも似合うと思うぞ。」
錬金術師「いや、今が悪いっつってるんじゃないけど。それもすげーに合ってるけど、なんだろ……」
銃士「…そ、そうかなっ!?」
銃士「でも、私が女の子っぽい恰好したら…ちょっと変じゃないかなって思って……」
錬金術師「…いやいや、お前は女だろうが。女性らしい恰好で可愛くなるって」
銃士「…!」
錬金術師「今度見せてくれよ。きっと可愛いんじゃないか?」
銃士「う、うんっ…!」
錬金術師「いや、今も充分可愛いと思うけどな」ハハハ
銃士「あうっ…」
新人鉱夫(…両手に花、です!)
錬金術師「んじゃ、行こうか」
女店員「え、店長はその恰好で行くの?」
銃士「普段着じゃなくて、錬金師の格好じゃないか」
錬金術師「…いや。俺って、これかあの出かけた時のスーツってやつしか持ってないんで」
女店員「えぇぇっ!?」
銃士「本当に?」
新人鉱夫「……本当なんですよね、それが」
錬金術師「いや、そりゃな……。」
錬金術師「外に出る時は基本、錬金師の格好しかないだろ……」
女店員「…じゃあさ、店長の服とかも買おうよっ!」
錬金術師「え~…。俺、そういうの面倒なんだよなぁ」
女店員「…す、スーツの時にバリっと決めてたんだから、もっと恰好しっかりしたら恰好よくなるよ!」
錬金術師「…そうかねぇ」
銃士「確かに、店長はスラっとしてるし…背も高めだし、それなりに似合う服があるんじゃないか?」
錬金術師「そういうのはだりぃって……」
女店員「店長ってば、今は少し髪も長いしさ、色々髪型変えてみようよ?」
錬金術師「いやいや、いいって…」
女店員「そう…?」
錬金術師「マジで、俺はそういうの面倒くせーんだって。」
錬金術師「髪型とか、服装とか、散髪に服屋に行くの面倒な男って結構多いぜ……」
女店員「む~…」
銃士「勿体ないな…」
新人鉱夫「…そうですねぇ」
錬金術師「…」
錬金術師「……つうか、俺に時間とられてたら買い物も何もないだろうが。」
錬金術師「お前らの休みなんだから、お前らのしたいことしろって」
女店員「…じゃあ、店長改良で。」
銃士「店長を格好よくしよう」
新人鉱夫「店長さんのスタイルをチェンジしましょう!」
錬金術師「…」
錬金術師「…」
錬金術師「……マジで?」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 地元の町の服屋 】
…ガランガランッ!
服屋の店員「…っしあぁせー!!」
女店員「ほら、店長。こっちこっち」
錬金術師「うえぇ、もうなんかやだ……」ズリズリ…
銃士「恰好よくなれるって!」
新人鉱夫「僕も欲しい服がないか探してみよっと…」
トコトコ…
服屋の店員「団体さんっすねー!」
服屋の店員「何かお探しっすか、コーディネイトしまっすよ~」
女店員「あ、大丈夫です。私たちでやるので」キッパリ
服屋の店員「そっすか。何かあったら声かけてくだせー」クルッ
トコトコ…
錬金術師「…すげえな」
錬金術師「ハッキリと"ノー"と、よく断れるな」
女店員「ファッション店員なんてああいうのが普通なの。」
女店員「それより、どんな服にしようかなぁ」
銃士「帽子とかも意外と似合いそうだ」
女店員「あっ、いいかも!」
銃士「これとかどうだろう」パサッ
女店員「似合いそうだけど、あそこにあるブレスレットとかと合わせる?」
銃士「あー、それも悪くないかも…。」
ワイワイ…キャッキャッ……
錬金術師「…」
錬金術師「……ちょっと、そこのソファで座ってよう」
トコトコトコ…ボスンッ!
錬金術師「…」
錬金術師「……はぁ」
トコトコトコ…
服屋の店員「失礼しやっす」ペコッ
錬金術師「ん…」
服屋の店員「サービスのコーヒーです。どうぞ」スッ
コトンッ
錬金術師「…お、有難う」スッ
…グビッ
服屋の店員「えーと…。そ、それで……。」
服屋の店員「あのー…」チラッ
錬金術師「ん?」
服屋の店員「……もしかすると、店長さんですかね?」
錬金術師「!?」ブフッ!
服屋の店員「…あ、やっぱりですか!」
錬金術師「げ、げほげほっ!て、店長って……」ゴホッ!
服屋の店員「…この間は、有難うございました!」
錬金術師「は、はい?」
服屋の店員「いや、実はですね!女店員さんに、マジエアコンを頂きまして!」
錬金術師「…あ、あぁ」
服屋の店員「あれがもう、大助かり!お客さんにも好評で!」
錬金術師「そ、そうですか。それは何より……」
服屋の店員「マジでどもっす!」
錬金術師「い、いえいえ…どういたしまして…ッス…」
服屋の店員「あれって、魔石の購入だけでこれからも使えるんスよね?」
錬金術師「えぇ、低稼働なら1ヶ月くらいはもちますよ」
服屋の店員「それじゃあ、消費される前に購入しにいきますね!」
錬金術師「はは、是非お待ちしております」
服屋の店員「他のお店にも配ったようですが、みんな有難いって言ってますよ」
錬金術師(……へぇ。なるほどな、これは良い情報だ。)
錬金術師(思った通りに、お客は動きそうだな……)
タッタッタッタッ……
女店員「…店長、店長っ!」
錬金術師「んあ」
女店員「服を決めたから、次は散髪に行こうっ!」
錬金術師「はい?」
女店員「銃士が支払ってくれるから、時間もかかるし先に私と床屋にいこっ♪」
服屋の店員「おけっす。おまちしておりまーす」
女店員「いこっ!」グイッ
錬金術師「お、オイッ……」グンッ
タタタタタッ……
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 町の床屋 】
チョキチョキチョキ……パサッ……
錬金術師「…なんで俺は髪を切られているんだか」
床屋の親父「ははは、恰好よくしますよ!」
錬金術師「はは…」
床屋の親父「…ふんふん♪」
錬金術師(…あいつらは、そこに座って何見てんだ?)チラッ
…チョコン
女店員「へぇ~…。ファッション雑誌最近見てなかったけど、こういう髪型が流行ってるんだ」
銃士「確かに中央都市でかなり多かったな」
女店員「髪染めも色々あるねぇ」
銃士「女店員は染めないのか?」
女店員「私はいいかなぁ」
新人鉱夫「じゃあ、僕は金髪のロン毛にしましょうか」
銃士「…」
女店員「…」
新人鉱夫「…無言でも、凄く伝わってきます」
床屋の親父「…ははは、ゆかいなお仲間ですね」
錬金術師「はは…。お恥ずかしい限りで……」
床屋の親父「……ところで。あなたは店長さんですよね?」
錬金術師「!?」
床屋の親父「いやぁ、この間いただいたマジエアコン!そこにも置いてありますが有難い限りで!」
ポォォォッ……
錬金術師「…そ、そうっすか。俺のこと知ってる人、多いですねぇ…」ピクピク
床屋の親父「女店員さんが、前から営業に来て…うちの店長は凄いんだって何度も言うもんですから」アハハ
錬金術師「!」
床屋の親父「すっかり有名ですよ」
錬金術師「…その割に、業績が伸びませんでしたけど」ククク
床屋の親父「ははは!」
錬金術師「……しかしそうですか。女店員がなぁ」
床屋の親父「えぇ」
錬金術師「…」チラッ
ワイワイ…
女店員「…でね、うんっ。これとか、きっと銃士に似合うよ!」
銃士「そ、そうかな…?」
女店員「うん」
銃士「今度買ってみようかな…。あそこの服屋にも置いてあったし…」
女店員「うんうん…」
女店員「…」
女店員「……ん?」チラッ
錬金術師「…」ジー
女店員「…」ニコッ
女店員「…」フリフリ
錬金術師「はは…」フリフリ…
床屋の親父「…あっ、店長さん!?」
床屋の親父「ちょっ、今動いたら……!」
…ザクッ!
錬金術師「…」
錬金術師「……ぬぅぅおおおおぉぉおっ!!!」ブシュッ…
女店員「て、店長っ!?」
銃士「店長っ!」
新人鉱夫「て、店長さーんっ!?」
…………
……
…
…
……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 1時間後 町中 商店街 】
…ビシッ!!
錬金術師「…こ、この服が似合うか?」キラキラ
錬金術師「それに…髪も結構短くなっちまったが……」サワサワ
女店員「…!」
銃士「…!」
女店員「よ、予想はしてた…けど……」
銃士「ここまで…変わるとは…」
新人鉱夫「…かっこいいですよ、店長…さん…」
錬金術師「…そう?」キラキラ
女店員「…信じられない」
銃士「店長、さすがにびっくりするよ…」
新人鉱夫「なんか、モデルさんみたくなってますよ…!」
錬金術師「自分じゃ分からねーよ。」
錬金術師「……ん?」チラッ
通りすがりの女子A「…え、あの人かっこよくない?」
通りすがりの女子B「わっ、本当だっ!」
通りすがりの女子C「中央都市から来たのかな…?」
キャッキャッ…!
錬金術師「……マジでかっこいいのか?俺が?」
女店員「うん…。別人みたい…」
銃士「…」ゴクッ
錬金術師「じゃあ、ナンパとかっていうのしたら成功するかな」ハハハ
錬金術師「ちょっとそこの女子に……」クルッ…
女店員「だ、だめーっ!!」バッ!
銃士「だめだ店長っ!」
新人鉱夫(…これは、変身させちゃいけないタイプの人間です。)
新人鉱夫(二人も、二度と店長さんをかっこよくしようとはしないでしょうね……)
錬金術師「はっはっは、お嬢さん」
女子たち「きゃーっ!」ワイワイッ…!
ズリズリッ…!
女店員「て、店長~~っ!!」
銃士「だめだ、店長っ!暗黒面へ落ちてしまう…っ!」
新人鉱夫「…でも、仲良く出来ているようで何よりです。」ホクホク
新人鉱夫「今日は店長さんの1日でしたねぇ…。」ウンウン
新人鉱夫「あとは、みんなで洒落た料理店でも入って…休日も終わりですね……」シミジミ
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
その後、4人でレストランに入り食事を楽しむと、それぞれが家へと戻って行った。
次の日から納品分のアイテムを収集しつつ、
店長は今回の町の反応から、
"魔石の販売"と"マジエアコンを含む各アイテム"が1か月後より確実に売れると予想。
隣町錬金術機関と協力しつつ、不足していたストック分を少しずつ増やしていった。
……だが、そこで1つの問題が。
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――――【 3月17日 深夜 倉庫側 】
錬金術師「……やっべ」
新人鉱夫「どうしましょうか……」
…ゴチャッ!
錬金術師「…薄々思っていたが、倉庫側が…限界だ…」
新人鉱夫「寝るところがないですね…」
錬金術師「ストックを増やし過ぎたか…?」
新人鉱夫「い、いえ。でもこのくらいあってこそですよ…」
錬金術師「…そういや、倉庫のアイテムを増やしたのはいいものの……」
錬金術師「…出納帳の記載を最近全然してない気がするぞ」
新人鉱夫「あ…」
錬金術師「…マジエアコン、パワーユニット、超回復瓶、オリジナル魔石の、それぞれの制作費用。」
錬金術師「2月および3月中の収支の有無。」
錬金術師「……それに、隣町錬金術機関の契約料の支払い。」
錬金術師「女店員や銃士、新人鉱夫の給与振込も現金払いだったし……」
錬金術師「考えたら、全然記帳してねえよ!!」
新人鉱夫「…ど、どうするんですか?」
錬金術師「…記帳は必要だ。ちょっとバタバタしすぎて忘れてた…」
錬金術師「最後に記帳したのはいつだったか」
ゴソゴソ……
錬金術師「…っと、あったあった。」
錬金術師「えーっと……」ペラッ
錬金術師「…」
錬金術師「…」
錬金術師「……う、うおおおいっ!!」
新人鉱夫「!?」
錬金術師「2か月前どころじゃねえよ、かなり前から記帳してねえよ!」
新人鉱夫「…不味いですよね」タラッ
錬金術師「ち、ちょっと新人鉱夫!もう夜中で悪いんだが、記帳手伝ってくれ!」
新人鉱夫「は、はいっ!」
錬金術師「何に使ったか、どれをどれくらい使ったか…」
新人鉱夫「思い出す必要があるんですね!」
錬金術師「やっべぇ、マジで。これ最終的に親父に突き出すやつだからな…!」
新人鉱夫「た、大変じゃないですか!」
錬金術師「すぐに記帳しよう!どうせ寝るところもないし、やるぞっ!」
新人鉱夫「は、はいっ!」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
…
……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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――――【 そして次の日 3月18日 朝 】
…チュンチュン!
ザッザッザッ…ガチャッ!ギィィッ……
女店員「…おっはよー!」
銃士「おはよう」
錬金術師「」チーン
新人鉱夫「」シーン
女店員「…って、店長~~~~っ!?」
銃士「新人鉱夫までっ!?ど、どうしたんだっ!?」
錬金術師「あ…あぁ……」ピクピク
新人鉱夫「既に朝…でしたね……」
女店員「ち、ちょっと!?」
銃士「二人で倒れてどうしたんだ!?」ボロッ…
錬金術師「…うっ」ガクッ
新人鉱夫「眠い…です……」ガクッ
女店員「ち、ちょっとおおっ!?」
銃士「し、しっかりしろ~~!!」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 20分後 】
女店員「……そういうこと。」
銃士「記帳をね…。そういや確かに、ずっとしてなかったね…」
錬金術師「挙句の果てに、倉庫がいっぱいで寝るところがない」
新人鉱夫「どうしましょうか…」
女店員「…店長、記帳は終わったの?」
錬金術師「思い出せる限り、2月分から終わったが」
女店員「ちょっと見せてくれる?」
錬金術師「ほれ…」ポイッ
…パサッ
女店員「えーっと……?」
…
……
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【 3月17日 現時点でのお店の経営収支 】
■収入
・2月以前、販売および臨時講師の700万ゴールド
・中央商人との納品契約(週1回で30万ゴールド)
→7回目で210万ゴールド
・アクセ職人との納品契約(月1回で40万ゴールド)
→1回目で40万ゴールド
<合計+950万ゴールド>
■支出
・2月以前の支出合計460万
・2月以降の3人の給料60万
・3月中の錬金術機関の契約給料合計15万(約)
・各アイテムの素材費用200万
<合計-735万>
■収支合計
・プラス215万ゴールド
(前回よりプラス25万ゴールド)
【 現時点でのお店の経営情報 】
■お店
・平屋1階建て
・少し広い倉庫
■店員関連
・店長補佐1名
・ハンター1名
・鉱石採掘師(鉱員)1名
・錬金師(契約社員)4名
■販売物
・自動採掘道具(20万ゴールド)
・鉱石類(鉄鋼1000、銀5万、エレクトラム20万ゴールド)
・ライフマナ回復ポーション(5000ゴールド)
・バターピーナツ(サービス)
・装備類の修理等(時価)
・マジックエアーコンダクター(10万ゴールド)
・採掘パワーアップユニット(10万ゴールド)
・超回復瓶(10万ゴールド)
・オリジナル魔石(1個辺り3,000ゴールド)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
……
…
女店員「……うわ、なんか久々に見たよ」
銃士「新しい部分も記帳されてるね。前回と比べてプラス域にはなってるんだ」
女店員「ワイドレンジでチンがなかったら、もっとプラスだった気がするんだけど」
錬金術師「ワイドレンジピーナツ器だっての…。」
女店員「あはは…。でも、このペースならプラスを維持できるね?」
錬金術師「それはそうなんだが、恐らく魔石類やマジエアコン類が動くのは4月初頭からだし…」
錬金術師「それまでに、貯めた在庫をどうするかって話だ」
女店員「…倉庫がいっぱいなんだっけ」
錬金術師「寝るところもねえよ…。だが、これだけの量ないと不安なわけで…。」
女店員「だから、お店側でダウンしてたんだ…」
錬金術師「そーいうこと…。」
錬金術師「ふわぁぁ……。マジで疲れた……」
新人鉱夫「コーヒー淹れましょう…か……」
女店員「…さ、さすがにお店側で寝てていーよとは言えないからなぁ」
銃士「というか、今日の夜からどうするんだ?」
女店員「…そうだよね」
銃士「簡易な宿泊施設でもいいと思うが、二人で1万ゴールドは下らないだろうし」
錬金術師「んーむ…」
錬金術師「俺はココでいいから、新人鉱夫だけ宿泊施設に泊まらせるわ…」フワァ
新人鉱夫「えっ、いえいえ…!僕がお店側で寝ますよ!」
錬金術師「遠慮すんなっての。いいよいいよ」
新人鉱夫「でも…」
錬金術師「4月1日まで倉庫も空かない。それまで、新人鉱夫の分の宿、予約とるわ」
新人鉱夫「う、うーん…」
女店員「…うちのアパートに泊まってとはいえないし」アハハ…
銃士「…入れても三人だからな。四人はきついか」
女店員「雑魚寝ならなんとかなる?」
銃士「…ギュウギュウになるが」
女店員「…ギュウギュウ」
錬金術師「…あぁ、懐かしいな。」
錬金術師「そういえば倉庫の拡張の時、お前のアパートに泊まったっけ」ハハハ
女店員「…風呂まで覗いてね」ニコッ
錬金術師「」
女店員「…ね?」ニコッ
錬金術師「あ、暗黒の歴史をほじくり返すなっ!!」
女店員「…ねー」
新人鉱夫「…昔は店長さん、今よりヤンチャだったんですよねぇ」
銃士「ははは、そういやそんな事も聞いたことあったな」
女店員「あはは…。」
女店員「…」
女店員「………あ、そうだ」
錬金術師「んあ」
女店員「あ、あと1人なら寝れるし…。て、店長が良ければうちに…泊まる…とか……?」
錬金術師「えっ」
女店員「じ、銃士も良ければだけど」クルッ
銃士「…えっ、いや!わ、私は別に…いいけど……」
新人鉱夫(…攻撃的ですね!)
錬金術師「いやいや、だけどな」
女店員「店長なら一回うちに泊まってるし、別に今更…だし。」
女店員「っていうか、私の身体に入れ替わった時にも泊まってるし……」ジトッ
錬金術師「あ、あぁ…。そういやそうだな……」
女店員「大変な時期だから、お金も勿体ないし…。」
女店員「店長が良ければ、新人鉱夫に店を任せてうちに泊まっても…いいけど……とか」チラッ
銃士「う、うむ…。そうだな……」チラッ
錬金術師「…」
錬金術師「…」
錬金術師「……あ、だったら新人鉱夫のほ」
新人鉱夫「店長さん、僕は実は前からココで一人で寝泊まりしてみたかったんです」ペラペラ
新人鉱夫「ですので是非、僕はここで寝ますので、女店員さんたちとどうぞうどうぞ」ペラペラペラ
錬金術師「お、おう?ずいぶん早口な……」
新人鉱夫「た、たまには僕も一人でゆっくり休みたいなーとか思いますし!」
新人鉱夫「いい機会ですので、店長さんがどうぞっ!」
錬金術師「そ、そう…?」
新人鉱夫(…この流れから、本気で僕が女店員さんの家に泊まることになりかねません)ダラダラ
新人鉱夫(そしたら、絶対に僕じゃ寝れません…。む、無理ですから…!)カァァ
新人鉱夫(……それに、今は少しだけ何も考えず、静かに過ごせる夜が欲しいのが本音です…)
錬金術師「…し、しかしなぁ」
女店員「い、いいよ大丈夫っ!全然うちは大丈夫!」
銃士「…そうだな。大丈夫だ。私も一緒に夜を過ごした経験もあるし」
新人鉱夫(銃士さん、その言い方は……)カァッ
錬金術師「…お前らがいいならいいんだが。」
錬金術師「4月1日までになると思うし、2週間は滞在になんぞ?」
女店員「2週間…」
銃士「…か」
錬金術師「…そうなるだろ?」
錬金術師「やっぱり、普通に宿をとって……」
女店員「…だ、大丈夫っ!」
女店員「お布団も余分にあるし、着替えとかも私が洗濯もするしっ!」
錬金術師「…そうか?」
女店員「うんうん、だから大丈夫だよっ!」
女店員「今日の夜から大丈夫、うんっ!」
錬金術師「そ、そこまで言うなら…世話になるか……?」ポリポリ
女店員「うんっ」
銃士「賑やかになりそうだね」
新人鉱夫(…店長さんと、女店員さんと、銃士さんですか)
新人鉱夫(うぅ、怖いのもありますが…色々と想像しちゃいますね……)
新人鉱夫(い、いい、今の二人なら一緒にお風呂に入りかねないような……!)モンモン
新人鉱夫(……)
新人鉱夫(…うぅぅぅっ、ダメです!こんなこと考えてはっ!!!)ブンブンッ
女店員「じゃあちょっと、準備のために今日は少し早く帰りたいから…早退してもいいかな?」
錬金術師「あぁ、掃除とかもあるか」
女店員「部屋も少し空けられるところもあるし、そこも片づけちゃうから」
錬金術師「おう、了解した」
銃士「…晩御飯もいつもの量じゃ足りないな」
銃士「帰りに少し買い足しして行こうか」
女店員「あ、そっか。店長…何が食べたい?」
錬金術師「何でもいいかな。別に贅沢言うつもりもないし」
女店員「…でも」
錬金術師「いいから気にするなって。ただでさえ居候するみたいなもんなんだから」
女店員「ん~…」
錬金術師「そんなに言うなら、オススメでも作ってくれ」ハハハ
女店員「…そっか。じゃあ、任せて♪」
銃士「じゃあ私も手伝うよ。量も増えるし、大変だろう」
女店員「うんっ」
新人鉱夫(…愛されてますねぇ、店長さんっ。)
…………
……
…
それから、数時間後。
女店員は先に自宅へ戻り、片づけや準備を進めた。
そこへ、買い物を終えた銃士と店長がいよいよ女店員のアパートへ入り……
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 女店員のアパート 】
…ガチャッ!
銃士「ただいま~」
錬金術師「ういーっす」
タタタタ…
女店員「…あっ、おかえりなさい!」
女店員「と、いらっしゃい♪」
錬金術師「ういっす。マジで来て良かったのか?」
女店員「だから遠慮することないってば!」
女店員「…荷物とかも置いて、とりあえず座っていいよっ」
錬金術師「そ、そうか」
トコトコトコ…ストンッ
銃士「…さて、それじゃ。」
銃士「女店員と一緒に早速、料理でも作ろうか。晩御飯のメニューは何にする?」
女店員「ん~とね、今日はシチューでいいかなって。」
女店員「ルーで簡単なものだけど、銃士がとってきた材料でおいしく煮詰められるし」
銃士「そうか、それなら量もあるしね。」
銃士「ちょっと手伝う前に、部屋着に着替えたりしてくるよ」
タタタタッ……ガチャッ、バタンッ…
………
…
錬金術師「…」
女店員「店長はシチューとか大丈夫だよね~?」
錬金術師「ん、おうよ。大丈夫っつーか、むしろ好きだけどな」
女店員「そっか、よかったぁ。鶏肉をたっぷり入れた、特製のシチュー作るね♪」
錬金術師「そんな気を使わんでも…」
女店員「…だから、いいのっ!」
女店員「私がそういう風にやりたいだけだから、店長は気にしないでっ」
錬金術師「…迷惑かけてないならいいんだけどよ」
女店員「うん、大丈夫だよ」
錬金術師「それなら…いいか」
女店員「そうだよっ」
ガチャッ…タタタッ
銃士「…よし、着替え完了っ!」
銃士「女店員、私も手伝うよ。何からすればいい?」ビシッ
錬金術師「…お、銃士のエプロン姿を初めて見た」
銃士「はは、似合わないだろう?」
錬金術師「この間の事じゃないが、そういうのも可愛いと思うぞ」
銃士「!」
錬金術師「似合わないわけないだろ」ハハハ
銃士「そ、そうか…」テレッ
女店員(……むぅ)
銃士「それじゃ、料理の手伝いをするから…ゆっくりしててね」
錬金術師「はいよー」
錬金術師「……と、そうだ。女店員」
女店員「えっ…な、何っ?」
錬金術師「ここにある雑誌って読んでていいか?」ペラペラ
女店員「あ、うんっ。もちろんいいよ」
錬金術師「そうか。じゃあ遠慮なく」
…ペラッ
銃士「…」
銃士「…」
銃士「……ん?」ハッ
銃士「…………お、女店員…あのさ」ボソボソ
女店員「どうしたの?」
銃士「い、いいのか?」ボソボソ
女店員「何が?」
銃士「…あそこにある雑誌って、アレじゃないのか」
女店員「アレ?」
銃士「あの、本屋でこの間…買ったやつとか……」
女店員「…?」
銃士「月刊アルケミストの特集のやつとか、女店員が集めてる…ほら……」
女店員「…」
女店員「……あっ!?」ハッ
錬金術師「…お~、月刊アルケミストじゃねえか懐かしい。女店員も、こんなの読むのか。」ペラッ
錬金術師「そうそう…。昔は良く錬金術に関して、こういう雑誌で目を通したっけなぁ……」
ペラッ…パラッ……
錬金術師「…」
錬金術師「…ん?」
錬金術師「特集記事…。若き…マスターとなった伝説の…男の…………」
ダッ、ダダダダダダダダッ!!!
女店員「ったああああああぁぁっ!!」
…パシィッ!!ズザザザァッ!!
錬金術師「うおぉぉっ!?」ビクッ!!
女店員「ぜぇ、ぜぇ……!」
女店員「て、店長たんまっ!!」
女店員「これはその、あれだから、違うから待って!!」
錬金術師「…へ、へい?」
女店員「その、あれ、ヘソクリだから!」
女店員「ヘソクリが入ったりしてるから、ちょっと待ってぇぇ!!今整理するからっ!」
錬金術師「お、おう…」
女店員「…すぐ終わるからぁぁっ!」
バサバサバサッ!ガサガサッ…!!
銃士(…店長の記事や、昔の特集が組まれてる雑誌とかは少なくないわけじゃないからな)アハハ…
銃士(女店員てば、見つけるとつい手に取って、たまたま買っちゃってたんだよね…。)
銃士(錬金術の話は話題の種になるし、私が買ったのもあるけど……)
バサバサッ…!!
女店員(ここだけ片づけるの、すっかり忘れてたぁぁ…!)
……………
………
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 1時間後 】
…カランッ
錬金術師「…ぷはっ!ごっそさん!」
銃士「ごちそうさまでした」
女店員「ごちそうさまでした」
錬金術師「あ~…マジで美味かったわ」
女店員「えへへ…」
銃士「ふふ、ありがとう」
女店員「…それじゃ店長。お風呂入る?シャワー?」
錬金術師「あ~…。普段はどうしてんの?」
女店員「私一人の時はシャワーだったんだけど…、」
女店員「銃士と住むようになってから、ハンティングの疲労も癒すためにお風呂にしてるよ」
錬金術師「…風呂か。」
錬金術師「俺は…どっちかっつーとシャワーでもいいんだが」
女店員「店長も折角なんだから、お風呂に入りなよ」
錬金術師「…いやいや、それはいいわ。」
錬金術師「俺は最後の風呂でも気にしないが、二人が前も後も気にするだろ?」
女店員「…ううん、気にしないよ」
銃士「そうだね、私も別にいいかな」
錬金術師「…そう言うならいいんだが。じゃあ最後の後風呂でいいよ」フリフリ
女店員「最初でもいいのに?」
錬金術師「お客さんっつー考えじゃなく、居候で考えてくれって。そっちのほうが俺も過ごしやすいからな」
女店員「…そっか。じゃあ私たちから先に入ろっか」
錬金術師「そうしてくれ」
銃士「それじゃいつも通り、私から先に入ろうかな」スクッ
女店員「タオルと着替えはいつも通りだしておいたから~」
銃士「ありがとう」
トコトコトコ…、ガチャッ!バタンッ…
錬金術師「…」
女店員「…」
錬金術師「…」
女店員「…」
錬金術師「…ふぅ」
女店員「…」
女店員「……ね、店長」
錬金術師「んあ?」
女店員「なんか、店長って変わったよね」
錬金術師「…あーん?」
女店員「この1年で、凄く変わったよ」
錬金術師「そうか?」
女店員「うん」
錬金術師「…面倒くせーし、動きたくねーし、変わってないだろ?」
女店員「ううん、全然変わった。」
女店員「1年前は、私のお風呂覗いたり、アパートに乗り込んで、折角作った料理にダメだししたりしてたのに」クスッ
錬金術師「…うぐっ」グサッ
女店員「それが今じゃ、全然優しくなったよ」
錬金術師「……そ、そう?」
女店員「うん…」ニコッ
錬金術師「…」
錬金術師「…」
錬金術師「……そうか。変わった、か」クク
女店員「悪い意味じゃないよ?」
錬金術師「はは、分かってるって」
女店員「へへ…」
錬金術師「……そうだな、色々あったからな。この1年」
女店員「そうだね、お父さんのことが始まったのは去年の4月だったっけ?」
錬金術師「そうそう。あっという間だったな」
女店員「お父さんが支払ってくれた2000万ゴールドで、私たちは犯罪者にならなかったんだよね…」
錬金術師「たかだか2000万だが、それがそれ以上に重くてなぁ…。」
錬金術師「そこから改めて親父を見返すために、長い時間はかかったがようやくここまでこれた」フゥ
女店員「うんっ」
錬金術師「……それで、もしかすると今回で全てが終わるかもしれん」
女店員「え?」
錬金術師「俺が開発し、量産してるものは親父を見返せるかもしれないってことだ」
女店員「…あっ。それじゃ、これで認められるかもしれないんだ」
錬金術師「ある程度稼いで、純益で見返したら…親父に設計図と販売の権利を渡してもいいと思ってる。」
錬金術師「そうすりゃ、いくら親父でも認めてくれるはずだ」
女店員「そっかぁ…」
女店員「…」
女店員「あっ、でも!これで終わりじゃないんだから、しっかりこれからもね!私も頑張るから!」
錬金術師「わかってるっつーの!」
女店員「へへ~♪」
女店員「でも、良かったぁ……」
錬金術師「何が?」
女店員「前も言ったことあるけどさ、昔…私は中央都市で働こうと思ってたから…。」
錬金術師「!」
女店員「だけど、今は店長も、銃士も、新人鉱夫も。」
女店員「皆がいて、毎日が楽しくて……」
女店員「だから、こんな風にしてくれた店長には有難う…だよっ」ニコッ
錬金術師「…」
錬金術師「……有難うか。」
錬金術師「それはちょっと、違う言葉かもしれないな」
女店員「え?」
錬金術師「…」
女店員「そんなことないよ、私が店長に感謝してるんだから」
錬金術師「……違うんだ」
女店員「…?」
錬金術師「…」
錬金術師「……っ」
女店員「…?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 お風呂場 】
…ドキドキ
銃士(う、うぅ…。)
銃士(何かとつい不安で、聞き耳を立ててしまってる自分が情けない……)ハァ
銃士(…私が入る前の話で、きっと二人には二人の繋がりがあるんだろうな。)
銃士(でも、私だって……。)
銃士(…)
銃士「……くしょんっ!」
銃士(うぅ…。い、いつまでも裸で聞き耳をたてても風邪ひいちゃうか…。)ブルッ
銃士(聞いていたいけど、こんなのはダメだよな。)
銃士(うん、私は私のままで勝負するんだ。よし、お風呂に入ってすっきりしよう!)クルッ
……ツルッ
銃士「へ……」
ガツッ…
…………ドシャア!
銃士「いっ、いたい……!」
銃士「うぅぅ、油断した……っ」
銃士「…っ」
銃士「…」
銃士「…」
銃士「…………って」
カチャッ……ギィィ……
女店員「じ、銃士……!?」
錬金術師「ハーイ。」フリフリ
銃士「た、倒れた拍子にドア…が……!!?」サァァ
錬金術師「…どうした、脚を広げて。風呂前のストレッチか?」
銃士「」
銃士「……ッ!!!」
……バババババッ!
ガチャッ、バタンッ!!!
銃士(……い、一度ならずまたこんなことを~~~~っ!!)
銃士(もうダメだ、もうダメだ……)
銃士(う、うわぁぁぁ~~~~~!!!)
ガタンッ、ゴロゴロゴロゴロッ……!!
銃士(み、水風呂でもなんでもいいから心頭滅却~~~!!!)
ドタドタドタッ、バシャアアンッ!!
…………
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
女店員「じ、銃士……」カァァ
錬金術師「銃士はハンティングで身体使うからな。ストレッチは大事だな」
女店員「ち、違うの…。違うから……」カァ
錬金術師「そうなのか?」
女店員「……そ、そうだよ!っていうか!」
女店員「店長はあれ見て何も思わないの!」
錬金術師「あぁ、キレイな身体だよな」
女店員「」
錬金術師「銃士にも言ったがな、運動してるだけあって締まってて。」
錬金術師「だけど、女性らしく柔らかさもあり、女性からしたら憧れる身体なんじゃねーのっと」
女店員「……店長」
錬金術師「んあ」
女店員「それはね、セクハラ……」
錬金術師「…む、俺なりに褒めたつもりだったんだが」
女店員「はぁ~…」
錬金術師「セクハラかー…」
女店員(セクハラといっても、銃士にとっては純粋な嫌さじゃなくて……。)
女店員(多分、恥ずかしいとか、そっちの嫌だけど……)
錬金術師「この間も言ったけど、女心はよーわからん。」
女店員「う~……」
錬金術師「ま、これからは分かろうとするけどな。努力はするさ」
女店員「う、うんっ…」
女店員(それは、それ以前の問題の気もするけど……)
錬金術師「…」
女店員「うーん……。」
女店員「……店長ってさ、女心といえばー…」
錬金術師「ん?」
女店員「女性と普通にお付き合いしたことってあるの?」
錬金術師「あぁ、あるよ」アッサリ
女店員「へぇ、そうなんだ」
錬金術師「まぁな」
女店員「へぇ…」
女店員「…」
女店員「……って、うそっ!?」ガタッ!
錬金術師「な、なんだよ!?」ビクッ
女店員「わ、私もアッサリ聞いたからあれだけど…」
女店員「今の言葉、冗談じゃないよね!?」
錬金術師「なんでこのタイミングで冗談を言うんだよ」
女店員「え、い…いつ!?まさか今も!?」
錬金術師「いや今はいねーよ。昔の話な」
女店員「昔って…」
錬金術師「俺がまだ親父の下だった時。将来の結婚のための先にお付き合いしとけとかで。」
女店員「そ、それでその人とはどうなったの?」
錬金術師「俺が親父のもとを去る時に、別れは告げたよ」
女店員「…店長は、その人のこと好きだったの?」
錬金術師「いきなりすぎた話だし、恋愛とかより親父の下で働くほうが大変でなぁ…」ハァ
錬金術師「付き合うっつっても中央都市でたまに遊んだり、友達って感じしかなかったな」
女店員「そ、そっか……」
錬金術師「…昔の話だ。今はどっかの大企業のご子息と結婚でもしてんじゃねーか?」
女店員「へぇ~…」
錬金術師「……今さら関係のない話だって。」
錬金術師「俺も色々体験してっからな、そのうち話もしてやるよ」
女店員「うん…」
錬金術師「それにしても……ふわぁ……」クァ…
女店員「あ…。店長、眠い…?」
錬金術師「まぁな…。疲労もたまってるし…」ムニャ…
女店員「お風呂まで時間もあるし、布団敷くから先に少し横になってたらいいんじゃないかな?」
トコトコ……ゴソッ…
錬金術師「あ~…。悪いな……」
錬金術師「少しだけ…な…」
女店員「うん、お風呂に入れるようになったら起こすね」
錬金術師「あぁ……」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 1時間後 】
錬金術師「…」グゥグゥ…
銃士「…っていうわけで、すっかりダウンしちゃったか」
女店員「うん、もう起きないね」アハハ
銃士「…相当頑張ってるからな。やっぱり眠くもなるんだろう」
女店員「…ふふ」
銃士「どうした?」
女店員「ううん、少し安心しちゃったから」
銃士「安心?」
女店員「私の部屋で、休めないんじゃないかって思ってたんだけど……」
女店員「なんか気持ちよく寝てるようで、安心したの」
銃士「あぁ…。そういうこと…」ハハ
女店員「…店長がしっかり休んで、仕事も捗る環境をしっかり作らないと!頑張るっ!」フンッ
銃士「そうだな、私もしっかりやるさ」
女店員「…4月から、たくさん売れたら嬉しいなぁ」
銃士「きっと売れるよ、店長が倒れてまで造り上げた作品なんだから。」
女店員「だねっ♪」
銃士「…」
銃士「……店長、か」
女店員「?」
銃士「何か寝ているところを見るだけで、私も安心するよ」
錬金術師「…」スヤスヤ
銃士「…ふふ、ダメだ。何か笑みがこぼれてしまう」
女店員「うんっ…。なんか分かるっ」
銃士「今が本当に楽しいんだろうな。なんだろう、分からないけど…ね」
女店員「うん、楽しいよね♪」
銃士「……きっと、店長のことを好きだからなんだろうな」
女店員「……うん」コクン
銃士「そしていつか、この気持ちも伝えないと思う…。」
女店員「店長に好きだって…伝えるんだよね」
銃士「正直、自信はないよ。だけど、伝えたい。私の心からの恋として…。」
女店員「うん…。私も、いつか絶対に……。」
銃士「…何も言わなくても、気持ちが伝わればどんなに楽なんだろう。」
銃士「口を開いて、小さな一言を発するのがこんなにも勇気がいる日が来るなんて思わなかったよ」
女店員「…」
銃士「…」
女店員「…」
銃士「…」
女店員「…」
銃士「…さてと!私らも、明日は早いし寝ようか」フワァ…
女店員「うんっ…」
…………
………
……
…
錬金術師「…」
錬金術師「…」
錬金術師「…」
錬金術師「…」
錬金術師(……)
錬金術師(……そうか)
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 次の日(3月19日) 朝 】
チュンチュン……
…ガチャッ
錬金術師「…ふぅ~。悪かったな、朝風呂入れてもらって」
女店員「ううん、昨日入れなかったから。それと、ご飯出来てるよっ。」
錬金術師「……ありがとうな」
女店員「え?」
錬金術師「いや、色々とわざわざ用意してくれてさ」
女店員「…だから、気にしないでいいんだってば!」
錬金術師「…そ、そうか。」
錬金術師「…」
錬金術師「そういえば、銃士はどこに行ったんだ?」キョロキョロ
女店員「銃士は、早朝に起きて軽くランニングしてるんだよ」
女店員「20分くらい走ったあとに戻ってきて、ご飯食べたら一緒にお店に行くって感じかな?」
錬金術師「へー…。さすがだなあいつも…」
女店員「店長も今度、一緒にランニングしたら~?」
錬金術師「…体力がないって言いたいのか!」
女店員「私と一緒に走る?なんてっ」
錬金術師「…はは、考えておくわ」
女店員「えへへ…。とりあえずご飯食べちゃおう♪」
錬金術師「んだな、いただきまーす」
女店員「いただきまーすっ♪」
…カチャカチャ、パクッ…
錬金術師「うむ、美味い……」
女店員「簡単なものだけど、美味しいならよかった」
錬金術師「昨日も言ったけどさぁ…。女店員も銃士も、新人鉱夫も……」
錬金術師「料理の腕はあるんだよなぁ」
女店員「店長もそれなりに出来なかったっけ?」
錬金術師「出来るっちゃ出来るが、前はずーっとピーナツばっか食ってたからな」
女店員「うわ、出た…」
錬金術師「バタ―、シュガー、味噌、焙煎、全部美味いぞッ!」
女店員「た、確かに美味しいけど…」
錬金術師「あとで店に戻ったら、久々に食うかな~」
女店員「出されたら食べちゃうし、太る~…」ガクッ
錬金術師「はっはっは、お前もやっぱりそういうのは気にするか」
女店員「当たり前でしょっ!」
錬金術師「はっはっは…。ま、朝飯食っちまうか」
女店員「うんっ」
パクッ…
錬金術師「…」モグモグ…
錬金術師「…」ゴクンッ…
錬金術師「…」
錬金術師「あ、そういえば…。女店員、ちょいといいか?」
女店員「なぁに?」
錬金術師「前に約束してた、銃士とお前と、一緒にそれぞれ遊びに行くっつー話あっただろ」
女店員「あっ、うん!覚えててくれたんだ!」
錬金術師「4月から忙しいし、来週の真ん中…木曜日に行くか?」
女店員「!」
錬金術師「水曜日は銃士のハンティングの道具に付き合おうと思う。」
錬金術師「だから木曜日に、なんだっけ…ショッピングだっけ?」
錬金術師「一緒に行きたがってたやつ…。お前が良ければだが、行くかー……?」
女店員「……いくっ!!」ガタンッ!!
ガタッ…バシャッッ!
錬金術師「のぉぉおあああっ!!み、味噌汁ッ!!!あっぢぃぃぃぃいいっ!!」
ドタァンッ!ゴロゴロゴロッ!!
女店員「…あっ!?」
女店員「ご、ごめんっ!!今拭くからっ!」ババッ!
錬金術師「ば、馬鹿待て!」
女店員「私のせいだから、すぐに拭くから待って!」グイッ!!
…ゴシゴシッ!
錬金術師「あほ、待てっつーに!」
女店員「で、でも!」
錬金術師「そこは……」
女店員「…」
女店員「…あっ」
女店員「…」カァァッ
錬金術師「は、はは……」
女店員「きっ……!」
錬金術師「まずい、待てっ!叫ぶなっ!!」バッ!
…グイッ!ガバッ!!
女店員「きゃ…ッ!む、むぐぅぅっ!?」
錬金術師「朝から大声出すな、アパートなんだから、隣人に聞こえて誰か来たらどうする!」
女店員「むぐ~~~…!!」
錬金術師「ちょい、あまり大声を出すなっての!」グィィッ!
女店員「むっ、んむ、むぐぅ~~…!」
(ま、待って、わかったから…!)
女店員「…んむっ!?」ピクッ
(…って!?)
錬金術師「いいか、手を放すからまず落ち着いて……」
女店員「…む、むぐぅぅぅっ!!」
女店員「ん、んむ~~!」ブンブンッ
錬金術師「な、なんで暴れるんだっての!」グイグイッ!
女店員「んん゛~っ…!んんっ!(左手!)んん~!(左手ぇ~!)」
錬金術師「…」
錬金術師「…ん?」チラッ
…フニュッ
錬金術師「……あ、胸ぇ揉んでたわ」ハッハッハ
女店員「んんっ!!ん、んぐっ、むぅぅ~!」ブンブンッ
(わかったからぁ~!い、一回離して、落ち着くから~~!!)
……ガチャッ!
銃士「ただいま~」
女店員「」
錬金術師「お、戻ったか。お帰り~」
銃士「…」
銃士「……」
銃士「………て、店長?」
銃士「女…店…いん……?」
女店員「むむ、むぐぅぅぅ~~~!!」
(ち、ちがうの~~~!!)
…………
……
…
…
……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして お店 】
銃士「…ということがあったんだ。驚いたよ」
新人鉱夫「あははは、店長さんたちらしいですね!」
女店員「むぅ~…」カァァ
錬金術師「…悪かったよ!」
女店員「う~…。で、でも私も悪かったから、文句はないよ……」
錬金術師「ん、んむ…」
銃士(し、しかし…。)
銃士(……店長に抱きしめられてたのはずるい気がするぞ)フゥ
錬金術師「……で、銃士」
銃士「う、うむっ!?」ハッ!
錬金術師「来週の水曜日なんだが、前に約束してた買い物に一緒に行こうと思うのだが」
銃士「え、あ…え?」
錬金術師「言ってなかったか?」
銃士「あ…いや、言ってた!言っていた…うんっ!」
錬金術師「4月前で暇になるのがその辺だし、一緒に町に出ようか」
銃士「う、うんっ…!」コクコク
新人鉱夫(嬉しそうですねぇ…)ホッコリ
女店員(つ、次の日は私と二人だもん……)
錬金術師「ほんじゃ、約束な」
銃士「分かった♪」
錬金術師「ういっす、よろしく」
銃士「楽しみだな~…」ホクホク
錬金術師「…さてと、それじゃ俺はストック制作の続きでもしますか」クルッ
女店員「えっ?」
女店員「店長、もう製作するとか…体力は大丈夫なの?」
錬金術師「まぁな…。最近は休むことが多くて、大分楽になった。」
錬金術師「造れる時に造っとかないと、後々が大変なんだ」
女店員「そっか~…」
錬金術師「だから、今はとにかくー……」
……コンコン!
錬金術師「む…」
女店員「!」
銃士「お…」
新人鉱夫「…お客さんですかね?」
錬金術師「誰だろうかね…。まだ客は来ないはずだっつーに……。」
錬金術師「とりあえずいらっしゃいませ、どうぞ~」
…ガチャッ!
???A「ども…」ギロッ
???B「こんにちわ」
錬金術師「ん……」
錬金術者「お客さん……ですかね?」
???A「…」ギロッ
???B「……よ、銃士っ」ビシッ
銃士「……えっ?」ピクッ
錬金術師「ん、銃士の知り合いか?」
銃士「か、火炎魔道!風剣士!」
火炎魔道「…お、おう銃士」
風剣士「ういっす」
錬金術師「なんだ、知り合いか」
銃士「知り合いって言うか、ギルドに所属してた頃の元パーティメンバーだよ!」
錬金術師「あ、なるほど」
銃士「ど、どうして二人がここに!?」
風剣士「火炎魔道が、お前に愛を伝えにな」
火炎魔道「ちげーーよっ!バカッ!!」
銃士「い、いやいや…。二人とも本当にどうしたんだ!?」
銃士「中央都市から、わざわざ来たのか!?」
風剣士「銃士、落ち着け。俺らはギルドから発注されたお使いの話で来ただけだ」
銃士「お、お使い?」
風剣士「お前から受け取った超回復瓶。あれが好評でな、追加で欲しいそうなんだ」
銃士「!」
風剣士「追加でギルド所属メンバー分で50本。造れるか?」
銃士「50本!」
風剣士「無理にとは言えないんだが……」
銃士「あ、待って待って。」
銃士「そういう話は、店長に聞いたほうが…」チラッ
火炎魔道「…」ジロジロ
錬金術師「…」
火炎魔道「…」ジロジロ
錬金術師「……なぜ俺は、この男に熱い視線を向けられているのか」
銃士「こ、こらぁぁ!火炎魔道っ!」
火炎魔道「…これがお前の言ってた男か」
銃士「…ちょっ!」
火炎魔道「確かにかっこいいといえばかっこいいがー……」
銃士「…ちょっと待てっ!!」
…ガシッ、グイッ!!
火炎魔道「ぐえっ!!」
銃士「…そ、そういうことは店長の前で言わないで欲しいんだ」ボソボソ
火炎魔道「お…」ドキッ
銃士「頼むから…」
火炎魔道「わ、わかったわかった…!」
銃士「…頼んだよ」パッ
火炎魔道「ぬぐっ…!」
風剣士「ったく、オメーが悪いぞ…火炎魔道」
火炎魔道「へいへい…」プイッ
火炎魔道(……銃士の声、耳元で感じられたぜぇ)ニヘラ
錬金術師「えーと、それで……」
風剣士「あ、失礼しました…。うちの火炎魔道はアレなんで気にしないでください……」
錬金術師「はは…」
風剣士「えっと…。それで、超回復瓶に関してなのですが」
錬金術師「はいはい」
風剣士「先ほども聞こえていたとは思いますが、50本を追加発注したいのです」
錬金術師「50本……。こちらは無償提供というわけにはいきませんが…大丈夫ですか?」
風剣士「勿論です。サンプル以降の道具については、販売になると既に銃士から」
錬金術師「承知しました。」
錬金術師「……ですが、ちょっと」
風剣士「何か問題が?」
錬金術師「実は、4月以降からの販売と考えていたのでコストを落とすことがまだ完全ではなく…。」
風剣士「と、いうと…」
錬金術師「現在、コスト上…1本10万程の値段になってしまうんです」
風剣士「10万…」
錬金術師「うちの店員たちにも話をしていなかったのですが、」
錬金術師「元々うちの新しい御三家として販売する道具は"従来あったものの改良品"であり、」
錬金術師「各々の元の道具に、改良を加えた形となります。」
錬金術師「ですので、それぞれが元々の値段に上乗せされた形になるのでどうしても高額になってしまうんです」
女店員「超回復瓶は、お母さんの開発した回復瓶の改良品だったっけ?」
錬金術師「そうそう。あれ自体が3万ゴールドで、色々組み込んだりして調整で値段も跳ねあがるんだ」
女店員「なるほど…」
風剣士「…それで、現在の値段が10万ゴールド…と。」
錬金術師「早い段階でそれぞれが5万までは落としたいのですが、どうにも上手くいかず…。」
風剣士「…そういうことでしたか」
錬金術師「ですので、50本というのはそちらにとって…」
風剣士「なら、問題ないですね」ニコッ
ゴソッ……ボスンッ!!チャリンッ…
錬金術師「へっ…」
風剣士「1枚10万ゴールドの金貨で持ってきました。」
風剣士「それで、50枚の支払い。それで大丈夫でしょうか?」
錬金術師「!?」
風剣士「もし割に合わない場合、上乗せします」
錬金術師「い、いやいやいや!」
風剣士「これで、造っていただけますか?」
錬金術師「そ、そりゃ造りますが…!」
風剣士「では、交渉成立で!」
銃士「……風剣士。この大金はギルドから出したのか?」
風剣士「あぁ、ギルドマスターが大変気に入ってね」
銃士「え、ギルドマスターが?」
風剣士「…すぐにでも欲しいと、金を余計に準備してきてたんだ」
銃士「へぇぇ……」
火炎魔道「……ふん、良かったな。店長とやら」
錬金術師「へ?そ、そりゃ……」
火炎魔道「ちげーよ、そういう意味じゃねえからな?」
錬金術師「ん…?」
火炎魔道「うちの中央都市東ギルドは、名実とともに世界一と言っても過言じゃないギルドだ。」
火炎魔道「そこにお前の造った道具が認められたってことは、世界中のギルドから注文が入るかもな」
錬金術師「いっ……!?」
女店員「…そ、それ本当ですか!?」ガタッ!
火炎魔道「当たり前だろ。うちの方針が、世界中のギルドの方針になるっつっても過言じゃねーし」
女店員「じゃあ、注文も殺到して……」
火炎魔道「だからそう言ってんだろ。聞こえねーのか…」フン
女店員(……むっ。なんかこの人、昔の店長みたいな感じ)
錬金術師「……さて、どうするかな。」
錬金術師「今のストックがそこまでないから、すぐすぐっていうのは難しいわけで……」
風剣士「自分たちは、ここへ3日ほど滞在するので…」
風剣士「それまでに造って頂くこと等は可能でしょうか?」
錬金術師「…3日ですか。」
錬金術師「なら、隣町の機関にお願いして造ればなんとかなりそうだな……」
風剣士「…」ペコッ
錬金術師「…かしこまりました。3日後の22日の早朝までに仕上げましょう。」
錬金術師「22日の朝に、お店へもう1度来てください」
風剣士「…有難うございます」ニコッ
錬金術師「いえいえ」
銃士「…風剣士と火炎魔道、この町に3日も滞在するのか?」
風剣士「一応な。この辺は自然も多いし、ハンティングがてらって感じか」
銃士「なるほどね。良い場所が多いから、楽しいよ」
風剣士「時間もあるし、自然と戯れるさ」
火炎魔道「……な、なぁ。銃士はどこに今住んでるんだっけか?」
火炎魔道「お前が良けりゃ、遊びに行っても……」チラチラ
銃士「私は、この女店員の家に厄介になってるからね」アハハ
女店員「…」ペコッ
火炎魔道「……なんだ、そうか」
錬金術師「俺も今は一緒に居候状態だが」ハッハッハ
火炎魔道「…」
火炎魔道「…は?」
火炎魔道「な、なん……だと……?」ブルッ
錬金術師「ちょっとワケありで、ご厄介状態で……」
火炎魔道「き、貴様ァッ!!」
火炎魔道「ひ、一つ屋根の下で女と過ごしてるっつーのかァ!!?」
風剣士(なんか、火炎魔道の言葉が古くないか)
女店員(久々に聞いた)
新人鉱夫(半ばハーレムですが、言葉が…)
銃士(ひ、一つ屋根の下か……。確かに……)ドキドキ
火炎魔道「お、おいおいおいっ!!ふざけんなよっ!!」
錬金術師「倉庫がいっぱいで、寝るところがなくてー……」
火炎魔道「な、なんてうらやま…けしからんっ!!」
錬金術師「いや、何もないから…」
火炎魔道「いーや、嘘をつくな!!」
火炎魔道「風呂を覗いたり、たまたまハプニングとかって言ってエロいことをしてるに違いないっ!!」
風剣士「思春期かよ」
火炎魔道「だ、だって男なら!そんな状態で何もないわけがないと信じるだろ!?」
風剣士「あのな」
火炎魔道「そうに違いないッ!!そうなんだよッ!!」
錬金術師「…ふむ?」
錬金術師「銃士と一緒に風呂入ったりとか……。」
錬金術師「ハプニングで今朝、女店員の胸揉んだりはしちまったが」
火炎魔道「」
銃士「」
女店員「」
新人鉱夫「」
風剣士「」
錬金術師「…」
錬金術師「……まぁ、狙ってやったわけではないので仕方ない」ハッハッハ
銃士「し…」
女店員「仕方なくなーーーいっ!!!」
新人鉱夫「ですっ!!」
風剣士「…それは、正直少しだけ羨ましく思ってしまった」コホンッ
火炎魔道「じ、じじ…銃士と風呂だと……!?」ピクピク
火炎魔道「ぶ…っ!」
火炎魔道「ぶっころぉぉぉおおおすっ!!!」パァァアッ!!
風剣士「お、おい…。お前、何で魔力を練って……」
火炎魔道「大…火炎ッ!!!」ピカッ!!
銃士「ちょっ、火炎魔道!!」
風剣士「バカ、待ておい!!!」
火炎魔道「魔法ォォォォッ!!!」ピカッ!
風剣士「ちっ…!」パァァッ!
…ドゴオオオォォォォオオオオンッ!!!…
…………
……
…
…
……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 1時間後 】
風剣士「…そ、それじゃ失礼しました」ハァ
銃士「風剣士の咄嗟の魔法抵抗術がなかったら、店が粉々だったな…」
風剣士「落ち着かせるために、一回ぶん殴って気絶させてやったし…」
風剣士「旅館に戻って、目覚めた後もよく言いかせておくよ…」
火炎魔道「」チーン
銃士「そうしてくれ…」ハァ
錬金術師「…その、店や品物、店員たちが全員無事なのは嬉しい。」
錬金術師「だが、魔法抵抗術が俺だけ妙に弱かった気がするんだが」ブスブス…
女店員「店長が黒焦げ…」
風剣士「ま、間に合わなくて申し訳ない…」
錬金術師「い、いや。店を守ってくれただけ有難い…」コゲッ
風剣士「そうおっしゃっていただけると…。」
錬金術師「うむ…」ブスブス…
風剣士「そ、それじゃ、銃士…。」
風剣士「3日後にまた来るよ、また会おうな」
銃士「うん」
風剣士「では…」ペコッ
ガチャッ……バタンッ!
錬金術師「…」
錬金術師「……嵐のような男だったな」ゲホッ
銃士「元とはいえ、うちのメンバーが迷惑をかけて申し訳ない…」ハァァ
錬金術師「いや…。ま、気にするな……」
銃士「はぁぁ…。恥ずかしい……」
錬金術師「…だけど、ちょっと疲れた」
銃士「ごめん…」
錬金術師「銃士、お前に渡してた超回復瓶あったよな?」
銃士「あぁ、最初に造って私にくれたやつだよね」
錬金術師「それ、今持ってるか?つーか入ってる?」
銃士「そりゃもちろん…。ほら。朝も少し飲んだんだけどさ」
ゴソゴソ…スッ
錬金術師「…悪い、ちょっと飲ませて貰っていいか。エネルギーチャージだ」
銃士「えっ」
錬金術師「……って、嫌だよな。やっぱ倉庫の奥から」クルッ
銃士「い…!いや、いやいや!気にしないで!」
錬金術師「む…」
銃士「ほら、全然飲んでよ!っていうか、むしろ店長が嫌だとかじゃ…」
錬金術師「いや、普通に飲んでいいなら貰うぞ」
銃士「も、もちろん……」
錬金術師「じゃ……」グイッ
グビッ、ゴクンッ!!
錬金術師「……ぷはっ。」
錬金術師「…」パァァ
錬金術師「うしっ…。効くな、やっぱり!」
…コトンッ
銃士「…ち、ちょっと残ってるよ」
錬金術師「あ、すまん。さすがに全部は飲めないから、あとで俺が洗って入れ直しを」
銃士「…」
銃士「……っ!」グイッ
…グビッ!
錬金術師「お、おいおい。飲んでよかったのか?」
銃士「う、うんうん!全然!勿体なかったから!」
錬金術師「そ、そうか…」
銃士「うん…っ」
女店員(銃士…)
銃士(少しでも、店長との距離を縮めたいから。まるで学生のやり取りみたいだけど…)ハハ…
女店員(だけど、今の私にとっては羨ましかったかも…。)
銃士(負けない…)
新人鉱夫(うっ……)
新人鉱夫(……火花が。胃が。僕にも超回復瓶が100本欲しいです)シクシク
錬金術師「…うしっ。とりあえず一通りは落ち着いたし。」
錬金術師「少しばかり、ちょっと出かけてくるわ」スクッ
女店員「え、どこに?」
錬金術師「隣町錬金術機関。機関長らに、明後日くらいまでに超回復瓶の制作頼まないとな」
女店員「あ、そっか」
錬金術師「1本あたり3万と人件費がかかるが、約200万程の出費になるが、利益の500万を考えれば安いもんだ」
女店員「うん」
錬金術師「……夜遅くなるかもしれんから、18時にはあがってくれ。」
錬金術師「そんじゃあな」クルッ
女店員「いってらっしゃーい」フリフリ
銃士「行ってらっしゃい」
新人鉱夫「行ってらっしゃいです~」フリフリ
錬金術師「うい」
トコトコ…
錬金術師「…」
錬金術師「…」
錬金術師「……」フゥ
ガチャッ……バタンッ……
女店員「…」
銃士「…」
女店員「…」
銃士「…」
新人鉱夫(……戦争はどうなるんでしょう)ビクビク
女店員「…お客も来ないだろうし、みんなで掃除でもしてよっか?」
銃士「うん、私も手伝うよ」
新人鉱夫「…」
新人鉱夫「…」
新人鉱夫「……ほっ」
新人鉱夫(戦争が勃発しないかと、ヒヤヒヤしました……)
女店員(…)
女店員(ん~……)
女店員(なんか、出かける前の店長ってば……)
女店員(軽くため息ついたように思ったけど、なんか考え事してそうな感じだったなぁ……)
女店員(疲れてるわけじゃなさそうだから良いけど……)
女店員(……また、何か悩んでるのかな)
…………
……
…
…
……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 それから数時間後 隣町錬金術機関 】
機関長「…うむ、承知した。」
錬金術師「うちのストックが10個程で、どう頑張っても40個足りなかったんだ」
機関長「明後日までに40個なら軽いものだ」
錬金術師「材料費はこれで」スッ
…チャリンッ
機関長「…10万金貨か。20枚もいらないぞ」
錬金術師「ざる計算だけど、前回からの支払いも含めてな」
機関長「ふむ…」
錬金術師「…色々と助かる。ありがとよ」
機関長「なんだ礼なんざ、お前らしくもない」
錬金術師「まぁ、色々考える機会があってな。まだまだ子供だなーって感じたわけよ」
機関長「…ほう。それはいいことだ」
錬金術師「…」
錬金術師「……それとさ、もう1つ。」
機関長「なんだ?」
錬金術師「…その、アンタにこんな相談していいのか分からないんだが」ポリポリ
機関長「だからなんだ」
錬金術師「あ、あのさ……」
機関長「だから何だと……」
錬金術師「……まさかとは思ったんだが、女店員と銃士って俺のことが好き…なのか?」
機関長「」
錬金術師「今、あの二人のアパートに寝泊まりしてるんだが…。」
錬金術師「たまたま会話聞いちまってさぁ……」
機関長「い……!」プルプル
錬金術師「……い?」
機関長「今更か、馬鹿ものっ!!」
錬金術師「」キーン
機関長「お前な、今更気が付いたのか!」
錬金術師「そ、そんなにか?」
機関長「全く…。お前は頭が良いのに、心底バカだと思うぞ…」
錬金術師「ひでぇ」
機関長「というか、分かってるだろうな。」
機関長「フレンド的なライクじゃなくて、愛するラブの意味だぞ。分かってるのか」
錬金術師「分かってるっつーの!」
錬金術師「……信じられねぇよ、俺を好きになる女性が二人もいるなんてな」
機関長(なぬ、二人…?)
機関長(……術士先生のことは黙っておくか)ハァ
錬金術師「……だから、それにどう応えたらいいか、分からん。」
機関長「応えるって…」
錬金術師「そもそも、好きだとかなんだとか、付き合うとか…考えたこともなかった」
機関長「…」
錬金術師「……二人とも、俺には勿体ないほどの女性だ。」
錬金術師「その気持ちを分かってても、どっちかに応えることなんか出来ないっつーかさ」
機関長「…お前は、銃士も女店員も、好きという気持ちは持てないのか?」
錬金術師「正直分からん」
機関長「ふむ…」
錬金術師「だから今は、時が流れるのを待つしかねーっつーかさ。」
機関長「…」
錬金術師「待ってるだけの男っつーのも、最低クセーが」ハハハ
機関長「…」
錬金術師「ま、そういうこと。気持ちがあれば、素直に俺も言うさ」
機関長「…」
機関長「……って、待て。」
機関長「お前、もしも…女店員に告白されたらどうするんだ?」
錬金術師「そりゃ、その時の気持ちで」
機関長「いや、違うだろう。」
機関長「お前、女店員とは…アレなんだろう…?」
錬金術師「…」
錬金術師「……あっ」ハッ
機関長「…それも含めて、相談かと思ったが。」
機関長「もしそうなれば、お前は応えられるのか?答えられるのか?堪えられるのか?」
錬金術師「そ、そうか……」
機関長「…あの件について、まだ話をしてないんだろう?」
錬金術師「そ、そりゃ……」
機関長「もし好きだと言われれば、お前はそれを伝えなければいけなくなるだろう」
錬金術師「うっ……」
機関長「もし付き合えば、お前は女店員の家族と話すことになるやもしれん。」
機関長「そうなれば…」
錬金術師「…!」
機関長「…話すべきこととなるだろう」
錬金術師「い、いやそれは別の…」
機関長「別の問題ではないのは、お前が一番分かってるはず」
錬金術師「…っ」
機関長「…昔から、お前は強気だったが優しい心を持っていた。」
錬金術師「…」
機関長「錬成師の時も、女店員の時も、術士先生、銃士、新人鉱夫の時も。」
錬金術師「…」
機関長「…恐らくだが、今回の件で親父との因縁はひと段落つくのではないか?」
機関長「さすれば、落ち着いたところで彼女らがお前にその言葉を…ということもあるかもしれん」
機関長「そうした時に、お前は…彼女や彼女の家族へしたことをきちんと言えるか?」
錬金術師「…」
錬金術師「……いえる、わけがねぇ」
機関長「…なら、女店員の告白を何があっても断るか」
錬金術師「……言えない以上、俺の気持ちがあっても…断るしかないだろうな。」
錬金術師「だけど、その理由もまた話せない。」
錬金術師「かといって、その告白の勇気に、ふざけて断ったら悲しませる……」
機関長「…」
機関長「……どのみち、いずれはバレる。」
機関長「その時に、お前の気持ちがどっちにあるかは分からん。」
機関長「受け入れようが、断ろうが、この話は…するべきだろう」
錬金術師「…ッ!」
錬金術師「い、言えるわけがないだろうが!」
機関長「…お前の口から伝えることが、大事だ」
錬金術師「…む、無理だ!」
機関長「お前がやったことだろう……。」
機関長「その責任の意味もある。それを言って、お前も、心から解放されるのがいいだろう」
錬金術師「……っ!」
錬金術師「……い、言えるわけねぇっつってんだろッ!!!」
錬金術師「"女店員の家族を破滅させたのは、俺がやった仕事だった"なんてこと!!!」
機関長「…っ」
錬金術師「お、女店員の家族はな……。」
錬金術師「……中央都市へ全員が引越し、俺の店で働くことなんかあるはずなかったんだ。」
錬金術師「俺が若い頃、親父のもとで最初で最後になった"他者を破滅に追い込み利益を得る"仕事。」
錬金術師「それが…女店員の家族だったなんて…!言えるわけ……!!」ギリッ
機関長「…それでお前は崩れていく家族に涙し、親父のもとを去るきっかけとなった。」
機関長「やがて、うちの機関へと入り……。」
機関長「錬金術師のマスターになったのち、女店員の家族を気になったお前は、自分で調べた。」
機関長「だが、女店員は中央へ働いてもお前に潰されたせいで、どこへも働き口がないことに気が付いた。」
機関長「それを察したお前は、丁度始めようと思っていた自分の店へ……、だったか…?」
錬金術師「……その、通りだよ」
ギリッ……!
機関長「…お前や俺が面倒を見たり、雇ったりしている人間…。」
機関長「それはお前と知り合い、お前自身で責任を感じた人たち……か。」
錬金術師「……っ」
錬金術師「……女店員とのことは、俺の性格で本人に感づかれそうになったことはある。」
錬金術師「1年前の親父との一件の前後から、特に……」
………
…
女店員「そんなの知ってますよ。私だって、本当は中央都市の一流企業に行きたかったんですから」
錬金術師「多少の賃金の高さはあったが、よくこんな店に働いてくれたわ」
女店員「中央都市に行くつもりでしたが、色々あって町に残りましたし…」
錬金術師「…知ってるよ」ボソッ
女店員「え?」
錬金術師「何でもねーよ。つーか、最近"社長"顔出さないな」
…
………
錬金術師「…それに、この間のクーに関しても。」
錬金術師「まさか、女店員の関連資料まで出てくるとは思わなかった……」
………
…
錬金術師「ま~しかし、今はそんな情報はいらな……」
…ペラッ
錬金術師「…」
錬金術師「…っ!」
バッ…バババッ!!サッ!
女店員「ん…?」
錬金術師「…そ、そんな情報はいらないな!」
錬金術師「だから、次々と錬金術関係だけ洗い出すか、怪しい人物を見つけてくれ!」
女店員「店長、今…何か隠さなかった?」
…
………
錬金術師「それ以外にも、アルスマグナとの副長の差し入れをしてくれた夜。」
錬金術師「昔話を聞きたいと、C.マスター時代の話をしながらしゃべりそうになったこともあった…。」
錬金術師「……それでもなんとか、隠し通してきた。」
錬金術師「だから、今さら…。」
錬金術師「ここまで隠し通してきたのに、今さら、どの口が本当のことを言えるんだよ……」
機関長「…っ」
錬金術師「……無理だ。」
錬金術師「もし告白されても、俺は女店員へは振り向くことは出来ない…。」
錬金術師「例えあいつが許すといってくれても、俺は自分を許すことが…絶対に出来ない…。」
錬金術師「……無理なんだよ」ブルッ
機関長「…」
錬金術師「……ただの相談が、こんな重い話にしちまって悪かったな」
機関長「気にするな。俺も、お前の気持ちを軽く見過ぎて発言してしまった」
錬金術師「……もし何かあれば、また来るよ」
機関長「うむ、いつでも来い…」
錬金術師「制作できた超回復瓶は、3日後の朝一で俺の店へ運送配達で頼む。」
錬金術師「……よろしく」
機関長「…了解した」
錬金術師「じゃ、また……」クルッ
ガチャッ、バタンッ……
機関長(……)
機関長(……そうか。)
機関長(悩みの種は増えているだろうが、ココこそがお前へ与えた試練なのかもしれん。)
機関長(……お前の辛さは俺もしっかり分かっているつもりだ。)
機関長(そして、お前はそこを越えれば、再び…本当の自由へと戻っていくはずだ。)
機関長(頑張れよ……)
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・
・・
・
様々な悩みに揉まれる中、ついに女店員と銃士の気持ちに気づいてしまった店長。
しかし、女店員との間にはとてつもない大きな隠し事があった。
それを話すべきか、否か。
店長は、口で言いたくないと訴えながらも、その日は確実に近付いているであろうことを理解していた。
……そして。
そんな最中、いよいよあの男が立ち上がるのだが……。
その男は店長を阻止すべく、あちらへ再び足を踏み入れる決断を下す…………。
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 中央都市 セントラルカンパニー社長室 】
秘書「……例の3つのサンプルを入手しました」
親父「…マジックエアーコンダクター。」
親父「採掘のパワーアップユニット。」
親父「超回復瓶……か」
秘書「中央都市東ギルドが、既に超回復瓶の注文に入ったと情報も。」
秘書「これで、ご子息様のお店の売り上げは月辺り数千万へ跳ね上がるかと」
親父「…上手く造ったものだ」
秘書「4月の予想は、超回復瓶のみでそれの売り上げです。」
秘書「他の2種や、魔石の独占販売によって5月以降は億単位の売り上げになっていくものと思われます」
親父「…俺を見返すため、一度勢いづいたアイツは最後までやり通すだろうな」
秘書「……社長の目標は、再びご子息をわが社へ引き入れること。」
秘書「このままでは、ご子息を認めざるを得ません。」
秘書「そうなれば、我が社へ引き抜くことは出来なくなります。」
秘書「すぐにでも、対策を練るように指示を行った方がよろしいでしょうか」
親父「…ふん」
親父「認めるも認めないも、俺次第なのは分かるな……?」
秘書「…それでは、今回のことでもお認めにならないと?」
親父「…いや、今回のことは世界へ影響を与える一件だ。」
親父「これを認めねば、そう口外されたとすれば…世間より批判され、俺は立場を失いかねないだろう」
秘書「それでは、一体どうやって認めないと…」
親父「まぁ、俺は既に考えはまとめてある」
秘書「…どうなさるのですか?」
親父「簡単だ。俺が、息子の開発した道具と精製魔石を先行販売すればいいだろう?」
秘書「…!」
秘書「し、しかし社長。ご子息の造った道具と魔石は、ご子息にしか生成できないもので…。」
秘書「うちの錬金部門で開発を行えば、その技術と日数的に、莫大な費用もかかります。」
秘書「ご子息が、開発技術を公開するとは思えませんし……」
親父「あいつは、自分が造った商品がどれだけの価値かは理解している。」
親父「そこで、自分の身体を圧してでも必ず商品の量産は行うはず。」
親父「…だが、あいつが一人で多くの量を精製するのはまず不可能。」
親父「つまり…。どこかに生成魔石や道具の造りを依頼している場所があるということだと考えた。」
秘書「!」
親父「そこの目星は、大体ついている。」
親父「そして、俺の考えが本当かどうかも早急な調査のうえ……」
親父「そのまま"それを奪えば"いい…。」
秘書「そ、それは!!」
親父「奪ったそれを使って、俺らが先に量産し販売すれば…いい話だろう…?」ニタッ
親父「話に聞けば、まだ小さなサンプル配布程度しか行っていないらしいじゃないか……」ククク
親父「先に世界中の広報を通し、販売すればいい……」
秘書「しかし…!」
親父「…やはり、意地でもあいつはうちの会社へ引き込むべきだ。」
親父「"どんな手を使っても"…必ずな……」
秘書「し、社長っ!!」
秘書「お言葉ですが、今は昔と違います!」
親父「何…?」ギロッ
秘書「中央都市を含め、犯罪に関しては警備隊の捜査も及び、下手をすれば足がつきます!」
秘書「こ、こんな時代に罪を犯せば、社長ご自身が……!」
親父「足がつかない方法なぞ、いくらでもある……。」
親父「今もそいつらは俺から仕事を貰えないかと、心を躍らせているぞ…?」
親父「俺がのし上がってきた裏には、その人間たちの活躍があるんだからな……」ククク…
秘書「し、しかし…っ!」
親父「…"アルスマグナ"に連絡をとれ」バッ!
秘書「…ッ!!」
親父「副長が死んだおかげで、うちとの仕事もスムーズにやってくれるはずだ……」ハハハ!
…………
……
…
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・・・・
・・・
・・
・
…
……
……………
そして、3月23日(超回復瓶の納品の日)
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――――【 朝 錬金術師のお店 】
…コンコン
錬金術師「どうぞー」
ガチャッ…
風剣士「おはようございます」ペコッ
錬金術師「…あ、いらっしゃいませ。」
女店員「いらっしゃいませ」
銃士「お、いらっしゃい」
新人鉱夫「いらっしゃいですー」
錬金術師「約束の品ですね、お待ちしておりました」
風剣士「急なお願いでしたが、用意は大丈夫でしたでしょうか?」
錬金術師「えぇ、もちろんです」
風剣士「…有難うございます!」
錬金術師「ただ、数が多かったので10本単位で木箱にしまいました。」
錬金術師「表に木箱があったと思うのですが、あれの中に入れてありますので」
風剣士「あ、お店の外に…。わざわざ有難うございます」
錬金術師「さすがに運べないと思うのですが、馬車の用意などは?」
風剣士「ギルドからお金が出ているので、運送屋へお願いするつもりです。」
風剣士「色々と有難うございました」
錬金術師「いえいえ、運ぶ手立てがあるなら良かったです」
銃士「…」キョロキョロ
銃士「……風剣士、そういえば火炎魔道はいないのか?」
女店員「あ、そういえば爆破の人がいないね」
風剣士「爆破の人ですか」ハハハ!
風剣士「彼なら、運送用の馬車の手配をしてもらっていたので…そろそろ来るはずですが」
…ガチャッ!
火炎魔道「…ういっす」
風剣士「…っと、来ましたね」
銃士「おはよう、火炎魔道」
錬金術師「い、いらっしゃいませー…」
女店員「いらっしゃいませ」
新人鉱夫「おはようございます」ペコッ
火炎魔道「…風剣士、品物の確認はしたのか?」
風剣士「もちろんだ。あとは運ぶだけさ」
火炎魔道「うい。馬車も外にいるから、あとは中央に戻るだけで大丈夫だろ」
風剣士「了解」
銃士「…二人とも、わざわざ中央からお店のほうまで来てくれてありがとう」
火炎魔道「仕事だからな。礼を言うことじゃないだろ」
銃士「そっか」
火炎魔道「じゃ、とりあえず…またな。銃士……」
銃士「うん、またね」
火炎魔道「また。また……な……。」ハァ
女店員(…)ピーン
女店員(……あ、この人ってもしかしてとは思ってたけど)
女店員(やっぱり、この間…銃士が言ってた告白の人…だよね)
火炎魔道「…」
火炎魔道「…………じ、銃士!」
銃士「うん?」
火炎魔道「必ずまた、中央に来いよ!」
火炎魔道「ぜってーだぞ、待ってるからな!!」
銃士「はは、分かったよ。暇を見て、またギルドに顔は出すつもりだから」
火炎魔道「…約束だぞ」
銃士「分かってるよ」
火炎魔道「…っ」
火炎魔道「……あ、そうだ!店長、オメーさ」チラッ
錬金術師「オメーて」
火炎魔道「いいか…!銃士に、ひどい目とか面倒なことさせんなよ!!」
火炎魔道「そしたら、この店吹き飛ばすからな!!」
銃士「こ、こら!火炎魔道っ!」
錬金術師「ふ、吹き飛ばされるのは困るなー…」
風剣士「そういう言葉はやめとけ…。お前が言うと、洒落に聞こえねーから…」
火炎魔道「当たり前だ、本気に決まってんだろ」
風剣士「余計にふざけんな!」
火炎魔道「ふんっ」プイッ
銃士「て、店長…。本当にすまない……」ガクッ
錬金術師「い、いや…。いいってことよ……」
風剣士「…それじゃ、本当に失礼しました。そろそろ戻りますんで」ペコッ
火炎魔道「……またな」
銃士「うん、元気で」
錬金術師「有難うございました」
女店員「ありがとうございました」ペコッ
新人鉱夫「ありがとうございましたっ!」ペコッ
風剣士「…早く来い、このバカッ」グイッ
火炎魔道「い、いででっ…!!」
…ガチャッ!
……バタンッ……
錬金術師「…」
錬金術師「…」
錬金術師「……ふぃ~」ヘナッ
銃士「本当に、何度も迷惑かけて申し訳ない……」
錬金術師「愉快な仲間たちってことで。」
錬金術師「別に気にしねーよ」ハハハ
銃士「そっか、ありがとう…」
女店員「…ねぇ銃士」ボソッ
銃士「ん?」
女店員「火炎魔道って、あの…銃士に告白の?」
銃士「あ、やっぱり分かっちゃったか…」
女店員「うん…」
銃士「人のために一生懸命になれる良い奴だと思うんだけど…」
女店員「だ、だね……」
錬金術師「…さて、今回のこともさっさと記帳しておくか。」
錬金術師「割と大金が動いたし、忘れる前に書いておいたほうがいいな」
女店員「今日は月曜日だし、中央商人さんの納品と分と合わせて…かな?」
錬金術師「あとで納品運搬屋も来るし、先に記帳しておくわ」
女店員「うん」
錬金術師「簡易だが、前回の17日から比べて単純に370万が増えた感じか」
女店員「370万…」
錬金術師「倉庫側の金庫にしまってあるが、そろそろ銀行にも預けないとなー…」
錬金術師「とりあえず、俺が軽く記帳しておいて……っと」スッ
カキッ…カキカキ……
…
……
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【 3月23日 現時点でのお店の経営収支 】
■収入
・2月以前、販売および臨時講師の700万ゴールド
・超回復瓶の総合販売で500万ゴールド
・中央商人との納品契約(週1回で30万ゴールド)
→8回目で240万ゴールド
・アクセ職人との納品契約(月1回で40万ゴールド)
→2回目で80万ゴールド
<合計+1520万ゴールド>
■支出
・2月以前の支出合計460万
・2月以降の3人の給料60万
・3月中の錬金術機関の契約給料合計15万(約)
・各アイテムの素材費用400万
<合計-935万>
■収支合計
・プラス585万ゴールド
(前回よりプラス395万ゴールド)
【 現時点でのお店の経営情報 】
■お店
・平屋1階建て
・少し広い倉庫
■店員関連
・店長補佐1名
・ハンター1名
・鉱石採掘師(鉱員)1名
・錬金師(契約社員)4名
■販売物
・自動採掘道具(20万ゴールド)
・鉱石類(鉄鋼1000、銀5万、エレクトラム20万ゴールド)
・ライフマナ回復ポーション(5000ゴールド)
・バターピーナツ(サービス)
・装備類の修理等(時価)
・マジックエアーコンダクター(10万ゴールド)
・採掘パワーアップユニット(10万ゴールド)
・超回復瓶(10万ゴールド)
・オリジナル魔石(1個辺り3,000ゴールド)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
……
…
錬金術師「3月終了時点で、女店員らの給与が引かれると考えるても…」
錬金術師「それでも、まだ525万…。約500万程度の黒字か?」
女店員「…たった1、2ヶ月でこんなに」
錬金術師「いや、まだまだ。ケタを変えないと、親父に付きつけることは出来ん」
女店員「…ってことは、4月中の目標は5000万ゴールド!?」
錬金術師「おうよ」
新人鉱夫「い、一か月で5000万の売り上げですか!?」
銃士「凄いね…。そこまで高い目標を見据えてたんだ…」
錬金術師「今回は、親父を見返すのに加え、安定した販売ルートを確保することだ。」
錬金術師「4月の売上を見せれば、経営者として親父は…さすがに認めると頷かざるを得ないはずだ。」
錬金術師「それに加え、女店員には既に話をしていたが、」
錬金術師「俺の造った開発書と、権利書を親父に売り、それで全てを終わりにしようと思う」
女店員「…そういえば、うちで開発書と権利書を売り渡すって言ってたよね」
新人鉱夫「いくらくらいで渡すんですか?」
銃士「月売上を5000万とすると、簡単な年度決算で6億を生む卵ってことになるけど…」
錬金術師「…」
錬金術師「……売る値段は、30億だ」
女店員「さっ…!」
銃士「さん…じゅう……」
新人鉱夫「億ゴールド、ですかッ!?」
錬金術師「これでも、かなり安い。企業によっては、100億…いや。200、300億でも買うかもしれないな」
女店員「えぇっ!?」
錬金術師「確かに初月は5億程度と考えているが、これはあくまでも最初の段階の話だろ?」
女店員「あ…!そっか、商品がもっと世間に浸透すれば…!」
錬金術師「更に、何かしらのマイナーチェンジで新作をいくつも出せる代物だ。」
女店員「……専用の魔石による稼ぎも、どんどん増えるし」
錬金術師「最終的に考えれば、12ケタの数字を余裕で越す売上になるんじゃないか」
銃士「……1000億」
新人鉱夫「と、遠すぎる数字です」クラクラ
錬金術師「だが、うちとしても30億ばかりではもったいない話だ。」
錬金術師「これからの安定性も考え、権利は売るが、販売の権利と制作の権利の一部は貰う。」
錬金術師「うちからも販売を行い、店としての経営の安定化を図る」
女店員「な、なんか急に現実から夢の世界の話になった感じでフワフワする…」
銃士「店長は、そういうのを普通にする場所で働いていたんだよね…」
新人鉱夫「急に、店長さんが輝きだしたように見えます…!」
錬金術師「…」ピクッ
女店員「うん、やっぱり店長は凄いよ…」
錬金術師「…」ピクピクッ
銃士「…あぁ、世界一の店長って思えるよ」
錬金術師「…」ピクピクピクッ
新人鉱夫「…誰よりも、どこよりもカッコイイのがうちの店長さんなんですね!」
錬金術師「…」ピクピクピクピクッ!
錬金術師「…ふっ」
錬金術師「ククク……!」
錬金術師「ふははははーっ!!俺を崇めろ、俺の前にひれふせーっ!!」ババッ!
女店員(うわっ、久々に調子に乗った!!)
銃士(店長の、チョロスタイルのスイッチが入った!!)
新人鉱夫(調子に乗り始めました!)
錬金術師「わーっはっはっはっはっ!」ガハハ
錬金術師「どうだ、俺が本気を出せばこんなもんよ!はっはっはっはっ!!」キラキラ…
女店員(全く、すぐ調子に乗って……。だけど、なんか……。)
銃士(いつも真剣に立ち向かっていた店長もかっこよかったとは思うけど…)
新人鉱夫(やっぱり、店長さんといえば……)
錬金術師「これが俺の力だぁ~~~っ!!」ハッハッハッハ!
錬金術師「ビシビシいくぞ、おらぁ~~!!」ガッハッハ!!
女店員(こう、なんだよね!)
銃士(それに、私たちは……)
新人鉱夫(こんな店長さんが‥…)
錬金術師「はっはっはっは!!」
女店員(大好き…っ)
銃士(大好きだ…)
新人鉱夫(大好きですっ…)
錬金術師「……うむ、それでは諸君!」
錬金術師「俺についてくる 準備はいいかっ!!」
女店員「…全く、すぐに調子にのるんだから」クスッ
錬金術師「むっ…」
女店員「…私だって、全力で店長に尽くすから!安心してよ!」
…ポンッ!
錬金術師「…あぁっ!」ニカッ
銃士「わ、私だって、店長に尽くすつもりだからな!」
新人鉱夫「僕だって!」
錬金術師「…うむ、全員で乗り切るぞ!」
錬金術師「宜しく頼むっ!!」
女店員「お~っ!」
銃士「おーっ!」
新人鉱夫「おー!……ですっ!」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
店長と、女店員、銃士、新人鉱夫のそれぞれが改めて一致団結。
調子に乗った店長とともに、4月の決戦へと改めて決意を固めた。
そして、その決戦の前に少しばかりの休息が彼らにはあった。
そう…。
銃士、女店員とそれぞれ買い物をするという約束が……。
…
……
……………
3月25日(銃士と買い物の日)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 朝9時頃 錬金術師のお店 】
…ガチャッ!
銃士「お、おはよ~…」
錬金術師「…お、来たか」
銃士「う、うん…」モジッ
錬金術師「女店員は?」
銃士「今日はちょっと遅れるって」
錬金術師「…そうか。俺らは出かけるし、店番を直接に頼みたかったんだがな」
トコトコ……
新人鉱夫「…あっ、おはようございます銃士さん。」
銃士「やっ、おはよう」
新人鉱夫「あの、店長さん。少し聞こえましたけどー……、」
新人鉱夫「僕がお店番してましょうか?」
錬金術師「あれ、鉱石採掘のほうは大丈夫なのか?」
錬金術師「てっきり、今日は採掘のほうに行くのかと思っていたが」
新人鉱夫「はい、大丈夫です。倉庫のストックの中に、相当貯まってます♪」
錬金術師「…おっけい。んじゃ、女店員が来たら店番もよろしくって言っといてくれ」
新人鉱夫「はいっ」
銃士「……店長、まだ9時前だけどもう行くのか?」
錬金術師「朝からのほうがいいべ。それとも昼から行くか?」
銃士「え…。あ~……」
錬金術師「どっちでもいいぞ」
銃士(…うーん、女店員が来てから行くと、色々とアレかな……。)
銃士(っていうか、だから女店員が遅れて…)
錬金術師「色々回れるだろうし、朝からがいいなと思ったんだが」
銃士「……そうだね。」
銃士「朝から私に付き合って貰おうかな♪」
錬金術師「うむ」
新人鉱夫「えっと…。それじゃ、行ってらっしゃいです?」
錬金術師「んむ、もう出かけるよ」
銃士(ハンティング道具の購入や、お店周りは仕事のためとはいえ……。)
銃士(二人っきりだし、デートみたいな…ものか)テレッ
錬金術師「んじゃ、行くか?」
銃士「…う、うむっ!」ドキッ!
…………
……
…
…
……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして 商店街 】
ガヤガヤ…
錬金術師「…で、商店街についたわけだが。」
銃士「うんっ」
錬金術師「えーっと…。ハンティングの道具って、基本的にどういう店回りをしてるんだ?」
錬金術師「銃関係は俺がメンテナンスしてるし、銃弾なんかも揃えてるし……」
銃士「あ、それなんだけどね…。」
銃士「やっぱりハンティングは店長もやったし、わかってると思うけど、いらないものが基本的にないんだ」
錬金術師「ふむ…。確かにそうかもしれん」
銃士「携帯用のナイフ、砥石、非常食、治療キット、皮や布切れも使うし、石ころだって貴重な事があるし…。」
銃士「だから、私が普段見るのは"武器防具の取り扱い店"は勿論のこと…」
銃士「治療院から卸しをしてるポーションショップ、サイバイバルグッズを扱うお店、素材を扱うお店とかも…。」
銃士「とにかく、色々見て回るのが普通で……」
錬金術師「わ、割と数があるんだな。」
錬金術師「……全部回るのか?」
銃士「え、あ…。い、いや……。普段は回るんだけど……」
錬金術師「ふむ…」
銃士「だ、だけど…そうだよね…。興味ない人は面倒なだけだろうとは思うから……」
錬金術師「……いや、全部回ろう」
銃士「え?」
錬金術師「普段通り、全部回ろうぜ」
銃士「ま、待って…」
銃士「嬉しいけど、大変だよ?興味のないお店ばかり行っても、退屈になるかもしれないし…」
錬金術師「…いやいや、普段は回るんだろ?」
銃士「う、うん」
錬金術師「じゃ、いつも通りのルートで案内してくれ。一緒に見て回ろう」
銃士「…いいの?」
錬金術師「おうよ。銃士のこと、もっと知りたいしな」
銃士「えっ!?」
錬金術師「ほら、行こうぜ。沢山回るなら、時間が勿体ないだろう」
銃士「あ…っ!うんっ!」
銃士「じゃ、じゃあこっちから!」クルッ
錬金術師「へいよっ」
トコトコトコ……
銃士(わ、私のことがもっと知りたいって、確かに今……。)カァ…
錬金術師(……もし好きだと言われたら、銃士の何も知らずにノーとは言えないだろう。)
錬金術師(その時が来て、銃士を深く知っていたら、その時の感情も変わるかもしれん。)
錬金術師(何も知らないで拒否するんじゃなく、それを知ってから、初めて応えてやりたいしな…。)
錬金術師(銃士のことを知って、これから俺の気持ちがどう動くかは…分からないんだから)
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 ウェポンショップ 】
ワイワイ……ガヤガヤ……
錬金術師「…へぇ、ここが武器とか防具の量販店なのか?」キョロキョロ
銃士「うん。さすがに銃とかは数が少ないけど…」
銃士「ここのお店は、新作の武器や防具を早いペースで新作を仕入れてくれるんだ。」
銃士「新作で気になるのがあれば、触っておきたいからね」
錬金術師「ふーん…。」
錬金術師「短剣から、片手剣、大剣、斧、槍、大鎌、杖、ナックル…」
錬金術師「すっげーな、こんな品揃えがいい店があったのか」
銃士「でしょっ!」
錬金術師「うお、俺らの錬金師が扱う道具類まであるし……。」
錬金術師「それに、あの額縁に飾ってある武器……ケタ間違えてないか!?」
…キラキラッ…
銃士「…あぁ、あれは冒険者にとっては最高クラスのものだからね。」
錬金術師「大剣、杖、ナックル。1つ…数千万て書いてあるぞ!?」
銃士「絵本にもなってる、英雄剣士、英雄魔法使い、英雄武道家、英雄戦士の武器のレプリカだよ。」
銃士「本物はもっと凄かったらしいけど、それでも最高級の竜素材を使ったモノでさ…。」
銃士「武器防具を取り扱うお店の、商売繁盛を願って飾るお店も多いんだって」
錬金術師「ははぁ~……」
銃士「あの種類を扱う冒険者は、やっぱりみんな欲しがってたねー。」
銃士「私は店長が調整してくれた銃が、一番馴染んでるけど」
錬金術師「銃自体、俺ら錬金師が生み出したもんだったしな…」
錬金術師「銃弾や銃も、鍛冶屋には負けねーよ」
銃士「はは、店長が調整してくれたものだし…。世界一の銃だよきっと」
錬金術師「当たり前だ」ハハハ!
銃士「…大事にしてるし、これからも大切にするから」
錬金術師「うむ」
銃士「…」キョロキョロ
銃士「……うん、新作なんかもないみたいだし、見た感じ掘り出し物もないね」
錬金術師「もういいのか?」
銃士「沢山回ることになるし、興味がそそられなかったら次々いこっか」
錬金術師「……嫌いじゃねぇな、その立ち回り」
銃士「え?」
錬金術師「ほら、俺は面倒くさがりだからさ…」
銃士「あぁ、女の1つの買い物に長々と付き合うのは苦手だっていいたいのか」クスッ
錬金術師「……バレたか」
銃士「バレバレだよ。自分でさっきも言ってたしね、ふふっ」
錬金術師「そのくせ、男って自分の買い物には長く付き合って欲しいんだよな」
銃士「そういうものなんだ」
錬金術師「…我がままっつーことだ」
銃士「ふーん、じゃあ店長の買い物に付き合ってあげよっか。なんてっ」
錬金術師「はは、今日は銃士が主役みたいなもんだろ。案内は頼んだはずだぜ」
銃士「……じゃあ、文句言わずに付き合えるかなー?」
錬金術師「…無理かなー?」ククク
銃士「って、前もそういうやり取りしたよーな」
錬金術師「はははっ!気にするな!ま、次行こうぜ」
銃士「うんっ」
錬金術師「次はどこだ?」
銃士「近くにあるのはポーションショップで、その次にサバイバルグッズ店とかかな」
錬金術師「ポーションか、そこは俺も勉強になるな」
銃士「元々ポーションは光魔法の研究者たちが作ってたって聞いたけど……」
錬金術師「あぁ、そうだが。今は、俺らアルケミストが作ることも多くて…」
銃士「へぇ、そういう歴史とか…」
錬金術師「あぁ、それは…」
…………
……
…
…
……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 しばらくして 近くの公園 】
…ストンッ
錬金術師「ふぅ~…。ちょっと腰を下ろすか……」
銃士「店長、色々付き合って貰っちゃってるね。ありがとう…」
錬金術師「だから今日はそういう日だろうて」
銃士「…うん」
錬金術師「普段見て回らない場所も多く見せて貰ったし、俺も楽しいよ」
銃士「…そう言ってもらえると嬉しいな」
錬金術師「しかしなんだ、やっぱり俺は冒険者にはなれそうにねーな」ハハハ
錬金術師「準備は面倒だし、体力ねーし、向いてないってハッキリわかるわ」
銃士「でも、最近は私と一緒にハンティングしてたおかげか…体力はついてきてるじゃないか」
錬金術師「前ほど辛くはなくなったな」
銃士「…そのうち、私と遠征でどっか挑戦してみたり…する…のとか楽しそう…だ…な」チラッ
錬金術師「遠征かー…。確かに、面白いかもしれねえなあ」
銃士「!」
錬金術師「銃士は、ギルドに所属してた頃に遠征はいったことあるのか?」
銃士「んーとね、北方大陸の猛雪山とか南方大陸のエルフ族の住む砂漠の大地…。」
銃士「東部にある豪火山なんかもいったことあるよ。」
銃士「西部の塔はさすがに実力不足で登れなかったけど、悠久王国とかも行ったことはあるかなぁ」
錬金術師「世界中を冒険してたとは聞いてたが、そこまで行ってたのか」
銃士「大陸ごとの国には難易度別の依頼が用意されてたりしたから、割と出かけてたなぁ…。」
錬金術師「…今は、またそうやって世界に出たいと思わないのか?」
銃士「…」
銃士「…」トクン
銃士「……正直に、言うと」
錬金術師「おう」
銃士「……その時の楽しさは、未だに忘れられないよ」
錬金術師「…」
銃士「……だけど、今は今が楽しいから」
錬金術師「……そうか。」
銃士「うん」
錬金術師「…その言葉は、本当に嬉しい言葉だよ」
銃士「…」コクン
錬金術師「…」
銃士「…」
錬金術師「…」
銃士「…」
錬金術師「…」
錬金術師「……んじゃ、銃士」スクッ
銃士「うん…?」
錬金術師「休憩ばっかしてても、つまらんだろうし…残りの場所も見に行こうか」
銃士「うんっ」
錬金術師「うしっ。腹も減ったし、少し飯食ってから行こう」
銃士「あ、それならオススメの店も案内するよ!」
錬金術師「お、頼む。期待しちゃうぜー?」
銃士「うんっ!」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして夕刻 錬金術師のお店 】
ガチャッ、ギィィ……
銃士「…ただいま~」
錬金術師「ただいまー」
新人鉱夫「…あっ、お帰りなさいです!」
女店員「お帰りなさい!」
錬金術師「あっという間に時間が過ぎちまったなぁ……。」
錬金術師「まさかとは思うが、客とかは来なかったべ?」
女店員「うん。」
女店員「……"まさか客が来ないだろ"と、"うん"って、即座に口から出るのが悲しいけど」シクシク
錬金術師「はっはっは、嫌でも4月からは忙しくなるっつーの」
女店員「もちろん、そこは一生懸命頑張るからっ!」
錬金術師「ははは…。」
錬金術師「…っと」チラッ
コチ…コチ……
錬金術師「ん~、もう18時近いのか……」
女店員「そろそろ、今日の仕事もあがりだね」
錬金術師「うむ、どうせ俺も戻って来たし…今日は終わりで良いか」
女店員「わかった」
錬金術師「んじゃ、お疲れさーん」フリフリ
女店員「……で、店長。その前に」
錬金術師「んあ?」
女店員「明日は、私と付き合ってくれるんでしょ?」
錬金術師「…おうよ、約束だからな」
女店員「うん…」エヘヘ
銃士「…」
錬金術師「銃士も新人鉱夫も、今日はあがっていいからな」
新人鉱夫「あ、はい~」
銃士「あ、うん……」
錬金術師「えーと、それじゃどうすっかな…」
錬金術師「俺は俺で、みんなが帰ったら商品メンテナンスでもー……」
……ガチャッ!!
???「す、すみませんっ!!」
錬金術師「ん…」
女店員「え?」
銃士「むっ」
新人鉱夫「誰か来たんですか?」クルッ
錬金術師「だ、誰か来たって…いうか……」
錬金術師「お前は……」
……
…
錬成師「…せ、先輩ッ!!!」ゼェゼェ
…
……
錬金術師「錬成師!?」
新人鉱夫「錬成師さん!」
女店員「えっ!?」
銃士「な、なぜここに…?」
錬成師「先輩、た…大変です!大変なんですっ!!」ハァ…ハァ…!!
錬金術師「…落ち着け、どうしたんだ」
錬成師「はぁ…はぁ…ッ!!ごほっ…!」
錬成師「う、うちの…機関で……ッ!!」
錬金術師「機関で何かあったのか…?」
錬成師「み、見た事のない錬金師の服装を身に纏った連中が…!」
錬成師「うちの機関を襲い、火をっ!!」
錬金術師「……何っ?」
錬成師「だ、だか…ら……。こ、高速の馬車で……」
錬成師「僕…が……」フラッ
錬金術師「あ、おいっ!」バッ!
…ガシッ!
錬成師「…」ゼェゼェ
錬金術師「おい、しっかりしろ!」
錬成師「…」
錬金術師「錬成師ッ!!」
女店員「て、店長……!?」
錬金術師「……な、何だっつーんだ!」
女店員「ど、どうしよう…!」
錬金術師「…とにかく俺は一回、隣町錬金術機関へ行ってくる!」
女店員「う、うんっ!」
銃士「錬成師は私が治療にあたるよ!」バッ!
新人鉱夫「僕らが看病しておきます!」
錬金術師「すまん、頼めるか…」
銃士「任せてくれ」パァァ…
新人鉱夫「もちろんです!」コク
錬金術師「……それじゃ、ちょっと行ってくる!」
錬金術師「戻ってこれるか分からんから、落ち着いたら先に帰宅しておいてくれ!」
銃士「わかった」
女店員「うん…」
新人鉱夫「お気をつけて…!」
錬金術師「…頼んだ!」
錬金術師「…ッ」
錬金術師(……一体、何があったんだ)
タタタッ、ガチャッ!!
錬金術師(き、機関長たちは、無事なのか……っ!)ダッ!
ダダダダダダッ…………!!
……………
………
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
そして数時間後 深夜――……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 隣町錬金術機関 】
ザッザッザッザッ……!
錬金術師「はぁ、はぁ……っ!」
錬金術師「…っ!」
ザザァッ……
錬金術師「はぁ…はぁ……!!」
錬金術師「…」ハァ…
錬金術師「……」
錬金術師「………」
錬金術師「…………ッ!!!」
オォォォ…ォォ………ォォォ……!!!!
錬金術師「な、なん…だ……これ……?」ヘナッ
…ペタンッ
錬金術師「機関が、全部…燃えて……」
錬金術師「な…ん……」
ザワザワ…
隣町住民「おいおい、錬金術機関で事故か…?」
隣町住民「夜なのにすっげー明るかったよな。ボンボン炎あがってよ」
ガヤガヤ…
隣町警備隊「えー…みなさん、下がってください!深夜ですのでお静かに!」
隣町警備隊「火は無事に消えましたが、まだ危険ですので!」
錬金術師「…ッ!」バッ!
錬金術師「……お、おいアンタッ!!」
…グイッ!
隣町警備隊「わっ!な、なんだ!?」
錬金術師「一体ここで何があった!教えてくれ!」
隣町警備隊「火事ですよ。まだ詳細は分かりませんが、恐らく事故かと思われますが……」
錬金術師「…そ、そうか。えぇと、それとなんだ…!あれだ!!」
隣町警備隊「な、なんですか?」
錬金術師「中にいた面子は!?機関長は、術士先生は、白学士は!?」
隣町警備隊「…所属していた人たちのことですか?」
錬金術師「そ、そうだ!そう、その人たちはどうした!」
隣町警備隊「近くの治療院に運ばれたはずですが…」
錬金術師「住所は!場所は!」
隣町警備隊「あそこに見える通りを真っ直ぐ行けば、右側に看板が……」
錬金術師「……分かった!」バッ!
ダダダダダッ……!!
隣町警備隊「…あ、ちょっと!?」
隣町警備隊「…」
隣町警備隊「……ったく、なんだよ。礼くらい言えよ」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 数分後 隣町治療院 】
…ドタドタ!!
治療員「ちょっと!!こ、困り…ますから……っ!!」グイィッ…!
錬金術師「ここに運ばれてるんだろ、面会するだけだっつーの!!」ググッ…
治療員「確かにおりますが、今…何時だと思ってるんですか…っ!」
錬金術師「んなの関係ねーんだよ!!」
治療員「か、関係あるないの問題じゃー…!」グイイッ!
錬金術師「…き、機関長~~~っ!!!」グググッ!
治療員「ちょっ、そんな大声出されたら他の患者さんに迷惑…!」
ビュッ…ゴチィンッ!!!
錬金術師「がっ!?」ズキンッ!
治療員「!?」
錬金術師「……っつぅ~!?」ズキズキ
錬金術師「こ、このゲンコツは……」ハッ
機関長「聞いた声だと思ったら、やっぱりお前か…。馬鹿者、騒ぎ過ぎだ」
錬金術師「……機関長っ!」
………
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 機関長の入院部屋 】
機関長「…ったく、夜中の治療院で騒ぐバカがいるか」
錬金術師「だ、だってよ…」
機関長「…まぁ、心配してきてくれたのは嬉しいがな」
錬金術師「…」
機関長「そんなに心配そうな顔をするな。」
機関長「うちの機関にいた面子は、全員無事だ…。」
機関長「気絶させられたんだが、その時の打撃で血は出てないし……」
機関長「軽い火傷はしているが、他に怪我がないか別の部屋で検査入院ってことになっている」
錬金術師「そ、そうか…」ホッ
機関長「しかし、お前がこの時間に来たということは、錬成師が伝えてくれたんだな」
錬金術師「あぁ、息切らしてな…」
機関長「無事に着いてよかったぞ」
錬金術師「……それより機関長、一体何があったんだ」
機関長「…」
錬金術師「錬成師の奴は、知らない錬金師の服装の奴らが、突然襲ってきたと…」
錬金術師「そう…言ってたんだが」
機関長「…」
錬金術師「…あの火も、全部そいつらの仕業なのか」
錬金術師「一体、どうして…」
機関長「…」
機関長「……あいつらだ。」
錬金術師「あいつら?」
機関長「…」
錬金術師「あいつらって…」
機関長「…」
錬金術師「…まさか」
機関長「…」
錬金術師「……アルスマグナか!?」
機関長「…」
錬金術師「…ど、どうして!」
機関長「…」
錬金術師「機関長、アンタが襲われる道理が何かあったのか!?」
機関長「…」
錬金術師「機関長!」
機関長「…」
機関長「言っていいモノか悩むが、言わねば納得しないだろう。」
機関長「……狙われたのは、俺たちじゃない」
錬金術師「何!?」
機関長「お前の造った、設計図だ」
錬金術師「な、なにっ!?」
機関長「…アルスマグナの連中がな、お前の設計図を狙って俺らの機関を襲ったんだ。」
機関長「ご丁寧に火を放って、パニックになっているところに侵入して…俺は見事に気絶させられた。」
錬金術師「…一歩間違えば炎で焼け死んでたじゃねえか!」
機関長「たまたま、外回りだった錬成師が戻り、気付いて助けてくれたんだが…」
機関長「それが無ければ、全員が炎の中だったかもしれん……」
錬金術師「アルスマグナの奴ら…ッ!!」ギリッ…
機関長「…だが、結果的に全員が無事で良かった。」
機関長「俺はまだしも、部下までも失っては…申し訳がたたないどころの話ではなかった」
錬金術師「お、俺の造ったものを聞きつけて、それを狙ったのか…。」
錬金術師「すまない…。俺のせいで……」
機関長「お前のせいであるものか」
錬金術師「…いや、俺がそうなるかもしれないという考えが及ばかったのが悪いんだ」
錬金術師「落ち着いたら全員へ頭を下げさせてもらう…」
機関長「…」
錬金術師「……そうだ、機関長。何か残されたものはないか」バッ!
機関長「む?」
錬金術師「アルスマグナの連中の仕業だと、分かるものだ」
機関長「…ふむ」
錬金術師「今回のことは、許せたもんじゃねぇ……」
錬金術師「あいつらの仕業と分かるものがあれば、俺が犯人を見つけてやる…!」
機関長「…あるにはあるが」
錬金術師「何だ!?」
錬金術師「教えてくれ…!俺なら、アンタらを襲った連中を必ず探し出す!」
機関長「だが、今は大変な時期で」
錬金術師「関係あるかよっ!!」
機関長「お前…」
錬金術師「い、いや…。関係ないとは言えないが……」
機関長「…」
錬金術師「…頼む。どのみち、設計図に関しても何とかしないといけないだろう……」バッ
機関長「…」
機関長「……やれやれ。お前がここ最近、俺に頭を下げるのが珍しくないのが珍しいぞ」ハァ
錬金術師「それじゃ…!」
機関長「…奴らが落として行った、火をつけた際に使った魔石だろう」ゴソゴソ
…コロンッ
錬金術師「!」
機関長「遅かれ早かれ、俺もこれを解析して犯人を追うつもりではあった。」
機関長「お前のほうがそれは早いだろうし、任せるか」
錬金術師「や、奴ら、こんなものを落として行ったのか…」
機関長「一歩間違えば殺人だったこともあって、下っ端を使ったんだろう。」
機関長「それで、こんな犯人を追えるものを落とす失態となったんだろうな」
錬金術師「何でもかんでも、下へ任せる機関が仇となったわけだ」
ギランッ…
錬金術師「黒く深い輝きに、奥に輝く真紅の色。随分な高級品だな…。」
機関長「…錬成率は90%。脅威の数値を出す魔石だ」
錬金術師「機関の建物は耐火性も高い。ここまでの高級品を使わないと、燃えなかったんだろう」
機関長「…大方、入手できなくても"燃やせばいい"と考えていたんだろうな」
錬金術師「くそっ……!みんなまで巻き添えにしてまで…か……!」
錬金術師「…っ」
錬金術師「……ん?」ハッ
…キラッ
錬金術師「…………は?」
機関長「まぁ、多少砕けているが、それでも解析するには充分だろう」
錬金術師「……これは、まさか」ボソッ
機関長「…む?」
錬金術師「…」
錬金術師「………冗談だろ」パッ
ポロッ……
機関長「あっ、おい!何落として…!」
…パキャアンッ!!…
機関長「お、おいっ!!魔石が砕けて!!」
錬金術師「……馬鹿な。嘘だろ」
機関長「何がだ!!お前、何をして!!犯人捜しにつかえるものを!!」
錬金術師「犯人捜しなんか…。もう、必要ねーよ……」
機関長「何ッ!?」
錬金術師「は、はは……。」
錬金術師「くく…。はっはっはっはっはっ!!!」
機関長「ど、どうした…?」
錬金術師「はははははっ!!!」ククク…
錬金術師「さすがに機関長でも、これは分からなかったはずだ……」
機関長「何に…だ?」
錬金術師「それは、俺のいた……」
錬金術師「中央商社の、錬金術部門で扱う高級錬成魔石だよ!!」
機関長「!!」
錬金術師「真紅の奥に、欠けてはいたが、うちの部門を刻んだ文様が見えた…」
錬金術師「……設計図を狙ったこと、この高級魔石を使ったこと、そういうことだよ……!!」
機関長「な、なんだと!?」
機関長「ということは、まさか……!」
錬金術師「…"親父"だろう」
機関長「セントラルカンパニーの社長が!」
錬金術師「…機関長が見たのは、アルスマグナの制服で間違いないんだよな」
機関長「あぁ、確かだが…」
錬金術師「だとすると…。もう、繋がる……」
機関長「お前の親父である、中央商社の社長が!」
錬金術師「アルスマグナへ……」
機関長「設計図を奪うように…!」
錬金術師「依頼していたことに…なるっ……!!!」ギリッ…!!
機関長「ば、ばかな!?」
機関長「仮にも世界一の商社の社長が、この時代にこんなことを!?」
機関長「足がつく可能性も高いというのに、重罪紛いのことを!」
錬金術師「親父ならやりかねない!」
錬金術師「恐らく、今回のことで認めざるを得なくなったことで、それを阻止しようとしたんだ!」
錬金術師「俺の造った設計図をもとに、世界へいち早く売り出すつもりなんだ!!」
機関長「馬鹿なっ!!」
錬金術師「ふざけやがって……!!」
錬金術師「あの……クソ親父ッ!!!」
機関長「し、しかしこの魔石だけでは、部下が勝手にやったことだと言われればそれまでで…」
錬金術師「下に命令しようましまいが、責任問題は社長である親父になる!」
機関長「…っ!」
錬金術師「この町から、夜間の馬車は出ていたな。高速馬車で中央商社へ向う!」クルッ
機関長「ま、待て!」
錬金術師「……許せるものか。」
錬金術師「今回の事が、大事にならず済んだからいいものを……ッ!」
錬金術師「この魔石をつきつけ、二度とこんなことがないように…してやる……!」
錬金術師「それに俺の設計図のことも、店員ら全員で努力した証を!全て取り戻す……!」
機関長「!」
機関長「ま、待て!その前に俺の話を…!」
錬金術師「また、改めて謝りに来る。」
錬金術師「じゃあな……」
カツカツカツ…バタンッ!!
機関長「ま、待て……!話はまだ……!」
機関長「…ご、ごほっ!げほげほっ!」
機関長「ゲホッ……!」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
―――4月の決戦、女店員との約束の前に突然起こった事件。
だが、アルスマグナの失態で依頼者を見つけることが出来た店長。
しかし、その犯人はまさかの自分の父親だった可能性が高いことを知ってしまった。
この事態に、店長は混乱しつつも中央都市・セントラルカンパニーへと足を運びー……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 3月27日 朝 中央商社 】
ガヤガヤ…
商社人たち「…それで、次の契約がさ」
商社人たち「あー、俺も難しくてさ。企画書通りに進まなくて、怒られて」アハハ
商社人たち「こういう時、冒険者たちが羨ましくなるよな」
商社人たち「そうそう…」
商社人たち「……って」
商社人たち「えっ?」
…ザワッ!
商社人たち「なんだ…あの男……」
カツカツカツ……
錬金術師「…」
ザワザワ…
商社人たち「錬金師の格好…?」
商社人たち「うちの部門の人じゃねえよな、あんな恰好しねぇし…」
商社人たち「つーか、本社にあの恰好は禁止されてるはずじゃ……」
商社人たち「…ほら、受付さんが注意しに行くぞ」
タタタッ…
受付嬢「す、すみません!」
錬金術師「…」ギロッ
受付嬢「ひっ!」ビクッ
錬金術師「……アンタは、この間の」
受付嬢「あ…!社長のご子息様と言う…!」
錬金術師「社長はいるだろう。勝手に入らせて貰う」クルッ
受付嬢「ち、ちょっと待って下さい!勝手に!」
錬金術師「…クソ親父に用事があって来たんだ。無理にでも通る」
受付嬢「だ、ダメです!待って下さい!」
ガヤガヤ…
商社人たち「お、おい何だよアレ。不味いんじゃねえの?」
商社人たち「なぁに、すぐにガードマンが来るだろ」
商社人たち「……ほら」
ドカドカ…
ガードマン「…そこの錬金師、何をするつもりだ」
錬金術師「…」
ガードマン「…こっちを向け。暴れるなら、痛い目を見て貰わないと困るが?」
錬金術師「…」
ガードマン「…おい、聞いてるのか!!」バッ!
…グイッ!
錬金術師「…ってぇな、乱暴的なのは変わってねーのかオメーは」
ガードマン「…」
ガードマン「……なっ!!ご、ご子息様ッ!?」
…ザワッ!!
受付嬢「えっ!?ほ、本当に…!?」
商社人たち「はっ!?」
錬金術師「俺がガキの頃から雇ってもらってるくせに、俺の後ろ姿でわからないのか…」
ガードマン「…し、失礼しましたっ!!」ビシッ!
錬金術師「クソ親父に用事があるっつってんだろ…」ゴッ…
ガードマン「…は、はいっ!」
錬金術師「どけ」
ガードマン「…ッ」ペコッ
カツカツカツカツ……
…………
……
…
タタタタッ……
商社人「…お、おいガードマン!」
ガードマン「…」
商社人「あ、あの人が社長の息子ってマジなのか!?」
ガードマン「え、えぇ。自分がまだ入社したての頃から知っております」
商社人「あ、あの社長に息子がいたなんて」
ガードマン「…」
商社人「クソ親父とか言ってたが、一体どうして…」
ガードマン「さ、さぁ……」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 中央商社 社長室 】
親父「で、あるから……」
重役「えぇ、その路線でいけば間違いないと思われます」
親父「契約書は早急に準備させる。進めてくれ」
重役「はい」
…ガチャッ!!バタァンッ!!!
親父「ん…」
重役「な、なんですか!?」ビクッ!
秘書「誰ですか!ドアを乱暴に……!」
錬金術師「……よう、クソ親父」
秘書「…ご子息様っ!?」
重役「え…」
親父「…」
錬金術師「オメーに用事があって来たぜ、分かってんだろ」
親父「…」
親父「……重役、下がっていろ。このことは内密にな」
重役「は、はい……」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コチ…コチ……
錬金術師「…」
親父「…」
錬金術師「…」
親父「…」
錬金術師「…」
親父「…」
秘書「…っ」
親父「……黙っていては分からんな。何か用事か」
錬金術師「分かってるんだろうが」
親父「分からんな」
錬金術師「…クソ野郎が」ギロッ
親父「…」
錬金術師「オメーが依頼したんだろう」
親父「やれやれ、親に向かってお前とはな」
錬金術師「…ふざけんなよ」
親父「だから何だというのだ」
錬金術師「…アルスマグナへ俺の所属していた機関へ襲わせたのはアンタだろうが!!」
錬金術師「しらばっくれるのもいい加減にしろよ、クソ親父ッ!!」
秘書(…っ!)
親父「…何のことだかな」
錬金術師「ふざけんなよ…。状況が状況だったら、機関長を含め全員が死んでいたかもしれないんだぞ!」
親父「俺には関係のないことだ」
錬金術師「依頼主の言うことか!」
親父「証拠はあるのか?」
錬金術師「何だと!」
親父「俺が依頼したという証拠だ。根拠もなしに吠えているわけではあるまい」
錬金術師「……あぁ、あるぞ!!」
親父「…」ピクッ
錬金術師「…見せてやるよ、これだ!」
ゴソゴソ…スッ、コロンッ……
親父「…ただの砕けた魔石だろう」
秘書(あれは…!)ハッ
錬金術師「あぁそうだ。この商社が管理する、中央商社錬金術部門で使用されている高級魔石だ!」
親父「…」
錬金術師「砕けているが、文様はまさしくそれ。これが何よりの証拠だろうが!!」
親父「…」
錬金術師「…これを、中央都市の警備隊へ証拠として突き出す。」
親父「…」
錬金術師「そうすれば、誰がどう見ても…アンタが仕向けたことに違いはないとなるはずだ」
錬金術師「俺の設計図を奪うためだけに、命をも奪おうとした罪…!償ってもらうぞ!」
親父「…」
親父「……ふぅ」
錬金術師「…」
親父「…おい」クイッ
秘書「…っ」
親父「…おい!」
秘書「え…。あっ!はいっ!」
親父「アレを出せ」
秘書「は、はい…」クルッ
トコトコ…ゴソッ
錬金術師「アレ…?」
トコトコトコ…
秘書「こ、こちらになります……」スッ
…パサッ
錬金術師「んだこれは…」パシッ
錬金術師「…」ペラッ
錬金術師「……!」
錬金術師「……こ、これは」
親父「……生憎だがな。実は、うちの錬金術部門から"盗難"が発生してな?」
錬金術師「…ッ!」
親父「犯人は恐らく、アルスマグナの下っ端だと思うのだが……」
錬金術師「……ッ!!」
親父「うちも何人か襲われて、今、治療院に行っているんだ…。」
親父「もしかすると、その連中がお前の言う機関を襲ったのかもしれないがー……」
親父「うちも、被害を受けていてな……」
錬金術師「て、てめぇッ!!準備を…!!」
秘書(……やはりっ!)
秘書(アルスマグナを心から信用していなかった社長は、あらかじめ準備をしていた…。)
秘書(ただ盗まれたというだけでは、うちの管理能力が問われたかもしれない…。)
秘書(もし怪我人が出たのなら、社会的にも責任問題も大きく問われることはない……)
秘書(しかし今回、相手方が、命に関わることだったのは…理解しているのでしょうか……)ブルッ
親父「……で、なんだったか。」
親父「それは俺が依頼したという…証拠になるんだったか?」
錬金術師「……こ、これが人のやることかっ!!」
親父「知らんな」
錬金術師「ふざけんじゃねぇぞ…」
親父「…」
錬金術師「クソ親父が…!てめぇは、絶対に俺がころ…!!」
親父「……女店員と、銃士だったか?」
錬金術師「!?」ビクッ
親父「女というのは便利だな。その女を知らぬ男は喜び、知る男がひれ伏す」
錬金術師「お前、まさか…」
親父「地下に眠る、膨大な住所や個人の情報。さぁてな……」
錬金術師「裏に…売るつもりか……!」
親父「……まだ、歯向かうか?」
錬金術師「…ッ!!」ギリッ
秘書(…っ)
錬金術師「…」
錬金術師「く、くそがぁぁぁぁああっ!!!」
…ドンッ!!
親父「……ふむ。秘書、息子は帰るようだ。」
親父「ドアを開けてくれるか」
秘書「…は、はいっ」
トコトコ…ガチャッ、ギィィ……
錬金術師「このままで済むと…思うなよ……!」
親父「吠えていろ」
錬金術師「…っ!」スクッ!
トコトコ……
親父「…」
親父「……っと、そうだったな。1つ言うことがあった」
錬金術師「…」
親父「お前が入って来た時にいた重役だが、あいつはうちの錬金術部門の販売に関する奴でな。」
親父「実はこの度、うちで"マジエアコン"と"超回復瓶"、"パワーアップユニット"が完成してくれた」
錬金術師「…」
親父「それを、世界的にアピールして売ることになった。」
親父「……たまたま、うちの技術者が開発に成功したからな」
錬金術師「…」
錬金術師「……そうかよ」
ギィィィ……バタンッ!!
親父「…」
親父「……クク」
親父「所詮、お前程度では俺に歯向かうことが無理と言う話なのだ」
秘書「…っ」
秘書「……し、社長!」
親父「なんだ」
秘書「今回のことで、人の命が奪われそうになったという話は本当でしょうか!?」
親父「アルスマグナの面子だからな。自由にやれといっている」
秘書「…それを知っていて、アルスマグナへ依頼をなさったんですか」
親父「そうだが?」
秘書「…っ!」
親父「…何だ、なにか悪いことがあるか?」
秘書「…」
親父「…」
トコトコ…グイッ
秘書「うぐっ…」
親父「……最近、俺に意見が多すぎるぞ。」
親父「お前を拾ったのは誰だと思っているんだ。お前の家族を助けたのは誰だ?」
秘書「…っ」
親父「俺の目に適って、俺が雇い、お前の家族は救われた。」
親父「何にも従い、何にも意見せず、何にも受け入れ、その秘書としての能力だけを発揮しろといったはずだ」
秘書「…」
親父「…分かったのか、分からないのか!」
秘書「っ!」ビクッ
親父「…」
秘書「は、はい……」
パッ…
秘書「げ、げほっ……!」
親父「…俺に逆らう、歯向かう人間は誰だろうが許さん」
親父「今回の話は、息子に感謝しつつ…美味しく頂かせてもらおう……」ククク
秘書(こ、この…人は……)ゲホゲホッ…!
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
…
………
……………
それから……2日後。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 3月29日 早朝 お店の前の林 】
ザッ…ザッ…ザッ…
錬金術師(……やられた。)
錬金術師(完全に、やられた。)
錬金術師(親父が俺の動きを知っているだろうということは予想していたが……)
錬金術師(まさか、こんな方法で…。)
錬金術師(今日まで、短い間だが全員が頑張って来てくれたというのに、全てをダメにした。)
錬金術師(俺の考えが及ばなかったからだ……!)
錬金術師(俺のせいでみんなを危険にさらし、努力を無駄にし、意気揚々と乗り込んで負け戦か……?)
錬金術師(……情けない)
ザッザッザッザッ…
錬金術師(…会わせる顔がない。)
錬金術師(どう言えばいい。どう謝ればいい?)
錬金術師(また最初からになっちまった。設計図を奪われた以上、もう今は全てを失ったのと一緒。)
錬金術師(みんなに夢を見させて、自分で崩して、何やってるんだよ俺は……。)
錬金術師(……俺のせいだ。)
錬金術師(ダメだ。ダメだ…ダメだ…………。ダメだ…………………。)
錬金術師(仇も討てず、負けて、店へ戻るなんて……)
錬金術師(結局、俺は親父に敵わない存在だったのか……)
錬金術師(……ッ)
錬金術師(…)
錬金術師(……え?)ハッ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 錬金術師のお店の外 】
ガヤガヤ……
女店員「…っ」
機関長「そんな顔をするな。きっとアイツなら大丈夫だ」
女店員「で、でも…。一人で乗り込んだなんて……」
機関長「他の人間へ迷惑をかけたくなかったんだろう」
術士先生「そうですねぇ、店長先生はそういうところもあるんですよ♪」
銃士「きっと大丈夫さ」
錬成師「そうですよ」
新人鉱夫「えぇ、そうです!」
白学士「…僕らが顔を見せれば、きっと店長先生も安心しますから」
クー「…店長と会うの久しぶり!」エヘヘ
クーシィ「あまり迷惑かけちゃだめだからね?」
クー「はーい!」
中央商人「…やれやれ、当の本人はまだ帰ってこないのか」
女店員「…っ」
女店員「…」
女店員「……あっ!」
…ザッ
錬金術師「…っ」
錬金術師「……お前ら、どうして」
女店員「て、店長っ…!!」
錬金術師「女店員…」
機関長「…遅かったな。親父とは会えたのか?」
錬金術師「機関長…」
クー「…てんちょー!」ピョンッ!
クーシィ「あ、こら!」
…ギュッ!
錬金術師「クーに、クーシィ……」
…ザッ
中央商人「大丈夫か。中央へ行ってきたんだろう」
錬金術師「…中央商人さんまで」
白学士「店長先生!」
術士先生「店長先生、私たちは全然大丈夫ですよ♪」
錬成師「えぇ、僕も元気になりました!」
機関長「俺らは、お前が心配し過ぎるほどの傷はないからな!」
錬金術師「白学士、術士先生、錬成師……」
錬金術師「どうして、みんながここに…?」
銃士「……女店員が、呼んだんだよ」
錬金術師「は…?」
新人鉱夫「錬成師さんの話を聞いて、店長さんは中央都市へ一人で乗り込むかもしれないから…」
新人鉱夫「どんな結果であろうと、みんながいれば安心できるからって…」
錬金術師「!」バッ
女店員「…っ」
錬金術師「お前、そんな勝手に!」
女店員「ご、ごめんなさい……」
錬金術師「お前な……」
女店員「…だ、だけど!みんながいればって!」
錬金術師「…」
錬金術師「……いればって、どうして」ボソッ
女店員「えっ…?」
錬金術師「……俺は…一人で……」
女店員「てんちょ…?」
中央商人「……はっはっは、店長!負けたのか?」
…ポンッ!
錬金術師「っ!」
中央商人「分かっていたがな。お前じゃ勝てるわけもなし、今回のこと全てをダメにしたんだろう」
錬金術師「うっ…」
中央商人「一人でいたかった気持ちは分からんでもない。」
中央商人「だがな、こういう時に…お前を囲む仲間は何故いると思う?」
錬金術師「…ッ」
中央商人「誰一人、お前を恨むものもいやしないさ。」
中央商人「……ここに集まった全員が、お前を大事な仲間だと思っているからだ」
錬金術師「だけど、俺は機関長たちを危険にさらした!」
錬金術師「俺の考えが足りなかったせいで、危険にさらし、全てを駄目にした!」
錬金術師「少し考えれば分かっていたのに、俺が…俺が……っ!」
中央商人「…お前が悪いわけじゃない。」
錬金術師「だけど…!」
女店員「…っ」
女店員「……店長のばかっ!!」
錬金術師「」
錬金術師「……おい!俺は、俺なりに考えて!」
女店員「…だから、馬鹿ッ!」
錬金術師「は!?おま…!」
女店員「また、一人?」
錬金術師「!」
女店員「また一人で悩んで、また一人で倒れるの?またみんなに迷惑をかけて?」
錬金術師「い、いや…。え……」
女店員「…約束したのに。もう一人じゃ悩まないって」
錬金術師「だ、だがな!それとこれは!」
女店員「違わないっ!!」
錬金術師「いっ…」
女店員「店長のために、みんながこうして集まったのはね…」
女店員「店長が、突然姿を消して、一人で行動したせいなんだよ!」
女店員「私が呼んだのだけじゃなくて…。どうして集まったのか、分からないの……?」
錬金術師「…」
女店員「みんな、店長を心配してたんだから。」
女店員「一人で何でもしようとしないって、約束したのに……」
錬金術師「…」
女店員「したのに……」グスッ…
錬金術師「…っ」
銃士「…女店員は今回のこと、アルスマグナが関わっていると気付いて、ずっと心配してたんだよ」
錬金術師「…」
銃士「以前の一件もあるし、もしかしたら帰ってこないかもしれないってね」
錬金術師「…!」
銃士「店長にとっては、すぐに帰るつもりだったとか…自分だけで解決するとか」
銃士「そういう考えで、そこまで周りも心配していなかったって思ってるかもしれない。」
銃士「だけど、店長が関わっている闇を知っている私たちは、それ以上のことを考えているんだよ。」
錬金術師「そ、それ…は……」
銃士「何度も言うけど、こうして集まったみんながどうして集まったか…考えてみてよ」
錬金術師「銃士…」
機関長「……そう。お前一人で悩むことはないだろう。」
中央商人「お前が一人で走って、哀しむ人間がいると…。お前の為に悩む人間もいるんだと理解するんだ」
錬金術師「ムサイーズ…」
機関長「おい」
中央商人「こら」
錬金術師「…俺の考え以上に、みんなが俺を」
銃士「…そういうことだよ」
女店員「…っ」
白学士「…」
錬成師「…」
術士先生「…」
機関長「…」
中央商人「…」
クーシィ「…」
クー「…」
新人鉱夫「…」
銃士「…」
女店員「…」
錬金術師「み、みんな……っ」
錬金術師「…」
錬金術師「……」
錬金術師「…………」
錬金術師「…………ッ」
錬金術師「……ごっ…………」
錬金術師「……………ごめんっ!!!」
……バッ!!
白学士「店長先生…」
錬成師「先輩……」
術士先生「も~…!心配したんですよ!アルスマグナのことも…あって……」
機関長「もっと深く謝れ、馬鹿者が。一人で走りおって…」
中央商人「仲間の気持ちを、しっかり考えるんだぞ」
クーシィ「店長さん…」
クー「てんちょー…」
新人鉱夫「あ、あわわ…。店長さんがそんな深くお辞儀なんて…」
銃士「みんなの気持ち、分かってくれたみたいだね」
錬金術師「…心配をかけたこと、失敗をしたこと、迷惑をかけて、負けて…。」
錬金術師「色々あるけど、全部に…謝るから……!」
錬金術師「本当に…。ごめん……ッ!」
錬金術師「ごめんっ!!」
女店員「…」
女店員「…」
女店員「……うんっ」
錬金術師「…」グスッ…
女店員「……あっ」
機関長「……おっ!みんな、店長を見てみろ!泣いてるぞ!!」
錬金術師「あ、おいっ!」グシグシ
機関長「はっはっは、傑作だ!」
錬金術師「て、てめぇこの!!」
機関長「はーっはっはっはっは!」
女店員「…」クスッ
銃士「…さすが機関長さん。ああいう風に店長をイジれるなんてね」アハハ
新人鉱夫「店長さんの扱い方を分かってますねぇ」シミジミ
錬金術師「……くっ!」
錬金術師「だ、だけど謝ったところでこれからの問題が終わったわけじゃないし…!」
錬金術師「すべてを奪われた以上、また俺は最初から……」
機関長「…その事なんだが、お前は話を聞かずに飛び出しすぎだ。」
機関長「あの夜、お前に"最後まで話をきけ"と言ったのに……」
錬金術師「あん?どーいうことだよ」
機関長「これが何か分かるか?」スッ
…ペラッ
錬金術師「それは…」
錬金術師「……お、俺の設計図!?」
全員「…えっ!?」
機関長「病室で話そうとしたところを、勝手に飛び出しおって…。」
機関長「いいか、アルスマグナに奪われたものは偽物だ」
錬金術師「な、なぬ!?」
機関長「お前の親父が手段を選ばない事は知っていた。」
機関長「まさか、ここまでやるとは思わなんだが…。」
機関長「一応、偽物と本物をすり替えて置いたんだ」
錬金術師「…マジかよ」
機関長「盗まれたほうは、真っ赤な偽物。」
機関長「俺がお前の設計図を元にして造った、欠陥のある設計図だ」フン
錬金術師「……じゃあ、親父のところで造られる道具、商品たちは!」
機関長「少しすれば回路がヒートして、壊れてしまう偽物だ」
錬金術師「!」
機関長「…お前の親父ということで躊躇したが、ここまでしてもお前は文句は言わないだろう」
錬金術師「そ、そこまで読んでたのか!?盗まれることから、全て…!」
機関長「俺を誰だと思っている。」
機関長「……俺は、世界一と呼ばれた男を"育てた男"、だぞ?」ニカッ
錬金術師「…ッ!!」
中央商人「…店長、あのオヤジはどれくらいの規模で販売展開するつもりなんだ?」
錬金術師「え、あ…あぁ。恐らく、世界規模で販売をするつもりのはず…ですが」
中央商人「機関長から聞いたが、それは恐らく1ヶ月の持たない代物。世界規模で販売するとなると……」
錬金術師「…損害が莫大なものになりますね」
中央商人「あそこの錬金術部門も馬鹿じゃない。恐らく、販売後に問題のある欠陥部分を修復はしてくるだろうが…」
機関長「それは有り得ないはずだ」
機関長「あそこの部門では、どこが欠陥かは分かっても修復はまず不可能だろう。」
機関長「魔石の埋め込み部分の回路でな、それは俺と店長が現役時代に造った部分で、一般技術では修復は出来ん」
中央商人「ヒートするといったが、危険度は?」
機関長「爆発はしないし、ヒートした時点で強制停止。回路がちぎれて二度と使いものにはならないな」
中央商人「…とすると、人的被害はなし。」
中央商人「店長の親父は、店長の腕を信頼し…世界規模で売り出すとなると……」
機関長「広告費も含め、社運がかかるレベルでやってくれるのではないか?」
中央商人「恐らく。ここから考えれば……」ブツブツ
錬金術師「…」
錬金術師「…」
錬金術師「……はは」
女店員「……ん、てんちょ?」
錬金術師「いや、結局俺は一人じゃ勝てなかったんだなって」
女店員「…」
錬金術師「仲間がどれほど大事で、俺のことを想って、救われて、大切な存在で…」
錬金術師「それが嫌と言うほど身に染みる」
女店員「…みんな、店長が大好きなんだよ」
錬金術師「…んむ。俺もみんなが大好きなようだ」
女店員「えっへへ~♪」
錬金術師「…ありがとな。お前のおかげで、また悩み落ちするところを助けて貰ったよ」
…ポンッ
女店員「…うんっ」テレッ
中央商人「…」ブツブツ
中央商人「…………うむ。」パチンッ
中央商人「……よし。店長、いいか?」
錬金術師「は、はい!」
中央商人「……覚悟はあるか」
錬金術師「か、覚悟ですか?」
中央商人「俺の考えた算段で、お前の親父へ勝利することが出来るだろう」
錬金術師「へっ!?」
中央商人「だが、その意味は分かるはず。それに、嫌っていてもお前の親父だ。俺が決めることじゃない」
錬金術師「…」
中央商人「その覚悟があるのか、どうか。聞かせてくれ」
錬金術師「…」
錬金術師「…」
錬金術師「……親父は、多くの人に涙を流させ過ぎた。」
錬金術師「その報いとして、出来ることなら…。お願いします、中央商人さんっ!!」バッ!
中央商人「…」
中央商人「……あい分かった」
錬金術師「…っ」
中央商人「お前の因縁も、これで終わるだろう。」
中央商人「今日という日に、こんな舞台が整ったのは…神のおぼしめしかもしれないな」
錬金術師「…」
中央商人「お前の同意があるなら、やらせて貰う。中央商社、セントラルカンパニーを…崩すぞ!」
錬金術師「はいっ…!宜しくお願い致します!」
女店員「で、でも一体どうやってですか…?」
中央商人「今回の偽物の設計図での損害は、恐らく中央商社に大打撃を与えるはずだ。」
中央商人「店長の腕を信頼しすぎた、社長自身の行動のせいでな」
女店員「…!」
中央商人「ああいう巨大な企業では、そういった問題で重役たちが責任問題が発生する。」
中央商人「4月の月末会議にて、その議題で社長は、責任から退任するか迫られるはず…」
錬金術師「…」
中央商人「だが、あの社長はどうにか上手く乗り切ろうとするだろう。」
中央商人「そこへ俺らが乗り込み、本物の設計図を盾にし追い込みをかける。」
中央商人「犯人が分かっている以上、これほど簡単なことはない」
女店員「…ですが、あのお父さんならそれでも何か考えていそうですが」
中央商人「…だから、そこで銃士にもやってもらいたいことがある。」
銃士「え?わ、私ですか?」
中央商人「いい商品は、いい結びつきを作るものだ。それを踏まえ、銃士。君が頼りの一人となる」
銃士「…私に出来ることなら」
中央商人「…」ニヤッ
錬金術師「…」
錬金術師「……全員での反撃、か」
女店員「これで、お父さんの牙城が崩れるってこと…?」
錬金術師「…あぁ」
女店員「そっか…。」
錬金術師「……そうだ、女店員」
女店員「うん?」
錬金術師「長引いてすまなかったが、落ち着いたら一緒に約束の買い物に行こうな」
女店員「…うんっ!」コクン
錬金術師「…」ニコッ
女店員「…っ」ドキッ
中央商人「……店長!」
錬金術師「!」
中央商人「準備はいいな?」
中央商人「お前の親父の籠る城、お前を纏う鎖、全てを壊しにかかるぞ!」
錬金術師「……あぁ!」
錬金術師「やってやるさ…!」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
――――その夜。
全員が集まった記念に商店街のレストランで小さな決起会を開き、夜を楽しんだ。
そして、次の日から中央商社を崩すべく、それぞれが行動を開始。
そんなさなか、予想していた通り、中央商社"セントラルカンパニー"より3種の商品が大々的に世界規模で発売。
登場するや否や、生産が追い付かない程の大ヒット商品となっていった。
その様子を最上階で高笑いしていた社長だったが、
4月が終わるという頃に、あの機関長の仕掛けた"偽物"のカラクリが、動き始め…………。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 4月27日 早朝 錬金術師のお店 】
錬金術師「…」
女店員「…」
新人鉱夫「…」
銃士「…」
ウィーン…ポォォ……
錬金術師「……これが、俺の親父の作りだしたマジエアコンだが」
女店員「店長のそっくりだよね…」
錬金術師「もし、機関長の設計図通りに造ったとなると…稼働時間的にそろそろ停止するはずだ」
女店員「…」ゴクッ
ウィーン…コォォ……
錬金術師「…」
ウィーン……
女店員「…」
ヴーン……
新人鉱夫「…」
ヴ…ン……
銃士「…」
ヴッ…ン…
錬金術師「!」
女店員「!」
新人鉱夫「!」
銃士「!」
ボシュンッ!シュウゥ……
錬金術師「…稼働が停止したのか」
女店員「本当に、1ヶ月で壊れたの…?」
錬金術師「魔石はさっき取り替えたばかり、消費されるわけもなし」
女店員「ってことは…」
錬金術師「…」スッ
カチャカチャ…パカッ
女店員「わっ…」
新人鉱夫「うわっ!」
銃士「…げほげほ!」
プシュー…モクモク……
錬金術師「ごほごほっ!み、見事に魔石部分の回路が焼き切れてるな。」
錬金術師「機関長の言った通り、偽物図面だったってわけだ…」
女店員「ってことは、これが世界規模で起きてるってこと…?」
錬金術師「修復不可能で、返品の嵐になるだろうよ」
女店員「…!」
錬金術師「今日の午後から、中央商社はパニックになるぞ…」
女店員「そ、それじゃ私らはどうしたら?」
錬金術師「この壊れた結果から、恐らく役員会が開かれるはず。」
錬金術師「それに合わせて乗り込むんだが、それは中央商人さんが情報を受けて、俺らへ教えに来るはずだ」
錬金術師「恐らく、月末に合わせて4月30日に開かれるとは思うのだが…」
女店員「…わかった」
新人鉱夫「わかりました」
銃士「あぁ、分かった」
錬金術師(女店員らは、ただ壊れただけに見えるだろうが…。)
錬金術師(こういったパニックの現場は本当に酷い。)
錬金術師(俺の現役の頃に、ポカやらかした男のせいで一度同じような状態になったっけな…。)
錬金術師(…)
錬金術師(……だが、今回は社長である親父自身のこと。)
錬金術師(お前が報いを受ける時が来たっつーことだ…)
錬金術師(クソ親父…ッ!!!)
……………
………
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 同時刻 中央商社 】
秘書「…とのことです!」
親父「欠陥だと……」
秘書「マジエアコン、パワーアップユニット、超回復瓶の全てにおいて、効果が停止するというクレームが!」
秘書「どうやら魔石の回路部分に問題が生じていると、問題は発見したのですが…!」
親父「ならば、修理を請け負い、今後の生産品はマイナーチェンジ版として出せ」
秘書「こ、この回路部分は非常に繊細で、我が社の部門では解決を行う事が出来ません!」
親父「なに…?」
秘書「その部分だけを取り換えようとも試みましたが、魔石との連動が上手くいかず…!」
親父「まさかあいつは、欠陥品と知りながら設計図を俺にとらせたのか…」
秘書「そ、それはどうか分かりませんが…」
親父「ふざけるなよ…。どれだけの費用を使い、今回のことへ賭けたと……!!」
秘書「…っ!」
親父「あいつには少し痛い目を見てもらう!アルスマグナヘ連絡し、女店員と銃士を裏へ売り飛ばせ!!」
親父「此度のこと、許せたものではない……っ!!」
秘書「!」
秘書「そ、それは……!」
秘書「そこまでしては、人として……!これ以上の、罪を……!」
親父「…口答えをするなぁっ!!」ブンッ!
…バチィンッ!!
秘書「あぐっ…!」
ズザザッ…!
親父「く、くそっ!甘く見過ぎていた、アイツをもっと縛り上げるべきだった……!」
親父「俺に歯向かえないよう、あいつの周りから固め、俺へ従順にすべきだった…!」
親父「俺のものにならないから、俺がこんな目に合うんだ、俺が、俺は、俺に…………」ギリッ…
秘書(…こ、この人は)
秘書(子どもがそのまま大人になってしまったんだ……)
秘書(権力があるがままに、誰の痛みも、誰の想いも、理解できないままに……)
親父「クソったれ……!」
親父「このままでは、俺が直接指揮したプロジェクトとして進退問題となる…」
親父「どうにかせねば…。どうにか……!」
…コンコン
親父「…誰だ!!」
ガチャッ…
取締「…社長」
役員たち「お話があります」
親父「…」
取締「この度の問題につきまして、3日後の4月30日の月末、緊急取締役会を開くべきかと思いまして」
役員たち「本社を含む、役員方へご連絡を行わせて頂きました」
親父「貴様ら…」
取締「お分かりとは思いますが、宜しくお願い致します」
役員たち「…」ペコッ
親父「…」
ギィィィ……バタンッ!
親父「…ッ!」
親父「……ッ」
親父「く、クソどもが……!」ゴッ…
秘書「し、社長…」ビクビク
親父「…ッ!」
親父「おのれ……」
親父「俺が大人しく退くと思うなよ、俺が、俺が……!」
親父「俺の力は…………!」
……………
………
…
…
………
……………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 数分後 中央商社の外 裏路地 】
タタタタッ…ピタッ……
役員の一人「…お待たせしました。4月30日に決定です」
中央商人「そうか、ご苦労」
役員「…今回の損害は、来年の決算期へ大きく響くことでしょう」
中央商人「退任、解任問題だな?」
役員「はい。言い逃れは出来ません」
中央商人「…世界を牛耳る男が、終わる日が来るんだな」
役員「…」ペコッ
中央商人「お前との繋がりを保っておいて助かった。今度、礼をはずむ」
役員「い、いえ。それより……」
中央商人「ん…?」
役員「まさか、中央商人様が一人の人間のためにここまで立ち回るなんて…。」
役員「自分はそれが信じられませんよ」
中央商人「…あぁ。たまたま、気に入っただけさ」
役員「はは、それが珍しいと言うんですよ」
中央商人「俺の老後の楽しみも見つけてくれた奴でな」ハハハ
役員「そういえば、美人な奥さんを見つけたとか聞きましたよ」
中央商人「ばかもの、嫁などではない!」
役員「す、すみません」ハハハ
中央商人「…まぁいい。では、また4月30日に会おう」
役員「えぇ、わかりました」ペコッ
中央商人(……手紙を、それぞれのメンバーに魔法便で出せば今日中に着くはず。)
中央商人(これで、崩す為の準備は整った。)
中央商人(あとは、日を待つだけ……か。)
中央商人(……世界の覇王として名を残す男の最後、見せて貰おうか)
……………
………
…
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
その日の夜、店長たちのもとへ中央商社にて緊急役員会議が開かれる旨の手紙が届いた。
それを見た店長は、次の日より中央都市へ向かう準備を整え、機関長らと合流し―……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 4月30日 中央商社 会議室 】
親父「…」
秘書「…」
役員たち「…」
進行役「…以上が、今回の議題となります」
親父「……面白い話だ。今回の損害は、全て俺のせいになると。」
親父「そして、俺がその責任から社長の座から降りろと…?」
秘書(この忙しい時期に、このような会議は普通は行うことはしないはず。)
秘書(それを行ったということは、現社長に降りてもらうチャンスと読んだ役員たちが仕組んだということ。)
秘書(だけど、社長は立場上不利のはずなのに…この落ち着きは……)
ガヤガヤ……!!
役員たち「今回の損害は、間違いなく中央商社へ信頼問題を落としかねないこと!」
役員たち「その責任を取るのは普通ではないですか!」
役員たち「あなたが退かない考えないならば、我々とてあなたを解任させることとなりますぞ!」
親父「…」
取締「……社長。」
取締「ここは潔く、退くのが妥当ではないのでしょうか」
親父「…」
親父「……ふむ」
親父「…今回の失敗で、随分と大きく言葉を言えるようになったな貴様ら」ギロッ
取締「!」ビクッ
役員たち「…ッ!」ゾクッ
秘書「…っ」
親父「俺が育ててきた会社で、俺が面倒を見てきた人間たちに、よもやそんな言葉を言われるとは思わなかったぞ…?」
親父「一人一人の名前と顔を、俺は…覚えている。」
親父「俺に歯向かう人間が、どういう最期を迎えているか…分かっているだろうが!」
取締「ッ!」
親父「それともなんだ、それ以上に俺の席に憧れているのか…?」
取締「…自己満足で、会社は出来ません!」
親父「なんだと!」
取締「世界規模で売り出し、世界規模で損害を被り、そのプロジェクトを進めた本人…社長が椅子に座っていては会社として成り立ちません!」
親父「だったら一緒に死ねばいい」
取締「な、何千人という人間がいるのですよ!?」
親父「知ったことか」
取締「あ、あなたという人は…!」
親父「ここは俺が作り上げた、俺の会社。俺の場所。俺の力の象徴。」
親父「それは誰にも譲ることなく、俺は俺の思うまま、俺の為だけにやらせてもらう!」
親父「退くことはない決してない。そう、これからも俺はこの場所に居続けるぞ……」
取締「そうはおっしゃっても、一人の力ではどうにもなりません…!」
取締「ここでは、辞任を辞さないというなら、解任について多数決を取りその結果で決定出来るのですよ!」
親父「クク…。」
親父「果たして、解任への賛成をする人間は何人かな?」
取締「!」
親父「俺に歯向える勇気を持つ、勇者はいるのかな?」
取締「うっ…!」
秘書(社長の報復は、自分自身だけでなく家族や親類までに及ぶ……。)
秘書(それを目の前で見てきた人たちが、こう社長から直接言われては……っ)
秘書(そうでしたね…。それが今日の社長の余裕と落ち着きだったんですね……)
親父「…さぁ、進行役。」
親父「決しようじゃないか!俺は退かぬ!ならば、解任の多数決を取るがいい!」
親父「この結果次第で、俺へ少しでも牙を剥いた人間は…全て潰させてもらうからな」ニタァ
取締「し、社長…!」
役員たち「…ッ!」
進行役「…っ!」
親父「さぁ、始めろっ!!!」
進行役「!」ビクッ!
進行役「そ、それでは…!賛成の方が……お、おりましたら…」
進行役「ご起立を…!お、お願いします!!」
役員たち「…ッ!」
取締「…っ」
秘書(…っ!)
……シーン……
親父「……おやおや?」
秘書(や、やはり……)
シーン……
役員たち「…」
取締「…」
役員たち「…っ」
取締「…っ」
秘書(動けない……)
秘書(動ける…わけが……)
親父「…なんだぁ?」
親父「やはり、俺をこの椅子に座っていいと…そういうことなのかな?」ニヤッ…
秘書(……だ、ダメだ。)
秘書(…ダメだ。これではまた、同じように繰り返すだけになってしまう。)
秘書(でも、この人を止められるのは、もう…誰も…………っ)
…ガチャッ!!
???「…賛成に一票を入れますよっと!!」
秘書「…えっ!?」クルッ
取締「へっ…?」
役員たち「な、何?」クルッ
進行役「え…」
親父「…」
親父「…………来るとは思っていたがな」
………
……
…
錬金術師「…懐かしい顔が割りとあるな。」
錬金術師「決着をつけにきたぞ…親父ッ!!!」
…
……
………
…ザワッ!!
取締「…ぼ、坊ちゃま!?」ガタッ!
役員たち「あ、あれはまさか…ご子息様ッ!?」ガタガタッ!
秘書「て、店長…様……!」
親父「無駄なことを……」ククク
錬金術師「…はっはっは、凄い面々だな。これだけそろって、親父を止められないのか」
錬金術師「東方港貿易長、北方量販長、南方水域開発長、西方総合管轄長。」
錬金術師「アンタらだけで世界を支配できるかもしれない力を持ってるっつーに……」
錬金術師「親父一人に対し、誰一人として黙ってみているだけか!」ハッハッハ!!
役員たち「…ッ」
親父「クク、馬鹿者が…。」
親父「"黙ってみているしかない"、ということだ」
親父「それになぁ…。お前が反対の一票と言ったところで、役員でもないお前が何の力も持ちはしない…」
錬金術師「ん~?はたしてそうかな?」
親父「損害の件はしてやられたが、俺には何の影響もない。」
親父「一度は取り乱すところだったが、どうにもなりはせん!」
錬金術師「…本当にそう思うか?」
親父「強がるな」
錬金術師「確かに、俺一人じゃアンタに敵うわけなかったよ」
親父「今更か」
錬金術師「あぁ、俺一人じゃ…な」
親父「何が言いたい」
錬金術師「……仲間がいる。」
親父「あの店員らに何が出来る」
錬金術師「出来ないと思うか」
親父「無能どもが」
錬金術師「…さぁな。」
錬金術師「とりあえず入ってもらうぞ!入ってくれ!」
ドカドカ……
中央商人「…よう、久しぶりだな社長サンよ」
機関長「失礼する」
ギルドマスター「…失礼いたします」
親父「…!」
…ザワッ!
役員たち「あ、あれは中央商人様ではないか!?」ガタタッ!
役員たち「後ろにいるのは、マスターの名を受け継いだあの機関長殿か!?」
役員たち「……その隣にいるのは、世界一の名高き中央都市東ギルドのマスター!!」
ガヤガヤッ…!!
錬金術師「…この面子で無能だと思うか、親父?」
親父「……中央商人か。以前の一件、貴様には借りがあったな」
中央商人「何のことやら。おかげ様で、悠々自適な暮らしを送っているがな」
親父「機関長よ…。お前には、俺のクソ息子が世話になったな……」
機関長「良い息子さんですよ」ハハハ!
親父「そしてなぜ、関係のない貴様がなぜここにいる……」
東ギルドマスター「息子様の"本物"の超回復瓶にはお世話になっておりますから」ニコッ
秘書(ま、まさか……!)
秘書(このタイミングを狙ったということは、ご子息様が…社長を……!)ドクッ…
ザワザワ…!!
役員たち「そ、そうそうたる面々じゃないか…」
役員たち「でも待て、ギルドマスターが"本物"と言ったがあれはどういう意味だ?」
役員たち「社長、まさか……」
ガヤガヤ…!!
親父「…!」
錬金術師「親父、今度こそアンタを止めにきた。因縁も終わらせるために」
親父「…何をほざく。その面子で何が出来る」
錬金術師「…」ゴソゴソ
ポイッ…カランカランッ……!
親父「…これは、この間の魔石か」ピクッ
錬金術師「…」スゥッ
錬金術師「……ここにいる全員に聞いてほしい!」クワッ!
役員たち「!」
錬金術師「俺の親父、中央商社の社長は……」
錬金術師「裏結社の錬金術集団、アルスマグナへ依頼し…!」
錬金術師「俺のいた機関を襲わせ、俺の設計図を盗んだんだ!!」
…ザワッ!!!
役員たち「な、なにっ!?」
役員たち「どういうことだ!?」
親父「…」
錬金術師「だが、俺の師である機関長の計らいで、設計図を偽物とすり替えて置き…」
錬金術師「今回の問題にもなっている、本来起こるはずのない"エラー"が起こった!!」
錬金術師「これは紛れもなく、親父が罪を教唆…依頼したことの証拠だ!!」
親父「…ククク、ふざけるなよ。」
親父「そんな言葉で、その結果だけで…それだけで証拠となるわけがないだろうが」
錬金術師「ここに今投げた魔石には、この錬金術部門の文様が記載されていた!」
錬金術師「耐熱に優れた機関を燃やすのには、高級魔石が必要だった。」
錬金術師「それをアルスマグナへ渡し、機関を襲わせたんだよ……」ギロッ
親父「……」フゥ
親父「それは、うちの開発部門から盗まれたものだと言ったはずだがな」
親父「現にうちの社員が襲われ、その者たちは既に治療院へと説明を……」
中央商人「…あぁ、君のところの"あの社員"なぁ」ボソッ
親父「っ!?」ガタッ!
中央商人「裏が取りたければ、取れるぞ。既にあいつらは、うちの社員だ」
親父「な、何っ……?」
中央商人「ははは!」
ザワザワ…
役員たち「…し、社長まさか」
役員たち「今の話、本当なのですか…!」
親父「なっ……!」
親父「……だ」
親父「だからどうした……!」
錬金術師「…」
親父「それが、俺がやったことにはならんっ!!裏を取りたければ取れっ!」
親父(…予想外な展開だが、裏を取る前に奴らを脅し…自爆させ、警備隊の牢へいれれば問題はない!)
中央商人「やれやれ…。往生際が悪い…」
中央商人(うちの社員になっているという、適当な出任せに引っかかるとは…。)
中央商人(どうやら、俺らの登場で焦っているな)
秘書(し、社長……)
親父「……っ」
親父「い、いい加減にしておけよ貴様ら!」
親父「俺に歯向かって、どうなるかなんて……!!」
機関長「…アレを見せてもまだ認めないでしょうかね?」
親父「アレだと!?」
機関長「俺がココへ"盗ませた"、偽物の設計図ですよ」ゴソゴソ
…パサッ…
親父「!」
機関長「実は、その設計図には特殊な施しをしていましてな。」
機関長「設計図の回路部分に魔石をあてると、我が機関の模様が浮かび上がるのです。」
機関長「……こういう風にね」スッ
……ポゥッ!
親父「ッ!」
機関長「ここにある設計図が盗まれたものではないのなら、設計図を貸して頂きたい。」
機関長「もし、浮かび上がったら……」
機関長「どうなるか分かっているんだろうな、貴様ッ!!」グワッ!
親父「…ッ!!」
ビリビリッ…!!
錬金術師(う、うおぉ!機関長の怒声、やっぱ苦手だわ……!)
錬金術師(小さくなってよ……)シュン
機関長「俺の部下を危険にさらし、大事な弟子である店長までも脅かし……!」
機関長「その罪を認め、償えっ!!」
親父「な、なんだと……!!」
機関長「さぁ、設計図を出せ!!」
機関長「ここにある設計図が本物ならば、問題なく持ってこれるはずだな!!!」
…ザワザワ!
役員たち「…社長、うちで開発した設計図なんですよね!」
役員たち「堂々と見せてやればいいじゃないですか!」
役員たち「社長っ!」
役員たち「社長ッ!!」
親父「…う、うるさいっ!!」
親父「黙れッ!!!」
親父「そ、それが!それがうちにあるものと一緒だったとしても……」
親父「それが俺のやった証拠とは…ならないだろうがっ!!」
親父「た、たまたま紛れ込んだ可能性だってある!その立証に時間がかかるぞ!?」
機関長「まだ、認めないか」
親父「俺は知らん…!知らないだけだっ!!」
ギルドマスター「…社長さん、アルスマグナでしたか?」ニコッ
親父「あァッ!?」
ギルドマスター「いや実はですね、うちは世界一と自負しているのですが」
親父「それがどうしたぁっ!貴様も何かあるというのか!!」
ギルドマスター「世界一を誇るギルドが、裏の情報を持っていてもおかしくはないでしょう?」
親父「何ィッ!!」
ギルドマスター「アルスマグナ程度、冒険者たちの歴史の前に…所詮は赤子ですよ」
親父「な、何っ……」
ギルドマスター「3月の末に、この機関長へ襲った面子がアルスマグナというのは割れております。」
ギルドマスター「それも、襲った面子、依頼した面子もね……?」
親父「っ!!」
ギルドマスター「中央商人様、機関長様、そして自分。」
ギルドマスター「1つ1つが明かされる前に、お早めに認めたほうが良かったですね。」
ギルドマスター「……罪が増えていくだけでしたね」
親父「な、なん……!」
ギルドマスター「…」ニコッ
錬金術師(…銃士の繋がりで、世界一と言いながら部下を大事にする世界一の冒険者ギルドのマスター。)
錬金術師(中央商人さんが、銃士へ協力を仰いでくれ、心強過ぎる味方となってくれた…。)
錬金術師(風剣士と火炎魔道もギルドマスターへ話かけてくれてたって言ったし、感謝しきれないな…)
機関長「…」
中央商人「…」
ギルドマスター「…」
錬金術師「……さぁ、親父!!証拠はそろっている!!」
錬金術師「諦めろ…!!だけどな、警備隊に出すことはしねーよ……」
錬金術師「ただ!今!この場で!!!」
錬金術師「中央商社から身を引き、全てを失え…!それで、罪を償ったものとしてやるっ!!」
秘書(み、見える……。)
秘書(社長の身体が、崩れていくのが。)
秘書(だ、だけどー……)ゴクッ
親父「…」
錬金術師「……親父ッ!!!」
親父「…」
親父「…」
親父「…………舐めるな、クソガキどもが」ボソッ
錬金術師「!」
親父「……そう易々と諦めるわけがなかろうが」
錬金術師「…ま、まだ認めねぇっつーのか!!」
中央商人「往生際の悪い…!」
機関長「いい加減にしてほしいものだがな…」
ギルドマスター「困りましたね」
親父「…証拠?罪?罰?」
親父「奪いたいなら奪え。全ての結論には時間を要することも踏まえ、リミットまで俺は暴れるぞ……。」
親父「俺が創り上げたものは、俺のものだ。誰にも…どこにも…渡しは…するかぁぁぁああっ!!!」
錬金術師「…っ!」
秘書(…やはり、自身とともに全てを崩すつもりを!)
親父「やってきた全ての記録を出し、全てを無に帰す!!」
親父「俺がやってきたこと、社員へやらせたこと、この場にいる者へやらせたこと!!」
親父「その全てを出せば、全てが無に戻り、中央商社は俺とともに全てなくなるだろう!!」
親父「共に…滅べぇぇええっ!!」
親父「くく…!はっはっはっはっはっはっ!!!」
錬金術師「て、てめ…っ!!」
ザワザワ!!
役員たち「な、なんてことを!!」
役員たち「もはや、あなただけの会社ではないのだぞ!!」
役員たち「本気で何千人と心中させる気か、社長っ!!」
親父「俺が崩れる時は、全て失う時だっ!!共に死ねっ!!!」
錬金術師「ふ、ふざけ……!!」
錬金術師「最期の最後まで、自分の我がままを…!自己満足で終わらせる気かっ!!」
親父「知ったことかあああっ!!!」
秘書(…)ドクン
錬金術師「てめぇの決断で、どれだけの人間を泥へ引き込む気だぁぁあああっ!!」
親父「ならば、俺の立場はこのままで、今回のことを流せばいい!!」
錬金術師「社員を人質にとる気か!!」
秘書(……)ドクンドクン
親父「社員だろうが、なんだろうが!!それも全て、俺が積み上げたモノ!俺のモノだからなッ!!」
錬金術師「人は…!人間はモノなんかじゃねぇんだよッ!!」
親父「知るものかっ!!!」
秘書(…………っ)ドクンドクンドクンッ…!!
親父「いいか!!」
親父「全て…!」
親父「俺のものは、俺の手の中にッ!!」
秘書(…ッ!!)ドクッドクッドクッドクッ…!!
親父「俺が積みあげたものはー……!!」
秘書「……ダメです!!!」ドクンッ!!
親父「…何っ!?」ハッ
錬金術師「!」
秘書「そ、そんなの…許されません……!」
秘書「社長、そんなの、許されませんっ!!」
親父「…貴様っ!!」
秘書「わ、私はあなたとともに長く一緒にいました!」
秘書「いかなる時も、私を拾い、家族を救ってくれたご恩は決して忘れはしませんでした。」
秘書「ですが、あまりにも目に余る行動に…もう……着いていけません……」ブルッ…
親父「なんだと……!」
秘書「て、店長様!」
秘書「この本社の地下にある資料庫、一番奥の赤く、鍵のかかった厚い本があります!!」
秘書「そこに、社長が"社長自身"で命じた裏の資料が全て…!!」
親父「なっ!!?」
錬金術師「ひ、秘書さん!?」
秘書「全てを、晴らしてくださいっ!!守ってくださいっ!!」
秘書「社長はあれさえなければ、社員を盾にすることは出来ないはずです!」
秘書「そして、それで社長は…!社長だけが!その罪を償うことになりますっ!!」
親父「…………っ!!」
親父「や、やらせるかぁぁああああっ!!」ダッ!
ダダダダダッ!!
ギルドマスター「…たかが人ひとり」スッ
親父「うおっ!?」
ギルドマスター「…おねんねですよ」ビュッ
…ゴツッ!!!
親父「がっ……!」
…ドサッ…
親父「……っ」
親父「…」ガクッ…
錬金術師「お、親父……」
ギルドマスター「…って、やり過ぎましたか」ハッ
錬金術師「…い、いや」
ギルドマスター「…また暴れるかもしれません。少しだけ、縛り上げておきますね」
錬金術師「…お願いします。俺は、地下でその本を取ってきますので!」
ギルドマスター「…」ペコッ
錬金術師「…秘書さん、案内してくれ!!」バッ!
秘書「は、はい!」
中央商人「……っと。」
中央商人「…ここに居る全員、まだ動かないでくれるか。」
中央商人「この会議はまだ終わっちゃいない。」
中央商人「本当の終わりまでは…。もう少しだけ…待ってくれ」
役員たち「…は、はいっ」
取締「…」ペコッ…
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 地下の資料庫 最深部 】
オォォォ…ォォォ…………!
…ガサッ
錬金術師「……これが、例の本か」
秘書「はい。これに…社長がやってきた全てが書いてあります」
錬金術師「……ありがとう。本当に助かったよ」
秘書「いえ…」
錬金術師「……」
錬金術師「ところで、秘書さんがなぜ…協力を?」
秘書「…っ」
錬金術師「い、いや言いたくないなら」
秘書「暴力です」ブルッ…
錬金術師「何…?」
秘書「…私は、父上が社長の小さな商社の秘書でした。」
秘書「ですが、倒産して家族が路頭に迷うことになり……」
秘書「そこで拾ってくれたのが、社長だったんです」
錬金術師「…」
秘書「15の頃でしたか…。能力だけでなく、社長は、私の見栄えがいいからだと言いました」
秘書「とても嬉しかったのですが、所詮…社長は私を道具としか見ていませんでした」
錬金術師「まさか…」
秘書「いえ、そういうことではないです。」
秘書「単純な…暴力。何かあれば、殴り、蹴られました」
錬金術師「ざ、ざけやがって……!」
錬金術師(恩と暴力による支配。能力もある女性を、自身の帝王学で支配していたのか……)
秘書「ですが、拾ってくれたお礼に精一杯つとめてきました。」
秘書「しかし…。」
秘書「今回のことを含め、やることが全て…私の我慢が出来なくなって……」ブルッ
錬金術師「…」
秘書「…社長がクビになったら、私ってばまた無職になっちゃいますが。」
秘書「それでも、社長が店長様や涙を流した人々に罪を償える結果となるなら……」
秘書「それで……」
錬金術師「…」
錬金術師「……そうか。ありがとう、秘書さん」ニコッ
秘書「…!」
錬金術師「親父ってば本当にクソ野郎だよ。」
錬金術師「アンタみたいなキレイな人に暴力なんてな……。」
錬金術師「代わりに謝る…」
秘書「い、いえ……」
錬金術師「…じゃあ、会議室に戻ろう。」
錬金術師「親父の最期の瞬間を……見ていてくれ。」
秘書「…」ペコッ
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 十数分後 会議室 】
進行役「…それでは、賛成10、反対0で!」
進行役「現社長の解任を…可決しますっ!!」
…オォォォォオオッ!!!!…
取締「…終わった、のか」
役員たち「これで、今の社長が…。全てが…!」
錬金術師「…喜ぶ人間も多いか。」
錬金術師「ここにいる人たちは、親父の力に脅かされた人々だったんだからな…」
錬金術師「ま、当の本人は…ノックダウン中だが」チラッ
親父「…」
役員たち「し、しかしこうなると次の代表を決めなくては」
役員たち「普通に考えれば、取締役が継ぐのでは……?」
取締「…い、いや」
取締「流れで可決したとはいえ、前社長の報復がないとは限らない以上……」ビクビク
役員たち「…そ、そうですよね」
中央商人「……安心しろ。」
中央商人「今回のことや、過去のこと。それは有無も言わず牢から出てくることは出来ないものだ。」
中央商人「このあとすぐに、中央都市の警備管轄へ突き出せば二度と出て来れない。」
中央商人「……誰がどうであろうと、報復する力ももう持ちはしないさ」
取締「お…おぉ……!」
錬金術師(…親父。これで終わりだ。)
親父「…」
錬金術師(……馬鹿野郎が。何で、アンタは…)
親父「…」
取締「……し、しかし。まだ問題もある」
役員たち「なんです?」
取締「明確な数値は出ていないが、偽物による損害金額で会社は傾いている…」
役員たち「あ…!」
取締「どのみち、前社長が動いた時点で…終わっていたのかもしれないな……」ガクッ…
役員たち「…っ」
錬金術師「……心配すんな」ポイッ
…パサッ!
取締「こ、これは……?」
錬金術師「本物の設計図だ。これを急いで仕上げ、返品分と販売を開始すればいい」
取締「!」
錬金術師「最初はきついだろうが、必ず業績は戻っていく。使ってくれ」
取締「し、しかし…」
錬金術師「親父のした責任は、子である俺にもある。使ってくれ…」
取締「…いいのですか。お言葉に甘えますよ」
錬金術師「使ってくれ。罪滅ぼしだ」
取締「…有難く」ペコッ
ザワザワ…!
役員たち「…おぉ、これで何とかなるかもしれないな」
役員たち「有難うございます、ご子息様!」
役員たち「お、おいバカ。もうご子息様じゃないだろ、ただの錬金師の一人だろ」
役員たち「そ、そうか……」
取締「…」
取締「…」
取締「……ご子息様。いえ、店長さんと呼んだほうがいいでしょうか」
錬金術師「あん?」
取締「…もしよければ、社長の後任を継いでいただけませんでしょうか」
錬金術師「……は!?」
役員たち「…え?」
取締「見たところ、実力もあり人望もあり、立て直すには相当なリーダーが必要になります。」
取締「……正直、前社長におんぶに抱っこだった我々では、立て直せるかどうか分からないと直感しました。」
取締「現に、先ほどまで"報復が怖い"、"もう無理だ"と壁を作っていたのが良い証拠です」
ザワザワ…
役員たち「た、確かに…」
役員たち「そうかもしれないな……」
取締「それなのに貴方は、前社長へ果敢に挑むだけでなく…」
取締「他人のことを想え、未来を見据えて"大事である設計図"を出し、我々救おうとしてくれた」
取締「貴方のような人がいれば、我々も安心できます」
錬金術師「い、いやいや。俺は一人なんかじゃ倒せなかったし…」
取締「前社長を倒したのは、あなたがリーダーとして仲間を率いたからでしょう」
錬金術師「い、いや……」
取締「…お願いします!その知恵を、貸してください!」ペコッ
錬金術師「あ、あのな……」
取締「今ここで、全員が一緒の気持ちです。是非、お願い致しますっ…!」
錬金術師「いっ……」
中央商人「おーおー、まさか大企業の社長になっちまうか?」
機関長「似合わんなぁ」
ギルドマスター「お手伝いできることがあれば、致しますけどね」クスッ
秘書「て、店長様なら……」
錬金術師「ぐっ…!」
錬金術師「…」
錬金術師「……!」ピーン
錬金術師「……分かった。そこまでいうなら、請け負ってやらんでもない!」
取締「ほ、本当ですか!?」バッ!
役員たち「おぉっ!?」
錬金術師「で、社長として命令を一つ。」
錬金術師「この秘書を、前社長から引継ぎ、以後、"自分でやめたい"っていうまで続けさせてやってくれ」
秘書「えっ!?」
取締「は、はぁ…?それくらい……」
錬金術師「……で。」
錬金術師「俺は今、社長をやめます!!」
取締「」
役員たち「」
秘書「」
取締「…ど、どういうことですかぁっ!!」バンッ!!
錬金術師「それで、次の社長に…中央商人さんを指名します!」
中央商人「…」
中央商人「……んあ!?」
錬金術師「中央商人さんなら、俺より分かるだろうし…それで決定で!」
中央商人「ま、待て待て待て!!」
錬金術師「どうせ暇でしたでしょ。いいじゃないっすか」
中央商人「馬鹿、俺はもう現役引退で!それにクーのこともあるだろうがっ!」
錬金術師「…あ、そっか」
中央商人「無茶を言うんじゃない!」
錬金術師「なら、隠居しつつでいいんじゃない?」
中央商人「おまえな…!」
取締「ど、どうやらご迷惑のようでしたか…。」
取締「で、では自分が代表取締となりますので、中央商人様と店長様は相談役ということになりませんでしょうか…」
中央商人「ん…。ま、まぁそれなら……」
錬金術師「…錬金術関係のことならな」
代表取締「…そ、それでお願い致します。ありがとうございます!」ペコッ
錬金術師「それより、この秘書ちゃんをしっかり頼むよ。優しくしてやってな」
…グイッ
秘書「きゃっ…」
錬金術師「…これで、クビにならないでこれからも頑張れるな!」
秘書「…あっ」
錬金術師「…なっ」ニコッ
秘書「…はい」カァ
役員たち「…それじゃ、新たな体制として!」
代表取締「新、中央商社だ!!」
役員たち「…おぉぉぉぉおおっ!!!」
秘書「お、おーっ!」
錬金術師「……みんな」クルッ
錬金術師「有難う。本当に…ありがとう……」
中央商人「礼はいらんさ」
機関長「お前も丸くなったな。それくらいの謙虚が丁度いいんだ」
ギルドマスター「いつでも頼ってください」ニコッ
錬金術師「…」ペコッ……
……………
………
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして夕刻 警備隊本部 面会室 】
錬金術師「…よう、親父」
親父「…」
錬金術師「悪いが、寝ている間に警備隊へ運ばせてもらった。」
錬金術師「既に警備隊には全て伝えてある。」
錬金術師「アンタの罪は、牢から一生出て来れるもんじゃねーらしい」
親父「…」
錬金術師「社会的に、今回のことは大事にならず…消されるそうだ。」
錬金術師「全て中央商人と東ギルドマスターの意向でな。それに、俺との面会も本来は出来ないはずだった。」
錬金術師「だけど、二人のおかげで最後に顔合わせが出来るってことになったわけ」
親父「…」
錬金術師「俺一人じゃ、アンタにゃ勝てなかった。」
錬金術師「だけど、俺には仲間がいた。そのおかげで、俺はようやくアンタに勝てた。」
錬金術師「そして、その罪を一生かけて償ってくれ。」
錬金術師「その涙を流させた分だけ、な」
親父「…」
錬金術師「言葉はそれだけだ。」
錬金術師「……じゃあな」クルッ
親父「…」
錬金術師「……っと」
錬金術師「一つだけ。本当は、アンタと顔を合わせようとは思ってなかった。」
錬金術師「なのに、俺がここに来たワケが分かるか?」
親父「…」
錬金術師「…あの全ての罪が掛かれた赤い厚い本。」
錬金術師「あれにかかっていた、鍵を開くためのナンバー…。」
錬金術師「…」
錬金術師「……俺の、誕生日だったんだな」
親父「…」
錬金術師「それだけは…」
錬金術師「それだけは、嬉し…かった……」
親父「…」
錬金術師「……じゃあな」
親父「…」
錬金術師「……っ」
親父「…」
ガチャッ、ギィィィ…………!
……バタンッ……
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
――――その日。
世界一と呼ばれた商社の創始者である男が、人知れず地に堕ちた。
その翼を焼かれたのは、果たして己が神に近づいたための罰だったのか……。
しかし、これによって店長を縛る鎖は砕け……
ようやく「自由」を手に入れるも、店長はしばらくの間、その実感が出来なかった。
火事になった隣町機関は、中央商社の手で新しく生まれ変わることが決まり、それまで臨時支部を開設。
中央商人は約束どおり、田舎町の隠居のままに手紙で相談役を請け負うこととなった。
そして、わずかばかりの時間が流れ…。
店長たちは…………。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 5月15日 錬金術師のお店 】
ボー…
錬金術師「…」
錬金術師「…」
錬金術師「…」
錬金術師「…ふわぁ」
ヒョイッ…パクッ
錬金術師「んむ……」ポリポリ
錬金術師「静かな店で、静かに過ごす午後。」
錬金術師「バターピーナツが、俺の小腹を満たす。」
錬金術師「ん~…いい時間が流れるねぇ……」ノビノビ
錬金術師「おう!?」ビクッ!
女店員「さっきから、倉庫の掃除手伝ってって言ってるでしょ!どれ片づけていいか分からないんだってば!」
錬金術師「あ~…。へいへい……」
女店員「それと、もう少しで採掘が終わって新人鉱夫も戻ってくるし。」
女店員「そしたら店番任せて、午後からは営業だからね~?」
錬金術師「分かってますよ……」フワァ
女店員「……あれから、錬金術もする機会が少ないのに…体力がないように動くのはどうしてかなぁ?」ジロッ
錬金術師「気が抜けた上に、普段の契約の仕事すらだるくなってきた」テヘッ
女店員「…」プルプル
錬金術師「……じ、冗談だぞ!?」ハッ!
錬金術師「お…?」
女店員「やってくれることはやってるし、なんか店長はそうしてるほうが安心出来る気がするし……」
錬金術師「……じゃあ、寝よーっと♪」
女店員「ちょっと」
…グイッ!
錬金術師「お゛ぇ゛っ!」
錬金術師「じ、冗談だっでぇ゛……!」ギリギリ…
女店員「本当に~…?」
錬金術師「ま゛、ま゛じだっで……!じま゛っでる゛……!」
錬金術師「急に離し…!のあああぁぁああっ!!」ズルッ!
コケッ…!!シャアンッ!!
女店員「あ……」
錬金術師「い、いてて……!」
女店員「ご、ごめん…!大丈夫…?」
錬金術師「この野郎…!お前もこけろっ!」バッ!
女店員「えっ…」
グイッ…!!
女店員「きゃあっ!」
…ドシャアッ…
女店員「い、いったぁい……!」
女店員「……って」ハッ
錬金術師「はっはっは!」
女店員(て、店長に抱き寄ってる……)ドキ…
錬金術師「……ん、静かになってどこかぶつけたか?すまん、大丈夫か……?」
女店員「…だ、大丈夫だよ。そ、それより何するの、子どもじゃないんだから……」
錬金術師「はっはっは、俺はいつまでたっても大きい子供なのだ」
女店員「なのだ、じゃないからっ!」
錬金術師「はっはっは」
女店員「…もうっ。笑ってるのもいいんだけどさ……」
女店員「これからまた、中央商人さんとアクセ屋さんの契約以外の仕事も考えないといけないんだからね…」
錬金術師「わかってるっての。のんびり考えようぜ」
…ポンッ
女店員「…っ」ドクン…
女店員「……そ、そのために!今日の営業も頑張るんだからね!」
錬金術師「あぁ、ちゃんと行くってば……」
錬金術師「…」
錬金術師「…」
錬金術師「……あっ。」
錬金術師「ん~…………。」
錬金術師あのさ、女店員……」
女店員「うん?」
女店員「」
錬金術師「なっ、今日だけ"営業"って言っといてさ…内緒でサボろうぜ」ハハハ
女店員「だめでしょ!」
錬金術師「お前も一緒にな」
女店員「え?」
錬金術師「……約束。俺と一緒に買い物するっつーか、そういうのあっただろ。」
錬金術師「色々あって全然出来てなかったし、今日は店長命令だ。」
錬金術師「サボりっつったほうが、何かと面白みも増さないか?なんて」ククク…
女店員「あ…っ!買い物の……」
女店員「で、でも……」
新人鉱夫「ふぅ、ただいまです!」
錬金術師「おっ、お帰りん」
女店員「あ、おかえりなさい…」
新人鉱夫「…」
新人鉱夫「……ゆ、床で抱き合ってるのはどうしてでしょうか」
女店員「あっ!」
錬金術師「俺が引っ張ったんだよ」
新人鉱夫「!?」
女店員「ちょっと、その言い方誤解されるからっ!!」
錬金術師「それよか、新人鉱夫…俺と女店員はちょっと営業行くから、店番よろしく頼んでいいか?」
新人鉱夫「あ、はい…。それはもちろんですけど……」
錬金術師「おっけい!」
錬金術師「そんじゃ行くぞ、女店員!」スクッ
ダッ、タタタタッ…ガチャッ……!
女店員「あっ!ち、ちょっと待ってよ…っ!」ダッ!
タッタッタッタッ……
………
……
…
新人鉱夫「……邪魔しちゃったんでしょうか」ドキドキ…
新人鉱夫「で、でもそれはそれで銃士さんにも問題が起きそうな……」
ブツブツ……
新人鉱夫「……い、いえ!」ブンブン
新人鉱夫「店長さんのことですし、ああいう行動するということは…銃士さんに既に……」
新人鉱夫「そ、それとも、女店員さんのあとに……」
新人鉱夫「…」モンモン…
新人鉱夫「……」モンモンモン……
新人鉱夫「……へ、変なことは考えないようにしましょう」カァァ……
……………
……
…
――――【 お店の外 林道 】
ザッザッザッ……
女店員「…も、もう!そんないきなり!」
錬金術師「思い立ったが吉日だろ!」
女店員「で、でも!ちょっと…!」
錬金術師「あれ、嫌だった?」
女店員「そうじゃなくて!服装とか、全然…ムードも…その……」モジモジ
錬金術師「あ~……」
女店員「…だ、だけど!一緒に買い物とか、一緒に歩けるのは嬉しいから!」
錬金術師「お、マジで?」
女店員「…」
女店員(……って、何言ってるんだろ私ってば)カァ
錬金術師「お前が嬉しいなら、俺も嬉しいわ」ハッハッハ
女店員「てんちょ……」
錬金術師「ははは…!」
女店員「…っ」
…サァァッ!ヒュウゥゥゥッ!!
錬金術師「うおっ、さむっ!」
女店員「凄い風っ…!」
錬金術師「……ちょっと勢い過ぎたか。寒いだろ」モゾッ
スッ…パサッ
女店員「あ…」
錬金術師「俺の錬金衣の上着なら少しはあったけーだろ。」
女店員「…!」
錬金術師「一回、お前のアパートで着替えてから行くか。5月なのにまだ少し寒いしな」
女店員「…」
錬金術師「…ほら、行こうぜ」グイッ!
女店員「あっ、ちょっ…!」フラッ…
コケッ…バフッ!
女店員「…!」
錬金術師「す、すまん。引っ張り過ぎた、またやっちまったな。大丈夫か……」
女店員(ま、また店長の…胸に……)ドキッ…
錬金術師「せ、セクハラとかじゃなくてたまたまだぞ!殴るなよ!!」
錬金術師「今、すぐに……」バッ…
女店員「…」
女店員「…っ」
女店員「ま、待って……!」
…ギュッ
錬金術師「!」
女店員「少しだけ…。待って……」
女店員「…」
ドクッ…ドクッ……
錬金術師「…女店員?」
女店員「…店長」ドクッドクッ…
錬金術師「なんだ…?」
女店員「…あったかい、から」
錬金術師「そりゃ、上着を貸したから…」
女店員「ううん。店長が…あったかい…から……」
錬金術師「…」
錬金術師「…どうして謝る?」
女店員「私は自分が自分で嫌になるほどがさつで、すぐに手が出るし、人の気持ちも考えられなくて……」
錬金術師「…」
女店員「すぐに泣いて、すぐに自己嫌悪して、すぐにまた泣いて……」
錬金術師「…」
女店員「その度にいつも店長に迷惑かけて、いつも助けて貰ってた」
錬金術師「…」
女店員「……全部が終わったら、全部を謝ろうって思ってたの」
錬金術師「謝ることなんかねぇよ」
女店員「…」
錬金術師「俺だって助けてもらったこともある。一緒だ。謝る必要なんかねぇさ」
錬金術師「おい、最初は優しくなかったと言いたいのか」
女店員「へへ…、ごめんなさい♪」
錬金術師「お前は…」フッ…
女店員「…」ドクン…
女店員「…」ドクンドクン……
女店員「…」ドクンドクンドクン……
錬金術師「…」
女店員「…それで、ね。店長」
錬金術師「…なんだ」
錬金術師「…」
女店員「…聞いてくれる?」
錬金術師「…なんだ。」
女店員「…」
錬金術師「…」
女店員「あのね…。もしかしたら、きっと、知ってるかもしれないけど……」
女店員「……伝えたいの」
錬金術師「…」
ドクッ…ドクッ……ドクッ…………!!
錬金術師「…」
女店員「て、店長…の……こと…………が…………」
ドクッドクッドクッドクッドクッドクッ!!
錬金術師「…」
女店員「店長の、こと……がー…………っ」
ドクドクドクドクドクドクッ!
……
………
………………
……
…
女店員「好き…です………。」
………
…
…………
…
……
ヒュゥゥウッ…………
女店員「人としてじゃなく、一人の女として。」
女店員「私は、店長のことが……男性として、好き……ですっ……。」
錬金術師「…」
女店員「……っ!!」
女店員(い、言っちゃった……。)
女店員(勢いで、つい、勢いで………!!)
錬金術師「…」
女店員(だ、だけど……っ!)
女店員「…待って!」スッ
錬金術師「ん…」
女店員「…怖い」
錬金術師「…」
女店員「言っておいて…だけど……。答えをきくのが…怖い……」ブルッ…
錬金術師「…」
女店員「……店長」
錬金術師「…」
女店員「…っ」
女店員「え…?」
錬金術師「お前がその気持ちなら、俺は俺の想いを返さないといけないんだ」
女店員「そ、それって…?」
錬金術師「……まさか、このタイミングで話すとは思わなかった。」
錬金術師「俺にも、お前と同じ…覚悟がいるんだ……」ブルッ
女店員(え…?)
女店員(店長が、震えてる……?)
錬金術師「……聞いてくれるか」
女店員「う…うん……」
錬金術師「お前が分からないだけで、俺だけが知っていて、それを…隠していた」
女店員「……私に傷を…?」
錬金術師「…っ」
錬金術師「…」ゴクッ
錬金術師「あ、あの…な……」
……………
………
……
…
――――【 数分後 】
錬金術師「…」
女店員「私の…家族……を……。」
女店員「店長……が……?」
錬金術師「…お前の父親が勤めていたの会社を潰し、露頭に迷わせたのは俺だったんだ…。」
錬金術師「それからの苦労の話も知っている。」
錬金術師「お前の父親と母親が、過労で倒れたことも……。」
錬金術師「そして、お前が俺の店へ受け入れたこと…。誘ったこと……」
錬金術師「……そういうことだったんだよ」
女店員「…」
錬金術師「前の馬鹿な俺なら、きっと笑って話をしていたかもしれない。」
錬金術師「だけど、周りの気持ちも少しずつ分かるようになって、お前に話すのが怖くなっていった。」
錬金術師「……馬鹿だよな。」
錬金術師「こんな俺を好きになれるわけがないんだ。」
錬金術師「……お前がこうして話をしたら、俺も話すつもりでいた。」
錬金術師「あ、謝っても謝りきれない…!」
錬金術師「俺は…。俺…は……」
女店員「…」
錬金術師「…お前が望むなら、俺はお前の前から消えてもいい。」
錬金術師「中央へ行きたいなら、罪滅ぼしに手助けはしたい。」
錬金術師「ど、どういえばいいか…分からない……が……っ」ブルッ…
女店員「……っ」
…ソッ
錬金術師「っ!」
錬金術師(殴られる……か……)
ギュッ…!
錬金術師「…」
錬金術師「……へ?」
ギュウッ……!
女店員「…っ」グスッ
錬金術師「お、女店員…?なんで抱きしめ……」
女店員「ごめんなさい…。私のために、そんなに…悩んでたなんて……っ」
ギュウッ…
錬金術師「は…」
女店員「ひぐっ…。ずっと一緒にいたのに、そんな悩みに気付けなかった私もバカだよ……」
錬金術師「お、お前…!俺は、お前の家族を崩壊に…」
女店員「…あのお父さんの下だった時だもん。どうもこうも…ないよ……」
錬金術師「そ、そういう問題じゃ!」
女店員「それから、私を助けてくれようと受け入れてくれて……」
女店員「……店長は私たちを助けようとしてくれた。それだけで充分…だよ……」グスッ…
女店員「…っ」
ギュッ……
錬金術師「い、いいのか。こんな…俺を許して……」
女店員「…私って、変な人だよね」
錬金術師「…」
女店員「きっと、なんで怒らないんだってみんなに言われちゃいそうで…」
錬金術師「…っ」
女店員「だけど、今まで店長とずっと一緒にいて、優しさを見てきて……」
女店員「その謝った言葉が本心で、きっと誰よりも…いつも悩んでいたんだろうなって分かるから…。」
女店員「どんな私にも、いつも変わらないで接してくれて……。」
女店員「私は今、そんな毎日が積み重なって、それ以上に…店長のことを…好きだから……っ」
錬金術師「………っ!!」
女店員「…店長、答えを聞かせてほしい。」
女店員「昔の話を抜きにして、今の店長の気持ちを…聞かせてほしい……。」
錬金術師「…っ」
女店員「店長……」
錬金術師「…」
女店員「…」
錬金術師「…」
女店員「…」
錬金術師「…」
錬金術師「…………いいんだな。俺の答えを」
女店員「…」コクン
錬金術師「…」
錬金術師「俺は…。」
錬金術師「俺の……気持ちは………っ」
錬金術師「…で、」
ビュウウウゥッ……!!
錬金術師「……だから」
ウゥゥッ…………
錬金術師「……ていてくれ。」
ヒュオォッ……
錬金術師「…」
女店員「店長…」
錬金術師「…」
女店員「うんっ…」
錬金術師「…」
女店員「…」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 6時間後 錬金術師のお店 】
ガチャッ…!
錬金術師「ただいまー」
女店員「た、ただいま~…」コソッ
新人鉱夫「あ、おかえりなさい!」
銃士「おかえりなさい、二人とも。夕方まで帰ってこないし、びっくりしたよ…?」ジトッ
女店員「うっ…」
錬金術師「新人鉱夫、少し早いが晩飯と布団敷くの手伝ってくれ……」クルッ
トコトコトコ……
新人鉱夫「あ、はいっ!」
トコトコトコッ……
………
…
銃士「…」
銃士「……ふふ。営業にこじつけて、二人で買い物でもいってたのか?」ニコー
女店員「ば、バレてた……」
女店員「あ、あはは……」
女店員「…」
女店員「……そ、それでね銃士」
銃士「うん?」
女店員「じ、実は…それだけじゃないんだ……」
銃士「ん、なに?」
女店員「私ね、店長に…好きって言ったの」
女店員「…」
銃士「そ、それで…。どうなったの……?」
女店員「耳、貸して」
銃士「う、うん…」
女店員「…っ」
ボソ…ボソボソッ……
銃士「うん」
銃士「…うん。」
銃士「…」
銃士「……!」
銃士「そ、それって…。そっか……」
女店員「…」コクン
銃士「そういう…答えだったんだ……。」
女店員「うん…」
銃士「…」
銃士「……そっか。でもね、私は私で気持ちは伝えるから」グッ
女店員「うんっ…」
銃士「…」
…
………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
サァァァッ……
錬金術師「…俺の気持ちは、まだ分からない。」
錬金術師「だけど、今の瞬間、お前の優しさに感じた想いは、好きってことなのかもしれない…。」
錬金術師「本心が分からない以上、本当の答えは言えないが、もし時が来たら…俺から話をしたい。」
錬金術師「今の答えは……そうしておいてくれ」
女店員「うんっ…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
………
…
女店員(…)
女店員(……待ってるから)
錬金術師「……忘れてた!」
錬金術師「休む前に、三人に話をしようと思ってたんだよ!」
銃士「ん…」
女店員「な、なにっ?」ドキッ
錬金術師「新人鉱夫もちょっと来てくれ!」
トテテテ…
新人鉱夫「は、はーい!どうしましたか!」
錬金術師「…三人に、仕事のことで改めて話があるんだ。」
女店員「し、仕事のお話か…。どうしたの?」
銃士「ふむ…?」
新人鉱夫「どうしたんですか?」
錬金術師「建築屋にお願いして、店のスペースも広げて…もっと広くしようと思う」
女店員「えっ!」
銃士「ほう…」
新人鉱夫「お店が成長するってことですか?」
錬金術師「実は、今度から中央商社に魔石を卸す仕事が難しくないペースで固定契約してくれるらしく、」
錬金術師「それに合わせてもっと機関のような錬金スペースやら色々必要になってきそうなんだ」
女店員「へぇ~、そういうこと♪」
銃士「仕事も増えるし、いいじゃないか♪」
新人鉱夫「嬉しい話ですね♪」
錬金術師「一応、頭に入れといてーってことさ」
女店員「うん!」
銃士「りょーかい!」
新人鉱夫「分かりました♪」
錬金術師「んじゃ、俺は倉庫側で少し休みを……」
…コンコン!
錬金術師「…ん」
銃士「じゃないかな?」
新人鉱夫「とりあえず……」
錬金術師「どうぞ、開いてますよー!」
ガチャッ……
???「…」コソッ
錬金術師(知らない顔…。ってことは客だな……)
錬金術師「いらっしゃいませー」
???「…お久しぶりです」ペコッ
錬金術師「…へ?」
銃士(随分と可愛らしい女性だな……)
新人鉱夫(わわっ、なんでしょうかこの人……)ドキンッ
???「…店長様」
錬金術師「ど、どなたですか?」
秘書「…中央商社、セントラルカンパニーの秘書です」ペコッ
錬金術師「え…」
全員「えぇぇぇっ!?」
秘書「お久しぶりです、店長様」ニコッ
錬金術師「お、おいおい…マジっすか。気づかなかったぞ……」
秘書「へ、変でしょうか?」
錬金術師「いやいや、キレイだし可愛いぜ?」
秘書「…っ」カァ
女店員「む…」
銃士「む…」
新人鉱夫「」
秘書「…あ、はい!実は、私をここで雇って頂けないかなと……」モジモジ
錬金術師「ん?いいよ」
秘書「…本当ですか!?」バッ!
錬金術師「うむ。」
錬金術師「……うん?」
錬金術師「…………うんっ!?」
秘書「あ、有難うございます!!」
秘書「店長様のために、精一杯尽くさせて頂きますっ!!」
錬金術師「ち、ちょちょちょっ!ちょいっ!?」
錬金術師「今なんて、なんで、なんだって!?」
錬金術師「い、いやいや!うちより中央商社のほうが待遇もいいだろ!」
秘書「店長様のお傍で、店長様に従いたいという想いもあります…っ」
錬金術師「え、あ…。あ~…………」
秘書「…お願いしますっ!」
錬金術師「……でもさ、給与安いよ、うち」
秘書「関係ありません!」
錬金術師「う、うーむ……」ポリポリ…
錬金術師(気持ちも無碍にしたくないんだよなぁ……)
女店員「…」ゴゴゴ
銃士「…」ゴゴゴ
新人鉱夫「…」シクシク
秘書「あ、有難うございますっ!!」
錬金術師「そ、そんじゃ契約書をちょっと取りに……」クルッ
ツルッ……
錬金術師「…あ、あら?」フラッ
フラフラ…
錬金術師「あらららっ!?」ヨロッ…
秘書「え……」
…ドシャアッ!!
モクモク……
錬金術師「っつつ……!」
錬金術師「す、すまん秘書さん!大丈夫……」
秘書「やっ…!」
錬金術師「お、おふっ……」
秘書「そ、そういうことも望まれるのですか……?」カァ…
錬金術師「ちょ、それはちが……」
ゴッ……!
錬金術師「…ひっ!?なんか、後ろから寒気が……」ゾクッ!
錬金術師「……」チラッ
女店員「…」ゴゴゴ
錬金術師「はっ…!ちょっ、女店員…!待っ……」
女店員「この…!天誅~~~っ!!!」
錬金術師「…ぬ、ぬあああああっ!!!久々~~っ!!」
銃士「これからどうなることやら……」
新人鉱夫「…でも、きっと楽しい気がします」
銃士「あぁ、店長がいればどこでも楽しいに決まってるさ」
新人鉱夫「はいっ♪」
…ドタドタ!!
錬金術師「す、すまんから!もう失敗とかしないから、許してぇぇぇ!!」ギュウウッ!
女店員「ちょっ、そんな強く抱き着い……!」カァァ
秘書「なるほど…。店長様はこういったスキンシップを望まれるのですね…」ドキドキ
女店員「ちが…っ!もうっ、どうしていっつもこうなの~~!!」
錬金術師「う、うおぉぉぉ~~っ……!!」
……………
………
…
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
店長は今日も、お店でのんびりピーナツを食べながら、店員たちと笑い合う。
新たなお店を構え、新たな店員を迎え、これから経営劇はどうなっていくのか。
でも、これからもきっと楽しくやっていくことだろう。
だって、そこには店長がいるんだから……。
ドタドタ…!!
錬金術師「あぁぁああああぁっ!!」
女店員「てんちゅ~~!!」
秘書「て、店長様っ~!?」
銃士「やれやれ……」ハハハ…
新人鉱夫「て、店長さ~~ん!?」
錬金術師「あぁぁああ、もう!!何もかも面倒くっせぇ~~!!」
こら店長、またそんなことを!だめでしょ~!
だって面倒くっせぇもんは仕方ねーだろ!
はは、やっぱり店長はこうだね…
あはは、そうですね…
………
…
……
…………
……
……
………
…
…………
……
……
…
…
…
…
…
…
……
………
…
……
…
……
…………
……
……
…
…
……
……
……
…
………
…
……
…
…
……
…
……
…
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【 6月1日 お店の経営収支 】
■収入
・2月以前、販売および臨時講師の700万ゴールド
・超回復瓶の総合販売で500万ゴールド
・中央商人との納品契約(週1回で30万ゴールド)
→18回目で540万ゴールド
・アクセ職人との納品契約(月1回で40万ゴールド)
→5回目で200万ゴールド
・中央商社との魔石納品契約(月1回500万ゴールド) NEW!
→2回目で1000万ゴールド
<合計+3460万ゴールド>
■支出
・2月以前の支出合計460万
・2月以降の4人の給料240万
・3月以降の錬金術機関の契約給料合計30万(約)
・お店増築1000万
・各アイテムの素材費用900万
<合計-2530万>
■収支合計
・プラス930万ゴールド
■お店
・やや広めの2階建て NEW!
・非常に広い地下倉庫 NEW!
■店員関連
・店長補佐2名 NEW!
・ハンター1名
・鉱石採掘師(鉱員)1名
・錬金師(契約社員)4名
■店頭の販売物
・自動採掘道具(20万ゴールド)
・鉱石類(鉄鋼1000、銀5万、エレクトラム20万ゴールド)
・ライフマナ回復ポーション(5000ゴールド)
・バターピーナツ(サービス)
・装備類の修理等(時価)
・オリジナル魔石(1個辺り3,000ゴールド)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
……
…
―――――――――――――――――――――――
錬金術師「面倒だけど経営難に立ち向かう事になった」
銃士「その4!」
―――――――――――――――――――――――
Thank you, everyone. Thank you, all my friends.
I will see you again!
【 E N D 】
転載元
錬金術師「経営難に立ち向かう事になった」銃士「その4!」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1423043125/
錬金術師「経営難に立ち向かう事になった」銃士「その4!」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1423043125/
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コメント一覧 (31)
-
- 2015年04月20日 23:03
- この作者はやっぱりラブコメは向いてないな…世界観とか設定は楽しいのに変に凝ろうとするからモヤモヤする。
-
- 2015年04月20日 23:54
- さすがにアルスマグナの扱いショボすぎるなぁ…と思ったけど、冒険者ギルドの方が力ありすぎってことなんかな。
-
- 2015年04月21日 00:09
- ※3
そういや、今までの作品より味方側が弱い(というか非戦闘員が大半)だけで、戦闘力に秀でた描写のある構成員は居なかった気がする。
とはいえ、親父を中ボスにしてアルスマグナをラスボスってのも見たかったけど、そうなると店長の戦闘力の無さがなあ……。
-
- 2015年04月21日 00:34
- 安直なハーレム展開はいかがなものだろうかと思いつつも安定して面白い
終わっちゃったかー
-
- 2015年04月21日 00:44
-
ここから続きはもう書かないんですかね?
店長と女店員のその後が気になるのでストーリーではなくほのぼのとした日常短編集を書いてくれると嬉しいです
-
- 2015年04月21日 00:48
- なろう かハーメルンでやれば良いのに、
これよりはるかにレベル低い作者が巨匠ぶって、プロの作家より上とかヌカしてるぞ
(逆に、俺はそういう作者が滑稽なのが面白くて、小説サイトみてる。そういう作者絶賛して調子に乗らせるのが趣味)
-
- 2015年04月21日 04:40
- 実は店長激ラブな元許嫁が出てくるかと思ったら出てこなかった
-
- 2015年04月21日 05:11
- ※8
やめて!!新人鉱夫のライフはもうゼロよ!!
と言いつつそんな外伝も見てみたい思う。
-
- 2015年04月21日 05:40
- 副長親父さんと同じように店長さんの腕に固執、信用しすぎた結果破滅を迎えた展開はちっとだけ、ちょーっとだけ気になったけど…やっぱ面白いなぁ。
それだけ店長さんの腕がすごいって事だし、絆も強くなって仲間も増えて…。とっても面白かった。
さぁて、また最初から見直そうかな。
-
- 2015年04月21日 11:00
- 他の作品と比べなければ、いや比べてもいいけどこの人の書く文には惹かれるモノがあるんだよなぁ…
マジで毎回楽しませてもらってるわ(´・ω・`)
-
- 2015年04月21日 12:55
- ※3
アルスマグナに暗殺部隊があったとしても冒険者ギルドを世界一の傭兵軍団やPMCと考えれば正面切って戦闘するならそりゃギルドの方が強いんじゃね?
ギルドの方は表の組織だから大っぴらに政治と繋がりがあってもいいわけだし
-
- 2015年04月21日 13:52
- 元許嫁は秘書だと思うんですよ(名推理
-
- 2015年04月21日 17:29
- 新人鉱夫に救いは・・・
採掘作業やっていれば顔馴染みが出来て最終的にリア充になるって某えろほんであったし大丈夫か
-
- 2015年04月21日 19:23
- 鉱夫くんの扱いが酷すぎて残念
あんなん胃に穴が開くわ
-
- 2015年04月21日 21:07
- ※12
いや、戦闘力とか暗殺部隊とかじゃなくてさ。
政府も絡むような巨大な闇の組織的な位置付けだったわけじゃん。
でも、いつどこで誰が何をどうしたか、依頼主まで何もかも全部筒抜けでしたーって話になっちゃってたじゃん。
そんなに完璧に動向・情報を把握されてしまっている程度の組織だったんかな、と。
なんか考えれば考えるほど、ギルドの情報網がチート過ぎる気がしてきた。
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- 2015年04月21日 23:14
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4もあるなら5まで続くはずだ。
・・・何十年後レベルの後日談でもいいから見てぇなぁ。
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- 2015年04月22日 01:10
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このシリーズほんと好き
あれかな、外伝とか挟むのかな
まだまだ続くようだしね
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- 2015年04月22日 02:21
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本当に最高!!
続編何ヶ月でも待ちます!
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- 2015年04月22日 10:48
- ※12
この話のギルドからしたら、残りカス組織が暴れたせいで最新治療装備の供給が阻害されたから報復
⇒調子こいたISISのパイロット焼き殺しにヨルダンが本気出したのと同じ様なモンなんだろうな。
副所長が逝ってスポンサーもごっそり居なくなってそうな上にギルド敵に回したらもう終わってるな・・・
それにしてもレギュラーに女性キャラ多すぎw作者は新人鉱夫タンの胃をどうしちゃう気だw
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- 2015年04月22日 23:34
- 本格的なファンタジー系のSS久々に読んだ。とりあえず最高。
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- 2015年04月23日 09:30
- この後の設定も載せればいいのに、竜騎士の時代とかもつながりでてるぞ。
というかこの錬金術師シリーズ完結についても明言されてた
それはともかくやっぱり面白い。
新人鉱夫発言の大陸戦争レベルで吹いてしまったwww
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- 2015年04月25日 15:52
- 錬金術師のおかん出てこなかったな
あれは糞ゴミ親父に対する最凶兵器だったろうに
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- 2015年04月25日 16:00
- 確かに最後なんだから錬金術師の母親が来てもよかったのにな
そこだけは残念だわ
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- 2015年04月29日 13:23
- 読み終わったし今日は茹でピーナッツでもするかな
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- 2015年04月29日 18:35
- 作者のサイトによるとこの後にアルスマグナとの決着編の構想もあったけど、経営難から離れ過ぎるから没になったらしいね。
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- 2015年05月05日 18:17
- 前までは面白かったけど、今回はつまらないラブコメが多くて途中で飽きた
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- 2015年05月21日 16:47
- もうちょいギルドマスターとの絡みが欲しかったかな...
納得はできるんだけどね
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- 2017年09月23日 01:10
- やっぱりハプニング編より経営をどんどん広げていくとこが面白いな。
誤字はまだしもところどころ日本語が間違ってたのでもうちょい語彙力つけてベタな小ボケみたいなのやめたら素晴らしいと思う てかなろう小説とかよりは全然面白い そっちでやってたら今頃漫画化くらいは余裕でしてそうだな
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- 2018年07月10日 10:28
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ここまでの名作なかなか無いっすよ!
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- 2018年11月10日 22:47
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ホントに話は面白いんだけど女店員が暴力メンヘラ女で好きになれないわ私が悪いよね?チラッチラッって態度も気に食わない
銃士の方が他人に気を配れるしライバルにも気を使えるし可愛い
これでおしまいなのかと思うと何とも悲しいけどね