P「怪話」
真「泳」
夜寝る時、照明を全部消す派ですか? それとも豆電球だけ残す派ですか?
ボクは、基本的には全部消す派ですね。
ただ、たまに豆電球を残す日もありますよ。
そんな日はだいたい心霊番組とか見た日なんですけどね。
んー、まあ、怖いからってのは確かですよ。
ただ、暗いのが怖いってわけじゃないんですけどね。
照明を全部消すと、たまに魚みたいなのが見えるんですよ。
暗い部屋の中、より暗くて黒いものが目の前を横切って行くんです。
目が慣れる頃には消えるから、別に気になるってほどじゃなかったんですけどね。
ただ、一度、寝る前にホラー映画を見たことがあったんですよ。
寝る時、怖いもの見たさで見ちゃったことを後悔しながら電気を消しました。
そしたら、部屋中にそいつらがうようよしてたんです。
それ以来、そういう日は豆電球を残してますね。
あずさ「生」
この前、家の近くの空き地に、マネキンがいっぱい捨てられてたんですよ。
普段なかなか目にしない光景ですから珍しくって、ついつい近寄って見てたんです。
そしたら、たくさんのマネキンの手や足の中に一本、毛の生えた手があったんですね。
それを見た途端、急に怖くなって、急いで帰ったんです。
後日、誰かが通報したんでしょうか。
警察の人達が来て、その手を持って行きましたよ。
私、それを見て、よかったって思ったんです。
プロデューサーさんだって、そう思いますよね?
もちろん被害者は気の毒ですよ?
でも、もし警察の人達が持って行かなかったらって考えると……。
やっぱり、よかったなって思うんです。
響「在」
ん? プロデューサー、何見てるんだ?
あ、心霊番組か。
ふーん、心霊スポットロケ……。
いいよね、そこに霊がいるって分かるのって。
あのね、自分の住んでたところにも、心霊スポットって言われてる所があったの。
クラスの男子達は、とある男が自殺したとかとある女が殺されたとかなんとか噂してたんだ。
でもね、自分、親から聞かされてたんだ。
その家は、建てたはいいけど誰も住まなくてそのままになってるだけなんだ、って。
しかも元々そこは何もない土地だったから、心霊なんかいないんだって、聞かされてたんだぞ。
なのに、肝試しに行った三人のクラスメイトは、みんな『転校』していった。
普通の霊なら、きっとなにか関係のある人とか場所に出るよね?
だから、心霊スポットとかに出る霊とかよりも、何の関係もない所に現れる、何か。
そういうのの方が、自分は怖いんだ。
高木「関」
昔、とある会社のビルに行った時の話なんだがね。
廊下の隅で、男の子が泣いていたんだよ。
周りの人の様子から判断して明らかにこの世の者ではなかったが、私は話しかけることにしたんだ。
話を聞いてみると、行きたい場所があるのに足が無いから行けない、ということらしかった。
可哀想に思った私は、その行きたい場所とやらに連れて行ってあげることにしたんだ。
手を差しのべて、おんぶして。
その子の案内に従ってビルの中を歩いたよ。
そうしてしばらく歩いていたら、男の子が、あるドアを指差したんだ。
私はそのドアを開けた。
だが、そこには何もなかった。
気がつけば背中の男の子は消えていたが、私はそれどころではなかった。
やはり、ああいったものと関わるべきではないんだねぇ。
美希「宿」
ねえねえハニー。
ミキね、さっき、ヤドカリを見てきたよ。
え?
うん、ちょっとペットショップに寄ってたの。
すごくかわいいかったよ?
やっぱり、ヤドカリは蟹さんがいいよね。
ハニーもそう思うでしょ?
……え? ヤドカリって、蟹さんとかが貝殻とかの中に入ってることを言ってるんじゃないの?
違う? そういう生き物? 本当に?
……なんかショック。
じゃあ、あの人はヤドカリじゃなかったんだね。
あの人って誰、って?
えっとね、カモ先生の公園にいる人なんだけど。
いつもゴミ箱の中にいるんだよ。
そしてね、たまに手を伸ばして、近くに落ちてる物を掴んで持って行くの。
きっと綺麗好きなんだね。
でも、そういえばまだ手以外を見たことないの。
今度覗いてみようかな?
春香「小」
小さい頃、毎年夏休みはおばあちゃんの家にしばらくの間泊まってたんです。
ある年の夏、庭で遊んでたら、小人が私のことを見てたんです。
大きさ? そうですね……鉛筆ぐらいだったと思います。
それが、草の間からこっちを見てるんです。
私、それを捕まえました。
捕まえて、お菓子の箱に入れて、その上から石を置いたんです。
そしておばあちゃんを呼びに行ったんですけど、その時ちょうどお昼ご飯の準備が出来てて、私、すっかりそのことを忘れちゃって……。
その日の晩、夜中に目が覚めました。
すると、布団の周りに、恐ろしい顔の小人が何人もいたんです。
みんな口々に何か言ってるんですけど、全然聞こえなくて……。
その後、その小人達は、私の足の方に歩いて行きました。
そしたら、足に激痛が走って……。
私は、余りの痛さに泣き叫びました。
しばらくすると、お母さんが駆けつけてきて、病院に連れて行かれました。
病院に着いて、初めて自分の足を見てみたら、両足の小指の爪がありませんでしたよ。
翌日、庭に置きっぱなしにしてた箱を見に行くと、石がどかされて蓋が開いてました。
そして、赤い模様がついてました。
今でも、おばあちゃんの家に行くと物がなくなったり、どこからか小石が飛んできたりします。
当然の罰ですよね。
一応終わり
以下、前回書いたやつ(P「不思議の後日譚」)のおまけじゃないバージョン
春香「とある取材テープ」
──こんにちは
こんにちは。
──本日は取材に応じていただきありがとうございます
えへへ、取材なんて久しぶりだから、緊張しちゃいますね。
えっと、なんの取材でしたっけ?
──少し前に、765プロが突然営業停止した理由についてです
そうそう、そうでしたね。
話題になってたなぁ……。
──何故、あれほど急に営業停止したのでしょうか?
そうですねえ、簡単に言えば、みんながいなくなったから……ですかね。
まあ、もちろん全員じゃなかったんですけど……。
──では、いなくなったのは?
えっと、千早ちゃん、伊織、響ちゃん、亜美、真美……ですね。
一人一人話していきましょうか?
──お願いします
じゃあ、誰から話せばいいですかね。
──ではまず、如月千早さんから
千早ちゃんですか。
千早ちゃんはね、いなくなっちゃったんです。
失踪? ……まあ、そうですね。
ある日、忽然と消えちゃって、それっきり。
マンション暮らしだったんですけど、鍵もかけないでどこかに行っちゃったんです。
これは、ここだけの話なんですけど。
失踪した日、千早ちゃんを見かけたって人がいたらしいんです。
その人が言うには、千早ちゃん、幸せそうな顔で歩いてたんですって。
誰もいない隣に向かって話しかけながら。
本当、どこに行っちゃったんでしょうね。
せめて、生きててくれるといいんだけどなぁ。
無理かなぁ。
──では、水瀬伊織さんは。
伊織? 伊織かぁ……。
うーん……これ、言っちゃっていいのかなぁ。
……ま、いいや。
伊織はね、殺されたんです。
知らなかった?
まあ、基本みんなのことは報道されませんでしたからね。
たぶん、どっかの誰かが圧力でもかけたんでしょ。
まあ、とにかく、殺されてたんです。
屋外でロケしてたらいつの間にかいなくなってて、探しまわったスタッフさんが近くの空き地で見つけたそうですよ。
死因? ……失血死、かなぁ。
見つけたスタッフさんの話によると、女が死体を食べてたとか。
近づいたら、その女、すごい速さで逃げ出したそうですよ。
ちなみに、そのスタッフさんももういません。
この前ニュースで見たんです。
野犬か何かに襲われた様な死体だったって、言ってました。
──では、我那覇響さんは。
響ちゃんはね、よくわかんないんですよ。
ある日突然いなくなって、しばらくしてから沖縄で見つかったんです。
それと、同時に、私達のプロデューサーさんが自宅で死んでました。
警察の人は、最初響ちゃんがプロデューサーさんを殺して逃げて、沖縄で自殺したんじゃないかって考えてたらしいですよ。
でもまあ、結局迷宮入りになったそうです。
え?
ああはい、死んでましたよ、響ちゃん。
沖縄の海で、漁師のしかけた網にかかったそうです。
ちなみにプロデューサーさんは寝室で溺死してたそうで。
本当、よくわかりませんよねぇ。
──では、双海亜美さんと双海真美さんは。
…………。
亜美が、行方不明になってたんです。
真美はずっと心配そうで、私達も励ましたりしてたんですけど……。
実は真美が、亜美を監禁してたんです。
発見された時、亜美は大きな鏡の前で椅子に縛り付けられてたそうですよ。
耳にはヘッドホンがつけられてて、延々『わたしはだれ?』って繰り返されてたとか。
今は、どこかに入院してるって聞いてますよ。
真美の方ですか?
さあ……。
亜美は、鏡の中にいるとか言ってたそうですけど、そんなわけないですし。
いったい、どこに行ったんでしょうね。
──最後に他のみなさんの近況などは。
えー、言えませんよそんなの。
て言うか、知りませんし。
まあ、美希と貴音さんはご存知の通り961プロでアイドルやってます。
律子さんも他の事務所に移ったんじゃなかったかなぁ。
他のみんなは大体アイドルやめました。
社長は最後まで頑張ってたんですけど、やっぱり続ける気になりませんでしたしね。
……そろそろいいですか?
もうすぐ時間なんですけど。
──貴重なお話ありがとうございました
いえいえ、そんな……。
──ところで、今までずっと断り続けていたにも関わらず、どうして今回応じてくださったのでしょうか
あはは。
しつこいんですよね、ずっと狙ってきて。
もうあずささんにも会いませんし、どうしようと思ってて……。
近くの人にうつしてもすぐ戻ってきちゃうから、ちょうどいいと思って。
──それは、どういう……?
そのうち分かりますよ。
それじゃ、おつかれさまでした。
終わり
一応何の後日譚かだけ
千早→今までの全部
伊織→「喰」
響→「かえる場所」
亜美真美→「鏡」「姉」
美希→「ミキミキ」
貴音→「髪」
あずさ→「神社と人形」
お付き合いいただきありがとうございました
転載元
P「怪話」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420291922/
P「怪話」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420291922/
「Amazon」カテゴリのおすすめ
「アイドルマスター」カテゴリのおすすめ
コメント一覧 (23)
-
- 2015年01月04日 13:15
- ご苦労さんなこって
-
- 2015年01月04日 13:29
- 社長の「なにもなかった」ってのは部屋の中に何もなかったではなくて文字通りドアを開けたら屋外とかで文字通り「なにもなかった」ってことでいいのかな、
-
- 2015年01月04日 13:29
- oh……
-
- 2015年01月04日 13:30
- 死にすぎィ!
-
- 2015年01月04日 13:31
- いあ!いあ!
-
- 2015年01月04日 13:52
- 作者の頭が良すぎて俺には理解できないシリーズだった
いくつか分かりやすいのもあったけど半分くらいはわからんままだったけどネタばらしとかはしなくていいよ
-
- 2015年01月04日 14:52
- やっぱあずささん強いわ
-
- 2015年01月04日 16:16
- どうせみんないなくなる
-
- 2015年01月04日 16:22
- ※7
あずささんも花一匁されてね?
-
- 2015年01月04日 16:35
- 社長は搬入用の扉とかで足場がなく落ちかけたんだろう
-
- 2015年01月04日 17:20
- どんどんつまらなくなっていくなあ、これ
-
- 2015年01月04日 17:42
- どうせみんな陸奥になる
-
- 2015年01月04日 18:34
- ※8
どうしてそんなことかいたいえ
-
- 2015年01月04日 18:34
- あずささんの生ってのがよくわかんない...
-
- 2015年01月04日 19:12
- 伊織のはゾッとしたな
「あいつが食べるのがry」って予感が的中してるやん…って
-
- 2015年01月04日 19:49
-
たいして怖くもなけりゃ面白くもない
アイドルにひどい目にあわせてるあたりがむしろマイナス
-
- 2015年01月05日 00:30
- これ亜美真美の話がよくわからない
真美は亜美を閉じ込めてた?理由は真美が自己を保つため?でもそれやったら亜美の写真がなかった理由は…?
-
- 2015年01月05日 05:59
- ※16
面白いかはなんとも言えんが奇妙な話であって怖い話とは若干ベクトルが異なるんじゃないかな
-
- 2015年01月05日 06:18
- ※14
霊的なナニカじゃなくて普通の死体だったって事じゃねーの?
-
- 2015年01月05日 08:05
- ああ響は前回もう霊になってたのか…
-
- 2015年01月05日 15:08
- 単なるネタばらしだからなぁ
ぜんぶ含めておもしろかったですよ
-
- 2015年01月08日 20:53
- 真のはあれか
フィクションじゃないよってことか
-
- 2015年01月10日 06:53
-
あずささんのはただの事件じゃん
それに今回のはアイマスのキャラでなくても成立する話ばかりでつまらなかった