男「俺に与えられた魔法がくっそ使えなくて笑えない」
- 2014年12月29日 19:40
- SS、神話・民話・不思議な話
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ざわざわ
男「なんだぁこの騒ぎは」
友「お前今日は魔法授与の日だろ? 皆それで騒いでんだよ。……いい魔法貰えるといいなぁ。お前もそう思うだろ?」
男「いや、変なのじゃなきゃなんだっていいよ」
友「まぁ適性とかもあるらしいしなぁ……ってうわっ」
キャーキャーイケメン君スゴーイ
男「あいつらうるせぇなぁなんだってんだよ」
友「あーイケメンだな。雷撃の魔法授与されたらしい」
男「おーおー凄いな」
担任「……んー? なんだ来てたのか男ー次お前だぞ」
男「うぃー」
……
…
魔法官「はい、次君ね。君の魔法は……『そっち向いて』だね」ペラペラ
男「は?」
魔法官「いやだから『そっち向いて』って言うそっち向かせる魔法」
男「いやいや冗談っすよね?」
魔法官「いや、確かに『そっち向いて』だよ」
男「え?」
魔法官「うん、はい次の人」
男「いやいや待って待っておかしいでしょそんな魔法聞いた事無いっスよ」
魔法官「まぁ珍しい魔法なのは確かだけど……」
男「成長したら凄い魔法になるとかそういう系ですか?」
魔法官「あーいや、ちょっと待ってね」ペラペラ
男(冗談じゃねぇぞなんだこのクソ魔法)
魔法官「えーと、成長すると、『あっち向いて』と『こっち向いて』って言うのが使えるね」
男「」
魔法官「もういいでしょ? はい次の人ー」
男「いやいやいやちょっ」
警備員(男)「次が控えてるんだから、オイタは駄目でしょ!」ガチッ
男「放してくれぇええええええ!!」ズルズルズル
……
…
友「おい、どうだったよ!」
男「」
友「俺さー運良かったんだなぁ! 炎風の魔法貰えちゃったよ! うはwwww」ゴウゴウ
友「成長するとさードラゴンの形した炎も操られるらしくてさーお前はどうだった? ん?」
男「」
友「……おい?」
男「」
友「どーしちゃったんだよ」
女剣士「ど、どうかしたの? 男くん、元気ないけど」
友「あっ、女剣士ちゃん。それが男のヤツなんか授与終わってから元気無くってさー」
女剣士「そ、そーなんだ。あんまり良い魔法じゃなかったの、かな」
友「あーかも知んないね。ところで女剣士ちゃんどんな魔法だったの?」
女剣士「わ、私?」
友「うん」
女剣士「あ、あんまり良い魔法じゃなかったから、おお、教えられないよ」ブンブン
友「いやいや気になるからさー大丈夫大丈夫馬鹿にしないし、なっ?」
男「」
友「男もこう言ってるし」
女剣士(お、男くん何も言ってないような気がするんだけど……)
友「ほんとお願い!」
女剣士「ほ、ほんとに馬鹿にしない?」
友「しないしない、なっ!」
男「」
女剣士「……え、えっとね、ちょっとだけ足が速くなる魔法で、で、でも、元々私足遅いし、あ、あんまり良くないなーって」
友「良いじゃん良いじゃん!」
女剣士「そ、そう、かな。ち、ちなみに友くんはどんな魔法だったの?」
友「俺? 炎風の魔法」ゴウッ
女剣士「すっ、凄い……」
友「いやー運が良かっただけだよ」
女剣士「そ、そんな事ないよ。元々友くんあ、頭も良いし、適性もいっぱいあったし」
友「そう言って貰えると嬉しいっしょwww」
女剣士「そ、それで、男くんは?」
友「それなー今聞いてるんだけどさ。いい加減教えてくれよ」
男「……世の中にはな、言いたくないこともあるんだ」
友「な、なんだよ。そういわれるとなんか知りたくなってきたぞ。闇魔法とかその類か?」
女剣士「やっ、闇魔法、なの?」ガタッ
男「……いや、残念ながら違う」
友「じゃあなんだよ」
男「……ほんとに良いのか? 言っても。色々と後悔することになるぞ」
友「……お、おう」ゴクリ
女剣士「き、気になるから」ゴクリ
男「……『そっち向いて』だ」
友「はっ?」
女剣士「????」
男「いやだから『そっち向いて』って言う、魔法」クイッ
友「お、おうっ!?」グイッ
男「なっ?」
友「……こ、こんだけか? せ、成長すると凄くなる系の魔法かもしかして?」
男「成長すると『あっち向いて』と『こっち向いて』を使えるらしい」
友「……」
女剣士「……」
男「なっ、後悔しただろ? 聞いた事。だから言いたくなかったんだよ。……ったく」
友「……そ、その、なんて言うか」
女剣士「……き、訊いてごめんなさい……」
男「やめろよ、余計惨めになるだろ、俺が」
友「……いや、ほんとスマン」
女剣士「…・…うん」
DQN「うおおお俺は鋼拳の魔法だぜぇえええこれでもっと強くなれるぜヒャッハー!!!」
女子1「あたし失敗した系の魔法だったーコップに水満たすだけとかwwww」
女子2「えーでも成長すると空間全部水で満たせるんでしょー」
女子1「そこまで行くの面倒くない?」
男「……チッ。どいつもこいつも」
担任「よーし全員終わったなー。今日はもう帰っていいぞー明日は班行動で魔法を使った実戦やるからなーきちんと休めよー」
……
…
父親「今日はどうだった、男。俺は竜息、母さんは竜爪と家は竜にまつわる魔法に適性のある家系だ、お前もそれ系だっただろ?」
男「……」
男「い、いや、違かったよ」
父親「そうか」シュン
父親「だが、私たちの息子だ、きっと凄い魔法に違いない。なぁ、母さんや」
母親「でしょうね、きっと」ニコニコ
男(い、言えない、『そっち向いて』だなんて言えない……)
男(変な魔法じゃなきゃまだ『俺才能ないし』で済ませられるけど、こればっかりは……)
母親「それで、どんな魔法だったの? お母さん聞きたいわぁ……」ニコニコ
男「……いや、そんなに凄くないから」
父親「良いから隠さずに言ってみろ」ニコニコ
妹「たらいまー」
男(むっ、グットタイミング)
男「妹連れて遊びに行ってくるから! おーい妹よ遊びに行くぞー!」
妹「むっ、この声は、お兄ちゃん!? 行くー!」
……
…
男「ふぅ、これでなんとか切り抜けた」
妹「……その反応、もしかしてお兄ちゃんクソ魔法貰ったね」
男「……鋭いな。まぁその通りだな」
妹「それで、どんな魔法なの?」
男「『そっち向いて』って言うそっち向かせるだけの魔法」
妹「wwwwwwwwwwwウケルwwwwwww」
男「んなに笑うなよ……」
……
…
魔法長官「ほっほっほ、今日は全国の一斉魔法授与式じゃな。今回はどんな魔法が贈られたんじゃろうなぁ」
秘書「一覧はこれです」ドサァアア
魔法長官「ほっほっほ、多すぎないかえ?」ペラペラ
秘書「ちゃんと目を通してくださいね」
魔法長官「ほっほっほ……ん? んんん? この魔法は……」
秘書「どうかしましたか?」
魔法長官「いや、何、この魔法なんじゃが……」
秘書「……『そっち向いて』、ですか? 聞いた事ない魔法ですね。なんか名前からして
クソの役にも立たない魔法みたいな匂いがしますが」
魔法長官「そうかえ、知らんかえ」
秘書「? 何がですか?」
魔法長官「ほっほっほ、頼みがあるんじゃが」ソオオッ
秘書「尻触ったら通報しますよ」
魔法長官「ほっほっほ」サッ
秘書「で、なんでしょうか?」
魔法長官「この『そっち向いて』と言う魔法を今回リストに入れたヤツを探し出して欲しいのじゃ」
秘書「……了解しました」
魔法長官「理由は尋ねないのかえ?」
秘書「秘書ですから。内容の詮索までするつもりはありませんよ」
魔法長官「さすがは良いケツしてる女じゃのう」
秘書「セクハラで訴えますよ」
秘書「……では行ってまいります」眼鏡クイッ
魔法長官「うむうむ、ほっほっほ」
魔法長官(……しかしふぅむ。この魔法……名前や説明を変えてはいるが、この性質、確実に『アレ』じゃな)
魔法長官「……いつか出回るとは思っておったが、ほっほっほ、まさかわしの代とはのう」
……
…
翌日
男「はぁ……」
友「元気ねーなまぁクソ魔法でもしょうがねぇじゃん」
女剣士「そ、そんな酷い魔法でもないと思うよ! だって不意打ちとか出来そうだよ!」
男「俺肉弾戦すっげー苦手なんだけど……」
女剣士「そ、そうかも知れないけど……」モゴモゴ
友「っと、担任来たぞ」
担任「よーしお前ら班作れー昨日言った通り今日は実戦だからなー」
イケメン「ふっ、僕と組みたい子は皆まとめて来ると良い。雷撃の魔法で僕が全てカタをつけるよ」
キャーキャーイケメン君ニ守ッテ貰イターイ
友「うおっ、イケメンのやつすげー人気……」
男「お前らも早く班組めよ」
女剣士「……え?」
男「俺見たいなクソの役にも立たない魔法のヤツと組んでも何の得にもならないぞ。自分と相性良さそうなヤツと組めよ。
気にすんな俺は先生と組むからクソ魔法だし先生の魔法で守って貰うわ……うん」
友「おいおい俺がダチ見捨てっかよwww」
男「と、友、お前ってヤツはっ!」ジィイイン
女剣士「わ、私も男君と組むよ!」
女剣士「ほ、他の所行っても、多分、足手まといだし……」
男「なお更他の所行ったほうがいいぞそれ真面目に」
女剣士「が、がんばるから!」
友「女剣士ちゃんもこう言ってるし、まぁいいじゃねーかwww」
男「ま、まぁそう言うなら……けど、ならあんまり頑張るな」
女剣士「う、ううん! がんばるよ!」
男「いや怪我してもアレだし」
友「だなwww」
担任「お前らー班は4人だからなー」
友「だそーだあと一人どうするん?」
男「あーもう先生でよくね?」
友「その謎の先生押しはなんなのwwww」
男「いや先生強いしガチムチだし」
女剣士「お、男くんはホモなの?」
男「違う違う普通に女の子が好きだよ」
女剣士「そ、そっか良かった」ホッ
女不良「おいおいあと一人ならアタシも混ぜろよ」
男(うわぁめんどくせぇのきたぁ……)
友「女不良ちゃんじゃんwwwいいよいいよwww」
男「えっ」
女不良「アアアァン!? なんだその反応は、アタシに何か不満でもあるのかい!?」
男「いやっ」
友「おいおい、女不良ちゃんは弓使えるんだぜ? 後方支援的に最強だろwww」コソコソ
男「お前のその謎のプラス思考はなんなの…・…」
友「それに、女不良ちゃんいつもクラスで孤立気味だから多分入る所ねーんだよ」ヒソヒソ
男「お前って馬鹿に見えるけど実際ただただ優しいヤツだよな」
友「褒めてくれてありがとぅーwww」
女不良「ヨロシクな!」
女剣士「は、はい!」
女不良「で、男は何の魔法が使えるんだ? アタシは氷風が使える」
友「あーそれは聞かないであげて。ちなみに俺は炎風で、女剣士ちゃんは足が速くなるヤツ」
女不良「いや男のも教えろよ」
男「それは教えられない」
女不良「どうして? 戦力わかんないと作戦とか立てられないだろ」
友「う、うん、まぁそれはごもっともなんだけども」
女剣士「ちょ、ちょっとね」
女不良「……まさか、闇魔法系か? 呪殺とか」
男「違う違う!」
女不良「じゃ、じゃあなんなんだ……」ゴクリ
男「……まぁ、秘密だ。俺の魔法は使えないものだと思ってたほうがいい」
女不良(使えない、だと。威力が強すぎる、とかか? 爆撃とか隕石とかか?)
女不良「ふ、ふっ、ふふふ、なるほどな。そういうことか。中々やるじゃないか。頼りにしてるぞ」
男(なんか勘違いしてるなこいつ……まぁどうでもいいか)
友(なんか勘違いしてそうだなー)
女剣士(か、勘違いしてる見たいだけど、い、言わないほうがいいよね? 私空気読めてるよね?)
……
…
秘書「おかしい」
秘書「足取りが全く掴めないなんて……」
職員1「あっ、秘書さんチーッス」
秘書「どうも」
職員1「どうかしたんですかー」
秘書「……先日、全国の学校で魔法の授与式がありましたよね」
職員1「そっすねぇ」
秘書「授与する魔法はどの選定員が選定したのか登録されているハズですよね?」
職員1「えぇ」
秘書「全くその情報が無いなんてありえますか?」
職員1「いやいやそれは無いですよ。禁止魔法なんか出されると困るんで、魔法ごとに誰が選んだかきちんと登録されてるハズですよ」
秘書「です、よねぇ……」
秘書(けれど、あの魔法は誰が選んだのかその事項が見事に抹消されている……一体、なんだっていうの。あんなクソみたいな魔法に
そこまで隠蔽を施すなんて……)
担任「よーし全員止まれー実戦場はこの洞窟だ。地下三階まで行って、教頭の作ったゴーレム倒してくるのが
今回の授業だ」
友「ゴーレムwwww……炎効くのか?」
女剣士「剣も効かなさそう……」
女不良「まっ、なんとかなるだろ」
男「う~んこの緊張感の無さ」
担任「三階より下には行くなよーここの一番奥には本物のドラゴン居るからなーさすがに先生でも
タイマンは無理だから、助けらんないぞー」
イケメン「ははっ、ドラゴンなんて僕の雷撃で一撃さ」
キャーイケメン君抱イテー
友「うわーすげー自信」
男「まぁでも、雷撃はドラゴンの種類にもよるけど、基本相性良いしなぁ。小型ならあいつでも倒せるんじゃね」
友「何冷静に分析してんだよwwww」
男「確かにあの顔とか性格ムカつくけどさー実際アイツは才能ある系の人種だもの」
友「いやいや、でも無理じゃね? 担任でも助けらんないって言ってだから、少なくとも中型以上だろ」
男「あーそっかだよなぁ。あのガチムチな先生でも無理って事はヤバイ感じか」
女剣士「お、男くんドラゴンに、詳しいの?」
男「う~ん、まぁ、うちは本来竜に適性があるって言うか強い家系らしいから」
男「親はどうせ俺もそれ系になるだろうと、色々教えられたような」
友「なのにあの魔法wwwwwwww」
男「やめてくれ……まぁどうせあんまり教えられた事覚えてないから、どうでもいいけど」
女剣士「だ、大丈夫だよ!」
男「やめろ自分を惨めにかんじる」
女不良「???何の話だ? アタシを置いてけぼりにするな」
男「……いやどうせ聞いても何にもならないから」
女不良「そうか? ……なら別にいいけどよ」
担任「何度も言うが三階より下は行くなよー分かったかー特にイケメン」
イケメン「センセ、さすがに僕もそこまで馬鹿じゃないですよ。確かに倒せますが、今回はそういう授業じゃないでしょ」キラッ
キャーイケメン君スマイルー
担任「ならいいんだがな……よし、じゃあ各班いけー」
友「っしゃあじゃあいくか」
女不良「一番に行って好成績残そうぜ、そうすりゃ普通の授業サボっても許される」
女剣士「そ、そんな事ないと思うけど……」
男「やだなぁこんなクソ魔法……」
担任(う~ん、男の班、イケメン班と並んで心配な班だなぁ……)
……
…
男「洞窟の中って暗いなぁ」
友「そこでぼくの出番ですよ」ボッ
女剣士「わっ、明るい」
女不良「馬鹿とハサミは使いようってヤツか」
友「馬鹿ってwwwwwひどいwwww」
男「まぁ早く行って終わらせようぜ」
女剣士「う、うん」
友「んだなwwwっつーかさ、ゴーレム倒したって適当に言えば倒さなくても倒したことになるんじゃね?wwww」
女剣士「そ、それは……」
男「さすがに無理だろ。どうせ教頭がゴーレムに細工して見てるかなんかしてんじゃねぇの」
友「世の中は世知辛いなぁ」
男「まぁいざとなれば先生に助けてーって言えばいいし……」
イケメン「ハハハッ、そんな心構えじゃ駄目駄目だね!」キラッ
男「うおっ、いつのまに」
イケメン「君たちぃ、なんなら僕の班と行動するかい? 僕が守ってあげようかい?」キラランッ
イケメン君優シイー
女不良「しっしっ、あっち行け」
イケメン「つれないなー、まぁいいさ、ははは、じゃあお先に行くね」バチバチ
イケメン君ノ電気明ルイネー炎ヨリ凄ーイ
友「あれwwwなんか俺馬鹿にされてるwwwwまぁ慣れてるから別にいいけどwwwww」
男「あの性格なー」
女剣士「な、なんか鼻につくよね」
友「女剣士ちゃん結構きつい言い方するね」
女剣士「えっ」
女不良「いやまぁでもあいついつも偉そうでムカつくよなー。いっつも人に囲まれててよー」
男「最後のが本音だろ……お前友達とかいなさそうだもんな……」
女不良「なんか文句あっか?」
男「……いや、ない」
……
…
友「う~ん、しかし、全然モンスター出てこないなー」
男「先生たちがゴーレム以外やったとかじゃないか」
女剣士「か、かなぁ」
女不良「おいおい何のんびりしてんだ。早くしないと一番じゃないぞ」
友「別に一番じゃなくてもwwwつか、そろそろ三階だと思うんだけどなぁ今二階だし」
男「だなー」
友「おっ、階段みっけー」
男「さっさと済ませて帰ろうぜ」
友「あの魔法でなwwww」
男「だからやめてくれよ……」
ガィイン ガィイン
友「ん? なんか音しね?」
男「下のほうからだな」
女不良「くそっ、先越された!」
友「まぁまぁwww」テクテク
友「って、DQNたちじゃん」
DQN「てめぇらああああ男は拳で語ってナンボじゃーい!!!」
子分「シャアアアア!!」
女剣士「す、素手で戦ってる」
友「DQN連中は肉体強化系が多いとは言え、ゴーレム相手に一歩引かないとはすげーなあいつらwww」
女不良「あたしらも早くゴーレム探すぞ!」
男「はいはい、まぁすぐ帰りたいしな」
友「俺も魔力の残り気になるし、早めに見つけようぜwww」
女剣士「ち、小さめのゴーレムがいいな」
女不良「何言ってんだ! 一番大きいのに決まってるだろ探すのは!」
女剣士「えぇ……」
男「なんでもいいだろなんでも……」
友「だなwww」
バチィンバチイイン
男「ん、今度は奥から音がするが……」
友「行ってみようぜwwww」
……
…
イケメン「ふはははは僕の実力が試される時が来たんだね!」
イケメン君頑張ッテー
友「何やってんだあいつゴーレム五体も集め……ってあいつの放とうとしてる電撃、なんか大きくね?」
男「お、おいおい、アレやばくねぇか」
友「あの大きさってさ、洞窟の地盤とか大丈夫カネ?」
男「いや、やばいだろ普通に」
女剣士「ど、どうかしたの?」
友「イケメンを止めるべきか否か、それが問題と言う話ですよんと」
女不良「放っておけよ。へっ、そのままくたばっちまえ」
男「いや、地盤が崩れたら俺たちも……」
イケメン「さぁ行け、僕の全力の電撃ィイイ!」バヂヂヂヂヂヂ
ズドオオオオオンン
友「うおおおお揺れる揺れる」
女剣士「あわわわわ」
ピシッ
男「んおおおっ……ピシ?」
ガラッ、 ガララララッラ
イケメン「へっ?」
友男女剣士女不良「」
担任「ふああああ」
教頭「居眠りですか?」
担任「うおっと、いえいえ、違いますよ。それよりどうですか、家のクラスは」
教頭「中々良くやっていますね。DQN君たちなんか、ゴーレム相手に物怖じしていませんしね」
担任(まぁあいつら日頃から拳でなんちゃらとか言ってるしなぁ)
教頭「見ますか?」
担任「えぇ」
教頭「どれどれ、んんん?」ヒュン
担任「どうかしましたか?」
教頭「この子は、イケメン君ですねぇ」
担任「あいつ、ゴーレム五体も集めて何やって……っておいおい、その電撃、大きすぎだろ……」
教頭「穴開くんじゃないですかこれ。下にはドラゴンが……」
担任「さすがにそこまで馬鹿ではないとは思いますが……」
『僕の全力の電撃ィイイ!』
教頭&担任「」
教頭「こ、これは……」
担任「助けに行って来ます」
教頭「ま、待ちなさい。下に居るドラゴンは中型クラスの黒竜ですよ」
教頭「一部の優等生の試験用のものではありますが……」
担任「……今は試験用の調整調教無しの状態、ですよね」
教頭「かなり凶暴ですよ。試験時の五倍は強いと見て良い」
担任「教頭も来てくださいよそれなら」
教頭「いえ、私は対竜用の魔法はあまり得意では」
担任(使えねぇハゲだな……)
担任「まぁ、なんとかなるでしょう」
教頭「……すぐに他の教員も呼んで来ます」
担任「頼みます」
友「いってててて、皆~大丈夫~?」
男「ったく、イケメンの野郎……」
女不良「おえっ、吐きそ。振動とか駄目なんだ、アタシ……」
女剣士「女不良ちゃん、だ、大丈夫?」
イケメン「ぼ、僕としたことが、プリティガール達、大丈夫かい……」
ナ、ナントカー
イケメン「良かった……」ホッ
ギロン
イケメン「な、なんか視線を感じるんだが……」
女剣士「」
友「お、女剣士ちゃん、どうした……のって……」
女不良「は、初めて見た……」
男「げぇ、中型、しかも黒竜かよ……」
黒竜「わが眠りを妨げる者よ。いかような理由を持って来た」
友「や、ヤバイ系の竜か?」ヒソヒソ
男「ヤバイ所じゃねぇよ……」ヒソヒソ
友「……あーその、竜さん竜さん、これは何かの間違いなんだ、あ、謝るからゆる……」
イケメン「ふっ、ふははははは、竜とは都合が良い!」
黒竜「……小さき者、なんと小さき者」
友「ば、ばっかお前なに言って」
イケメン「僕がぶっ倒してやる!」
イケメン君カッコイイー
男「あー、あー」
友「何あーあー言ってんだよ、女剣士ちゃんもしっかりしてくれ~」ユッサユッサ
女剣士「ハッ」
友「お、おい、男、どうすりゃいいんだこれ」
男「無理、無理。怒らしちった」
友「倒す方法とか無ぇの!?」
男「無い。黒竜の特性は一部の魔法を除いて全てを無効果しちゃう所だから、太刀打ち無理。逃げるしかない。けど、多分逃げるの無理。死んだな俺ら」
友「そんな事言うなよ~」
男「無理なもんは無理だろ」
友「なんでこんなのがいんだよ~」
男「……多分、試験かなんかで使う竜なのかもな。黒竜の特性に対処出来るなら、同じクラスの竜は
全て倒せる」
イケメン「はははっ、大丈夫さ、僕の電撃でこんがり焦げ目をつけてやるさ!」バチバチバチバチ
黒竜「ふぅむ。愚か、あまりに愚か」グオン
友「竜が……」
女不良「立った……」
男「そんなク○ラが立ったみたいに言うなよ……」
友「冷静なツッコミは今はどーでもいい」
イケメン「行けぇええええ僕の電撃ィイイイ」バチイイイイインン
黒竜「なんと、この我にそのような粗末な魔法を……」バクン
イケメン「ハアアアアアアア!? ぼ、僕の電撃ィイイイイイ!?」
友「く、食った……」
男「だから普通の魔法は無理だって……」
イケメン「く、くそっ、ならもう一度ォオ」
男「やめろって余計怒らせるだけだ」
イケメン「じゃあどうしろっていうんだよ!」
黒竜「オークの腸よりも不味いものを食わせおって……」ゴオオオオオ
友「な、何か竜さんのお口から、黒い光が……」アワワワワ
男「ちっ、全員伏せろ!」
全員「ッ!?」
ガオオオオオオオオンン
女剣士「ひ、ひぃいいいいおどーさんおがーさ~ん!」ガクガクブルブル
女不良「な、なんだ今の……」
男「今のは黒竜の息吹だ」
友「そ、そのまんまじゃねーか! どう危ないのか教えてくれって」
男「端的に言うとだな、あの息吹をまともに食らうと、魂が燃える。つまり死ぬ」
全員「」
イケメン「や、やっぱり僕の電撃をもう一度……」
男「だからやめろって」
友「ああくそっ、こんな所で死にたくねーぞ……」
男「母さんか父さんが居ればな……」
友「お前の親ならなんとかなるってか」
男「父さんならあの息吹を受けても死なない。つーかそのまま飲み込んで倍加して返す。母さんなら
真っ二つだな」
友「お前の親スゲーな……ならお前もって」
男「俺の魔法、忘れたか?」ニコ
友「アレだもんなぁ」
男「短い人生だった、まぁ悔いは無い。どうせ生きていてもこのクソ魔法」
イケメン「何諦めてるんだよぉおおおお!」
イケメン「駄目だろ! 僕たちだけじゃないんだぞ、女の子も居るんだ!」
男「そうは言うけどお前がこうなった原因じゃん」
イケメン「ウッ」
友「生命の危険だというのに人間はなんと醜いものか……」
女不良「悟り開いてる場合じゃないだろ」
黒竜 コオオオオオオオッ
友「二発目くんぞ……」
イケメン「く、くそ、僕の電撃でやっぱり」
男「やめろやめろぶつけても逆にあの黒竜の息吹が拡散するだけだ」
イケメン「けど、僕は女の子は守らなきゃいけない……それが紳士ってものだろう」
イ、イケメン君……キュウン
男「なんだよこの空気……ちっ、しょうがねぇな」ザッ
友「お、お前まさか力をかくし……」
男「マジでサーセンしたっ! 許してつかあさあああああい!」ジャンピング土下座
友「……だよなー」
黒竜「……」コオオオオオアアアアアアッ
男「あっ、やっぱり駄目……」
ダダダダダダ
友「ん? なんだよ今度は上から音?」
担任「お前らぁああ無事かあああ!!」
担任「オラアアアア!」ガアアン
黒竜「ぬぅ……」カポ、ン
イケメン「ふ、不発……。せ、先生……」
ザッ
担任「……お前ら、ここは俺に任せて早く逃げろ」ニカッ
友「お、おおう! さすが肉体派魔法のガチムチィ先生! 頼りになるぅ!」
イケメン「よ、良かった……」
男「……先生、中型とは言え黒竜相手、多分先生でも死にますよ?」
担任「ん? なんだドラゴンに詳しいな。まぁそうかも知れないな」
イケメン「せ、先生でも?」
担任「……いいから行け。生徒は俺が護るさ……」
黒竜「……」ガアアアアアアア ビリビリビリ ド、ドォウウゥウン
担任「んん!?」
友「げ、げっ、咆哮の振動で、通り道っつぅ通り道全部塞ぎやがったコイツ……」
黒竜「せっかくの玩具、逃がすと思うてか……」コアアアアアア
担任「こ、これは……護りながらとなると、キツいな……」ボソッ
イケメン「ぼ、僕だって」
男「だからやめろって……」
イケメン「先生の魔法が効いてるんだぞ、僕のもやっぱり、次は全力で……」
男「先生のは肉体付与系だから効いただけだ」
イケメン「やってみないとわからないだろ!」
男「だからお前のは食われてたじゃん」
友「……ま、まぁまぁ落ち着けよ」
女不良「こ、ここは男の魔法を使うべきじゃないか?」
男「はっ?」
女不良「使えないと思え、と言うほど強力なんだろ。今使わなきゃいつ使うんだよ」
男(やべ、こいつ勘違いしてんだっけか)
イケメン「そんな強い魔法なら出し惜しみしないでくれよ!」
友「あ、あのね……」
女剣士「おが~さ~ん」ヒックヒック
担任「……おいおい、あんまり騒がないでくれ」
男「そうだぞ!そうだぞ!」
イケメン「くっ、き、君はなんて卑怯なんだ……」
イケメン「自分の魔法を見せたくないからと、全員が死んでもいいと言うのだな」
男「いやそういうワケじゃ……」
イケメン「そして自分だけ助かるって事かい?」
友(う~ん、追い詰められた人間がどういう思考になるかと言うのがよくわかるな)
友「……まぁ落ち着けって、とりあえずどうすりゃいいんだ」
男「……お前かイケメンの魔法でとりえあえず塞がれた道に穴開ければいいと思うけど。女不良のも
見てないけど、強いならぶっ放して見ればいい」
友「だそうだ」
女不良「男の魔法は使わないのか?」
男「まぁ、俺のはどうせ効かないだろうしな」
女不良「……ふ~ん。見たかったんだけどな」
男「見ても良い事ないって」
友「さっ、ともかくともかく、担任がなんとかしてる間に、穴開けて逃げるぞ!」パンパン
黒竜 コココアアアアアア
男(アレは、やばいな……直撃したら先生でも死ぬぞ。肉体付与もなんのそのの魂焼きだからな。
けど、俺らが後ろに居る。避け切れないヤツが出たらそいつも死ぬ。先生は多分避けないだろうな……)
男「う~ん、この魔法、竜にも効果あるんだろうか。試してみるか?」ボソッ
友「何か言ったか?」
男「別に」
イケメン「い、今は争ってる場合じゃなかったね。いいだろう、僕の雷撃で穴を開けよう」バチチチッチチ
男(穴空ける前に先に黒竜の息吹が来るな。やってみるか)クッ
黒竜 ゴアッ
男「ふん」グイッ
黒竜「グアッ?!」ゴゴゴゴン
担任「な、なんだ……見当違いのほうに息吹を……」
男「すっげ効くんだ……」ボソッ
黒竜「な、何をしたあああああああああ!」ギアアアアアアア
男「おーけど余計に切れちゃった……」
男(う~ん。黒竜に効果あるってことは、一部の側の魔法だよな……つまり属性無しか空間系か?)
男「肉体系統じゃないのは確実だが……よくわからないなぁ……」
ガガーン
男「あっ、開いた」
イケメン「さぁ、行くよレディ達!」
黒竜「今の魔法、誰ぞ」ギロリ
イケメン「ひっ……な、なんの事だよぉ」
担任「誰かが、魔法を使ったのか?」
黒竜「我が体を操るなど、ありえぬ……誰ぞ」ギロン
男(この驚き様……これ、普通の操作の魔法じゃないって事か……)フムフム
友(うわぁまたなんか考え事してる……)
友「お、おーい早く逃げるぞ」
男「あっ、そうだな」
男「……あ、あと、その、こ、黒竜さん寝起きですから、ちょっと体が鈍ってるとかそんな感じじゃないですかね……」
友(あっ、この言い方、今のやったの男か。あれ竜にも効果あんのか)
黒竜「ふぅむ、であるか……」
男「ですです」
黒竜「……なるほど、貴様か」
男「え?」
黒竜 カパッ パッ
男「危ねっ」グイ
黒竜「ガアアッ」ゴウ
担任「ま、また違う方向に、ど、どうなってるんだ……」
黒竜「……言い訳は効かぬぞ」
男「や、やだなぁ……」
黒竜「……ふん」ドシン
イケメン「竜が急に大人しく……?」
黒竜「攻撃が当たらぬ。遊ぶ意味も無し。行くが良い」
担任「よ、良くは分からないが、逃げられるのなら逃げるぞ! しんがりは先生がやる。不意打ちがあるかも知れない」
黒竜「黒竜の誇りにかけてせぬよ。認めよう。我の負けだ」
担任「……そうか。すまなかった」
黒竜「良い、気にするな」
イケメン「い、いこう」
イケメン君待ッテー
友「俺らも行こう!」
男「あー女剣士ちゃん立てる?」
女剣士「お、おどーさ~ん~」ヒックヒック
男「……おぶるから、はいはい」
女剣士「うわ~~ん!」ヨジヨジ
男(う~ん泣きながらもよじ登ってくるとは)
女不良(今のは誰が……)
黒竜「ふぅむ……」
黒竜(一瞬とは言え我の体の自由を完全に奪うなど……まさか)
黒竜『小僧』
男「うおっ!」
友「ん? どした?」
男「い、いや……」
男(竜族のテレパスか……)
男『な、なんでしょうか……』
黒竜『……その魔法、人の理では禁呪では無いのか』
男『禁呪……?』
黒竜『知らぬか? 違うか? ふむ、すまなかった』
男『い、いえ……』
黒竜『しかし、ものは試しと思いテレパスを使ってみたが、通じるとはな……』
男『俺の家系は竜の適性があるので……』
黒竜『……ほう』
男(う~ん。竜とテレパス出来てるって事は、やっぱ俺は本来竜関係の魔法を授与されるハズだよなぁ……)
黒竜『ふっ、心の声が駄々漏れであるぞ。……がしかし、あながち間違いでは無いのだぞ。その魔法が我の思う通りであれば、竜との関係はあろう』
男(げっ、聞こえてたか。危ない危ない。竜は自分は暴れるくせに礼儀にうるさいんだよなぁ……)
男(つか、テレパス用の言葉と普通の思考の差ってあんまり分からんのよね)
男『あーなんかすんません』
黒竜『良い』
男『……ところで一つ聞いて良いですか』
黒竜『なんだ』
男『この魔法の事、知ってるんですか? 教えて頂いても?』
黒竜『違うのやも知れぬ。確証にも無き事を伝えるは……』
男『竜族の恥、ですか』
黒竜『ほう、竜族の規律が分かるではないか。……が、しかし、折角だ。一つ教えよう』
男『……どうもです』
黒竜『我々は、その術の総称を始祖の力と呼ぶ』
男『始祖の、力、ですか……。それに、総称……?』
黒竜『左様。先ほどのは、あくまで断片でしか無い。あまりに強すぎる力よのう。あまり使わぬ事だな。
後は自分で調べるが良い。違うやも知れぬのだから』
男『……いえ、お教え頂いて感謝します』
……
…
職員2「だっつー話」
職員3「マジで?」
職員2「マジマジ、あくまで噂だけどなー」
職員3「あそこにあるのって古代魔法だっけか? 鍵開いてたとかやばくね?」
職員2「そうそう、んで、誰かがそれ盗んだんじゃねーかって。変な噂だよなー」
秘書「……あなた達、何の話をしているの」
職員3「あっ、秘書さんちわーっす」
職員2「うーっす」
秘書「挨拶はいいから、何の話をしてたのかって」
職員3「あーはい、なんつーかあくまで噂なんですけど、誰かが古代魔法を盗んだって噂があって」
職員2「古代魔法の封印部屋の鍵が開いてたとかなんとかで。面白そうなんで俺ちょっくら見には行ってみたんですけどー」
職員3「えっ、お前行ったのかよ」
職員2「おう。けど、鍵閉まってたし、やっぱ噂は噂かなーと」
秘書(……)
秘書「それ、何時ごろの話なの?」
職員2「えーっと、確か一ヶ月くらい前でしたかねー」
秘書「そう」
職員3「どーかしたんですか?」
秘書「いえ別に」
秘書(……魔法の選定期限のギリギリの時期ね)
秘書(けど、あんなクソみたいな名前と効果の魔法が古代魔法なワケないだろうし)
秘書(それに、封印部屋が開いてたなんてそんな話が本当なら、当時にはもう長官や私の耳に入っているハズですし)
秘書「……簡単に終わると思ってたけど、案外面倒くさ、この調査」チッ
職員3「お、おい今秘書さん舌打ちしたぞ」
職員2「俺らなんかしたのか?」
職員3「いや……もしかしたら長官のセクハラのせいかも知れない。あの人セクハラした事良く自慢してるしな……」
秘書 ピキッ
秘書(長官、あとで締める)
友「最近男の様子がおかしい」
女剣士「う、うん」
男「……」ペラ
女不良「帰ってきてからあいつずっと本ばっか読んでんな」
イケメン「んーきっと僕の雷撃魔法の凄さに負けないようにと頑張ってるんじゃないかな?」
友「お前あいつの魔法の事出し惜しみしてるとか隠すなとか凄いとか言ってなかったか」
イケメン「いやいや、きっとショボすぎて出せなかったんじゃないかと今になって思うよ」
友(う~んこの性格)
キャーイケメン君凄カッタヨネー
女不良「つーかおめー何ナチュラルに混ざってんだよ」
友(女不良よ、君がそれを言うか……)
イケメン「えっ、だ、駄目かい?」
友「う~んお前の取り巻きとかうるさいし」
女剣士「で、出来れば近づかない、で」
イケメン「そっ、そんな……」ガーン
男(始祖の力……か)
男(調べては見てるけど、全然分からないなぁ……)
男(少なくとも、目を通せる範囲の辞典やらは見たけど該当無し)
男「残す所は閲覧禁止区域にある黒本だけだけど……」
男「あれ見れるのってこの学校だと校長とかだけだろうなぁ……」
黒竜「どうした、浮かぬ顔をして」
男「ん? あぁいや中々難しい……ん?」
友「お、おい、なんかちっちゃい竜がいんぞ」
女剣士「う、うん」
女不良「な、なんかアレどっかで見た事ないか?」
男「……どうしたんスかその姿」
黒竜「……いや何、良くは分からぬが、あの後な、20人掛かりで術者が来おって、我をこんな体にしおったのだ」
男「はぁ……つか、出歩いていいんスか」
黒竜「……後任が、居るらしいのだ」
男(後任って、やっぱ試験用の竜だったのかこの人……)
黒竜「うぬう、我は何もしておらぬというのに」
男(俺らの事殺そうとしただろうが)
黒竜「人の眠りを妨げるのが悪いのだぞ」
男「まぁ、確かに」
男(思えばイケメンのせいだよな)
友「お、おいなんか親しげに話してっぞ」
女剣士「ぺ、ペット?」
女不良「すげーペットだな。触らせて貰おう。おーい!」
友「おまっ」
男「ん?」
女不良「そのペット触らせてくれよ」ガツッ
黒竜「ぬっ!」
女不良「スゲーゴツゴツしてる」ナデナデ
黒竜「う、うぬぅ……」
友「勇気あんなぁアイツ」
男「怒らないんすか」
黒竜「このような小さき姿では、どうしようもないというもの。あの息吹も蚊くらいしかもう殺せぬわ」
女不良「なんか喋ってんぞーこの竜」ブンブンブンブン
黒竜「ヴァーヴァーヴァー」
男(う~ん、試験用に連れてこられて、仕事でもないのにいきなり起こされたと思ったらこの姿にされて……
悲惨だな)
黒竜『め、目がまわる……』
男『そうっすね。色々と心中お察しします』
イケメン「はっはーそんな凄いペット、どこで手にいれたんだい? 僕にも教えてくれよ」
男「いきなり来たかと思ったらイケメンか……」
イケメン「さぁ、早く教えてくれないか」
男「とりあえずお前はこの竜に謝ったほうがいいと思う」
イケメン「へ? なんで?」
男「いいからとりあえず謝ろうぜ?」
イケメン「う、うんだからなぜだい?」
男「な?」
イケメン「す、凄まないでくれよ……よ、よくわからないけど、謝ればいいんだろ? す、すまない」
男「それでお前の罪は消えないけどな……」
イケメン「つ、罪ってなんだい、僕が何をしたって言うんだよおおおお! くそおおおお!!」ダダダダッ
女不良「なんだアイツ……」
男「さぁな」
男『ところで、その姿目立つんですけど、どうにかなんないですか』
黒竜『い、今の我には使える術などほとんど無いのだ……あっ、一つだけあったのう』
男『よくわからないですけど、目だたくなるならそれやっちゃって下さいよ』
黒竜『う、うぬ』ボフン モクモクモク
友「ッ?! んんんん? な、なんぞ、竜が消えて幼女に?」
女剣士「あ、アンビリーバボー」
男「えぇ……なにそれ……」
黒竜「どうじゃ」
男「どうって、えぇ……」
黒竜「人化の術は使えるぞい。人の目から弱き時期を欺くには必須の術だからのう」
黒竜「大きくなれば使わなくても良いのだが……」
男「えぇ……って言うかメスだったんすか」
黒竜「何か都合でも悪いのか」
男「いや、ステルス出来るとかそういう方向かと」
黒竜「それが使えるのは銀竜の類だのう」
男「あーそうだったかも」
友「もはや俺には何がなんだかわからないwwwwww」
女剣士「」プシュー
女不良「面白いなーこの竜」ガシガシ
黒竜「やめっ、やめっ……」
友「おいwwwwどうなってんだよwww」ドタドタ
男「えっいや、その」
男(いたのか……女不良はなんか良くわからないが受け入れてるっぽいが)
友「ごめん、いや割と真面目にどうなってんの」
黒竜「うぬ、我は……」
男「妹だからwwww」
黒竜『……何を言う』
男『ちょっと事が大きくなるとアレなんですいません割とマジですいません』
黒竜『……ふぬう』
友「うそつくならもっと丁寧につけよwwwお前の妹は全然違うだろwwww」
男「実は、生き別れのほうの妹で……」
友「おいおいおいだからさぁwwww女剣士ちゃんなんかショートしてんだぞwwww」ズイ
女剣士「」プスプス
男「あーうん。あーあーあー、なんて言えばいいのか」
友「まぁ無理に聞かねぇけどよwww別にいいけどよwwwwちゃんといつか教えろよwwww」
男「ごめんな、いつか言うから」
友「ほんとだよwwww妹とか無理ありすぎんだよwwwお前の妹はドラゴンになれるのかっていうwww」
男「あーそこから見てたのか」
友「まぁな。けどさ、だから言いたくなったらでいいよ」
男「明日には言うかもな」
友「はやっwwww」
……
…
魔法長官「それで、犯人は見つかったかのう。ほっほっほ」
秘書「いえ。全く」キリ
魔法長官「そこは自信満々に言う所かのう……」
秘書「それより長官、私へのセクハラを武勇伝にしているという話を小耳に挟んだのですが……」
魔法長官「ほっほっほ、ちょっと接待に行ってくるかのう、ほれ、他のお偉いさんと」
秘書(逃げたな……)
魔法長官「ほっほっほ」
魔法長官(ふむ、しかしやはりそうそう見つからんか……)
……
…
魔法大臣「それで、先刻の事はどうなっているのか」パカン
魔法長官「おっ、ナイスシュートじゃ、腕を上げたのう大臣よ」
魔法大臣「だろう。って違うわい。お前の言っていた例の魔法はどうなっとるのか」
魔法長官「……一応、わし自身が見た所、現物はまだあるがのう」
魔法大臣「意味深だな」
魔法長官「うむ……内容自体、中身はそっくりそのまま無かったのだ。やはり確定じゃ」
魔法大臣「やはり盗まれているか」
魔法長官「そのようじゃ。犯人探しは難航しとるよ」
魔法大臣「お前のところの秘書は少々抜けておるのがいけない。それにどうせ何も教えておらんのだろう。……ワシのを貸そうか」
魔法長官「嫌じゃよお主の所の秘書は肉体派のマッチョしかおらんのだし。ワシは良いケツしてる女が良いんじゃ」
魔法大臣「昔と変わらず女好きだのう」
……
男「あー今日は疲れた」
黒竜「じゃのう」
男「?」
黒竜「?」
男「……あの、なんで家まで付いてきてんすか」
黒竜「そりゃ、いく場所が無いからじゃが」
男「森とかは?」
黒竜「……こんな小さな姿で行ったら、確実に殺されるわい。普通、小竜になるまでは親に護って貰うもんじゃよ」
男「あっ、ソーナンスカ」
黒竜「全く、こんな事も知らんとは。それでも竜に適性のある家系なのかのう……」
妹「ん? お兄ちゃんが、よ、幼女と歩いてるっ!?」
男「おう、妹よ……」
妹「お兄ちゃん、だ、駄目だよ。自首しよう、ね?」
男「何か勘違いしてないかお前……」
黒竜「なんじゃこの小便くさい小娘は」
妹「小便くさい……え?」
男「あー妹だ」
黒竜「ふぅむ……」
妹「ちょっ、え? どう見ても私より小便くさいのって、そっちじゃ……って違う違うお兄ちゃん」
男「何」
妹「ほんと駄目だよ、なんかこんな世間知らずそうな子を……自首なら罪が軽くなるよ?」
男「しつけぇ……説明すんのダルい」
妹「いくら授与されたのがショボイ魔法だったからって、自分を見失って自暴自棄なんて駄目だよ」
男「ごめんちょっと竜の姿になって」
黒竜「ふむ」ボフン
妹「」
妹「え?」
男「こういう事なんだ」
妹「……うっそ、えっ、本当に? え? ウソ、え?」
黒竜「ウソも何も、これが我の真の姿じゃ」
妹「……」
男「まぁお前が驚くのも無理はな……」
妹「可愛い……」
男「は?」
妹「うっそー可愛いー!」ガッ
黒竜「ま、またか……」
妹「どこで買ったのこのペット?」ナデナデ
男「別に買ったワケじゃないんだけどさ……勝手についてきたと言うか」
妹「いらないなら私にちょうだい」
男「さっきまでお前なんて言ってたっけ……。我が妹ながらほんと無駄に適応能力あるよな」
妹「黒竜のミニミニサイズとか友達に自慢出来るじゃーん」
黒竜「やめっ、我は見世物ではないのじゃ!」バタバタ
男「……そういや父さんたちって今日帰ってくるっけ? 聞きたい事あるんだけどさ」
妹「多分帰ってくると思うよー」
男(父さんたちなら知ってるかな……)
妹「チョコ食べる?」スッ
黒竜「これは、た、食べ物なのか……よ、良いのか?」
妹「うんうん」ニコニコ
黒竜「……」パクッ
黒竜「美味である……」ジィイン
黒竜「オークの腸やゴブリンの脳みそばかり与えられておったからのう……」ウッウッ
妹「よくわかんないけど大変だったんだね……」ヨシヨシ
男(……そんなものばかり食わせてたのか。学校の管理体制どうなってんだよ)
……
…
担任「いやはや、この前は割りと真面目に死ぬかと思った」
教頭「まぁ何はともあれ事態は収集出来て良かったですねぇ」
教頭「……そういえば、今年の各校の新人対抗戦の代表者はどうしたものですかねぇ。他のクラスは誰を出すか大体決まってるようですが」
担任「うちのクラスからはイケメン辺りを、と思ったんですが、先日の問題もアイツでしたし……」
教頭「実力だけなら彼は上級の優等生にも引けを取らなさそうですが……まぁ、ああいう性格では……」
教頭「まぁ今回は他校にあの人が居るそうですから、どっちみち誰が出ても多分うちは負けるでしょうが」
担任「竜尾の姫、でしたっけ。話題になってましたよねぇ授与後すぐに」
教頭「うちの学校の新人からも竜関係の魔法の生徒が出てくればまだ期待も持てたんですが」
担任(……地味に男には期待してたんだがなぁ。ご両親の家系的にも。ただ、授与された魔法は本人が言うにはとんだクソ魔法で
教えたくないですの一点張りだったが……)
教頭「誰か隠してたりしませんかね」
担任「隠す必要性が無いでしょう」
教頭「ですよねぇ……」
担任「うちのクラスからはDQN辺りを出すとするかなぁ……脳筋なのが少し気になりますが」
教頭「脳筋だなんて君も人の事言えないでしょ」
……
…
黒竜「美味なるぞ!」バクン
妹「どんどん食べてねー」ニコニコ
黒竜「こんな食事、初めてじゃ……」バクバク
妹「こんど私の友達来た時に一緒に遊んでね」ニコニコ
黒竜「お安い御用じゃあ」バクバク
男(すげー食うなコイツ……)
父親「今帰ったぞー」
男「おっ、来た」
父親「ん? なんか騒がしいな……」
妹「あっ、おとーさん、早く来てーお兄ちゃんがペット連れてきたよー」
黒竜「ペットではないのじゃが……」バクバク
父親「ペットォ? 犬か猫かなんかか?」ドタドタ
妹「違うよーミニミニサイズの竜だよ」
父親「はっ!?」
黒竜「お邪魔しとるのう」
父親「……どこで拾ってきた」
男「いや拾ったって言うか、勝手にくっ付いてきたというか」
父親「……元の場所に返してきなさい」
黒竜「えっ」
父親「前にもあったんだよなぁ。母さんが野良竜連れてきて、結局飯の世話とかしないし……私がすることになるんだ」
男「いやそんな話知らないけど」
父親「お前たちが産まれる前の話だ」
父親「竜さまを敬うのは家訓ではあるが、しかし悪いが正直疲れる」
黒竜「こ、この姿のままで野良はすぐに殺されてしまうのじゃ……」
父親「でしょうなぁ」
妹「お、お父さん、こんな小さくて可愛い黒竜ちゃんがゴブリンに翼をもがれてオークに内臓食われてギガンテスに踏み潰されて
グチャグチャになってもいいって言うの……?」
父親「いや別にそこまでは言ってないが……なんかその責め方昔の母さんを思い出すな……」
男「まぁ、色々と大変な目にあった竜の事は確かのようだし、ちょっとそれは可愛そうかなと」
黒竜「な、なのじゃ……」
父親「……あなたならば、その姿でも生きていけるのでは?」
男「え?」
父親「……この竜さまは明らかに魔力の『質』が違う。どうしてこんな姿になったのかは知らないが
、元は少なくとも齢300は超える中型クラスの竜だろう」
黒竜「うぬぅ……見抜くか」
男(父さんって地味に凄いよな……)
黒竜「……その通りじゃ。我は元は齢300と54。しかしである、とは言え、この姿では碌な術も扱えぬ」
父親「えっ、あれ? そーでしたっけ」
黒竜(この抜けっぷり、なんとなく男と親子を感じるのう……)
妹「おとーさん、お願い……」ウルウル
父親「う、うっ……」
妹「世話ならお兄ちゃんがするから」
男「俺かよ……」
父親「そ、そこまで言うのなら……だ、だが、小竜になったらきちんと自然に帰すんだぞ……」
妹「やったー」
黒竜 ホッ
男「小竜になったらって、何年くらいかかるんだっけか」
父親「大体100年だな」
男「俺死んでるな確実に」
父親「……竜さまと暮らすと言うのは大変なんだ」
父親「……母さんが拾ってきた竜なんか、中型ばっか。たまに大型も連れてくるもんだから
通報された事もあったな……」
男(あぁ、父さんの目から生気が無くなってゆく……)
父親「もっとも、満足したら勝手に住処に戻るだけマシだったが……」
男「大変だったんだね……ってどうでもいいよ今はそんな事。それより聞きたい事あるんだけど」
父親「流すな……まぁいい。なんだ」
男「始祖の力って知ってる?」
父親「……どこで聞いた。それを」
男「えっ、ちょっ、目が怖いんだけど」
父親「関わってはならない。その力はな……」
黒竜「……やはり、そのような扱いか」
父親「……」ジトリ
黒竜 ゾクッ
父親「……なるほど」
男「何がなるほどなんだよ」
父親「いやいい、お前はその言葉は今はまだ聞かなかった事にしろ。本来、人の知れる所ではない」
男「今はまだ?」
父親「そうだ。いずれ知る。我々、と言うか、これは竜に適性のある家系全ての当代がその存在を知っているだろう」
父親「だから、いずれお前も知る。もっとも、知った所でその力は人の手に触れぬ所に保管されているが……」
男「……竜に適性のある家系が知れる? ……そこだけでもいいから教えてくれよ」
父親「……竜属性の魔法は、本来は人では扱えない。だが、扱える家系が存在する。それはその起源に関わる」
男「起源?」
父親「あくまで伝承ではあるが、我々の祖は竜であるとされている。だから、始祖の力についても知れる所にある」
父親「……今言えるのはここまでだな」
男「先祖が竜、ねぇ……」
父親「あくまでそういう伝承だと言うだけだ。家系によって先祖もまちまちだしな」
男「一匹じゃないって事?」
父親「炎竜王が祖であったり、黄竜王が祖であったり、家系によって伝承は違うようだな」
父親「まぁ眉唾だけどな。王って、少し盛りすぎているような気もするが……ははっ」
男「ちなみに家はどんなのが祖って言われてんの?」
父親「私は桜竜王の直血だな。母さんは傍系だが緋竜が祖、だったような」
男「だったようなって」
父親「どっちみちウソくさい話だと思っていればいいさ」
黒竜「桜竜、失われた種族だのう……」
父親「ご存知で?」
黒竜「冬の寒きを一息に吸い、その口から出るは暖かな吐息。春の訪れは桜竜王の仕業であろうと昔言われて居たと聞く」
父親「まぁでも、今ではおとぎ話にしか出ない、非常にウソくさい竜ですが」
黒竜「そのような事は無き事。我は250年ほど前に、まだ小さき頃、同じく小さき桜竜の生き残りに会うた事がある。暖かな声音をしておった」
父親「えっ」
男「えっ」
黒竜「もっとも、どこか抜けておると言われていてな。そいつも例外ではなかったようじゃ。人のしかけた罠にはまってどこかに売り飛ばされておった」
男(父親はヘタレで抜けてるのはまさかその血のせいか?)
父親(わが息子がヘタレなのはまさか……)
黒竜「すでに殺されておるだろうし、もはやおとぎ話の中の竜でしかないと言われても仕方ないかのう」
……
…
母親「全く、なんで私がこんな会議に……」
老婆「まぁまぁ、そう言うでない。あやつも忙しいのじゃろう」
母親「仕事で忙しいからって、それなら仕事辞めてしまえばいいのよ」
中年「う~ん、厳しい事言うねぇ」
母親「息子はどんな魔法が授与されたのか教えてくれないし、イライラが最高潮に達しそうなのよ」
翁「ほっほっほ、しかし、やはり半分も来ないのだのう」
母親「でもどうせ辞退の約束は取り付けたんでしょう」
翁「まぁあのう」
翁「今回の新人対抗……正式名称なんだったかのう。とりあえずアレじゃな。そういうアレに関してじゃが、
種類は違えど、我々は同じく竜の適性家系である事に違いはない。無用な争いは避けようというものじゃ」
中年「今回は竜尾のみで良いんですよね?」
翁「うむ。一番目立ってしまってるからのう。仕方あるまい。お前ん所はどうなんじゃ」
母親「うちの息子は多分出れないですよ。そもそもこういうの好きじゃないみたいですし」
翁「じゃが、一応釘だけはさして置いたほうがいいかも知れん」
母親「必要ないと思いますけどねぇ。成績も悪いみたいですし」
翁「ぼ、ぼろくそに言うのう……」
母親「良い息子だとは思ってますよ。ただ人前で息子を褒めるなんて馬鹿親みたいじゃない」
中年2(う~ん、傍系とは言え緋竜の血が出てるなぁ……)
老婆「ふぅむ、しかしまぁなら心配はいらないかのう」
老婆「して、お前ん所の息子の魔法はなんじゃ? 銀竜の所の娘は竜尾のようじゃが」
母親「それが教えてくれないのよ」ピキピキ
翁「そ、そうかえ……しかし、今回集まってもらった事の本題はこっちではなくての……」
母親「本題?」
翁「うむ、魔法庁に保管されている『始祖の力』が盗まれ、今回の授与式で出回った、と言う話が耳に入ったのじゃ」
一同 ピクッ
……
友「じゃーんけーんぽい」
男「そっちむいてほい」グイ
友「そっち向いてってあっち向いてじゃ……ぐえぇ」グイイ
友「お、お前その魔法、卑怯くせぇなぁ」
友「この手のじゃんけんとかで無敵じゃねぇか」
男「羨ましいと思うか?」
友「いや思わないけどさwwww」
男「だろ?」
担任「おーいお前らー今回の新人対抗戦のうちのクラスの代表者についてだが、立候補とかしたいヤツいるかー」
イケメン「ふっ、ここは僕の出番かな」キラッ
キャーイケメン君ゥウン
担任「いやお前は今回出るな」
イケメン「えっ」
担任「問題起こしたばっかだろ」
担任「正直あんまり期待してないから誰でもいいぞー」
男「ひでぇ言いよう」
友「まぁしょうがねぇよ。今回他校に竜尾の魔法いるしな」
男「竜尾?」
友「お前すっげー話題になってんのに知らないのか?」
男「いやぁそんな事に興味持てる状態じゃないからさ」
友「あぁ、確かにそれよりお前の場合自分の魔法について悩んでたもんなwww」
男「悩んでるのは現在進行形だぞ一応」
友「よしここは僕が教えてあげようwwww」
男「短くな」
友「銀髪 美少女 竜属性の魔法wwwwいじょwwww」
男「う~ん分かりやすい」
友「俺も出てみようかなwwww」
女剣士「と、友くん出るの?」
友「興味本位だけどさ」
女不良「アタシは男が出たほうがいいと思うが」
女剣士「え?」
男「は?」
女不良「凄い魔法が使えるんだろう。竜属性相手なら不足はないんじゃねぇかな」
男(こいつ……)
友(まだ……)
女剣士(勘違いしたまま……)
DQN「うおおおおし! なら俺が出るぜええええ!」
担任「おっ、元気いいなぁ」
イケメン「せ、先生僕も駄目と言われても出たいんだ竜尾とやれる機会なんてそうそうないんですよ!」
女不良「まて! 男も立候補するらしいぞ!」チラッ ニコッ
男「」
担任(男も……? ふぅん……)
担任(そういや、クソ魔法なんて言っていたが、直接見せて貰ったことは無かったな)
担任「……はぁ、全くお前らは……」
担任「じゃあ明日、男、DQN、イケメンの三人で軽く試合してもらう。勝ったヤツが代表だ」
DQN「うおおおおお手加減しねぇぞおおおおやったるわい!」
子分「やっちゃって下さいよぉアニキィ!」
イケメン「しぇ、しぇんしぇぇ~ありがど~」抱き
イケメン君頑張ッテー キャーキャー
担任「くっつくな気持ち悪い…・…」
女不良「お披露目の機会だぞ、感謝しろよアタシに」ズイ
男「」
友「あちゃー…・…」
女剣士「わ、私どうすれば……」オロオロ
……
…
男「」
友「元気出せよーしょうがねぇよー」
女剣士「け、怪我してもすぐ手当てするからね」
女不良「何が不満なんだ」
友「不満と言うか、う~ん、まぁ俺らも悪いんだけどさ……」
女不良?」
女剣士「か、勘違いさせたままだった、し……」
女不良「???」
ヒュウウウ
スイマセーン ファイヤーボールガソッチニー
友「ん? うおっwwww」サッ
女剣士「お、男くんあぶな――」
ヒュン
友「男お前ぶつかwwww! ……は?」
ガアアアンン
女不良 パチクリ
女剣士「えっ、今……」
友「……ファイヤーボール、いきなり、反れたよな?」
男「」
友「おいwwww男wwwしっかりしろwwww」
男 ハッ
男「お、おおうなんだよ」
友「おう気がついたか……いや、今さ……お前の魔法って魔法とかにも効果あんのか?」
男「えっ、いや、なんで? 別に使ってないけど……ってうおなんだ壁ぶっ壊れてるじゃねぇか」
女剣士「い、今火の玉がそこにぶつかって……」
男「危ねーなぁ」
友「危ねーなって、いや、あのままだとお前に直撃してたはずなんだけど……」
男「は?」
……
…
母親「結局の所、始祖の力と言うのはなんなんですか」
母親「また聞き程度にしか知らないのですが」
翁「そうかお主は元傍系だったのう。まぁ良い。ババア」
老婆「誰がババアじゃクソジジイ」
翁「お、おう……」
老婆「あんたが教えな」
翁「う、うむ。……始祖の力を封じ込めは、その上限の全てを封印出来たわけではないが、それでも強力なものじゃ」
母親「それぐらいは知ってます。問題は中身です知らないのは」
翁「……うむ。まず一つ目は、運動、行動の強制じゃ。むりやりそっち向かせるような感じじゃな。二つ目は、完全回避。
あらゆる攻撃を「あっち向けー」ってな感じに反らせるんだのう」
母親「凄い事なのは理解しますが、例えがガキ過ぎて……」
翁「元より、封じ込めた始祖の力も断片でしかない。この力も一部でしかないのだ。ガキ過ぎるくらいの例えが丁度ええと思うがの」
老婆「焦ると無理やり物事を軽く見ようとする癖が治りませねぇ昔から」
翁「うるさいわい!」
母親「しかし、それだけの強大な力、始祖と言うのは一体……」
翁「始祖? 簡単じゃよそれは竜神――」
老婆「あんたそれは機密中の機密事項じゃろうが何口走ってんだよボケたのかい」ガン
翁「いたっ!」
老母「……まぁいいさ。あんたも直系の一員になったのだからいつか知れた事」
母親「は、はぁ……」
老婆「げに恐ろしきはこの二つじゃあなくてね。最後の一つ……」
……
…
友「お前マジで覚えてねーの?」
男「覚えてないも何も、お前の目がおかしかったんじゃ……」
女不良「い、いや友の言う通りだ。確かにファイヤーボールがそれてたぞ……」
女剣士「う、うん……」
男「う、う~んいやでもたまたまじゃねぇかな」
男(実際ぼーっとしてただけだし……)
女剣士「た、たまたま、だったのかも?」
友「いやいやいやwwwまぁお前がそう言うなら別にいいけどさwwww」
女不良「……ふぅん……」
男「それより、明日どうすんだよこれ……
イケメン「ハァーイ、僕を呼んだかい?」
男「いや呼んでない」
イケメン「なんでそうつれないのかなぁ。まぁでも明日、辞退してくれてもいいんだよ? 僕もクラスメイトはあまり傷つけたくないからね」キラン
イケメン君ヤッサシー
男「あ、あぁ考えとく」
男(根は悪いヤツじゃないんだろうけどさぁ……)
友「なんか神出鬼没だよなイケメン」
イケメン「僕は呼ばれればどこへでも駆けつけるだけさ。それじゃあね」タッタッタ
女不良「呼べば部屋の中にも出てきそうでキモいな……」
女不良「……そういえば、あの面白い竜はどこに行ったんだ」キョロキョロ
男「妹のところに居ると思うけど……なんで?」
女不良「いや、ごつごつしてて、けど腹は柔らかいだろ?」ワキワキ
男「あ、あぁ触りたいの?」
女不良「い、いや、別に……」
……
…
妹「ね? 可愛いでしょ?」
黒竜「ぎゃう」
妹友「ほんとだーお腹柔らかーい」グニグニ
黒竜「……」
妹友2「私も触りたーい」ガシガシ
……
…
男「しかし、友の言ってた事はマジなんだろうか」
男「……色々試して見るか。丁度今俺一人だしな」
ブロロロロー
男「おっ、車……って、さすがに飛び込むのはヤバイだろ。違かったら下手したら死ぬ」
オーイ サッカーヤロウゼー
男「むっ、丁度良い所にちびっこの集団」
男「おーいそこのちびっこ共、ちょっと俺に向かってボール蹴ってくれー」タッタッタ
ちびっこ1「えっ、お兄さんいきなり何」
ちびっこ2「お兄さんMなの?」
男「いや違う違う、ちょっとさ、いいから蹴ってくれよ」
ちびっこ3「まぁそういうなら……一番強く蹴れんの誰だっけ!?」
男「え? いや別に一番じゃなくても」
ちびっこ3「何言ってんだよおにいさん、やるなら本気しかないっしょ面白そうだし」
ちびっこ2「俺だ俺。ボールでガッコの窓破って校長のヅラを吹き飛ばして怒られた俺がいる」
ちびっこ2「よっしゃじゃあ行くからね、お兄さん脳震盪起こしても知らないよ」
男「脳震盪知ってるガキとか嫌だな……まぁ良いッシャア来い!」
ちびっこ2「食らえ! 唸れ! 俺の黄金の左足ィイイイイイ!」ボッ
男(ふむ……速く、力強い)
シュウウウウウウウウウ ウ……ヒュン
ちびっこ達「ハアアアアアアアア!?」
男「お、おう……マジで逸れやがった……」
ガシャアアアアアンン
男「ん?」
ちびっこ1「お、おいあの車の窓にぶつかったぞ……」
バタン
黒服「誰じゃーい! こん車は貯金貯めて買った最高級の魔法社の車だぞ! 誰じゃぁああああ!!」
男「」
ちびっこ達「やべ、逃げろ」
男「俺も俺も」 ちびっこ1「壊したのアンタだろwwwww謝れにいけよwwww」
ダダダダダッ
男「嫌だっつーのボコられるだろ」
ちびっこ2「さっき俺の完璧なシュートそらした見たいにすりゃあいいじゃねーかwww」
男「あっ、そうかって違うだろ。弁償とか洒落にならない……」
ちびっこ3「最悪だなあの人貯金で買ったとか言ってたんだけど」
男「本当に、すまないと思う……」
ちびっこ4「そう思うならさっさと謝りに行けってお兄さんwww」
男「いやでもまさかあそこに車があるなんて思わないだろ?」
ちびっこ5「言い訳はいいから謝りに行けってwwww」
男「いや、でも多分大丈夫じゃねーかな」
ちびっこ3「何を根拠にwwww」
男「いや魔法社の車だから、多分勝手に直るんじゃねーかな」
ちびっこ1「んなアホなって、マジで直ってるwwww」
黒服「ったく、クソガキどもが……しかしさすが魔法社の車、自動修復機能があって助かったぁ……」
???「車は直ったのです。早く行きましょう」
黒服「あっ、お嬢様、すいません、自腹で買った車なもので……」
???「この程度でイチイチ動じていたらキリがありませんよ。ただ」
黒服「は、はい?」
???「もう少し頑丈な車の方が良いかも知れないですね」
黒服「申し訳ありません……」
???「いえ、しかし、今のボール……」
???(気のせいかしら、変な魔力を付加していたような……)
黒服「新人対抗戦も近いというのに、銀竜の旦那に向ける顔がありません」
銀髪少女「いえ、今回の事は口外しませんので気になさらず……」チラ
謝リニイケッテオニイサンー 直ッテンダカラ良イジャネーカ
銀髪少女「……あの制服……」
銀髪少女「それに、あの顔、どこかで……」
銀髪少女「いえ、まぁいいでしょう」
ブロロロロー
男「行ったな、これは不問って事だろ」
ちびっこ1「お兄さん、俺たちは今軽くドン引きしてるよ」
男「軽くなのかドン引きなのかどっちだっつーの」
ちびっこ2「とりあえずこういう大人になりたくはないなって」
ちびっこ3「な」
ちびっこ4「うん」
……
…
友「おいおいwwwいよいよだなwwww」
男「正直辞退してもいいかなって思ってるんだけど」
友「せっかくだから頑張れよwww」
担任「準備出来たかー」
DQN「シャアアアアア!」ガチンガチン
イケメン「僕はいつでも準備万端ですよ」バチバチバチ
男「俺もまぁ一応……」
男(とりあえず、良く分からないが逸らすことは出来る。けど発動条件とかイマイチ分からないんだよなぁ。
そっち向いては俺がやろうと思わないと出来ないが、逸らすほうは勝手にっつーか)
男(そっち向いての派生系なのか、説明されたあっち向いてとかこっち向いてみたいなアレなのか……)
担任「はじめー」
イケメン君ノ勝利ハ既ニ決定シテルワー
アニキィ腹タツカラ イケメンノ顔凹マシテクレェエ
DQN「言われんでも、一番危ねぇから潰すのが、喧嘩の鉄則ってなもんよぉおおお!」シャッ
男「はやっ」
イケメン「ふふっ、やはりDQN君は僕狙いか」
イケメン「まぁ、その気持ちも分かるよ。何せ僕は強いからね」サッ
DQN「シャラララアアアア!!」ガァン
友「DQNってなんつーかゴーレムの時も思ったけど、普通にすげーよな」
女不良「今、地面に小さくだが穴あけたぞ」
担任(う~ん、日頃あまり授業に積極的ではないから、DQNの力は見る機会もないが、改めてみると普通に才能あるよな)
イケメン「ふふっ、当たったらさすがの僕でもヤバそうだ、だから、その手を閉じてあげよう」バチィ
DQN「アアン?」ガチン
友「DQNの両手がいきなりくっついたぞ……」
イケメン「君は拳を鋼に変えるんだっけか? だからさ、それにそって電気の渦を作ったのさ。磁石の要領だね」
ア、アニキィ
DQN「こんなもん、俺に効くかぁ!!」バチン
イケメン「む、無理やり……ゴ、ゴリラか何かかい君は……」
男「う~ん、こりゃ俺の出番なさそうだなぁ……」
女剣士「お、男くんも頑張って!」
友「そうだそうだ、何ぼけーっと見てんだよ」
女不良「本気を見せてくれ」
男「いやちょっとあれに参加するのは……」チラッ
DQN[オラオラっ!」シャシャシャッ
イケメン「ふ、ふっ……ちょっ、ちょっとは速いじゃないか」サッサッサッ
DQN「汗かいてんじゃねぇか! そろそろ終わりかぁああ!!」シャシャシャ
男「な?」
友「言われて見ればう~ん確かに」
女剣士「ふぁ、ふぁいと!」
女不良「あれぐらい屁でもない実力を隠してるんだろ?」
イケメン「く、くっ、本当は奥の手のつもりだったんだけど……」
DQN「アアァン?」ピタ
イケメン「良いだろう、君は、強い!」バッ バッ
男「なんか盛り上がってんなー」
友「いやお前も真面目に参加しろよ」
男「いや俺攻撃手段ないしさ……」
友「いや、良く分からないけどさ、俺はお前になんつーか可能性を感じるよ」
男「やめろよそういうやれば出来る子見たいに言われるのが一番キツいんだ」
友「悪かったwwwww」
DQN「ガアアアアッ!」グラグラァア……バタン
ア、アニキィイイイイ!
男「ん?」クルリ
男「んんんん? 何、あれ」
友「お、おう、なんかすげーなイケメン」
バチ、バチバチ
イケメン「残すは君だけさ、男くん」
男「あの、なんで体中がバチバチ言ってんスカ」
イケメン「あの後、さすがの僕も少し反省してね、竜に対抗する術を考えたのさ」
イケメン「硬いと言われる黒竜に効きそうな魔法を考えた結果ね、僕は自分の雷撃を纏う方法を編み出した」
イケメン「僕呼んで、雷人モード……」
友「凄い事は凄いけど、僕呼んでって……」
男「な、なんかなぁ」
イケメン「しょ、しょうがないだろ! まだ誰にも見せた事ないんだから! 人呼んでなんて言えないだろ!」
担任(ネーミングはともかく、この短期間でこれ……やはり頭一つ所じゃなくイケメンは飛び抜けてるな……)
イケメン「ふっ、ま、まぁいいさ、安心していいよ、すぐに君も気絶させてあげよう」シュッ
友「はっやwwww」
男「いやぁこれは大人しくやられた方がいいかも知れない」
友「だから諦めんなよwww」
イケメン「フハハハハ!」ガッ……ヒュ
イケメン「? ん?」スカッ
イケメン「んんん?」スカスカスカッ
担任「……ほう」
イケメン「な、なんで? 当たらない……」
男「……」
男(う~ん、やっぱ俺が避けてるっていうか、勝手に逸れてるっつーか)
イケメン(お、おかしい、確かに僕の拳は男くんを捉えてるハズなのに、まるで油に手を突っ込んだみたいにヌルリと滑る……)
イケメン「な、何をしたんだい……」
男「いやぁちょっと俺にも良く分からなくて」
担任(何をしているかは俺にも分からないが、やるじゃないか)
オ、男ォオオオ アニキノ仇ヲ取ッテクレェ!
友「おいwwwなんかDQNの子分がお前の事応援してっぞwww」
男「えぇ? いや仇って……」
イケメン「ふ、ふふふ、い、いいだろう。拳が当たらないなら」バチバチバチ
女剣士「雷の玉が、何個も……」
イケメン「……この玉で君をロックオンした。つまり、必ず当たるんだ」パチン
イケメン「これでジ・エンドさ。……僕の背中を良く見ておくと良い。強者の背だからね」クルリ
オオオォオオオ!!
イケメン「ん?」クルリ
イケメン「」
女不良「玉がどっかに空に飛んでったな」
友「そのまま戻ってこないけど、あれどうなるんだろ」
女剣士「き、消えるんじゃないかな」
イケメン「えええええええ!? 真面目に何したんだああああああい!!」
男「いやだからちょっと俺にもわかんないんだって」
担任「……ふむ」
担任(操作か何かか? いや、それなら素手での攻撃を逸らした理屈が通らない。魔法と肉体両方を操作する魔法なんて
少なくとも俺は知らないぞ……)
イケメン「な、なら当たるまでやってやるさああああ!!」バチバチバチ バンバンバン
スカッスカッスカッ
男(う~ん、ちょっとイケメンの顔怖ぇなぁ)グイ
イケメン「ぐええああ」グイッ
担任「……おっ?」
担任(今、無理やり顔を逸らさせた、か?)
担任(待てよ、じゃあまさか、あの時黒竜の顔を逸らしたのは……)
担任(だが、黒竜には普通の操作の類は効果が無いハズ……)ハッ
担任「まさか、竜属性の魔法か何か、か……? クソ魔法だなんて、そんな事無いじゃないか……」ボソッ
女不良「おい、なんか担任の表情がころころ変わってるぞ」
友「何したいんだろうな」
イケメン「はっ、はぁ、はぁ……」グラグラ
女剣士「イ、イケメンくんの様子が、変だよ……」
女不良「疲れてきたんじゃないか?」
友「そりゃ疲れるだろうよ。元々付与系じゃないのに無理やり纏ってる雷人(笑)モードとやらは、かなり複雑な扱いをするハズだぞ」
友「消費魔力も多分桁違いなんじゃね」
友「むしろ今まで良く持ったと思うよ。あんまり認めたくはないけど、普通にイケメン天才だろうなぁ……って、おっ、倒れるか」
イケメン「も、もう、駄目……」バタン、キュー
キャー イケメン君~ 膝枕シテアゲル~
女不良「……男め、攻撃魔法は出さなかったのか。まだまだ実力を隠すなんて、あいつに限界はあるのか」
友「えっ」
女剣士(あ、あぁ、なんか勘違いがより深く……)
担任「……よし、代表は男だな」
担任(男の実力が不明瞭だったとは言え、意外と言えば意外な結果になったな……)
男(う~ん、なんか代表になってしまったが……)
男「正直、辞退したほうが良かったかも知れない……」テクテク
友「お前やれば出来んじゃねぇかwwwww……って、お、おい?」
女剣士「……うわ、き、きれー……」
女不良 パチクリ
男「ん? どうかしたか?」
友「お、お前、鏡鏡」サッ
男「なんだよ」パシッ
友「自分の顔見てみろ」
男「はぁ? なんで……って、んん?」ズイ
男「……な、なんか眼の色、おかしくね?」
友「自分の眼だろwwww」
女不良「……虹彩の部分が、紅がかった桜色だな」
男「えっ、なんか変な病気とかになったのか、俺もしかして……」
友「俺に訊くなよwwww」
パタパタパタ
男「おっ……」
黒竜『ふぅふぅ、全く、玩具にされるのも楽じゃないのう』
男(妹のヤツめ……)
黒竜『ふぅ……ん? お主、その眼……』
男『? ……何か、知ってるんですか? 病気とかじゃないですよね? これ』
黒竜『だから、あまり使うなと……』
不良女「おっ、竜発見、よーし」ガツ
黒竜「やめっ……やっ」
不良女「よーしよし」ナデナデ
黒竜『く、くそっ、ここでもか……』
男『ちょっとどうなってるのか教えてくださいよ』
黒竜『……我も詳しい事は知らぬ』
男『えっ、あんなにもったいつけておいてっスか』
黒竜『しょせんは千年にも届かぬ若輩黒竜であるからのう』
不良女 ナデナデ
友「お、男が竜と見つめあってる……」
女剣士「な、なんなんだろうね……」
友「あの竜って確か幼女だよね」
女剣士「だ、だった、と思うよ」
友「まさか……男はロリコン」ハッ
女剣士「え、えぇ!? そ、そんなことない、と思う」
友「でもあんなに見つめあって……」
女剣士「そ、そんな……」ウルウル
友(あっ、やばい)
友「ごめんごめんさすがに男もそこらへんはノーマルな性癖だと思うわ。あいつ女剣士ちゃん見たいな隠れ巨乳な体型好きだし」
女剣士「良かった……って、えっ、な、なんでそんな事知ってるの……」
友「適当に言っただけwwww」
女剣士「そ、そうなんだ」
黒竜『あくまで我もそうした話を受け継いだに過ぎぬ』
男『……』
黒竜『使い過ぎればどうなるか、と言うのには諸説色々あってな』
黒竜『先祖返りするやら始祖の呪いやらとどれが本当かなど分からぬ……』
男『先祖返りに、の、呪い……?』
黒竜『うむ。何にしろ、使い過ぎれば何かが起こると見て良いじゃろう』
男『……』
黒竜『だからこそ、人の理では禁呪扱いであったと聞くが』
黒竜『……お主の親は何か知っておろうが、教えぬだろうな。じゃが、おそらくその力はほぼ始祖の力で
確定じゃろう』
男『……』
黒竜『……ただの杞憂の可能性もある。あまり案ずる事も今の段階ではあるまい』
男『あの、始祖と言うのは、一体……』
黒竜『うむ、今ならば、ほぼ確定した今ならば言うても良いじゃろう』
黒竜『始祖とは、竜の神を指す言葉』
男『竜神、ですか……』クラクラ
黒竜『うむ。じゃが、遥か昔に、理由は分からぬが己が分身の竜の王達によって倒されたと言う』
黒竜『だが、全てを倒し切る事は出来ず、その力の一部を封じたとも』
黒竜『あくまで伝承だがのう』
黒竜『ひょっとすると、その力にこじつけの物語をあてがったのかも知れぬ』
男『誰だよこんなの授与魔法に混ぜたの……明らかに処刑ものじゃないでスカ』
黒竜『それは我の預かり知らぬ事だのう』
男『マジすか……』
黒竜『さぁ、どうかのう』
男『こんな良く分からないもの……そもそも使い過ぎるとヤバイかも知れないって……』
男「くっそ使えなくて笑えない」ボソッ
友「い、いきなりどうした」ビクッ
男「あぁ、いや、別に……」
黒竜『まぁいっその事使い倒してみるのも手じゃがのう……』
男『えぇ……?』
黒竜『確かめるにはそれしかないと思うがのう……』
……
…
教頭「それで、代表はDQN君ですかやっぱり?」
担任「いえ、男になりましたね」
教頭「はて、誰ですか」
担任「まぁあまり目立たない生徒ではありますが……」
……
…
秘書「全く、イライラしますね」ドン
職員4「な、なんですかいきなり」
秘書「いえ、別に……」
秘書「全部洗ったのに、誰が……」
職員4「なんの話ですか……」
秘書「あなたには関係ありません」
職員4「……もしかして、変な魔法を選定した全てが不詳の選定員の事ですか?」
秘書「……なぜそれを……」
職員4「最近秘書さんがそのこと調べてるって噂になってますよ」
職員4(この人抜けてるんだよなぁ……多分自分ではバレてないとか思ってそう)
秘書「ですから、あなたには――」
職員4「居ますよ。全てバレずに出来る、それが可能な人物」
秘書「――え?」
職員4「ですから、居ますよと」
秘書「そ、それは誰ですか!?」
職員4「それは――」
……
…
???「竜神さまがお戻りになられる」
???「お戻りになられる……」
???「随分と苦労した」
???「没落した竜王の家系のガキ。なるべく目立たない竜王の家系のガキ」
???「苦労した」
???「お戻りになられる」
……
…
男「はぁ……けど、どうしたものかなぁ……」
男「この魔法、使うとヤバそうなんだよなぁ」
男「代表も元々やりたくもないし」
男「辞退しよう……」テクテク
『新人対抗戦 我が校 代表者 三名下記の者』
男「ああああああ俺の名前載ってるぅううううう」
男「いまさら辞退とか言えない空気だよなぁ……」
男「家族にもダルくて言ってねぇし」
男「はぁ……」トボトボ
担任「おー男、こんな所に居たのか、いくぞー」
男「えっ、どこにですか……」
担任「顔見せだよ。各校の代表者で集まって、挨拶するんだと」
男「えぇえええ……」
担任「なんだやる気無いのか? 先生結構お前に期待してるんだが……」
男「俺に期待しても何も良い事無いですよ」
担任「そう言うな。我が校は長い事優秀してなかったからな。今回もどうせ負けるだろうと思ってたが」
男「今回もそうなるんじゃないですかね多分」
担任「いや、俺はお前とイケメンの試合を見て思ったが、なんとなく今年はいけるような気がするんだ」
担任「竜尾の姫だかなんだか知らないが、お前のあの魔法ならなんとかなるんじゃないのか」
男「いやぁ……どうなんですかねぇ」
男(攻撃手段すらないし、つーか正直あんまりこの魔法使いたくないんだけど……)
男(この眼もなんか怖いしな……。カラコンでなんとかバレないようにしてるけどさ……)
担任「まぁ頑張ってくれ」
男「はぁ……」
男子生徒「あっ、隣のクラスの代表ッス。ヨロシクッス」
女子生徒「私はさらにその隣のクラスの代表。よろしくね」
男「あっ、はい……てか、チーム戦とかなんですか?」
担任「いや、直前まで分からん。チーム戦の時もあるし、個人戦の時もあるな」
男子生徒「一応、使える魔法教えあったほうがいいっスかね。俺は見た目通りって言うのもなんなんスけど、肉体強化ッス」ムキ
女子生徒「私は……氷風ね。正直あんまり強くないんだけど、消去法で選ばれちゃって」
男「俺は……えーとなんて言えばいいのか……あんまり役に立たないと思うんで、居ないものとして扱ってくれて大丈夫ですよ」
男子生徒「そんな事ないッスよ。代表なんスから、卑屈にならないで欲しいっスね。それに、あのイケメン君をやったって話も聞きましたし」
女子生徒「あっ、その話私も聞いた」
男「いやあれはイケメンが疲れて倒れただけって言うか」
男子生徒「謙遜は駄目ッスよ。教えて欲しいッス」
女子生徒「う~ん、でも無理して教えて貰うのもね。教えたくないって人、うちのクラスとかにも居るし」
男子生徒「それは、そうっスけど、残念っスね……」
ヒラヒラヒラ
男「……ん? 紙ヒコーキ?」ペラ
『可能なら竜尾の美少女の写真取ってきてくれwwww by友』
男「馬鹿かよそんな気分じゃねぇんだけどさ」チラ
友 ブンブン
男(手振ってるよ……。ただ顔見に行くだけなのに、なんかもう対抗戦に行くみたいな空気)
男「まぁ、あいつなりに応援してくれてんだろうな。良いヤツなんだよな基本」
……
…
男子生徒「集まってるっスね」
女子生徒「私たち一番最後だったみたい」
男「もう帰りたい……」
担任「何言ってんだ。ちゃんと周りの連中の顔見とけよ。対抗戦ではぶっ倒してやれ」
男「んな……」
男子生徒「強そうな連中多いッスけど、負けないッスよ」
女子生徒「私もなんて言うか帰りたい派だけどね……」
ザワザワ ザワザワ
担任「おっ、なんか騒がしいな」
男子生徒「あそこっスね、一番奥の所……」
女子生徒「銀髪……もしかして、竜尾の姫とか言う人?」
担任「だろうな」
男「どうでもいいですよそんな事……」
男(それより、どうやって魔法を使わずに済ませるか、だけど……)
担任「――良くはないだろ。優勝候補だぞ」
男(ううん……先生の言う事も分かるんだけどさぁ。自分の学校に好成績残して欲しいっていう感覚って言うか)
男(けど、俺攻撃手段ない上に、使うと自分の体が大変な事になるかも知れない魔法だしなぁ……)
男「……そうですね」
……
…
銀髪少女「あら……あの方は……」
銀髪少女「確か、車の窓を壊した……」
銀髪少女(しかし、やはりそれ以前にどこかで見た事のある顔のような……)テクテク
担任「ん?」
男子生徒「竜尾の姫が近づいてくるっスけど……」
銀髪少女「あら、どうも初めまして」
男子生徒「ッス」
女子生徒「あっはい……」
男「どーも」
担任「おっ、これは丁寧にどうも」
銀髪少女「……」ズイ
男「??? 俺に何か?」
男子生徒「男くん、知り合いか何かなんスカ? 見つめられてるっスけど」
男「いや……」
銀髪少女「……どこかで、お会いした事がありませんか?」
男「へ?」
女子生徒「ぎ、逆ナン?」
担任「なんだ、知り合いなのか?」
男「い、いえ……記憶には無いですが……」
銀髪少女「……」ジー
銀髪少女(何かしら……本当、凄く昔に、見た事があるような……)
男(知らないけど、なんかそう言われるとどこかで俺も会った事があるような……)
男&銀髪少女(思い出せない……)
銀髪少女(どこだったかしら……)ジー
男(気のせいだな、多分)ジー
担任「……何見つめあってんだお前ら」
男&銀髪少女 ハッ
チョットー 何シテンノー
銀髪少女「えっ、あぁ、はい、すいません。それでは、学友にも呼ばれましたので、私は失礼させて頂きます」ペコリ
男子生徒「……男くん、ほんとに知らないんスか?」
女子生徒「なんかそんな感じじゃない反応だったよね」
男「いや、でも記憶にはないんで……多分」
担任「多分ってなお前……」
男子生徒「でも、キレーな人でしたね」
女子生徒「品とか良さそうな感じではあった」
担任「だな」
男「……」
……
…
友「で、どーだった」
男「別に、普通だったけど」
女剣士「み、皆やっぱり強いのかな」
男「さぁ……」
女不良「なに、大丈夫さ男ならきっとな」
友「いや違う違う。どーだったって言うのは、写真」
男「あっ、撮ってねーや。てか、本気だったのかよ」
友「割と真面目になー。話に聞いてただけだしな」
男(けど、竜属性の魔法使いか……って事は、適性家系だよな。父さんか母さん辺りなら知ってるかな)
……
…
男「ただいまー」
母親「あら帰えり」
男「父さんって今日帰ってくる?」
母親「残業で泊り込みだそうよ」
男「あーそっか」
母親「何か話でもあった?」
男「まぁちょっと聞きたい事とかあったし」
ドタドタ
男「な、なんだ上から」
母親「妹が黒竜ちゃんと遊んでるんでしょ」
男(半ば妹のペットと化しているな……)
母親「で、何の話しようとしてたの」
男「いや、なんか竜尾の姫とか言う人が話題になってるとか聞いてさ。銀髪の」
母親「……あぁ、あの子」
男「母さん知ってるの?」
母親「……まぁ、ちょっとね。けど、男にはあまり関係ないでしょ」
男(う~ん、なんとなく冷たいなぁ……)
男「まぁそうなんだけど、これだけ話題になると気にもなるって言うか。竜の適性家系なら
もしかして父さんなら知ってるかなと」
母親「どうかしらねぇ。仕事仕事で覚えてないとか言いだしそうだけど」
男「それもそうかな。けど、母さん知ってる風だし、ちょっとで良いから教えてよ。今度の新人対抗戦――」
ダン
母親「あんた、もしかして代表にでも選ばれた?」
男(うおっ、包丁の音っ……なんか知らないがマトモに答えたらヤバイ事になりそう……)
男「い、いや、出ないけど……」
母親「じゃあなんでそんな言葉が出たのかしら」
男「い、いや、竜尾の姫が出るそうだからそれを聞いて興味が出てって言おうとしたんだけど……」
母親「あぁ、そういう事」
男(言い訳上手く出て良かった……)
母親「……働かなくても良いくらいお金持ちの家の娘、とでも言えばいいのかしらね」
男「なるほどねぇ」
母親「……大体、あんたも小さい頃に会った事あるでしょ」
男「へぇ……は?」
母親「まっ、覚えてなくても仕方ないけど。私もお父さんも、あんまりあんたを連れて行かなかったしね」
男「……親戚か何かって事?」
母親「ちょっと違うんだけど、なんて言えばいいのか。……まぁ似たようなものよ」
男「……」
母親「何考えてるかは分からないけど、お父さんが必死こいて働かないと生活していけない家とは違うのだし」
母親「今では気にする必要も無いんじゃない」
男(……会った事がある、か。でも、全然覚えてねぇな)
母親「あんまり変な事に首突っ込もうとしても面倒くさいだけよ」
男「まぁ、ね」
男(もう突っ込んでんだよなぁ……色々と面倒くさいレベルで)
……
…
銀髪少女「……」
黒服「どうかしましたか、お嬢様」
銀髪少女「いえ、何か懐かしいような、そうでないような……」
黒服「……はぁ、そうですか」
銀髪少女「あの人……」
黒服「お嬢様が見つめてた男の子ですか?」
銀髪少女「へっ? えっ、えぇ……」
黒服「……勘違いでしたら申し訳ないのですが……あの顔」
銀髪少女「知っているのですか!?」ズイ
黒服「いえ、自分の車にボールぶつけたクソガキの連中の中に居たような」
銀髪「あっ、え、えぇ、のようですね」ガクン
黒服「ただ、あの雰囲気、どことなく桜竜の旦那を思い出すような気はしますが……」
銀髪少女「桜竜家……」
黒服「詳しい事は知りませんし、随分と桜竜の旦那の顔は見ていないので、気のせいかも知れません」
銀髪少女「確か、一番没落した家系ですよね」
黒服「え、えぇ。一般家庭と差はないような生活をしているとは聞きますが」
黒服「当主が働いているそうで、集まりにも奥方がおいでになるそうですし……」
銀髪少女「桜竜……」
……
…
???「ひとのおうちでなにをしているのかしら!」
???「だ、だあれ?」
???「それはこっちのしぇりふというものです!」
……
…
銀髪少女「――まさか」
……
…
???「あやしくないのはわかったのです! でも、とんだへたれなのです!」
???「ひ、ひどいよ」
???「しょんなことだから、あやしくみえるのです!」イライラ
???「で、でも……」
???「――しかたないから、あたちがまもってあげるのです! しょしたら、へたれる『ひちゅようしぇい』がなくなるのです!」
……
…
男 ハッ
男「……なんだ、夢か」
男(でも、なんか変な夢だな……。なんか、相手の顔が分からなかった)
男「いや、夢なんてどうでもいいな。対抗戦、いよいよ今日か……やだなぁ……」
……
…
お父様「いよいよ今日か。出るからには、優勝以外はありえぬ事を心がけておけ」
銀髪少女「はい、お父様……。……その、ところで、一つお聞きしたい事があるのですが」
お父様「どうした」
銀髪少女「あっ、いえ……」
お父様「……お前の実力ならば、同じくした家系のものでなければ、対抗する魔法を得ぬだろう」
お父様(――『始祖の力』が気がかりだが……他の直系からは今回全て辞退のハズ。杞憂であれば良いのだが……)
お父様(だが、もしもアレが娘と当たれば、目覚めるやも知れぬ。第三の能力までたどり着けば、間違いなく覚醒する……)
お父様(もっとも、あくまで噂の域は出ず、該当するような魔法を授与された直系の話も訊かぬ。桜竜の家の子だけが不明だが――所詮は目立たぬ没落。目をつけられる事もあるまい)
銀髪少女「どうかされましたか?」
お父様「いや、何、お前のする心配ではない。ただ、あらぬ者が紛れ込んでいるやも知れぬ。気をつけるにこしたことはない」
銀髪少女「は、はぁ……気をつけます」
お父様「……そうだな。今回の試合、私も観戦に行くとしよう」
銀髪少女「お、お父様がですか?」
お父様「……何、娘の晴れ舞台とくれば、行かぬ道理もあるまい」
銀髪少女「か、家系に恥じぬよう――」
お父様「うむ」
……
秘書「――まったく、こんな簡単な事に気づかないなんて」
魔法長官「ほっほっほ、犯人が分かったかえ」
秘書「……えぇ」
魔法長官「そいで、犯人は誰じゃろうか」
秘書「今日は新人対抗戦ですよね。長官や大臣も観戦に行くとお思いですが――」
魔法長官「ほっほっほ、そりゃあのう。優秀者にはプレゼントもあるしの」
秘書「必ずそこに現れます」
魔法長官「……ほう」
……
…
父親「ふあああああ」
女社員「父親さん、最近根つめてますね」
父親「家族の為だしなぁ」ガタッ
女社員「ご家族の写真ですか。あら、ちょっとカッコイイ息子さんですね」 テレビ ピッ
父親「はっはっはちょっとヘタレだが自慢の息子……って、おっ、今日はそういえば新人対抗戦か」
……
…
魔法大臣「相席、宜しいじゃろうか」
魔法長官「ええじゃろ」
バタン ブロロロロー
魔法長官「……新人対抗戦、今年はどこの学校が優勝かのう」
魔法大臣「とんだ茶番。竜の家のものが居る所だろう」
魔法長官「そうではない時もあったじゃろう。ほれ、何十年か前に雷の魔法を使うヤツの時」
魔法大臣「百年に一度の天才だったじゃろうがそいつは……所で、件の犯人は分かったのかのう」
魔法長官「会場に居るそうじゃよ。秘書が言うとったわい」
魔法大臣「……それは真か? お前の所の秘書がそこまで優秀とも思えぬがの」
魔法長官「ほっほっほ、良いケツしてる女は良い仕事をするもんじゃよ」
……
……
…
男「アアアアアアア」
友「もうここまで来たら腹括るっきゃねぇよwwww」
女剣士「ふぁ、ふぁいと!」
女不良「ふっ、男、きさまの隠された実力を世の中にしらしめる良い機会を得たじゃないか」
担任「ほんとやる気出してくれよ。まぁうちのクラスから功労者が出たら俺も鼻が高いってのも確かにあるが」
イケメン「ふっ、先生、僕が出たほうが良い結果残せたと思いますけど……まっ、負けは負け、男くん、
僕の分まで頑張ってくれたまへ」
友「だからなぜお前はさりげに混じってるのか」
DQN「俺の分まで全員ぶっ倒してくれよ! ええ! 男! 漢を見せてこいやぁあああ!!」バンッ
男「せ、背中ぶつなって……」
DQN「根性入れてやったんだよボケエエエ!」バンバン
友(そしてなぜお前もナチュラルに混ざってるんだ、DQN……)
担任「しっかし、毎回の事だが、物々しい警備だな」
友「魔法官に警備員……いくら魔法が飛び火しないようにっつっても数がスゲー多いですよね」
男子生徒「あっ、男くんこんなトコに居たっスね」
担任「――おっ、で、どうだった」
女子生徒「チーム戦だそうです」
担任「あーやっぱりか」
男「やっぱり?」
担任「いや、去年個人戦だったしな。まぁ連続の時もあるし、こればっかりはなんともな」
担任「まっ、早く終わる分良いっちゃ良いんだけどな、チーム戦。よし、いくぞ」
男子生徒「ッス」
女子生徒「はーい」
友「男、頑張れよwww骨は拾ってやるwww」
女剣士「け、怪我しないようにね」
女不良「応援してるぞ」
イケメン「いざとなったら僕が助太刀してもいいんだよ?」
DQN「それ反則だろうがああああ」ヌッ
イケメン「ひぃいい普段は素行不良なのになんでこういう時に無駄に礼儀正しいんだ君ィイイ」ダダダッ
男「お、おう……無理しない程度に頑張ってくる」
男子生徒「何言ってんスか、こんな時にするのが無理ってもんスよ」
担任「男子生徒の言う通りだ。今日くらい無理してもバチは当たらないぞ」
男「は、はぁ……」
男(だからあんまり魔法使いたくないんだよなぁ……)
女子生徒「まっ、楽に行きましょ」
……
…
『各校 入場~』
友「おー入ってきた入ってきた。ウチの学校は――」
男 ダラ、ダラ
友「う~ん、あのやる気のない歩き方、一発で男だって分かるな」
イケメン「全く、もっとシャキっとして欲しいよね。あんなダラダラ歩いて。僕なら観客に向かって投げキッスしながら歩くよ」
女剣士「き、気持ち悪い……」
女不良「ヤバイな……悪い方向で」
DQN「さすがにそれは俺も引くな……」
イケメン「えっ」
友「うちの学校はどれか分かったけど、んでんで、竜尾の姫ってのは誰かな~」
女剣士「ぎ、銀髪だったよね。それらしい人、見ないけど……」
女不良「パンフレットによれば、隣接会場でもやってるらしいからな。そっちに居るんじゃないか」ペラ
友「女不良ちゃんそんなものどこで……」
女不良「? 入り口に置いてあったぞ?」
友「……意外と目ざといね」
女不良「そうか? それで、えーと……こっちがB会場で、隣がAだな。勝ち残った同士で決勝と……」
……
…
銀髪少女「……」キョロキョロ
銀髪少女(彼の姿を見ませんね……隣の会場でしょうか……)
ザワ ザワザワ
竜尾ノ姫ダ 可愛イ子ダナー
魔法長官「ほっほっほ、随分と美しい子だのう」
魔法大臣「いやお前あっちの会場担当じゃろうが」
……
…
黒竜「チョコとは何度食べても美味しいものだのう」パクパク
妹「おかーさんテレビつけていいー?」ピッ
母親「……はいはいってもうつけてるじゃない」
『今年も始まりました、新人対抗戦!』
妹「おっ、新人対抗戦だ」
母親「……どうせ勝つ所なんて大体決まってるでしょ」
妹「そーなんだろうけーどさー……あっ、凄い綺麗な人」
『優秀候補の竜尾の魔法を扱う、銀髪少女さん、今回は彼女を中心に~』
妹「いいなーこんな風に目立ちたいなー……って、ん?」
『――隣の会場の様子もわずかながらもお伝えします』
男 テクテク
妹「……気のせいかな今お兄ちゃんが……」ゴシゴシ
……
…
女社員「今年はどこが勝つんですかねー」
父親「大体決まってると思うけどね」
父親「毎年の事だけれど」
女社員「竜属性の魔法使い居る所ですかねぇ」
父親「まっ、だろうね……」(……母さんが言うには今回出るのは銀竜の娘だったかな……)ガタ
女社員「あっ、書類なら取ってきますよ?」
父親「いやいやトイレ」テクテク
女社員「あっ、はい」
ガチャバタン
『B会場の様子は~』
女社員「……ん? 画面の端……」
男 テクテク
女社員 写真チラ
女社員(気のせいかしら……なんだか、父親さんの息子さんに似ているような……)
……
…
男子生徒「凄いっスね、男くん!」
女子生徒「うん、ちょっと驚いた」
男「えっ、何が」
男子生徒「だって全然相手の攻撃が当たらないんスもん」
女子生徒「盾代わりになってくれるから、一回戦、楽に勝てちゃったよね……」
男子生徒「うおおおおこれは優勝マジ出来るかも知れねっスよ!」
女子生徒「……普通じゃないよね、多分、その魔法」
男「いや……運が良いだけじゃないかな」
男(勝手に発動すんだよなこれ。つーか、もしかして常時発動してるんじゃないかこれ……)ガクブル
……
…
???「随分と力が進んでいる」
???「今日、ここで――」
???「竜尾の姫と当たれば、確実に、第三までたどり着く。そして、お戻りになられる」
???「あぁ……」
……
…
魔法大臣「ほう、さすが竜の適性家系だけあるの」
銀髪少女「……」バサァ
ウワー
魔法長官「ううむ、やはりちと反則臭いのう、相変わらず竜属性の魔法は」
魔法大臣「透明な竜の尾でなぎ払い。対戦相手の子は、何をされたかも分からんだろう」
魔法長官「新人では、竜属性の魔法に対処する方法も知らぬだろうしのう」
魔法大臣「熟練の者でさえ厳しいのだ。知った所でどうする事も出来まい」
魔法長官「しかも、おそらくまだ序の口じゃろうなアレは」
魔法大臣「うむ。あれはただなぎ払っているだけに過ぎぬからのう。あの魔法の本質ではあるまい」
魔法大臣「底知れぬ力」
魔法長官「まったく、それに見た所良いケツをしておるしのう。服の上からでも分かるわい」
魔法大臣「その尻への情熱だけは感嘆に値するのう……と言うか、だからお前はあっちじゃろうが」
魔法長官「仕方ないのう……」ヨッコラセ
魔法大臣「早く行くがええ」
魔法長官「ほっほっほ」パッ
魔法大臣「……空間系とは、相変わらず気味悪い魔法だのう、お前のは」
魔法長官「何か言ったかえ?」ヌッ
魔法大臣「何も言っとらんよ」
- 8:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/26(金) 23:58:04.28 ID:uLF9TwpW0.net
……
…
友「う~ん、骨は拾ってやるなんて言ったけど」
友「正直その必要無さそうな気がしてきた」
DQN「……全然当たらねぇんだな、どうなってんだありゃ」
友「そういやDQNはイケメンにやられて見てなかったか」
イケメン「いや本当真面目にどうなってるのか分からないけど、男くんには当たらないんだよね」
イケメン「あれはどういう魔法なんだい?」
友「しょぼい魔法だって本人は言うけど、なんつーか可能性を感じるというか……つーか俺に訊くなよwwww」
友(――う~ん、ぶっちゃけ、あれ明らかにクソ魔法ではないよな)
友(どっちかと言うと、かなりレアな部類のような気はする)
- 24:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 00:14:00.03 ID:+C/M9YoF0.net
……
…
男「……」
男子生徒「よっしゃ、頼むっス」
女子生徒「ごめんね、毎回盾見たいにしちゃって」
男(ほんとだよ……やばいな。バンバン使っちゃってる状態だぞ……)
……
…
魔法長官「ほっほっほ、こっちはどのぐらい進んでおるかのう。向こうはやはり一強じゃが……」ヌッ
警備員「おわっ、どこから……って、あっ、はい。結構進んでますね。この調子だとこっちも決勝まで早いかも知れないです」
魔法長官「ん? ダークホースでも居たのかのう」
警備員「えぇ、なんと言いますか……」
魔法長官「なんじゃ言うてみい」
警備員「操作系の魔法、だとは思うんですが、いやしかし……魔法も肉体強化の攻撃も、全部逸らしてしまう選手が……」
魔法長官「――ほう」ピクッ
- 45:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 00:34:01.18 ID:+C/M9YoF0.net
……
…
『――B会場から、まさかの伏兵です!』
妹「ん? さっきまで竜尾の姫ばっかり映してたのに」
黒竜「なんじゃなんじゃ」
『謎の男の子が、特殊な魔法を使うという話が入りました。中継を移します――』
男「……」ヒュン ヒュイ スカッ
『んんん、これは、操作、もしくは反射系統の魔法、でしょうか……。解説さんお願いします!』
解説『いえ、これは……』
解説『反射であるなら、逸れるのではありませんし、操作なら肉体強化の攻撃、魔法攻撃の二つを逸らすと言う特性のものは聞いた事がありませんな』
解説『本当にただ逸らしているだけと言うか……と言いますか、そもそも、操作であるならば――』
妹「……ふーん……って」お茶グイ
妹「おっ、お兄ちゃん!!」ブッー
黒竜「じゃのう……」
母親「何、男がどうかしたの……」
妹「お母さんお母さん!! お兄ちゃんが出てる!」グイグイ
- 49:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 00:45:03.99 ID:+C/M9YoF0.net
母親「……何言ってるのよ」
母親「そんな事――」テクテク
母親「――は?」
妹「ねっ!? 出てるでしょ!?」
黒竜(試合と言うからには仕方ないのじゃろうが、魔法使いまくっとるのう……)
……
…
解説『この魔法、もしかすると竜尾の姫にも対抗しうるかも知れないですよ』
『なるほど、では、番狂わせの可能性もあると言う事でしょうか!?』
解説『多いにありえるでしょう』
女社員「……え? 今アップで映ったのって……」
父親「ふぅ、まさか上司に捕まって長話になるとは……ん、どうかした?」
女社員「あっ、いえ、あの、父親さんの息子さん、対抗試合の代表だったん、ですか?」
父親「そんな馬鹿な――」
『こちらが先ほどの試合の映像です!』 男 ヒュンヒュン スカッ
父親「――何やっとるんだあの馬鹿息子っ! ……と言うか、この魔法ッ」ガシィイ
- 57:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 00:54:13.74 ID:+C/M9YoF0.net
父親「――まさか」ダッ
女社員「あっ、父親さん、どこに」
父親「会社より大事な用事が出来てしまった! すまない!」ガチャバタン
ダッダッダッ
女社員「け、血相変えて……」チラッ
女社員(う~ん、どうでもいいけど、なんか父親さんの息子ってやっぱりちょっとカッコイイわよね)
……・
…
お父様「何やら騒がしいな」
黒服「あぁ、いえ、隣の会場でそこそこやる学校が居るらしいですね」
お父様「……ふむ」
黒服「まぁ、お嬢様の敵ではないでしょうが」
お父様「であろうな……」
お父様(……今の所、何事も無き。念の為に来ては見たがやはり杞憂であるか)
- 62:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 01:04:31.93 ID:+C/M9YoF0.net
……
…
男(や、やばいな……)クラクラ
友「連戦連勝じゃねぇかやっぱお前可能性の塊だったなwwww」バシィッ
男「あっ……」ガタリ
女剣士「ど、どうしたの、だ、大丈夫?」
男「だ、大丈夫」
男(なんだ、この疲労感……魔力を使った時の疲労じゃ、ない……)
女不良「お、おいっその眼――」
男「……え?」
イケメン「ひ、ひぇ」
DQN「お、おおう?」
男「ど、どうか、した?」
女不良「……コンタクトの上からでもうっすら分かるくらいに、眼の色濃くなってるぞ……」
友「つ、次の試合までまだ時間あるし、ちょっと休んで来いよ」
- 75:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 01:16:42.51 ID:+C/M9YoF0.net
男子生徒「ば、ばんばん使ってたっスからね……」
女子生徒「ちょっと頼りすぎたかも……」
男「いや、ほんと、大丈夫だから……ただ、ちょっとごめん、休んでくる……」
担任「……なんつーか、悪いな。俺もちょっと調子に乗りすぎたかも知れん」ポリポリ
女剣士「あっ、じゃ、じゃあその、私休憩室まで送って行きます」
担任「あぁ、頼む……」
女剣士「えっと、その、た、立てる?」
男「だ、大丈夫、一人で行けるよ」
女剣士「だ、駄目だよ……」
……
…
ワアアアアアア
銀髪少女「……なんだか騒がしいですね」
男子「えっと、隣の会場のヤツが、なんか凄いらしい」
銀髪少女「隣、ですか……」
女子「えぇ、なんでもあなたにも対抗出来るんじゃないかって話も」
銀髪少女(……お父様が言うには、対抗しうる魔法を扱えるのは……とすると、もしかして、彼?)
- 90:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 01:35:56.44 ID:+C/M9YoF0.net
男子「いや、でも銀髪少女の敵じゃないし、その前に俺がやるよ」
女子「あんた銀髪少女さんの前だとすぐにカッコつけるわよねぇ」
……
…
???「へたれのくしぇに、がまんするのはやめなさい!」
???「で、でも……」
???「しゅうゆうときは、あたしをたよるんです! まもってあげると、ゆったでしょう!」
…
……
銀髪少女(……なぜかしら。凄く、嫌な予感が……)
男子「べ、別にそんな事ない」
女子「うそつくのは男の子らしくないわ」
男子「だから別にいいだろうが! あっ、そ、そうだ。この試合終わったらさ、銀髪少女に話あるんだけど」
銀髪少女「……」
男子「聞いてる?」
銀髪少女「……えっ、えぇ、はい? 何ですか?」
女子「相手にもされてないわね」
- 100:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 01:53:17.79 ID:+C/M9YoF0.net
銀髪少女「……次の試合まで、どれくらいでしょうか」
男子「えっ? えーと……一時間くらい、かなと」
女子「そういえば次の試合がこの会場の決勝……」
男子「あぁ、まぁ、楽勝だろうけど……」
銀髪少女「……すいません、少しだけ休憩してきます」
男子「え? あ、あぁ」
銀髪少女(……じっとしていると、何かとても不安な気持ちになりますね……)スッ
……
…
魔法長官「ふぅむ、あの生徒、間違いなくあの魔法を使っておるな」
魔法長官「ふぅむ……ふむ……」
魔法長官(試合を見た限り、第二段階まで魔法を使っておる。となれば、第三まで辿りつくのにさして時間は掛からぬかも知れぬ)
魔法長官(とは言え、まさか対抗試合を中断するワケにものう……)
警備員「あ、あの、どうかされましたか」
魔法長官「何、ちと考え事じゃて」
- 106:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 02:12:15.45 ID:+C/M9YoF0.net
……
…
魔法官「あら、何ようで」
女剣士「え、えっとちょっと休ませて欲しくて。わ、私じゃなくて彼なんですけど」
男「……悪い、休憩室まで送って貰って」
女剣士「い、いいよいいよ」ブンブン
魔法官「……それじゃ、そこのベッドに横になってて良いけど、試合に遅れないようにね」
男「えっと、はい……。それにしても、本当悪かった女剣士」ギシッ
女剣士「だ、だからいいよって。あ、あの時、おぶって貰ったし、お、お返しって言うか」
男「……あの時?」
女剣士「ほ、ほら、洞窟の地下で逃げる時」
男「あ、あぁ、そんな事もあったような……、別に気にしなくても」
女剣士「そ、その、なんて言うか、嬉しかったから……」モジモシ
男「え?」
女剣士「あっ、いや、そういうんじゃなくて、えっと、な、何か飲み物買ってくるね」ダッ
魔法官「……青春だねぇ」
- 110:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 02:23:50.97 ID:+C/M9YoF0.net
男「いえ、別にそんな事は無いと思い、ますけど……」
魔法官「そう思っているのは君だけじゃないかな」
魔法官「なんでもそうだけど、人が何を考えているかなんて言うのは分からないからね」
男「へ?」
魔法官「そういえば君、随分と話題の人になったねぇ」
魔法官「ダークホース! って騒ぎになってるよ」
男「えぇ本当ですか? ……なんて言うか、困りますね……」
魔法官「いやいや、でもまさかあの魔法がねぇ」
男「え?」
魔法官「あれ、覚えてないかな。ほら、授与の時に」
男「あっ、あー、あの時の魔法官さん!」
魔法官「そうそう……。でも『そっち向いて』だなんてねぇ。あの魔法がまさかこんなに凄いとは」
魔法官「使いようって言うヤツなのかな? 個人的にはガンガン使って優勝して欲しいと思うかな」
男「優勝って……」
魔法官「君なら出来る、大丈夫大丈夫。もっと凄くなるかも知れないしね」
- 113:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 02:35:58.80 ID:+C/M9YoF0.net
男「そういえば、誰がこの魔法入れたんですかね……」ギシッ
魔法官「さぁ、誰だろうねぇ……。おっと、私はもうそろそろ行かなきゃ行けないから」
男「……はい」
魔法官「君はゆっくり次の試合まで寝ていなさいな」スッ テクテク
魔法官「じゃ」バタン
男「……少し、寝るか」
……
…
銀髪少女(うろうろしていたら隣の会場まで来てしまいました……)
魔法官「おっ、優勝候補さん」
銀髪少女「はい?」
魔法官「休憩かな? 隣の会場まで」
銀髪少女「えっと、その」
魔法官「うろうろするのも別に悪いなんて言わないけど、試合に遅れちゃ駄目だよ? 皆、君には期待しているんだから」ニコッ
銀髪少女「それは、はい……」
魔法官「あっ、そうそう、こっちの会場の休憩室はそこね。じゃ」テクテクスイー
- 121:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 02:57:14.66 ID:+C/M9YoF0.net
銀髪少女(何かしら、あの人、変な雰囲気……)ガチャッ
男「……」スゥスゥ
銀髪少女「あら……この方は……」
銀髪少女(け、怪我でもされたのでしょうか……)スススッ サッ バッ
銀髪少女(お体に外傷は無さそうですが……って)ハッ
銀髪少女「わ、私は一体何を……」バッ
銀髪少女(い、今ので起きたりしませんよね?)
男 スゥスゥ
銀髪少女 ホッ
……
…
女剣士(あ、あ~もう、せ、折角もうちょっと仲良くなれる雰囲気だったのに……)
女剣士「……の、飲みもの買って早く男君のところに戻ろ……」
- 127:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 03:21:08.96 ID:+C/M9YoF0.net
…
……
???「うじゅくまっても、くるしいのはなくならないのです!」
男(誰だ……)
???「で、でも、いたいんだもん」ヒックヒック
男(なんだ、こいつ……もしかして、俺か?)
???「まったく、しょうがないですね!」
???「なにするの?」ヒックヒック
???「こうしゅるんです!」オデコニチュー
???「こうしゅると、くるしいのも、いたいのも、じぇんぶなくなるのです! しゅごいまほうなのです!」
???「ま、まほうは、もらわないと、つかえないよ」ヒックヒク
???「しょんなことはないのです! もらうのだけがまほうじゃないのです! これはしょれよりしゅごいまほうなのです!」
???&男『――そんなに凄い魔法を使えるなんて、銀髪少女ちゃんは凄いんだね』
銀髪少女「――今の言葉」ハッ
- 130:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 03:37:48.27 ID:+C/M9YoF0.net
銀髪少女「……そうですか」
銀髪少女「あなたは……」
……
…
男(幼)「ありがとう」
銀髪少女(幼)「まもるとゆったのでしゅから、これくらいはとうぜんというものです!」
男(……そうか、昔会っていたって言うのは本当だったんだ……)
ザザッ
男(……ん?)
ザザッ
ザザザザッ
男(な、なんだ――いきなり真っ暗に――)
『もうすぐだ』
『あと幾ばくかでこの身を取り戻す』
『我が分身の末裔よ――お前を――あやつらめ、全く持って厄介な術をかけおって――産んだ恩も忘れたか――』
- 136:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 03:59:32.18 ID:+C/M9YoF0.net
『――人の心に触れた等と世迷言を――』
『――人など愚かな生き物――』
『――強きに頭を垂れ、弱きに牙を奮う――』
『――誇りさえ持たぬ、劣等生物なるぞ――』
『――そのような愚鈍になろう等と完全な体改変の法など編み出しおって――』
男(な、なんだこの声……頭が割れそうだ……)ウウッ
…・…
…
男 ウゥゥ
銀髪少女「い、いきなりうなされて……」
銀髪少女「く、苦しいのですか!? どこか痛むのですか!?」
男 ウウウゥ
銀髪少女「だ、大丈夫です。す、すぐに良くなります」
銀髪少女(で、でも、何かしませんと……)
『――くるしいのも、いたいのも、じぇんぶなくなるのです! しゅごいまほうなのです!――』
銀髪少女「……」
- 141:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 04:26:40.34 ID:+C/M9YoF0.net
……
…
男(うぅ……)ハッ
男(……あれ? 急に楽に……)
『――ッ――』
『――ぬぅ――』
『――この魔力、銀か――』
『――まぁ良い。桜が末が三番目までたどり着けば――』
『――皆殺しじゃあ――』 スゥウウウ
……
…
女剣士(ちょっと時間掛かっちゃった)テテテッ
女剣士「お、男く」ガチャ
銀髪少女「……」オデコニチュー
銀髪少女(良かった……少し落ち着いたわ……。ふふ、意外と本当に凄い魔法なのかも知れないわね。これ)
女剣士「……え?」
- 144:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 04:43:18.37 ID:+C/M9YoF0.net
カラン……
銀髪少女 ハッ
銀髪少女「誰です!?」
……。
銀髪少女(おかしいですね。確かに物音がしたと思いましたが……)
…・…
…
女剣士(お、思わず隠れちゃった……)
女剣士(で、でも、今の人、銀髪だった……。も、もしかして、竜尾の姫って言う人?)
女剣士(な、なんでそんな人が男くんのおでこにチュー……)ジワッ
女剣士(な、なんで、ど、どういう事?)ポロポロ
……
…
ガチャ
銀髪少女(あら、あの制服……男と同じ……でも、どうして泣いているのかしら)
女剣士 グシグシ
- 148:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 05:02:35.02 ID:+C/M9YoF0.net
……
…
男子「そろそろ出番だってのに……」ウロウロ
女子「あんたも男の子ならどっしり構えてたら?」
男子「それはっ……だけど、心配だ」
ガチャ
銀髪少女「遅れてすいません」
男子「あぁいや、全然、全然待ってない、から」アタフタ
女子(うわー……)
女子「……って、ん?」ジー
銀髪少女「な、何か私の顔に付いていますか?」
男子「そんな事、ない、かな。お前なんで見てるんだ」
女子「いや……その、なんて言うか……」
女子(頬が染まって口元も緩んでるし、なんか好きな男の子に会った後見たいな顔してる……)
- 151:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 05:24:03.41 ID:+C/M9YoF0.net
……
…
女剣士 グシグシ
男 スゥスゥ
女剣士「……」
女剣士(何かの、間違いかな)
女剣士「そっ、そうだよね……」
女剣士「だ、だって、男くんは学校でも目立たないんだもん」
女剣士「ちょ、ちょっと今日は有名になっちゃったけど、でも、竜尾の姫さんは、隣の会場だし」
女剣士「す、好きな人にでも似てたの、かな……?」ハハッ
女剣士「……」スッ
女剣士(……確か、この辺り……)ナデナデ……チュー
男「んっ、んん……女剣士? ……どうかした?」ムクリ
女剣士「あっ////」バッ
女剣士(つ、つい……)
- 152:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 05:34:48.67 ID:+C/M9YoF0.net
……
…
父親「まったく――」ダダダダッ
アナター
父親「ん? お、おぉう……」
母親「あの子――なんだって言うのよ」タッタッタッタ
妹「なになにお母さんどーしたのいきなり家飛び出してー」タタタタッ
母親「あんたは家にいなさい!」
妹「えぇ……でも気になるし」
黒竜「……あの魔法の事かのう、やはり」パタパタパタ
父親「それ以外無いでしょう」
母親「もう、本当になんなのよぉ。全然教えてくれないと思ったら、対抗試合には出てるわ始祖の力だわと」
父親「今はそんな事言ってる場合ではない」
母親「そうね。とにかく行って――まずは殴らないと」
父親「……それは最初にする事じゃないだろう……」
- 160:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 06:00:21.28 ID:+C/M9YoF0.net
父親「――街中のテレビでも中継していたが、ちらりと見た限りでは――」
母親「えぇ、もう第二段階くらいまで行ってるわね、アレ」
父親「三番目、三段階目まで行ったら、相当に面倒くさい事になる」
母親「確かに三つ目の力は……」
父親「ジジイやババアどもに何を言われたのかは知らんが、三つ目の能力自体は実はそれほど問題ではない。……三つ目に関しては、竜王の家系には効果を発揮しないからだ。それにくっついてくる方が面倒なんだ」
母親「……くっついてくる方?」
父親「そうだ。かなり力は削がれた状態ではあるが、竜神があいつの体から飛び出す……」
父親「……そして、竜神はより代を食い散らかして、他の家系を狙い始める。元より各竜王は竜神の分身。失った力を取り戻すには都合が良い」
母親「それって……」
父親「……そうして着実に力を取り戻し、全て食い尽くしたら、竜神は完全に復活するだろう。その後は簡単、竜神は人間嫌いであるし――」
母親「――ああもう」イライラ
妹「???何のハナシー?」
黒竜「お主にはまだ早い話だのう」
……
- 300:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 17:28:13.63 ID:+C/M9YoF0.net
…
……
秘書「――やはり会場に居ましたか。いえ、居て当然ですよね。大多数が呼ばれているのですから」
???「……何か私にご用で?」
秘書「とぼけるのはよして下さい」
???「はて?」
秘書「……思えば、盲点でした」
秘書「……初めは選定員の誰かの仕業だと考えていましたが」
???「……」
秘書「……選定員が選定名簿から自分の名前を除去は出来ません。しかし、あらぬ授与魔法を紛れ込ませ、かつ証拠を隠蔽する事が可能な人物が居た」
秘書「それは現場の人間だけが知る所の不正手段であり――つまり、あの地域の授与を担当していたあなたが犯人ですね、魔法官!」
魔法官「……あちゃー、秘書さんは抜けてるから絶対バレないと思ってたんだけどなぁ。誰から聞いたのかな?」
秘書「――不正は重罪ですよ。一体何を考えているんですか。それに禁止魔法ならともかく、あんな良く分からない魔法を紛れ込ませるなんて」
魔法官「ん? ……その様子だと、スケベハゲ長官からは何も教えられてないのかな。私が何を盗んだのかさえ」
秘書「……盗んだ?」
魔法官「まぁ、君には関係の無い話だよ。何事もね」
- 305:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 17:41:16.75 ID:+C/M9YoF0.net
秘書「……まさか、古代魔法とか言うヤツですか!?」
魔法官「まぁ、そう呼ぶ人も居るようだねぇ」
魔法官「竜の家のものは『始祖の力』と言うらしいし……呼び方としては、うん、まぁこっちのほうがしっくり来るかな」
秘書「???」
魔法官「もう一度言うけど、君には関係の無い話さ」スゥ
秘書「ま、待ちなさい!」キィイイン
魔法官「おや、足が――」カキィン
秘書「凍らせました。私の氷はそう簡単には溶けません……」
魔法官「ふむ。これでは私にどうする事も出来ないね」ジロジロ
秘書「でしょう。詳しい話は独房の中でお聞き――」
魔法官「――とでも言うと思ったかい?」ニヤァ
- 310:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 18:03:54.81 ID:+C/M9YoF0.net
秘書「何を言うかと思えば……あなたの魔法に調べはついています」
秘書「あなたの魔法は水球。いくら飛ばそうが、氷結を扱う私との相性が分からない道理も無いでしょう」
魔法官「おやおや、本当にそれが私の魔法だと思ったかい」
秘書「――何を。魔法官の魔法は全てが管理登録されて……」ハッ
秘書「――まさか」
魔法官「授与魔法の現場を任される地位の魔法官が、自分の情報操作が出来ないとでも?」サァアアア
秘書「どこまで不正を重ねれば気が……うっ……これは……霧?」ゲホゲホッ
魔法官『この霧は凍らない。……君をここで殺してしまうのは簡単だけれど』
魔法官『そうするとさすがに少し、後処理が大変だね』
魔法官『少しの間眠っていて貰おうかな?』スッ
秘書「そ、その瓶はっ……」
サァアアア
秘書(霧に混じって、この甘い匂い……睡眠……?)
秘書「そ、そんな……ちょ、長官……」クラクラ……バタン
…
……
- 313:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 18:26:07.30 ID:+C/M9YoF0.net
……
…
友「遅いなー」テクテク
DQN「お、おい、今様子見に行ってイイのかよ」
イケメン「どうしてだい? 友達の様子を見に行くのに理由が必要かな」
友(いつからお前友達になったんだっけ)
女不良「まぁけど、確かに気は進まないな」
DQN「なんかなぁ」
イケメン「き、君たちは心配じゃないのかい!」
女不良「心配な事は心配だけど、女剣士も居るしな」
DQN「今行くのはなんつーか、空気読めてねぇっつぅかさ」
友「それはそうだけどさ」
ズルズル ズル
友「ん? なんだこの音」
- 317:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 18:36:43.08 ID:+C/M9YoF0.net
魔法官「あー意外と重いなぁ……」ズルズル
秘書「」
友「な、なにしてんスか」
魔法官「ん? あぁいや、この人お酒飲み過ぎちゃった見たいで」
DQN「酔い潰れたってワケか」
魔法官「そうそう、カッチョいいピアスしてるだけあって冴えてるね」
DQN「マジっすか、これお気に入りなんスよ」
イケメン「しっかし、昼間から酔いつぶれるなんて、まったく、こういう大人にはなりたくないね」
女不良「……」ジー
魔法官「じゃね」ズルズルズル
友「あっ、はい……」
女不良「……今の、確か授与の時の魔法官だ」
友「あー、そう言われれば、なんかそんな気はするけど」
イケメン「そんな事はどうだっていいじゃないか、早く行こう」
…
……
- 320:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 18:44:43.86 ID:+C/M9YoF0.net
男「……」
女剣士「……」
男「今、俺に何か、した?」
女剣士「えっ、えと、う、ううん! しし、してない、してない、よ……」
女剣士「な、なにも、なにも///」サササッ
男「……」
男(な、なんだ、なんか女剣士の様子がおかしいような……)
女剣士(ばば、ばれてない、よね?)
女剣士(お、おでっ、おでこに、ちゅー……)スッ
男(自分の唇に指当てて何してんだ……)
男(……非常に、気まずい……)
男(誰か、誰か来い!)
ガチャ
友「調子どうだwww」
イケメン「ふっ、だいぶ顔色が良くなったようだね」
- 323:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 18:57:32.49 ID:+C/M9YoF0.net
男「おぉ……祈りが通じた」
イケメン「祈りって何……って、ん? 女剣士ちゃんの顔が真っ赤だけど、どうかしたのかい?」
友「おっ、ほんとだwww何かあったのかなwwww」
DQN「ほらな? だからやめようぜっつったじゃねぇか」
女不良「確かにこれは空気読めてなかった」
イケメン「えっ? どうしてだい?」
DQN「お前は何も喋らないほうがいいな」
友「……う~んこりゃお邪魔だったかなもしかしてwwww」
男「いや来てくれて助かった」ホッ
イケメン「どういうことだい?」
友「イケメンの空気読めなさがヤバイwwww」
女不良「いっつも周りが自分の空気読んでくれるから、自分から読むなんてしたこと無いんだろ」
DQN「あぁなるほど」
イケメン「だからなんだっていうんだああああい!!」
- 328:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 19:13:54.78 ID:+C/M9YoF0.net
友「まぁけど、何はともあれ、イケメンの言う通りに顔色は良さそうだな」
男「まぁだいぶ楽にはなった」
女不良「試合には出れそうか?」
男「まぁなんとか」
男(ここまで来たらやるしかないしな……)
男(あまり使いたくはないが、あと少し)ギシッ
男「もう少し頑張ってみるよ」
友「おwwww頑張るなんて珍しいwww」
男「まぁあとちょっとだし」
……
…
『A会場の優勝者が決まりました、やはり期待は裏切らない竜尾の姫!』
男子「今回は、俺が活躍したんだけど、な」
女子(良い所見せようって気張ってたものねぇ……)
銀髪少女「そうですね。あなた達の力が無ければここまで勝ち残る事も出来なかったと思います」
女子(う~んしかし、当の銀髪少女はこの様子。なんと言うか報われないわねぇ男子)
- 334:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 19:37:55.43 ID:+C/M9YoF0.net
銀髪少女「……そういえば、隣の会場はどうなっているんでしょうか」
男子「B会場の優勝チームが相手だから、様子見に行ってみるか」
女子「……それもそうね」
男子「俺が、前歩く、から」
銀髪少女「……そうですか。ありがとうございます」
男子「あっ、いや、好きでやる事だから」
女子(んっ、今のって遠まわしに告白した?)
銀髪少女「人助けがお好きなのですね。良い事だと思います」
女子(わざとやってるのかしら……)
……
…
担任「おう、調子はどうだ」
男「まぁ、なんとか」
担任「……本当悪いな。この試合に勝てば、次はA会場の優勝者との試合になる。あとちょっと頑張ってくれ」
男「……ですね」
- 337:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 19:51:08.86 ID:+C/M9YoF0.net
男子生徒「けど、次の相手はちょっとキツいかも知れないッス」
女子生徒「あーそういえば」
男「?」
男子生徒「あれ、男くん知らないっスか。次の相手、すげー嫌な魔法使うって話っスよ」
女子生徒「あそこの学校って確か何年か前に初戦で退場だっけか」
男「えっ、退場?」
担任「――そうだ、あそこか」
男子生徒「……どうやったのかなんで授与されたのか分からないんスけど、禁止魔法持ってるヤツが居て」
女子生徒「対戦相手を呪殺して退場、だったはず」
男「は?」
男「呪殺って……」
担任「今年出てるって事は謹慎処分解けたのか」
男子生徒「まぁでも、ここまで退場にならずに勝ち残ってるんで、さすがに変なのは無いと思うっスけど」
女子生徒「でも噂効くと、やっぱ呪い見たいな魔法使うとかなんとか」
担任「退場にはなってないんだから、禁止魔法ではないことは確かだろう」
- 340:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 20:01:59.62 ID:+C/M9YoF0.net
男(呪いの魔法……)
男(俺の魔法で逸らしたとして、それが他人に当たったらやばくないか?)
男(……魔法官も大勢いるし、そこらへんは大丈夫……か?)
男(今までも逸らした魔法は観客席に飛びそうなのは全部魔法官がなんとかしてたけど……)
男子生徒「でも気分的には最悪っスけど」
女子生徒「まぁ、ね・・・…」
……
…
『竜尾の姫率いるA会場が本命かと言われていた本大会ですが、始まって見れば一番熱いのはB会場~!』
『なんとダークホースはもう一校~!』
『数年前に対戦相手を呪殺して退場謹慎処分になった学校が、なんとなんとここまで勝ち残ってきた~!』
『先輩の犯したマイナスイメージを払拭出来るのか!』
『それとも謎の魔法を使う男の子の前にはやはり為す術も無しか!』
『ここでの勝利が竜尾の姫との対戦への切符! 注目のカードの対戦です!』
- 352:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 20:22:44.29 ID:+C/M9YoF0.net
……
…
黒服「B会場の盛り上がりが異常ですね」
お父様「のようだな」
黒服「観戦に行かなくても良いので? 謎の魔法と呪いの対決だとか煽られていますが」
お父様「……さして気にもならんな」
お父様「どちらかが勝ち、そのB会場の決勝者との対戦はこちらの会場でやるのだろう」
黒服「それは、そうですが」
お父様(しかし、呪いか。仮にどこかに居るやも知れぬ始祖の力が相対していれば、娘と戦わずして場合によっては目覚める可能性もあるな)
お父様(……ふっ、全く、余計な心配ばかりしてしまう)
お父様「所詮は杞憂」
黒服「は、はぁ……」
お父様「私が案ずるは娘のみ」
黒服(銀竜の旦那、何を考えて居られるのか、いまいち理解出来ない時があるんだよなぁ……)
- 358:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 20:36:04.58 ID:+C/M9YoF0.net
……
…
魔法長官「ほっほっほ……」
魔法長官(マジでどうしようかのう)
魔法長官(一番無難なのは、対抗試合が終了した後にあの少年から魔法を返還して貰う事じゃが……)
魔法長官(その前に面倒になるやも知れぬ)
魔法長官(……しかしここで中断すれば、それはそれで面倒じゃしのう……。そもそも、あの魔法を取り上げる術もよう分からんし)
魔法長官(ぶっちゃけ、あともう少しじゃし、なんとかなるんじゃなかろうか……ううむ)
魔法長官「……こういう時は落ち着く為に秘書の尻を――」スカッ
魔法長官「おお、そうじゃったそうじゃった。犯人探しに行くと言うとったのう」
魔法長官「ほっほっほ」
警備員「あの、長官、顔色があまり優れないようですが、大丈夫ですか」
魔法長官「ほっほっほ」
…
……
- 366:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 20:53:01.85 ID:+C/M9YoF0.net
……
…
ローブ1「兄ちゃん、あいつの魔法ってなんなんだろうね」
ローブ2「さぁな。お前はどう思う」
ローブ3「僕に言われても困るよ兄ちゃん。ただ、僕らには呪いの魔法があるじゃないか」
ローブ1「けど、あいつ系統も属性もお構い無しに逸らしてるよ」
ローブ2「……気にはなるが、いざとなれば奥の手を使うぞ」
ローブ3「数年前の先輩たちみたいに退場になるかもよ」
ローブ2「構わないさ。ああいう、『俺は本当は力あるんですけど、見せたくないんですよ疲れるから』みたいな事言いだしそうな面のヤツを見てると、ぶっ殺したくなる」
ローブ1「なるほどそれは」
ローブ3「その通り」
…
……
- 402:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 21:12:06.74 ID:+C/M9YoF0.net
……
…
男子生徒「うわっ、ローブ姿の上にお面被ってるっスあいつら」
女子生徒「……薄気味悪いわね……」
男(う~ん、呪い……)
ローブ1「誰が薄気味悪いって」
ローブ2「これは制服でな」
ローブ3「人の学校の制服にケチつけるなんて性格最悪だね」
男子生徒「そ、そうだったんスか、悪かったっス」
女子生徒「何謝ってんの」
ローブ2「分かればいいんだよ」
ローブ3「ね」
男(う~ん性格悪そうだなぁ)
- 410:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 21:30:59.18 ID:+C/M9YoF0.net
……
…
友「おっ、始まった」
イケメン「男くん、大丈夫なのかい。相手は呪いを使うとか聞いたけど」
女剣士「の、呪い……」
友「大丈夫じゃねぇかな多分」
イケメン「……呪いは普通の魔法と随分性質が違うからね、あれでも逸らせるのかどうか……」
友「信じてやるのが友達ってもんだろ」
イケメン「――友達」ハッ
イケメン「そうだね、男くんならきっとやってくれる。友達だから信じるよ」キラッ
友(う~ん、扱いやすい)
DQN「マァでもよ、実際逸らしてるっぽいぜ」
友「……相手は何かやってるようだけど、まるで効果ねぇなwwww」
女不良「……まさか、全ての魔法に効くのか」
友「魔法に限らずな……」
イケメン「正直反則くさい魔法だよねアレ……」
- 416:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 21:49:00.99 ID:+C/M9YoF0.net
……
…
男子「ふむ……」
女子「――何あの魔法」
銀髪少女(隣が騒がしいのは知っていますが……やはり彼……これは確かに……)
女子「男子、あんたアレに一撃入れれる?」
男子「……入れる。出来るとか出来ないじゃない。やる」
女子「でも、話に聞くと全部逸らすらしいわよ」
男子「……銀髪少女には完全優勝が相応しい、から」
女子(う~ん、追いかける恋……根は悪い男の子じゃないとは思うんだけど)
銀髪少女(……しかし、呪いにも効果があると言う事は、あれをなんとかするのはほぼ無理と見て間違いないかも知れないですね)
銀髪少女(……しかもその上――なんと言いますか、竜属性にしては、あまりに異質過ぎるような……。あのような魔法は聞いた事がありません……)ゾワリ
銀髪少女「――ィャッ」バッ
女子「ど、どうかしたの?」
銀髪少女「い、いえ、別に……」
銀髪少女(い、今の悪寒は……)
- 420:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 22:06:53.56 ID:+C/M9YoF0.net
銀髪少女(なぜかしら……彼は、男は大切な思い出の人だと分かったのに)
銀髪少女(男の使う魔法を見たら――)
銀髪少女「――とても、嫌な気持ちになってしまう……」ボソッ
女子「え? 今嫌って……」
銀髪少女 ハッ
銀髪少女「い、いえ。なんでもありません……」
男子「大丈夫……絶対、まずは俺が一撃入れるから。心配は要らない」
銀髪少女「いえ、そういう事では……と言いますか、あまり無理は……」
男子「無理を今しなきゃいつするのか」
銀髪少女「は、はぁ……」
女子(男子、カッコつけまくりね今日)
銀髪少女(……そういえば、男は先ほど休憩室で苦しんで……)ハッ
銀髪少女(――もしかしたら、彼の身に何かが――)
『まもってあげるのです!』
銀髪少女 「……」ギュッ
- 446:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 23:09:55.02 ID:+C/M9YoF0.net
……
…
男子生徒「呪いの魔法ってマジだったんスね……」シュッ
女子生徒「えぇ、陰険そうな雰囲気通りって感じ……ってごめんね」サッ
男「いや、別に構わないけど……」
男(見た感じ、逸れたのも魔法官たちが対処してくれてるみたいだ)ホッ
男子生徒「でも、これ結構キツいっすね」
女子生徒「呪いって見えにくいから嫌なのよね」
男子生徒「一発拳入れてやりたい所っスけど」
…・
……
ローブ1「兄ちゃん、あいつの魔法やっぱおかしいよ」
ローブ3「全然掛からないしね」
ローブ2「……呪い自体の重ねがけも試してんだけどなァ……どうなってんだアリャア」
ローブ1「じゃあそろそろ――」
ローブ3「――使おうか、奥の手」
- 459:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 23:24:37.46 ID:+C/M9YoF0.net
ローブ2「……そうだな。マトモにやって勝てねぇんじゃ、使うしかねぇよな」ニヤ
ローブ3「うんうん、兄ちゃん嬉しそうだね」サッ
ローブ1「僕らはいつでも準備が出来てるよ」サッ
ローブ2「ハハッ、ローブ1、お前は西方だ」
ローブ1「了解、兄ちゃん」ダッ
ローブ2「そんで――」
ローブ3「僕は東方でしょ」ダダッ
……
…
男「ん?」
男子生徒「な、何するつもりっスかね」
女子生徒「さぁ……」
…
……
魔法長官(ううむ……んん?)顎ナデナデ
魔法長官「……なんじゃ、ローブ組が三方に……」
- 466:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/27(土) 23:43:31.04 ID:+C/M9YoF0.net
ローブ2「お前のその魔法さぁ、ぶっちゃけマトモにやったらどうにも出来ネェ」
男「は?」
ローブ2「でもよぉ、その魔法、お前だけに有効だよなぁ」
ローブ1「うんうん、前の試合見てても」ザン
ローブ3「残りの二人は後ろに隠れるもんね」ザン
ローブ2「それでよ、かと言って横から狙おうとしても、すぐにお前が出張るだろぉ?」
男「……だからどうしたって言うんだ」
ローブ2「だからよぉ、こうすんだよ!」バッ
男子生徒「なっ、なんすか、上に――」
女子生徒「魔方陣!?」
ローブ2「こういう使い方は駄目なんだろうなぁ、ホントは、けどしょうがねぇじゃん?」ニヤ
ローブ1「そうそう、悪いのは――」
ローブ3「そっちなんだからね」
ローブ2「これで駄目なら降参だぁ」ニヤニヤ
- 479:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 00:07:15.75 ID:GzCQGN680.net
…
……
銀髪少女「――あれは」
女子「――うそ!? 禁止魔法!? 誰かが隠し持ってたって事!?」
男子「……いや、あれは多分違う。恐らく、禁止魔法に類似させた三人の混成魔法だ。飛び火するかも知れない、危ない」ズイッ
……
…
友「な、なんだアレ……」
DQN「すっげぇ禍々しい感じだぜ」
イケメン「チ、チミたち、あれはもしかしたら、禁止魔法とか言うものではないだろうかと僕は思うのだが……」
女剣士「っえ?」
女不良「それは本当か?」
イケメン「――多分、だけどね」
友「マジかよ……」
…
……
魔法長官「――なんと! 誰かアレを止めさせるのじゃ! 下手したら観客まで巻き込むぞい!」
- 485:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 00:28:26.86 ID:GzCQGN680.net
……
…
魔法官1「き、君たちその魔法の発動を止めなさい!」ダダッ
魔法官2「さもないと無理やり中止させるぞ!」ダダッ
ローブ2「出来るもんならやってみろよ、えぇ、魔法官さんよ」ニタニタ
ローブ1「そうそう――」ニヤ
ローブ3「――出来るものならね」ニヤ
ローブ2「……一応言っとくが、近づかないほうが身の為だぜ」ケケッ
魔法官3「くそう、ガキの分際で――ぐあああっ!」バチィ
魔法官2「おいっ! 大丈夫か! くそっ、なんだこの魔法は――」ダダッ
ローブ2「あーん、だから近づくなって言っただろう。俺は悪くないよな?」
ローブ1「うんうん――」
ローブ3「――兄ちゃんは悪くないよ」
- 490:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 00:39:52.07 ID:GzCQGN680.net
……
…
女子生徒「な、何なのこれ」
男子生徒「今度は魔方陣がグルグル回り始めたっスけど」
女子生徒「そんな事はどうでもいいのよ!」
女子生徒「魔法官さんたちが騒いでるのよ! これ、き、禁止魔法とかってヤツなんじゃ――」ゾクリ
ローブ2「おいおい、ひどい言い草だなぁ。別に禁止魔法じゃねぇよなぁ!」
ローブ1「そうだよそうだよ!」
ローブ3「僕たちが授与された魔法は禁止魔法じゃないしね!」
ローブ2「ただ混ぜて調整してるだけなんだがなぁ……」ニタニタ
男「……俺には、多分効かないぞ」
ローブ2「ほーん、それで? 別にいいよ、お前に効かなくてもサッ」
男「どういう意味だ?」
ローブ2「さぁ、どういう意味でしょうなぁ」
ローブ1「兄ちゃん兄ちゃん――」
ローブ3「――折角だから説明してあげようよ」
- 499:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 00:58:33.77 ID:GzCQGN680.net
……
…
魔法官「よし、なんとか男子ロッカーの中に入った、と」
魔法官「これでまぁ竜神さまが復活するまでの間はバレないだろうね」
秘書「」フニャア
魔法官「けど全く、こんな形の良い尻して。絶対安産型で出産とか楽そうだよね。ムカつくから男子ロッカー選んだけど……」
魔法官「私はちょっと貧相だからちょびっと羨ましいかな……っと、そんな事はどうでもいいか」
キャー ワーワー
魔法官「んん? 騒がしいなぁ。この魔力の感じ、もしかしてあそこの生徒かな」
魔法官「……う~ん。竜尾の姫と当たって復活かと思ったけど、案外もう少し早いかな?」
魔法官「まぁいいか、秘書さん、じゃーね」バタン
…
……
- 510:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 01:14:58.96 ID:GzCQGN680.net
……
…
お父様「むっ、少々嫌な感じの魔力であるな」
黒服「あちらの会場の対戦が、何やら騒ぎになっているようで」
お父様「そうか」
黒服「……そういえば、お嬢様の姿が見えませんね」
お父様「……なんだと」
黒服「先ほど向こうの会場へ向かわれたような……」
お父様「……ふむ」ガタリ
黒服「どちらへ?」
お父様「何、厠へ向かうだけだ」
黒服(素直に心配だから見に行くって言えばいいのに)
…
……
- 518:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 01:33:06.56 ID:GzCQGN680.net
……
…
ローブ2「そうだなぁ、説明くらいしてやるか」ケケッ
ローブ1「うんうん、説明しないと――」
ローブ3「――そいつの酷い顔が見れないからね」
男「……」
ローブ2「お前さぁ、その魔法で逸らすんだろ?」
ローブ2「なんでそんな魔法持ってんのか分かんねぇけどさ」
ローブ2「まっ、だけど、逸らしちゃって本当に良いのかなぁ?」ニタニタ
男「――だから、どういう意味だ?」
ローブ1「この魔法はね――」
ローブ3「――対象者にされたヤツが反射したり逸らすと――」
ローブ1「――その人物と縁の薄い者には不運を――」
ローブ3「――縁ある者には不治の病を――」
ローブ2「んで、縁の強い者には死を、だ」
ローブ2「つまり、その魔法を使わねぇでお前が死ぬか、逸らして大事な大事な目に入れても痛くないような連中が死ぬかの二択だ」ケケケケケケッ
- 525:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 01:41:01.79 ID:GzCQGN680.net
ローブ1「肉体をぶっ壊せなきゃ――」
ローブ3「――代わりに精神をぶっ壊す魔法を考えるなんて」
ローブ1&3「「さすが僕らの兄ちゃんだ!」」
ローブ2「あぁん、早く決めてくれよぉ、実際には初めて使うもんだからよぉ」
ローブ2「そこらの観客まで巻き込むかも知んねぇなぁ」
ローブ2「お前のせいで色々んな人が酷い目にあうなぁ」
ローブ3「そうそう――」
ローブ1「――最初から素直に僕らに負けときゃこんな事にならなかったんだよ」
ローブ2「つまり全ては――」
ローブ1&3「「お前のせい!」」ビシィ
男子生徒「なっ……」
女子生徒「な、何その魔法っ」ガクリ
男「……」
- 538:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 02:04:38.46 ID:GzCQGN680.net
……
…
魔法官1「だ、だめです長官」
魔法官2「解除も上手く行かないです、あの混成魔法――」
魔法官5「長官の空間魔法でなんとかなりませんか!?」
魔法長官「う、うむ……」
魔法長官(あの魔方陣、干渉の拒絶の為と見て良いじゃろう)
魔法長官(新人とは言え三人分の魔力、無駄に強固じゃ……)
魔法長官「あれはワシでも少々骨が折れるわい……」
魔法長官「……全く、こういう努力労力はほかの事に使って欲しいもんじゃ」
魔法長官(本当に、次から次へと問題ばかり起きるのう……)
…
……
- 541:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 02:14:16.11 ID:GzCQGN680.net
友「い、今あいつとんでもない事言ってなかったか」
DQN「言ったな、あのローブの連中」
女剣士「わ、私は、し、信じてるから」
友「へ?」
女剣士「お、男くんならなんとかするって」
女不良「……だな」フン
イケメン「ひ、ひぇえ……」
DQN「お前はもう帰ったほうがいいんじゃねぇか」
イケメン「そ、そうしたいのは山々だけど、男くんは友達だからね」
イケメン「と、友達を信じるのは友達の役目、だろ」
DQN「……意外と度胸あんなお前」
イケメン「い、意外でもないだろ」
友「まぁ落ち着けって」カチコチ
女不良「お前が落ち着け」
- 551:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 02:30:38.23 ID:GzCQGN680.net
……
…
男(おいおい、これ、どうすればいいんだよ……)
男(この魔法、逸らすのは発動条件とかそんなの分からないんだぞ)
男(……って事は、あいつらの言う事が本当なら、このままだと、家族や友連中が――)
男(――けど、かと言って仮に解けたとしても俺が……)
男(大体、男子生徒と女子生徒はどうなる? 標的に入ってるのか?)
男(だったとしたら、この二人の友達や家族はどうなる?)
男(魔法官の人達もかなりてこずってるようだし、助けは期待出来ない、か……)チラッ
男(どうすれば……)
『――』
男「……え?」
『――使うが良い――』
『――使え――』
男「この、声……」ガクン
男(な、なんだ、凄い、冷汗が――)ブワッ
- 554:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 02:40:04.42 ID:GzCQGN680.net
…・…
…
ローブ1「兄ちゃん――」ニヤ
ローブ3「――あいつ、膝落としたと思ったら、冷や汗掻いて青ざめてるよ」ニヤ
ローブ2「まっ、泣いて許してくれっつっても、止めないけどな、クケケケケケッ」
ローブ2「……何せこいつを見せちまったんだ。どっちみち俺らは退場確定、独房行きはもっと確定」
ローブ1「どうせ捕まるなら――」
ローブ3「――派手にやろうぜそういう事だね」
ローブ2「おうよ」
ローブ1「ムカつくヤツの人生に――」
ローブ3「――僕らの鉄槌を」
ローブ2「そういうこった」
…
……
- 560:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 03:02:37.20 ID:GzCQGN680.net
……
…
母親「な、何この感じ」ゾワッ
父親「始祖の力だ――間違い無い。くそっ、どんどん膨れ上がってるぞ……」ゾクゥ
黒竜「ワシも感じる。なんとも不思議な感覚よのう……」タタタタッ
妹「黒竜ちゃん、いつの間に幼女の姿に……」タタタッ
ダダダダダッ
受付(会場が騒がしいなぁ。今年の新人対抗戦、盛り上がって……)
受付「ん?」
ダダダダダダッ
受付「ちょっ、お、お客さん、チケッ――」
父親「後で払う!」ダンッ
受付「あっ、ゲート飛び越え――」
母親「私も後で払うわ!」ダッ
妹「わたしもー」タッ
黒竜「わしは人間じゃないのだが、払わねばならんのかのう」タタッ
- 562:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 03:11:06.65 ID:GzCQGN680.net
……
…
お父様 ピクッ
お父様「この感じ……よもやっ!」
お父様「そんな、馬鹿なっ!」
お父様「どういう事だ!」ゾワリ
ダッダッダダダダッ
お父様「むっ?」クルリ
チョット押サナイデヨー
父親「すいませんどいてくださいー!!」
母親「急いでるんです!」
混ンデルンダカラ気ヲツケテヨー
妹「ほんとすいませーん」
黒竜「すまないのじゃ」
お父様「……あれは桜竜の……」
- 564:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 03:22:32.08 ID:GzCQGN680.net
父親「むっ、あれは銀竜か……?」ダダダダッ
お父様「久方ぶりに顔を見たが、貴様、なぜここに……」
父親「この感覚、お前にも分かるだろうが! そんな話をしている場合ではない!」ダダッダッ
お父様「――のようだな」ダダダダッ
妹(誰、この偉そうなオッサン……)
黒竜(誰じゃこのオッサン……)
……
…
銀髪少女「――な、何、この感じ――」ハァハァ
男子「ど、どうしたんだ?」
女子「凄い顔色悪いわよ……」
男子「ローブの言ってる事が本当なら、やはり飛び火……俺らも危ない……」
女子「幸い、あの学校に知り合いなんて私たち居ないし、今のうちにA会場に戻りましょ……」
銀髪少女「い、居なきゃ、いけません、私は……」
男子「何を言ってるんだ!」
銀髪少女「守ると、言ったの、です……」
- 566:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 03:32:38.25 ID:GzCQGN680.net
女子「は!? 誰を!?」
男子「無理やりにでも連れて行く」ガシッ
銀髪少女「やめてっ!!」バッ
男子「えっ……」
銀髪少女「言、言ったのです。約束なのです。く、苦しいのなら、護ってあげると――」ダッ
男子「だ、駄目だ危ないっ」ダッ
女子「――もうなんなの、一体何なのよ……」
……
…
ザワザワ
魔法官「はっはー、これはこれは」
魔法官「あと一歩じゃないか」
魔法官「まぁ、早いに越した事は無いしね」
魔法官「ほら、少年、早く使ってしまえ」
魔法官「三つ目の力を、そしてお戻りになる」
魔法官「だからさ、早く早く」ワクワク
- 570:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 03:49:23.03 ID:GzCQGN680.net
……
…
『――使え――』
男「あ、頭に直接――テ、テレパス、か? だ、誰の、声だ……」ハァハァ
『――使え――』
男「――つ、使えば、なんとか、なる、のか」ハァハァ
『――使え――』
男「助け、られる、のか……」ハァハァ
『――四の五の言わずに、使え――』
『――早く、我は――』
男「……どう、すれば」ハァハァ
『――何、簡単な事――』
『――言え――』
『――――』
男「……」ハァハァ
- 574:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 04:07:59.85 ID:GzCQGN680.net
……
…
友「な、なんか男の様子がおかしくねーか」
女不良「あ、あぁ、そうだな」
女剣士「な、なんて言うか、す、凄い苦しそう……」
女剣士「も、もしかして、呪いに掛かったの、かな」ジワッ
イケメン「……それは、無いんじゃない、かな」
DQN「……どーいう事だよ」
イケメン「いや、僕の知識が間違ってなきゃ、呪殺の魔法は、即死か長期に少しずつ体を蝕み殺すかのどっちかのハズだ」
イケメン「その性質はどんな呪殺の魔法でも変わらない――だったと、多分、思う。そもそもまだ発動した様子も無いし」
女剣士「じゃ、じゃあ、どうしてぇ」ヒックヒック
イケメン「いやっ、ちょっとそれは僕に言われても……」
友「男……」
- 578:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 04:36:22.50 ID:GzCQGN680.net
……
…
ローブ2「さぁて腹は決まったかナァ」
ローブ1「お前がどっちを選んだか――」
ローブ3「――魔法を発動すれば答えはすぐそこ!」
男「……そう言えばいいんだな」スッ
男「……」ゴウッ
ローブ2「……ア?」
ローブ2「……なっ、なんだ……」
男「……」ギロッ
ローブ1「兄ちゃん――」
ローブ3「――なんかそいつ、雰囲気おかしいよ」
ローブ2「へっ、へっ……やっ、やるぞ!」
ローブ1「う、うん――」
ローブ3「――こ、こいつが何かする前に!」
- 582:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 05:03:22.95 ID:GzCQGN680.net
男『……』
男『―俺/我を見ろ―』ピシィ
ローブ2「アッ……あっ?」
……ピキ、ピキ……
ローブ1「にいちゃ――あっ……」
ローブ3「――なにっを――」
銀髪少女 ――ダメ――ソノサキヲイッテハナリマセン――
男『――こっちを、向け――』
――バギィイイン――
……
…
銀髪少女(他の方は気づかないのでしょうか……おぞましい何かが、男の体に纏わりついて――)
……『―俺/我を見ろ―』……
銀髪少女 ゾゾゾッ
銀髪少女(――あの声、男の声じゃない――良く分かりませんが、その先を言っては――)タッタッタ
銀髪少女「ダメ! その先を言ってはなりません!」タタタタッ
- 586:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 05:27:10.31 ID:GzCQGN680.net
……
…
魔法官「言った! 言った!」
…
……
父親&お父様「「膨れた魔力が、はじ、けた……」」
……
…
魔法長官「な、なんじゃ、この感覚はっ!」
…
……
女剣士「ま、魔方陣が消え――」
……
…
ローブ1「……」ダラン
ローブ3「……」ダラン
ローブ2「……」ダラァアアアン
- 590:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 05:39:52.20 ID:GzCQGN680.net
……
…
魔法官1「な、なんだいきなり」
魔法官2「い、今、空間が割れるような音が――」
魔法官5「そんな事はいい、魔方陣が消えた! 今のうちに取り押さえるぞ!」ダダッ
魔法官6「ですな」ダダッ
魔法官4「大人しくお縄に――」
ローブ2「……」フラフラ
魔法官4「な、なんだ……糸の切れた人形みたいに――」
魔法官5「き、君が何かしたのか!?」ハッ
男『……グハッ』
男『――った』
男『ついに、言いおった!』
男『グハハハハハッ!』
男『向きおった! 我の方を! 元々その為の魔法よのう……そいつらはついでに過ぎぬ……グハハハハハッ!!』
- 596:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 06:09:50.96 ID:GzCQGN680.net
男『我を誘う贄となりて、誇りに思うて良いぞ、そこの三匹の劣等生物。既に言葉も届かぬだろうがな! グハハハハッ』
……
…
銀髪少女(――あれは、誰?)タタタッ
魔法官7「き、君――待ちなさい」バッ
銀髪少女「……すいません」バッ タタタタッ
銀髪少女(雰囲気も声音も、全てが違う――)タンッ
銀髪少女(……彼は、どこへ……)
銀髪少女「……」ザッ
男『……おや、その魔力の匂い。ほんの先ほども前に出会うたな』
男『銀の裔か?』
銀髪少女「あ、あなたは、誰ですか? お、男をどこへやったのです!?」
男『鼻につくその物言い――まぁ良い、どのみち、食う為にも出ねばなるまい』グッ
銀髪少女「何っを……」
男『何を驚く? 返してやろうというモノ。もっとも、すぐに我の一部となるがな……』グググググッ
- 598:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 06:31:13.27 ID:GzCQGN680.net
……
…
友「な、なんだぁ!?」
女剣士「お、男くん!?」
DQN「そ、それにしては、なんかスゲェ違和感があっけどよ……」
女不良「……あれも、男の魔法の一部か何か、なのか……」
イケメン「な、なんて言うのか、今物凄い大変な事に立ち会ってしまっているんじゃないだろうか、僕ら……」
友「お、おい、男の体から、何か変な影みたいなのが出て来てるぞ……」
…
……
ヌル……リ
男「……」バタン
???「ようやっと、戻れたわい」
???「しかし、所詮はついでの人間三匹。どうにも力が足りぬなぁ」ガシッ
???「やはり力を取り戻すには――まずは桜が裔よ、お前から――」ンアアアァ
男(凄い、ぼうっと、する……)
- 602:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 06:56:29.88 ID:GzCQGN680.net
銀髪少女(な、に……アレ……って、今は驚いている場合ではありません!)ブンブン
銀髪少女「そ、その手を放しなさい!」ヒュウウ ゴウッ
???「ぬ……?」バッ ヌゥン
――ズッガアアアアン
銀髪少女(避け……た? ……いえ、逸らされた?)ギリ
???「ほう、その尾……」
???「……誘いの贄に己が分身の裔を食えぬのは、ちと面倒よのう」
???「体を食わねばならず、こうして出て来てからではないと食えぬ……」
銀髪少女「――もう一度――」タタタッ ヒュウウッ
銀髪少女(当たらないのであれば、今度の狙いは――)ブゥン
???「……人の身を経、時代を経て愚鈍になり果てたか、銀の血よ。今の邂逅にて当たらぬ道理に気づかぬのか」ヌゥン
シュルルル ガシィ
銀髪少女「――あなたに当てるつもりはありません。当たらないのは今の一度で理解しました。ただ、男は返して貰います!」
???「……ふむ、なるほどなるほど……そう来たか」
銀髪少女「だ、大丈夫ですか、男……」抱キッ
- 765:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 19:12:52.44 ID:9+w/4Oz+0.net
男(……なんだろう、暖かい……)
男(……あれ、そういえば、俺……)
『……こっちを向け……』
男(……さっき、確か、この言葉を言ったら何かが意識に……)
男(……そうか、この言葉は、俺を誰かに向かせる……皆は……)
銀髪少女(……息はあります。本当に良かった……)ホッ
男子生徒「な、なんなんッすか今度は……」
女子生徒「ローブの連中がいきなり動かなくなったと思ったら、男くんが……それに、竜尾の姫?」
???「……食前だと言うのに、劣等生物がうるさいのう」ヌッ
銀髪少女「――いけない」ブォン
男子生徒「う、うおっス!?」ガツッ
女子生徒「な、なに――きゃっ」バシッ
ズガアアアッ
???「――劣等生物を払い助けるか、全くもって鼻持ちならん」ギロッ
……
…
友「おいなんか男子生徒と女子生徒がこっちに飛ばされて来てんだが……」
- 770:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 19:29:46.53 ID:9+w/4Oz+0.net
DQN「ットォ、危なねぇ危ねぇ」ガッシ
男子生徒「い、いきなり腹になんか当たって……たっ、助かったッス」
女子生徒「あ、ありがとう……」
イケメン「……と言うかあの銀髪の女性、まさかあれ、竜尾の姫かい!? それに、あの影のようなものは……」
女剣士(あ、あの人、確か男くんのおでこにちゅーしてた……)
……
…
魔法長官「――な、なんじゃアレは、まさか――」
ダダダダッ
お父様「ええいくそっ、アレは――」
父親「――間に合わなかったか」
魔法長官「……お主らは確か竜の家の」
お父様「むっ、長官か……貴様は自分の魔法で観客を助けろ!」
魔法長官(明らかにワシより年下の癖にこの物言いとは……いや、そんな事を言うとる場合ではない)
魔法長官「う、うむ、観客を全員転移させるぞい、魔法官の皆の衆、集まれぇえええ!」
- 775:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 19:47:33.66 ID:9+w/4Oz+0.net
……
…
???「――まぁ良い。桜の裔に銀の裔。二つ同時に食らえる機会である」
銀髪少女(……男は取り返しました……この場から逃げないと行けませんね……)
男「……」ハァ、ハァ……
銀髪少女(早く休ませてあげませんと……)チラ
???「……その顔、よもはや我から逃げおおす算段でも立てようとしておるのか」
銀髪少女「……だとしたらどうしたと言うのですか」
???「随分とオメデタイ頭をしておる。やはりお前らは人になるべきではなかった……」
???「……しかし、ほう、見れば銀の裔よ、桜の裔を大事に大事に抱えておるなぁ」
銀髪少女 キッ
???「図星か、そのように大事か? グハッ、グハハハハッ!」
???「……残念であるなぁ。我のより代になりて、助かる身と思うてか」
男「……」ブルブル、ガチガチ
銀髪少女(男の体が、段々冷えて――なぜ!?)
???「その身で我の腹と力を満たす事こそ幸福であると思うがのぅ」
- 783:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 20:13:36.18 ID:9+w/4Oz+0.net
銀髪少女「だ、大丈夫です……すぐ、すぐ良くなります、から」ジワッ
???「ならぬならぬよ、グハハハハッ!! しかし真に大事なのだのう……ならば、仲良く食らってやろうと言う――!」グアアアッ
ブワァアアアア
???「――っぬ?」ピタッ
父親「全く、この馬鹿息子が」ザッ
お父様「――ほう、竜神ではなく、完全回避そのものを狙ったか」ザッ
銀髪少女「おっ、お父様!?」
お父様「何を驚く。観戦に行くと言っておっただろう」
竜神「……これは、息吹か?」ブワァアン
竜神「……小賢しい」グバッ
サァアアアア
父親「……話には聞いていたが、削がれた状態でこれか」
竜神「……もう二つ、増えたのう」
- 788:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 20:31:28.36 ID:9+w/4Oz+0.net
お父様「……早く行かぬか。この場は大人に任せるのだ」
銀髪少女「おっ、お父様、お、男が……」
お父様「その子は――」
父親「悪いな私の子だ」
お父様「……なるほど。より代はこの子か」
父親「どうしてそうなったのか、そこの所は良く分からんが、そういう事らしいな」
お父様「自らの子だろうが。それぐらい把握しておらんかったのか」
父親「仕事で忙しかったのもあってな……」
お父様「これだから没落は――」
銀髪少女「お父様っ、ですから、男が、男が……」ギュッ
お父様「うぬ、残念だが、その子は――」
父親「――助かるさ。アレから離れれば」
お父様「お前――」
父親「……だから早く連れて行ってくれ」
銀髪少女「は、はい……」グシグシ
- 804:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 20:59:09.40 ID:9+w/4Oz+0.net
銀髪少女(アレから離れれば――)グシグシ
男「……」
銀髪少女「――掴まっていて下さい」ダッ
男(……)
……
…
お父様「――まさか、本当に助かると思っているわけでもあるまい」
父親「それはそうだが、しかし、このままではお前の娘も巻き込まれる」
父親「……自分の息子のしでかした事だ。それなりに責任を感じている」
お父様「何を……封印と言う体である以上、いつかはどこかの家系より産まれ出る運命だったのやも知れぬ」
父親「――お前も行って良いぞ。自分の娘が心配だろう」
お父様「何、心配ではあるが、それほど弱い娘ではない。して、この戦いは明日は我が身。今であってもそう変わりはあるまい」
父親「悪いな……」
竜神「ふぅむ。残りの二つは後ほどゆっくり食らうとするか。まずは……貴様らからだっ」ダッ
……・
- 811:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 21:22:06.01 ID:9+w/4Oz+0.net
友「お、おっさん二人が来たと思ったら今度はアレと戦い始めたぞ……」
イケメン「しかも竜属性の魔法じゃないか……」
女不良「何がどうなってるんだ……」
女剣士「お、男くんは……」
DQN「あの銀髪に掴まれてどっか行ったみてぇだが」
魔法官8『観客の皆さん! こちらへお集まりください! 現在の騒動にて会場は大変危険ですので、転移魔法にて避難を行います!』
イケメン「避難勧告……」
DQN「よくわかんねぇけどよ、すっげぇヤバイ事になってるって事だろ」
女不良「あ、あたしらはどうするんだ」
友「どうするってもなぁ、男の事が心配だし……」
女剣士「わ、わたしも……」
DQN「まぁ気がかりだよナァ」
イケメン「それじゃあどうするかなんて決まってるじゃないか」ファサァ
友「男の所行くかwwwww」
- 813:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 21:34:08.17 ID:9+w/4Oz+0.net
……
…
ザワザワザ 避難ダッテー ウソー トナリノ会場デヤバイ事ナッテルッテー
母親「もうっ!」
妹「お父さん+変なおっさん、先に行ってはぐれちゃったもんねぇ……」
黒竜「じゃのう……」ショボン
母親「どこに居るかくらいは分かるわよ。別にはぐれたのが問題じゃないわ」
妹「えっじゃあ何が問題なの」
母親「あなた達」
妹「えっ」
黒竜「ぬっ」
母親「あなた達に何かあったらどうするのよ。本当は馬鹿息子を殴ってやりたいのに……」
妹「お邪魔? 付いて来ない方が良かったかなー、なんて……」ハハッハ……
母親「だから最初に言ったじゃないの……」ハァ
…
……
- 819:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 21:57:54.45 ID:9+w/4Oz+0.net
……
…
銀髪少女「早く遠くに……」タタタッ
ザワザワ
銀髪少女(人が多いですね……けれど、それならば選手用の通路を通って)ダッ
タタタタッ
銀髪少女(……やはりこっちは空いています)
魔法官「――おっと、どこに行こうと言うんだい」
サァアアア
銀髪少女「っ!? ……霧?」
魔法官「せっかくそこの少年が復活させてくれた竜神さまの力の一部になれると言うのに」
銀髪少女「あなたはっ……その言い方――」
魔法官「そこの少年はもう助からないよ」
銀髪少女「どいてください……」
魔法官「どかないと言ったら?」
銀髪少女「力ずくで行きます」
- 833:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 22:26:24.17 ID:9+w/4Oz+0.net
魔法官「……へぇ、君に出来るのかなぁ」
銀髪少女「……」チラッ
男「……」グッタリ
魔法官「もしかして少年の事が好きなのかな?」
銀髪少女 キッ
魔法官「なるほどなるほど、だからそんなに必死なんだね」
銀髪少女「あなたには関係の無い事です」ヒュン
魔法官「おっと、良いのかなぁ。その尾、透明な上に竜属性。確かに私では叶わないなぁ」
銀髪少女「ならば退いて下さい」ヒュウウッ
魔法官「でも、ここの壁、君の力ならすぐ壊れちゃうと思うんだ」
――ピタッ
魔法官「確かここの通路の隣って、エントランスだったかな?」ニヤッ
魔法官「人、いっぱいいるねぇ」
魔法官「誰か怪我しちゃうかも知れないし、もしかしたら死人も出るかも?」
銀髪少女「……」
- 836:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/28(日) 22:44:00.80 ID:9+w/4Oz+0.net
魔法官「罪も無い大勢の人と、まもなく死ぬ想い人」
魔法官「どっちが大事かなぁ」サァアア
銀髪少女「――ッ。なんて卑劣なの」
魔法官「人間嫌いの竜神さまが戻られたというのに」
魔法官「いや、君はまだ教えられていないのかな? 当主ではないだろうしねぇ」
魔法官「まぁどっちでもいいかな。とにかく、あからさまに人を危害を加える存在を前にして」
魔法官「共に戦ったチームメイトも放って大好きで大事な男の子だけ背負って逃げ出そうなんて――」
魔法官「そんな君も大概だと思うけど?」
銀髪少女「――いきなり現れてずけずけと言ってくれますが、あなたは一体なんだと言うのですか」
魔法官「あぁ、そんなことを尻デカにも言われたっけかなぁ。まぁいいか今回は答えてあげよう」
魔法官「――随分と前にね、色々とどうにかしてやろうと魔法庁の機密事項にアクセスした時、竜神さまの事を知って、復活させてあげようと思ったんだよ。私も人間が嫌いだからね」
魔法官「ただ、それだけさ。……さっ、お話はこれくらいにしておこうか」スッ
銀髪少女「それは……」
魔法官「何、ちょっとどこかの安産型見たく眠って貰おうかなと思って。竜神さまも活きが良い方がお好みだろうし」
――バチィ――
魔法官「ッ!?」
- 838:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/28(日) 22:54:05.28 ID:9+w/4Oz+0.net
……
…
友「男を捜してウロウロしていたら」
DQN「なんかスゲー現場に出くわしちまったな」
女剣士 ハァハァ
女不良「……」
イケメン「あ、あのさ、僕、男くんと竜尾の姫が危ないと思ってつい電撃放っちゃったんだけど、あ、あの人魔法官だよね?」
イケメン「ぼ、僕後で捕まったりしないかな……」
友「なんか悪役っぽい事言ってたし大丈夫じゃねwwww」
銀髪少女「あなた達は……」
友「そこのぐったりしてる男の友達でっすwww」
DQN「お前さんこそ男とどんな関係だってんだよ」
銀髪少女「――私は」
魔法官「――さすがにガキ相手とは言え多勢に無勢は――」ダッ
DQN「おっ、逃げた。じゃあ悪モンだなあいつ、多分だがよ」
- 844:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/28(日) 23:15:12.78 ID:9+w/4Oz+0.net
ガチンガチン
DQN「……」
イケメン「D、DQNくん、キミ、拳を叩いて何してるんだい……」
DQN「悪モンなら、姿見えなくなる前にとっ捕まえないとよォ」ガチィン
イケメン「あ、相手は魔法官だよ」
DQN「でも悪モンだろ、多分」
イケメン「多分でやるのかい!? だっ、大体キミの魔法は拳を硬くするだけじゃ――」
DQN「お前とやった時に、違う使い方も出来んだなって分かったからよぉ、こうすんだヨォ!」ブンッ
友「拳圧飛ばすとか……」
DQN「俺の魔法ってヨォ、拳に魔力を固めて鋼にスんだろ、そいつを飛ばして見ただけだぜ。……ただ結構疲れんなコレ」
魔法官(くそっ、電撃は一撃一撃をコンパクトに出来る上に速すぎるから、私の魔法じゃ――)「って、ん?」
ゴオオオオッ
魔法官「ゴオオオ?」クルリ
ガッツィン
魔法官「ぎぺっ!!」
- 847:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/28(日) 23:27:19.41 ID:9+w/4Oz+0.net
イケメン「や、やっちゃった……」アワワワワッ
DQN「ンな事気にすんなよ多分悪モンなんだからヨォ。ちっちぇヤツだなぁお前は」
友「とりあえず縛っとくか?wwwww」
DQN「んだな」
銀髪少女 パチクリ
女不良「……良く分かんないんだけど、男がグッタリしてんのはなんで?」
銀髪少女 ハッ
銀髪少女「そ、そうでした。もっと遠くに行かないと男が――」
女不良「大変な事にでもなるの?」
銀髪少女 コクン
女剣士「うっ、ウソっ……」ジワッ
女不良「……あなたなら助けられるの?」
銀髪少女「……助けられなくても、私は男と一緒に居ます」
女剣士「そ、その言い方って……やっぱり、あの時おでこにちゅーしてたのは……」
銀髪少女「へっ!? みみみみ、見られて居たのですか」アタフタ
- 860:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/28(日) 23:46:52.67 ID:9+w/4Oz+0.net
女不良 ハァ……
女不良「良くは分からないけど、なるほどな」
女不良「じゃあ、ほら、早く。ここはもうアタシらに任せていいから」
銀髪少女「ええっと、その、すいません」ペコ
タタタタッ
女剣士「わ、私も……」
ガシッ
女不良「あんたの事は応援してやりたいけどさ、今は駄目だと思うんだけど」 女剣士「き、きゅえ」ジタバタ
友「随分と空気読むな」
女不良「あたしもそんなに男の事は嫌いじゃない」
友「あぁっ、そういう事」
DQN「早く縛れっつの」
イケメン「どうして僕にやらせるんだい」
DQN「こいつ良く見たら女じゃねぇか。女に触るってのは勇気がいんだよ。お前は慣れてンだろ」
イケメン「いやっ、でもなんかこれ傍から見たら危ない事してる人に僕が見えないかい」
- 866:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 00:01:32.46 ID:zLY+p/EY0.net
……
…
魔法官10「長官、観客のほぼ全員を集め終わりました」
魔法長官「うむ、では空間系の魔法を扱える者で合わせるぞい」
魔法官10「はい――」
…・
……
お父様「人の気配がごっそり無くなりおったな。転移魔法が発動したか」ヌゥン
竜神 ビシィイイン ズガアアアン
父親「これであまり気にする必要も無くなったな」サッ
竜神「……その魔法、何ぞ」
お父様「何、少し貴様の完全回避を真似ただけの事」
竜神「ほう、となると、『竜脈』の魔法か。大気に魔力を流しておるな」
お父様「察しが良いな。いや、元より貴様から派生した魔法だったな」
父親(――だが)
お父様(――いつまでもこうしては居れぬ。先にこちらの魔力が尽きてしまうだろう)
父親(これで完全ではないと言うのだから、嫌になるな)
- 870:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 00:19:42.38 ID:zLY+p/EY0.net
竜神「ふむ、しかしこれではいつまでも終わりが見えぬな」グググググ
父親「――体が膨れている」
お父様「――魔力の増殖か」
竜神「面倒くさいのう、一気と飲み込んでやろうではないか」グググッ
グッ
ググッ
ガッ
ガガァンン
ガアアアアアアアアアアンン
……
…
友「なっ、なんだぁ!」
DQN「か、会場が揺れてんぞ……」
イケメン「ど、どうするんだい」
女不良「とにかく、外に出たほうが――」
友「だな……」
…
……
- 874:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 00:36:31.21 ID:zLY+p/EY0.net
父親「これは――」
お父様「――まだ一人とて竜王の家系を食らってはおらんのに、なれるのか、その姿に」
父親「……いや、長くは使えないハズだ」
お父様「しかし、これでは持ちこたえる事さえ至難」
父親「こうなっては、アレをやるしかないだろう」
お父様「……本気か? 下手を打てば、戻っては来れずに死に絶えるぞ」
父親「私の息子は、まず間違いなく死ぬ。より代になっていたのだから。なら、私は、命をかける意味が、意義がそこにある」
竜神「何をごちゃごちゃと――」
父親「……」バッ
竜神「グハハハハッ、人の姿になり果て代を重ねたと言うのに、人化の術を使おうと言うのか! その上、使い方が逆ではないか! 良い良い、今に我の血肉となりて、そのアホウ加減も許してやろうぞ」スゥウウウウ
父親「……逆? これで良いんだ……」
- 879:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 00:47:34.12 ID:zLY+p/EY0.net
……
…
友「お、おいおい、アレ見ろよ」
DQN「アァン? ……あ?」
女不良「で、でかい竜が二匹……」
女剣士「……」ポカン
イケメン「全くこの僕にこんな事させて……」ズルズル
魔法官「」
イケメン「……って、うわああああああああ!!」
DQN「う、うるせえ……」
イケメン「なっ、なななっ、なんだいあの竜は!! 大きい方で大型の五倍、ち、小さいほうでも三倍はあるじゃないか……」
友「マジで?」
イケメン「あの一件以降、僕勉強したからね……」
友「じゃあなんつーか、怪獣大決戦?」
…
……
- 883:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 01:06:13.22 ID:zLY+p/EY0.net
男(寒い……凄く寒い……)
タッタッタッタ
男(指先さえ、動かない。瞼も上げられない……)
男(もう、眠ってしまいたい……)
男(……ずっと起きれなくても……)
シッカリシテクダサイ 今、ナントカシマスカラ
タッタッタッタ
男(……銀髪少女の、声……)
男(……懐かしい、声……)
男(……)
……
…
銀髪少女(もう背中ごしでも分かります。それほどまでに、冷たい……)
男「……」グタ……ブラン
銀髪少女(腕はおろか、指にさえ力が入らないのですか、もう……)
銀髪少女「しっかりして下さい! 今、なんとかしますから!」
- 891:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 01:20:53.31 ID:zLY+p/EY0.net
タッタッタッタ
銀髪少女「どうすれば……」アセアセ
男「……」
銀髪少女「早く……なんと――あっ」ガチッ
ズシャア
銀髪少女「い、いたっ……」
ゴロンゴロン
銀髪少女「あっ……、お、男……」
男「……」
銀髪少女「だ、大丈夫、ですか」ユサユサ ジワリ
銀髪少女「……何か、何か、言ってください……」ヒック
銀髪少女「く、苦しいのなら苦しいと、痛むのなら痛むと……」ヒックヒック
男「……」
- 896:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 01:37:05.78 ID:zLY+p/EY0.net
銀髪少女「護ると言ったのに、護れない……」ヒックヒック
銀髪少女「どうして……」ヒックヒック
男(……なんだろう。苦しい)
男(……ずっと寝ていたいのに、苦しくて、眠れ、ない)
男(……いや、眠りたく、ないんだ)
ヒックヒック
男(……泣いてる)
男(……昔は、いつも泣くのは、俺の方だった)
男(……)ピクッ
銀髪少女「――えっ……今」ヒックヒック
- 898:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 01:49:22.17 ID:zLY+p/EY0.net
男「……」スッ……
銀髪少女「手が……」ヒックヒック
銀髪少女「あ、あの影のせいで痛むのですね!? 苦しいのですね!?」ヒックヒック ガシッ
男「……ちが……う……よ」
銀髪少女「――え?」ヒック
男「……くる……しい……のは……き……みが……」グイッ
銀髪少女「――あっ」
銀髪少女(――私の涙を拭って――)
男「泣……いて……る、から……」
男「だか……ら、く……る……しい……」
銀髪少女「そんな、そんな事――」ブワッ
- 1:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 03:45:17.60 ID:zLY+p/EY0.net
このまま寝ないで完結まで持ってく
頑張る
VIPPERとしての意地見せる
- 10:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 04:01:38.41 ID:zLY+p/EY0.net
男(……もう)
男「……」グタッ
銀髪少女「だっ、ダメです! い、今、なんとかしますから!」……ヒックヒック
銀髪少女「でも、どうしたら……」……ズビッ ブワッ
『しゅごいまほうなのです!』
銀髪少女「そっ、そうです」ヒックヒック
銀髪少女「……」ヒックヒック オデコニチュー
銀髪少女「――これなら――」
男「……」
銀髪少女「ど、どうしてぇ」ヒックヒック
男(……あり、が、とう)
男(……でも、もう、声にも出せない)
銀髪少女「お、起きてぇ、お願いだがらぁ」ヒックヒック
- 16:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 04:20:35.56 ID:zLY+p/EY0.net
……
…
通行人1「やだ、何あの子男の子に縋り付いてすっごい泣いてる」
通行人2「……あの子、さっきまでテレビに出てた子じゃないの。ほら、竜尾の姫とか言う話題の。銀髪だし」
通行人1「あーそういえば、てか、倒れてる男の子もなんか騒いでた男の子じゃなかった?」
通行人2「なんか大穴みたいな言い方されてた子でしょ? ……そういえば新人対抗試合、いきなり中継切れたわよね、何かあったのかしら」
通行人1「なんか化け物出たとかって話は聞いたけど」
通行人2「まさか。……でも選手がここに居るなんて……」
…
……
銀髪少女「あれがら離れれば、良くなるんじゃ、なかっだのぉ」ヒックヒック
男(……)
男「……」シィン
銀髪少女「うぞっ、うぞっ……」ポロポロ ズビッ
銀髪少女「い、息が……うぞでしょ……」ギュッ
銀髪少女 ギュッ
銀髪少女「やだっ……やだっ」ヒックヒック
- 21:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 04:40:56.73 ID:zLY+p/EY0.net
……
…
お父様「本当にやりおった……」
巨竜(父親) ギャアアアアアア
竜神「――グハハハハハッ、そうか、そういう事か!」
竜神「それで逆か! 還ったな! 我が分身であった時に!」
竜神「――なるほど、これは、食えば力が随分と良く戻ろうというもの!――」
お父様(……しかし、桜竜が還ったとして、大型の三倍程度。分身後、争いを好まぬ性質に熟した桜竜王は王の中でも小柄であったと伝えられてはいるそうだが――)
お父様(だが一方、竜神は本調子ではないにも関わらず五倍はある――これは、仮に竜神に力が戻れば手がつけられない所の話では無くなるぞ……)
お父様「……もしも桜竜が倒されるのであれば、食われる前に私も還らねばなるまい……」
お父様「桜竜よ、命をかけているのだろう。負けるような事はあってはならぬぞ……」
…
……
- 24:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 05:03:31.00 ID:zLY+p/EY0.net
……
…
『ギャアアアアアア』
母親「この鳴き声……」ダッ
妹「あっ、お母さん待って」タッ
黒竜「なんじゃなんじゃ」タタッ
ダダダダッ バンッ……
母親「――うそでしょ――」
妹「人ほとんど居ないねーって、うわーでっかい竜が二匹……」
黒竜「……む? 桜色の方からは父親殿の匂いがするのう……」
妹「えっ」
黒竜「多分そうじゃよ……どんな術を使ったのかは分からぬが……」
母親「……」クラクラ
…
……
- 27:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 05:25:41.17 ID:zLY+p/EY0.net
『――ギャアアアアア――』
通行人3「なんか今聞こえなかったか?」
通行人4「もしかして会場の方じゃねぇか?」
通行人3「会場って、新人対抗のか?」
通行人4「そうそう、なんかありえない大きさの化け物だか竜だかが出たとか――」
通行人3「でも、なんかちょっと気分良くなるような音だったぞ。化け物じゃないんじゃね」
……
…
銀髪少女「……」ヒックヒック ギュウウウウ
銀髪少女「……ど、どんな魔法なら、あなだを助げられるのぉ……」ズビッ ズズズッ
銀髪少女(……こんな事になるなら、あの時、おでこじゃなくて――)ヒックヒック スッ
男「……」
銀髪少女「も、もう、遅い、がなぁ――」ヒックヒック
ソオオッ
…
……
――ちゅ――
- 31:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 05:43:44.60 ID:zLY+p/EY0.net
……
…
通行人5「うわっ、なっ、なんだアレ」
通行人8「泣きながらキスしてるぞ、あの子」
通行人7「されてる方の男の子ぶっ倒れてるし」
通行人6「なんかの撮影か?」
…
……
銀髪少女(……)ヒックヒック
男「……」
銀髪少女「……」ヒック
――ちゅ――
――ちゅ――
- 34:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 06:08:36.83 ID:zLY+p/EY0.net
・・・…
…
銀髪少女「護っで、あげられながっだ……」ヒックヒック
ポタ……ポタ
男「……」
男(……)
銀髪少女「約束、じだのに……」ヒック
銀髪少女「小ざい頃、好ぎだったの」ヒックヒック
ポタ、ポタ……
銀髪少女「だがら、だがら……」ズビッ
銀髪少女「でも、忘れがげでだのに、まだ会っで、やっばり、好ぎだった」ヒックヒック スッ
……
…
――ちゅ――
- 37:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 06:26:18.80 ID:zLY+p/EY0.net
銀髪少女「ごの試合が終わっだら、お父ざまに言っで、連絡取るつもりだっだ」ヒックヒック
――ちゅ――
銀髪少女「そじだら、一緒に歩いで、手を繋いで」ヒックヒック
――ちゅ――
銀髪少女「あなだがっ、あなだがっ」ヒックヒック
……
…
――ちゅう――
……
…
ピ、ク
…
……
男(……)
- 41:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 06:48:05.00 ID:zLY+p/EY0.net
男(……――ぁ)
男(……暖かい)
男(……温もり)
男(……何かが、流れ込んで、きていた、ような……)ピ、ク
男「……ぁ」スッ
銀髪少女「ヒック……ヒッグ――え゛……」サワッ
男(唇が、熱い……)
男(……そうか)
男(……俺に、魔法を……)
男「……誰か、から、もらう、の、だけが、……魔法、じゃ……」
男「……ありが……とう」ニ、コッ
銀髪少女「……――~~~~ッ!?」ブワァアアッ
抱キッ
――ちゅぅう――チュッ
……
- 43:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 06:55:04.47 ID:zLY+p/EY0.net
巨竜(父親) アンギャアアアアアアア
ガオオオン
竜神 カパァアア
キィイイイン ボッ
巨竜(父親) ヒュウウウウ ゴクン ヒュイイイインン パッ
イケメン「僕は今、夢でも見ている気分だよ」
DQN「珍しいな。俺もだ」
友「実は俺もだ」
女不良「あたしもだな」
女剣士「わ、私も……」
イケメン「こんなの、まるで神話の戦いじゃないか……)
友(そういや男どうなったかな……)
- 46:1 ◆mZn2.JN7Q. (ワッチョイ):2014/12/29(月) 07:20:07.84 ID:zLY+p/EY0.net
……
…
竜神『――ここまで還った力を使いこなすか――』
巨竜(父親) ギャァアアアス
竜神『――しかし、たかが桜一匹ごとき――』ガクンッ
竜神『――ぬっ、やはり本調子では――』スゥウウ
竜神『――~~っ……な、何、ぞ……~~――』
巨竜(父親) ギャアアアアア
ズガァアアアン
竜神『――ぬ、抜けるっ!!――』スッ
竜神『――力がっ――』スウウウウウウッ
竜神『――ぬっ、ぬぅううう、よもや――』
竜神『――~~ええい、いの一番により代を食ろうておくべきだったとはっ~~――』
竜神『――蘇るとは――』ズガァン ギャアアアアアアス
竜神『――~~このような一撃、逸らす事すら出来ぬとは、く、くそう、術が発動せぬ~~~――』
お父様「なん、だ……竜神の様子が……」
- 59:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/29(月) 08:35:27.70 ID:zLY+p/EY0.net
竜神『――このままでは――』シュウウウウウウ
竜神『――ヌゥウウ――』シュウウウウ
竜神『――ようやっと我が身を取り戻したと――』シュウウ
竜神『――劣等生物を――』シュウ
竜神『――みな……殺し――』
竜神『――で……る、と――』
……
…
妹「お、おっきいほうが」
黒竜「ぬぅ、竜神が徐々に小さく――」
…
……
お父様「どうしたと言うのだ……」
お父様「桜竜が勝利したというよりこれは――」
……
…
竜神『――また、封――』
- 63:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/29(月) 08:56:21.48 ID:zLY+p/EY0.net
……
…
お父様「終わった、のか……」
巨竜(父親) アンギャー キョロキョロ
お父様「もう良い! 何が起きたのかは知らぬが、竜神は姿を消した!」
巨竜(父親) アギャァアアア バッサバッサ
お父様「ぬうっ、まだ竜神を探して――まさか我を忘れ――「あなた」」
母親「何かしら、その姿」
巨竜(父親) ギャッ……ギャ、ウ……
ズゥウン
シュウウウ
ウウ
ウ
父親「つか、れた……」
母親「だから、さっきの竜の姿は何? そんな姿になれるなんて、私、知らなかったんだけど」ニコッ
父親「……まぁ、その……」
……
- 68:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/29(月) 09:29:06.57 ID:zLY+p/EY0.net
……
…
テクテク
友「ふぁああああ、なんだか凄い疲れたなぁ」
イケメン「……君はほぼ何もしてないだろ」
女不良「まぁ、魔法官を捕まえたのはDQN,だし、その後見張ってたのはイケメン、戻ってきた他の魔法官に説明して突き出したのはアタシだしな」
イケメン「まぁ僕はやりたくてやったんじゃないけどね……」
DQN「つーか突き出された時に言った言葉とかやり取りもモロ悪人のそれだったよな」
魔法官『ふん、私は悪い事したなんて思ってないよ。絶対いつか仕返ししてあげるから、覚悟しておくんだね』
魔法官10『キリキリ歩け!』
DQN「だっけか?」
友「なんつーかなぁ……。まぁでも今はそれより、男がどうなったかだよ。竜もいつの間にか消えてたし」テクテク
女剣士「あっ、あっ、あそこ!」ビシッ
- 72:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/29(月) 09:40:46.80 ID:zLY+p/EY0.net
……
銀髪少女「……」ニコニコ
゙
男「……」スゥスゥ
……
友「ん? おおう……街中で膝枕とは……」
イケメン「??? そういえばあの二人はどういう関係なんだい?」
DQN「おいおい」プイッ
女不良「……まぁ、こうなるか」
女剣士「」ブクブクブクブク
……
…
警備員「はぁ、今日はマジで大変だったな……」
警備員2「だな。着替えて帰って一杯だな」ガチャッ
秘書「きゅー」……
警備員2「……」(なっ、なぜ俺のロッカーに見知らぬ眼鏡の女が……)
ドウカシタカー
警備員2「いや、別に……」(どうしよう……)
- 77:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/29(月) 10:04:17.02 ID:zLY+p/EY0.net
……
…
魔法大臣「ふむ、なんとか今回は一件落着と言った所かの」
魔法長官「大変だったがのう」
魔法長官「危険な魔法を使う新人やら竜神やら」
魔法大臣「そういえばお前の秘書が『始祖の力』を盗んだ犯人に眠らされてロッカーに入れられてたとかも聞いたが」
魔法長官「まぁ、良いケツしておるからのう、そんな事もあるわい」
魔法大臣「……」ハァ
魔法長官「――何にしろ、幸い犠牲者はほとんど居なかったからのう」
魔法長官「始祖の力は竜の家の者に再びより強固に封じて貰っておるし」
魔法長官「少々気がかりなのは――あの危険な魔法を発動してたローブ三人組かの」
魔法大臣「またどうしてじゃ」
魔法長官「さしたる外傷も無いようなのだが……」
魔法大臣「無いようなのだが?」
魔法長官「糸の切れた人形みたいになったままでのう。魂の大部分を失っているもんで、独房行きの前に治療受けさせとるが、いつ元に戻る事やら」
- 81:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/29(月) 10:18:42.90 ID:zLY+p/EY0.net
魔法大臣「……ふむ」
魔法長官「まぁ、気長に待つしかないかのう」
魔法大臣「どうにもならぬ事もあるもんだしの。……っと件の少年はどうなっておるのか」
魔法長官「始祖の力を持っていた少年の事かえ? 彼ならば――」
……
…
父親「折角助かった命なんだから、もう少しシャキっと生きたらどうだ。――あぁ、そうだ、今度こそ変な魔法はやめてくれよ」
母親「ホントお父さんの言う通り」
妹「私はなんか色々あって楽しかったけどねー」
黒竜「お主は少々緊張感が無いのう……妹よ……」
男「はいはいはいはい行ってきますよ」
……
- 87:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/29(月) 10:38:37.00 ID:zLY+p/EY0.net
男(――思えば色々あったなぁ)
魔法官(新)「えーと、貴殿に新しく授与する魔法は――」
男(そういや、変な魔法授与されたのが大体の始まりだったよなぁ……)
男(けど、大切な事を思い出せたし)チラ
銀髪少女「……大丈夫です、男ならきっと凄い魔法です!」
男(別に凄くなくて良いんだけどさ)
魔法官(新)「――『そっちやって』、ですね」
男(……あれ、なんか凄いデジャウ)
男「あの、ちなみに成長するとどんな魔法が使えるんですか」
魔法官(新)「『あっちやって』と『こっちやって』と言うのが使えますね」
男「……」
- 99:1 ◆mZn2.JN7Q. :2014/12/29(月) 11:02:16.73 ID:zLY+p/EY0.net
魔法官(新)「あっ、でもこんな名前ですけど、一応竜属性の魔法ですよ。ミニドラゴンを使役――まぁ掃除させたりとかに使う魔法だそうです」
男「……それだけ?」
魔法官(新)「え、えぇ。のようですね」
男「……戦闘とかに使えますかね?」
魔法官(新)「小型クラスならまだしも、ミニではちょっと……正直人間の子どもの方が強いと思います」
男「……正直使えない魔法ですか?」
魔法官(新)「いやまぁ、その、こういう言い方もアレなんですけど、授与からだいぶ時間経ってるじゃないですか。今年の分のスペアってもうこういうのしか無いんですよね。
竜属性なんてただでさえ珍しいですし、なお更と言いますか」
銀髪少女「――可愛くて凄い魔法です! お互いの家系的にも、いずれ家庭を作った際には一匹は竜が欲しいと思っていた所ですし……」ニコニコ
男「えっ、そういう問題じゃ――」
男(――なんて言えばいいのか、ああそうか――)
男「――俺に与えられた魔法がくっそ使えなくて笑えない――」
……
…
黒竜(幼女)「な、なぜじゃ! なぜ体が勝手に雑巾掛けをしてしまうのじゃ!」ダダダダッ
男(いや意外に使えるかも)
完
転載元
男「俺に与えられた魔法がくっそ使えなくて笑えない」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1419439957/
男「俺に与えられた魔法がくっそ使えなくて笑えない」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1419605372/
男「俺に与えられた魔法がくっそ使えなくて笑えない」ファイナル
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1419792317/
男「俺に与えられた魔法がくっそ使えなくて笑えない」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1419439957/
男「俺に与えられた魔法がくっそ使えなくて笑えない」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1419605372/
男「俺に与えられた魔法がくっそ使えなくて笑えない」ファイナル
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1419792317/
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コメント一覧 (232)
-
- 2014年12月30日 15:38
- 女剣士が剣士である必要ある?存在感薄いし。銀髪との過去も内容が無さすぎる気がします(by国語2)
-
- 2014年12月30日 15:58
- なろうに帰りなさい
-
- 2014年12月30日 16:01
- 最近のラノベの文章力と比較するなら充分に出版できるレベル。
ただ能力が普通に優秀だったり、主人公がクズ過ぎて同感できなかったり、
最終的に作者が飽きてグダグダ感が満載だったり、惜しい要素が…
いや、惜しいというよりも致命的過ぎて擁護できないな。
すまん、最初の一行取り消しで。
-
- 2014年12月30日 16:25
- 批判だけして具体的なことは殆ど言わないのな
自分が面白いと思えるようにアドバイスでも書いとけよ
-
- 2014年12月30日 17:03
- 冒険に出るSSに似た良作かと思いきや…
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- 2014年12月30日 17:59
- 寝ないでよく頑張った
桜の竜ってのは良いアイデアと感じたよ。さくら怪獣じゃないもん!
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- 2014年12月30日 18:28
- うーん、趣向にもよるけど途中までは面白かったよ。
ただ主人公確かに活躍してないな。ご都合主義でも良いから目覚めた後駆け付けて竜神何とかしてENDで良かった気がする。素の第三の力も使ってないしね。実に惜しい。
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- 2014年12月30日 19:03
- 自分への攻撃をすべて逸らし、相手への攻撃が急所必中。使いこなせばとんでもない強さになるな
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- 2014年12月30日 19:37
- え、なんで気づいたらこんなに※伸びてんのw
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- 2014年12月30日 21:17
- ※4
『魔法』に、弓道やらアーチェリーやらクレー射撃みたいな、撃った当てた避けたなんてあっちゃならねえンだよ。
何のための『魔法』だ?
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- 2014年12月30日 21:25
- 途中で女剣士ちゃんの影が薄くなったのは残念だったけど話しは面白かったです。今度は、もう少し枠を大きくした話を読んでみたいです。竜とか魔法の種類増やしたような。ssとは呼べなくなるかもだけど(汗)
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- 2014年12月30日 22:44
- あっちむいてホイ!の大会があれば
絶対に優勝できるじゃないか!!
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- 2014年12月30日 23:02
- 桜の竜って発想すごく良かったな・・・
桜、春を呼ぶという日本の【和】のイメージ。争いを好まないから弱体化してった?的な【平和主義】
これは、日本を・・・
面白かった!黒竜ちゃんがチョーカワイイ
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- 2014年12月31日 00:21
- 途中まで面白かったんだけどなぁ・・・
中盤辺りからキャラ多くなりすぎて描写が薄くなったように思えた
友や女剣士、黒龍の活躍するの見たかっただけに残念
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- 2014年12月31日 01:16
- おう。面白かったけど消化不良や
ありがちとか言われてるけどこういう系統のラノベは読むの苦痛なんや。
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- 2014年12月31日 01:42
- 命令系って強くね?
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- 2014年12月31日 02:04
- エムゼロ好きだから最後まで楽しく読めた。
ただ要らないキャラが多くてなんだかなぁ…
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- 2014年12月31日 02:45
- あっち向いての魔法で、相手の首をねじ切るシーン最高でした!
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- 2014年12月31日 06:56
- う~ん
面白いだけに短すぎるのが難点かな~
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- 2014年12月31日 08:39
- 小説家になろうでやってればもっとちやほやされたかもね
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- 2014年12月31日 09:51
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ドラゴンドライブ思い出した
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- 2014年12月31日 10:09
- ラノベを薄く伸ばした感じとか言ってる人いるけど自分的にはこっちの方が面白いと思うよ。
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- 2014年12月31日 11:29
- 日常的には使えんが喧嘩には使えると最初に思った
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- 2014年12月31日 11:45
- ※136
具体的な事言われまくってると思うんだが?
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- 2014年12月31日 18:36
- 一番使えなさそうな上に魔法の発動もせず、銀髪にヒロインの座を奪われるだけだった女剣士ちゃん…
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- 2014年12月31日 22:10
- そっち向いてだけ見た時首折ったり強制視覚変更で攻撃逸らしたり出来たら強そうじゃね?どう使うんだろwkwk、と思ってたらなんか全攻撃自動反射のただのチートになっててそこだけがっかり
他は結構良かった。でもどうせなら銀髪との対戦見たかったかな?
というかここの評価ってSS>小説家になろう>モバ小説なの?小説家になろう>SS=モバ小説ぐらいかと思ってたけど(ただしよくモバ小説読んでる)
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- 2015年01月01日 03:25
- 最初は面白かった。
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- 2015年01月01日 06:43
- 意外と王道展開で割とサクサク読めて結局最後まで読んでしまった
まあ結論から言うと時間の無駄だった。王道展開で悪くはないんだけど色々すっとばしすぎて分かりずらい点がチラホラ。特に物語の主軸の龍族あたりが説明不足すぎて意味が分からない
それに登場人物が多すぎてイマイチ活かせ切れてない。正直『男って意外とモテるだよ』みたいな展開はいらなかった
最後のほうは御都合主義で無理矢理締め切った感じ。正直『何で龍神が封印されたの?』っていう疑問しか残らない
総評をすると、王道展開で割と読めるけど何でそうなったのかというのが説明が不足してる。あと登場人物はもうちょい減らして掘り下げて欲しかった
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- 2015年01月02日 04:02
- いかにもオタクが書いたって感じ。黒龍がなんで幼女になった時点で読むのやめた。
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- 2015年01月02日 04:07
- >161 ミスった 黒龍が幼女になった時点で読むのやめた。
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- 2015年01月02日 11:40
- 説明不足とキャラが多くて捌ききれていないのが難点。幼女は賛否分かれるね
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- 2015年01月02日 16:50
- 雷使う百年に一度の天才がって下りが竜族倒したってフラグかと思ったらそんなこともなかったぜ…
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- 2015年01月02日 23:36
- すでにコメにあるみたいにラノベだな完全に
それも微妙に売れるタイプの
もっとしっかり練り直せば売れそう
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- 2015年01月03日 00:45
- VIPPERとしての意地()
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- 2015年01月03日 06:11
- 面白くなりそうでなかなか面白くならず、キャラは増える用語は増える設定は腐っていくで、最終的に最後まで読まされて時間を無駄にするタイプの作品。しっかり推敲を取って内容の密度と精確さを練り上げてちゃんとした小説として仕上げるか、最低限の密度と描写で書き上げてSSとして仕上げるべきだった。
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- 2015年01月03日 19:11
- 長いから米を見たけど、見ない方がいいか。無駄に疲れそうだし。
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- 2015年01月03日 20:32
- 面白かったよ
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- 2015年01月04日 08:05
- まとめられたSSがくっそつまらなくて笑えない
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- 2015年01月04日 13:15
- ただただ女剣士がうざかった
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- 2015年01月04日 22:39
- 面白かったよ。ただ、黒龍をを幼女にする必要性はあったのか?
全部読んだけど、まあまあ良かったんじゃなんじゃないかな。
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- 2015年01月04日 23:31
- 素晴らしかったと思うのですが、難点として後半で「そっち向いて」が「自動反射」に成り代わっていた所があると考えます。
vs黒竜 の時のように、力を意図的に使うことで反らす、というやり方で最後まで進んでいれば、個人的には文句なしでした。
この展開では、「自動反射」を役立たずの能力と誤解させるためだけに「そっち向いて」の表現を使っていたように見受けられます。
素晴らしい作品をありがとうございました!
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- 2015年01月05日 01:57
- ぶっちゃけ一方通行並の能力だろこれ。普通に強い
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- 2015年01月05日 03:22
- 最初の能力の時点でもあるいみチートだからなぁ
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- 2015年01月05日 09:14
- ※160
龍神が封印された下りは普通に書いてあるぞ?
龍神は人間嫌いなのに子孫の龍族が人間と共存を始めたから怒って暴れたので封印された。
ちゃんと読んでいれば解る筈だが。
一方通行並というかまんまだけどな。
段階的にしてるけど対象のベクトルを強制操作だから基本は一緒。
一方通行の方が自由度高い分上だが、それでも幼女を思い通りにできない時点で大した事はない。
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- 2015年01月05日 10:14
- ちょいちょいトカゲの王読んでる人のコメに親近感。
目の色を変えるが圧倒的に使えないと思う。
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- 2015年01月05日 11:19
- 薄口のラーメンですな、好物ですが物足りなさが否めないぜ
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- 2015年01月05日 18:46
- 友が面白かったw
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- 2015年01月05日 19:52
- サガフロのハイドビハインド思い出したわ。本当に後ろ向かせるだけでヴァジュイール戦以外全く役に立たない術w
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- 2015年01月05日 22:05
- 最初から張り付いて見てたが途中で見失ってやっと見つけたw完結はしてくれたみたいだなwよかった
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- 2015年01月06日 00:02
- 能力の強化は 左右向かせる→上向かせる→後ろ向かせる位のを期待していた
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- 2015年01月06日 12:48
- トカゲの王
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- 2015年01月06日 13:46
- なんかちょっとゼロの使い魔思いだした。ほんとにちょっとだけ
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- 2015年01月06日 16:48
- このネタ少し使います
面白い
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- 2015年01月07日 08:20
- 女剣士の扱いがあああぁぁぁぁぁぁ!!(号泣)
せめて女剣士が好きな男のために高速移動使って前に出て攻撃を代わりに受けるぐらいの活躍はして欲しかった
NARUTOのペイン戦のヒナタみたいに
そして女剣士が死んだあとに桜竜の能力は生命を与える力とかいって復活させたらヒロインとして十分救われる
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- 2015年01月07日 08:39
- オート反射のチート化になったとこだけん?ってなったけどそれを除けば面白かったよ
普通に良い暇つぶしになった
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- 2015年01月07日 13:44
- なんかMFのドラグナーみたいだな
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- 2015年01月08日 16:39
- でも女剣士がかわいそうだと思いましたマル
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- 2015年01月09日 07:57
- なかなか面白かった
個人的には竜神を親父じゃなくて主人公が倒した方がベタでいいと思う
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- 2015年01月10日 02:13
- 読者様(笑)多過ぎ
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- 2015年01月10日 15:11
- 泣いてる女の子の顔は見たくないよなぁ男なら
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- 2015年01月10日 19:57
- シリーズ化希望
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- 2015年01月11日 14:39
- まあ、長文スレにはアンチがつくのは仕方ないことだよ。
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- 2015年01月11日 18:17
- 批評家様だとか読者様だとか言ってる奴は褒める内容のコメントだけ書けってことなのか?
それってめちゃくちゃ気味悪いぞ
作品に対するコメントなんて好きに書けばいいと思うんだがね。
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- 2015年01月12日 19:15
- 正直主人公自体は弱い方がいい。時間も経たずなんでも解決できるようになったら既にそれは何番煎じか
与えられた能力を駆使するのではなく振り回されるという視点が新鮮味あって良い
強力な効果というより、身を危険に晒す別の存在による副次効果という力のありかたは既存作には少なめだ
つまりこれがいい
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- 2015年01月13日 05:17
- 結構おもしろかったけど途中で燃え尽きた感あるのが残念だw
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- 2015年01月13日 13:03
- 振り回されてる割には主人公の台詞に危機感がない
アルドノアの主人公を薄めた感じ
色々惜しい
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- 2015年01月13日 22:35
- 長い
飽きた
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- 2015年01月14日 05:44
- このssだけ異様にコメ数多いな
これがVIPPERの意地ってやつか
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- 2015年01月14日 11:21
- いいんじゃない?
最近のラノベってこんなんじゃん
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- 2015年01月18日 19:19
- 俺の斜に構えた感うぜぇ
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- 2015年01月20日 03:12
- まあなんだな、あっち向いてそっち向いてこっち向いたらナニが一周するかもしれんな
ところで幼龍ってそこらにいて拾っていいんですよね?で、幼女に化けるんですよね?…閃いた!
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- 2015年01月20日 21:36
- 1ページ読んだだけの感想だけど
魔法とかにも使えるなら
結構無双出来そうな能力やけどな
全ての魔法をそらして
相手の目線や向きをそらして
反応を遅らせる
とにかく防戦に強そうな能力だ
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- 2015年01月21日 16:51
- 良いSSだ
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- 2015年01月23日 15:42
- 銀髪っ娘適当すぎんよー
誰これ?→あ、幼馴染みじゃん→素敵!
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- 2015年01月28日 00:08
- そもそもこの感想数の多さが今のラノベの状況を物語ってるような
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- 2015年02月15日 17:25
- 面白かったけど中盤の友と剣士とエピローグの銀髪は扱いテキトーにしないでほしかったな
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- 2015年02月21日 17:00
- 普通に使える能力だろ…
戦闘中、不意に視線外されてグサーとかやられたらたまらんぞ。
仲間に一人は欲しい能力。
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- 2015年03月26日 13:50
- あっち向いて強すぎだろ
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- 2015年05月09日 18:54
- 他の人の評価が結構低いけど俺は好きだな 王道で面白いと思う SSとしてならいい出来だと思う
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- 2015年05月18日 22:09
- すごくいいと思いましたまる
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- 2015年06月05日 11:05
- 懐かしの「爆裂ハンター」からいろんな要素抜いた感じ
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- 2015年07月30日 20:15
- ※1
お兄様ハーレムものじゃないサブカプ乱立ものだぞ
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- 2015年12月25日 12:21
- ふと思い出して検索してしまったが、一年も経ってたのか………
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- 2016年01月26日 12:55
- 内容は好きなんだけど、読んでて登場人物にイライラする。
なんで一々「杞憂か」で済ますんだよ。対抗戦中止しろよ。ちゃんと教えろよ。主人公もダルいで済ますなよ。
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- 2016年03月13日 18:31
- うーん、場面変わりすぎて混乱する。もっとテンポが良かったらなぁ
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- 2016年03月17日 11:39
- なんだこのゼロ魔
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- 2016年03月21日 18:17
- 活躍させる方法を考えたうえでの使えない魔法だから、ある意味一番使えないのは足が早くなる
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- 2016年04月26日 07:36
- ミニドラゴン使役ほしいぞ
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- 2016年06月10日 10:14
- 面白い
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- 2016年07月22日 18:13
- 設定は割と面白そうなのにとにかく読みづらい、主人公に魅力が無さ過ぎる同じような作品で面白い作品いっぱいあるのにこれはつまらん。文才だろうなあ
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- 2016年07月25日 02:00
- 初めて読んだけど評価分かれてるんだな
どこぞのくぎゅうを思い出したけど、普通に面白かったわ
魔法再配布が無かったら続編作れてた程度には設定が良かったんじゃない?
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- 2016年08月21日 02:00
- アニメ化はよ
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- 2016年09月25日 05:05
- 内容の薄い話を無理矢理濃くしようとして失敗した感がある。昔の連載漫画でキャラが増えたら作者が話を創作できなくなった、を文章で見せられたみたい。
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- 2016年10月09日 21:22
- 俺的には好き
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- 2016年12月26日 23:39
- なんにも説明せずとりあえず息子を馬鹿呼ばわりする母親がゴミだろ
クズすぎ
そんなんならお前が説明しとけよって思った。
父親も父親だけどな。
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- 2017年06月20日 04:22
- イケメンに恨みがあることだけわかった
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- 2017年07月03日 01:11
- 最近私も魔法使えるようになりました。
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- 2017年07月30日 15:08
- 想像してたのはこうだわ
男「そっち向いて」
相手「は?」首ゴキゴキゴキゴキッ
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- 2020年02月19日 15:44
- これの設定パクってたインターネット小説がコメントで指摘されてたけど無視してコメ削除してたな
今見たらページが見れなくなってたから、運営がBANした模様でなにより
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- 2020年08月19日 22:21
- これで読みづらいってまじか…w