男「朝起きたら知らない女がいる」
- 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 21:12:58.75 ID:0gEOcef8o
男「あれ?」
姉「なぁに?どうしたの?」
男「あぁいや・・・・なんでもない・・・」
姉「なによそれ~じゃあさっきの「あれ?」ってなんだったのよ」
男「いや別に・・・・・気のせいだったよ」
姉「寝ぼけてないで早く下に降りて朝ごはん食べてよ、お姉ちゃん仕事行かなきゃいけないんだから」
男(俺に姉ちゃんなんかいたっけか?)- 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 21:21:14.75 ID:0gEOcef8o
それにしても眠たいな、まるで何年も眠りについてたみたいだ・・・・・
時計に目をやると針が五時を指しているのが見える
そもそもなんで俺はこんな朝早くに起きたんだ?
姉「はいはいちゃっちゃと食べてちゃっちゃっと用意する」
男「あぁ、うん・・・」
姉「あ!すっかり忘れてた」
男「ん~どうしたの?」
姉「あんたが今日期末テストで早く帰ってくるんだよね」
そうか・・・学校・・・・、俺は学生だった
男「あぁ・・そうだよ」
姉「ほら1000円渡すからお昼はこれで適当なの食べな」
男「あい、ごっそさん」
姉「じゃあお姉ちゃんもう出るからね、食器はいつもみたいに食器洗い機に入れといて」
男「はいはい」
姉「じゃ、言ってきます」
男「いってらっしゃい」
- 3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 21:28:59.16 ID:0gEOcef8o
部屋に戻るとハンガーに制服がかけてある
高校か中学か・・・・・いや高校生だったな俺は・・・・
男「いやに寝ぼけてるな・・・今日は」
今日は頭がボーっとしてうまく働かない、体も重い、自分が自分じゃないみたいだ
そうだ、学校に行く前に顔を洗おう、今日は期末だからシャキっとした気持ちで挑まなければ
ジャー、バシャバシャ
顔を洗っていくうちに目が覚めてきたのか意識がハッキリしてきたのがわかる
男「頭がガンガンするまるで昨日酒でも飲んだみたいだ」
そういえば昨日って何したっけ
- 4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 21:32:40.43 ID:0gEOcef8o
すっと前に視線を戻すと鏡に知らない顔が映っている
誰だ?
いや、俺か・・・・俺だ・・・
男「・・・・俺ってこんな顔だったか?」
やけに頬がコケてるな・・・・、それに高校生のわりには老けて見える
男「俺って学生・・・だよな?」
気のせいかもしれないが鏡の中の俺が頷いたように見えた
男「はは・・・・疲れてんだな俺」
- 5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 21:35:08.23 ID:0gEOcef8o
記憶が酷く曖昧だ
こうして毎日通ってるはずの道も見慣れない何かに見える
道もハッキリとは覚えていない、ただ身体が覚えているのか自然と足が動くのだ
そしてここのバス停でバスを待たないといけないのもわかる
男「どうしちゃったんだ俺は・・・」
キキィープシュー
そんなこんなでバスのお出ましか
男(結構人乗ってるな・・・・どっか空いてる席・・・)
?「おーい!こっちこっち!!」
奥の席で誰かが手を振ってる
?「お前の分の席取ってるぞ!早くこいって!」
男(誰だあいつ)
- 6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 21:38:23.83 ID:0gEOcef8o
?「それでさー、昨日、ボーリングで町田の奴が馬鹿やってさ」
男「ちょ、ちょっとストップ」
?「あん?どうした?」
男「俺らって知り合い・・・だっけ?」
?「・・・・・」
男「あー・・・・・悪い・・変なこと聞い・・」
?「だっはっはっはっは!!!」
男「?」
?「面白い冗談だな!おい!くはは、びっくりさせんじゃねーよっ!」
男「え?」
?「・・・え?」
男「・・・・・」
男「ダハハ!!びびってやんのッ!!!おまぇみたいなイガ栗頭忘れたくても忘れねーっつの!!」
?「うぉい!一瞬マジで俺ってそんな空気みたいな奴なのかなーって不安になっちまっただろーがー!」
男「はっはっはっはっは!」
俺はどうやら友人の名前も思い出せないらしい
一体全体俺はどうしちまったんだ・・・・
- 7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 21:46:31.32 ID:0gEOcef8o
?「二限目の物理のテストどうだったよ?」
男「ん~?まぁまぁだな」
?「ッケ!いいよな秀才君は」
男「はぁ?」
?「なんも勉強しなくてもお前みたいなタイプだと一回教科書読んだだけでマスターしちまうんだろ?」
男「あのなぁ、人を超人みたいに言うんじゃねーよ、結果の裏には血が滲むような予習復習がだな」
?「へぇへぇ、もういいっていいって」
男「ったく!ゲーム買う金があったら参考書でも買ったらどうだ?」
?「俺みたいのはな、あぁいうのは買ったら満足しちまうから駄目なんだよ」
男「駄目駄目じゃねぇか」
?「あぁそれよかこれ」
男「なんだこの袋」
?「この前言ってた漫画、持ってきてやったぜ」
男「お前なーこんなん読んでっから・・・」
?「いいからいいから、感想明日聞かせろな?な?」
男「明日って・・・期末は週末までだぞ」
- 8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 21:56:03.33 ID:0gEOcef8o
姉「今日のテストどうだったの?」
男「ん、まぁまぁだったよ」
姉「しっかりしてよねお母さんからあんたの面倒見てくれって頼まれたんだから、勉強も含めて」
男「俺姉ちゃんに勉強教わったことあったっけ?」
姉「あら、中学校の頃あんだけ面倒みてあげたのにもう忘れたの?」
男「あー・・・そうだっけ」
姉「あんたねぇ・・」
テレビ【以前中国とのにらみ合いは続いており首相の・・・】
姉「・・・・そのうち戦争でも起こりそう・・・・嫌ね」
男「起こるよ」
姉「・・・・・なんで言い切れんのよ」
男「いやなんとなくだけど」
姉「なにそれ」
男「俺もよくわかんない、とりあえずごちそうさん」
姉「明日もテストなんでしょ?早く寝なさいよ」
男「はいはい」
- 9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 21:56:48.60 ID:0gEOcef8o
男「この漫画・・・なんか昔読んだ気がするなー」
男「この次ぐらいでこいつ死ぬんじゃないの」
ペラ
男「ほら死んだ、あれー?読んだことはないはずなんだけどなー・・・」
男「あいつに借りた漫画・・・どれも見たことあるようなのばっかりだ・・・」
男「ふん・・・暇つぶしになると思ったけどあんまり面白くなかったな、テレビでも見るか」
ポチ ガヤガヤ
男「・・・・」
ピッピッピッピ
男「どれもこれも見たことあるようなのばっかだな・・・・」
- 10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 21:58:27.11 ID:0gEOcef8o
?「戦争起こったらどうするよ」
男「はぁ?」
?「俺は戦うぜ!、国の為に!家族の為に!ってな!」
男「家族もなにも、お前彼女もいないじゃん」
?「いるっつーの!!この前話したろ!」
男「あれ、そうだっけ?」
?「お前はどうすんだよ戦争始まったら」
男「逃げる」
?「ダッせ」
男「なんとでも言え、どんな形であれ最後まで生きてる奴が勝者なんだよ」
?「なんつーかお前らしぃって言うか、・・・・・・・・それにしても暑いな」
男「いきなり話飛んだな」
?「屋上きたらちったぁ涼しいかた思ったけどそんなことねぇなぁ・・・・」
男「これでヘバってどうすんだよ、暑くなんのはこれからだぞ」
?「しんどい・・・・早く来てくれー!冬ー!!」
男「冬がきたら夏ーっつーんだろ」
?「冬がきたら春ー!だな」
男「秋さんだけハブるってどういう了見だよ」
- 11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:00:16.58 ID:0gEOcef8o
姉「早く起きなさい」
男「ん・・・」
姉「降りてくるとき何か羽織ったほうがいいわよ、寒いから」
男「うお!さむッ!」
姉「今雪降ってるからね、そら寒いわ」
男「雪ッ!?」
ガラガラ
男「ほんとだ・・・・・6月に雪降るなんざ聞いたことないぞ・・・」
姉「まーた寝ぼけてる」
男「え?」
姉「今は12月でしょ」
- 12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:01:24.77 ID:0gEOcef8o
姉「どうしたの?呆けちゃって」
男「え・・・いや」
姉「何か・・」
姉「ナニかオカしいコトデモあっタ?」
男「・・・・・え、いや」
今一瞬、姉の顔が・・・・
姉「・・・ったく、出る前にちゃんと顔洗ってきなさいよ!」
男「あぁ・・・うん」
姉「明日はお父さんもお母さんも帰ってくるんだから、そんなんじゃ二人ともガッカリするわよ」
男「え・・・・父さんと母さんが?」
姉「そうよ、まさか忘れたなんて言わないでよね」
男「いや・・・そこまで寝ぼけてないよ・・・・」
- 13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:03:36.70 ID:0gEOcef8o
?「あぁーあ早く春こねーかなー」
男「まーた言ってら」
?「こう寒くっちゃたまんねーよ」
男「四季を楽しめよ、別の国じゃあ一年中寒かったり暑かったりするんだぜ」
?「一年中春になんねーかなぁー・・・」
男「春だったら秋のがいいな」
?「秋か・・」
男「俺はちょっと寒い方が好きなんだよ」
?「春よりも?」
男「春よか秋だなー」
- 14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:04:15.57 ID:0gEOcef8o
姉「あら、あんたマフラーはまだ早いんじゃない?」
男「結構寒いよ、昨日雪降ってたぐらいだし」
姉「雪?昨日雪なんて降ったの?」
男「はぁ?降ったの一緒に見たろ」
姉「そうだったっけ、まだ10月なのに珍しいわね」
男「10月?」
姉「・・・何?」
男「いや・・・なんでもない・・・」
姉「それより、今日は寄り道しないでまっすぐ帰ってきなさいよ、お父さんとお母さん夕方には着くって言ってたから」
男「あぁ・・・わかった」
- 15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:07:19.22 ID:0gEOcef8o
父「そうかそうか!お前ももう高校生かッ!!ガッハッハ」
母「あなた、飲みすぎですよ」
男「父さん、だから俺酒飲めないって」
父「気にするな!今日はいいんだ!今日は!!」
姉「もー!お父さんここで寝ちゃわないでよ!ちゃんと別の部屋に布団敷いてるんだから」
父「理恵は冷たくなったなぁ」
姉「だってお父さんとお母さん全然帰ってこないんだもんそりゃ子供はグレるわ」
父さんと母さんってこんな顔だったっけか
父「まだ言うか!」 ガッハッハ
母「あらさっきから暗い顔して、何かあったの?」
男「え?いや・・・・なんでもないよ」
父「何かあったら父さんになんでも相談しろよ」
男「うん、わかったよ父さん」
なんだか初めて会った気がする
- 16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:14:46.26 ID:0gEOcef8o
男「相談なんだけどな」
?「なんだよかしこまって」
男「最近実は記憶があやふやなんだよ」
?「っと言うと?」
男「自分であって自分じゃないみたいな、他の人は当たり前のように俺は認知してるけど俺はしてないみたいな」
?「記憶喪失かなんか?」
男「いやそんなんじゃないんだ、感覚的に覚えているんだけど違和感があるみたいな」
?「へぇ・・・」
男「やっぱ病気かなんかなのかな・・・俺って・・・」
?「疲れてんだよお前・・・きっと」
男「最近時間間隔も曖昧で・・・昨日の事が今日だったり、明日のことがわかったり、冬だと思ったら秋だったりもうよくわかんねーんだ・・・」
?「いいから帰って寝ろ?な?、そういう時は一発抜いてスッキリした後グッスリ寝るに限るぜ、俺の秘伝のエロDVD貸してやっから」
男「父さんと母さんが昨日家に来たんだ・・・」
?「よかったじゃねーか、ずっと会いたがってたろ」
男「会いたがってた・・・・そうだな・・・ずっと会いたかったのにな、なんかよくわかんねーけど二人のこともあんまり憶えてなくて」
?「ヨかっタジゃネーか」
男(俺は・・・お前の事もよく憶えてないんだぜ・・・・親友のお前のことも俺は・・・)
- 17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:15:50.81 ID:0gEOcef8o
姉「タンスひっくり返して何やってんのよあんた!」
男「アルバム、どっかアルバムない?」
姉「アルバム?」
男「俺の小さい頃とか、なんでもいい昔の写真!そうだ!中学校の頃のでもいい!卒業写真とかそういうのってない?」
姉「そんなのどうするの?」
男「いやなんか・・・昔の写真が急に見たくなってさ」
ガサガサ
姉「ふぅ~ん」
- 18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:20:15.82 ID:0gEOcef8o
?「で、あったのか?写真」
男「それが一枚もなかったんだよ」
?「なんだそりゃ」
男「おかしいと思わねーか?一枚もないんだぜ一枚も、家丸ごと焼き払うとかでもしない限りそんなことないだろ」
?「今はほらデジタルの時代だからなーノートパソコンに入ってんじゃねーのー?」
男「それも確かめたよ、でも一枚もなかった」
?「そうか」
男「にしてもお前よく俺ん家のPCがノートってわかったな」
?「お前が俺に教えてくれたんじゃねーか忘れたのか?」
男「そうだったっけ・・・」
?「ま!そんな考え込むと毒だぜ、どうだ?学校終わったら息抜きに一緒に本屋でもいかねーか?」
男「息抜きに本屋って意味がわからん、どうせ一人で行っても暇だから一緒に行ってほしいだけだろ」
?「へへ」
- 19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:21:13.89 ID:0gEOcef8o
?「本屋って次の駅で降りるんだっけ」
男「次の次だろ、ここらででかい本屋ってあそこぐらいしかないからな」
【次世代シェルター建造計画、国が全力を挙げあなたたちの安全を保障します】
男「はっ、見ろよあの上に吊ってる広告」
?「どうした?」
男「シェルターだってよ、核戦争が起こったらあんなのに篭っててもどうしようもないっつーのにな」
?「ないよりマシさ」
男「仮に爆発から生き残ったとしてもだぜ、外の世界が無くなっちまってたら意味ねーっつの」
?「そうかなぁ」
男「なんだよ」
?「俺は生きてるだけでめっけもんだと思うぜ?お前もそう言ってたろ」
男「まぁ・・・そうは言ったけどさ、下手に助かって孤独になっちまうのは死ぬより辛いと思うぜ」
?「それには同意だな、・・・お」
ツギハー○○~ツギハー○○デス オオリノカタハ...
?「着いたみたいだぜ」
- 20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:22:51.00 ID:0gEOcef8o
?「えーとヤングジャンプコミックスのコーナーはっと・・・」
男「また漫画かよ」
?「俺が参考書買いにここまで足を運んだと思うのか?」
男「漫画だったらネットで買えばよかったのに」
?「青いなー、こういうのは実際に手にとって購入すんのが醍醐味なんだよなー」
男「そんなもんかなー」
?「あれー見つかんないなー新刊コーナーとかにあんのかなー」
男「それだったら一階にあったぜ」
?「ちょっと行ってくるわ」
男「おう、俺ぁここで待ってるぜ」
男「ん?」
- 21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:30:28.18 ID:0gEOcef8o
男「なんだこれ、画集かなんかかな」
ペラ
男「・・・」
男女が海を背に赤ん坊を抱いている写真が目に入る
写真は粗くピントも上手くあっていないのか若干ぼやけていたが、人目でそれが父と母だとわかった
なんでこれがここにあるだ、これはウチのアルバムか?
しかし一体誰が何の目的で置いたんだ?
辺りをチラッと見渡すが店員どころか人っこ一人いない、胸の動悸が早くなっていくのを感じる
次のページをめくると中学生くらいの姉と一緒に子供の頃の俺(?)が写っている写真があった
心なしか写真に写った姉はムスっとしているように見える
次のページからは、両親の姿が写った写真は一枚も見当たらなかった
最初のこの海を背にした一枚
両親の写真はこれだけだった
そういえばこの前あった時もこの写真と同じ格好、同じ顔だった、微塵も年をとっているようには見えなかった
そうか・・・
男「そうだ・・・・・・」
変わらないはずだ
男「父さんと母さんは俺が小さい頃死んで・・・」
その瞬間誰かが俺のアルバムをパっととりあげる
驚いて振り返ると姉がいた
- 22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:32:44.53 ID:0gEOcef8o
姉「こんなとこで油売ってないで早く降りてきなさい、夕飯が冷めちゃうでしょ」
気がつくと俺は自分の部屋にいた、いつ帰ってきたかなんて憶えてない
でもそんなことはもうどうでもよかった
男「今日の夕飯はなに?」
姉「カレーよ」
男「・・・俺の姉さんは」
姉「?」
男「俺の本当の姉さんは料理が凄い嫌いで、毎日手間のかからない冷凍食品か作り置きのできるカレーばかりだった」
男「俺が高校に上がると姉はほとんど家に帰らなくなって、俺はいつもコンビニ弁当を買って食べてたよ」
姉「話しが見えないわ」
- 23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:38:02.74 ID:0gEOcef8o
男「だから俺が憶えてる姉さんの料理ってカレーしかなかった、そういえばここ最近毎日カレーだったね」
姉「たまには外食する?」
男「姉さんは俺を煙たがってたよ・・・、そう考えたら今目の前にいる姉ちゃんは俺の理想の姉ちゃんだったのかもな」
黙り込む姉の横にもう一人見慣れた顔が見える、友人だ
?「お前疲れてんだよ、ゆっくり寝た方がいいぜ」
男「お前は俺の頭が作り出した理想の友達なんだ、名前が思い出せないはずだ会ったこともないんだから」
?「俺はお前の妄想なんかじゃないぜ」
男「在学中は根暗で黙々と勉強しかしない俺に友達なんかできなかった」
男「強がってたけど、俺は適当にシモネタ言って笑ったり、漫画の貸し借りしたり、一緒に暇つぶししたり、屋上で適当に将来のことを語り合う友達が欲しかったんだ」
?「ここにいるじゃねーか」
男「今思い出したよ、お前の顔どこかで見たことあったと思えば俺が高校に上がってすぐ外で一人で飯食ってたら話しかけてくれた他のクラスの生徒、そいつの顔だ」
?「・・・・名前ぐらいそん時そいつに聞いててくれりゃあ苦労しなかったんだけどな」
男「こんな俺の友達になってくれてありがとな」
?「俺らだったら一生いい友達で行けたと思ったのにな」
男「間違い無く最高の友達でいけたよ」
?「・・・・・そうだな」
- 24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:40:44.64 ID:0gEOcef8o
男「思い出したよ俺」
姉「駄目よ」
男「この世界はとっくに滅んでて俺は今でもシェルターの中にいるんだ」
姉「なんで・・・」
男「もう終わらせてくれないか・・・・これを・・・・・止めてくれ・・・」
?「気づかなければずっとシアわせニ暮らしてイケたのニ」
姉「黙っていれバずっとずっとシアワセだっタのニ」
男「早くシュミレーターを止めてくれッ!!」
- 25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:44:56.36 ID:0gEOcef8o
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
浮遊感、俺は今水の中にいる、延命カプセルの中でいくつものチューブに身体を繋がれている
いつもの光景だ
もう何百年もここにいる
俺の他にも大勢いたが、一人、また一人とカプセルの中で死んでいった
姉もすぐそばにいたが、20年ほど前から反応がなくなったっきりだ
「ナニカ フマンニナルヨウナ ヨウソガ アリマシタカ?」
シェルターを管理する人工知能が俺に語りかける、もう何十年も前から話相手はこいつしか残っていない
男(嘘っぱちの世界にいても虚しいだけだったよ)
「アナタノキオクヲ モトニ コウセイシタ アナタダケ ノ リソウノセカイダッタハズデス」
男(記憶の構成をしっかりしてくんないと、ところどころ穴だらけだったよ)
「ソウダッタノデスカ・・イマスグ プログラムヲサイコウチク シマショウ」
男(いやいい・・・)
- 26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:47:16.92 ID:0gEOcef8o
「デハ 仮想シュミレーター デハ ナク 他ノコトヲシテヒマヲツブシマスカ?」
男(もうわかったんだ、どれだけ時間を費やしても外に出れる日なんてこないことが」
「ケイサン デハ アト 2万4500年 ホドデ ソト ノ ホウシャセンガゲンスイ シ 人間ガ住メルヨウニナルデショウ」
男(まだ500年しか経ってなかったのか)
「ナニヲ シマショウ? デハ マタ 歴史上ノ 人物アテ クイズ ナドシマセンカ?」
男(いやもういいよ)
「デハ仮想シミュレーターノ ヨウイヲ・・・」
男(もう夢を見るのも疲れた)
「デハ・・・」
男(もう死なせてくれないか?)
「・・・・・」
「アナタ ガ イナクナルト ワタシ ハ 一人デス ソレハ トテモ寂シイ」
男(頼むよ・・・他の人と同じように俺の生命維持装置を止めてくれ・・・・)
「・・・」
男(頼む・・・・もう一人ぼっちで生きているのは辛いんだよ)
「ワカリマシタ」
- 27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:48:19.47 ID:0gEOcef8o
――――――――――――――――――――――――――
兄「おら、いつまで寝てんだ」
男「・・・・ん」
兄「今日期末だろうが、飯作ってるからとっとと降りろ」
男「あれ?」
兄「どうした?俺の顔マジマジ見やがって」
男「いや別に・・・」
兄「・・・・・」
兄「ナニカオカシイコトデモ?」
【完】
転載元
男「朝起きたら知らない女がいる」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1401192778/
男「朝起きたら知らない女がいる」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1401192778/
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コメント一覧 (39)
-
- 2014年05月27日 23:52
- オチが微妙…
-
- 2014年05月27日 23:58
- 結局コンピューターが寂しいの嫌だから生かせられたのか。
-
- 2014年05月28日 00:01
- 淡々としてて俺は好き
-
- 2014年05月28日 00:11
- 既視感がぬぐえない
-
- 2014年05月28日 00:14
- 俺は普通に好きだな
普通に一気に全部読めたわ
-
- 2014年05月28日 00:20
- 下手に引き延ばすよりかはよかった、これぐらいあっさり目の方がいいわ
-
- 2014年05月28日 00:23
- 何となくILLUSIONのAGAを思い出した。
-
- 2014年05月28日 01:30
- 時間の交錯で引っ張りすぎ
さんざん引き伸ばしといてオチが弱いから尺稼ぎに見えてしまう
もうちょっと短くまとめたほうがよかったな
-
- 2014年05月28日 01:37
- こういう雰囲気は好きだよ
核シェルターというとどうしても火の鳥を連想するけど
-
- 2014年05月28日 04:37
- なんだ、スッピンが不細工な話かと思って開いたら違った
-
- 2014年05月28日 07:26
- なんとなく手塚治虫っぽい
-
- 2014年05月28日 07:52
- 面白かった
鳥肌たった
-
- 2014年05月28日 09:51
- 水槽の中の脳の見る夢は果たして何なんだろうな
-
- 2014年05月28日 10:00
- なるなる
-
- 2014年05月28日 12:45
- なんかゲームでこんな感じのやつがあったな
-
- 2014年05月28日 13:23
- マトリックス系のシチュエーションか
-
- 2014年05月28日 13:28
- 切ないな
-
- 2014年05月28日 13:51
- vault112思い出した
-
- 2014年05月28日 14:25
- こういったものを見かけて思うことは、やっぱり手塚治虫はすごかったんだなぁと
-
- 2014年05月28日 14:37
- 星新一みたいだな
-
- 2014年05月28日 15:31
- 結構好き。
最後のほうの
?「俺らだったら一生いい友達で行けたと思ったのにな」
とかは機械自身の気持ちだよな、と考えると切なくなるな。
-
- 2014年05月28日 17:28
- 好き
-
- 2014年05月28日 19:08
- ありふれたネタなんだけど
この手の話は好きだ
男よりも寂しいコンピュータのことが気になってしまうのって変かな
-
- 2014年05月28日 21:37
- 「シュミレーター」じゃなくて「シミュレーターsimulator」な。
-
- 2014年05月28日 23:01
- よかった!
-
- 2014年05月29日 12:48
- SSでこういうのは割と珍しい
山ナシだけれど、こういう淡々とした内容で、かつ安定した文章だと気分が良いわ
-
- 2014年05月29日 15:27
- オチがありきたりだな
いっそ記憶喪失だけど、本人が誤魔化して周りが気づいてないとかのが面白かったかも
-
- 2014年05月30日 02:03
- 面白かった
他にも出てるけど手塚治虫を思い出したよ
-
- 2014年05月30日 10:29
- 俺は....このSSを読んだことがあるような
-
- 2014年05月30日 21:28
- ※30
お前疲れてんだよ、寝たら元通りになるカラ
-
- 2014年06月01日 21:53
- 暇つぶしには面白かったよ
-
- 2014年06月08日 17:21
- オチはベタだけど嫌いじゃない
-
- 2015年08月31日 01:56
- ゼーガペイン
-
- 2015年11月12日 02:42
- まったくどいつもこいつもたかがSSに何を求めているんだか…
普通に面白かったぞ
-
- 2016年03月04日 19:00
- 楽しめたよ!
-
- 2017年04月15日 18:42
- ふつうに面白かった。
不満いってるやつはなにが不満なんだか
-
- 2017年04月15日 18:43
- やっぱここのコメ欄ほんとくそだわ
全員埋まれ
-
- 2017年08月01日 01:01
-
オレは好き こういうの
読者に不安を感じさせていくプロセスが良い
駄作