刃牙「俺と親父と兄さんと梢江でちゃぶ台を囲むことになった」

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 01:23:40.40 ID:JBMN/Jej0

─ 刃牙の家 ─



刃牙(いやァ……)

刃牙(やってみなきゃワカらない、なんて言葉があるけど──)

刃牙(まさしくあれは真実だったんだな)

刃牙(正直いって、“やってみた”俺自身がまだ信じ切れてないんだから)

刃牙(半ばダメ元で、三人を誘ってみたけど……)

刃牙(まさか実現するとはね……)

刃牙(俺と親父と兄さんと梢江で、食事をすることになるなんて……ッッ)



5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 01:28:35.70 ID:JBMN/Jej0

刃牙「お待たせ……ようやく食事ができたよ」

梢江「三人ともさっき来たところよ」

梢江「前もっていってくれれば、私も手伝ったのにさ……」

刃牙「イヤ、いいんだよ……今日は梢江もお客なんだから」

ジャック「…………」

勇次郎「…………」

刃牙(うおッ!)

刃牙(なんて重たい空気……ッ! なんか喋れよ……梢江、可哀想じゃん……)



8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 01:32:14.35 ID:JBMN/Jej0

刃牙(ご飯に味噌汁……キャベツの千切り……焼き魚(サンマ)……)

刃牙(ど真ん中には生姜焼き……)

刃牙「ま、親父や兄さんにはチト物足りない量かもしれないけど……」

刃牙「あいにくこのちゃぶ台、小さいしさ……」

刃牙「もし足りなかったら、あとは各自で夜食でもどうぞ……ってことで」

シ~ン……

刃牙「…………ッッ」ゴクッ…

刃牙「じゃ、いただきまァ~す」

梢江「いただきます」

ジャック「ああ……」

勇次郎「…………」ペコッ…



10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 01:36:28.43 ID:JBMN/Jej0

モニュ…… モグ…… ズル…… ソボ…… モニュ……

サクッ…… モニュ…… ゴクッ…… ズズ…… ゴキュッ……

刃牙(~~~~~~~~~~ッッッ)

刃牙(会話……ゼロ! メシだけがただただ減っていく……)

刃牙(気まずい……)

刃牙(ある意味、バチバチやり合ってる時よりもずっと苦痛だ……ッッ)

刃牙(ここはこの団らんの主催として──)

刃牙(俺が──)

刃牙(この俺が何とかしなければッッッ!)



13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 01:39:36.29 ID:JBMN/Jej0

刃牙「…………」コホン…

刃牙「兄さん……味はどうかな……?」

ジャック「ウマい……」モニュ…

刃牙「ア、アリガト……」

刃牙「…………」

刃牙「親父……どう?」

勇次郎「うむ……」ズズ…

刃牙「“ウマかった”と取っちまうぜ……?」

勇次郎「好きにしろ」

刃牙「ハハ、ハ……」

刃牙(終わっちまった!!!)



16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 01:44:48.02 ID:JBMN/Jej0

刃牙「梢江……どうかな?」

梢江「うん……オイシイ」モグ…

梢江「私が手伝ってたら、かえって足手まといになってたかも」

刃牙「ンなことないってェ~」

刃牙「今度は梢江の手料理を、二人に振舞ってやりなよ」



他愛ない恋人同士の会話であった。

しかし、今刃牙の心の中はというと──



18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 01:47:50.36 ID:JBMN/Jej0

刃牙(俺は──逃亡(にげ)たッッッ!)

刃牙(親子喧嘩を通じて多少は心が通じたとはいえ、まだまだ高い壁である親父と)

刃牙(親父以上に肉親らしい会話なんて交わしたことはなかった兄さん──)

刃牙(俺はこの二人から逃げ、気心の知れた梢江へと避難したッッッ!)

刃牙(なんという卑怯さ……ッッ)

刃牙(なんという醜態……ッッ)

刃牙(この四人で親交を深めたいと、一家団らんを呼びかけたのは俺なのに──)

刃牙(その義務を放棄し、安易な安らぎを追い求めてしまった!)

刃牙(ダメだ! このままじゃダメだッッッ!)



21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 01:51:14.34 ID:JBMN/Jej0

刃牙(俺が……ッッ)

梢江「あの……ジャック、さん……」

ジャック「ン……?」

刃牙(梢江!?)

梢江「もしかして……まだドーピング、やってるんですか?」

ジャック「ああ……やっている」

刃牙(梢江……なんという勇気! 俺以上に兄さんとは接点がないのに……ッッ)



22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 01:55:27.72 ID:JBMN/Jej0

梢江「たとえ明日を捨てても強くなりたい……っていう、ジャックさんの生き方……」

梢江「だれにも否定することはできません」

梢江「でも……どうかご自愛下さい」

梢江「あなたが死んでしまったら、悲しむ人が大勢いるのだから……」

ジャック「…………」

ジャック「優しいんだな、キミは……」

ジャック「あの東京ドーム地下闘技場で行われたトーナメントでもそうだった」

ジャック「キミは……ステキな女性だ」



23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 01:58:36.38 ID:JBMN/Jej0

弟である刃牙ですら、わずか一言しか引き出せなかったジャックから、

より多くの言葉を引き出した。

しかも、ごく自然(ナチュラル)に──

刃牙(梢江……)

刃牙(梢江ッッッ!)

刃牙(やっぱ君ってサイコーの女だ!)

ジャック「だが……俺は継続(つづ)けるしかないんだ。強くなりたいからな」

梢江「ジャックさん……」



26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 02:03:33.92 ID:JBMN/Jej0

勇次郎「フン……」

刃牙「!」ビクッ

勇次郎「血が薄いから、ステロイドなどに頼らざるをえなくなる」

勇次郎「不甲斐ないにも程がある」

刃牙(お、親父……ッッ! ここにきて……ッッッ!)

刃牙(兄さんにとってはキツイ言葉だろう……)チラッ

ジャック「そう……父よ」

ジャック「たしかに俺は出来がワルい」

ジャック「日に二度敗れるバカ……そのバカを二度もやったのだからな……」

ジャック「だが──」グニャア…

刃牙(兄さんの空気が変わった!)

刃牙(まさか、ここで闘争(ファイト)!?)



28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 02:06:39.56 ID:JBMN/Jej0

ジャック「俺にはああするしかない」

ジャック「どんなになじられても、ああするしかないんだ」

ジャック「父よ……俺だってやれるんだ……ッッ」

刃牙(や、やる気!?)

刃牙(どうする!?)

刃牙(止めるか──イヤ、外に出てもらうか!? 家、壊れちゃうし──)

刃牙(イヤイヤ、それより梢江の安全を確保するのが先だろうがッ!)

刃牙(なに自分のことばかり考えてやがる、俺はッ!)

勇次郎「ふむ……」



30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 02:10:26.61 ID:JBMN/Jej0

勇次郎「強さを追い求めるという行為──これは料理にも似る」

勇次郎「より美味なる食材を集め──」

勇次郎「より美味なるタイミングでかけ合わせ──」

勇次郎「より美味なるスピードで仕上げる」

勇次郎「しかし、これだけは足らぬ」

勇次郎「味の追求には、視野の広さも欠かせぬ」

勇次郎「あえて未体験の食材を、使用(つか)ってみる……」

勇次郎「あえて未経験の調理法を、試行(ため)してみる……」

勇次郎「ウマイかマズイか二の次だ。そのハートこそが偉大なのだ」

勇次郎「効率だけではない。あらゆるものを受け入れる度量の深さこそが肝要なのだ」



33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 02:14:04.93 ID:JBMN/Jej0

勇次郎「ゆえにキサマも、俺や刃牙に並びたいというのなら──」

勇次郎「キサマが使用(つか)っている薬物の味を楽しむぐらいの度量を身につけろ」

勇次郎「そうすれば、多少はマシになるやもしれぬ」

勇次郎「もっとも……なったらなったで喰らうまでだがな」

ジャック「…………」

ジャック「父よ……アリガトウ」

勇次郎「フン」

刃牙(オオ……ッ!)

刃牙(兄さんと親父が……マトモな会話を……!)

刃牙(なんだか俺まで嬉しくなってきちまった!)



38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 02:19:52.18 ID:JBMN/Jej0

梢江「ところで……」

梢江「勇次郎さんの好物って、なんですか?」

勇次郎「好物か……」

勇次郎「色々あるが……最近ではメフンがウマかったな」

ジャック「メフンというのはなんだ?」

勇次郎「メフンも知らねェとは……」

勇次郎「やはりおめェには、未体験に手を出す度量が足りねェらしい」

ジャック「面目ない……」

勇次郎「メフンってのは、鮭の内臓の塩辛だ」

ジャック「鮭(サーモン)か……覚えておく」



40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 02:22:25.99 ID:JBMN/Jej0

梢江「私もメフンって、テレビで見たことしかないんですけど──」

梢江「いったいどんな味なんですか?」

勇次郎「まァ……こういうのは口で説明するもんでもねェが……」

勇次郎「メフンは古来より珍味として珍重されている」

勇次郎「塩味がきいており、とろりとした舌触りと濃厚な味わいを存分に楽しめる」

勇次郎「一言でいや、鮭の持つ生命力を凝縮した一品……ってとこか」

梢江「へぇ~」

ジャック「ホウ……」



42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 02:25:31.33 ID:JBMN/Jej0

ジャック「そこらで食えるものじゃ、なさそうだな」

勇次郎「うむ……」

勇次郎「最近じゃ、スーパーなどでも購入できるが」

勇次郎「やはりメフンの神髄を味わいたくば、ホンモノでなくてはな」

梢江「ホンモノって……例えばどこへ行けばいいんですか?」

勇次郎「メフンは北海道の郷土料理だ」

勇次郎「だから北に行くか……あるいは光成に頼むのもアリかもな」

勇次郎「なんなら……ハナシをつけてやってもいい」

梢江「本当ですか? ぜひお願いします!」



44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 02:28:34.86 ID:JBMN/Jej0

ジャック「父は……グルメなんだな」

勇次郎「食通を気取るつもりはねェが──」

勇次郎「闘争も食事も……どうせ喰らうならウマイもんに限るからな」

梢江「そういえば、バキ君に作ってたお味噌汁もおみごとでした」

勇次郎「フン……」ムス…



刃牙(嗚呼……親父たちが普通の会話をしている……)

刃牙は感動していた。

父と兄と恋人が、仲むつまじく会話をしているのが嬉しかった。



しかし、同時に──もう一つの感情をも覚えていた。



47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 02:33:13.86 ID:JBMN/Jej0

刃牙(なんだろ……この微妙なイラ立ちは……)

刃牙(俺でさえ、親父と真っ当な会話をするのにはかなりの時間を要した……)

刃牙(出会うたびに殴りかかり、ブッ飛ばされ──そんな関係だった)

刃牙(なのに、俺より親父と関わった時間が圧倒的に少ないこの二人が──)

刃牙(すでに普通の会話をしている!)

刃牙(てゆーか、メフンってなんだよ! 俺には話してくれたことないじゃんッッッ!)



50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 02:36:34.84 ID:JBMN/Jej0

刃牙「!」ハッ

刃牙(まさか……嫉妬(ジェラシー)!?)

刃牙(俺は親交を深めるためにこの三人を誘っておいて、いざ親交が深まったら)

刃牙(嫉妬してしまっているのか!?)

刃牙(バカなッッッ!)

刃牙(俺は今日、引き立て役で終わっていいと心に誓っていたハズだ!)

刃牙(なのに……ッッ)



52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 02:40:48.14 ID:JBMN/Jej0

刃牙(イヤ……たしかにそうだ)



勇次郎「~~~~~~~~~~」

ジャック「~~~~~~」

梢江「~~~~」

勇次郎「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」

梢江「~~~~~~~~~~~~~~~~」

ジャック「~~~~~~~~~~」



刃牙(さっきから、会話が全然頭に入ってこない。つーか、三人とも俺を見てない……)

刃牙(俺だけ……蚊帳の外……ッッ)



55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 02:45:31.73 ID:JBMN/Jej0

刃牙(こんな……こんなことがあっていいのか!?)

刃牙(今日、この四人で食事しようって提案したのは俺なのに……)

刃牙(俺を差し置いて……イチャイチャしやがって……ッッ)



刃牙は時として、自分にウソをつく。

子供の頃は、オモチャを買ってもらうとすぐに興味なさそうに隠れてしまった。

ピクルの存在を知った時も、そうであった。

本当はピクルに惚れていたのに、興味がないとウソをついていた。



56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 02:48:33.97 ID:JBMN/Jej0

他の三人が楽しんでいるのなら──自分は蚊帳の外でもいい。

自分は主役じゃなくていい。

引き立て役で、脇役でかまわない。

こう誓ったはずの刃牙であったが、これらは全てウソであった。

本当は──真実(ホントウ)は、範馬刃牙がこの食卓の中心でいたい!!!

そして──

自分につき続けたウソは──ストレスへと変化(かわ)り、爆発するッッッ!



64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 02:51:36.65 ID:JBMN/Jej0

バンッ!

三人を振り向かせるため、ちゃぶ台に平手を叩きつける刃牙。



勇次郎「!」ピク…

ジャック「!」

梢江「!」ビクッ



一斉に己に振り向いた三人を見て、刃牙はすぐさま冷静さを取り戻した。

刃牙(バカッ……!)

刃牙(俺はなんてことを……ッッ)



67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 02:55:07.61 ID:JBMN/Jej0

勇次郎「なんだ」

ジャック「どうした……バキ?」

梢江「どうしたの? ビックリしちゃった……」

刃牙「いやァ~あの……えぇ~っと……」



何一つプランを立てていないのに、

嫉妬(ジェラシー)のままに行動し、三人の注目を浴びてしまった刃牙。

その刃牙の目に入ったのは──



70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 02:57:42.84 ID:JBMN/Jej0

刃牙(サンマ……!)

刃牙(俺が焼いた……みんなで食べた……サンマ……!)

刃牙「…………」ゴクッ…



思いついてしまったからには──言うしかない!

もう後戻りはできない!

今の刃牙の心境は、道を間違え、

誤って高速道路に入ってしまったマヌケなドライバーの心境にも似て……ッッ



71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 02:58:58.96 ID:788Jq+UL0

サンマwwwww



72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 03:00:54.39 ID:JBMN/Jej0

刃牙「今日、俺たちサンマを食べたけどさ……」

刃牙「今ここに、俺と親父とジャック兄さんがいるじゃん……」

刃牙「範馬が三人で……サンマ……なんちって」ボソッ…

刃牙(言っちまったァ!)

シ~ン……

刃牙(恥ずかしいッッッ!)



視界に映ったサンマから、ふと連想してしまった一発ギャグ──

ハッキリいってしまえば、意味不明である。

しかし、少年は言うしかなかった。



73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 03:01:31.99 ID:n3P9geAz0

エフッエフッw



78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 03:04:36.83 ID:JBMN/Jej0

ジャック「バキ……」

ジャック「なかなか面白かったぞ」

梢江「……フフッ」

刃牙(気遣われたッッッ!)



ジャック・ハンマーのジャックらしからぬ気遣い──

松本梢江の梢江らしい気遣い──

これを刃牙はあえて素直に受け止めた。



刃牙(アリガトウ……二人とも……)



82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 03:08:53.10 ID:JBMN/Jej0

しかし──

勇次郎「クスッ」

刃牙「!?」ギクッ

勇次郎「クスクスクスクスクス……」

勇次郎「見え透いてるぜ……刃牙よ」

勇次郎「オマエを置いてきぼりに、談笑する父と兄と恋人に」

勇次郎「嫉妬(ジェラシー)を覚え……」

勇次郎「プランも立たぬのに、テーブルを叩いて気をひいたものの──」

勇次郎「なにを話していいかすらワカらず」

勇次郎「勢いに任せ、咄嗟に苦笑モノのジョークをかましちまった……ってとこか」

刃牙「~~~~~~~~~~ッッッ!」



84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 03:10:03.61 ID:WdpM2Sn+0

さすが勇次郎



87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 03:11:23.83 ID:JBMN/Jej0

勇次郎「エフッ」

勇次郎「エフッ、エフッ、エフッ!」

勇次郎「アハハハハハハハハハハハッッッ!!!」

勇次郎「アハハハハハハハハハハハハハハハハッッッ!!!」

ジャック(なんという……なんというサディストッ!)

梢江(ひどい……)



刃牙「…………」



88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 03:14:17.35 ID:JBMN/Jej0

範馬刃牙、18歳──

地上最強の父を手こずらせ、地上最強を差し出されるほどの雄(おとこ)ではあるが、

今の彼は──彼に憧れる鮎川ルミナ少年よりも縮小(ちい)さくなっていた。



刃牙(もう俺……黙ってよう)

この後、刃牙が食事終了までに発した台詞は「ごちそうさま」のみであった。



89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 03:19:24.47 ID:JBMN/Jej0

食事が終わり──

梢江「今日はごちそうさま!」

梢江「じゃあまた明日、学校でね!」

梢江「今度は私が料理、作るからね!」

刃牙「ああ、楽しみにしてるよ」

刃牙(梢江……君がいなきゃ、今日はどうなっていたことか……)

刃牙は改めて、梢江がイイ女だと理解していた。



92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 03:23:41.37 ID:JBMN/Jej0

ジャック「バキ……」

刃牙「兄さん!」

ジャック「今日は感謝している……」

刃牙「こっちこそ……来てくれてありがとう」

ジャック「だが俺たちは……いずれはやり合わねばならない」

刃牙「うん……ワカってる」

刃牙(だって俺たちは……格闘技やってんだもん……)

全く振り返らずに立ち去るジャック。

刃牙には、その兄の姿が誇らしかった。



95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 03:27:46.52 ID:JBMN/Jej0

勇次郎「フン……」ザッ…

刃牙「親父……どうだった?」

勇次郎「……こんなことはもう二度とねェぞ」

刃牙(二度とない、か……そりゃそうか……)

勇次郎「あんな小さなちゃぶ台を四人で囲むなんざ……狭苦しいったらねェ」

勇次郎「こんなことは二度もやるもんじゃねェ」

勇次郎「次は……もっとでかいテーブルを用意しておけ」

刃牙「ハハ……ワカったよ、親父!」





                                   < 完 >



97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 03:29:03.40 ID:+lec8mFL0

乙 面白かった



103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 03:46:12.21 ID:2W9y55zX0

シュールだな



111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 05:34:56.08 ID:gSPkolh50

面白かったぞ



転載元
刃牙「俺と親父と兄さんと梢江でちゃぶ台を囲むことになった」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1388247820/
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         コメント一覧 (40)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 09:24
          • 最近バキSSが増えてバキファンの俺歓喜
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 09:45
          • バキなのにほのぼのっていいな
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 09:45
          • 刃牙ssにハズレはない
            ところで刃牙タグが新しく出来たね
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 09:48
          • ジャック兄さんがハブられてなくてよかった…
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 09:54
          • 範馬の三人が一堂に揃う場面が原作でもほしかった
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 09:57
          • なにこのほのぼの感、素敵

            あと連載再開おめ
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 10:09
          • 板垣にこの話を提供して欲しいw
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 10:13
          • やっぱこずえちゃん最強やわww
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 10:22
          • 最高!
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 10:25
          • 絵からコマ割りまでイメージするのだ
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 10:46
          • 刃牙の母親の遺影とジャックのママが同席してたらさらに重苦しかったろうな
          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 11:07
          • 5 常に福本空間みたくグニャグニャしてそう
          • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 11:38
          • おう!早く4Pしろよ!!!
          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 12:06
          • バキというかカイジっぽかったな
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 13:32
          • いいねえ。面白かったよ
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 13:39
          • 軽い圧迫面接風味。恐ろしい威圧度
            しかしチャンピオン、リアルシャドーはどうしたッッ!! 会話を想定しろよッッ!!

            ※11
            俺も遺影に挨拶するのかと思って胃がキリキリした
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 13:40
          • なんつうか完全に絵が見えたわ
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 13:50
          • 本当に描きそうだから困るwww
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 14:12
          • 5 エフッエフッ
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 14:26
          • 勇次郎ってけっこう博識だから神経さかなでなかったらけっこう色んな話し聞けそうだよな
          • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 14:37
          • 会話に詰まった時の緊張感…ッッ
            座っていられなくなるッッ!
            まるで闘いッッ!
          • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 16:52
          • 炬燵で鍋をつつく四人!締めの炭水化物でもめる三人!こうですかわかりません
          • 23. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 19:19
          • 綺麗に終わったw
          • 24. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 21:31
          • ※20
            バキとの食卓辺りからスーパー教養人であることが判明したからな
            初期は死刑囚達すら霞むほどの極悪人だったのにwww
          • 25. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 22:20
          • ※24
            独歩戦の前もホテルできちんとナイフとフォーク使って食事してたしマナー自体は昔からあった
          • 26. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 22:41
          • 良かった!
          • 27. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 22:59
          • エフッエフッエフッww
            ジャック兄さんも一緒のパターンは初めて読んだな
          • 28. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 23:31
          • ※24
            嫌味か貴様ッッ!!
          • 29. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 23:31
          • 素晴らしい
          • 30. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月29日 23:53
          • 紅葉戦でも医学かじってる発言あったな
          • 31. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月30日 03:14

          • スッキリしたいい終わり方だった バキェ・・・
          • 32. MCC
          • 2013年12月30日 10:09
          • 5 綺麗な終わり方!団欒って良いね~
          • 33. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2013年12月30日 10:47
          • 野生の久米田に続いて野生の板垣も発見されてしまったのか
          • 34. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年01月01日 04:32
          • なんだろ、胃がキリキリする
            すげえ面白かったけど読んでたらなんか喉が渇いた
          • 35. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年01月01日 23:17
          • ジャック以外にも兄弟いそうな感じだったけれど
          • 36. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2014年01月02日 22:47
          • なんで刃牙SSってこうもアットホームものが合うんだwww
          • 37. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2015年07月12日 16:47
          • サンマ(キリッ だっておっwww
          • 38. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年01月10日 00:01
          • あの山盛りのキャベツを見て以来、ゴーゴーカレーでキャベツをおかわりするようになったわw
          • 39. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年02月18日 11:41
          • ジャック兄さんがまっとうに扱われていて嬉しい
            今や本部の噛ませ犬よ…(涙)
          • 40. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2016年05月05日 23:32
          • エフっエフッwww

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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