綾波「碇司令。携帯電話を買ってください」
- 2012年11月28日 00:30
- SS、新世紀エヴァンゲリオン
- 36 コメント
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- 7: 忍法帖【Lv=2,xxxP】(1+0:15) :2012/11/27(火) 18:42:03.49 ID:3n4jki2OP
ゲンドウ「……断る」
綾波「……分かりました」
冬月「待ちなさい、レイ。……碇、お前もだ」
- 11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 18:44:43.82 ID:3n4jki2OP
ゲンドウ「……なんだ」
冬月「なぜ、即座に断る。レイ、お前も諦めが早すぎる」
綾波「……」
ゲンドウ「しかし」
冬月「まぁ待て。まずはレイの言い分を聞いてからでもいいのではないか」
ゲンドウ「……」
冬月「良き上司とは、部下の言うことに耳を傾けるものだ」
ゲンドウ「……」
冬月「これはなにも上司と部下の関係に限ったことではなく、親と子でもだな」
ゲンドウ「……よかろう、レイ、お前の話を聞こう」
冬月「うむ」
- 15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 18:48:08.08 ID:3n4jki2OP
綾波「……」
冬月「レイ、なぜ携帯電話を欲しいと思ったのか、正直に話してみなさい」
綾波「……」
綾波「……みんなが、持っているから」
ゲンドウ「……理由が弱いな」
冬月「ふむ……まぁそれはたしかに」
綾波「……」
冬月「その、みんなとは、具体的に言うと誰なのだ」
綾波「……」
綾波「クラスの人、NERVの人、弐号機の人」
- 16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 18:50:16.84 ID:3n4jki2OP
綾波「……それと」
冬月「それと?」
綾波「……碇、君が」
冬月「……」
綾波「……」
ゲンドウ「……」
冬月「なるほど」
ゲンドウ「却下だ」
冬月「待て、碇」
綾波「わかりました」
冬月「レイ、お前もだ」
- 18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 18:52:35.42 ID:3n4jki2OP
冬月「本当に欲しいと思ったのなら、ちゃんと主張しなさい」
綾波「……」
冬月「……碇」
ゲンドウ「……なんだ」
冬月「今度は、お前がなぜレイの希望を無下にするのかを聞こうか」
ゲンドウ「……」
冬月「……」
ゲンドウ「……」
冬月「碇」
ゲンドウ「……中学生、だからだ」
- 19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 18:54:02.97 ID:O9odUWLJ0
心配性のパパwww
- 20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 18:54:46.90 ID:3n4jki2OP
冬月「ふむ……しかし、クラスメイトは皆、持っているのだろう?」
綾波「はい」
冬月「碇、お前の息子だって持っている」
ゲンドウ「……」
冬月「時代は今、そういうものなのだよ。中学生だから、というのは理由にならんな」
ゲンドウ「……」
綾波「……」
ゲンドウ「……よそはよそ、うちはうち……」
冬月「碇」
ゲンドウ「……」
冬月「……」
ゲンドウ「……写真を、撮るだろう」
冬月「写真?」
- 22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 18:58:04.35 ID:3n4jki2OP
冬月「写メール、というやつか。別にいいだろう、それくらい」
ゲンドウ「……普通のものではない」
冬月「普通のものではない写メールとはなんだ」
ゲンドウ「……」
冬月「……」
ゲンドウ「……いかがわしいものだ」
冬月「なるほど、自画撮りの猥褻画像の心配をしているのか」
ゲンドウ「ああ」
綾波「……」
- 23: 忍法帖【Lv=39,xxxPT】(1+0:15) :2012/11/27(火) 18:58:29.23 ID:lMUAIxWJ0
ワロタ
- 24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 18:59:00.13 ID:u0P8lGIh0
このロリコン親父が!!
- 25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:00:14.50 ID:3n4jki2OP
冬月「しかしだな。レイがそのような画像を撮ると思うか?」
ゲンドウ「……若気の至り、というものもある」
冬月「なるほど。レイ、そのようなことはしないと誓えるか」
綾波「……」
冬月「レイ?」
綾波「自画撮りの猥褻画像、とはなんですか」
冬月「……」
綾波「……」
冬月「自らの裸体を、携帯電話に付属されたカメラで収めることだ」
綾波「……」
冬月「レイ?」
- 27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:02:30.92 ID:3n4jki2OP
綾波「その行為によって、私はなんらかの利益を得ることがありますか」
冬月「……お前は知らんが、性的興奮を覚える輩はいるようだな」
綾波「……」
冬月「……」
綾波「私は、自画撮りの猥褻画像を、携帯電話に付属されたカメラで収めないことを誓えます」
冬月「だそうだが?」
ゲンドウ「……レイにその気はなくても、周囲の人間は分からない」
冬月「周囲の人間……?」
ゲンドウ「……猥褻画像を送れ、と懇願してくる人間がいるかもしれない」
冬月「いないだろう。それにレイはお前の息子と……」
- 28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:04:42.76 ID:3n4jki2OP
冬月「……」
ゲンドウ「……」
冬月「まさか、碇。お前、ユイ君に―――」
ゲンドウ「レイ」
綾波「はい」
ゲンドウ「携帯電話の購入を許可しよう」
綾波「ありがとうございます」
ゲンドウ「職員の者を手配する。ショップへ同行させろ」
綾波「わかりました。失礼します」
- 34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:06:55.99 ID:3n4jki2OP
冬月「……」
ゲンドウ「……」
冬月「なぜ突然、購入を許可した」
ゲンドウ「……メリットがあると考えたからだ」
冬月「というと?」
ゲンドウ「定時連絡、緊急連絡時の使用。GPSによる場所把握などだ」
冬月「なるほど。それ故に携帯電話を持たせる親も多いと聞くから納得だ」
ゲンドウ「ああ……」
- 38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:09:09.43 ID:3n4jki2OP
冬月「碇」
ゲンドウ「……なんだ」
冬月「その理由でレイに購入を許可したと、神に誓って言えるか?」
ゲンドウ「……」
冬月「もしやと思うが、話を終わらせるために慌てて」
ゲンドウ「―――私は神など認めない」
冬月「……」
ゲンドウ「……」
冬月「そうだったな」
ゲンドウ「ああ」
- 41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:11:16.92 ID:3n4jki2OP
綾波「碇君」
シンジ「綾波、どうかしたの?」
綾波「……NERVに行くのね」
シンジ「うん。テストがあるから。綾波もだよね」
綾波「ええ」
シンジ「それじゃ、一緒に行こうか」
綾波「ええ」
綾波「……」
シンジ「……」
- 43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:13:24.22 ID:3n4jki2OP
シンジ「でも、珍しいね」
綾波「……?」
シンジ「あっ、ほら、綾波の方からさ、話しかけてきてくれるの」
綾波「……」
シンジ「用がある時は違うけど、こういう時にって、あんまりなかったから」
綾波「……迷惑?」
シンジ「ううん! そんなことないよ! むしろ嬉しいっていうか、その」
綾波「……」
シンジ「うん……その、嬉しかったんだ」
綾波「……そう」
- 44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:15:47.42 ID:3n4jki2OP
綾波「……」
シンジ「……」
綾波「……」
シンジ「……」
綾波「碇君―――」
シンジ「綾波は―――」
綾波「……ごめんなさい」
シンジ「う、ううん! こっちこそ、ごめん……」
綾波「……」
シンジ「……」
- 48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:18:29.34 ID:3n4jki2OP
シンジ「……それで、なんだったの?」
綾波「え?」
シンジ「いや、ほら、なにか言いかけてたから」
綾波「……」
シンジ「……?」
綾波「……碇君は、なんて言おうとしたの?」
シンジ「え、僕?」
綾波「……」
シンジ「僕は、くだらないことだよ。他愛ないこと」
綾波「……」
シンジ「だからさ、綾波の話を聞かせてよ」
- 49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:20:38.28 ID:3n4jki2OP
綾波「……駄目」
シンジ「え?」
綾波「くだらないことでも、いいの。話を聞かせて」
シンジ「綾波……」
綾波「……駄目?」
シンジ「そんなことないよ、でも、本当に大した話じゃなくてさ」
綾波「……」
シンジ「セカンドインパクトでさ、日本の気候は夏だけになったでしょ」
綾波「ええ」
シンジ「もしも冬があったなら、綾波は……なんていうか、とても、その、冬に似合いそうだなって思ったんだ」
- 50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:22:41.09 ID:3n4jki2OP
綾波「私は、冬に似合う?」
シンジ「うん。本当に、なんとなくそう思っただけなんだけど」
綾波「……」
シンジ「ごめんね、変な話しちゃって」
綾波「いいえ。碇君の話、もっと聞きたいわ」
シンジ「……そうなの?」
綾波「ええ」
シンジ「そっか……」
綾波「……」
- 52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:24:44.13 ID:3n4jki2OP
シンジ「それで、綾波はなんの話だったの?」
綾波「……」
シンジ「……綾波?」
綾波「……」
シンジ「……」
綾波「……携帯」
シンジ「え?」
綾波「携帯電話を買ったの」
シンジ「へぇ、そうなんだ」
綾波「……」
- 53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:26:48.73 ID:3n4jki2OP
シンジ「どういうのを買ったの?」
綾波「……これ」ゴソゴソ
シンジ「わっ、凄いや。最新のやつだね」
綾波「……そうなの?」
シンジ「うん、ほら、僕のやつはだいぶ古いんだ。数年前のやつだから」
綾波「……そう」
シンジ「でも、綾波が携帯電話を持つって、ちょっと意外だな」
綾波「……」
シンジ「あ、なんか失礼だったね。ごめん」
綾波「いいえ」
- 54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:28:59.26 ID:3n4jki2OP
シンジ「でも、どうして携帯電話を買ったの?」
綾波「……」
シンジ「……」
綾波「……」
シンジ「綾波?」
綾波「……定時連絡」
シンジ「定時連絡?」
綾波「定時連絡をするために」
シンジ「そうなんだ。でも、定時には家に戻ってるから家電でいいんじゃないの?」
綾波「……緊急連絡も、出来るから」
シンジ「そっか。父さんたちも心配性だなぁ」
- 55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:31:27.21 ID:3n4jki2OP
綾波「……」
冬月『レイ、お前はもしかして碇の息子のために携帯電話が欲しいのか』
綾波『……』
冬月『安心しろ。碇にはなにも言わん』
綾波『……クラスの人が、携帯電話を使って連絡を取っていると』
冬月『電話や、メールなどだな』
綾波『親密な人は、そうすると』
冬月『ふむ、まぁ今時の若いものなら当たり前のコミュニケーションだろうな』
綾波『だから、私も……』
冬月『なるほど』
- 58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:33:55.00 ID:3n4jki2OP
綾波「……」
冬月『好きにするといい』
綾波『はい、しかし……』
冬月『なんだ?』
綾波『私は、碇君の連絡先を知りません』
冬月『それは問題ない』
綾波『なぜですか』
冬月『碇の息子も、お前のことを憎からず思っている。携帯電話を買ったといえば、碇の息子の方から尋ねてくるだろう』
綾波『……』
綾波『……』
- 60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:36:11.63 ID:3n4jki2OP
シンジ「でも、そうだね。携帯電話は便利だもんね」
綾波「……」
シンジ「最初はとっつきにくいところもあるかもしれないけど、すぐに生活の必需品になるよ」
綾波「……」
シンジ「僕も、最初は持ち歩くのも煩わしいとさえ思っていたんだけど」
綾波「……」
シンジ「今では、ないと不安になるくらいだよ」
綾波「……」
シンジ「……綾波?」
綾波「碇君」
シンジ「うん」
綾波「私、携帯電話を買ったの」
シンジ「…………うん、知ってるけど」
- 63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:38:23.53 ID:3n4jki2OP
シンジ「……」
綾波「……」
シンジ「……」
綾波「……碇君」
シンジ「う、うん」
綾波「私、携帯電話を買ったの」
シンジ「……知ってるよ」
綾波「……」
シンジ「……」
綾波「……私、携帯電話を」
シンジ「―――どうしちゃったんだよ、綾波!!」
- 66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:41:01.84 ID:3n4jki2OP
綾波「……」
シンジ「ど、どこか体の調子でも悪いの!?」
綾波「いいえ」
シンジ「熱があるとか」
綾波「いいえ」
シンジ「じゃあ、どうしてなんだよ!」
綾波「……」
シンジ「……」
綾波「……」
シンジ「……」
綾波「……私、携帯電話を」
シンジ「―――綾波ぃ!!」ガシィ
- 69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:42:31.57 ID:iyev3JYI0
シンジ察してやれよ(´・ω・`)
- 71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:43:50.38 ID:3n4jki2OP
アスカ「ちょ、ちょ、ちょっと往来の場でなにやってんのよバカシンジ!!」
シンジ「あ、アスカ! 助けてよ! 綾波がなんか変なんだ!!」
アスカ「はぁ!? ファーストが変なのはいつものことでしょ!?」
シンジ「そういうことじゃなくて、なんか……とにかく、変なんだ!!」
アスカ「変なのはアンタの方だと思うけど……」
綾波「……」
アスカ「で、そこんとこどうなの、ファースト」
綾波「……特に変わりないわ」
アスカ「でしょうねぇ」
綾波「……」
- 72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:46:12.77 ID:3n4jki2OP
アスカ「あれ、その手に持ってるのってなに?」
綾波「……携帯電話。買ったの」
アスカ「へぇー。ファーストもちょっとは現代人っぽくなったじゃない!」
綾波「……」
アスカ「ま、せっかくだからこのアスカ様がアドレスの交換してあげるわ。やり方わかる?」
綾波「問題ないわ。説明書は全部読んだから」
アスカ「うげっ、あれを全部? そういうとこが変なのよねー……」
綾波「……」
アスカ「じゃあ、赤外線、ほら」
綾波「ええ」
アスカ「……」ピピッ
綾波「……」ピピッ
- 74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:48:24.43 ID:3n4jki2OP
アスカ「ん、よし。ちゃんと登録しておきなさいよね」
綾波「ええ」
アスカ「じゃ、私は先に行くけど、あんたたちもさっさと来なさいよ。ぱぱっと終わらせてすぐ帰りたいんだから」
綾波「ええ」
シンジ「あ、うん……」
アスカ「ふんふふーん♪」スタスタ
綾波「……」
シンジ「……」
綾波「……」
シンジ「……」
- 77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:50:34.20 ID:3n4jki2OP
シンジ「……えっと」
綾波「……」
シンジ「あ、そうだ、綾波。僕もアドレスのこうか―――」
綾波「―――かまわないわ」
シンジ「……そ、そっか。じゃあ交換しよう」
綾波「ええ」
シンジ「……」ピピッ
綾波「……」ピピッ
- 78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:53:10.05 ID:3n4jki2OP
シンジ「うん、これで大丈夫みたいだね」
綾波「ええ」
シンジ「……綾波のアドレスが携帯にあるって、ちょっと変な気分だな」
綾波「……」
シンジ「もちろん嫌ってことじゃなくて、その」
綾波「嬉しい?」
シンジ「……そうだね。今日は嬉しいことがいっぱいみたいだ」
綾波「……そう」
シンジ「綾波は、どうかな」
綾波「……よくわからないわ」
シンジ「そっか」
綾波「ごめんなさい」
- 79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:55:18.00 ID:3n4jki2OP
綾波「碇君」
シンジ「……?」
綾波「今日、送ってもいい?」
シンジ「え?」
綾波「メール」
シンジ「ああ、うん、全然構わないよ!」
綾波「そう」
シンジ「うん、楽しみにしてる」
綾波「……ええ」
シンジ「……」テクテク
綾波「……」テクテク
- 81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:57:26.53 ID:3n4jki2OP
綾波「……」
綾波「……」
綾波「……碇君に、メール」
綾波「……」ピッ
綾波「……」
綾波「……碇君の、アドレス」
綾波「……」ピタ
綾波「……」
綾波「…………送る内容が、分からない」
- 85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 19:59:43.49 ID:3n4jki2OP
綾波「……」
綾波「……」
綾波「……!」
綾波「説明書……」
綾波「……」ペラ
綾波「メール、送る内容」
綾波「……」
綾波「…………載ってない」
綾波「……」
綾波「なぜ」
綾波「……」
綾波「……不良品?」
- 86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:02:00.32 ID:zyoThb8+0
かわええええええええ
- 87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:03:02.19 ID:3n4jki2OP
シンジ「……そういえば綾波、後でメール送るって言ってたな……」
シンジ「……」
シンジ「……」ソワソワ
シンジ「……」
シンジ「……」
シンジ「……!!」ブルブル
シンジ「来た!」
シンジ「内容は……」
『 』
シンジ「……か、空メール?」
- 88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:05:14.70 ID:3n4jki2OP
綾波「……!」ブルブル
綾波「……碇君から、返信」
綾波「……」ピッ
綾波「……」
『あ、綾波?』
綾波「……」
綾波「……?」
綾波「……」
綾波「返信」
『なに』
- 89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:07:55.64 ID:3n4jki2OP
綾波「……!」ブルブル
綾波「碇君、メールを打つのが早いのね」
綾波「……」
『いや、空メールだったから』
綾波「……」
綾波「空メールとは、なに」
綾波「……」
綾波「説明書……」
綾波「……」
綾波「……載ってない」
綾波「……不良品」
- 90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:11:15.83 ID:3n4jki2OP
『空メールとは、なに』
綾波「直接聞けば、いいのね」
綾波「……」
綾波「……」
綾波「……」
綾波「……!」ブルブル
『なにも書いてないメールのことだよ』
綾波「……そう、あれが空メール」
綾波「……」
綾波「……」
綾波「覚えたわ」
- 92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:13:48.12 ID:3n4jki2OP
シンジ「そっか、綾波は空メールを知らなかったんだ」
シンジ「……」
シンジ「実は嫌われてる? とか思っちゃった……」
シンジ「……」
シンジ「……!」ブルブル
シンジ「来た!」
『 』
シンジ「え」
シンジ「また……?」
- 93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:15:59.56 ID:3n4jki2OP
シンジ「なんだろ、これ」
シンジ「嫌がらせ……な訳ないよね」
シンジ「きっと、なにか意味が……」
シンジ「でも、そんなの分からないよ」
シンジ「どうすれば……」
シンジ「……!」ブルブル
シンジ「また、綾波から……三通も?」
『 』
『 』
『 』
シンジ「なんだよ……なんなんだよ!」
- 95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:18:18.33 ID:3n4jki2OP
『どうしちゃったんだよ、綾波!』
『なに』
『なに、じゃないよ! どうして空メールばっかり送るのさ!』
『いけない?』
『え……そ、そうだね。空メールは迷惑メールの一つだから』
『迷惑メール』
『うん』
- 96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:18:39.89 ID:iyev3JYI0
誰かなんとかしてやってよぉ…
- 100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:21:07.93 ID:3n4jki2OP
綾波「迷惑メール」
綾波「それは、説明書に載っていたはず」
綾波「……」ペラ
綾波「……迷惑メール」
綾波「……」
綾波「……それは、嫌がらせのメール」
綾波「……それは、とてもよくないこと」
綾波「……」
綾波「碇君に、迷惑をかけてしまった」
綾波「……」
- 101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:23:23.56 ID:3n4jki2OP
『ごめんなさい』
『あ、もしかして知らなかったの? それなら別にいいんだ』
『ごめんなさい』
『うん、気にしてないから』
『ごめんなさい』
『綾波』
『ごめんなさい』
『綾波!!』
- 107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:32:20.96 ID:3n4jki2OP
『なに』
『連投はよくないよ!』
『連投』
『同じ文章を何度も送ることだよ!』
『連投、覚えたわ』
『う、うん、これからは気をつけてくれると嬉しいな』
『わかった』
- 109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:35:29.02 ID:3n4jki2OP
『携帯電話には慣れた?』
『ええ』
『そういえば、説明書も全部読んだって言ってたもんね』
『ええ』
『すごいね、僕はなにか分からない時にたまに開く程度だよ』
『そう』
『色々な機能があるでしょ?』
『ええ』
- 111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:37:35.77 ID:3n4jki2OP
『でも、中には全く使わない機能もあるよね』
『ええ』
『その機能をなくして、もうちょっと安くしてくれればいいのにって思っちゃうんだ』
『そう』
『でも、きっと僕が使わない機能を便利に思っている人がいるんだよね』
『ええ』
『僕がそう思うからって、なくなればって考えるのは、自分勝手かな』
『わからないわ』
- 113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:40:21.27 ID:3n4jki2OP
『誰かにとって必要なものは、誰かにとって不必要なんだって考えると、ちょっと怖いよね』
『碇君』
『なに?』
『もう寝るから』
『あ、そうだね。もう遅いしね』
『おやすみなさい』
『おやすみ、綾波』
- 118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:43:10.43 ID:3n4jki2OP
シンジ「なにか失礼なこと言ったかな」
シンジ「ちょっと強めに注意しちゃったし」
シンジ「でも、綾波っていつもこんな感じな気もするし」
シンジ「……」
シンジ「うう……胸がモヤモヤする」
シンジ「……」
シンジ「明日、学校で会う綾波は普通かな」
シンジ「なにも変わってないといいけど」
シンジ「……」
シンジ「……もう寝よう」
シンジ「…………」スゥ
- 119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:45:26.60 ID:3n4jki2OP
綾波「メール」
綾波「初めてのメール」
綾波「碇君とのメール」
綾波「……」
綾波「碇君は、嬉しい?」
綾波「……」
綾波「……私は、よくわからない」
綾波「……」
綾波「もう寝ないと」
綾波「……」
綾波「…………」
- 124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:47:51.27 ID:3n4jki2OP
プルルル
綾波「!」ガバッ
綾波「メール……」
綾波「……ではない」
綾波「電話」
綾波「……碇司令?」
綾波「……」ピッ
綾波「もしもし」
『…………』
綾波「碇司令ですか」
- 125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:49:15.89 ID:zNkGULZ+0
おっさんwww
- 128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:50:11.11 ID:3n4jki2OP
『ああ』
綾波「なんですか」
『……』
綾波「……」
『レイ』
綾波「はい」
『携帯電話の調子はどうだ』
- 130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:52:41.81 ID:3n4jki2OP
綾波「好調です」
『そうか』
綾波「はい」
『……』
綾波「……」
『……シンジ』
綾波「はい」
『シンジと連絡を取り合っているのか』
- 134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:54:49.83 ID:3n4jki2OP
綾波「はい」
『そうか』
綾波「はい」
『……調子はどうだ?』
綾波「……」
『……』
綾波「……よく、わかりません」
『……そうか』
綾波「はい」
- 136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 20:57:28.56 ID:3n4jki2OP
『……シンジに』
綾波「はい」
『シンジにも、新しい携帯電話を……』
綾波「……」
『……』
綾波「碇司令?」
『切るぞ』
綾波「……はい」プツッ
- 138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 21:00:05.63 ID:3n4jki2OP
綾波「……?」
綾波「……携帯電話」
綾波「メールだけではない」
綾波「電話」
綾波「会話も、出来る……」
綾波「必要は、ある?」
綾波「分からない……」
綾波「……」
綾波「……もう、寝ないと」
綾波「…………」
- 139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 21:02:28.71 ID:3n4jki2OP
ヒカリ「……♪」
アスカ「なに、ニヤニヤしてんのよ!」スパン
ヒカリ「痛い!」
アスカ「馬鹿面しちゃってみっともない」
ヒカリ「酷いよ、アスカぁ……」
アスカ「で、なになに。なんで浮かれてるの?」
ヒカリ「浮かれてるって、別にそういう訳じゃないけど……」
アスカ「じゃあ、なによ」
ヒカリ「その、ちょっと思い出し笑い? っていうのかな、そんな感じ」
アスカ「あ、なーんか嫌なよかーん」
- 141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 21:05:21.69 ID:3n4jki2OP
ヒカリ「なにそれ」
アスカ「どうせ『スズハラガー』とか言い出すんでしょ?」
ヒカリ「わ、ちょっと声が大きいよ!!」ガバッ
アスカ「痛い痛い! 分かったから手を離して!」
ヒカリ「アスカは、ホントにもう……」
アスカ「でも、そうなんでしょ」
ヒカリ「う、うーん、まぁそうかな? そうなのかも」
アスカ「もったいぶらない!」
ヒカリ「わ、わぁ、そうです! その通りです!」
アスカ「やっぱり……」
- 144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 21:08:31.99 ID:3n4jki2OP
アスカ「で、なにがあったの」
ヒカリ「昨日ね、勉強して、もうそろそろ寝ようって思ってたらね」
アスカ「うんうん」
ヒカリ「鈴原から、電話があって」
アスカ「おおー」
ヒカリ「どうしたの? って聞いたの」
アスカ「うん」
ヒカリ「『別に用はないんやけど』って」
アスカ「……」
ヒカリ「用もないのに電話してくるんだ、って言ったらさ」
アスカ「……」
ヒカリ「『用がなかったら電話しちゃあかんか?』って」
- 148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 21:11:30.69 ID:3n4jki2OP
ヒカリ「ほんと、それだけでさ」
アスカ「……」
ヒカリ「その後は、特になにも言わずに、おやすみって言っただけなんだけど」
アスカ「……」
ヒカリ「どういうつもりだったのかなって」
アスカ「……」
ヒカリ「考えてたら、いつの間にかに寝ちゃってて」
アスカ「……」
ヒカリ「で、朝になって、学校に来たのはいいんだけど」
アスカ「……」
ヒカリ「なんか今も、鈴原からの電話を耳に当てている感触がね、離れなくて」
- 151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 21:14:02.53 ID:3n4jki2OP
ヒカリ「ふふふ、それだけ」
アスカ「……」
ヒカリ「……アスカ?」
アスカ「鈴原は……まだ登校してきてないわよね」
ヒカリ「え? う、うん、まだみたいね」
アスカ「良かった……」
ヒカリ「どうして?」
アスカ「顔見たら、ぶん殴っちゃいそうだから」
ヒカリ「どうして!?」
- 152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 21:16:37.80 ID:3n4jki2OP
ヒカリ「やめてよ、アスカ! 酷いよ!」
アスカ「私がうけた精神ダメージは一発分の拳をはるかに超えているわよ」
ヒカリ「自分で聞いてきたんじゃない」
アスカ「こんなに堂々と惚気られるとは思わなかったわ」
ヒカリ「惚気って……私は別に、そんな……」
アスカ「これが惚気じゃなかったらなんなのよ?」
ヒカリ「うう……どうせ否定しても認めてくれないんでしょ……惚気でいいよ、もう……」
アスカ「朝から胃がもたれそうだわ、まったく」
綾波「…………」
- 155:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 21:19:17.52 ID:3n4jki2OP
綾波「……」
ヒカリ「わっ!」
アスカ「ファ、ファースト!? いつからそこに!?」
綾波「……」
アスカ「な、なによ、なんとか言いなさいよ!」
綾波「……」
アスカ「……?」
綾波「……電話」
ヒカリ「え?」
綾波「あなたは、電話をしているのね」
- 158:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 21:21:39.91 ID:3n4jki2OP
ヒカリ「う、うん、してる、かな」
綾波「なぜ」
ヒカリ「……え?」
綾波「なぜ電話をするの」
ヒカリ「なぜって」
綾波「用がないのに、なぜ電話をするの」
綾波「用がないのに、なぜ電話をされて嬉しそうなの」
綾波「用がないのに……」
綾波「わからない」
綾波「…………」
- 159:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 21:24:03.51 ID:3n4jki2OP
アスカ「ふん、この色ボケちゃんの考えてることなんて、ファーストには一生わかりっこないわよ」
ヒカリ「あ、アスカ!」
綾波「……私には、一生、分からない」
アスカ「……」
ヒカリ「……」
綾波「……」
アスカ「…………ま、そうね、最近のアンタなら、分かんないでもないかもね」
ヒカリ「……!」
綾波「……」
- 160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 21:27:04.67 ID:3n4jki2OP
アスカ「してみたらいいじゃない、電話」
綾波「……」
アスカ「やってみて初めて気付くこともあるわよ」
綾波「……」
アスカ「少女よ、大志を抱けってね」
綾波「……そう」
綾波「……」
綾波「……」スタスタ
ヒカリ「アスカ、それ、なんか色々違う……」
アスカ「語感が伝わればいいの!」
- 162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 21:29:41.57 ID:3n4jki2OP
ヒカリ「でも、ビックリしたなぁ。綾波さんから話しかけてくるなんて」
アスカ「そうねぇ」
ヒカリ「電話、なんで気になったんだろ?」
アスカ「……アイツ、最近、携帯電話を買ったのよ」
ヒカリ「え、そうなの!?」
アスカ「ええ」
ヒカリ「へー、そうなんだ、意外って言ったら悪いけど」
アスカ「意外よ。驚天動地。青天の霹靂ね」
ヒカリ「言い過ぎだよー」
アスカ「だって、そうじゃない」
- 164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 21:32:18.69 ID:3n4jki2OP
ヒカリ「でも、そっか、綾波さんが……」
アスカ「……」
ヒカリ「ね、私、綾波さんにアドレス聞いてもいいと思う?」
アスカ「そんなの、好きにしたらいいじゃない」
ヒカリ「えー」
アスカ「なんなら、私が教えてあげるわよ」
ヒカリ「えっ、アスカは知ってるんだ」
アスカ「ま、ね」
ヒカリ「へー、そうなんだ~」
アスカ「ニヤニヤすなっ!」ポカッ
ヒカリ「いたっ」
- 167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 21:34:56.94 ID:3n4jki2OP
アスカ「で、どうすんの、ホラ」
ヒカリ「駄目だよ、自分で聞くもん」
アスカ「そうなの? なんで?」
ヒカリ「コミュニケーションって、そういうものでしょ?」
アスカ「ふぅん」
ヒカリ「自分から行動しないと、ね」
アスカ「あっそ。好きにしなさいよ」
ヒカリ「ふふっ、好きにするわ」
ヒカリ「―――ねぇ、綾波さん!」
- 168:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 21:37:07.30 ID:3n4jki2OP
シンジ「もうすぐ六時か……」
シンジ「ちょっと遅くなっちゃったな」
シンジ「早く帰ってご飯作らないと」
シンジ「アスカに、怒られるし……」
シンジ「……!」ブルブル
シンジ「電話だ……」
シンジ「誰だろ」
シンジ「……綾波!?」ピッ
- 177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 21:57:08.79 ID:3n4jki2OP
シンジ「も、もしもし?」
『……』
シンジ「綾波、だよね?」
『……』
シンジ「どうしたの?」
『……』
シンジ「……綾波?」
- 180:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 21:59:45.69 ID:3n4jki2OP
『綾波レイ。午後4時半帰宅。午後六時現在、自宅にて待機中』
シンジ「……!?」
『作戦指示がなければ、このまま自宅にて待機を続行する』
シンジ「……」
『……』
シンジ「えっと……」
『……』
シンジ「それって、定時連絡……?」
- 184:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:03:32.68 ID:3n4jki2OP
シンジ「もしかしてなんだけど……」
『……』
シンジ「電話番号、間違ってないかな……?」
『……』
シンジ「……」
『……あなたは、碇君』
シンジ「あ、うん、碇シンジです」
『……間違ってないわ』
シンジ「……そ、そうなんだ」
- 188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:06:18.03 ID:3n4jki2OP
『……電話、切るわ』
シンジ「えっと、うん、じゃあ、さよなら」プツッ
シンジ「……なんだったんだろ、今の」
- 189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:08:31.43 ID:3n4jki2OP
綾波「……」
綾波「電話」
綾波「用のない、電話」
綾波「……」
綾波「碇君は、嬉しい?」
綾波「……」
綾波「……」
綾波「…………」
- 194:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:11:39.16 ID:3n4jki2OP
アスカ「シンジー」
シンジ「なに?」
アスカ「ご飯、まだ?」
シンジ「今、作り始めるところだけど」
アスカ「えー」
シンジ「えーって……まだ夕方だよ」
アスカ「今日の私は特別お腹が減ったの!!」
シンジ「そんなの知らないよ……」
アスカ「それくらい把握しなさいよ、このバカ」
シンジ「無茶言わないでよ」
- 196:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:14:24.41 ID:3n4jki2OP
シンジ「……」ソワソワ
アスカ「……?」
シンジ「……」
アスカ「……なにソワソワしてんの?」
シンジ「あ、うん、そろそろ時間だから」
アスカ「時間……?」
シンジ「……!」ブルブル
シンジ「あ、もしもし」ピッ
アスカ「……?」
- 199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:16:56.75 ID:3n4jki2OP
シンジ「うん、いつも御苦労さま」
アスカ「……」
シンジ「うん、それじゃあね」ピッ
アスカ「……」
シンジ「じゃあ、ご飯、作るね」
アスカ「……いや、待ちなさいよ」
シンジ「え?」
アスカ「今のなによ」
シンジ「電話のこと?」
アスカ「そうに決まってるでしょ」
- 200:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:19:31.71 ID:3n4jki2OP
シンジ「ああ、綾波からの定時連絡」
アスカ「なんだファースト……って、え、なに?」
シンジ「だから、定時連絡」
アスカ「はぁ!? なんで定時連絡がバカシンジの携帯に来るのよ!」
シンジ「知らないけど、なんかそういうことみたい」
アスカ「……!? それをあんたはNERVに報告するの!?」
シンジ「しないけど……」
アスカ「じゃあ、なんの意味があるのよ!」
シンジ「ごめん、正直、僕にもわかんない……」
アスカ「なに、それ……」
- 203:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:22:37.17 ID:3n4jki2OP
シンジ「もしかしたら、携帯電話を使ってみたいだけなのかも」
アスカ「……」
シンジ「それならさ、僕が相手になるくらい、いいだろ?」
アスカ「……」
シンジ「時間も短いから、綾波の電話代だって、大したことないだろうし」
アスカ「……」
シンジ「それに―――」
アスカ「―――黙って」
シンジ「……え?」
- 208:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:26:01.69 ID:3n4jki2OP
アスカ「分かった、全部分かったわ、そういうことなのね」
シンジ「アスカ……?」
アスカ「もう、ほんと、あのバカ。思考回路どうなってんのよ」
シンジ「アスカ、一体なにが」
アスカ「知らない。バカとバカとで大バカやってるっていう話でしょ」
シンジ「なんの話だよ」
アスカ「いいから、さっさとご飯作りなさいよ!!」
シンジ「え、わ、わかったよ。もう、なんなんだよ……」
アスカ「……はぁ」
- 211:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:28:41.51 ID:3n4jki2OP
アスカ「……」ゴソゴソ
アスカ「……」
アスカ「……」
アスカ「……」ピッ
アスカ「……」
アスカ「……」
アスカ「……もしもし」
『……』
- 214:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:31:10.39 ID:3n4jki2OP
アスカ「バカファースト?」
『……ええ』
アスカ「アンタって、ほんとバカね」
『……』
アスカ「アンタのやってること、ぜーんぶ! 無駄!」
『……』
アスカ「……アンタの電話じゃ、バカシンジは嬉しくなんか、なんないわよ」
『……!』
- 217:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:33:46.55 ID:3n4jki2OP
『……私は、間違ってる?』
アスカ「ええ、大間違い。ピクリとも正解に掠ってないわね」
『……』
アスカ「用のない電話って言うのは、無駄な電話のことを言うんじゃないの」
『……』
アスカ「その、中身がないけど、嬉しいっていうか……一緒に話すことが、目的っていうか……」
『……』
アスカ「あああああ!! アンタだってあるでしょ! バカシンジと他愛ない話をしたことくらい!!」
- 222:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:37:10.71 ID:3n4jki2OP
『他愛ない、話』
アスカ「そうよ」
『……』
アスカ「……」
『……冬』
アスカ「あん?」
『碇君が、私に……冬が似合うって言ったわ』
アスカ「……ふぅん」
- 225:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:41:39.69 ID:3n4jki2OP
アスカ「そういう話をすればいいよ」
『……弐号機の人も、他愛ない話は、嬉しい?』
アスカ「まぁ、悪くはない……っていうか、その弐号機の人っていう呼び方、止めなさいよ」
『……』
アスカ「私も、あんたのこと、ファーストじゃなくて、レ……レイって、呼ぶから」
『……』
アスカ「だから、あんたも、私のこと……」
- 228:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:43:53.72 ID:3n4jki2OP
『……』
アスカ「その……」
『……アスカ』
アスカ「……!!」
『……』
アスカ「……な、なによ」
『ありがとう』プツッ
- 233:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:46:12.87 ID:3n4jki2OP
アスカ「……はぁ」
アスカ「……」
アスカ「……なに、緊張してんだろ、私」
アスカ「……」
アスカ「……慣れあいとか」
アスカ「……」
アスカ「馬鹿らしいって、思ってたのに」
アスカ「……」
アスカ「一人が好きって、一人で大丈夫って、そう思ってたはずなのに」
- 236:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:50:52.85 ID:3n4jki2OP
アスカ「……」
アスカ「……」
アスカ「……嬉しい、か」
アスカ「……」
アスカ「……」
アスカ「……」
アスカ「後は、アンタたちで勝手にしなさいよ」
アスカ「バカシンジ」
アスカ「……バカ、レイ」
- 239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:53:03.03 ID:3n4jki2OP
シンジ「……!」ブルブル
シンジ「……電話だ」
シンジ「……」
シンジ「綾波!?」
シンジ「また、どうして……」
シンジ「……」ピッ
シンジ「もしもし」
『……』
- 243:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:55:15.87 ID:3n4jki2OP
シンジ「……綾波、だよね」
『……』
シンジ「どうしたの、なにか伝え忘れ?」
『……』
シンジ「……」
『……』
シンジ「……綾波?」
『…………今日は少し、風が強かったわ』
- 249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 22:58:04.43 ID:3n4jki2OP
シンジ「……え?」
『……』
シンジ「……えっと」
『……初号機って、紫色なのね』
シンジ「……うん」
『……』
シンジ「……」
- 251:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 23:00:48.36 ID:3n4jki2OP
『……分からないの』
シンジ「え?」
『なにを話せばいいのか、分からない』
シンジ「……そっか」
『……』
シンジ「じゃあ、綾波は、どうして僕に電話してきてくれるの?」
『……』
- 253:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 23:03:07.40 ID:3n4jki2OP
綾波「なぜ」
綾波「……」
綾波「なぜ、私は碇君に電話するの」
綾波「……」
綾波「……」
綾波「会話」
綾波「……」
綾波「音」
綾波「……」
綾波「…………声」
- 255:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 23:05:55.53 ID:3n4jki2OP
『……声』
シンジ「え?」
『碇君の声、聞きたいから』
シンジ「……!」
『安心、するから』
シンジ「……そう、なんだ」
『……』
シンジ「……」
- 259:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 23:09:27.65 ID:3n4jki2OP
シンジ「僕も」
『……』
シンジ「僕も、もっと、綾波の声が聞きたいよ」
『……』
シンジ「もっと、色んな事を話してみたい」
『……』
シンジ「綾波のこと、知りたいんだ。……もっと、もっと」
『……』
- 261:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 23:11:36.26 ID:3n4jki2OP
シンジ「……」
『……』
シンジ「……あの―――」
ガチャ
「―――ただいまー」
シンジ「!」
シンジ「ミサトさん、帰ってきた……」
- 267:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 23:13:43.10 ID:3n4jki2OP
シンジ「……ごめん、早くご飯、作らないと」
『……ええ』
シンジ「……」
『……』
シンジ「こ、今度は、僕の方から、電話するから!」
『……!』
シンジ「また、ゆっくり話そう。……それじゃ」
『……ええ』プツッ
- 269:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 23:16:14.85 ID:3n4jki2OP
シンジ「……」プルプル
シンジ「……ははっ、手が震えてる」
シンジ「……」
シンジ「心臓も、ドクドクいってるし」
シンジ「足だって、ガクガクする」
シンジ「……」
シンジ「……でも、嫌じゃない」
シンジ「嫌じゃ、ないんだ……」
- 271:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 23:18:24.42 ID:3n4jki2OP
綾波「……」トクトク
綾波「……」
綾波「……鼓動が、早いわ」
綾波「……」
綾波「体の不調」
綾波「……」
綾波「では、ないのね」
綾波「……」
綾波「これが、きっと、嬉しいという気持ち」
- 272:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 23:20:42.09 ID:3n4jki2OP
綾波「……」
綾波「……携帯電話」
綾波「……」
綾波「……」
綾波「いつでも、聞こえる」
綾波「いつでも、話せる」
綾波「……」
綾波「……」
綾波「……いつでも、一緒」
終劇
- 279:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 23:22:52.45 ID:FvJppNfH0
俺の鳴らない電話を鳴らしてくれよ・・・
- 274:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 23:21:06.84 ID:Y7J/X2U50
おつ
アスカ「シンジのメールがしょぼくれてる」
転載元
綾波「碇司令。携帯電話を買ってください」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1354009019/
綾波「碇司令。携帯電話を買ってください」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1354009019/
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コメント一覧 (36)
-
- 2012年11月28日 00:44
- レイもアスカも可愛いな
-
- 2012年11月28日 00:45
- パパさんダメダメですな
-
- 2012年11月28日 00:55
- さりげなく身を引いたアスカがちょっぴり可哀想な感じがしたけど、楽しかった
-
- 2012年11月28日 00:56
- がらくたストリートで携帯で自画撮りのネタあったな
-
- 2012年11月28日 01:03
- あかん、2828してしまった
-
- 2012年11月28日 01:06
- いい話だな。
-
- 2012年11月28日 01:09
- なにげに、冬月さんが此処まで活躍?している作品も珍しいかも。
-
- 2012年11月28日 01:12
- よかった
-
- 2012年11月28日 01:13
- ほっこりしたわぁ
-
- 2012年11月28日 01:18
- 果たして碇司令はシンジ君と新しい携帯を買いに行けたのだろうか?
-
- 2012年11月28日 01:22
- これが例のLINEに繋がっていくのかと思うと胸圧
-
- 2012年11月28日 01:30
- さいきん読んだSSがアスカばっかりだったから個人的に楽しく読めた
アヤナミ応援してるわけじゃなくてどっちも応援してる
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- 2012年11月28日 01:40
- 良かった
綾波はかわいいしアスカはかっこいいし
Qに欠落してんのはこういう人の心情の揺れ動きの機微なんだよ
だからいくら映像が凄くってもまるで話に説得力が無いんだ
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- 2012年11月28日 01:49
- ポカ波と黒波をセットでいただきたい
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- 2012年11月28日 02:08
- 綾波かわええなあ
あと、アスカのキャラ再現率が何気に高いと思った
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- 2012年11月28日 03:00
- ポカポカする作品でした
アスカええこやで
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- 2012年11月28日 03:33
- なんてポカポカする作品なんだ……!
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- 2012年11月28日 05:25
- 最初の冬月ゲンドウでギャグ路線かと思ったら
こんなにもポカポカするなんて
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- 2012年11月28日 06:25
- 3人が3人らしくてポカポカするな…
劇中ではありえないのが残念だけど、こういう短編も公式で作ってアニメ化してほしいと思う。
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- 2012年11月28日 07:25
- 冒頭のマダオのマダオっぷりでおなかいっぱいだわwww
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- 2012年11月28日 08:02
- こういうアスカがいいんだよ
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- 2012年11月28日 08:12
- 起承転結がしっかりしており、エヴァキャラクターの魅力もしっかり活きててケチのつけどころがございません
大変楽しゅうございました
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- 2012年11月28日 08:56
- 最近のアスカSSはやっぱデレ過ぎだよな・・・
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- 2012年11月28日 09:49
- ニヤニヤが止まらなかったじゃないか!GJ
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- 2012年11月28日 10:25
- 23
デレすぎというかもはや別人だな
まあssなんて自分の望む展開を書くわけだからそんなもんだ
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- 2012年11月28日 12:08
- 良かった。ぽかぽかした。
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- 2012年11月28日 12:54
- 面白かったけど、やっぱり人形よりアスカ様でしょ
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- 2012年11月28日 14:02
- ピュアすぎて眩しすぎて目が痛い
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- 2012年11月28日 14:47
- おかしい、急に目が悪くなったのか画面が霞んで見えるぞ
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- 2012年11月28日 18:19
- これが良SSってやつか…
面白かった
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- 2012年11月28日 19:01
- 碇司令かわゆす
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- 2012年11月28日 23:06
- これはね、いいよ
キャラ崩壊も無くて、でも原作にはない感じ
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- 2012年11月29日 01:39
- >>27
「私は人形じゃない」
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- 2012年11月29日 05:24
- こういうレイを求めていたんだよ!
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- 2012年12月02日 21:08
- なんでQでぽか波消したんだよ
こんなにいい子だったのに……
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- 2015年03月17日 16:27
- ぽかぽかする
めちゃくちゃぽかぽかする……