ケイン・コスギ「Puella Magi……魔法少女?」
- 2012年11月25日 08:30
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某日
早乙女「皆さん、今日は新任の先生がいらっしゃっています」
さやか「えーっと……何の先生だっけ?」
まどか「確か……英語と体育の先生だったと思うよ」
さやか「えっ、勉強と運動のどっちも教えられるの?」
まどか「ねー、すごいよね」
早乙女「では先生、どうぞ入ってきてください」
ケイン「初めまして」
まどか「日本人……っていうよりも、日系の人かな?」
さやか「結構カッコいいんじゃない?」
早乙女「じゃあ先生、簡単な自己紹介を」
ケイン「OK, my name is Kosugi Kane……」
ほむら「…………」
ほむら(新任の教師? 今までの時間軸にこんな人は一度も……!)
放課後
さやか「あ、ケイン先生じゃん!」
マミ「ケイン先生?」
まどか「新任の先生なんです、英語と体育を教えてくれるみたいで……」
ケイン「Hi, Madoka! Sayaka!」
マミ(え、英語……)
ケイン「And……you are……」
マミ「は……ハロー、ハウアーユー? マイネーム イズ マミ トモエ」
ケイン「Mami……good name.」
マミ「セ、センキュー……」
ケイン「……ところで、君たちも今から帰るところですか?」
マミ(あ、日本語喋れるんだ……)
まどか「今からちょっとマミさんに家にお邪魔させてもらうんですよ」
ケイン「分かりました、事故に巻き込まれないよう気を付けて」
さやか「先生硬いなぁ、もっと生徒にはフランクに接してよー」
ケイン「フランク……OK, 分かった。そのペットからも目を離さないようにね」
まどか「えっ……ペットって……」
ケイン「マドカの頭の上にずっと乗っているのはペットじゃないのかい?」
キュゥべえ「!」
マミ「先生……この子が見えるんですか?」
ケイン「…………?」
キュゥべえ「普通ならばありえないことだけど……」
ケイン「!」
キュゥべえ「僕の声も聞こえているみたいだね」
マミ「……これは、ケイン先生にも来てもらったほうがいいかしら」
マミ家
マミ「どうぞ、座ってください」
ケイン「一体どんな話を? 日本語を話せるその不思議な生き物のことかい?」
マミ「キュゥべえ、あなたの姿が見えている以上……話しても構わないわね?」
キュゥべえ「マミの判断に任せるよ、君が必要だと思うのならば話せばいいさ」
マミ「……先生、信じられなければそれで構わないです。ただ、きちんと話はしておきますから」
ケイン「…………」
魔女、魔法少女、キュゥべえとの契約、ソウルジェムの存在……常人には空想の話としか思えない出来事。
それらの話をマミは分かりやすく、そして簡潔に説明した。
大人のケインにはあきれ果てられるに違いないと思われたが、彼は黙って最後まで話に耳を傾けていた。
まあNINJAの息子だからな、仕方が無い
このケインコスギはカクレンジャーかなんかなのか?
マミ「……これで話は終わりです」
ケイン「…………」
ケイン「……Honestly, your explanation was clear as mud.」
マミ(え、今なんて言ったの? クリアーって……分かりやすかったってことかしら?)
ケイン「まさか、そんなことが本当に……」
まどか「マミさんは私たちの命を救ってくれたのは確かなんです!」
さやか「そりゃ、信じられない話だとは思うけどさ」
ケイン「心配しないで。嘘をついていると思っているわけじゃないんだ」
ケイン「ただ……少し、考える時間をもらおうかな」
マミ「ええ……ただ、注意して。先生一人で魔女をどうにかすることは出来ないわ」
マミ「万が一、魔女を見かけたらすぐに私へ連絡してくださいね」
翌日
ケイン(昨日の話……子供たちが嘘を言っているようにも見えなかった、それにあの不思議な生き物は……)
ケイン「Puella Magi……魔法少女、か」
ほむら「魔法少女、ですって?」
ケイン「君は……ホムラ・アケミ?」
ほむら「……話があるから、屋上まで来て」
ケイン「?」
屋上
ほむら「巴マミから色々と吹き込まれたようね?」
ケイン「君も、彼女が言っていたことについて何か知っているのかい? だったら聞かせてくれないかな」
ほむら「……聞きたいのは私のほう。キュゥべえの姿が見えるなんて……何者なの、あなたは」
ケイン「?」
ほむら「あなたのことは把握しきれないけれど……魔法少女にはかかわらないことね」
ほむら「それがあなたのためでもある……知ったところで何かが出来るわけでもないのだから」
ケイン「……君も、魔法少女なんだね?」
ほむら「…………」
ケイン「アドバイスをありがとう。それでも、今の僕は君たちを保護する立場にある」
ケイン「何かの時は……力になるよ、きっとね」
ほむら「…………」
ケイン「I'm on your side.」
放課後
ケイン(マミ・トモエ……ホムラ・アケミ……二人の魔法少女、か)
ケイン(そしてマドカとサヤカの二人にも、魔法少女になれる資質がある)
ケイン「どんな願いでも叶う、か。」
魔法少女になる際の契約、漫画やファンタジーでは定番とも言えるそのセリフ。
彼は、その言葉に妙な違和感を感じていた。
ケイン「ん、あれは……?」
ふと、街中を走る少女の姿が目に入る。知っている顔だ。
昨日、自分を家に招き入れて自らの秘密を打ち明けてくれた金色の髪の少女。
ケイン「……嫌な予感がするな」
やだ……なにこのケインカッコいい
Honestly, your explanation was clear as mud
これはどういう意味?
翻訳サイトじゃわけが分からん
>>17
正直、君の言ってることはさっぱり分からなかった、みたいに捉えてくれれば
なんか変な言い回し使っちまったかもしれない、ごめん
―――
病院
マミ「ここね、確かに魔女の気配がするわ」
まどか「先に行ったさやかちゃんとキュゥべえ……大丈夫かな……」
マミ『聞こえるかしらキュゥべえ? そっちの状況を教えてくれる?』
キュゥべえ『卵は孵化までまだ時間があるよ、でもあまり刺激を与えるのは得策じゃないね』
マミ『了解、大至急そっちへ向かうわ。魔力は抑え目にしてね』
マミ「うん、じゃあ行きましょうか」
まどか「はい!」
>>21
そういうことかー、ありがとん
ほむら「待って」
まどか「あ、ほ……ほむらちゃん……!」
マミ「……何の用かしら?」
ほむら「ここにいる魔女は私が処理する、あなたたちは下がっていて」
マミ「この先には美樹さんとキュゥべえが待ってるの、その要求には従えないわね」
ほむら「魔女を倒すだけじゃない、彼女たちのことも必ず守る。だから……」
マミ「キュゥべえを狙っていたあなたのそんな発現、信用できると思う?」
マミによる捕縛魔法、黄色いリボンはほむらの四肢を拘束し身動きを完全に封じた。
完全に不意を突いたその攻撃は防ぐことも、避けることもかなわなかった。
ほむら(しまった……!)
マミ「私が魔女を倒すまでは大人しくしててもらうわ……心配しないで、あとでちゃんと拘束は解いてあげる」
ほむら「待ちなさい巴マミ! このまま行ったらあなたは……!」
マミ「……行きましょう、鹿目さん」
まどか「は、はい……」
ほむら「待って! 私の話を聞いて!」
―――
ケイン「あれが……魔女が作っている結界、か」
ケイン(どうしたらいいんだ……このまま中に入ってしまってもいいが……)
ケイン(ティーチャーという立場上、あまり目立ったことをしてしまっては……)
ケイン「…………」
ケイン「……日本の思い出に、この衣装を持ってきておいてよかった」
そう呟くと、彼はおもむろにバッグから何かを取り出した。
―――
ほむら「っ……」
ほむら(拘束が解除できない……このままだと巴マミが……!)
幾度と世界をやり直し、経験してきた彼女は知っていた。
この先にいる魔女が強敵であることを、マミは一瞬の油断でその命を落とすことを。
ほむら「このままじゃ、またまどかは……」
だが彼女は知らなかった。この世界に秘められたイレギュラーの可能性を。
ほむら「…………えっ?」
拘束され動けない彼女はあり得ないものを見た。
そして、それは結界の奥へとひたすらに疾走していく。
まるで、大切な何かを守ろうとしているかの如く。
―――
マミ「ティロ・フィナーレ!」
さやか「さっすがマミさん!」
まどか「良かった……みんな無事で……!」
結界の奥に進んでいたマミたちはすでに魔女と交戦していた。
人形のようなその魔女はマミの連続した攻撃を受けすでに力を失っている。
そして、最後に放った最大の一撃……勝利は誰の目から見ても明らかだった。
が、状況が転換するのは一瞬。
シャルロッテ「――――!」
マミ「えっ……!?」
――ピエロ。
自らが撃ち抜いた魔女の口から飛び出てきた何かに対するマミの感想である。
そしてそのピエロのような何かが自らの頭部に向かって牙をむいていることに気づくまで数秒の時を要した。
逃げることは出来なかった。
「スーパー変化!!」
マミ「えっ……?」
その時、マミの目に映ったのは男だった。
黒い装束の身に纏い、背中に刀を携え、顔を仮面で覆った一人の男。
その男が自らに襲い掛かる魔女を蹴り飛ばしたのだ。
まどか「あれは……」
さやか「な、なんなんじゃ?」
ケイン「……危なかった」
マミ「あ、あなたは……?」
ケイン「君たちの味方だ、早くここから離れて」
マミ「あ、ありがとう……でも、魔女を倒すが私の仕事。逃げるわけにはいかないわ」
ケイン「……無茶はしないようにするんだ、いいね」
マミ「もちろん……そのつもり」
まどか「あの黒い人……魔法少女、じゃないよね?」
キュゥべえ「魔法少女ではないね、それは断言できるよ」
さやか「ま、魔法少女でもないのに……魔女と戦っちゃってるけど……!」
キュゥべえ「…………」
―――
ケイン「スリーキック!」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
シャルロッテ「…………」
ケイン「……やったようだね」
マミ「え、ええ……」
マミ(すごい……この人、魔法も何も使わない身体能力だけで……!)
まどか「や、やったんですよね……今度こそ」
さやか「またさっきみたいに襲ってくるんじゃ……」
マミ「大丈夫よ……もう魔女の気配はなくなって、グリーフシードも手に入れたから」
ほむら「……一体、何が起こったの?」
まどか「ほ、ほむらちゃん!」
マミ「暁美さん……」
ほむら「巴マミ、魔女はあなたが倒したの?」
マミ「……半分、ね」
ほむら「……どういうこと?」
マミ「彼が、一緒に戦ってくれたわ」
ケイン「…………」
ほむら「黒装束の彼が……?」
さすがNINJAは格が違った
マミ「私一人だったらきっと今頃は……」
ほむら「…………」
マミ「ごめんなさい……あなたの忠告にきちんと耳を傾けておくべきだったわ」
ほむら「……あなたの不注意で、まどかと美樹さやかは命を落とすところだったのよ?」
マミ「……何も言葉がないわ」
ほむら「これに懲りたら無暗に魔法少女へ誘うことは止めるのね……犠牲が出る前に」
マミ「反省してるわ……あなたの言う通りね」
ほむら「そしてあなた……巴マミに手を貸してくれたことについてはお礼を言っておくわ」
ケイン「いや、大したことはしていないさ」
ほむら「私たちの味方のようだけれど……あなたはいったい何者なの?」
キュゥべえ「君たちは彼が誰だか分からないのかい? 既に彼とは会っているじゃないか」
ケイン「!」
まどか「キュゥべえ、あの人のことを知ってるの?」
キュゥべえ「彼は君たちの教師、ケインだよ」
さやか「えっ……け、ケイン先生!?」
ケイン「……しらばっくれることは無理そうだね」
まどか「本当に……ケイン先生だったんだ……!」
ケイン「悪かったね、別に後ろめたい気持ちがあったわけじゃないんだ」
マミ「あの……ケイン先生、さっきは助けてくれて本当に……」
ケイン「いいんだ。ティーチャーである僕が生徒の君を助けるのは当然のことだからね」
ほむら「…………」
ほむら(ケイン……素手で魔女と戦うことができるなんて……本当に、彼は何者なの?)
翌日
ケイン(しかし……魔女なんてものが本当にいるなんて驚きだ、特撮の世界だけの話じゃなかったのか)
ケイン(……兄さん、元気にしてるかな。せっかく日本に来たんだ、あとで連絡しよう)
さやか「先生……ちょっといいかな」
ケイン「ん……サヤカ、なにかあったかい?」
さやか「相談したいことがあってさ、少し付き合ってよ」
ケイン「?」
屋上
ケイン「話っていうのは?」
さやか「……願い事が叶うって素晴らしいことだと思わない?」
ケイン「…………?」
さやか「その願いが自分のためじゃなくって……他人の夢をかなえることだったら、なおさら良いよね?」
ケイン「……魔法少女の契約のことを言っているんだね?」
さやか「……ちゃんと私だって考えた、魔法少女になるのはすごく危ないことだってこの前わかったし」
さやか「でも……マミさんはそんな危ないことをこれからも一人でやっていかなきゃいけないんでしょ?」
さやか「私が魔法少女になることで、少しでもマミさんの力になれたら……」
ケイン「それは、間違っている」
さやか「ど、どうしてさ! 契約すれば私の友達だって救えるし、マミさんの力にもなれるのに!」
ケイン「そう、君の願いは全部他人のことなんだ。それが一番の問題なんだ」
さやか「どういう……」
ケイン「最初は他人のため、と思っていてもいつか必ず後悔する日が来るってことさ」
さやか「後悔なんてするわけ……」
ケイン「それに、魔法に頼りきりになることがいいことだと僕は思わないんだ」
さやか「…………」
ケイン「この世界に怪獣がいたとして、アメリカや日本を襲ってきたとするよね」
ケイン「じゃあその怪獣と戦ってくれるウルトラマンに頼りきりになっていいと思うかい?」
ケイン「人間だって最後には自分の力で侵略者と戦わなくちゃいけないだろう?」
さやか「それは、そうだけど……」
ケイン「そういうことさ。奇跡や魔法なんてものに当てにして行動するのは一番やってはいけないことなんだ」
ケイン「そんなものに頼らなくても、僕たちは無限の可能性を持っている『人間』なんだからね」
さやか「……もうちょっとだけ、考えてみる」
ケイン「それがいいね。結論は急ぎすぎないほうがいい」
ケイン「……お友達の回復を、祈っているよ」
さやか「ありがとね、先生」
―――
ほむら「……ケイン」
ケイン「やあホムラ、元気ですか?」
ほむら「美樹さやかに、何か話をしたのかしら?」
ケイン「大した話はしてないよ、僕が思ったことをそのまま伝えただけだからね」
ほむら「そう……」
ケイン「……ところでホムラ、君はなぜ魔法少女になったんだい?」
ほむら「なぜ、そんなことを聞くのかしら」
ケイン「魔法少女の契約はとてもひどいデメリットがある、それでも君は契約したんだろう?」
ケイン「そうまでして、叶えたい願いがあったのかい?」
ほむら「……あまり、人の秘密に踏み込んでくるものじゃないわ」
ケイン「……sorry, 悪かったね」
ケイン(……ただ、相当な覚悟があることは分かったよ)
病院
さやか「CD……ここに置いとくね」
恭介「…………」
恭介「さやかは僕を虐めているのかい?」
さやか「え……?」
恭介「どうして……指が動かなくなった僕にこんなものを聞かせようとするんだ!」
さやか「きょ、恭介……!」
恭介「治らないんだ……先生から言われたよ、バイオリンはもう諦めろって……!」
さやか「!」
恭介「もう、奇跡や魔法でもない限り僕の指は……」
さやか「……恭介はさ、ウルトラマンとかって昔は見てた?」
恭介「ティガは僕のジャスティスだけれど……それがどうかした……?」
さやか「いや……私は詳しく知らないんだけどね、怪獣をウルトラマンがドカーンってやっつける! としか思ってなかったし」
さやか「でも、あれって違うんだね。奇跡の力を持ってるウルトラマンが敵と戦うだけじゃない」
さやか「地球を守ろうと戦う、人間たちも同じように主役なんだよ」
恭介「人間……?」
さやか「奇跡とか魔法に頼りきりになって、人間の光を失っちゃいけないんじゃないかな」
恭介「…………」
さやか「なーんて、全部受け売りなんだけどね……」
恭介「……悪かったね、さやかは何も悪くないのに」
さやか「気にしないで……私も偉そうに言って、ごめん」
恭介「もうちょっとだけ、頑張ってみるよ。僕も、光を信じて」
さやか「うん……応援する、私も最後まで」
恭介「…………」
恭介「ところで」
さやか「ん、何?」
恭介「さやかはどのウルトラマンが好きなんだい?」
さやか「え!?」
夜
恭介「光を信じる……か」
恭介(医者から諦めろと言われた僕にも……光はあるんだろうか)
ノックノック!
恭介「誰だろう、さやかが忘れ物でもしたのかな……どうぞ!」
ケイン「お邪魔します、元気ですか?」
恭介「は、はぁ……ほどほどには元気です」
ケイン「ああ、自己紹介が遅れたね。僕はケイン、君たちの学校のティーチャーだ」
恭介「ど、どうも。上條恭介と言います」
恭介(誰だろうこの人……どこかで見たような……)
ケイン「いきなり来て悪かったね、ちょっとしたお見舞いなんだ」
恭介「ああ、気にしないでください。来てくれてうれしいですよ」
ケイン「君の指のことは知ってるよ……大変なことになってしまったね」
恭介「……医者からは、バイオリンを弾くのは諦めろって言われました」
ケイン「……それで、君は?」
恭介「……さっき教えてもらったんです、『人間の光を失っちゃいけない』って」
恭介「だから……僕は諦めないです、どれだけ時間がかかってもきっとまたバイオリンを弾いてみせます」
ケイン「……じゃあ、僕もそれを少し手伝わせてもらおうかな」
恭介「えっ?」
ケイン「君の体を『Perfect Body』に変えるんだ」
パーフェッボディッwwwwwwwww
ケインすげえな
数日後
さやか「恭介ー、お見舞いに……って恭介!?」
恭介「ああさやか、来てくれてありがとう」
さやか「いやありがとうって……ど、どうしたのさその体!」
恭介「ちょっと鍛えてもらってね、まだまだパーフェクトボディには程遠いんだけれど」
さやか「に……二、三日でどうやって鍛えたのさ……ていうより、病院でどうやって……」
恭介「ん……ちょっと抜け出してるんだ、リハビリ代わりにね」
さやか「へ、へえー……何にしても、元気が出たみたいでよかったよ」
恭介「さやかのおかげさ……君のおかげで光を信じられた」
さやか「……そう言ってもらえると嬉しいな」
恭介「それと」
さやか「うん?」
恭介「ケイン先生は僕にとってのウルトラマンだね」
さやか「…………」
同時刻
ケイン「ハァッ!」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
魔女「…………」
ケイン「やったようだね」
マミ「ええ、先生のおかげ……かしら」
ケイン「ははは、僕は昇龍旋空脚をやっただけさ」
マミ(……その一撃で魔女は瀕死になったんだけど)
某所
杏子「何よアレ、あんなのがいるなんて聞いてないんだけど」
キュゥべえ「君は知らなくて当然さ、僕だって彼の存在を知ったのは先日のことなんだからね」
杏子「魔法少女でもねーくせに出しゃばりやがって……アイツ、うざいな」
キュゥべえ「どうするつもりだい、佐倉杏子?」
杏子「邪魔なやつがいるなら……消しちゃえばいいんでしょ?」
キュゥべえ「さて、君の思い通りにいくかな?」
杏子「何だよ、私が魔法少女でもないただの男に負けるとでも思ってんのか?」
杏子「マミと二人で来られたら面倒だけどさ、一人ずつならやられるはずないだろ?」
キュゥべえ「確かに君はマミにだって勝てるだけの力を君は持っているし、あの男にだって勝てるかもしれない」
キュゥべえ「ただし……君がまだ知らない魔法少女がこの町にはもう一人いるんだ」
杏子「もう一人の魔法少女……?」
キュゥべえ「暁美ほむらさ」
杏子「……知らねーな、そいつも魔法少女なんだよな?」
キュゥべえ「おそらく、ね」
杏子「おそらく? 契約したお前が何言ってんだよ?」
キュゥべえ「……僕から言えるのは、彼女は普通の魔法少女とは異なる存在ということさ」
杏子「ふーん……ま、どっちにしても私の邪魔になることに変わりはないんだろ?」
杏子「難しいことなんか考えず……全員、消すだけだ」
キュゥべえ「マミまで敵に回す気かい?」
杏子「さあ……どうだかな。まあ、なるようになるさ」
数日後
さやか「ケイン先生! びっくりだけどさ、恭介の指……動くようになったんだって!」
ケイン「聞いているよ、それに驚くことじゃない。『Perfect Body』を目指していれば、負傷くらいすぐに治るものさ」
さやか「いや、その理屈はおかしいような……」
ケイン「彼は、幼馴染の君が励ましてくれたから頑張れたって言っていたよ」
さやか「あはは……励ましたって言っても、先生が私に言った言葉をそのまま言っただけで……」
ケイン「サヤカだからこそ彼は光を見つけられたんだ……紛れもない、君の力だよ」
さやか「……うん、じゃあそういうことにしとくよ」
さやか(パーフェクトボディって……やっぱり先生が恭介を鍛えてたんだ)
さやか(でも、そんなこと一言も言わない……影で動いてそれを全部、私のおかげってことにして……)
さやか「……ありがとうね、先生」
―――
マミ「今日も……ついてきてくれるのかしら?」
ケイン「君の力になりたい、僕に出来ることは少ないけどね」
マミ「……優しいのね、ケイン先生は」
杏子「はっ、男と二人仲良く魔女退治……ってか?」
マミ「さ、佐倉……さん……!?」
ケイン「…………?」
杏子「腑抜けやがって……もう一人じゃ魔女を倒すことは出来ないってか?」
マミ「そ、そんなこと……」
杏子「聞いてるぜ、お前……魔女に喰われかけたところをその男に助けてもらったんだろ?」
マミ「!」
ケイン「君も、魔法少女(Puella Magi)なんだね?」
杏子「アンタも物好きだよな、何の契約もしてないくせに命かけて魔女と戦うなんて」
杏子「そういう物好きが……私は大嫌いなんだよ」
ケイン「!」
マミ「あ、危ない!」
ケイン「ハァッ!」
杏子(と、跳んだ……!? て言うか今の、人間の跳躍じゃねえぞ!?)
ケイン「暴力で話をしようとするのはよくないな」
杏子「……へえ、素手で魔女と戦ってるだけのことはあるじゃん?」
ほむら「ずいぶんと騒がしいのね……」
マミ「あ、暁美さん……!」
杏子「おっと……アンタも来たのかい、暁美ほむら」
ほむら「巴マミたちに接触した目的は何かしら、佐倉杏子」
杏子「テメー……どうして私の名前を……」
ほむら「さあ、どうしてかしら?」
ケイン「…………」
ケイン(穏やかな雰囲気じゃ、ないみたいだな)
杏子「私にとっちゃ……あんたも邪魔なんだよ、暁美ほむら」
ほむら「そう……それで、どうするつもり?」
杏子「こうするのさ!」
ほむら「!」
ケイン(マズイ……あの距離では躱すのも防ぐのも不可能だ……!)
杏子「…………!?」
杏子(き、消えた……?)
ほむら「……もう一度聞くわ、あなたはどうするつもりなの?」
杏子「!」
ケイン(一瞬で後ろに……速い、いや『Speed』じゃない。『Teleportation』のような……)
杏子「超人的身体能力を持った男に、正体不明の能力を持つ魔法少女……それにマミもいるわけか」
杏子「……こいつは、退いたほうが良さそうだね。アンタの手札が何も見えてこないしね」
ほむら「賢明な判断が出来るのね」
杏子「アンタたちのことは覚えとくよ。暁美ほむら、それに……ケイン・コスギ」
ケイン「…………」
マミ「佐倉さん……」
杏子「仲間がたくさんいていいじゃねーかマミ……せいぜい群れて小さく縮こまって怯えながら戦うんだな」
―――
ケイン「彼女は一体?」
マミ「佐倉さんも私たちと同じ魔法少女……だけど、私たちとは少しだけ考え方が違う」
マミ「他人に少しくらいの被害が出ようと……魔女を倒してグリーフシードさえ手に入れられればそれでいい……」
マミ「そんな風に考えてるの……」
ほむら「……彼女もまた、魔法少女の宿命に人生を左右されたのよ」
ケイン「…………」
翌日、某所
ケイン「元気ですか? キョウコ」
杏子「元気ですかって……何のようだい? サシで決着つける気でここに来たわけじゃないだろ?」
ケイン「少し、話をしに来ただけだよ。喧嘩をするつもりはないんだ」
杏子「話だって? 昨日、私はいきなりアンタに斬りかかったんだぞ?」
ケイン「…………」
杏子「はぁ……ま、いいか。こっちとしても、アンタたちの情報が欲しかったところだ」
杏子「リンゴならあるけど……食うかい?」
ケイン「リンゴ……ちょうどいい、このカレーとよく合うね」
杏子(バーモンドカレー……)
―――
杏子「で、聞きたいことってのは?」モグモグ
ケイン「君がどんな願いで魔法少女になったのか、すごく気になってね」
杏子「願い? 私の魔法少女としての能力だとか、そういうことを聞きたいんじゃないのかよ?」
ケイン「いや、そんなことは聞く必要はないよ」
杏子「ふーん……にしても、願いなんか聞いてどうしようってんだ?」モグモグ
ケイン「それを聞くことが、君をのことを理解する一番の方法だと思ったからだよ」
杏子「ちょっと長い話になるよ、それでも聞くかい?」モグモグ
ケイン「構わないよ、それとゆっくり噛んで食べるといい」
―――
ケイン「なるほど……そんなことが」
杏子「まあ、大した話じゃないさ。どんなヤツにだって起こりうる、ありふれた事件だよ」
杏子「それに、これについては私に全部の責任がある。私の自己責任ってことなのさ」
ケイン「…………」
杏子「だから私は悲劇のヒロイン面をするつもりもないし、今の自分のやってることで後悔が生まれるとも思ってない」
杏子「自分で考えて自分で決めたことさ、それで何か間違いがあったとしても全部私自身のせいなんだから」
ケイン「…………」
杏子「まあそういうことだね、だから私にはアンタがよく理解できないんだよ」
ケイン「僕が?」
杏子「魔法少女でもない、マミたちと特別な関係があるわけでもない……なのに魔女と戦ってるときた」
杏子「……アンタ、一体何を考えてるんだい?」
ケイン「君と何も変わらないさ」
杏子「…………?」
ケイン「僕の行動も、自分で考えて自分で決めたことだ。あの子たちを助ける、そう決めたんだよ」
杏子「アイツらを助けることで、何かアンタに利益でもあるのかい?」
ケイン「……さあ、どうだろうね。でも、未来ある子供たちを守れるだけでも十分に価値があるだろう?」
杏子「はっ、魔法少女に未来だって? 一生魔女を狩ることしかできないヤツにそんなモンありゃしないさ」
ケイン「あるさ」
杏子「?」
ケイン「誰の中にでも光はある、僕にはその光が見えるような気がするんだ」
杏子「…………」
杏子「……綺麗ごとだな」
ケイン「そうかもしれない、でも僕は君たちに守る価値があると思っている」
杏子「……『君』たち?」
ケイン「当然、キョウコだって守るさ」
杏子「私は慣れ合うつもりは……」
ケイン「それでも、ね」
杏子「…………」
―――
ケイン「彼女も、ずいぶん大変な道を歩んできたんだね」
ほむら「あなた……一人で佐倉杏子と接触してきたの?」
マミ「それどころか、一緒に仲良くカレーを食べてきたって……」
ケイン「……きっと、彼女も僕たちの味方になってくれると思うよ」
ほむら「…………」
ほむら(美樹さやかの契約を事前に防ぎ……巴マミの命を救い……佐倉杏子と接触するなんて……)
ほむら(この人は……一体……!)
―――
杏子「……何だってんだよ、アイツは」
キュゥべえ「ケインと接触したようだけれど……何かあったのかい?」
杏子「何も……むしろ、何もなくって拍子抜けさ」
キュゥべえ「彼を倒す、その計画はもういいのかい?」
杏子「さあ……けど、なーんかやる気が出ないんだよ」
キュゥべえ「…………」
杏子「ただ……もっと早く、ああいう大人と出会えてたら私も違う生き方ができたのかもな」
ケイン「元気ですか? キョウコ」
杏子「またアンタか……今日は何の用だい?」
ケイン「君と話をしたいという人がいてね」
杏子「あたしと……誰だよ、それ?」
マミ「佐倉さん……」
ほむら「…………」
杏子「はっ……誰かと思えば、マミと暁美ほむらじゃないか」
ケイン「彼女たちだけじゃないよ」
さやか「…………」
まどか「は、初めまして……」
キュゥべえ「…………」
杏子「ぞろぞろと大勢でご苦労さんだな……で、何をしようってんだい?」
さやか「詳しくは聞いてないけど……アンタも、魔法少女なんでしょ?」
杏子「……誰だアンタ?」
キュゥべえ「彼女は美樹さやか、君と同じく魔法少女になれる資質がある少女だよ」
キュゥべえ「そして……その隣にいるのが鹿目まどか。契約すれば、最強の魔法少女になるであろう力を持っている」
杏子「……へえ。けど、その青いを含めてどっちも契約してないんでしょ? だったら一般人と変わりやしないさ」
杏子「そんなヤツがなんで私と話をするってんだ、何の関わりもねーだろうに」
さやか「あるよ」
杏子「……なに?」
さやか「詳しくは知らない、けど……あんたも他人のために願って魔法少女になったんでしょ?」
さやか「それで……今はずっと自分のために戦い続けてる。だったら、放っておけるわけないじゃん!」
杏子「お前……何言って……?」
さやか「私も、最初は誰か他人のために契約しようとしてた」
杏子「…………」
さやか「多分、契約してたら今頃……魔女と戦って、傷ついて、後悔して……」
さやか「……みんなに迷惑をかけていたんじゃないかって思う」
杏子「……何が言いたいんだ?」
さやか「……同じなんだよ、私とアンタは。私は先生が近くにいたけれど、アンタにはいなかった」
さやか「ただ、それだけしか違わない……だから、私はアンタの味方でいたい」
杏子「…………」
ケイン「前にも言ったけれど、僕は君の味方だ。今からでも遅いなんてことはない」
ケイン「戦おう、一緒に」
杏子「…………」
マミ「佐倉さん……一人で戦うは確かに高潔だとは思う、それでも」
マミ「あなたと共に戦いたい人がこれだけいるの……だから、少しだけあなたの力を貸してくれないかしら」
杏子「…………」
杏子「……カレー」
マミ「え?」
杏子「カレー食わせてくれるんなら……いいよ、協力してやるさ」
まどか「か、カレーライスなんか今は……」
ケイン「持ってて良かった、バーモンドカレー」
―――
ほむら「ここで、あなたたちに言っておかなきゃいけないことがあるの」
杏子「何だよ、改まって……というかさ、一応こっちの味方になったんだ。あんたの魔法の種、教えてくれてもいいんじゃない?」
ほむら「それはまた後で順に説明するから……今は聞いて」
マミ「……何か、大事な話のようね」
ほむら「もうすぐ、この町にワルプルギスの夜が来るわ」
マミ「ワルプルギスって……まさか、あの……?」
ほむら「いえ……どこから説明すればいいかしら……もう、すべてを打ち明けるときなのかもしれない」
杏子「全てって……何のことだよ」
ほむら「魔法少女のこと、魔女のこと……そこにいるキュゥべえが私たちに黙っていること、全てよ」
キュゥべえ「…………」
マミ「そんな……魔法少女が魔女になるなんて……!」
ほむら「紛れもない事実よ」
杏子「……このソウルジェムがあたしたちの魂だってのか」
マミ「キュゥべえ! 今の話は本当なの!?」
キュゥべえ「彼女が言っていることに嘘はないね」
マミ「…………!」
キュゥべえ「どうしてそんな顔をするんだい? 僕はきちんと契約の時、君たちの願いを叶えたじゃないか」
キュゥべえ「契約のルールについても君たちは何も聞かなかったじゃないか」
杏子「テメー……よくもそんなこと言えるな……!」
キュゥべえ「……それより、君の正体がようやく分かったよ。暁美ほむら」
ほむら「…………」
キュゥべえ「時間遡行者、それが君の魔法少女としての特性だね」
キュゥべえ「それならば君が知りすぎていることも、僕が契約をした覚えがないことも、すべて説明が付く」
ほむら「…………」
キュゥべえ「そして、鹿目まどかになぜこれだけの力が蓄積……」
杏子「ゴチャゴチャ喋るな、テメー……それ以上何か言ったら」
キュゥべえ「やれやれ穏やかじゃないね……ここにいたらいくつ体があっても足りなさそうだ」
キュゥべえ「僕はここから離れることにしようか……ワルプルギスとの戦い、勝てることを祈っているよ」
ほむら「…………」
―――
杏子「時間遡行か……だったら、最初の時に私の攻撃を躱したのも説明が付くな」
まどか「ほむらちゃんは……ずっとこの世界をやり直してきたの……?」
ほむら「……ええ、そうよ」
まどか「ワルプルギスの夜っていう魔女と何度も何度も戦って……傷ついてたの?」
ほむら「…………」
まどか「酷いよ……そんなのってないよ」
さやか「……でも、何か分かった気がする」
ほむら「?」
さやか「さっきさ、私……杏子に色々と話したでしょ? 似てるとか他人のために契約したとか」
さやか「でも……何も聞いてなかったんだよね、本当はさ」
杏子「…………?」
ケイン「僕はサヤカに、サクラキョウコという名前の魔法少女がいるとしか言っていないよ」
さやか「その名前を聞いた時にさ……なんか感じたんだよね。『そいつに会わなきゃ』って」
ほむら「さやか……あなた、まさか前の記憶が……」
さやか「ううん、何も覚えてないよ。けど……なんとなく、そんな気がしたってだけ」
ほむら「そう……」
まどか「ねえほむらちゃん……一つだけ聞いていい?」
ほむら「何かしら?」
まどか「さっきキュゥべえが言いかけた……『鹿目まどかに力が蓄積』ってどういうこと?」
ほむら「…………」
まどか「もしかして……ほむらちゃんが何度も世界をやり直してるのって、私に関係があるんじゃ……」
ほむら「まどか!」
まどか「っ!」
ほむら「……あなたのせいじゃない、あなたは何も悪くないの。だから……決して魔法少女に関わろうとしないで」
ほむら「この世界では勝ってみせるから……あなたも、あなたも仲間もみんな守って……必ず!」
まどか「ほむらちゃん……」
マミ「でも……仮にワルプルギスを倒しても、私たちは最後には結局……」
ほむら「巴マミ……」
マミ「それなら……それならもう死ぬしかないじゃない……!」
ケイン「そんなことはないよ」
マミ「…………?」
ケイン「誰もが闇に怯えてる……誰もが夢を無くしてる……状況は絶望的かもしれない」
ケイン「だけれど、それでも光はある。最後まで諦めちゃいけない」
マミ「光って……」
ケイン「僕は魔法少女じゃない、だからあまり大きなことは出来ないけれど」
ケイン「明日を掴むために必要な勇気を、少しくらいなら与えることが出来る」
ケイン「戦おう……力の限り生きるために」
杏子「ホント……おかしな男だよな、アンタも」
ほむら「…………」
ほむら(今までの世界に存在しなかった教師……ケイン・コスギ……)
ほむら(彼が最後の戦いにどんな影響があるか……まるで読めない)
ほむら(でも……)
マミ「そこまで言われたら……私だって、戦うしかないじゃない。希望を捨てずに、ね」
ほむら(光が見える気がするわ……それはとても小さく、儚いものだけれど……)
ほむら「それでも……私は、この光に賭ける……!」
ケイン「…………」
ケイン(……決戦、か)
数日後、某所
「雷雲がとんでもない勢いで分裂と回転しています!明らかにスーパーセルの前兆です!」
「ただちに避難指示の発令を!!」
ほむら「来る……!」
杏子「すげぇ……さすが超大型の魔女ってだけのことはあるな」
マミ「それでも……勝たなきゃね、なんとしても」
ほむら「大切な物を守るために……」
ケイン「行こう」
避難所
まどか「……今頃、みんな戦ってるんだよね」
さやか「信じるしかないよ、私たちにはそれしかできないんだから」
まどか「……私たち、本当にここにいていいのかな」
さやか「…………」
まどか「みんな戦ってるのに、私たちだって戦えるのに……!」
さやか「……まどかだけは戦っちゃダメ、ほむらにあれだけ言われたでしょ」
まどか「でも……」
さやか「信じよう……必ずみんなが勝って戻ってくることをさ」
―――
バキッ!
マミ「うあっ!!」
杏子「マミ! くっそ……コイツ、デカいだけじゃないのかよ!」
ほむら「くっ……まだ、まだ……」
ほむら(まさか……これだけ攻撃を仕掛けても足止めすら出来ないなんて)
杏子「ほむら後ろだ!」
ほむら「っ!」
ケイン「危ない!」
バギッ!
ケイン「ぐっ…………!」
ほむら「ケイン!」
ケイン「大丈夫……気にしなくていい」
ほむら「ケイン……!」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
ワルプルギス『キャハハハハハ!』
マミ「そんな……最大限の力を込めて撃ったのに……!」
ほむら「…………!」
ほむら(これだけの魔法少女が集まっても……イレギュラーのケインがいても……)
ほむら(この日のためにどれだけ備えても……やれるだけのことは全部やっても……それでも……!)
ほむら(何度やっても……アイツに勝てない……!)
ほむら「まどか……!」
後悔、悲哀、憎悪……それら負の感情が暁美ほむらを支配しつつあった。
それは彼女の魂の大きな影響を及ぼすこととなり……ソウルジェムは目に見えて光を失っていった。
ケイン「…………!!」
だが、男はまだ諦めてはいなかった。
ケイン「負けるな……こいつには、絶対に負けちゃダメだ」
ほむら「ケイン……!」
傷ついた体を起こしつつ、頭の中に勝利のイメージを作り上げ思考する。
ケイン(諦めるわけにはいかない……今まで何度も戦ってきた……)
ケイン(どんな強敵にも退かなかった……絶対に負けたくない一心で戦い続けてきた)
ケイン(最強の……No.1を目指して……最後まで……!)
ケイン(それが……ケイン・コスギだ!!)
その時、声が聞こえた。
「伝説の王者のケインが何やってんの」
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
ケイン「!」
ケインより二回りほど小さい、さながら体操選手を思わせる男がいた。
池谷「それともその王者の席、俺に譲ってくれる?」
また、その隣には同じく彼としのぎを削り合った盟友は少女たちを勇気づける。
照英「君たちも、諦めるのはまだ早い。勝つ可能性がある限り、崖に指が掛かっているのなら最後まで戦うんだ」
また、プロのスポーツマンとして幾度も戦ったライバルは
大畑「仲間だったらいるさ、ここに。ケインが今まで戦い続けてきた仲間がね」
こっちの方向かよww
ほむら「あ、あなたたちは……?」
照英「君たちの味方さ、心配しなくていい」
池谷「まあ俺はケインに負けっぱなしでいるのが腹立つから来ただけやけどな」
マミ「は、はぁ……」
杏子「何か知らねーけど……戦力が増えるのは有難い話だ」
ケイン「……来てくれてありがとう、みんな」
大畑「まあまあ、久々に会ったんだから堅苦しいのはなしで……それにもう一人来てる」
ほむら「もう一人……?」
大畑「『伝説の王者』は間違いなくケインだけれど……『最強の王者』は間違いなく彼だ」
室伏「どうやら、間に合ったらしいね」
やっぱり室伏か
もう何もこわくない
照英「さあ、ここからもう一度仕切り直しだ」
マミ「……状況はよく分からないけれど、このままじゃ終われないわね」
杏子「ただの人間に助けられてばっかってわけにもいかねーよな」
ほむら「……ケイン」
ケイン「大丈夫、彼らは強いよ……行こう」
ケイン「ファイトォォォォォォ!!」
いっぱぁあああああ!!
古館『日本が、世界が、地球が危機にさらされている絶望的状況もなんのその!立ち上がった男たちがここにいる!』
『全てを破壊しつくす黒い感情、その名が絶望というならば俺たちはお前に問いかけよう』
『絶望よ、お前にやれるものならば俺たちを打ち倒してみろ!』
『俺たちはお前よりもはるかに強い好敵手(ライバル)たちと戦ってきた!!』
『この場にいる誰もがそう言わんばかりの精悍な表情をしております!』
『さあ見せてくれ超人(アスリート)たちよ! 絶望など取るに足らぬ存在であることをここに証明してくれ!』
『最強の守護神として、その名を歴史に刻むのは誰だ!!』
室伏「じゃ……さっそく、行かせてもらおうかな」
マミ「い、行かせてもらおうかなって……一人じゃ流石に……」
室伏は、破壊された建物の巨大な瓦礫に手をかけると
室伏「ガロン・スロー!!!」
掛け声とともに、それをワルプルギスへと放り投げた。
ワルプルギス「!?」
ただの瓦礫とは思えないまでの轟音を響かせながらの炸裂だった。
室伏「よし、コンディションは悪くない……」
マミ「…………」
杏子「バケモンだ、あれ」
照英「相変わらず規格外ですね、あの人は」
大畑「ちょっとパワー系じゃ勝負にならないな」
池谷「……いや」
ケイン「…………」
池谷「勝負仕掛ける気やわ、アイツ」
杏子「ちょっ……待てって、さすがにアンタでもさっきみたいなことは……」
杏子の制止も彼の耳には届いていなかった。
ケインは室伏が投げたのと変わらない大きさの瓦礫にを掴むと
ケイン「ハアアアアアアアァァァァッ!!」
咆哮と共に天高く撃ち放つ。
ワルプルギス「っ!!?」
その衝撃は室伏のそれと変わらない大きさであり、ワルプルギスも大きく後退した。
『吼えた吼えたァァァ! ケインが吼えたァァァ!! バトルの最初からエンジンがフルスロットルになっております!!』
室伏「へえ……彼もなかなかやるじゃないか」
照英「性格悪いなーお前、まだ全然余力残してるくせに」
大畑「いや、それでも先の室伏さんと変わらないパワーを出せたのは……」
池谷「認めざるを得んわな、ケインのパワーも」
ほむら「け、ケイン……そんな力があったなんて……!」
杏子「惚けてる場合か! ワルプルギスが怯んでる今がチャンスなんだぞ!」
マミ「一気に仕掛ければ終わらせられるかもしれないわ!」
池谷「さて……次は俺か、このロイター板も久々やな……なあケイン」
ケイン「ああ、思い出すよ……当時の戦いを」
池谷「懐かしむのもほどほどにな」
マミ「ロイター板って……まさか、跳び箱のアレ!?」
杏子「それ使ってワルプルギスまで跳ぶとか言うんじゃねーだろうな……」
池谷「ん、じゃあそれ見せたるわ。一発でポーンと」
杏子「……マジかよ」
『あの、少年時代の思い出はこの時代の予告編だったのか! グラウンドの栄光よ蘇れ!』
『さあアスリートよ! 人類の持つ可能性の光を、その跳躍を持って我々に示してくれ!』
池谷「おし……じゃあまずは軽く一発、跳んどくか」
池谷はロイター板の位置を調整し、ワルプルギスへと助走をする。
その背筋を伸ばした独特の走行フォームはまさしく、体操選手のそれだった。
池谷「ラァッ!」
ロイター板を最大限に生かしたその跳躍で一気に最高点に到達。
その落下途中にワルプルギスへと蹴りを放っていく。
その数、実に21!
『魅せたァァァ! 池谷、最初の跳躍から魅せてくれました!! いきなりの大記録!!』
室伏「跳躍では彼に敵う者はなかなかいないな」
照英「20は俺も無理だな、せいぜい18……いけて19くらいか」
大畑「ケインがどれだけ持っていくか、見てみるとしよう」
マミ「……この人たち、ワルプルギスを使って遊んでない?」
杏子「……いいんじゃねーの、しっかりダメージ与えてるし街に被害が出ないよう守ってんだし」
ほむら「…………」
『池谷の記録は20! この記録をケインは超えることができるでありましょうか!』
ケイン「…………」
ケインも同じくロイター板の位置を調整し、呼吸を整える。
跳べるイメージ、踏み込みの位置、助走の速さ……全てを計算し
男は走り出した。
ケイン「フッ!!」
重めの体を限界までロイター板を利用した跳躍で上昇させる。
同時、落下から旗られる連続した蹴り。
その数……21……22!!
『ケイン、22回の大跳躍ゥゥゥ!! 最後の一撃はギリギリでしたが、上手く体を逸らしつつ確実に決めてまいりましたァァァ!!』
照英「うおっ、二つ飛ばしてきたよケイン! やっぱすげーな」
室伏「体の逸らしが上手かったな、一番最後は」
大畑「ケイン22越えちゃってるけど、どうする?」
池谷「おっしゃもうやったるわ23! マジで! むっかつくわーアイツ!!」
照英「……とか言ってるわりに嬉しそうだな、アイツ」
杏子「なあ、私らもあれやってみるか?」
マミ「やめときなさい……私たちが踏み込んでいい領域じゃないわ」
ほむら「賢明ね」
『ケインのたたき出した22回の大記録、それを不服として打ち破らんと池谷直樹が挑戦します!』
『肉体のトルネード池谷直樹、人間の限界の23回を目標として今一度の跳躍を試みます!』
池谷「フーッ…………」
深呼吸を一つ……精神を限界にまで集中させ、168センチのその小柄な男は
宙を舞った。
池谷「ウラァッ!!」
見えない翼があるかのように上昇したその肉体、紛れもない最高の跳躍。
そこから放たれた無数の蹴撃がワルプルギスへと撃ちこまれていく。
21、22……23ッ!!
池谷「うっしゃあああああっっ!!」
『栄光への跳躍ゥゥゥ! 届いたァァァァ!! ここに来て池谷!! 高さと回数でケインを上回ったァァァ!!!』
ケイン「さすがです、池谷さん」
池谷「おーもうお前ケインほんっと焦らすなー! 22やった時はもう『やったろー!』って火ィついたって」
室伏「さて……そうこうやっているうちにあの魔女もだいぶ弱っているようだ」
ワルプルギス「…………」
杏子「確かに……あのうざったいキャハハ笑いもなくなってるな」
マミ「もうひと押し……っていったところかしら」
ほむら「後は……私たちの攻撃だけでも行けるかもしれないわね」
室伏「ただ……君たちが撃墜したことで浮いている魔女が落下したら……」
マミ「街に大きな被害が出る……わね」
ほむら「なら……完全に消滅させるしかない」
杏子「やれんのかよそんなこと……私たちの火力じゃかなり厳しいぞ」
ケイン「気にしなくていい、落下のフォローは僕たちが何とかする」
ほむら「何か……策があるの?」
ケイン「ショット・ガン・タッチであの魔女が落下する直前に掬い上げる」
大畑「なるほど……それなら俺たち全員が平等に動くことができるか」
照英「あのデカいのはさすがに一人じゃ浮かしきれないからな」
室伏「え?」
照英「え? って何で疑問が出てくるんだ。お前は人間辞めてるだろ」
杏子(いや、アンタらは等しく人間じゃねーよ……)
池谷「賭けるねーケイン、俺ら全員が落ちてくる魔女に届かんとエライ被害が出るぞ?」
ケイン「大丈夫、ここにいる仲間たちならやれるって信じてるから」
ほむら「ケイン……」
ケイン「街は僕たちが必ず守る、だからホムラたちは全力をあの魔女にぶつければいい」
杏子「……行こうぜ、コイツらならなんとかしてくれるさ」
マミ「信じてますから、ケイン先生のことを」
が、ワルプルギスはまだ死んではいなかった。
持ちうる最後の力を込め、己に向かってくる魔法少女を迎撃しようと攻撃を仕掛ける。
室伏「あれは……危ないかもしれないな」
ケイン「!」
杏子「ほむら! 避けろ!!」
マミ「危ない!」
攻撃が命中すればただではすまない……致命の一撃になってしまう可能性すらある。
ほむら(しまった……!)
その一撃の前に
ケイン「っ!」
男は立ちはだかり
ほむら「け、ケイン!?」
ケイン「ハアアアアアアアアァァァァァッ!!!」
雄叫びをもって、その攻撃を打ち消した。
『吼えた吼えたァァァァ!! ケインが咆哮したァァァァ!! まさに野獣の雄叫びィィィィ!!』
ほむら「あ、ありがとう……!」
ケイン「気にしなくていい……さあ、仕掛けるんだ」
杏子「喰らい……やがれ!!」
マミ「ティロ・フィナーレ!!」
ほむら「全ての火器を……撃ち尽くす……!!」
三人の魔法少女によって瀕死のワルプルギスの息の根は止められる。
浮遊力を失ったその魔女は重力に捉えられ街へと落下を始めた。
同時、選ばれし五人の超人たちが一斉にスタートダッシュを切る。
ショット・ガン・タッチ。
ボタンを押したと同時、十数メートル先に落下してくるボールが地面につく前に手で触れることができればクリアー。
与えられるポイントはその走行距離の長短により増減する。
これが一般的な『競技』としてのショット・ガン・タッチのルールである。
だが
今、地を駆け抜ける五人の戦士が行っているのは競技ではない。
人々を守れるか、否かを賭けた戦いであった。
古館『さあ一斉にスタート!! ぐんぐんと速度を上げていく! ケイン速い!! やはりケインは速い!!』
『室伏、池谷、大畑も並ぶように走り抜けています! 照英少し遅れているか! 照英が少し遅れているか!!』
照英「っ…………!!」
照英(届け……!!)
ワルプルギスが街の建物に触れる直前、五人の戦士は一斉に前方へ飛び掛かる。
その腕で、ワルプルギスの夜を、世界を闇に包んだ魔女を
空の彼方へと送り飛ばすために。
室伏「ヌアアアアアァァァッッ!!」
池谷「シャアアアアァァァッッ!!」
大畑「ウオオオオオォォォッッ!!」
照英「ウオアアアアァァァッッ!!」
ケイン「ハアアアアアァァァッッッ!!!」
――次の瞬間
――魔女の姿は地表にはなく
――そこには無傷の街が広がっていた
マミ「や、やった……の……?」
杏子「ホントにあの五人……やっちまいやがったよ」
ほむら「すごいのね……スポーツマンって」
ケイン「……終わった」
池谷「いやー! しっかしやれるもんやなー、人間」
室伏「それなりには手強い敵だったかな……いい運動になった」
大畑「照英、どうした?」
照英「いや……最後、俺だけ届かなったような……いや、小指が……」
照英なさけねぇwwwwwwwwwwwww
『スローで見てみましょう……まず一番最初に飛び込んできたのはケイン! この辺りはさすがと言ったところでありましょう!!』
『続いて室伏、大畑、池谷がほぼ横並びで突入しています! この三人も楽々と掬い上げております!』
『さあ最後、照英が飛び込んでくるが……これは……スーパースローで見てみましょう』
照英「…………」
『これは……四人がワルプルギスを打ち上げる直前……照英の手が……』
『触れているゥゥゥゥ! 小指が触れているゥゥゥゥ!!』
照英「いよっしゃぁぁぁぁっ!! 良かった……良かったぁ……!!」
『劇的な展開であります! 全員の力が合わさっての! 五人の戦士全員の力を持っての防衛でありました!!』
マミ「しょ……照英さん、そんなに泣かなくても……」
照英「もう……本当に……俺一人だけ何もできていない気がしてて……ホント辛かったけど……」
照英「小指が僕を救ってくれました……!!」
池谷「お前魅せるなー最後で、なんかああいうの腹立つわー!」
大畑「まあ、あの魔女の撃ちあがり方は四人じゃ無理だから触れているのは分かってたけどね」
室伏「終わりさえよければそれでよし、と言ったところか」
ケイン「…………」
ケイン「……いや、まだ終わってなかった。まだ一番の大元が残っていた」
室伏「?」
―――
まどか「やった……ほむらちゃんたち、やったみたいだよ! さやかちゃん!」
さやか「良かった……みんな無事で、本当に良かった……!!」
キュゥべえ「本当に良かったのかな?」
まどか「あ……!」
さやか「アンタ……!」
キュゥべえ「確かにワルプルギスは魔法少女たちとイレギュラーの存在で倒された」
キュゥべえ「でも、これで彼女たちの戦いが終わったわけじゃない。これからも魔女は出現し続ける」
キュゥべえ「そしていずれは彼女たちも……ね」
まどか「そんな……!」
ケイン「やっぱり、そういうことなのか」
まどか「ケイン先生! それにみんなも!」
ほむら「まどか……やっと、やっと私たちは……!」
まどか「頑張ったね……ほむらちゃん……!」
マミ「……暁美さん、あんなに泣いて」
さやか「多分、私たちには想像できないくらいたくさんのことを抱えてたんだろうね」
杏子「ったく、一人で勝手に強がっててさ……」
大畑「なんだか、いい雰囲気になっているみたいだね」
池谷「ま、あれに水差すようなことしてる輩はとっちめんとな」
キュゥべえ「どうするつもりだい? 僕という個体を破壊しても、僕という種は……」
ケイン「……だったら、やることは一つだ」
キュゥべえ「…………」
照英「出来るのか……俺たちに」
池谷「出来る出来ないじゃない、やるしかないんだからさ」
室伏「そこまで難しいことじゃない、俺たちなら」
大畑「準備はいいかい、ケイン……」
キュゥべえ「正気かい君たちは……僕たちインキュベーターを一斉に潰すことなど出来るはずがないだろう」
ケイン「…………」
ケイン「If you do your best and never give up, anything is possible.」
室伏「さすが……良いことを言うね、ケイン」
ケイン「行きます……僕に合わせて、力を解放してください」
ケイン「ファイトォォォォォォォーー!!!」
いっぱあああああああああつ
――ケインの掛け声と共に生じた五人のエネルギーは
――1個体であるキュゥべえから全個体へと伝導し、一気に炸裂した。
――すなわち
――インキュベーターと呼称される種族は、地球上から撃滅されたのだ。
室伏「……今度こそ、終わったか」
照英「ケインの掛け声と同時に声を出したの、俺たちだけじゃなかったかもな」
大畑「ああ、俺たち以外に何人も力を貸してくれた……」
池谷「ケイン」
ケイン「?」
池谷「認めるわ。やっぱNO.1はケインってな……ただ、隙があったら一発で王者奪還するからな」
ケイン「……これからも、ライバルとして戦っていこう」
池谷「……そういう前向きな性格もなー、なーんか腹立つわー」
照英(とか言いながら、やっぱり嬉しそうじゃないか)
まどか「ほ、ほむらちゃん……ソウルジェムが……!」
さやか「き、消えた……ていうか、魔法少女じゃなくなった……?」
ほむら「ど、どういう……!」
ケイン「君たちが契約をした、インキュベーターという種族がいなくなったからさ」
マミ「それって……つまり……」
ケイン「もう、魔法少女として君たちが戦う必要はない」
杏子「!」
ほむら「じゃあ……私は、もう……」
ケイン「……普通の、女の子だ」
ほむら「あ……あ……!」
まどか「えへへ……これからは、ずっと友達でいられるね。ほむらちゃん」
ほむら「ま、まどかぁ……」
杏子「…………」
ケイン「前に、言った通りになってよかったよ」
杏子「ん、何がだ?」
ケイン「魔法少女に光ある未来が訪れることになって……ね」
杏子「…………」
杏子「ホント、アンタには敵わねーな」
ワルプルギス戦から数日後
まどか「け、ケイン先生はまたアメリカに戻っちゃうんですか!?」
ケイン「一週間程度の仮講師のようなものだったからね……」
さやか「そ、それにしたって……」
マミ「もう少し時間を取れないんですか……?」
ケイン「すまないね……もう、あまり時間がないんだ」
杏子「……突然にもほどがあんだろ、アンタ……まだロクに礼も言えてねーのに……」
ほむら「…………」
ケイン「前に言ったと思うけれど……もう一度だけ最後に言っておくよ」
ケイン「誰の心の中にも光はある、それは絶対に失っちゃいけないものだ」
ケイン「それに……僕とだって二度と会えないわけじゃない」
ケイン「目を開いて周りを見れば、きっと僕が見える……」
まどか「ケイン……先生……!」
マミ「……本当に、お世話になって助けられて」
杏子「もう、なんて言っていいかわかんねーけど」
さやか「とにかく……ありがとう、本当に」
ほむら「…………ねえ、ケイン」
ケイン「…………?」
ほむら「また……あなたがNO.1になるところ、見せてくれる?」
ケイン「いつか、必ずね。好敵手たちに勝つためにも、これから少し体を鍛えてくるよ」
ほむら「そう……じゃあ、その時が来るのを楽しみに待ってるわ」
ケイン「僕も、君たちと同じようにその時を待っているよ」
――いつか、必ずNO.1に。
――その約束のため、彼は今も積極的に表舞台で活躍することはせずに鍛錬に励んでいる。
――そしsて、その鍛錬が終わった時
――彼は約束を守るため、輝かしいNO.1の称号を背負った姿を見せてくれるに違いない。
Fin
乙
面白かったよ
乙乙
完全無欠のハッピーエンドだな
やれるもんだね、立て逃げでも。落ちるの勿体ないとか思って長々と書いちまった
仕方ないね、だってケインだもん。パワードへの変身とか期待した人は申し訳ない
何か前にイチローで似たような話をやったけど許してね
イチロー「魔法少女か・・・・・・」
転載元
ケイン・コスギ「Puella Magi……魔法少女?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1353683016/
※この物語はフィクションであり、登場する団体・人物などの名称はすべて架空のものです。
ケイン・コスギ「Puella Magi……魔法少女?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1353683016/
※この物語はフィクションであり、登場する団体・人物などの名称はすべて架空のものです。
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コメント一覧 (40)
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- 2012年11月25日 08:33
- デレデレデレデ!
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- 2012年11月25日 08:58
- さすがニンジャブラック・ジライヤや!
さんまのなんでもダービーに出演したとき、主役のニンジャレッド他を差し置いて
カクレンジャー代表みたいに扱われてたのも懐かしい。
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- 2012年11月25日 09:03
- 流石NINJAとウルトラマンやってた人は違うなww
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- 2012年11月25日 09:04
- \ニンジャブラァッ ジライヤッ!/
\ギンガブルー! ゴウキッ/
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- 2012年11月25日 09:19
- やっぱりイチローの奴書いた人だったか
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- 2012年11月25日 09:40
- 途中であれ?って思ったらイチローの人か
納得したわ おもしれえ
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- 2012年11月25日 09:54
- そういえばブラックはケインだったな懐かしい
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- 2012年11月25日 10:02
- パワードになると思ったら室伏かwww
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- 2012年11月25日 10:09
- パーフェクトボディならピッコロさん並に再生しそうだな…
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- 2012年11月25日 10:21
- 照英はなんで銀河転生しなかったんや
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- 2012年11月25日 10:26
- 俺はパワードのほうしか知らなかったけど、カクレンジャーもやってたのか
後は仮面ライダーやれば完璧じゃん
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- 2012年11月25日 11:13
- ケイン濃すぎって気づいたらいなくなってたよな…
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- 2012年11月25日 11:28
- なんか懐かしい気がしてたらイチローの人かwww
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- 2012年11月25日 11:30
- カクレンジャー ニンジャニンジャー
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- 2012年11月25日 12:11
- というか衣装持ってきてるのはいいとして、持ち歩いてたのかよwww
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- 2012年11月25日 12:29
- 普通にカクレンジャーで良かったやん……
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- 2012年11月25日 13:06
- ケインが吠えた~!
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- 2012年11月25日 13:16
- ワルプルギスは競技の道具じゃねえwww
-
- 2012年11月25日 13:22
- バーモンドカレーw
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- 2012年11月25日 13:23
- 戦隊とクロスだと思っていたら筋肉番付とクロスだった。
何w(えy
やっぱりイチローの人かよw
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- 2012年11月25日 14:49
- パワードのOP大好きだからちょっと出てきてくれて嬉しい
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- 2012年11月25日 15:32
- まどマギSSにアスリートが登場した時の安心感は鉄板だなw
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- 2012年11月25日 15:45
- いいんだけどちょっと雄叫び万能過ぎか…いや、彼らならやりかねない
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- 2012年11月25日 17:05
- 古館どっから出てきたwwww
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- 2012年11月25日 18:48
- カクレンジャーでがんばってほしかったな
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- 2012年11月25日 19:34
- そういえばブラックってケインコスギだったな、懐かしい。
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- 2012年11月25日 19:47
- すぽーつのちからってすごい(小並感)
カクレンジャークロスかと思ってたら人間辞めてる人達のスレだった。
どっちにしろ終始ケインのカタコトが脳内再生余裕だったけどw
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- 2012年11月25日 21:04
- 室伏世界救いすぎぃ!
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- 2012年11月25日 21:34
- >>照英「あのデカいのはさすがに一人じゃ浮かしきれないからな」
>>室伏「え?」
確かに室伏なら女神まどかの魔女でも倒しそうだしなぁ
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- 2012年11月25日 22:49
- 古舘の実況がそれっぽくてよかった
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- 2012年11月25日 23:45
- 筋肉番付、カクレンジャーにパワードなどなどケインの出演作品を随所に盛り込んでいたのが素晴らしい。
ところで、ケインの言ってた兄さんって小川輝光のこと?
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- 2012年11月26日 00:37
- パワードのOPや台詞が所々あってめっちゃ嬉しかったwwww
ケインは昔から俺の中じゃヒーローって感じで大好きだったなー
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- 2012年11月26日 01:16
- >>31
和英辞書くれた人だっけか、カクレンジャーで共演してた
てか意外と凝ってるなこれ、ケインが日本に来た時に話せた一つだけの日本語の「元気ですか?」が頻繁に出てたり
パワードの台詞とか主題歌がちょこちょこ出てたり・・・・・・
照英の小指とか、ケインの英語とか池谷の負けず嫌いとか全部スポーツマンの大会で実際にあったやつじゃんかwww
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- 2012年11月26日 05:20
- 感服wwww
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- 2012年11月26日 10:37
- タイトルホイホイってレベルじゃねーなおいw
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- 2012年11月26日 17:10
- 最高だったわ・・・すげぇ・・・
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- 2012年11月27日 09:27
- カクレンジャーで初登場したときのなっさけないヘェ~ルプというセリフがいまだに記憶にある
...正直腐った芋ようかんを期待してしまった これが刺激になってカクレンジャーのSSとか増えないかな
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- 2012年11月28日 23:18
- かっこいい・・・・///
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- 2012年11月30日 23:09
- カックッレンジャー ニンジャニンジャー
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- 2022年07月13日 10:50
- そういえばケイン・コスギはライダーにも出てとうとう特撮制覇するね。