十三年後のクレヨンしんちゃん
- 1 名前: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:41:45.75 ID:60VRmiQN0
僕はシロ、しんちゃんのともだち。十三年前に拾われた、一匹の犬。
まっ白な僕は、ふわふわのわたあめみたいだと言われて。
おいしそうだから、抱きしめられた。
あの日から、ずっといっしょ。- 5 名前: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:43:23.40 ID:60VRmiQN0
「行ってきマスの寿司~~~~~~。」
あいかわらずの言葉といっしょに、しんちゃんは家から飛び出していった。
まっ黒な上着をつかんだまま、口に食パンをおしこんでいるところを見ると、
今日もちこくなんだろう。
どんなに大きな体になっても、声が低くなっても、朝に弱いのは昔から。
特に今年は、しんちゃんのお母さんいわく『ジュケンセイ』というやつだから、
さらにいそがしくなったらしい。
たしかに、ここのところのしんちゃんは、あんまり僕にかまってくれなくなった。
しかたのないことだとしても、なんだかちょっと、うん。
さみしいかもしれない。
- 6 名前: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:43:42.54 ID:60VRmiQN0
せめてこっちを見てくれないかな、と言う気持ちと、がんばれという気持ち。
その二つがまぜこぜになって、とにかく少しでも何かしたくなって。
小さくほえてみようとしたけれど、出来なかった。
なんだかとても眠たい。
ちかごろ多くなったこの不思議な感覚、ゆっくりと力が抜けていくような。
あくびの出ないまどろみ。
閉じていく瞳の端っこに、しんちゃんの黄色いスニーカーが映って。
ああ今日もおはようを言い損ねたと、どこかで後悔した。
- 7 名前: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:44:22.87 ID:60VRmiQN0
ぴたぴたとおでこを触られる感覚に、急に目が覚める。
いっぱいに浮かんだ顔に、おもわず引きぎみになった。
ひまわりちゃんだ。
「シロー。朝ご飯だよ。」
そう言いながらこちらをのぞき込んでくる顔は、しんちゃんに似ていて。
やっぱり兄妹なんだな、と思う。
「ほら、ご飯。」
ひまわりちゃんは、片手で僕のおでこをなでながら、もう片方の手でおわんを振ってみせる。
山盛りのドッグフード。まん丸な目のひまわりちゃん。
あんまり興味のない僕のごはん。困った顔のひまわりちゃん。
僕は、それをかわるがわる見ながら、迷ってしまう。
お腹は減っていない。
でも食べなければひまわりちゃんは、もっと困った顔をするだろう。
でも、お腹は減っていない。
- 8 名前: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:44:48.83 ID:60VRmiQN0
ひまわりちゃんは、悲しそうな顔になって、僕の目の前にごはんを置いた。
そして、両手でわしわしと僕の顔をかきまわす。ちょっと苦しい。
「お腹減ったら、食べればいいよ。」
おしまいにむぎゅうっと抱きしめられてから、そう言われた。
ひまわりちゃんは立ち上がると、段々になったスカートをくるりと回して、
そばにあったカバンを持つ。
学校に行くんだ。
いってらっしゃいと言おうとしたけれど、やっぱり言う気になれなくて。
僕はぺたんとねころんだ。
へいの向こうにひまわりちゃんが消えていく。
顔の前に置かれたおちゃわんを、僕は鼻先ではじに寄せた。
お腹は、ぜんぜん空いていない。
- 10 名前: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:45:32.66 ID:60VRmiQN0
ごはんを欲しいと思わなくなった。
おさんぽにも、あんまり興味はなくなった。
でも、なでてもらうのは、まだ好き。
抱きしめられるのも、好き。
『ジュケンセイ』っていうのが終わったら、しんちゃんは。
また僕をいっぱい、なでてくれるのかな。抱きしめてくれるのかな。
そうだといいんだけど。
- 12 名前: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:45:48.60 ID:60VRmiQN0
目を開くと、もう辺りはうすむらさき色になっていて。
また、まばたきしているうちに一日が過ぎちゃったんだと思う。
ここのところ、ずっとそうだ。何だかもったいない。
辺りを見回して、鼻をひくひくさせる。しんちゃんの匂いはしない。
まだ、帰ってきてないんだ。
さっき寄せたはずのおちゃわんのごはんが、新しくなっている。お水も入れ替えられている。
のろのろと体を起こして、お水をなめた。冷たい。
この調子なら、ごはんも食べられるかと思って少しかじったけれど、ダメだった。
口に中に広がるおにくの味がキモチワルイ。思わず吐き出して、もう一度ねころがる。
夢のなかは、とてもしあわせな世界だった気がする。
僕はまた夢を見る。
しんちゃんと最後に話したのは、いつだっただろう。
- 14 名前: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:46:14.94 ID:60VRmiQN0
僕はしんちゃんを追いかけている。
しんちゃんはいつものあかいシャツときいろいズボン。小さな手は僕と同じくらい。
シロ、おて
シロ、おまわり
シロ、わたあめ
『ねえしんちゃん。僕はしんちゃんが大好きだよ。』
『オラも、シロのこと、だいすきだぞ。シロはオラの、しんゆうだぞ!』
わたあめでいっぱいのせかいはいつもふわふわでいつもあったかで
いつまでもおいかけっこができる
いつまでも
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/07(金) 01:46:49.98 ID:q4SEiyGF0
シロ視点か。斬新だな
- 17 名前: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:47:29.54 ID:60VRmiQN0
すいません。とりあえず第一話が此処までくらい。
名前欄に入れとくの忘れてた…お恥ずかしい。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/07(金) 01:47:51.81 ID:VZ3kQA440
これは、、、これはッ!!!
- 20 名前:第二話(1/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:48:48.90 ID:60VRmiQN0
また朝がきた。
でも、その日はいつもと違っていて。しんちゃんのお母さんが、僕を車に乗せてくれた。
しんちゃんのお母さんの顔は、気のせいか苦しそうだった。
車はまっ白なお家の前で止まって、僕は抱きしめられたまま下ろされる。
そして一回り大きなふくろの中につめられた。まっくらだ。どうしようか。
昔なら、びっくりしてあばれてしまったかもしれない。でも今は、そんな力も出ない。
とりあえず丸くなると、体がゆらゆらとゆれた。
それがしばらく続き、次にゆれが収まって、足もとがひんやりとしてくる。
- 21 名前:第二話(2/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:49:20.46 ID:60VRmiQN0
いきなり辺りがまぶしくなった。
目をぱしぱしさせていると、変なツンとした匂いがする手につかまれ、持ち上げられる。
いっしゅんだけ体が宙に浮いて、すぐに冷たい台の上に下ろされた。
まっ白い服を着た人が、目の前に立っている。そばには、しんちゃんのお母さん。
二人が何かを話している。白い人が、僕の体をべたべた触る。
しんちゃんのお母さんが、泣いている。
- 22 名前:第二話(3/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:49:54.03 ID:60VRmiQN0
どうして泣いているのか解らないけれど、なぐさめなくちゃ。
でも、体が動かない。またあの眠気がおそってくる。起きていなきゃいけないのに。
なんとか目を開けようとしたけれど、ひどく疲れていて。
閉じていく瞳を冷たい台に向ければ、そこに映るのはうすよごれた毛のかたまり。
なんて、みすぼらしくなってしまったんだろう。
- 24 名前:第二話(4/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:50:16.79 ID:60VRmiQN0
ああそうか、僕がこんなになってしまったからなんだ。だからなんだ。
だからしんちゃんは、僕に見向きもしないんだ。
おいしそうじゃないから。
あまそうじゃないから。
僕はもう、わたあめにはなれない。
- 26 名前:第二話(5/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:50:52.84 ID:60VRmiQN0
わたあめ。
ふわふわであまあまの、くものかたまり。
いちど地面に落ちたおかしは、もう食べられないから。
どんなにぽんぽんはたいても、やっぱりおいしそうには見えないよね。
だけど、君はいちど拾っててくれた。
だれかが落として、もういらないって言ったわたあめを。
だから、もういいんだ。
- 28 名前:第二話(6/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:51:12.89 ID:60VRmiQN0
何かにびっくりして、僕はまた戻ってきた。
見なれた僕のお家。いつもの匂い。少しはだざむい、ゆうやけ空。
口の中がしょっぱい。
「なんで!!!!!!」
いきなり、辺りに大声が響いた。びりびりとふるえてしまうような、いっぱいの声。
重たい体をひきずって、回り込んで窓からお家の中をのぞきこむ。
しんちゃんのお父さんとお母さん、ひまわりちゃん。
そして、僕の大好きなしんちゃんも。
みんなみんな、泣いていた。
- 29 名前: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:52:08.73 ID:60VRmiQN0
短い話だから、何とかなるかもしれないけれど、規制かかったらすいません。
第三話いけるかな…?
- 32 名前:第三話(1/4) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:54:02.21 ID:60VRmiQN0
「母ちゃんの行った病院は、ヤブだったに決まってる!! オラが、他の病院に連れてくぞ!!!」
しんちゃんが、ナミダをぼろぼろこぼしながら、怒っている。
ひまわりちゃんも、うつむいたまま顔を上げようとしない。
「しんのすけ、落ち着け。仕方ないんだ。」
しんちゃんのお父さんが、ビールの入ったコップをにぎりしめたまま呟いている。
「仕方ないって、父ちゃんは…ホントにそれでいいの!!!???」
「良いわけないだろ!!!!!」
しんちゃん以上のその大きな声に、だれもなにも言わなくなった。
その静かな中に、しんちゃんのお父さんの低い声が、ゆっくりひびく。
- 33 名前:第三話(2/4) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:54:26.96 ID:60VRmiQN0
「しんのすけ、良く聞け。いいか、生き物は何時かは死ぬんだ。
それは、俺たちも同じだ。……もちろん、ひまやお前の母さんもそうだ。
それが今。その時が、いま、来ただけなんだよ。解ってたことだろう?」
しんちゃんは、なにも言わない。しんちゃんのお母さんも、続ける。
「あのね、ママが最初ペットを飼うのに反対したのはね、そう言う意味もあるの。
しんちゃんに辛い思いをさせたくなかったから…ううん。
私自身が、そんな辛いお別れをしたくなかったから。だから、反対してたの。
でも、もうこうなっちゃった以上、仕方ないでしょう?
せめて、最期を看取ってあげることが、私たちに出来る一番良い事じゃないの?」
「最期って!!!」
しんちゃんが泣いている。ぼろぼろ泣いている。手をぎゅっとにぎりしめて。
僕よりもずっと大きくなってしまった手を、ぎゅっとかたく。
- 34 名前:第三話(3/4) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:55:04.41 ID:60VRmiQN0
僕の体のことは、たぶんだれよりも僕自身が一番知っていて。
でも、いいと思っていた。
このままでもいいって。
だって夢の中はあんなにもあったかくてあまくって。
だからずっとあそこにいても、かまわないと思ってたんだ。
それじゃだめなの?
- 36 名前:第三話(4/4) ◆TmK8dn3Gxg :2006/04/07(金) 01:56:13.74 ID:60VRmiQN0
しんちゃんがこっちを見た。
しばらく目をきょろきょろさせたあと、僕を見付けて、顔をくしゃくしゃにさせる。
「シロ。」
名前を呼ばれた。本当に、ひさしぶりに。
わん。
なんとか声が出た。本当に小さくて、ガラスごしじゃあ聞こえないかと思ったけれど。
でも、たしかにしんちゃんには届いた。
しんちゃんが近付いてくる。窓を開けて、僕に手をのばして。
「大丈夫、オラが、何とかしてやるぞ。」
やっと抱きしめてくれたしんちゃんの胸は、いっぱいどくどく言っていて、
夢の中の何十倍も、とってもあったかかった。
ねえ、よごれたわたあめでも。
- 39 名前:第四話(1/6) ◆TmK8dn3Gxg :2006/04/07(金) 01:58:12.06 ID:60VRmiQN0
僕は夢を見る。
何度目になるかはわからない夢。でも、それは今までとはちがう夢。
- 41 名前:第四話(2/6) ◆TmK8dn3Gxg :2006/04/07(金) 01:58:27.31 ID:60VRmiQN0
僕は段ボール箱に入っていて、そのはじをしんちゃんがヒモで三輪車に結びつけている。
三輪車がいきおいよく走る。
箱ががたがたゆれて、ちょっときもちが悪い。
ふいに、その箱から引っぱり出され、僕は自転車のかごに乗せられた。
小さな自転車。運転しているのはしんちゃん。せなかにはまっ黒なランドセル。
シロに一番に見せてやるぞって、嬉しそうにしょって見せてくれたランドセル。
まだまだ運転は下手だったけど、とってもあたたかかった、春。
- 42 名前:第四話(3/6) ◆TmK8dn3Gxg :2006/04/07(金) 01:59:03.35 ID:60VRmiQN0
自転車のかごが一回り大きくなる。
くるりとまわると、しんちゃんが今度は、まっ白なシャツを着ていた。
自転車も、新しくなっている。もうよたよたしていない。スピードも、速い。
そういえば、よくお母さんに怒られたとき、
ナイショだぞって僕を、こっそりフトンの中に入れてくれたよね。
もちろん次の日には、お母さんに怒られるんだけど、それでもやめなかった。
二人だけのヒミツがあった、きらきらしてまぶしい、夏。
- 43 名前:第四話(4/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:59:41.64 ID:60VRmiQN0
ぼんやりしていたら、ひょいっとかごから下ろされた。
代わりに自転車を押しているしんちゃんのとなりに並んで歩く。
しんちゃんはずいぶん背が伸びて、お父さんと変わらないくらいになった。
お母さんといっしょに使っている自転車が、ぎしぎしと音を立てる。
でも、どんなに大きくなっても、きれいな女の人に目がいくのは変わらない。
こまったくせだなあと思いながらも、どこか安心してる僕がいる。
いつまでも変わらないでいて欲しかった、少しだけ乾いた風が吹く、秋。
- 44 名前:第四話(5/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:00:07.68 ID:60VRmiQN0
寒い冬。
あんまり話してくれなくなった。
おさんぽも、少なくなって。こっちを見てくれることも少なくなった。
見えるのは横顔だけ。
楽しそうな、悲しそうな。ぼんやりした、困った。怒っているような、悩んでいるような。
そんな、横顔だけ。
寒い冬。小屋の中で、ひとりで丸くなっていた、冬。
- 45 名前:第四話(6/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:00:29.17 ID:60VRmiQN0
寒かった冬。でも、冬は春への始まり。あたたかな春への始まり。
僕は丸まって、わたあめのようになって、あったかいうでの中で。
春の始まりをまっている。
たとえそれがほんのいっしゅんのものでも。
- 48 名前:第五話(1/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:02:11.66 ID:60VRmiQN0
かしゃん、という、なにかがたおれる音がして、僕は目を開けた。
電灯がぽつりぽつりとついた、暗い道の真ん中で、見なれた自転車が横になっている。
のろのろと首を上げると、しんちゃんの前髪が顔に当たった。
道のはじっこのカベに、もたれかかるようにしてしゃがみ込むしんちゃん。
その体はひっきりなしにふるえていて、とても寒そうだった。
僕を抱きしめたまま、動こうとしないしんちゃん。
しんちゃんに抱きしめられたまま、動くことができない僕。
ああだれか僕の代わりに、しんちゃんを抱きしめてあげて。
- 49 名前:第五話(2/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:02:35.86 ID:60VRmiQN0
「ごめんな、ごめんなシロ。オラ、何にも出来なかった。」
ぽつりぽつりと、しんちゃんが話しかけてくれる。
「いっぱい病院回ったんだ、でも、どこも空いて無くて。
空いてるトコもあったんだけど、大抵シロを一目見ただけで…何も。
あいつらきっとお馬鹿なんだぞ。お馬鹿だから、何にも出来ないんだ。」
しんちゃん、泣いてるの? ねえ、泣かないで。
「でも、ホントにお馬鹿なのは……オラだ。」
しんちゃんなかないで。
「オラっ……シロがこんなになってるの、気付かなくて…!!
ずっと、一緒にいたのに…親友だって……思ってたのに、なのに!!!」
なかないで、もういいから。
「シロっ…………。」
- 50 名前:第五話(3/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:03:01.37 ID:60VRmiQN0
しんちゃんが泣いている。僕はなにもできない。
せめて元気なところを見せようと思って、僕はしんちゃんのほっぺたをなめた。
しんちゃんのほっぺたは、少しだけ早い春の味。
- 51 名前:第五話(4/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:03:28.44 ID:60VRmiQN0
僕がメスだったら、しんちゃんのために子供を作っただろう。
僕が居なくなっても、寂しくないように。
僕がわたあめだったら、しんちゃんのためにせいいっぱい甘くなっただろう。
僕が食べられても、甘さが少しでも長く口にのこるように。
僕が人間の手を持っていたら、しんちゃんを抱きしめただろう。
僕がしんちゃんにもらった、温もりを返すために。
僕が人間の言葉をしゃべれたら。
きっと、いっぱいいっぱいのありがとうとだいすきを、君に。
- 52 名前:第五話(5/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:03:57.22 ID:60VRmiQN0
ひっきりなしにこぼれるナミダをなめながら、僕はあることに気が付いた。
僕はここを、今しんちゃんがすわりこんでいるここを、知っている。
ここは、僕と君が初めて会ったところ。
僕と君との、始まりの場所。
- 54 名前:第五話(6/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:04:19.48 ID:60VRmiQN0
僕は待っていた。
あきらめながらも、いつか。
いつか、おっこちたわたあめでも。
おいしいそうだって言ってくれる人が。
ひろいあげて、ぱんぱんってして。
まだ食べられるぞって、言ってくれる人が、来てくれるって。
- 59 名前:最終話(1/3) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:05:47.18 ID:60VRmiQN0
「シロ。」
名前をよばれて、僕は顔を上げる。しんちゃんが、笑っていた。
まだまだナミダでいっぱいの顔で、それでも笑っていた。
「シロ、くすぐったいぞ。
そんなにオラの涙ばっか舐めてたら、しょっぱい綿飴になるぞ。
しょっぱいシロなんて、美味しそうじゃないから。
だからシロ、オラ、待ってるから。
今度はオラが待ってるから。」
しんちゃん。
「だから、もう一度、美味しそうな綿飴になって。
そんでもって、戻ってくるんだぞ。」
だいすき。
- 61 名前:最終話(2/3) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:06:26.84 ID:60VRmiQN0
ぼくはしんちゃんに抱きしめられながら、さいごの夢を見る。
もういちど、わたあめになる夢を。
もういちど、おさとうになって、とかされて。
くるくるまわって、あまい、あまいわたあめになる。
目ざめたときに、だれよりも、
君がおいしそうだって言ってくれるわたあめになるために。
ふわふわのわたあめ。さくらいろの、あったかなわたあめ。
君が大好きだっていうキモチをこめた、君だけのわたあめ。
- 62 名前:最終話(3/3) ◆TmK8dn3Gxg[ありがとうございました] :2006/04/07(金) 02:06:58.49 ID:60VRmiQN0
僕はシロ、しんちゃんのしんゆう。十三年前に拾われた、一匹の犬。
まっ白な僕は、ふわふわのわたあめみたいだと言われて。
おいしそうだから、抱きしめられた。
僕はシロ、しんちゃんのしんゆう。
今度はさくらいろの、ふわふわのわたあめになって。
君に、会いに行くよ。
- 63 名前: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:08:18.05 ID:60VRmiQN0
勢いで此処まで書かせていただきました。
至らない点も多かったと思いますが、ありがとうございました。
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/07(金) 02:08:38.66 ID:8f99xRtB0
画面が見えない゚・*:.。. .。.:*・゜゚*・゜゚・*:.。..。・゜・(ノД`)・゜・。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/07(金) 02:08:38.74 ID:0mPpFpCC0
>>1
最高b
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/07(金) 02:08:50.22 ID:HRfbLpOe0
。・゚・(ノД`)・゚・。ブラボー
- 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/07(金) 02:45:36.52 ID:24jFgRiBO
これで絵本とか作ってほしい
- 172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/07(金) 04:04:51.44 ID:+0MzEJfUO
>>1 おまい最高
- 258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/07(金) 13:46:34.96 ID:Abf82nPv0
泣いたとか
いってるヤツ
たのむから氏ね
感じ悪いとかじゃなくてオマエら
動くだけでキモいんだからさ
しねよ
たのむから
- 495 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 00:24:24.46 ID:bQZ9lpfo0
しんちゃん世代だったからすごくすんなり入れた。
クオリティタカス。
感動をありがとう。
- 643 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 11:14:56.07 ID:opJfpHnT0
自分先月10年飼ったペットが死んだからさぁ・・・
これ読んだらまじ思い出してつらい・・・
- 746 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/08(土) 14:27:15.31 ID:8/WGMZvwO
感動したお
ドラえもんみたいに映画で番外編でやって欲しいお
- 838 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 18:08:11.21 ID:JqUyZg4y0
>>1
よかたよ
- 897 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 19:54:05.09 ID:cGGTWuDXO
泣いたのは高校野球の予選で負けて以来だ…。
- 966 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 21:11:23.29 ID:P+hmyTrX0
読んだよ
作者さんありがとう
- 996 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 21:43:27.72 ID:OoYCnf0S0
1000ならシロはしんちゃんの恋人
- 999 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 21:43:52.94 ID:hkfu5n0z0
1
- 1000 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/08(土) 21:43:53.64 ID:Naw1AwOk0
>>1ありがとう!また何か思いついたら頼むよ!期待しないで待ってるからさ気楽にな!
- 1001 名前:1001 [Over 1000 Thread]
* + 巛 ヽ
〒 ! + 。 + 。 * 。
+ 。 | |
* + / / イヤッッホォォォオオォオウ!
∧_∧ / /
(´∀` / / + 。 + 。 * 。
,- f
/ ュヘ | * + 。 + 。 + このスレッドは1000を超えました。
〈_} ) | 次スレも…VIPクオリティ!!
/ ! + 。 + + * ex14.2ch.net/news4vip/
./ ,ヘ |
ガタン ||| j / | | |||
――――――――――――-
- 2011年06月22日 08:20
-
しゃす!
-
- 2011年06月22日 09:24
- また随分と懐かしいもの持ってきたな。素晴らしい
-
- 2011年06月22日 10:13
- 泣いた
-
- 2011年06月22日 10:17
- 泣くわ
-
- 2011年06月22日 11:41
- このネタ黴てんぞ
-
- 2011年06月22日 12:42
-
>>1で泣いた ナツカシス
-
- 2011年06月22日 13:17
- 泣きすぎて頭痛い
-
- 2011年06月22日 14:20
- フラッシュで似たようなの見たことあるんだが
-
- 2011年06月22日 14:23
- それの元ネタがこれ
-
- 2011年06月22日 15:35
- 泣いた
-
- 2011年06月22日 15:45
- かなしい
-
- 2011年06月22日 16:44
-
かなり久しぶりに読んだ
そしてやっぱり泣いた
こういうの弱いわ
-
- 2011年06月22日 17:05
- 懐かしい。
そして自分は電車の中で泣いている不審者。
隣のスーツ着た人に変な目で見られてる気がする。
それでも涙が…
-
- 2011年06月22日 17:43
- ヤバいっす
画面が見えないっす
-
- 2011年06月22日 19:02
-
泣いた・・・
-
- 2011年06月22日 20:55
- なきそうになって途中で見るのやめたし(;_;)
-
- 2011年06月22日 21:21
- 今から散歩行って来る。まだ夜は良い感じの涼しさだからウチの年寄りでも気持ち良く歩けるだろうな。
-
- 2011年06月22日 21:36
- 俺こういうの弱いんだよ・・・マジ泣きした。シロ幸せになってくれ
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- 2011年06月22日 22:09
- スレタイで読む前にわかった
良いものもってきたな
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- 2011年06月22日 22:13
- なんど見てもなける
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- 2011年06月23日 00:05
- なんだこいつら
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- 2011年06月23日 03:22
- こういうのって
単純に物語で感動するより、
自分がクレしん見てた頃とか思い出してむしろそっちで泣ける
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- 2011年06月23日 12:38
- こーいう泣かせ方は卑怯だ・・・
動物ネタ、不治の病ネタ、親子愛ネタは無理だわ
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- 2011年06月23日 20:02
- 最近涙腺ゆるくなったな
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- 2011年06月23日 20:32
- 懐かしwwww
久々に読んだけどやっぱり泣けるなww
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- 2011年06月23日 21:12
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この泣かせ上手め!!!
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- 2011年06月23日 21:52
- なんでこんなに泣けるんだろうな、これ…
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- 2011年06月24日 01:58
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感動した
なんでだろう。
不思議な感覚・・・
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- 2011年06月24日 21:46
- ウチでも犬飼ってんだけど
勉強に追われてもう何ヶ月も遊んでないや…
明日は暇だからいっぱい遊ぼうな、レオ。
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- 2011年06月25日 03:55
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>>1の時点で「おいやめろ」って言いたくなった。
ペットとの死別は経験ある人が多くて、その分リアルにもなるし共感も得やすい気がする。
ましてシロとか・・・耐えられんわ。
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- 2011年07月02日 22:37
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本当に素敵な作品
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- 2011年07月19日 23:35
- 寝る前に適当に探してたら見つけて泣いたわ
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- 2011年09月29日 03:03
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あの有名なFLASHのSSか
良かったよ!
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- 2011年10月31日 10:58
- >258
のツンデレ具合に泣いた
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- 2011年12月01日 20:42
- 去年死んでしまったうちの犬・・・。
俺はなにもできてなかったことをこれ読んで思いしらされたよ。
確かに小さいころからの一番の親友だったのにな。ごめんな。許してくれ・・・。
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- 2011年12月26日 20:45
- 前がみえねぇ
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- 2012年04月29日 23:01
- こう言う物でここまで泣かされるとは。
うちは猫を今まで沢山飼っていたからそれだけ死別する時はいつも辛かったよ。
今も弱ってきてる猫が2匹いるから余計に辛い。
だが良い物を見せてもらったよ。
素晴らしいよ。
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- 2012年07月25日 00:03
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涙腺がゆるくなっちまったよ……
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- 2012年08月01日 03:59
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これほど感動出来る物を俺は知らない。すんなり涙が出てきた。
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- 2012年08月08日 00:48
- 犬飼ってる身として泣かずにはいられなかった
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- 2012年09月26日 14:38
- 原作及びアニメのファンであればあるほど、胸を打たれる作品。
シロのよさがふんだんにつめ込まれてる。そして、言葉が綺麗だ。
今のSS作者に、こんなにも綺麗な言葉を並べられる人物がどれだけいるだろうか。
シロが主役の回って、しんのすけにとってシロはドラえもんみたいな存在感を発揮するんだよな。
5歳からの13年間を俺らは知らないけれど、その知性と勇気で無茶するしんのすけを守っていたであろうことは、
想像に難くない。
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- 2012年10月03日 13:30
- 涙止まらない『ひっくひっく』って泣いちまった
何回よんでもこれはいいss
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- 2012年12月09日 22:36
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飼っていた犬のことを思い出して涙が出てしまった。
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- 2012年12月23日 02:08
- 流し読みで泣いた
何回見ても泣けた
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- 2013年01月06日 02:12
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今飼っている犬が今年で13歳。
ついこないだポメラニアン独特の気管支炎を発症した。
それほどひどくないし今は薬が効いて元気にしてるけど、何か重ねてしまった。
はじめて読んだときよりボロ泣きして画面がよく見えない。
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- 2013年01月12日 20:15
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この…涙腺クラッシャーがァ!!
畜生…涙が…止まらねェ……!!
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- 2013年01月19日 00:07
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ダメだ、涙が止まんねぇ・・・。
死んだ犬のこと思い出したわ、もっと構ってやれば良かったよ・・・。
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- 2013年01月22日 02:22
- 感動した
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- 2013年01月27日 00:38
- クレシンは誰でも知ってるから
余計に感情移入し易いのかな?
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- 2013年02月04日 21:25
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感動した
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- 2013年02月07日 16:32
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このばしょなんかすごい
ありとあらゆるいみですごい
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- 2013年02月28日 01:16
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泣いた…
感動ありがとう
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- 2013年07月01日 22:48
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泣いた
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- 2013年07月29日 13:30
- ウルッと来てるだけどそのもう一歩先を行ってほしい
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- 2013年09月25日 03:48
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こういう系のネタはだめだ、絶対泣いてしまう。
私の所も犬買ってたんだけど私が小学生の頃に年で死んじゃって。ボロボロ泣いたの覚えてる。
でもその子水嫌いなのに水かけたり表情が可愛いからってひどいことしてたな…
ほんと昔の私を怒りたい
大切にしなきゃだめだよね、ペットとかじゃなくて家族だし
ほんとこれはすごい泣かしてくれた。ありがとう
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- 2013年10月21日 18:42
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ボロボロ泣いたわ(´;ω;`)
今日の夕飯しょっぱくなったら1のせいだかんな!
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- 2013年12月27日 16:16
- 感想でスレ埋まってんじゃねーか
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- 2014年02月26日 09:01
- 絵本の「いつでも会える」に似てるね。それは、逆に主役の女の子が死んじゃうけど。
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- 2014年02月28日 20:29
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十五年共に過ごして、老衰で亡くなった家のクロを思い出して涙
思い返してみれば、人生で初めての友達だったんだなぁ
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- 2014年06月11日 00:22
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久しぶりに泣いた
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- 2014年07月09日 15:35
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すっごい泣けた・・・・・
祖母の家で飼ってる犬と重ねて泣いた。
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- 2014年09月07日 23:05
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258 お前なんて生きる資格なんてない 死んでしまえ(激怒)
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- 2014年10月07日 02:21
- 泣いた。
くま、たろう、ピース、マリリン…歴代の犬たちを思い出した。会いたいけど、もう会えない。
私はちゃんと皆を大事にしてたかな…
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- 2014年12月28日 22:09
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こいつは文才あるわマジで。
普通に作家で食っていけるんちゃうか?
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- 2015年01月06日 02:47
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子供の頃、シロって名前の白い犬を飼っていたんだよな。10年以上も一緒に居たんだけどさ、このSS読みながらあいつは幸せだったのかなって、涙流しなが考えさせられたよ
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- 2015年02月17日 10:44
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このスレ読めて「我が生涯に一片の悔い無し!」
(´;ω;`)
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- 2015年07月15日 12:20
- 時が止まっているサザエさん空間の原作のクレしんでは絶対起こらない出来事なんだけど
そういう漫画・アニメだからこそファンがこういった心にしみる作品を創るんだろうね
本当クレしんは愛されているんだなあ…
そしてコメ欄で大切な家族を失った方々がまた大切な家族に出会えるように心から願っております
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- 2015年07月30日 11:40
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電車の中で号泣したんだがどうしてくれるんだありがとうございます
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- 2015年09月08日 20:38
- 読んでよかった、読めてよかった。
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- 2015年09月08日 20:54
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※62縦読みシロっていってんだろぉぉぉぉうわぁぁぁん・・・・
動物系はヤメロ俺にきく
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- 2016年06月26日 20:51
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読んでて胸が熱くなった!よまさせていただいてありがとうございます(#^^#)
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- 2016年12月07日 22:43
- 10年前かよ!
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- 2018年01月12日 04:30
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久しぶりに読んでやっぱり泣いた
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- 2018年03月16日 01:52
- 話作るの上手すぎだろ…
ペット飼ったこと1度もないのに涙ボロッボロだわ…
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- 2022年02月01日 00:16
- スピルバーグ(スズメ)と車に轢かれた雌の野良犬がお出迎えしてくれたんだろうなあ…
◆以下、おまけ(小ネタ)になります。