男「サウナで『扉が開かない!』ってやるの楽しすぎwww」
男(……ん)
若者「……」
中年「……」
男(今日の“敵”はこの二人か……)
若者「……」
中年「……」
男「……」スッ
若者「……」ニヤッ
中年「……」ニッ
男(こいつら……今笑った!?)
若者「……おっと」
中年「失敬」
男(後に入ったくせにってツラしてやがる! 許せん! ……そうだ!)
男「あれ!? 開かない!」
若者「え!?」
中年「なんだって!?」
男「どうしよう! この扉開かない! 出られない!」
若者「マジかよ!」
中年「ひいい、大変だ! 蒸されて死んでしまう!」
若者「開くじゃねえか!」
中年「ホントだ!」
男「……」ニヤッ
若者「くそっ、やられたぜ!」
中年「こんな嘘に引っかかってしまうとは……」
男(上手く騙せたおかげで、気力を回復できた。もうちょっと中にいるとしよう)
若者「……」ダラダラ
中年「……」ダラダラ
男(いよいよきつくなってきたな……だが、これを耐えてこそ後のビールが美味いってもんだ)
若者「……」スッ
男(お、やっと行くか? これでおっさんとの一対一か)
男「!?」
中年「!?」
若者「やべえ、マジやべえ! 出られねえ!」
男(嘘つけ……どうせ俺への仕返しのつもりだろ。引っかかるかってんだ)
若者「どうしよう! 干からびちまう!」
男(だけど本当だったら……!)
男「俺も手伝うよ!」
中年「私も!」
中年「くっ……!」
若者「へへっ、さっきのお返しだよ!」
男「ぐぬぬ……」
若者「さ~て、もう少し中にいるかな」
男「……」
中年「……」
男(こうなったら意地でもこいつらより後に出てやる!)
若者「……」ダラダラ
中年「……」ダラダラ
男(二人とも粘りやがる。若い方はともかく、おっさんは無理すんなよ。本当に倒れちゃうぞ)
中年「……」スッ
男(お、やっと出る? よかった……流石に先に入ってたおっさんには負けられないもんな)
中年「開かない!」
男「!?」
男(いい加減にしろよ……二番煎じどころか三番煎じじゃねえか)
男「流石にもうだまされませんよ」
若者「三度目はウケねーぞおっさん」
中年「開かない! もうダメだぁ!」
男「……!」
男(こんなおっさんがウソつくとは思えない……真面目そうだし)
男「大丈夫ですか!」
若者「手伝うよ!」
男「……開くじゃねえか!」
中年「……」ニヤリ
男「そうだ! いい年して!」
中年「おいおい、最初にやったのは君たちだろうが!」
若者「そうだぜ! あんたが下らないことしたから……」
男「俺のせいかよ!? お前が二番煎じやらなきゃよかっただけだろうが!」
若者「なんだと!?」
中年「まあまあ、喧嘩はやめたまえよ」
男「同じ穴のムジナのくせに中立ぶらないでもらえますか!」
若者「ホントだぜ、いい年してイタズラなんてよ!」
中年「何を言うか!」
若者「ちっ……」
中年「……」
男「……」
若者「……」
中年「……」
男(こうなったら純粋な我慢比べだ。先に出た奴が負け! 一番最後に入ってる俺は絶対負けるわけにはいかない!)
若者「……」
中年「……」
男「……」
若者「……」
中年「……」
男(ダメだ……きつくなってきた。出よう……)フラッ
男(もういいや、負けで……。プライドより命だ……)フラフラ
男「開かない……!」
若者「もういいって!」
中年「さすがにもう引っかからんよ」
男「いやホントだって!」
若者「うぜえ……」
中年「さっさと出たまえよ。見苦しいよ。勝ち誇ったりしないから」
男「ホントなんだって!」
男「頼むよ、手伝ってくれ! 俺もうヤバイんだ!」
男「開けてくれたら金払うから! お願い! 頼む!」
若者「……ホントに金もらうからな。金払わなきゃぶっ飛ばす」
中年「やれやれ、そこまでしてイタズラしたいかね。近頃の若者は……」
男「早くぅ!」
中年「開かない……!」
男「な、開かないだろ!?」
若者「扉を押しても……」
中年「引いても……」
男「ビクともしないだろ!?」
三人(どうすんだよ……!)
若者「こういうのって……なんて言うんだっけ? ことわざで……」
中年「ええと、たしか瓢箪から、瓢箪から……」
男「やべえ、こんな小学生レベルのことわざすらすぐ出てこない……。熱さでIQ落ちてる……」
若者「タコじゃなかった?」
男「全然違う!」
若者「じゃあ、駒?」
男「なんで瓢箪から駒が出てくんだよ!」
中年「バカかね、君は! もっと考えて発言しろ!」
若者「す、すんません!」
若者「俺も……」
中年「典型的な脱水症状だねえ……」
男(俺は……サウナで死ぬのか……)
男「あのさ……二人とも……」
若者「あ……?」
中年「なんだい……?」
男「どうせ死ぬなら……最後にとっておきの秘密暴露して、死なないか……」
中年「いいね、やろうやろう……」
男「じゃあ……俺から……」
男「実は俺……もう30近いのに、女と付き合ったことないんだ……」
若者「へえ……そうなんすか」
中年「今はそういう人が多いと聞くねえ……草食系、だっけ……?」
男「草食というか、絶食……ですね……。今まさに絶命しそうですけど……」
男「ない……」
若者「へえ……見た目はわりといいのに……もったいない」
男「え、そう?」
中年「うん、若い頃の○田×夫に似てる……」
若者「誰すかそれ?」
中年「私の世代にとってはスターだけど……知らないか」
男「俺は……ギリ知ってますね……」
男「え、マジ?」
若者「大マジ」
中年「うん、こういうのは結局きっかけがあるかないかだからね。ガンガン行った方がいいよ……」
男「そっか……そうしようかな。もし生きて出られたら……合コンしよう……」
若者「じゃあ、次は……俺が……」
男「おお……どんな秘密があるんだ……?」
男「え、意外……」
若者「日曜朝やってるやつとか大ファンなんす」
男「プで始まるやつ……?」
若者「プで始まるやつっす……」
男「へえ……だけどあれ大人が見ても面白いらしいし……いいんじゃない?」
若者「そうっすかね……?」
中年「うん、私も漫画好きだしね……」
若者「そっすか……よかった……」
中年「私だね。実は今度……娘が結婚するんだ」
男「ええっ……!」
若者「おめでたいっすね……」
中年「ありがとう……二人とも」
中年「だけど晴れ姿を見ることは……できそうにない。最後に……このことを話せてよかったよ……」
男「……」
若者「……」
若者「うっす」
中年「まさか……」
男「最後の力振り絞って……サウナの扉を開けてみせます。行くぞっ!」
若者「おうっ!」
男「うおおおっ……!」ググッ
若者「うおおおっ……!」ググッ
中年「やめるんだ……残り少ない体力を使ってしまう!」
男「いいんです……何とかこの扉を押し開いてみせる……!」
男「動けっ、動けぇっ!」
男「うおっ!?」
若者「え……開いた!?」
客「うわっ、びっくりした!」
男「え……なんで開いたの……? あんた、今どうやって開けたの……?」
客「どうやってって、ドアを横にガラッと」
男「……」
男(どうりで……押しても引いても開くわけないわけだ……)
男(ホントにIQ落ちてたんだな……)ドサッ
三人「カンパーイッ!」
グビグビッ!
男「いやー、生き返るねえ!」
若者「ホントホント!」
中年「こんな美味いビールは生まれて初めてだよ!」
若者「俺も!」
中年「ありがとう、二人とも!」
男「あと合コン……忘れるなよ?」
若者「男さんにマッチしそうな女の子、連れてくるっすよ!」
男「頼むぞ~!」
アッハッハ……
男(サウナの扉は開けなかったけど……三人の心の扉は開くことができたな)
おわり
コメント一覧 (10)
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- 2022年02月04日 22:55
- 長い
冗長
そしてパクりじゃんその題名のスレ見たぞ
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- 2022年02月05日 07:37
- 引き戸というこもを忘れるくらい熱でやられてる落ち
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- 2022年02月05日 08:53
- 何回も開かないふりして開くってくだりやってんのに引き戸だったってオチは無理筋
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- 2022年02月19日 12:34
- 暑さで頭が茹で上がってから一旦冷静になると、なんでこんな簡単なことも分からなかったんだってなるの分かる
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- 2022年02月26日 05:50
- 若い頃のおかだとしお?
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- 2022年03月20日 08:59
- 普通に面白い
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- 2022年03月23日 00:58
- 瓢箪から駒さえ分からなくなるというくだりで思考力が落ちてるという伏線を貼ってこのオチに繋げたのはいいと思います
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- 2022年04月15日 23:07
- めちゃくちゃ面白かった
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- 2022年07月13日 23:30
- 玄人のひとりごとを思い出した
独りで 大笑い
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