妹「異世界に行ったお兄ちゃんに会いにいきたいんだけど」女神「ええ…」
兄「……」
医者「身体には異常はないはずなのですが…お子さんの意識が
なぜ戻らないのか、今のところ原因はよくわかりません」
母親「そんな…どうしてこんな…」
父親「ど、どうにかならないんですかっ」
医者「残念ながら、本人の意識が戻るまで待つしかありません…」
父親「そんな…」
母親「ううっ…」
妹「……」
女友達「いいの、学校に来てても?聞いたよ?お兄さん、大変なことになってるんじゃあ」
妹「別に」
妹「私、お兄ちゃんと仲良くなかったし。何年も引きこもりのキモいアニメゲームオタク
やってて、家族に迷惑かけてさ。そのうえ、いきなり原因不明の昏睡状態になったとか言われても知らんて」
女友達「ええ?いいの、そんな言い方して…、小さい頃はあんなに仲良くしてたじゃない。
いっつもお兄さんの後ろついて仲良く遊んでたのに。部活の空手だって、お兄さんがやってたから始めたんでしょ」
妹「いつの話してんの?ていうかわたし来月、空手の全国大会あるし、
あんなバカ兄、かまってられないし。それじゃ、わたし部活行くから」
女友達「あ、ちょっと…、相変わらず厳しい性格してるわね…」
妹「ただいまー…、って家に誰もいない。お父さんもお母さん、また今日もお兄ちゃんのお見舞いで病院か」
妹「あんなお兄ちゃんほっときゃいいのに。………、どーせ忘れたころに目を覚ますに決まって」
女神「いや、たぶんそれはないと思います」
妹「えっ!だ、だれあなた…」
女神「私は女神です、この際だから、実はあなたに伝えておきたいことがあるのです。
あなたのお兄さんの意識が戻らない理由。それはお兄さんの意識が異世界に行っちゃってるからです」
妹「は……?異世界?何言ってんの?」
人を送って魔王討伐してもらうのが最近の神々のトレンドなのです」
妹「いや…、意味わかんないですけど。それでなんでうちのお兄ちゃんが選ばれるの?
何年も引きこもりのキモいアニメゲームオタクやってて、魔王討伐どころかなんの役にもたたないとおもうけど」
女神「ええ…実は、異世界への人材派遣は誰でもというわけではなく、
『逃避係数』が高いものに限られる、という神々の規定があるのです」
妹「と、逃避係数…?」
女神「異世界への適応性を示す数値といえばわかるでしょうか?簡単にいうと、
こっちの世界に絶望して現実逃避してる人ほど数値が高くなるようです」
女神「異常なまでにアニメとかゲームとかにはまってたり、引きこもりやニートの人は相場として、
逃避係数が高い傾向にあると最近の研究でわかってきています」
妹「確かにお兄ちゃんに当てはまりそうだけど…、ちなみにお兄ちゃんの逃避係数は…」
女神「一般の人の平均が10ポイントのところ、お兄さんは300ポイントでした。ちなみに異世界への転送の目安が100以上ですから
お兄さんは私がチョイスした人間の中ではぶっちぎりでしたね」
妹「あっそ…」
女神「ええ、異世界では逃避係数が高い人ほど、いろいろ能力値も高くなるんで、こっちの世界ではダメダメだった
お兄さんも、異世界では大活躍中ですよ」
女神「あなたのほうは…、まあ、お兄さんと違って、友達もいて、部活も空手で
全国大会出場、成績も優秀で…みるからに逃避係数は低そうですね」
妹「まあ確かに、順風満帆な私と違って、あのバカ兄貴は引きこもってゲームやアニメの世界に逃避して…、
現実に絶望してたんだろうから、異世界に連れてくには、うってつけだったのかもね。
まあ、家族にも迷惑かけてたしちょうどよかったと思うけど」
女神「はは。まあ、そう言うと思いましたけど、一応勝手にご家族を連れ出してしまった手前、
事情くらいは説明しておこうと思いまして、、それじゃ、私はこれで」
妹「…で?」
女神「え?」
妹「いつ帰ってくるんだっけ?あのバカ兄は」
決まりになってます。それで、元の世界に帰ることを望む人もいなくはないですけど…」
女神「ただ、そういう人はほとんどいないですかね。まあ、基本、こっちの世界に未練なさそうな人を
チョイスして異世界に送ってますし、基本、異世界のほうがいい人生歩めるひとばかりですから」
妹「ふーん、なるほどね…」
妹「ま、あのバカ兄貴でも役に立つ世界があるだったら、確かにそっちで人生まっとうしたほう
が本人のためにもいいんだろうね」
女神「ええ、ええ、そのとおりですね。…それじゃ私はこれで」
妹「で?」
女神「え…?」
妹「その異世界っていうの。私もちょっと行きたいんだけど。どうしたらいいの?」
女神「ええ…?」
リア充は異世界に連れていく条件に当てはまらないし」
妹「うん、そうね。私は別にお兄ちゃんがいなくなったって別にどうでもいいんだけどさ」
妹「けど。あのお兄ちゃんが異世界で大活躍なんて、なんか逆に笑えて来ちゃって。
一目だけでも見ておきたいなってちょっとだけだったら、私を異世界に連れていくことくらいはできるんでしょ?」。
女神「え、いやあの」
妹「できるよね?」
女神「ええっと…」
異世界のフィールド
女神「だ、誰にも言わないでくださいよ、特例ですからね」
妹(女武道家)「はいはい、ちょっとバカ兄を見たら帰るから。ってあれ?なに私のこの恰好」
女神「異世界法の規定により、元の世界とは容姿と恰好が適正に合わせて変わっちゃうんです。
妹さんは、武道家なんですね。さすが、空手やってるだけありますね」
女武道家「ふーん、で、うちのバカ兄は?」
女神「ええと、あ、あそこです。あ、ばれないように茂みに隠れて遠目で見るだけにしましょうね」
フィールド
勇者「てえい!」
魔物「ぎゃああ!」バターン
女僧侶「ああああ!ゆ、勇者様、す、すっごーい!!あんなに大きな魔物を一振りでなぎ倒すなんてっ」
女戦士「ああ、相変わらずすごい男だお前は…」
魔物「ぐおおおお!!」
勇者「黙れっ!」ドンっ
魔物「ぎゃあああああ!!」バターン
女商人「黙れっ、の一言で魔物が爆発して倒れていきます…、すごいですぅ…」
女魔法使い「ああ、とんでもない力を感じるわ…、お姉さん、しびれちゃう…」
勇者「あれえ?俺、何かやっちゃった?たはは…?」
女僧侶「勇者さまあ…、かっこよすぎですう…」
女戦士「あ、ず、ずるいぞ貴様っ、何勝手に勇者にすり寄ってんだっ」
女シーフ「抜け駆けはだめでしょ、この泥棒猫がっ」
女魔法使い「だめよ、お姉さんが先でしょ?ね、勇者?」
勇者「たはは…、おいおい…、仲良くしようぜ…みんな…なっ」
………
女神「いやだから、勇者ですよ、勇者。こっちでは、あなたと一緒で顔も体形も変わってますけど。
女神「いやー。お兄さんこっちではイケメンになってよかったですよね」
女武道家「元々、見た目はそんな悪くなかったけど」
女神「え?なんですって?」
女武道家「別に。何も言ってない。それでもう一つ気になるんだけど」
女武道家「あのとりまきの女どもは何?」
女神「ああ、あれはお兄さんの仲間ですね。お兄さん、こっちでは勇者でチート能力でめちゃくちゃ強いですからね。
女の冒険者にもモテモテで、いつもあんな感じで発情しっぱなしですよ」
妹「ふーん、へえ」
女神「さ、一目お兄さんをみたら帰る約束でしたよね、それじゃこれで」
妹「ちょっとまって」
女神「え?」
妹「あのとりまきの女どもは何?」
女神「ええ…?」
あなたが、元の世界でよろしくやってるように…」
女武道家「ちょっと行ってくる」
女神「って、え、ちょっと待って!どこ行くんですかっ、まさかっ!!」
……
女僧侶「勇者さまあ…スキイ」
女弓手「ずるいわ、さっきからあなたばっかり勇者さんの腕に抱き着いて…わ、わたしだって勇者さんのこと…」
勇者「はは、みんな公平に順番にかわいがるから…安心して」
女弓手「はわわ…、ゆうしゃさまあ…」
勇者「(ああ、やべえ…、異世界最高だわ…、こっちの世界だと俺チートで最強だし、女は勝手によってくるし…
異世界に来てほんとよかったわ)」
勇者「…ってあれ、だれか来る…」
女武道家「……」
女僧侶「え?え?何々、どうしたの?」
勇者「ん?どうしたの?君?」
勇者「(ふふ、ってか、もう分かってるわ。どーせ俺の新しいハーレムの一員になる子でしょ?
パーティにこれまで武道家いなかったし。結構かわいい子だし、ラッキーかも)」
勇者「(けど…ん、あれ、この子、どっかで…、なんか)
女武道家「えい」
勇者「ブハァっ!」ぼごおっ
女僧侶「きゃああ!勇者様だ、大丈夫っ!?」
女戦士「き、貴様っ!急に勇者に殴りかかってくるなんて!まさか、魔王軍の手先かっ」
女武道家「うん…、私もあなたたちの仲間になります」
勇者「え、ええ…?」
女神「」
女武道家「ごめんなさい間違えました、ちょっとイライラして」
女僧侶「しょ、初対面の人をイライラしたからって殴っちゃだめよ、この子大丈夫!?」
女魔法使い「けど、この子が身に纏ってるオーラ、ただものじゃないような…」
女武道家「ってことで、私もこの勇者に付いていくことにしましたから、よろしくお願いします」
……
女神「ええ…ちょっと…」
その日の晩
女武道家「なに、こんな人気のないところに呼び出して」
女神「約束が違うでしょ!?お兄さんを一目みるだけの約束でしょ!
なんでハーレムの一員になってんの!?」
女武道家「ハーレムの一員なんかになってない。ただ、なんかむかついたから。
お兄ちゃんがこっちの世界で活躍してるのはわかったけど、調子乗ってるし、性根叩き直さないと」
女神「いや、あなたが魔王討伐の冒険に同行するなんて無理ですよ!」
女神「あなたはお兄さんと違って、こっちの世界じゃチート能力は皆無ですから。
ここは、お兄さんみたいに逃避係数が高い人間、現実世界に絶望した人間ほど、強い世界なんですから!」
女神「あなたみたいに元の世界で順風満帆な人は、力を発揮手出来ませんからっ!下手すりゃこっちの世界で魔物に食われて死んじゃいますよ」
女武道家「大丈夫、わたし空手やってるし、全国レベルだから」
女神「いやだからそういう話じゃなくて…!」
妹「てい」
魔物「ぎゃあああ!!」バターン
勇者パーティ一同「………」
妹「あれ?みんなが驚いてるのって、私の攻撃が弱すぎッてこと?そりゃまあ、手加減して殴ったけど」
女魔法使い「いやいやいやいやいや!!、い、いまあなたが倒したの四天王の一人なんですけどっ!?」
女僧侶「えええ、四天王がパンチ一撃で泡吹いてガクガクしてる…、チン(顎)にもろパンチくらって
脳震盪を起こしたんだわ…はわわわ…」
女シーフ「あれ、この子ひょっとして勇者様より…」
女戦士「しっ、な、何言ってる、やめろっ聞こえるぞっ」
勇者「ええ…」
妹「えい」
魔物「ひぎゃああああ!!」
……
妹「たあ」
魔物「ごああああああああ!!」
……
女僧侶「なにあの子、あんなに小さくてかわいいのにあの力…なんか私…同性とわかってても、好きになっちゃいそう」
女シーフ「わたしも…、わたしの心が盗まれちゃいそう…泥棒猫…」
女戦士「てか、ぶっちゃけもう、あの子が勇者でいいんじゃないか?」
女僧侶「そうよね、なんか最近勇者さん、活躍していないし」
女魔法使い「てか、あの子かわいいし。わたし、目覚めちゃいそう…」
勇者「」
女神「(おかしい…なんで妹さんもチート級に強いわけ…?しかもお兄さん以上じゃない?)」
女神「(けど…いずれにしてもやばい、妹ちゃんをはやく元いた世界に返さないと…)」
女神「(こっちに連れてきた人間には、せめて異世界では幸福な思いをさせてやることが
暗黙のルール…、お兄さんにこっちの世界ですら絶望した気分にさせちゃうと…、お兄さんの持ってるチート能力も
どんどん弱くなって、自力で魔王に勝つ実力がなくなるかも…)」
女神「(ほら、お兄さんの力、以前より弱くなってる…、きっと妹さんに美味しいところ取られてテンションさがってるから…))」
女神「ん…?」
………
勇者「………」
………
女神「けど、お兄さん、よく見たら、そこまで落ち込んでないような…妹さんにいいようにやられてるのに何で…?」
宿屋のロビー
女武道家「はあ…、いやなにやってんだろ私」
女武道家「異世界で元気によろしくやってることがわかったんだし、もういいじゃん…、
なにムキになって着いてきてんだろ?」
女武道家「そうだよ、もう長いこと口も聞いてなかったし…、その前も喧嘩ばっかだったし…、仲良かったのなんか…
小さいころのほんの…、一瞬だけで…別に…わたしは…お兄ちゃんがこのまま帰ってこなくたって…」
勇者「あれ、こんなところで、まだ起きてたのか」
女武道家「………、どーも」
女武道家「…別に。私、あなたと違って、やわな鍛え方はしてないですから」
勇者「そっか。けど、もう夜も遅いし、目も真っ赤になってる。強くてもまだ子供なんだから…」
女武道家「触んないでよっ!」
勇者「あ、ご、ごめん、つい…」
女武道家「貴方に行っておきますけど、わたしもうパーティから抜けることにしましたから」
勇者「えっなんで…」
女武道家「貴方と違って忙しいからですよ、いろいろとっ!」
女武道家「私がいなくなったほうがいいでしょ?さぞ不愉快だったでしょうからっ!
チート能力で回りに認められて褒められて、女の子にモテモテだったところに
水を差すような真似しちゃったし」
勇者「え…?」
女武道家「おに、勇者さんは、パーティでうまくやって幸せに生きてたのに、さぞ私のこと、疎ましくおもってるんでしょ?」
勇者「…別にそんなことおもってないよ、ていうか、このところ君をみて思い出したんだ、これが俺の本来の立ち位置、本来の実力だって」
女武道家「はあ、なにいって…?」
勇者「俺さ、妹がいるんだけど」
女武道家「は…?な、なに急に…なんでそんな話するの?わ、わけわかんない」
勇者「似てるんだ君が、俺の妹に、ものすごく」
俺の真似して始めた空手も、一瞬で俺の実力追い抜いて、全国大会出場とかもうすごくて。
ちょうど、今の君くらいチート能力使いだった」
勇者「対して俺は何をやっても平凡で、あげく大学受験に失敗して何年も引きこもって…」
けど、あいつは小さいころからずっと頑張り屋だったし、俺が引きこもってる
間もずっと努力して勝ち取った結果なんだろうな…」
勇者「何も努力してこなかった俺が、別の世界に来たからって、それだけで
いい思いするわけないよなって、なんとなく感じたよ」
勇者「って、ごめん…何言ってるかわかんないよな、実はおれは別の世界から…」
女武道家「妹…」
勇者「え?」
女武道家「い、妹、いるんだ…。その、どう?妹…?どんな感じ?どんなん?」
妹は俺とは違ってホント優秀で…ひいき目かもしれないけど、かわいくて、俺にとっては自慢の妹かな」
勇者「まあ、大きくなってからは喧嘩ばっかで、俺もどんどんダメになって
口もきいてくれなくなったけど…、小さいころはかなり仲良かったんだぜ。
そのころ妹はいつも俺と結婚したいって、…ぶはっ!」パアン
勇者「な、なんで平手打ちすんの!?」
女武道家「…、別にそんな詳細まで聞いてないから、そういうのいいから」
勇者「ええ…?」
女武道家「別に…、会ったらいいじゃないですか。今からだって帰ってやれば」
勇者「けど無理だよもう、家族にはいろいろ迷惑かけちゃったしね。
何年も引きこもってさ。もう戻れないよ。きっと今は、もう俺のことなんて忘れて、
いだっ!」パアン
勇者「いやだからなんでいちいち引っ叩いてくんの!?」
女武道家「忘れるわけ…ないでしょ。お父さんも…お母さんも…、その妹だって…、
きっと今も、お兄ちゃんのこと、だ、大好きで…、きっとまた会いたいって思ってる、気がするけど」
勇者「そうか…、そうかな。それじゃまあ、考えてみようかな。そのうちに家に帰ってみること」
女武道家「うん…、うん」
けど、最近感じるんだ、自分のチート能力がどんどんなくなっていくのを…。なんでかわかんないけど。
勇者「そのうえ君もパーティから抜けるんなら、魔王に勝てる見込みはないかもな」
女武道家「…妹は…、お兄ちゃんは凹んで引きこもりやすいけど、やるときはやる男なのを知ってる…
引きこもってるのは、実は、充電期間中で、空手だって…、昔はわたしよりずっと強かったし…、チートなんかなくたって…、気合と根性で魔王くらい余裕で倒すって…」
女武道家「そんな感じのことを、言うような気がするような気が、しなくも、ない、けど」
勇者「(……)」
勇者「…そっか、ありがとな」
翌日
女神「いやあ、帰る決心してくれてほんと助かりました。同じ異世界に2人も人間送り込んだことがバレたら
大目玉でしたから、けど、ほんとにもういいんですか」
女武道家「うん、まあ、気が済んだかな。ま、お兄ちゃんが戻ってこようがこまいが、私はどーでもいいんだけど、
あの感じはどーせ、魔王倒して、近いうち、元の世界に戻ってくるんだろうね。まあ、別にどうでもいいけど」
女神「ああはいはい。けど、あなたがなんでこっちの世界で力を発揮できたのかようやくわかりました」
女武道家「は?いやだからそれは、私が空手をやって」
女神「全然順風満帆じゃなかったんですね。お兄さんがいなくなった元の世界を認めることができなくて
ずっと絶望して現実逃避してたから、逃避係数がお兄さん以上にたまって…ぶはあぁ!」パアン
女武道家「いいから、早く元の世界に返して。私いろいろ忙しいから」
女神「あ、はい…」
……それから数か月後のこと。
…病院から、お兄ちゃんが目を覚ましたとの連絡があった。
兄「ただいまー」
妹「ん…」
兄「なんだよ、ちゃんとお帰りっていえよ、相変わらず愛想がねーな」
妹「うるさいな、ちょっと前まで引きこもりアニメオタクだったくせに私のお兄ちゃんぶらないでくれる?」
兄「い、今は違うしっ、てかちゃんと引きこもらないで大学も入りなおしたし、空手ももう一回習い始いはじめてるしっ」
妹「はは、何それ、まだまだじゃん。病院から目覚めて以来、いろいろ頑張ってる
みたいだけど、ちょっと引きこもりから立ち直ったくらいで調子のりすぎ…」
兄「それにな、俺にもとうとう、彼女だってできたんだからなっ」
妹「ああはいはい、は…え?」
兄「証拠をみせてやるよっ、おーい、入ってきてくれっ!」
妹「え…?かの…は?」
彼女「こ、こんにちははじめましてっ!わ、わたし、お兄さんが空手してる姿が好きでそのっ」
兄「まだ、お母さんたちにはいうなよ、内緒だからな」
妹「ふーん…、はじめまして…」
兄「まあ、俺もちゃんと本気を出したらこんなもんよ、なんせあっちでは自力で魔王だって倒したしな」ボソ
妹「ふーん、何言ってるのかマジわけわかんないけど、順風満帆だね、おにーちゃん…」
………
その夜
…
女神「あ、あのお久しぶりです…、元気にしてましたか?」
女武道家「……」
女武道家「……なにこれ、なんでわたし、またこの世界にいるわけ?」
女神「い、いやあ、実はまた魔王軍の復活でピンチになってまして…、
それでその、また新しい人材送ろうと逃避係数が高い人間を探してたら、まあ、ぶっちぎって高い人
がいて、まあ…その、お久しぶりです」
女武道家「………」
女神「あ、そんなにショックだったんです?まあ、お兄さん、普通にしてれば
そこそこですし、あの年で彼女くらいは、いだだだだ…む、胸ぐらをつかなまないで」
女武道家「…は?言ってる意味がよくわかんないけど、ねえ。てか、わたしも
明日学校とかあるし、異世界とか行ってる暇なんてないんだけど」
女神「だ、大丈夫ですよ、あなたの実力なら、たぶん一晩寝てる間に魔王くらい倒せますし…!
あ、あの、知り合ったよしみでなにとぞ…!」
女武道家「まあ、別にいいけど…、そういえば魔王倒したら願いを一つだけかなえてもらえるんだよね」
女武道家「魔王倒したら、あの糞兄貴が彼女作って調子乗ってるからむかつくから、別れさせてもらおうと思うんだけど
いいかな?」
女神「はいはい、その願いかなえると、あなたが異世界にいたまんまになりますから、だめですよね?ちゃんとお兄さんの成長を
認めて、あなたも、そろそろこれくらいで異世界に呼ばれないように、「お兄さん離れ」しましょ…、ひいっ!」パアン
おわり
コメント一覧 (3)
-
- 2021年08月11日 13:49
- お前らssまとめろっていう割には無反応なw
-
- 2021年08月11日 19:40
- 割と面白かった
-
- 2021年08月14日 05:55
- おもろいやん