女「経験人数? 100人は軽く超えてますね」
女「かまいませんよ。あなたと二人きりというのも決して悪くない気分、と評することもできますので」
男「よく分からないけど、今の状況を悪くないと思ってくれてるってことでいいのかな」
女「そう解釈して頂いても、さほど問題はないといえるでしょうね」
男「じゃあさ、せっかくだしここらでぶっちゃけトークしない?」
女「別にかまいませんよ」
男「んじゃ、いきなり聞いちゃうよ。怒らないでね。女さん、経験人数ってどれくらい?」
女「経験人数? 100人は軽く超えてますね」
男「ひゃ、100人!?」
女「まあ少々見栄を張ってしまったというのが正直なところです」
男「え、見栄張ったの……。で、実際のところは?」
女「見栄を張らない数字ですと、“ゼ”で始まり“ロ”で終わる数字といって差し支えはないかと」
男「あ、そうなんだ……」
女「……」
男「いや、気にすることないよ! 俺だって似たようなもんだし!」
女「失礼ですが、経験人数は?」
男「俺は一人。まあ、相手はプロだけど……」
女「なるほど」
男「ど、どういうこと!?」
女「お好きなように解釈して頂いて、私としてはなんら問題ありません」
男「えぇと……じゃあ、女さんは俺に少なからず好意を持ってると思っていいのかな?」
女「そう思って下さっても、一向に構いませんよ」
女「少なくともあなたのことを悪くないと思ってるということは間違いないでしょうね」
男「じゃ、じゃあさ……」
女「……」
男(まずい、がっつきすぎたか?)
女「予定は空いてますし、構いませんよ」
男「え、ホント?」
女「仮に予定が埋まっていても、そちらをキャンセルした可能性は否定できないでしょうね」
男「言い方がややこしいけど、デートしてくれるってことでいい?」
女「ええ、デートしましょう」
男「やったぁ!」
男(30分前に着いちゃった……ちょっと早すぎたかな)
女「……」
男「――って先にいる! お、お待たせ!」
女「大して待っていないので気にしないで下さい」
男「どのぐらい待ったの?」
女「分でいうと180分、秒でいうと10800秒程度でしょうか」
男「さ、三時間も!? ご、ごめん! 連絡してくれれば俺も急いだのに……」
女「いえ、待つのはさして苦痛でもありませんし、むしろ待った分だけ幸福感が増す効能も期待できるので構いません」
男「そうなの? ならいいんだけど……」
女「そうですね。気分が高揚していないと申し上げると嘘になります」
男「相変わらずややこしい喋り方だけど……どこ行くかは俺に任せてくれる?」
女「お任せします」
男「それじゃまず映画行かない? 観終わったらちょうどお昼になるし」
女「映画ですか。どうするかと問われればYESと答えることもやぶさかではございません」
男「じゃ、じゃあ……映画ということで!」
男「映画なんていつぶりかなー」
女「私も映画館で観るのは久しぶりと言わざるをえません」
男「だよね。会社勤めしてると疲れが溜まって、なかなか出かけられないし……」
男「だけど、この映画館独特の雰囲気はワクワク感を高めてくれるよね」
女「そうですね。それにあなたと隣同士というのも、非常にムードがよろしいかと存じます」
女「私の心拍数が、徐々に、しかし確実に高まっていくのを感じられます」
男(えーと、ドキドキしてくれてるって解釈でいいんだろうか)
男「いやー、面白かった!」
男「どうだった?」
女「そうですね、一言で申し上げるなら……」
女「陳腐で誠に月並みな意見ではありますが、感動したという感想が最も適当ではないかと思いますね」
男(全然一言じゃない)
女「特に、主人公とヒロインが再会するシーン、私としても涙腺に体液がこみ上げる情動を感じました」
男「よく分からないけど、楽しんでくれたようで嬉しいよ」
女「そうですね、正午を少し回っています」
男「ランチはあの店にしない? むかーし一度入っただけだけど、とても美味しいんだ」
女「そうですね、そこでよろしいかと思います」
女「私としても腹部に潜む昆虫が暴れ狂うのを抑えきれませんので」
男「お腹の虫って昆虫だったんだ……」
女「……」モグモグ
男「あの……」
女「……」モグモグ
女「美味か美味でないかと問われたら、美味と回答すべきでしょうね。嘘はつくべきではありません」
男「よかった。何点ぐらい?」
女「100点。いえ、目の前にあなたがいるのでその幸福感も調味料として加え120点と申し上げてもよろしいかと」
男「あ、ありがとうございます」
女「はい」
男「今度は……ちょっと個人的に行ってみたいところがあって、付き合ってくれる?」
女「どこだろうと付き合う所存です」
男「じゃあさ、近くにある≪オモチャ博物館≫ってところに行ってみたいんだよね」
女「まあ、ずいぶん挑戦的な場所ですね」
男「挑戦?」
女「大人のオモチャ博物館などと。顔面に血液が集中し、思わず赤面してしまいそうです」
男「大人じゃない! 昔懐かしのオモチャが集められた場所があるんだよ!」
職員「ごゆっくりどうぞ」
男「おー、色々ある」
女「ええ、まさに玩具の博物館、トイズミュージアムと呼んで差し支えないでしょう」
男(英語にした意味はあるのだろうか)
男「お、ベーゴマだ。こっちはメンコ……」
女「やったことがあるんですか?」
男「さすがにないよ。漫画とかで存在は知ってるけど」
女「私もミニ四駆の経験はありますね」
男「え、そうなんだ! 女の子なのに珍しい!」
女「つい先日も、町内で行われた大会で準優勝することができました。非常に熾烈な戦いでした」
男「今もやってらっしゃる! おみそれしました!」
女「たしかになにかしら、遊戯を楽しみたい気分と評することができますね」
男「……お、ちょうどいいところにゲームセンターがある。寄っていかない?」
女「YES以外の回答はありえない、という状況といえるでしょうね」
男「決まり! じゃあレースゲームでもやろう!」
女「ええ、仮想空間においてどちらの運転技術が上か競うとしましょう」
男「うおおおっ、ここでドリフトーッ!」
女「……」
ブロロロロロ…
男「あ、曲がり切れない! ぶつかっちゃった!」
女「……」
ブロロロロロロ…
男「やった、勝ったーっ!」
女「……」
女「今の気持ちを表現するならば、悔しくないといえば真っ赤なウソになりますね」
男「いつも冷静沈着な君でも悔しがることがあるんだね」
女「もう一度やりましょう」
男「え」
女「もう一度やりましょう」
男「は、はい……」ゴクッ
女「……」
ブロロロロロロ…
女「私の勝利ですね」
男「くっ、序盤のミスが響いた……」
女「今、私の脳内を快楽を司る物質が駆け巡っているのが分かります。油断すると今にも踊り出しそうです」
男「そ、そんなに嬉しかったのですか」
女「ええ、この暗さ、夜になったと判断して問題ないといえるでしょう」
男「ディナーは……ちょっと洒落たところ行かない?」
女「今日のことはお任せすると決めた以上、どんなところでもついていく所存ですよ」
男「ありがとう」
男「じゃあ、ちょっと歩くけどついてきて」
女「あなたと二人きりで歩くという行為にも、幸せを感じてしまう私がいることに戸惑っています」
男「じゃ、ワインで乾杯」
女「乾杯」
男「……」グイッ
女「……」チビ…
男「このレストラン、どう? 俺のセンス……」
女「こんな素晴らしいレストランを選択なされたあなたの卓越したセンスには驚嘆せざるをえませんね」
男(驚嘆までされるとかえって反応に困る)
女「ご馳走になってしまいました。ありがとうございます」
男「今日一日楽しかったよ」
女「私も楽しみました」
男「酒も結構飲んじゃったし、今夜はこの辺で……」
女「お待ち下さい」
男「ん?」
女「私の本心を正直に打ち明けるならば、まだ帰りたくないというのが本音です」
男「まだ、帰りたくない……?」
女「むしろここからが本番と主張したいのですが、あなたとしてはいかがでしょうか?」
男「お、俺は……」
女「同じ気持ちであることに歓喜と安堵を同時に感じている次第です」
男「行こう、ホテルへ……!」
…………
……
同僚「おはよ……。あれ、なんか顔つきが変わったな」
男「そうかな」
同僚「ああ、男前になったというか、レベルが上がったというか。週末になにかあったのか?」
男「ま、どこかで機会があったら話すよ」
課長「えー、今日は週始めということで、朝礼を行う」
課長「なにか報告のある人はいるかね?」
女「はい、課長」
課長「おお、女さん。どうぞ」
同僚「え!?」
課長「なに!?」
男「ちょっ!?」
女「皆さん、これからも宜しくお願い致します」
男「よ、よろしくお願いしまーす!」
―おわり―
コメント一覧 (6)
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- 2021年04月01日 20:13
- まあまあ....スタンダート
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- 2021年04月01日 20:38
- スレタイ見てスタンダード構文しか出てこなかった
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- 2021年04月02日 02:27
- 新入社員鈴甘寧君(南陽群出身)「俺達が、御社の為にひと肌脱ぎますぜ!」
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- 2021年04月02日 02:38
- なんかチー牛クセェな
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- 2021年04月02日 10:14
- ※4
自分の体臭だろ
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- 2021年04月10日 23:10
- この作者は理解してないな
肝心のSEX描写がないとは