男「俺をいじめてた奴から結婚式の招待状が届いた」
男「これは……結婚式の招待状!」
男「結婚するのは……俺をいじめてた奴じゃないか!」
男「……」
男(幸せそうな笑顔浮かべてやがる)
男(こいつには中学の三年間、みっちりいじめられた……)
男(目をつぶると今でも鮮明に思い出せる……)
――――
――
男「な、なに……?」
いじめっ子「今日はヘッドロックかけてやんよ! ヘッドロック!」
男「やめてくれよ……」
いじめっ子「遠慮すんなってぇ!」ガシッ
男「いでで……!」
いじめっ子「オラァッ!」グググッ…
男「いだい……! やめてよ……!」
いじめっ子「アッハッハ! お前をいじめるのは楽しいねェ!」
男「ひいいいい……!」
ガゴォッ!
男「ぐはぁっ!」
いじめっ子「ドロップキーック!」
ドカッ!
男「ぎゃっ!」
いじめっ子「いいリアクションすんねえ! やっぱお前はプロレス技かけがいあるわ!」
男「え?」
いじめっ子「ほら、お詫びの印にジュースやるよ」
男「あ、ありがとう……」グビッ
男「ぐえっ!?」
いじめっ子「たっぷり唐辛子入れといたんだ! 全部飲めよ! 残したら肩パンだかんな!」
男「……!」ゲホッゲホッ
男「……君は?」
いじめっ子「もちろん100点よ。お前は?」
男「60点……」
いじめっ子「60点!? 終わってんな! 脳みそ空っぽかよ!」
いじめっ子「ギャハハハハハハッ! かーらっぽ! かーらっぽ!」
男「くうう……!」
――
男(あー……胃が痛くなってきた)
男(さて、どうしよう? 出席するか、欠席するか……)
男(あんな奴にお祝いなんざしたくないけど、欠席するのも逃げるようでシャクだし……)
男(ああ……どうしよ! 悩む!)
男(とりあえず、会社の同僚に相談してみるか……)
同僚「なにが悲しくて自分をいじめてた奴に3万も払って、結婚を祝わなきゃならないんだよ」
同僚「金と時間、両方の無駄だろ」
男「だよなぁ。やっぱり行くのやめるか……」
同僚「あ、だけど――」
男「ん?」
男「それはそうだろうな」
同僚「いじめをやってた奴はそいつらにそれを知られたくはないはず……」
男「!」
同僚「つまり、式でいじめのことを暴露すれば、結構なダメージを与えられるんじゃないか?」
男「なるほど! いじめの暴露……いいかもしれない!」
男(俺は結婚式に出る!)
御出席 御欠席
男(出席に……マルだ!)シュッ
――――
――
男「うん、決まった!」ビシッ
男(行くか……俺をいじめてた奴の結婚式に……)
男(あいつと決着をつけてやる!)
――――
――
旧友「おー、お前も来たか」
男「迷ったけどね。やっぱり祝ってやろうと思って……」
旧友「まあな。なんたって中学のクラスメイト同士の結婚だしな」
旧友「にしても、みんなどんどん結婚していくよな。かーっ、俺も早く結婚してーっ!」
男「その前に出会いがないとなぁ」
旧友「ウチの職場、おばさんばっかだからなぁ」
男「ウチもだよ。若い女の子はすぐ辞めちゃう」
アハハハ…
男「……!」
旧友「結婚おめでとう!」
新郎「まさかお前も来てくれるとはなァ! アッハッハ、嬉しいぜェ!」ポンポン
男「う、うん……」
新郎「んじゃ、行こう! そろそろ式が始まる!」
新婦「うん。あ、ネクタイ曲がってるよ」スッスッ
新郎「お、わりィな!」
男(いい夫婦になりそうだな……。少し心苦しいが、俺の決心は固い!)
司会者「皆様、拍手でお迎え下さい!」
パチパチパチパチパチ…
新郎「ヤッホーッ!」
新婦「皆さん、お集まり頂き嬉しいです」
チャララ~♪
旧友「綺麗だぞ、二人とも!」パチパチパチパチパチ…
男「……」パチパチパチパチパチ…
上司「ただし、ミスが多いのが玉にキズかな?」
新郎「やめて下さいよー!」
どっ! ワハハハハハ…
女友A「新婦ちゃん、結婚おめでとー!」
女友B「先に結婚しちゃってずるーい! 幸せになってね!」
新婦「ありがとう……」ポッ
男(ここだ!)
男(いじめを暴露するのは、皆がまだ席に座ってるこのタイミングしかない!)
男(深呼吸してから……)
男「すみません!」バッ
ザワザワ…
男「ここで皆さんにお話ししたいことがあります!」
ナンダ… ダレダヨ… ザワ…
男(もう後戻りはできない……!)
新郎「なんだよ、いきなり指さして……」
男「俺はお前に中学の三年間いじめられてた……」
男「いじめの内容は、プロレス技をかけるところから始まり」
男「文房具を隠されたり、変な飲み物を飲まされたり、テストの点をバカにされたり……」
男「放課後プールに呼び出されて、中に突き飛ばされたこともあったっけ」
新郎「お前……!」
旧友「マジかよ。知らなかった……」
ザワザワ…
男「今となってはいい思い出だ、なんてことは全くない」
男「この痛み、苦しみ、辛さ……たとえ謝られても許すつもりはない」
新郎「……!」
ザワザワ… ドヨドヨ…
男「――だが」
新郎「なに……?」
男「ただ皆のいる場で、お前のやってきたことを暴露して……」
男「当時のいじめられてた三年間に決着をつけたかっただけだ。スッキリしたかっただけだ」
男「だから……このことが原因で夫婦がよそよそしくなるとか、そういうのは全く望んでない」
男「過去の過ちを反省して、幸せな生活を送ってくれればそれでいい」
新郎「……」
男「……以上。せっかく式に参加したんだし、いいたいこといわせてもらいました」
男「すみませんでした……」スッ…
男「?」
パチパチパチパチパチパチパチ…
男(やってることは非常識なのに、なぜか拍手をもらえた……勢いって大事だな)
旧友「知らなかったぜ。お前がいじめにあってたなんて……」
男「まあ、誰にも相談しなかったからな……」
旧友「いいスピーチだった! 今夜は飲もう!」
男「ああ!」
新婦「ごめんなさい……」
新郎「いや、いいんだ。お前の悪いところも俺は受け入れる……それが夫婦ってもんだろう?」
新婦「……」グスッ
新郎「あとできちんと謝ろう。たとえ許してもらえなくても……」
男(結婚おめでとう……俺のいじめっ子)
― 終 ―
コメント一覧 (8)
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- 2021年03月07日 20:03
- ?
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- 2021年03月07日 20:28
- スレ主は、「隣人13号」でも読めば目から鱗が落ちるよ。
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- 2021年03月07日 20:58
- は?
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- 2021年03月07日 21:07
- ずっと好きだったんだぜ~♪
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- 2021年03月07日 21:43
- 虐めてたのは新婦だったってオチか
女子にプロレス技かけてもらえるなんてご褒美じゃねえか
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- 2021年03月07日 21:44
- いじめ描写がじゃれあいにしてはきつめだからいじめっこが新婦ってなっても微笑ましくならないし実はちょっと惚れてたようなラストもなんで?ってなる
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- 2021年03月07日 22:44
- 冗長
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- 2021年03月07日 23:08
- おやすみ^^