友人「電話じゃマズイ……直接会って話す」男「それ絶対死ぬやつじゃん!」
- 2021年02月05日 22:00
- SS、神話・民話・不思議な話
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友人『俺だ』
男「なんだ……どうした?」
友人『実は……前々から追ってた犯罪組織について重要な情報を掴んだ』
男「ホントか! どんな情報なんだ!?」
友人『電話じゃマズイ……直接会って話す』
男「いや待て待て待て! それ絶対死ぬやつじゃん!」
友人「いや、どうしてもお前に話したいんだ!」
男『だけど――』
友人(殺気ッ!?)
――ドゴォンッ!
友人が立っていた場所には巨大な斧が降り注いでいた。
大男「死んでもらうぜ」
友人「ふん、やっとここまで来たんだ。そう簡単にやられるものか!」
大男「どうりゃっ!」
ブオンッ!
大男「せいやっ!」
ブオンッ!
友人も斧を巧みにかわす。
大男「……」サッ
友人「!?」
シュバァッ!
斧を左手に持ち替え、鋭い一撃を見舞う。すれすれのところでかわす。
大男「ちっ!」
友人「あっぶねえ……スイッチもできるのかよ」
友人(長期戦は危険だ……一気に決める!)
友人(巨漢は……足から崩すッ!)
ベシィッ!
大男「ぬぐ……!」
ローキックで巨体が揺れる。
懐に入り込み――
友人「せいやっ!」
ガゴォッ!
顎に掌底を叩き込む。
大男「ぐはぁ……」ズズン…
友人「ふぅ……上手く脳震盪を起こせたようだな」
友人「襲われた……おそらく組織の奴に」
男『だからいったろー! 絶対ヤバイって!』
男『悪いことはいわない! 組織のことは忘れて、このままどっか田舎にでも行け! 死んじまう!』
友人「いや、そうはいかない。奴らは家族の仇……逃げるわけにはいかない!」
友人「そして俺が掴んだ情報は必ず親友であるお前に届けてみせる!」
男『おいっ!』
JS「ママー、遊ぼう遊ぼう!」
母「コラコラ」
友人(そうだ。俺が組織を潰さない限り、ああいう母子の平和も乱されてしまうかもしれないんだ)
友人(早いとこあいつにも情報を伝えて、一緒に戦えばきっと組織を潰せる……!)
母「ママ、これからお仕事だから」
JS「じゃあ、あそこのお兄ちゃんと遊ぼう!」
母「そうね」
友人「え」
JS「シャアアアアッ!」ダッ
母「キエエエエエエッ!」ダッ
母子が襲いかかってきた。
友人「なんだと!?」
母「キエエエエエエエエエッ!」シュバババババッ
ビシュッ!
頬に切り傷ができる。
友人「この二人……ナイフ使いか!」
JS「シャアッ!」
母「キエッ!」
鋭い刃が幾度となく友人の急所を狙う。
友人「おっと!」
母「キエェア!」ズバッ
友人「ぐっ……!」
友人(なんという一糸乱れぬコンビネーション!)
友人(互いが互いの隙をかばってるから、反撃する瞬間が来ない!)
友人(だが、こういう時は――)
友人「ぐっ!」ドザッ
JS「え!?」
母「キエエッ!」
まだ経験が浅いであろう女子小学生は一瞬戸惑ってしまう。つまり、隙ができてしまう。
友人「ハァッ!」
すかさずハネ起き、両者の顎に一撃ずつ浴びせる。
JS「がっ……!」
母「ぐはぁ……!」
ドササッ…
友人「恐ろしい母子だった……」
男『よかった、まだ無事だったか』
友人「ああ……また刺客に襲われたけどな」
男『ちなみにお前が手に入れたのはどんな情報だ?』
友人「組織のボスに関する情報だ。優れた手腕を持つボスさえ倒せば組織は瓦解する……」
男『危険すぎる! もうやめとけ! 死んじゃうから! 俺はお前と別れたくないんだ!』
友人「安心しろ。絶対お前に情報を届けてみせる。二人で組織を潰そうぜ!」
友人(これ以上徒歩は危険だな……タクシーを使おう)
ブロロロロ…
友人(ん、止まらない。乗車拒否するつもりか?)
ブロロロロロロロ…
友人(スピード上げた!?)
ブオオオオオオッ!
友人「なっ!?」
ドガシャァンッ!
ブオオオオッ! ドカンッ!
ブオオオオオオッ! ガシャーンッ!
ブオオオオオッ! ズガァン!
友人(マジか……! 事故ることをまるで恐れてない!)
友人(ん、あれは――)
運転手「タンクローリーだッ!」
友人「う、うわあああああっ!」
ドゴォォォォォオンッ!!!
大爆発が起こる。
友人「はぁ、はぁ、はぁ……」ヨロヨロ…
友人(あいつのところに……行くまで、は……)
黒服「……」ザッ
友人(こいつは……! たしかボスの側近と噂される……)
黒服「あなたは知りすぎた……死んでもらいます」
友人「くっ!?」
ドンッ!
友人「ぐはっ……!」
黒服「ほう、今の一撃で絶命しないとは……流石だ」
友人「こいつ……拳法の使い手!」
黒服「その通り。ボスを探る者は全てこの手で葬ってきました」
友人「うぐう……来い! 俺は必ずあいつに情報を伝えてみせる!」
ブンッ!
渾身のアッパー。あっさりかわされる。
黒服「ぬるいですね」
ドドドッ!
三連撃。しかし、友人は倒せない。
友人「まだ、だ……!」
黒服「なんというタフネス……いえ、組織を憎む執念というやつですか」
友人「ああ……家族を殺されてから、俺はお前たちを滅ぼすために生きてきた!」
何手か攻防を重ね、黒服が勝負に出る。
黒服「セヤァッ!」
バキィッ!
強烈なハイキック。
友人「あ、が……」グラッ
黒服「トドメだッ!」
アスファルトを抉る踏み込みから、突きを繰り出す。
メキャアッ!
目には目を。歯には歯を。突きには突きを。カウンターが決まった。
黒服「こ、こいつ……」グラッ
友人「シィッ!!!」
顔面に全体重を乗せた掌底を浴びせる。
グシャアッ!!!
黒服「ボス……もうし、わけ……」ドシャッ
友人「ぐ……!」ゲボッ
男「おおっ、生きてたか」
友人「ああ……ギリギリだけどな……」
男「ボスの情報……教えてくれるか?」
友人「もちろんだ……」
友人「ボスは年齢20代後半、まだ若いな。一見平凡な容姿だが非常に狡猾な男だ」
友人「身長170cm、体重60kg、右目の下にホクロがあって福耳、水虫に悩まされてる」
友人「趣味は登山と温泉めぐり、ゲーム好きで特にドラクエに目が無い。バーミヤンによく通う」
友人「親友が一人いて、そいつはカタギらしいんだが、非常に大切にしてるらしい」
友人「なんか……こうして読むとまるでお前みたいなプロフィールだな」
男「ああ、その通り」チャッ
友人「え……?」
男「俺がボスなんだ」
友人「な……!?」
男「だからいっただろ……“絶対死ぬやつじゃん”って。散々忠告したのに……」
友人「くっ!」
男「あばよ」
ズドンッ!
男「がはっ……」
友人「自分を……!? なんで……!?」
男「ずっと前から決めてた……お前にバレたら死のうって……だから死ぬ……それだけさ……」
男「あばよ、親友……家族の仇、うて、たな……」ガクッ
友人「……!」
友人「うおおおおおおおおおっ……!!!」
完