魔王「勇者よ、貴様には究極の“絶望”を味わわせてやろう」勇者「なんだと……!?」
魔王「人間の分際でよくぞここまでたどり着いたものだ……」
魔王「勇者よ、貴様はただ殺すだけでは飽き足らん。貴様には究極の“絶望”を味わわせてやろう」
勇者「なんだと……!?」
魔王「一切の防御はしない。さぁ、貴様の最高の技を放ってこい!」
勇者「…………!?」
魔王「どうした、怖気づいたか?」
勇者「いいだろう、後悔するなよ!」
勇者(全魔力を剣に集中……!)バチバチバチッ
勇者「行くぞッ!」
魔王「…………」
勇者「魔滅閃ッ!!!」ブオンッ
ズガァァァァァンッ!!!
勇者「や、やった……! 魔王を倒した……!」
勇者「え……!?」
魔王「これが全力だとするなら……ガッカリだ」
勇者「そんな……魔滅閃を受けて無傷だなんて……」
魔王「フハハハハッ! “最強の必殺技が通用しなかった”……これほどの絶望はあるまい!」
【絶望シーン1 最強の必殺技が通用しない】
魔王「む?」
勇者「笑わせてくれる、こんなのが絶望だと?」
魔王「ど、どういうことだ!?」
勇者「今から俺がもっとすごい絶望を味わわせてやる」
魔王「なにっ!?」
勇者「奥の手を放ってこい。そうすれば分かる」
魔王「ぐぬぅぅぅ……!」
魔王「魔界の王が繰り出す最大奥義、受けてみるがいい!」
魔王「暗黒怨波ァァァァァッ!!!」
ズオオオオオオオオオッ!
ズガァァァァンッ!
魔王「ふははは、どうだ!?」
勇者「ぐ……!」シュゥゥゥ…
魔王「さすが勇者、生きておったか! だが、大ダメージのようだな!」
勇者「えぇと、今の技……たしかこうか?」ゴゴゴゴゴ…
魔王「え?」
勇者「暗黒怨波ァァァァァッ!!!」
魔王「ちょっ!?」
ズオオオオオオオオオッ!
ズガァァァァンッ!
魔王「バカな……! ワシが100年かけて会得した奥義を……!」
勇者「どうだ、“苦労して会得した技をコピーされる”……絶望しただろう!」
魔王「ぐぬぬぬ……! おのれ……!」
【絶望シーン2 苦労して会得した技をあっさりコピーされる】
勇者「ほう、まだやる気か?」
魔王「今度はワシが絶望を教えてやる!」
勇者「奥義をコピーされる以上の絶望はないと思うがねえ……」
魔王「これを使う!」サッ
勇者「それは?」
魔王「魔界に伝わる敵の強さを測る装置だ! これでお前を測定する!」ピピピ…
魔王「ほう、10000……素晴らしい数値だ。部下たちでは敵わぬわけだ」
勇者「おいおい、お前が絶望してるじゃないか」
勇者「サンキュー」
勇者(俺が10000なら、魔王はせいぜい9000ぐらいのはず……)ピピピ…
150000
勇者「え……!? 15万……!?」
魔王「…………」ドヤァ…
勇者「いや、これはおかしい! きっと測り方を間違えて……」ピピピ…
150000
勇者「そ、そんな……!」
勇者「うわああああっ……!」
勇者「1万と15万……こんなの勝負にならないじゃないか! どうしたらいいんだ!」
勇者「もうダメだ……!」
魔王「数字ほど分かりやすい指標もあるまい! フハハハハハッ!」
【絶望シーン3 強さを数値化したら敵が圧倒的に上だった】
魔王「ほう? まだ足掻くのか。まぁいい、やってみせよ」
勇者「数字には数字でお返しするしかないようだな」
勇者「実は俺の国には勇者がたくさんいてな。≪勇者ランキング≫なんてのもあるんだ」
魔王「勇者を強さ順に序列化したものか」
勇者「その通り。今から俺の順位を教えてやろう……」
魔王(聞くまでもない。ここまでたどり着いたんだから、一位に決まってる……)
魔王「8……だと……!?」
勇者「俺の≪勇者ランキング≫は8位……つまり、俺より上がさらに7人いるってことだ」
魔王「そ、そんな……!」
魔王(こいつ一人にもこれだけ手こずってるのに、あと7人も……!?)
魔王(しかも、こういうランキングって大抵上位3人ぐらいがケタ違いの強さだし……)
魔王「どうすればよいのだ……!」
勇者「おやおや、顔が青ざめてるぞぉ? 絶望してしまったかなぁ?」
【絶望シーン4 強敵より強い奴がまだまだいると判明する】
魔王「せやぁぁぁっ!」
パキィンッ!
勇者「俺の剣が……!」
魔王「どうだ、“武器が折れる”! 共に戦ってきた相棒が砕け散り、さぞ絶望しただろう!」
勇者「ぐっ……!」
【絶望シーン5 武器が折れる】
魔王「新しい剣出してきやがった!」
勇者「俺は武器を折るなんて生ぬるい真似はしねえ。もっと深い絶望を味わわせる!」
勇者「はあっ!」
ズバッ! ボトッ…
魔王「ぐわああああああっ! 右腕がっ……!」
【絶望シーン6 四肢欠損】
魔王「ぐ……ワシの運命もここまでか……」
勇者(やった……! 魔王に絶望を味わわせてやったぞ!)
魔王「なんちゃって!」
勇者「へ……」
魔王「ぬううう……ふんっ!」ズボォッ!
勇者「バカな……! 腕が再生しやがった……!」
【絶望シーン7 大ダメージを与えたと思ったら再生される】
勇者「こうなったら、これだけはやりたくなかったが……」
勇者「カモーン!」
魔仙人「ほっほっほ」
魔王「あなたは……師匠! 年老いてなお、ワシ以上の実力を持つ……!」
勇者「今から俺とこの魔仙人が戦う。お前は黙って見てろ」
魔仙人「行くぞよ」
勇者「来いっ!」
魔仙人「きええええっ!」
ザンッ……!
魔仙人「うぐぐ……無念じゃ……」ドサッ…
魔王「師匠ッ! 師匠ォォォォォッ!」
魔王「そんな……魔界最強である師匠がこうも簡単に……」ガクッ
魔仙人「もう帰っていいの?」
勇者「あちらからどうぞ」
【絶望シーン8 味方サイドの最強キャラが倒されてしまう】
魔王「あうう……」
勇者「今のお前なら容易くトドメを刺せる! 魔滅閃ッ!!!」
魔王「ぐぎゃああああああ……!」
ズガァァァァァンッ!!!
勇者「さっきは効かなかった魔滅閃だが、絶望したお前になら“効果は抜群”だ!」
勇者「魔王は死体になった! 俺の勝利だ!」
勇者「な、なにっ!?」
魔王「これぞシンプルな絶望展開! “死んだと思った敵が生きてた”!」
魔王「どうだ、絶望したかァ!?」
勇者「し、しました……」ガクガク
【絶望シーン9 死んだと思った敵が生きていた】
魔王「暗黒怨波ァァァァァッ!!!」
ズオオオオオオオオオッ!
ズガァァァァンッ!
魔王「やった! 勇者が消し飛んだ! ワシの勝ちだ!」
魔王「ぬ……!? ふん、さっきワシがやったのと同じ絶望シーンではないか。芸のない奴め」
勇者「果たして同じかな?」
魔王「え……?」
勇者B「勝負だ、魔王!」
勇者C「やっとここまで来たぞ!」
勇者D「倒してやる!」
ウジャウジャウジャウジャウジャ…
魔王「ひいいいいっ! 倒したはずの勇者と同じのがいっぱい!」
勇者「ざっと100人はいるぞ」
【絶望シーン10 倒した敵と同じ奴が大量に現れた】
勇者「お前こそ……」ハァハァ…
魔王「この絶望対決、なんだか楽しくなってきた!」
勇者「分かる……普通に戦うより楽しい!」
魔王「こうなったら、どこまで絶望感を追求できるかとことんやってみないか?」
勇者「いいだろう! じゃあ、次はお前の番……」
「ねえ……二人とも、さっきから何してるの?」
魔王「姫……!?」
姫「てっきり私のために二人で死闘してると思いきや、二人してふざけちゃって……」
勇者「いや、決してふざけてるわけじゃ……」
魔王「そうそう! ワシら、真剣に絶望について考えて……」
姫「ふうん、そう」
姫「だったら私が……二人に真の絶望を教えてあげる」パキポキ…
勇者「ひいいっ! ちょっと待って!」
魔王「落ちつこう? 話せば分か――」
魔王「助けてええええええええええええっ!!!」
勇者と魔王が仲良くボコられたので、この物語はここでお終いです。
作者の次回作にご期待下さい!
【絶望シーンFinal 作品が打ち切りになる】
END
元スレ
魔王「勇者よ、貴様には究極の“絶望”を味わわせてやろう」勇者「なんだと……!?」
https://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1608289426/
魔王「勇者よ、貴様には究極の“絶望”を味わわせてやろう」勇者「なんだと……!?」
https://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1608289426/
コメント一覧 (16)
-
- 2020年12月18日 23:15
- 姫は魔王と勇者どっちが好きなの?
-
- 2020年12月18日 23:44
- >>1
この話の場合だと勇者が過去に訪れた国の王様の誰かと
普通に政略結婚ってのが妥当かな
-
- 2020年12月18日 23:25
- つまらなさに絶望した
-
- 2020年12月19日 02:17
- >>2
だから打ち切られてるだろ
-
- 2020年12月19日 02:50
- 真の絶望は・・・「別に魔王とか居ないのに滅亡する人類」
-
- 2020年12月19日 11:02
- >>5
とあるギャグマンガは中盤から環境破壊して緩やかに世界を破滅させる奴を倒すって冒険始めたけど、ラスボスは単なる総合企業の天才社長(環境破壊はこいつの工場の汚水やらのせい)ってのがあったよ。
当然主人公は倒そうとしたけど「非武装の無力な商人を56そうとする勇者」て構図で世界放映されて故郷と故郷の友人知人の名誉に泥塗るって状態にされて完封魔消してた。
-
- 2020年12月19日 16:57
- >>11
こんなところでこの漫画の読者を見るとは思わなかった
ラスボスに勝つ決定打が停電とかほんと予想外だったわ
-
- 2020年12月19日 03:30
- 【破壊神を越える破壊神として世界から恐れられる】
-
- 2020年12月19日 04:29
- 勝利後に国に凱旋したら実は倒せてなかった魔王に大切な人達の命を奪われ、倒せてなかったことについて民衆から非難される
勇者が悪堕ちしたら最終的に特攻兵器化させればよし
-
- 2020年12月19日 07:29
- でんぢゃらすじーざんに似たような話あったな
-
- 2020年12月19日 07:49
- 面白いやん
-
- 2020年12月19日 09:10
- カ、カレーを炊いたのに炊飯器のスイッチが入ってなかっただと…?
-
- 2020年12月19日 11:13
- とあるカードゲームのアニメだと二作目ラスボス倒した主人公組がラスボスと繋がってた権力者とかを糾弾しようとしたけど、政治力や権力、影響力やコネをガン回しされて親や友達含む周囲から孤立させられた上に仲間の一人を見せしめに暗殺されて、挙げ句大好きなカードゲームも大会に出れなくされたってのあったな。
ガチで潰しに来る権力者に完全敗北って言葉すら生ぬるい状態にされるってのも絶望的じゃね?
-
- 2020年12月24日 18:00
- >>12
ただ、権力者が好き勝手やったせいで単純な武力に物を言わせる魔族を止められなくなって、呆気なく壊滅してるのが諸行無常と言うか、皮肉というか…
-
- 2020年12月19日 15:04
- 長い
-
- 2020年12月19日 23:10
- ガンダム動物園のラスボスGacktを思い出す