男「鬼滅の刃流行ってるし俺も鬼退治するか」女「ドーシタッテー」
- 2020年10月27日 20:00
- SS、神話・民話・不思議な話
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女「ドーシタッテー」
男「俺もネカフェで20巻ぐらい一気に読んだんだけど、ハマっちゃってさ」
女「ドーシタッテー」
男「で、俺も鬼殺隊みたいに鬼退治したいな、と思ってさ」
女「ドーシタッテー」
男「お前もそう思う? どこかに鬼いないかなー」
女「ドーシタッテー」
男「あ、いた!」
鬼「……ん?」
男「すいません、あなた鬼ですよね?」
鬼「ええ、そうですが。よく分かりましたね」
男「分かりますよ、頭にツノ生えてるし」
鬼「ああ、なるほど」
女「ドーシタッテー」
鬼「面白いですよね」
男「それで……鬼退治したくなっちゃって」
鬼「分かります」
男「今ここで俺と戦ってくれませんか?」
鬼「いいですよ」
男「ありがとうございます!」
女「ドーシタッテー」
鬼「どうぞ」
男「あなたって、やっぱり首とか斬らないと死なない感じですか?」
鬼「いや、そんなことはないですよ」
鬼「心臓止まれば死にますし、頭打っても死にますし、血がいっぱい出ても死ぬと思います」
男「耐久力は人間に毛が生えた程度と」
鬼「いや、生えてもないと思います。今風にいうと“ほぼほぼ変わらない”ってとこです」
男「なるほど」
女「ドーシタッテー」
鬼「大丈夫ですよ」
鬼「朝は7時に起きて、夜11時には寝るという生活をかれこれ十年は続けてます」
男「健康的ですね」
鬼「朝はコーンフレーク、昼はお弁当、夜はイオンのお惣菜なんかを食べてます」
鬼「休日はジョギングを2~3kmほど」
男「なるほどなるほど」
女「ドーシタッテー」
鬼「はい」ザッ
両者が構える。
通行人「!」
通行人「み、見られる……ッ!」
通行人「令和のこの時代に、人と鬼の異種スペシャルマッチが!」
通行人(嗚呼……神よ。私をこの究極の戦いの目撃者にして下さったことを心から感謝いたします!)
女「ドーシタッテー」
鋭い踏み込みから、突きを繰り出そうとする。
鬼「……」シュッ
パシッ!
男「ぶっ!?」
鼻先に衝撃。
男(これは……ジャブ!?)
通行人「しっかり顎を引いて、脇を締めた鋭い一撃! ボクシング知ってやがる、あの鬼!」
女「ドーシタッテー」
鬼「ワンツー!」シュパパッ
ボクシングのお手本のような、ワンツー。
男「ぐ、くそっ!」
男「ローキック!ビシッ!
鬼「おっと……」
通行人「軽やかなフットワークから繰り出されるコンビネーションに、男はなすすべがないッ!」
通行人「かろうじてローを返すのが精一杯だ!」
女「ドーシタッテー」
鬼「むんっ!」ドガッ!
ジャブ連打から、右ストレート。まともに喰らってしまう。
男「ぐあっ……!」
男「くそぉっ!」ビシッ!
鬼「またローキックか……無駄だ!」パパパァンッ!
通行人「ダメだ……まるで相手になってない! やはり人類は鬼には勝てぬ運命(さだめ)なのかッ!」
女「ドーシタッテー」
男「せやぁっ!」ベシッ!
鬼の猛攻に、男はただローキックを返すのみ。
鬼「そりゃっ!」バキッ!
男「ぐああっ……!」ヨロッ…
通行人「グロッキーになってる! これ以上は危険すぎる!」
通行人「あなた、恋人でしょ!? 早くタオルを投げてやらないと危険だ!」
女「ドーシタッテー」
通行人(投げない!? なぜ!? それほど彼氏を信頼しているというのか!)
男「うぐ……!」
鬼「……」
鬼「ぐっ!?」ヨロッ…
鬼のフットワークが急激に鈍った。
鬼「こ、これは――!?」
通行人「なんだ!? 何が起こった!?」
女「ドーシタッテー」
鬼(何発も喰らったローキックで……下半身にダメージが蓄積されてたんだ!)
男「やっと効いてきたようだな……」
男「一見お前が圧倒的に攻めてたようだが、俺もコツコツと反撃していたんだ」
男「どうやら足技に対する経験があまりなかったようだな!」
鬼「ぐっ……!」
男「さぁ、いつものやつを頼むぜ!」
女「ドーシタッテー」
男「ローキック!」ビシッ!
女「ケッセッナイユメモ」
男「ローキック!」ビシッ!
女「トッマレナイイマモ」
男「ローキック!」ビシッ!
女「ダーレカノータメニツヨクーナーレールーナラー」
男「ローキック!」ビシッ!
女「アーリガトーカナーシミヨー」
男「ローキック!」ビシッ!
鬼「ぐああああああっ……!」
通行人「うわぁ、足がパンパンに腫れてる……!」
鬼「うぐぐ……!」
審判「ギブアップ!?」
鬼「ノー!」
審判をどかせると、ファイティングポーズを取る。
男(あの足でまだ戦うというのか……!)
女「ドーシタッテー」
男「唯(ただ)の呼吸!」スゥゥゥ…
男「勝負ッ!」ダッ!
通行人「ここにきてタックルゥ!?」
タックルで一気にテイクダウンを奪う。
鬼「ぐうっ!」
男「ここから――」バババッ
通行人「流れるような寝技! あっという間に体を固めていく! こ、この技は……ッ!?」
女「ドーシタッテー」
鬼「があっ……!」
通行人「完全に極まってる! 折れちまうぞ!」
審判「ギブアップ!?」
鬼「ノー!」
審判「ギブアップ!?」
鬼「ノー!」
通行人「それでも鬼はタップしない! なんて根性だッ!」
女「ドーシタッテー」
鬼「……!」
男「俺はお前の腕を破壊したくない……」
男「頼む……! 俺を“鬼”にさせないでくれぇっ!!!」
目から涙を流す男。
鬼「……フッ」
次の瞬間――
パンパンッ
鬼は男の体を掌で叩いた。降参の意思表示――“タップ”したのだ。
審判「勝負ありッ!!!」
男「いや、お前こそ強かった」
男「もし、お前がローキックの受け方を知ってたら、俺が負けてた」
鬼「へへっ、再戦する時までに覚えておかないとな。次は絶対勝つ」
男「お~、こわっ! 鬼ごっこで追いかけられる時の気分だ」
鬼「なにしろ、俺は鬼だからなァ」
アッハッハッハ…
死闘の果てに、二人の間には友情が芽生えていた――
女「ドーシタッテー」
男「?」
鬼「俺に勝った印に、これやるよ」
男「これは……あの大ヒット映画“『鬼滅の刃』無限列車編”のチケット!?」
男「こんな貴重な物を……いいのか!?」
鬼「ああ……二枚あるし、彼女と一緒に観てくれよ」
男「ありがとう……!」
鬼「観た後は……ベッドの中で鬼になっちゃえよ」ボソッ
男「こいつぅ!」
鬼「へへっ、じゃあなー! 彼女には“ラマーズの呼吸”でも教えとけよ!」タタタッ…
男「なっ……!」カァァ…
女「ドーシタッテー」
男「それじゃ……映画でも行こうか」
女「ドーシタッテー」
男「それにしてもあいつ……人を食ったような鬼だったな」
―完―
コメント一覧 (5)
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- 2020年10月27日 20:23
- ラストですごい上手いこと言われた感じがして心の中がドーシタッテーだわ
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- 2020年10月27日 20:35
- この人のSS初めてか?力抜けよ
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- 2020年10月27日 21:01
- ラマーズの呼吸はうまいと思った
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- 2020年10月30日 07:21
- つまんないわ
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- 2020年10月30日 17:36
- (・_・)