【ミリマス】白石紬「金魚すくいのコツ」
奈緒と紗代子の誘いで瑞希、エレナ、紬、美也はHANABI団がコラボしている縁日に来ていた
高山紗代子「いらっしゃいませー!」
横山奈緒「みんな、来てくれてありがとな!」
島原エレナ「サヨコ、ナオ、お疲れ様!」
真壁瑞希「たくさんの人で賑わっていますね」
奈緒「せやろ? なんたって我らが『閃光☆HANABI団』が企画した縁日やからな!」
紗代子「みんなも楽しんでくれてる?」
宮尾美也「はい~。焼きそばもわたあめも、とっても美味しいですね~」
紗代子「うん。実は今イベントをやってるんだ」
エレナ「イベント?」
紗代子「普通の金魚すくいだと、すくった金魚が景品になると思うんだけど、それだと家に水槽がない人は遊びにくいよね? 貰ってもあまり嬉しくないだろうし……」
奈緒「だから、金魚そのものやなくて別の物を景品にすることにしたんや」
紗代子「景品の豪華さは金魚をすくった数で決まるよ」
瑞希「それなら金魚が捨てられることもありませんね」
エレナ「劇場の近くでもたまに捨て金魚が泳いでるよネ」
紬「責任感のない方が動物を飼おうとするからそのようなことになるのです。まったく、嘆かわしいですね」
紗代子(あれ? そういえば、なんで金魚が海を泳いでるんだろう……)
紬「ど、動物虐待です!」
奈緒「あはは、冗談や冗談。至って普通の金魚すくいやで。1回200円で、使えるポイは1つや。サービス価格ってことで、みんなは100円でええで」
エレナ「ポイって?」
瑞希「金魚すくいで使う、あの……アレのことです」
エレナ「へえ~! カワイイ名前だネ!」
紗代子(まあ、たい焼きが泳ぐ歌があるんだから、金魚も海くらい泳ぐよね……)
エレナ「サヨコ?」
紗代子「え? あ、ごめん。はい、どうぞ」
エレナ「……決めた、あのおっきな子を狙うヨ……えいっ! あれ? 破れちゃった」
エレナ「あー! 水の中で破れちゃった……」
奈緒「さすがに美也はゆっくりすぎやな」
紗代子「水に浸しすぎると紙が弱くなっちゃうんだよね」
紬「それでは、なぜ俊敏に動いた島原さんも失敗を?」
エレナ「教えて教えて!」
奈緒「え~? どないしよっかな~? こっちも商売でやってるわけやしな~。紗代子はどう思う?」
紗代子「せっかく来てくれたんだから教えてあげようよ」
奈緒「ま、そこまで言われたらしゃーないな。『関西の救世主』と呼ばれた私の腕前見せたるわ!」
エレナ「キューセイシュ?」
瑞希「救う人、という意味です。金魚すくいの『すくい』と人を助ける方の『救い』をかけているのでしょう」
奈緒「解説はいらんねんこんなしょうもないギャグに!」
紗代子「さっきのエレナちゃんはポイを真っ直ぐ動かしてたでしょ?」
エレナ「ウン」
紗代子「それだとポイにかかる水の抵抗が大きくなって、破れやすくなるの」
エレナ「へー」
紬「島原さん、わかっていらっしゃるのでしょうか……」
奈緒「まあ、そういうもんだと思ってや」
紗代子「待つなら壁際がおすすめだよ」
美也「金魚の逃げ場が少ないから、ですか~?」
紗代子「うん、正解」
奈緒「それと、狙うならちっちゃい金魚がええな」
瑞希「そうですね。大きな金魚は重くて、すくうのが大変です」
奈緒「以上を踏まえてちゃんとやると……おりゃああっ!」
紬「『関西の救世主』とは……」
瑞希「一瞬でしたね」
奈緒「ぐぬぬ……。紗代子! これちゃんとしたポイか!? まさかうっすい紙にすり替えたんやないやろな!?」
紗代子「うん、そのはずだけど……」
奈緒「ほんまか!? 誓って言えるか!?」
紗代子「落ち着いて奈緒ちゃん。関西の人みたいになってるよ」
奈緒「私はもともと関西人や!」
奈緒「……まあ、理屈ばっかりじゃ上手くいかないっちゅうことやな」
紬「それなら、今までの解説の意味が……」
瑞希「では、次は私が行きましょう。高山さん、1回お願いします」
紗代子「うん。どうぞ」
瑞希「はい。実は、横山さんは1つだけミスをしているのです」
奈緒「え、そうなん?」
瑞希「はい。ポイには裏表があるということをご存知ですか?」
紬「う、裏表?」
瑞希「はい。便宜上ですが、紙を貼り付けてある方を私は裏と呼んでいます」
エレナ「それでどうなるノ?」
奈緒「持ち手があって、底がちょっと深くなってて……」
美也「なるほど、確かにフライパンですね~」
瑞希「そんなポイに表……紙を貼り付けてない方から水を入れればどうなりますか?」
紬「それはもちろん、水が溜まります」
エレナ「フライパンもそうだもんネ!」
瑞希「ですがフライパンと違ってポイの底は紙です。大量の水が溜まれば……重さで破れてしまいます」
瑞希「その通りです。その他の手順は完璧でした」
美也「瑞希さんも金魚すくいのコツを知っていたんですね~」
瑞希「はい。『関東の救世主』とは私のことだぞ」
奈緒「ほほう。なら、見せてもらおうやないかい!」
瑞希「はい。……これが私の実力です……!」
奈緒「昭和のお笑いか!」
紬「まさかとは思っていましたが……」
瑞希「……高山さん、これは本当に正規のポイですか? 金魚を取らせないように粗悪なポイを……」
紗代子「そんなことしないよ!」
瑞希「そうですか。……ちなみに、私の父は弁護士です」
エレナ「サヨコ、白状しようヨ~」
美也「これ以上罪を重ねてはいけませんよ~」
紗代子「み、味方がいない……」
エレナ「景品はどうなるノ?」
奈緒「残念賞ってことで、別の屋台で売ってるたい焼きや」
紗代子「奈緒ちゃん、残念賞じゃなくて参加賞だから。たい焼きが残念みたいな言い方はやめてね」
奈緒「いや言葉の綾やん。そんな紬みたいなこと言わんといて~」
紬「横山さん、それは一体どういう意味ですか?」
奈緒「……さ、さあ! 景品のグレードは紬の腕にかかっとるで! 」
美也「そういえば、紬さんは金魚を飼っていましたね~」
紗代子「そして、その金魚は確か金魚すくいで取ったはず……!」
エレナ「じゃあ、ツムギが本当のキューセイシュなノ?」
奈緒「せやな。昔に1回は成功してるわけやから」
紬「え、ええと……」
エレナ「ツムギ、ファイト!」
美也「リラックスですよ~」
瑞希「私たちを救ってください」
紗代子(みんな、そんなにたい焼きが嫌なのかな……)
紬(……いえ、今はみなさんの期待を背負っている以上、為さねばならないのです)
紬「いざ、参ります……!」
紬(幼い頃の夏祭りで、私は金魚がどうしてもほしくて、けれどどうしても取れなくて)
紬(半べそをかきながら、父にお願いしてあの子を取ってもらったのです)
エレナ「たい焼き美味しい~!」
HANABI団の縁日…?ネタが一ヶ月遅いんだよ!
あっこれ私の妄想の話ね