DQN「よーし今からこの教室はリングな! 戦えやオタクw」
金髪「ホントなー、ほとんどの試合KOだったしよ!」
ピアス「テレビに釘付けだったぜ!」
ペチャクチャ…
DQN「あ、そうだ! この教室をリングにして、俺らも軽くスパーリングしようぜ!」
金髪「いーねー」
ピアス「さっそく机動かそうぜ!」
ガタガタ… ガタガタ…
女子A「またDQNたちが変なことやってるよー」
女子B「いいよ、ほっとこ」
ピアス「ぐわっ!」
ピアス「いてて……参った、やっぱDQNはつえーわ」
DQN「まぁな。よーし、次は……」
オタク「……」カリカリ
DQN「おいオタク、なに描いてんだよ。いつもみたいにアニメのキャラか?」
オタク「ひっ、DQN君……」
DQN「あ、そうだ。いいこと思いついた……戦えやオタク」ニヤッ
オタク「ふぇ!?」
DQN「いいからやれって! アニメばっか見てると体なまっちまうだろぉ~?」ガシッ
金髪「よぉし、俺が相手になってやらぁ!」
オタク「ううう……」
DQN「オラ、さっさと行け!」ドカッ
オタク「わわわっ……」
金髪「ほら、来いよ」
オタク「わーっ!」ブンッ
スコンッ
金髪「へ……?」ガクッ
金髪「あ、いや……」
DQN「……」
ピアス「次は俺だぁ! オラッ! ――オラァッ!」
バキッ! ガッ!
オタク「ギャッ! ひいいっ!」
DQN「……」
DQN(さっきの一撃……的確に金髪のアゴに当たってた。なんつう当て勘だ)
DQN(それに今も、殴られてはいるが、ピアスの攻撃に反応はできてる。いい反射神経してやがる)
DQN(こいつ、もしかして――)
ピアス「えっ!」ビクッ
DQN「おいオタク……」
オタク「ふぇ……?」
DQN「俺とやれ」
オタク「ボクはもう……」
DQN「いいから!」
オタク「ふぁ、ふぁい!」
ビシッ! バシッ!
オタク「ぐっ……! ううっ……!」
DQN(このパンチで……見極める!)ブンッ
オタク「ええーい!」
バチッ!
DQN「ぐっ……!」
DQN(今のパンチ……カウンターになってた。もしオタクが本格的に鍛えてたら俺は今頃――)
DQN「なぁ、オタク」
オタク「?」
DQN「俺と……世界獲ってみねえか!?」ギュッ
金髪「え……!?」
ピアス「なにいってんだよ……」
オタク「やるよ」
DQN「決まりだな」ニヤッ
金髪「えええええ!?」
ピアス「どういうことなの……」
…………
……
DQN「好きに使っていいことになってる。もちろんお前もな」
オタク「う、うん」
DQN「じゃあ、あのサンドバッグ殴ってみろ」
オタク「えいっ! えいっ!」ボフッ ボフッ
DQN(やっぱり! こんな貧相な体なのに、なぜかいい打撃放ちやがる!)
DQN「どうだ、サンドバッグを殴った気分は?」
オタク「なんていうか……新しい扉を開いた感覚だよ」
オタク「まるで今まで食わず嫌いしてたアニメを見たら、とても面白かったというような――」
DQN「よく分かんねえが、目覚めたみてえだな」
オタク「うん!」タッタッタ…
タッタッタ…
DQN「な、なかなかスタミナあるじゃねえか……」
オタク「好きなアニメに出てくるダンスを、一時間以上踊り続けることもあるからね」
DQN「一時間……!?」
オタク「うん!」
バシッ! ビシッ! バシッ!
DQN「もっと腰を入れろ! 腕だけで打つな!」
オタク「えーいっ!」
バスッ!
DQN「よっしゃ、いいぞ! ナイスパンチ! もっともっと打ってこい!」
オタク「うおおおっ!」
バキィッ!
オタク「ぐはっ……!」ドサッ
DQN「どうしたァ! そんなもんか!?」
オタク「うおおおおおっ!」ダッ
DQN(練習すればするほど、面白いように強くなる……こいつはとんだ原石だったぜ!)
DQN「この大会は、プロ格闘家を目指す上では登竜門といわれる大会でな」
DQN「ここで上位に食い込めれば、プロ格闘家への道が開ける」
オタク「上位、か……」
DQN「?」
オタク「あのさ、優勝しちゃってもいいんだよね?」
DQN「フッ、もちろんだ!」
相手「うおおおおおおおっ!」ブンブンッ
オタク「……」サッサッ
オタク「えいっ!」シュバッ
相手「あ、あら……? 足がもつれて……」ドサッ
DQN(すげえ……相手の攻撃を全て回避しつつ、一撃で仕留める……!)
DQN(やっぱり俺の目に狂いはなかった……!)
ワァァァァァ……!
DQN「やったな!」
オタク「うん! DQN君のおかげだよ!」
「誰だあいつ……?」 「とんでもない新人が出てきたな」 「見た目は弱そうなのに……」
オタク「ホント!?」
DQN「まあ、あの大会であんだけ圧勝すればな……」
オタク「デビュー戦の相手はどんな奴だい?」
DQN「レスリングの使い手だ。あまりやったことのないタイプだから気をつけろよ」
オタク「うん!」
オタク(あ、突っ込んできた!)
ゴッ!
格闘家「あ、がっ……」ドサッ…
カンカンカーン!
DQN(あの素早いタックルに、あっさり膝を合わせやがった……!)
DQN(こいつは格闘技界の勢力図を大きく塗り替える……!)
DQN「おい、どこ行くんだよ。トレーニングは?」
オタク「あ~ん?」
オタク「なんでそんなもんする必要があんだよ。オレは格闘技の天才なんだぜ?」
DQN「天才だって練習しなきゃ、才能は腐っちまうぞ」
オタク「バ~カ、才能が腐らねえから天才っていうんだよ。腐っちまう奴はただの凡人さ」
DQN「……」
美女B「すっごい力こぶ~、さわっていい?」
オタク「ハハハ……もちろんさ。なんなら下半身も……」
DQN「おい、ジムに女連れ込むなんてなに考えてんだ!」
オタク「おいおい、つれねえこというなよ~? 今やオレはこのジムの稼ぎ頭だぜ?」
オタク「よぉ~し、ボトルイッキしちゃおっかな!」グビグビ
キャーキャー! ステキー!
DQN「……!」
ドゴォッ!
カンカンカーン!
オタク「でりゃあっ!」
バキィッ!
カンカンカーン!
DQN(それでもあいつは勝ち続けた。紛れもない天才だった)
DQN(国内王者への挑戦権ももう目前だ。だが――)
オタク「っしゃあっ! どんなもんじゃぁい!」
対戦相手「くそぉっ……」
DQN(試合内容は確実に悪くなってやがる)
DQN(昔のオタクなら、今日の相手ぐらいなら1RでKOできただろうに……)
ドゴォッ!
挑戦者「ぐええっ……!」ドサッ…
DQN(それにオタクが天才なら、王者だってまた天才……)
DQN(あんな状態で挑んだら、下手したらリングの上で殺されてもおかしくねえ……!)
DQN(どうにかしなきゃ……!)
オタク「んだよ」グビグビ
DQN「また酒なんか飲みやがって……」バッ
オタク「なにしやがる、てめえ! 返せや!」
DQN「いいか、いくらお前が天才だからって、王者だって天才なんだ! このままじゃ――」
オタク「おい、DQN……」
DQN「!」ビクッ
DQN「う……」
オタク「確かにお前はオレの才能を見出した。それは認めてやる。だが、お前の功績はそ・れ・だ・け」
オタク「お前にオレに指図する権利は一切ねえ!」
DQN「俺は長年、お前の相棒として……」
オタク「ハァ~? 相棒? 笑わせんな! オレはお前なんぞいなくても、ここまで来ることはできた!」
オタク「ま、今まで通り、お飾りのセコンドとしてオレの勝利を眺めてろや。なァ、DQNちゃん?」ポンッ
DQN「ぐうう……!」
オタク「ヨシコちゃんに電話しよ~っと! もしもし~? 今ヒマぁ~?」
DQN「……」
DQN(このままじゃ……あいつはダメになる……)
DQN(どうすれば、あいつの目を覚ますことができる……!?)
DQN(どうすれば、格闘技を始めた頃のあいつに戻すことができるんだ……!)
オタク「君、かわいいね~。今夜どぉう?」
嬢「え~? どうしよっかな~?」
ピリリリリ…
オタク「あん? いいところだったのに……誰だよ?」
オタク「もしもし?」
オタク「は?」
オタク「なにこれ、声が変だしイタズラ? 切るよ?」
電話『昔、よくノートにアニメのキャラを描いてたんだってな』
オタク「!?」
オタク「てめえ、誰だ!?」
電話『俺が誰か知りたければ、今からいう場所に来い。入れるようにしておく。場所は――』
オタク「……!」
オタク(もし、あんな過去をマスコミにリークされたら……! 行くしかねえ!)
オタク「夜の学校っつうのは怖いもんだな」ガラッ
オタク「おい! 来てやったぞォ! 懐かしいとこに呼び出しやがって!」
DQN「よう」
オタク「てめえは……DQN……!」ビキッ
オタク「あんな電話でオレを呼び出して、なんのつもりだ!?」
DQN「この教室は……あの時と同じようにリングにしてある。邪魔も入らない」
オタク「あ?」
DQN「さあ、やろうぜ。あの時の気持ちを思い出させてやる!」サッ
オタク「オレはもうプロなんだぜ? こんなとこで戦えるか! 不祥事になっちまう!」
DQN「逃げるのか?」
オタク「……!」
オタク「いいだろう、挑発に乗ってやる」
オタク「最近てめえはウザかったしよ、ここでボコボコにして、従順なお人形さんにしてやんよ!」
DQN「……来い」
DQN「ぐはぁっ!」
オタク「どうだ、てめえなんざもはや相手にならねえんだよ」
DQN「ま、まだまだ……」
オタク「しつこいんだよ!」
ボゴォッ!
DQN「げぶっ……! まだ……まだ……」
オタク「てめえ……!」
オタク「なぜだ、なぜここまでする!? オレのことが嫌になったならとっとと見捨てりゃいいだろがよ!」
DQN「才能を見出したという自負はあるし、強くなっていくお前を見るのが楽しかった……」
DQN「だが、それと同時にお前の人生を変えちまったんじゃという負い目もあった……」
DQN「俺が余計なことしなきゃ、もっと違う道を歩めたかもってな……」
DQN「だからよ……道を外れそうになってるお前を……放っておくわけにはいかねえんだ!」
オタク「くっ! うるせえんだよ! オレは道を外れてなんかいねえ!」
オタク「トドメだゴラァ!!!」ブオンッ
オタク「ぐうっ……!?」ヨロッ…
DQN「どうよ、俺の一発は……」
DQN「って大して効いちゃいねえか……」
オタク「いや……効いたよ」
DQN「!」
オタク「この教室で戦って……やっとあの時の気持ちを思い出せた……」
DQN「オタク……!」
オタク「さあDQN君、ジムに戻って特訓だ! ボク、王者に勝ちたいんだ!」
DQN「えぇと……ちょっと思い出しすぎじゃね?」
アッハッハッハッハ…
…………
……
実況『さぁ、期待の新星オタクが、日本チャンプに挑みます!』
解説『このところ、彼は調子を落としていましたが、どこまで復調できたかがカギですね』
DQN「あれだけ鍛え直したんだ……絶対勝てる! 落ちついていけよ!」
オタク「うん!」
審判「ファイッ!」
カーンッ!
王者「むんっ! ふんっ!」
ドカッ! バキッ!
オタク「ぐっ……!」
実況『チャンプの猛攻! オタクはガードを固めるしかできません!』
解説『非常に重いパンチです。ガードの上からも響いてくると思いますよ』
ガッ! ドカッ! バキッ!
ワァァァァ……!
オタク「う、うん!」
オタク(思い出すんだ……あの時初めて戦わされた時の恐怖……そして高揚感を……!)
オタク(DQN君に誘われた時のあの嬉しさを……!)
王者「私は君を買い被っていたようだ……トドメを刺させてもらう!」
ブオンッ!
オタク「……!」
オタク(これは……あの時とそっくりだ。DQN君と初めて戦った時と――)
ズバッ!
王者「あがっ……!?」
ドサァッ…
カンカンカーンッ!
実況『決まったぁーっ! 起死回生の右ストレートが王者の顎を捉えました!』
解説『まるで、かつて同じような場面を体験したかのような一撃でしたね』
ワァァァァ……!
オタク「や、やった……!」
DQN「よくやったぞ!」
オタク「ありがとうございます」
記者「今後の目標は?」
オタク「もちろん、世界です!」
記者「このところは格下相手に苦戦する試合もありましたが、よく調子を戻せましたね?」
オタク「ある人に根性を叩き直してもらって、初心に帰る大切さを教えてもらいましたから!」
記者「というと、それはやはりジムでということですか?」
オタク「いえ……」
END
「SS」カテゴリのおすすめ
「ランダム」カテゴリのおすすめ
コメント一覧 (7)
-
- 2020年09月05日 22:23
- 弱ペダの二番煎じになるけど、プロがネタパクって作ったら面白そう
-
- 2020年09月05日 23:40
- これが王道だよ
先が読めるのに引き込まれて最後まで読んじまった
-
- 2020年09月06日 01:07
- 王道 はやっぱり楽しい
-
- 2020年09月06日 07:52
- 一時間!?で切る
-
- 2020年09月06日 09:46
- ※4
切ったあとわざわざ批判コメント書き込んでて可愛い笑
-
- 2020年09月06日 12:49
- いくらなんでも調子乗り過ぎだし改心もはえー
-
- 2020年09月11日 07:49
-
こういうのでいいんだよこういうので(満足)
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