女騎士「何を飲ませた!?」オーク「ククク……安堵3000倍になる薬だ」
オーク「ククク……安堵3000倍になる薬だ」
女騎士「そうだったのか……」
女騎士「よかった……」
女騎士「本当によかったぁぁぁ……」
女騎士「いったいどんな薬を飲んだか心配で仕方なかったのだ……。助かったぁ……」
オーク「安堵してくれてなによりだよ」
オーク「ククク……インド3000倍になる薬だ」
女騎士「うっ……カレーの匂いが私をいざなう……」
女騎士「トゥルットゥルットゥルットゥルットゥルットゥルッダダダッ」
オーク「急に踊り出した!」
女騎士「鎮痛もできるヨ!」
オーク「それインドメタシンじゃね?」
オーク「ククク……運度3000倍になる薬だ」
女騎士「おっ」
オーク「どうした?」
女騎士「やった! 10Gみっけ! 今日はいつもの3000倍ツイてる!」
オーク「3000倍でそれかよ……」
オーク「ククク……塩度3000倍になる薬だ」
女騎士「今このバケツにはただの水が入ってる。ここに私の手を入れる」チャプ…
女騎士「さあ、飲んでみるがいいッ!」
オーク「いただきます」ゴクッ
オーク「しょっぱ! うえええっ! しょっぱぁ!」
女騎士「すまん……まさかそれほどしょっぱくなるとは思わなくて……」
オーク「急にしおらしくなるなよ」
オーク「ククク……音頭3000倍になる薬だ」
女騎士「ううう……ウズウズしてきた」
女騎士「ええい、甲冑など着てられん! こういう日は浴衣で踊るに限る!」バババッ
女騎士「ヨヨイのヨイ♪ ヨヨイのヨイ♪」
オーク「インドの時といい、踊るの好きだね」
オーク「ククク……感度3000倍になる薬だ」
女騎士「ふうん……」
オーク「これといって変わりねえな」
女騎士「いつも飲まされてるからな。もはや三度の食事と変わらん」
オーク「なるほど」
オーク「ククク……襟度3000倍になる薬だ」
女騎士「襟度ってなんだ?」
オーク「人を容れる度量、心の広さのことだ」
女騎士「ほう、そのような薬を他人に飲ませるとはけしからん……しかし、許す!」
女騎士「全て水に流そうではないか! ワッハッハ……」
オーク「だいぶ心が広くなったな」
オーク「ククク……君度3000倍になる薬だ」
女騎士「オーク君、キミはそんなものをボクに飲ませたのか!」
女騎士「このことは騎士団長君、さらには主君である国王君にも報告し、厳重に処罰してもらう!」
女騎士「さらにキミの集落に行き、オーク長老君にも説教してもらわねばなるまい!」
女騎士「そんな薬を開発してしまう薬師君にも困ったものだ……」
オーク「ククク……犬度3000倍になる薬だ」
女騎士「ワン! ワンワン!」ガバッ
オーク「おお、犬になった」
オーク「じゃあ俺が大切にしてるアクセサリーを埋めるから……匂いで探し当ててみてくれ!」
女騎士「ワン!」
オーク「埋めたぞ。さあ、やってみてくれ」
女騎士「ワン……ワン……」クンクン
女騎士「クゥ~ン……」フルフル
オーク「え、分からない!? しかも俺もどこ埋めたか忘れちまった! ワァ~ン!」
オーク「ククク……今度3000倍になる薬だ」
女騎士「なんだとぉ~!? オーク、今度という今度は許さんぞ!」
女騎士「いつもいつも私をオモチャにしおって! 今度ばかりはお前と決着をつけてやる!」
女騎士「勝負だ!!!」
オーク「いつやる?」
女騎士「また今度な」
オーク「ククク……酸度3000倍になる薬だ」
女騎士「確かめる方法はないか?」
オーク「これ……舐めてみろ。青色のリトマス試験紙だ」
女騎士「うむ」ペロッ
オーク「ほら、赤くなった」
女騎士「やだ、すごい……」ポッ
オーク「なんで顔まで赤くなるの?」
オーク「ククク……震度3000倍になる薬だ」
女騎士「おおおおお!?」グラグラグラ
女騎士「揺れてる揺れてる揺れてる!」グラグラグラ
女騎士「なにかの下に避難せねば!」グラグラグラ
オーク「おいっ、俺の股下に避難するな……振動が……あんっ!」
オーク「ククク……寸土3000倍になる薬だ」
女騎士「寸土というのは?」
オーク「ほんの少しの土地って意味だ」
女騎士「ほんの少しの土地が3000倍になったら、もう寸土とは呼ばんだろう! 矛盾してる! おかしい!」
オーク「お前もこういうほんの少しのところに拘るところあるよな」
オーク「ククク……鮮度3000倍になる薬だ」
女騎士「……ん」
女騎士「ああ……」ツヤツヤ…
女騎士「おおっ……」キラキラ…
オーク「みるみるうちに肌がつややかになっていく……!」
女騎士「オウッ! オウッ! オウッ!」ビチビチビチッ
オーク「魚方面いっちゃったかー……」
オーク「ククク……損度3000倍になる薬だ」
女騎士「ハッハッハ、これからは小麦相場が来る!」
女騎士「小麦を大量に仕入れた私の時代になるのだ!」
女騎士「なにぃ……小麦が大暴落!? 大損だ!」
オーク「その怒り……俺にぶつけろよ」
女騎士「ふんっ!」ボゴォッ!
オーク「うげえっ! 我ながら……損な役割だぜ」ジンジン
オーク「ククク……タン度3000倍になる薬だ」
女騎士「タン度……」タンッ
女騎士「よっ、ほっ、はっ」タタンッタンッ
女騎士「ほっほーう! やっほーう! タップタァップ!」タタタタタンッタタンッタンッ
オーク「インド・音頭に続き、踊る女騎士シリーズ第三弾です!」
女騎士「何を飲ませた!?」
オーク「ククク……沈度3000倍になる薬だ」
女騎士「えー……」
女騎士「なーんだ……チンじゃないのか……つまんない……」
女騎士「もうやだ……貝になろう……」
オーク「沈没船より深く沈んじまったよ」
オーク「ククク……ツン度3000倍になる薬だ」
女騎士「ツン度3000倍だと? 毎度毎度下らん薬を飲ませおって!」
女騎士「この汚らわしいブタがッ!」
女騎士「私の前から消え失せろ! 二度とそのツラ見せるな!」ゲシッ
オーク「あうっ!」
オーク「……」
オーク(俺的には……アリだな)
オーク「ククク……転度3000倍になる薬だ」
女騎士「転度ってなんだろぉ?」キャピッ
女騎士「きゃっ!」コテン
女騎士「きゃあっ!」コロリン
女騎士「いったぁ~い! あたしったらホントドジ!」テヘッ
オーク「大丈夫か? 俺の手につかまれ」
女騎士「ありがとう……オークさん……」トゥンク…
オーク「俺に転ぶのも早いのな」
オーク「ククク……豚度3000倍になる薬だ」
女騎士「ブヒッ!」
女騎士「ブヒヒッ! ブヒィーッ!」
オーク「まぁこうなるよな」
女騎士「ブヒ!」メキメキ…
オーク「おや? 女騎士の様子が……」
女騎士「ククク……進化してオークになったぜ」ムキッ
オーク「もうキャンセルできない!」
オーク「ククク……難度3000倍になる薬だ」
オーク「おーい、女騎士!」
女騎士「なに?」
オーク「一緒に帰ろうぜ!」
女騎士「一緒に帰って友達に噂とかされると恥ずかしいし……」
オーク「攻略難度がハネ上がってやがる!」
オーク「ククク……忍度3000倍になる薬だ」
女騎士「拙者は忍者……そのような薬を飲んでも決して己は失わぬ」
女騎士「幼き頃より、毒や薬への訓練は積んでいるゆえ……」
女騎士「では御免!」シュババッ
オーク「よくあの甲冑であんな動きできるな」
オーク「ククク……ぬん度3000倍になる薬だ」
女騎士「ぬん!!!」
女騎士「ぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬんぬん!!!」
女騎士「ぬうん!!!」
オーク「これはひどい」
女騎士「ぬん!!!」
オーク「ククク……粘度3000倍になる薬だ」
女騎士「……」ネバァァァァァ
オーク「うわ……さっそく粘液が」
女騎士「五年前……私に“バカ”っていった恨み、まだ忘れてないからな」ネバァァァァァ
オーク「俺ですら覚えてないことを根に持ってやがる」
オーク「ククク……ノン度3000倍になる薬だ」
女騎士「ノン!!!」
オーク「え?」
女騎士「断じて私はそんな薬は飲んでおらん!」
オーク「わりぃ……じゃあ飲んでないってことで」
女騎士「ノン!!!」
オーク「え?」
女騎士「飲んだに決まってるだろうが!」
オーク「ククク……ハンド3000倍になる薬だ」
女騎士「うわ……」ムクムク…
オーク「手がどんどん大きくなっていく……!」
女騎士「これ……なにかの掴み取りでものすごく有利じゃないか!」
オーク「このポジティブさ……手がつけられねえ!」
オーク「ククク……頻度3000倍になる薬だ」
女騎士「頻度……?」
女騎士「あ、ちょっとトイレ」タタタッ
オーク「……」
女騎士「すまんすまん。で、なんの頻度が3000倍になるのだ?」
女騎士「あ、またトイレ」タタタッ
オーク「ククク……憤怒3000倍になる薬だ」
女騎士「貴様ァァァァァァァァァァッ!!!!!」
オーク「ひっ!?」
女騎士「そんなものを私にィィィィィィ飲ませるとはァァァァァァァァァァ!!!!!」
女騎士「ゆぅるさぁぁぁぁぁぁぬぞォォォォォォォォォォォ!!!!!」
女騎士「叩き斬ってくれるアァァァァァァァァァ!!!!!」
オーク「ひええ……俺が刎頸されちゃう!」
オーク「ククク……変度3000倍になる薬だ」
女騎士「あっぴゃらぱっぱっぱー」
女騎士「ぽっぽるぽっぽるぽっぽるぽー」
女騎士「びんびんびびびんべんべんべべんばびばよーん」
オーク「……特に変わった様子はねえな」
女騎士「オイ!!!」
オーク「ククク……本土3000倍になる薬だ」
女騎士「本土3000倍……? 我が国の領土が3000倍に広がるということか? バカバカしい……」
女騎士「しかし、本当に3000倍になったら、さぞ愉快だろうなぁ……」
女騎士「国に仕える騎士である私も、当然さまざまな恩恵に預かれるはず」
女騎士「しかし、本当にそんな広大な国土を維持できるのか……? すぐ反乱されるのでは……?」
女騎士「迫る反乱軍ッ! 逃げる私ッ! しかし反乱軍の魔の手は私に伸び……」
オーク「妄想がどんどん広がってるな」
オーク「ククク……満度3000倍になる薬だ」
女騎士「ま・ま・満足! 一本満足!」
オーク「よっ」
女騎士「ま・ま・満足! 一本満足!」
オーク「ほっ」
女騎士「チョコなのにヘルシー! 私、満足!」
オーク「踊る女騎士シリーズが増えて、俺も満足!」
オーク「ククク……民度3000倍になる薬だ」
女騎士「ほう、つまり国民の質が上がるというわけか……」
女騎士「もう二度とならず者や賊に私が襲われるということもないわけだな?」
オーク「多分な」
女騎士「つまらん! そんな国民は滅んでしまえ!」
オーク「この国は騎士の質もだいぶ悪いな」
オーク「ククク……むん度3000倍になる薬だ」
女騎士「むん!!!」
女騎士「むんむんむんむんむんむんむんむんむんむんむんむんむんむんむんむんむんむん!!!」
女騎士「むうん!!!」
オーク「同じこと二度やるなんてひどい」
女騎士「むん!!!」
オーク「ククク……面度3000倍になる薬だ」
女騎士「メェェェェェン!!!」
オーク「どうした?」
女騎士「メェェェェェンッ!!! メェェェェェェェェェンッ!!!」
オーク「なに、なんなの?」
女騎士「遠い異国の“剣道”という競技は、こうして奇声を発しながら戦うものだと聞いた!」
オーク「剣道経験者の方々、決して怒らないで下さいね」
オーク「ククク……悶度3000倍になる薬だ」
女騎士「うむむ……悶々としてきた……」
オーク「クックック……そうだろうそうだろう。薬が効いてきたようだな……」
女騎士「家のドアの鍵、ちゃんと閉めたっけ……」
オーク「俺も気になってきた……!」
オーク「ククク……ヤン度3000倍になる薬だ」
女騎士「オークさぁん……」
オーク「!」ギョッ
女騎士「あたし、あなたが好きなのぉぉぉぉぉ! 拒否するなら包丁で刺すぅぅぅぅぅ!」
オーク「うるせえ!」バチンッ!
女騎士「ぎゃぶっ! な、なんで……反撃? 怖くないの……?」
オーク「普段剣持ってる奴が、包丁に持ち替えたらパワーダウンしてるじゃん」
女騎士「たしかに!」
オーク「ククク……弓度3000倍になる薬だ」
女騎士「弓度(ゆんど)というわけか」
女騎士「今の私なら……どんな的にも矢を当てられそうだ」ギリリッ… ヒュンッ
オーク「なんつうか、弓を扱う女ってのは、他の武器とは違う色気があるよな」
女騎士「フッ、お前のハートも射抜いてしまったかな?」
オーク「ククク……4℃3000倍になる薬だ」
女騎士「なるほど……つまり4×3000で12000℃か!」
女騎士「うおおおおおおお! 燃えてきたァァァァァッ!!!」メラメラメラ…
女騎士「私は今燃えている! 燃えているぞォォォォォ!!!」メラメラメラ…
女騎士「プロミネェェンス! ファイヤーッ!!!」ゴォォォォォォ…
オーク「一方、オークはそんな女騎士を冷え切った目で見つめるのであった」
オーク「ククク……乱度3000倍になる薬だ」
女騎士「うわっ、髪型が乱れたっ!?」ボフッ
女騎士「いやっ……服装も乱れていく……」ヌギヌギ
女騎士「このままでは性も乱れてしまうっ……!」
オーク「そりゃ元からだろ」
女騎士「そうでやんした! さっすがオークの兄貴!」テヘペロッ
オーク「キャラもだいぶ乱れてるな」
オーク「ククク……鱗度3000倍になる薬だ」
女騎士「うわあああ……肌に鱗が生えてきた……」ブツブツ…
オーク「まあまあ、いいじゃねえか。鱗があった方が防御力高そうだし」
女騎士「ふざけるなッ!!!」
オーク「逆鱗に触れちまったか……」
オーク「ククク……ルン度3000倍になる薬だ」
女騎士「ルンルンルン♪」
女騎士「今日は~♪ お日様輝いて~♪ 私を迎えてく、れ、る~♪」
女騎士「ピクニックに行っちゃおっかな~♪」
オーク「クリニックに行った方がいいんじゃね?」
オーク「ククク……練度3000倍になる薬だ」
女騎士「はっ!」ブンッ
女騎士「せやっ!」シュバッ
女騎士「はーっ!」ヒュオンッ
女騎士「見よ! この上達ぶりを! 訓練の成果だ!」
オーク「おお……すげえ。剣を手足のように操ってやがる」
女騎士「突き合ってくれ、オーク! 私とともにもっと練習しよう!」
オーク「ごめんなさい、あなたとは突き合えません」
女騎士「失練!!!」
オーク「ククク……ロンド3000倍になる薬だ」
女騎士「ロンドはたしか輪舞曲というな」
女騎士「つまり……」メキメキ…
オーク「ん?」
女騎士「海老反りして、両手で両足首を掴んで、自ら輪(リング)になればよいわけだ」ガシッ
女騎士「この状態のまま踊れば……」ウネウネウネ
オーク「ワーッ!!!」
オーク「ククク……ワン度3000倍になる薬だ」
女騎士「ウゥ~……ワンワン!」
オーク「これって……犬度と同じじゃねえか」
女騎士「……」クンクン
女騎士「ワンワン!」
オーク「ここを掘ってみろ? あっ、これは……埋めたままになってた俺のアクセサリー!」
女騎士「ワン!」
オーク「ありがとう、お前がナンバーワンだ!」
オーク「ククク……をん度3000倍になる薬だ」
女騎士「をん!?」
女騎士「を……をぉぉぉぉぉん! をぉぉぉぉぉぉぉん!」
女騎士「をぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!」
オーク「を疲れ様です」
オーク「ククク……んん度3000倍になる薬だ」
女騎士「んんーっ!」
女騎士「んんーっ! んんーっ! んんーっ!」
女騎士「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんーっ!」
オーク「もういい……もういいんだよ……よく頑張った……」
オーク「これで終わりなんだ……。ゆっくりおやすみ……」
女騎士「なんだ?」
オーク「実は……俺が飲ませた薬は全部、ビタミン剤だとかお菓子の類だ」
オーク「つまり、お前に出た効能は全部、思い込みによる作用なんだ」
女騎士「くっ、殺せ!」
― 完 ―
「SS」カテゴリのおすすめ
「ランダム」カテゴリのおすすめ
コメント一覧 (13)
-
- 2020年08月11日 01:26
- いや半分以上は面白かった
最後まで読んでしまったもん
-
- 2020年08月11日 01:43
- なぜ「ふんぬ」三千倍がでてきたんだろうなぁ(ゲス顔)
-
- 2020年08月11日 03:44
- 仲いいなこいつら
-
- 2020年08月11日 06:40
- ※3
読み間違いが広まった系と勘違いしてそうだが
「ふんど」は間違いでも何でもないぞ
-
- 2020年08月11日 07:07
- >>5
彼はきっと糞度3000倍を期待してたんだよ
そういうお年頃だったんだ
-
- 2020年08月11日 08:39
- 感度3000倍効いてなくて草
-
- 2020年08月11日 10:06
- たしかに寒いのに最後まで書き切った事はいいと思う。
-
- 2020年08月11日 13:11
- ところどころオークの返しがうまいな
-
- 2020年08月11日 13:35
- インドのオチが好きだな
-
- 2020年08月11日 20:05
- インドメタシンでやられたわw
-
- 2020年08月12日 11:41
- 割と面白かったよ
-
- 2020年08月12日 13:20
- こういうの大好きだわww
面白くはなかったけど