女上司「酔っちゃった……どこか泊まりたいな」部下「ベンチで寝たらどうです?」
部下「ええ、起業したいという思いはあります」
女上司「だけど、起業なんてリスク高いわ。このまま会社にいて、私の下でもっと学んだ方がいいわよ」
女上司「手取り足取り、君を立派なサラリーマンにしてあげるから」
部下「はぁ……」
女上司「ところで……ずいぶん酔っちゃった……」
女上司「どこか……泊まりたいな」チラッ
部下「ベンチで寝たらどうです?」
部下「ええ、あそこにありますよ」
女上司「いや、あるかないかじゃなくて……ベンチって寝るってとこじゃないでしょ!?」
部下「あそこで寝てる人いますよ」
おっさん「ぐぅ、ぐぅ、ぐぅ……」
女上司「おっさんじゃねえか!」
女上司「お前3ピー歳の乙女をおっさんと同じ扱いするつもりか!」
部下「世間的に課長の年齢で乙女とはいわないですよ」
女上司「冷静に否定すんじゃねえ!」
部下「大丈夫ですって、あっちに交番ありますから」
女上司「襲われてから交番駆け込もうとしても間に合わないでしょ!」
部下「あ、それじゃ僕そろそろ終電なんで、これで失礼します」
女上司「え、ちょっと待って、本当に行っちゃうの?」
部下「お疲れ様でした」
女上司「おーい」
女上司「おーい」
女上司「おーい……」
女上司「信じられない……本当に行きやがった……」
女上司「仕方ない……ベンチで寝るか」
女上司(意外と……寝心地は悪くないものね)
女上司(今は季節もいいから、夜風が気持ちいい……)
女上司(都会は星なんか見えないっていうけど、こうして見るとちらほら見える星はあるのね)
女上司(キレイ……まるでささやかなプラネタリウム……)
女上司(都会独特の静けさが、私を眠りにいざなう……)
女上司「すぅ……すぅ……」
女上司「うーん……」
女上司「……」ハッ
女上司「6時か……」
女上司「ん~……」コキッコキッ
女上司「全然疲れが残ってないし、ぐっすり快眠できちゃった!」
女上司「もしかしたら、ベンチってものすごく優秀な睡眠スペースなのかも……」
部下「おはようございます。今朝はやけにお元気ですね」
女上司「うん、昨日ベンチで寝たから、とっても快調なの!」
部下「えっ、本当に寝たんですか?」
女上司「君が勧めたんじゃない」
部下「まあ、そうですけど……」
女上司「ベンチっていいわよ。夜空を見れるし、夜風を感じられるし、案外寝心地もいいし……」
部下「へえ……」
女上司「う~ん……」
部下「大丈夫ですか?」
女上司「また酔っちゃった……」
女上司「しょうがない、またベンチで寝よっかな」
部下「僕も付き合いますよ」
女上司「あらそう? じゃあ私はこのベンチで寝るから、君はあっちね」
部下「分かりました。おやすみなさい」
女上司「どう?」
部下「……」
部下「いいですね!」
部下「自宅で寝た時より、ずっと疲れが取れましたよ!」
女上司「でしょ?」
部下「ベンチで寝るなんて、ダメなおっさんだけだと思ってましたけど」
部下「あれはおっさんの知恵袋だったんですね……」
部下「このところ、テキパキ仕事が片付きますからね」
女上司「まだ余裕で家に帰れるけど……今日もベンチで寝ましょうか」
部下「はいっ!」
女上司「すぅ、すぅ……」
部下「むにゃ……」
女上司「今夜もベンチへGo!」
部下「もはや一日の楽しみになってますよ」
警官「あのー……」
女上司「はい?」
警官「このところ、お二人は毎日ここで寝てるようなのですが……」
警官「ベンチで眠るのは……色々と危ないですから、やめて頂けるでしょうか?」
女上司「あ、すみません……」
部下「やめます……」
部下「まあ、当然こうなりますよね……」
部下「どうします? 他のベンチあるところを探しますか?」
女上司「そんなことしても、また通報されちゃうのがオチよ」
部下「じゃあ、どうすれば……!」
部下「僕たちはもう……ベンチで眠れないんですか……!?」
女上司「諦めるのはまだ早いわ」
部下「え?」
女上司「ベンチがないのなら……ベンチを作ればいいのよ!」
女上司「ありがと」
部下「だけど僕、大工仕事なんかしたこともありませんよ」
女上司「私もよ。だけどこういうのは実践あるのみよ!」
ギーコギーコ…
トントントン…
カンカンカン…
部下「不格好ですけど、とりあえずベンチには見えますね」
部下「じゃあさっそく寝心地を……」
女上司「待ちなさい。こういうのは先に上司が体験するものよ」
部下「ちぇっ」
女上司「ふふふ、楽しみだわ」スッ…
グシャンッ!
女上司「あが、がが……! 腰打った……!」
部下「大丈夫ですか!?」
女上司「うん……ベンチ作りを舐めてたわ。これはちゃんと勉強しないと」
部下「そうですね……」
女上司「こうなったら、仕事の合間に、本格的に大工やベンチについて学びましょう」
女上司「そしていつか、二人で最高のベンチを作るのよ!」
部下「やりましょう!」
部下「家具メーカーの人とお話しすることができたんで、色々話を聞いてきました!」
女上司「なるほど、カンナはこうやって削るのね」シャーコシャーコ
部下「座り心地も寝心地もパーフェクトなものを目指さないと……」
…………
……
部下「長かったですね……ここまで」
女上司「さっそく寝てみるわ」ゴロン…
女上司「うーん、完璧な寝心地! 横たわった瞬間、眠気が押し寄せてトロンとしてくるもの!」
部下「僕は座ってみます!」
部下「おお……お尻にフィットする……。ベンチと尻が一体化したかのよう……」
ガンッ! ガンッ! ガンッ!
部下「ビクともしません!」
女上司「これならどこぞのお笑い芸人が無茶しても壊れることはないわね」
部下「色んな人を眠らせてみましょう」
おっさん「すやすや……」
同僚「ぐぅ……」
警官「こりゃいいや……」
犬「ワフン…」
猫「ニャァァァ…」
女上司「おっさんから動物まで、みんなぐっすり!」
女上司「まさに好きこそ物の上手なれだわ」
女上司「元気があれば何でもできる! ベンチがあればどこでも寝れる! なーんてね」
部下「あの……課長」
女上司「?」
部下「僕から……提案があるんですけど」
女上司「どうしたの、改まって?」
部長「上司と部下でバリバリやってたのに、いったいどうして……」
部下「僕たち、やりたいことが見つかりまして……」
女上司「あの寝心地、あの座り心地を、もっと沢山の人に提供したいんです!」
…………
……
女上司「法人はもちろん、個人で購入したいっていうお客さんも多いわね」
部下「これも課長のおかげです。これからもあなたの下で学ばせて下さい!」
女上司「ベンチのベンチャー企業、大成功ね!」
おわり
「SS」カテゴリのおすすめ
「ランダム」カテゴリのおすすめ
コメント一覧 (7)
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- 2020年08月08日 23:10
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おもろかった
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- 2020年08月08日 23:19
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最後のが言いたかっただけだろw
面白かったよ
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- 2020年08月09日 00:48
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すきwwwwww
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- 2020年08月09日 01:24
- ベンチのベンチャーって言いたかっただけだろw
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- 2020年08月09日 06:10
- お後がよろしいようで
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- 2020年08月09日 21:38
- つまらん
そして長い
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- 2020年08月11日 08:25
-
これは神話カテゴリに入れていい
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