隣人JD「あの……肉じゃが作りすぎちゃって……」男「ありがたくいただくよ!」
男「はい」
JD「こんばんは」
男「君はたしか隣に越してきた……」
JD「あの……肉じゃが作りすぎちゃって……よろしければ……」
男「え、いいの?」
JD「どうぞ」
男「これはおいしそうだ! ありがたくいただくよ!」
男「うん、このジャガイモ……柔らかくてホクホクしてておいしい」ホフホフ
男「このつゆも……よくダシがきいてる」
男「特にこの肉ときたら……」ハグ…
男「なんというか、彼女の食へのこだわりを感じる一品だな」
男「ごちそうさまでした」
JD「お味はいかがでした?」
男「とてもおいしかったよ」
JD「本当ですか、よかった!」
男「それじゃまた」
JD「ええ、また」
男「はい」
JD「こんばんは」
男「今日はどうしたの?」
JD「また肉じゃがを作りすぎてしまって……」
男「で、おすそわけ? 悪いなぁ、ありがとう」
JD「いえ、ご迷惑でなきゃいいんですが……」
JD「今日はいかがでした?」
男「おいしかったよ」
JD「そうですか、よかった!」
男「独り身なんで、こういう手料理はありがたいよ」
JD「そういってもらえるとほっとします」
男「はい」
JD「また作りすぎちゃって……」
男「これはこれは……遠慮なくいただくよ」
男(今日で三日目だ……)
男(まあ、おかげでちょっと食費が浮いて助かるし、全然かまわないんだけど)
課長「お、昼休みだ」
課長「みんな、会社の近くに新しい店がオープンしたから、一緒にどうだね」
同僚「あ、行きます行きます!」
OL「あたしもー!」
男「俺も行きます」
同僚「ええ、うまいっす」モグモグ
男「……」
男「みんなはさ、食へのこだわりってある?」
同僚「こだわり? 例えばどういうのだよ?」
男「なんでもいいよ。朝食は抜かないとか、目玉焼きには醤油かソースかとか、皿はこれ使うとか」
同僚「そうだなぁ……」
OL「あたしあるー!」
男「健康によさそうだね」
OL「ヨーグルトの蓋の裏なめちゃう」
同僚「意地きたねぇ~!」
OL「え、そう?」
男「お前は?」
同僚「俺は箸の使い方だな。メチャクチャな握り方してる奴見ると注意したくなっちゃう」
OL「こまか~い!」
同僚「日本人なら箸はちゃんと使わなきゃ」
課長「そういえば、昔の美食家にこんな人がいたな」
男「?」
課長「その人は鶏肉が大好きで、ひたすらうまい鶏肉を追求していったんだが」
課長「やがて、ある成分を食べさせたニワトリが一番おいしいんだって結論に達して」
課長「ついには自分でニワトリを飼って、自分で飼料(エサ)まで開発したそうだよ」
同僚「うわ、すげえ……。さすがにそこまでやるのは無理っすねー」
OL「それにそのニワトリがあたしらにとってもおいしいかは分かんないしね」
同僚「味覚は人それぞれだもんなぁ」
男「だけど、その美食家の気持ちも分かる気もしますね」
男「ここからお前んちまで帰るの大変だろ。よかったら寄ってけよ」
同僚「いいのか?」
男「野郎の一人暮らしはたまに寂しくなるんだよ」
同僚「おいおい……襲うんじゃねえぞ?」
男「襲うわけないだろ。お前が誰か殺した凶悪犯罪者ってんなら別だがな」
JD「今日も作りすぎちゃって……」
男「ああ、いつもどうも」
同僚「誰だよ、今の? なかなか可愛かったけど……」
男「お隣の学生さん。毎日肉じゃが持ってきてくれるんだ」
同僚「毎日? すげー! お前に気があるんじゃねーの?」
男「んなことないだろ……」
同僚「お、悪いな!」
同僚「……」モグッ
同僚「なんだこの肉……?」
同僚「うーん、俺には合わねえわ。ごめん」
男「そうか? まあ、味覚は人それぞれだからしょうがないな」
JD「肉じゃがをどうぞ……」
男「ありがとう」
ピンポーン
JD「今日も肉じゃが作りすぎちゃって……」
男「おいしく食べさせてもらうよ」
男(今夜も来たか)
男(今日で……ちょうど一ヶ月目ぐらいかな)
JD「こんばんは」
男「いらっしゃい。今日も肉じゃがを持ってきてくれたの?」
JD「いえ、今日は持ってきてません」
男「あ、これは失礼」
JD「今日はあなたにごちそうしてもらおうと思いまして」
男「ごちそう? うちに大したものはないんだけど……」
男「あ、もしかして一緒に食事しようってこと?」
JD「そうではなく……私が食べたいのはあなたそのものです」
男「……どういうことだ?」
JD「それからというもの、自分なりに研究を重ね……」
JD「やがて、“人の肉を食べた人間の肉は美味い”という結論に達しました」
男「そうか……肉じゃがの肉は、やっぱり人肉だったのか」
JD「ええ、一ヶ月も食べさせたのです。あなたの肉もさぞ美味しくなってることでしょう」
JD「もう……我慢できません!」ギラッ
男「包丁……本気みたいだな」
男「最後に……一つ聞いていいか」
JD「その通りです」
JD「殺害後、冷凍保存して少しずつ、肉じゃがにしてたんです」
男「そっか、ありがとう」
ガシッ!
JD「ぐっ!?」
男「ある種の親近感も抱いてた……」
JD「ぐ、うう……!」メキメキ…
男「だけど、少し違うのは」
男「君は“人の肉を食べた人間の肉は美味い”という結論に達したようだけど」
男「俺は“人を殺した人間の肉は美味い”という結論に達したんだ」
男「殺人者に出会うなんてこと滅多にないから……本当に感謝してる。ありがとう」
ボキィッ!
ガクッ…
男「これで俺も……久々に美味い人の肉にありつける」
男「きっと俺の肉もさぞ美味になってることだろうなぁ」
おわり
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コメント一覧 (22)
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- 2020年07月19日 21:52
- 厨二感あるな割と好きだぜ
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- 2020年07月19日 22:15
- 最後もっと自分の肉食べてみたい欲求に駆られる感じ出した方がそれっぽいオチになったと思う
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- 2020年07月19日 22:21
- おもしろかったよ。
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- 2020年07月19日 22:48
- 隣人DJ「YO!YO!肉じゃか作りすぎちゃったんだYO!」
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- 2020年07月19日 23:05
- 隣人DIO
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- 2020年07月19日 23:09
- また3行いかのクソまとめかと思ってました
すみませんでした
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- 2020年07月19日 23:57
- あっ・・・・そんな所までは!くらいまでの展開の所最高だと思ったよー
エッチエッチしてて最高だねえ、次回作にも期待するよ
でもヤンデレでどこから肉調達したんだろうね不自然だわ
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- 2020年07月20日 00:40
- 隣人「あの、肉じゃが作りすぎちゃったんですけど、完食しました」
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- 2020年07月20日 02:54
- 隣人「あの、肉じゃが作りすぎちゃったんですけど、タッパー貸してもらえませんか?」
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- 2020年07月20日 04:48
- ふかい
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- 2020年07月21日 08:12
- >>10
不快なのか深いなのかダブルミーニングなのか
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- 2020年07月20日 07:32
- 隣人(おっさん)「あの、肉じゃが作りすぎちゃったんですけど、これつまみにして一緒に飲みませんか?」
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- 2020年07月20日 09:57
- 一ヵ月も肉じゃが貰ってんのに何のお返しもしないコイツもヤバイwww
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- 2020年07月20日 10:13
- 怖さがある
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- 2020年07月20日 14:37
- 隣人ジャックダニエル
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- 2020年07月20日 18:33
- 肉じゃがに拘る理由がない
ほぼ同じ材料でカレー作れる
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- 2020年07月20日 19:15
- いやエロ展開かと思いきや、なかなか
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- 2020年07月21日 14:53
- 星新一のショートショートにあったな、この手の話
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- 2020年07月21日 20:05
- 成人した人間 ひと月程度で肉の味変わるか?気のせいだろ
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- 2020年07月22日 04:55
- なぜ肉を食わせる手段が肉じゃが一択なんだ
からあげとかステーキとかあるでしょ、そんなに肉入ってないでしょ肉じゃが
二人の理論からすると、JDも男も、人間の肉を食べつつ人を殺してるから最高の味になってるわけか
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- 2020年07月24日 14:12
- 出会いが違えばいい夫婦になりそうなところを
あえてその食性の方を優先する当たり夫婦より夫婦だな
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- 2020年08月02日 19:51
- エロ展開だと思って用意したティッシュが無駄になったではないか!主人を呼べぃ!