勇者「僧侶お前さ、回復のタイミング遅くない?もっと周りの状況見ろよ!」
勇者「あと戦士お前ダメージうけたらすぐ下がりすぎ。もうちょい粘って前線キープしろ」
勇者「魔法使いと弓師は斜線かぶせすぎだから距離とってクロスで撃てよ。意味ねーだろ固まってたら」
勇者「剣士、お前はまあまあよくやってる。けどもうちょい戦士のカバーに多めに入ってやれな。あと声出せ」
僧侶「……はい」
戦士「……了解」
弓師「……うん」
魔法使「……気をつける」
剣士「……あぁ」
勇者「……ったく。やる気あんのかお前ら」
僧侶「そうですよね」
弓師「わかるけど」
魔法使「今日はもう休まない? みんな疲れてるし」
勇者「じゃあ後ろ3人は休んでろ。戦士剣士、こい」
勇者「前衛3人のフォーメーション練習するぞ。完璧に動けるようになるまでな」
戦士「お、おう」
剣士「くっ、しかたあるまい……」
勇者「寡黙に気取ってんじゃねぇぞ。お前の立ち位置は俺と戦士のカバーリングなの!」
勇者「状況みて即座にカバー入って連携できるように声は出せ」
勇者「俺も戦士も最前線で戦ってたらサイドやケツ側の完璧な状況把握は難しいんだよ」
勇者「お前が中衛しながら俺らの目になるんだろうが。何度もいってるよな??」
剣士「ぁぁ」
勇者「声!」
剣士「ああ!!!」
戦士「お、おう」
勇者「お前は単純に戦力として物足りない」
戦士「え……と」
勇者「次の戦闘で結果出なかったらクビな。街で新しく戦士補充する」
戦士「!!!」
勇者「じゃねぇとお前からパーティーが崩れんだよ」
勇者「お前が抜けるか、全員死ぬかどっちがいい?」
戦士「うぐ……」
勇者「俺の言うこと吸収して強くなれよ。そのための夜稽古なんだから」
魔法使い「めちゃくちゃ声出てるね」
弓師「がんばってるなぁ。あ、そっちもう煮えた? これも入れよう」
僧侶「はい……」
弓師「大丈夫?疲れてる?」
魔法使い「そりゃそうでしょ。アイツラみたいにタフじゃないしあたしたち後衛組は」
弓師「今日もいっぱい怒られちゃったね」
僧侶「あれは勇者様なりの愛なんです……愛なんですよ」シクシク
弓師「よしよし。ボクらもがんばらきゃね」
魔法使「魔導学院始まって以来の天才のこのあたしに文句垂れるなんて」
魔法使「……まあ、あいつは超がつく天才なんだけど」
弓師「ボク勇者のことあんまりしらないや。すごいひとなの?」
僧侶「勇者様は勇者に選ばれるくらい優れたお人ですよ」
魔法使「戦いに関してはね。人間としてどうなのアレ?」
弓師「ううーん……ボクは嫌いじゃないけどね」
戦士「はぁはぁ……(し、死ぬ)」
剣士「ふぅ、ふー……(戦いのあとの稽古量とは思えん……)」
勇者「これぐらいやって少しでも強くならねーと、後ろのアイツら死ぬぞ」
勇者「前出るってのは命張るってことだ」
勇者「明日死にたくなければ今日死ぬ気で励め。稽古じゃ死なねぇよ」
勇者「……よし、飯にすっか!」
勇者「おーい僧侶もどったぞ! 今日の飯は?」
僧侶「鶏肉のシチューですよ~~」
勇者「これ味付けしたの誰?」
弓師「ぼ、ボクです」
弓師「……だ、だめだったかな?」
勇者「もっと味濃くしろよ。俺ら疲れてるんだからさ」
弓師「……ごめん。次は気をつけるね」
勇者「いいか。食事ってのはな、体を作る上で最も大切な行為だ」
勇者「そして回復にも役立つ。そのときの肉体のコンディションにとってふさわしい食事をしないといけない」
魔法使「じゃああんたが作れば(ボソッ」
僧侶「(うわぁ……)」
魔法使「あーもううっさい! じゃー言わせてもらうけどね!」
魔法使「食事ってのは楽しく摂らないと意味ないの!」
魔法使「回復しなきゃいけないのは肉体だけじゃない!心も休めなきゃ!!」
魔法使「あんたが、ごちゃごちゃいうせいで!ますます味しないじゃない!!」
弓師「(味薄くてごめん……)」
剣士「(出されたものは黙って食う。それが私の武士道だ)」モグモグ
戦士「……」チラッ
勇者「……」
魔法使「はぁ…はぁ。あたし、間違ってないからね」
勇者「弓師もすまないな。ケチをつけたかったわけじゃないんだが」
弓師「え、う、うん!? いいよ、ボク気にしてないよ」
魔法使「な。なによ気持ち悪いわね」
勇者「風呂入ってくる。さきほど稽古中に天然温泉をみつけた」
僧侶「え、お風呂あるんですか!」キャッ
勇者「お前たちは俺ぬきでしばらく食事を楽しんでいてくれ。あとで代わろう」
戦士「おいおい行っちゃったぜ」
魔法使「ぃ、いいんじゃない? 勝手にすれば」
弓師「ううんそんなことないと思うよ」ナデナデ
戦士「あっはっは、勇者もさすがにバツが悪かったか」
剣士「笑い事ではないぞ。あいつに嫌われたら私達一行はどうなる」
僧侶「か、解散ですか……?でもでもせっかくここまで来たのに」
戦士「そういやあたしそろそろ首が涼しいんだった!」
弓師「えーー! そんなのだめだよ。この6人で魔王を倒すって誓ったのに」
魔法使「誰が欠けてもこのパーティーは機能しないわよ。それくらい勇者だってわかってるはず……」
魔法使「あーもー! あたしのバカ! 勝手にストレスぶつけてるのこっちじゃんか!」
魔法使「ちょっと行ってくる!」
弓師「あ、待ってボクも!」
僧侶「火の番頼みます!」
勇者「戦士が20秒キープできるとして、カバーにいけるまで残り」ブツブツ
勇者「時点で僧侶のヒールのリチャージはあと15秒だから……」ブツブツ
勇者「正面から増援6、対空は弓師に任せるとして、そこまであいつは視野狭くない」ブツブツ
勇者「右を立て直すために、魔法使いの範囲魔法で一度正面を引かせるべきだったか」
勇者「……くそっ」
勇者「もっとうまくやれた。今日の戦いはもっとうまく立ち回れば、被害は少なくて済んだ」
バシャ
勇者「……俺がリーダーとして足りないせいだ」
弓師「お邪魔するね」
僧侶「あっあのっ、入っちゃうんですか?」
魔法使「そりゃ入るでしょお風呂。あんた風呂嫌い?」
僧侶「そんなわけないです!で、でも」
勇者「な、なんだお前ら。交代制だと言っただろ」
魔法使「長いのよあんた。男のくせに」
弓師「はぁーあったかい♪」
僧侶「いい温泉を見つけましたね」
勇者「……じゃあ、俺は」
魔法使「待ちなさいよ」
魔法使「あんたいま、復習してたでしょ」
勇者「……」
弓師「聞こえたよー」
僧侶「私達にも共有してくれませんか? 今日の戦い、どこが悪かったか」
勇者「しかしお前ら……気を休めるのでは」
僧侶「ふふ、お風呂入りながらならプラスマイナスゼロかなって♪」
魔法使「今日の戦い振り返ってよ。あたしどこが悪かった?」
弓師「ボクもアドバイスほしい!」
勇者「僧侶は戦闘後にも言ったが回復がワンテンポ遅れている。その理由はわかるか」
僧侶「え、と、はい」
僧侶「みんなが同時に傷ついているからです…」
勇者「あぁ。その中でもダメージの蓄積が大きいもの、今後数秒内に大きなダメージを受けそうなものを優先して回復しろ」
僧侶「わかります」
勇者「そのために必要なのは、広い視野と声掛けだ」
勇者「お前は前衛3人の状況を見ながら、戦闘における大局的な判断を下さないといけない」
勇者「パーティーが生きるか死ぬかはお前次第だ」
勇者「どうも、俺に飛んでくるヒールが割合として多い。お前は周りがみえていない」
僧侶「……」
勇者「だがお前はできるようになれ。個人的な感情を優先順位を設けるな」
勇者「お前が完璧に働けば、俺達のパーティーは戦闘力すら向上する」
勇者「声をかけろ。前衛はヒールをもらえるなら立ち回りも変わる」
勇者「戦士も無駄な後退が減って、前線をキープできるようになる」
勇者「わかったな?」
僧侶「わかりました…がんばります」
弓師「あ、うん…あっ、ちょっとまって!今コッチ見ないで!」
勇者「すまん」
勇者「お前は視野が広い。後衛の中でも一番、前の状況がみえているように思う」
勇者「的確に矢のサポートが入るし、命中精度も高い。技量は申し分ない」
弓師「えへへ」
勇者「しかし後ろ同士で連携がとれていない」
弓師「う……」
魔法使「……かもね」
魔法使「……言葉悪いけど、そのとおりかも」
勇者「状況判断をせず、撃てそうな相手を撃って、瀕死の敵にさらに追い打ちをかける、その間に他の敵が詰めてくる」
勇者「そうなるのはなぜだ? お前たちは常に位置取りが悪いからだ」
勇者「今日も俺の脇腹をかすめそうな火球があった」
魔法使「ごめんって」
勇者「それはお前が、敵と俺とのラインの上にいるからだ。敵しかみえていない」
勇者「仲間を見て、角度をつけろ」
勇者「硬い敵を削るだけで前衛の負担は大きく減る」
弓師「難しいんだよ合わせるの」
勇者「声を出せ!」
弓師「はい!!!」
勇者「声を出して連携しろ」
勇者「お前たちは確かに天才だ。一人ひとりが学院の生んだ傑物」
勇者「だがそれは個人の技量の話でしかない!」
勇者「俺たちはチームで戦っている。そして敵は無数にいて同じく連携をとってくる!」
勇者「個人技で勝てると思うな!俺たちは6人しかいない!」
弓師「ひーん」
魔法使「(なんかやぶ蛇だったかも)」
勇者「すまんな。騎士時代のなごりで」
弓師「勇者様は前は騎士ってのは知っていたけど、何をしていたの?」
魔法使「王都の軍団長よ。あんたみたいな田舎もんはしらないだろうけど」
魔法使「兵士3000からなる軍を率いて、大国に勝利した英雄」
魔法使「作戦から指揮、戦闘、練兵、隠密に至るまでなんでもできる超天才」
勇者「買いかぶりすぎだ」
魔法使「あたしらの国が人の世で栄華を極めているのはこいつのおかげ。っていうのは言いすぎかもしれないけど」
弓師「すごいんだ」
勇者「やつらが現れるまではな……」
僧侶「ちがいますよ。私達の祖国はまだ攻め入られていません」
弓師「じゃあもっとたくさん軍を率いてさ!」
勇者「他国と敵対状態にある以上、兵站が確保できない。遠征で一個の軍を食わせるほどの兵糧がないんだ」
勇者「魔族領にむけて出兵しても、お隣さんには国土侵略なんていわれる」
魔法使「人間同士でそんなことしてる場合かっつーの!」
勇者「だからこその、少数精鋭だ」
勇者「緻密な連携がとれるのもこの人数が限界だ。それ以上は目が行き届かない」
勇者「だから俺はこの6人で行くと決めた」
弓師「あのさ」
勇者「なんだ。まだ質問があるならなんでよ」
弓師「そろそろあがらない?ボクのぼせてきちゃって…」クラクラ
勇者「そうだな」
僧侶「すいません。剣士さんと戦士さんもお風呂どうぞ。気持ちいいですよ」
剣士「あぁ」
戦士「日頃の疲れを癒やすかぁ」
魔法使「ラッキーよね。山にお風呂があるなんてさ」
戦士「って思うだろ? だがこの進路を考えたのは勇者だ」
戦士「火山地帯なら必ず天然温泉があるだろうって」
弓師「へー!」
勇者「……俺が風呂好きなだけだ。おい、火の番は誰がしているんだ。先に戻るぞ」
魔法使「なによ」
僧侶「勇者様なりの私達への気遣いなんでしょうか?」
剣士「そんなタマには見えんが」
戦士「ひとりでゆったり風呂でも入ってさっぱりしたかった、ことにしておこうぜ」
魔法使「じゃああたしたちマジのおじゃま虫じゃん…」
弓師「勇者様ごめんねー」
僧侶「あはは……悪いことしちゃいましたかね?」
戦士「火の番してくれるっていってんだから次は女同士裸の付き合いといこうぜ?」
女魔法使「そうね。髪の毛洗いたかったし。弓師おねがい」
弓師「うん!」
弓師「説教じゃなくてアドバイスだよ!」
剣士「やつは後衛にも助言できるほどの経験があるのか」
戦士「あにやってんだよお前ら。男女で風呂入ってすることがいつもの反省会かよ」
僧侶「ほ、他にすることなんてないでしょう?!」
魔法使「あたしらに興奮したらそれはそれで引くわ……」
戦士「せめて肩でも揉んでやれよ」
魔法使「なんであたしらがそんなこと。むしろもんでほしいくらいだわ」
弓師「ボクいまから肩もんでこようかな!?」
魔法使「行かなくていいって。髪洗って」
僧侶「あれほど戦力やチームワークにこだわる勇者様なのに」
僧侶「うふふ、こうしてみると女の子ばっかり」
戦士「あたしを女にカウントしてくれてあんがとよ」
剣士「同じく」
魔法使「女好きなんじゃないの。ほら、スケベなおっさんがさ、目の保養になりますなぁとかってさ」
魔法使「天才で若くてカワイイあたしを手元に置きたがるやつなんていっぱいいた……うんざり」
僧侶「どうして魔法使さんはこの旅に?」
魔法使「まぁ、あたし以上の天才に会ってみたかったから?」キリッ
魔法使「あたしみたいな天才に釣り合う男は、超天才以外ありえないの!」
魔法使「っておもって噂の天才元騎士様についてきたけど、蓋を開けたらアレだったわけ!」
弓師「超々天才だったね!」
魔法使「ちっがーう! 変なやつって意味!」
戦士「なるほどなぁ」
剣士「不純な動機だったわけだな」
魔法使「うう……」
魔法使「あんたらはどうなのよ」
僧侶「私は大神官様の命で」
戦士「元部下。役職的には雲の上過ぎてあんま絡みはなかったけど」
魔法使「ふーん。剣士は?」
剣士「私か……そうだな」
剣士「惹かれ合う運命……といったところか」
魔法使「は?///」
剣士「そしてやつも剣で応えた」
剣士「その日から我らはともに死線をくぐって来たのだ」
魔法使「ごめん意味分かんない」
弓師「敵として戦ってるうちに仲良くなってスカウトされたってことかな?」
僧侶「ご出身は他の国なんですよね」
剣士「あぁ」
魔法使「え……」
戦士「そういわれりゃ、あたしも似たようなもんだ! 元々他国から連れてこられた奴隷だからな!」
戦士「あいつに才能を見出してもらわないとあたしは戦場には立てなかった!感謝してるぜ」
魔法使「ふーん…」
魔法使「(脳筋の世界こわぁ)」
戦士「でも戦いでは苦戦してばかり」
戦士「それはあたしたちにチームワークが足りないからだ」
僧侶「思えばこうして身の上話をすることもありませんでしたね」
弓師「今日でみんなと少し仲良くなれた気がするよ!」
魔法使「そうね、これから一緒にがんばりましょ。みんなであいつを支えるの」
剣士「仲間か……悪くない」
勇者「(あいつらいやに遅いな……もう寝るぞ)」
魔法使「そうね明日からの連携がちょっと楽しみ」
戦士「声かけあってうまくやろうぜ!」
僧侶「は、はい!」
弓師「あーうん、そっちもだけどさ」
弓師「ボクね、魔王を倒して無事旅をおえたら、勇者様と結婚するのが楽しみって」
魔法使「は?」
僧侶「えっ一一一一」
戦士「おいおいマジかよ……」
弓師「う、うん。え、みんな知らなかったの? 知ってると思ってた」
魔法使「ちょ、ちょっとまって混乱してる。どういうこと? どういう話それ!?」
弓師「あのね、勇者はボクの弓の稽古や大会に足繁く通ってくれてたんだ」
弓師「それでね、優勝して、旅にに誘われたときに……約束したの」
弓師「魔王を倒した暁には、生涯の伴侶になってほしいって♪」
僧侶「……」
弓師「あっ、もしかして二人だけの秘密だったのかな…あわわ、どうしよ」
僧侶「……どういう、ことですか」ゴゴゴ
魔法使「は……??」
僧侶「大神殿と、王国騎士団の間で交わされた結婚話なのですが……?」
僧侶「な、なぜ、弓師さんが」
弓師「えっ、えっ!?」
僧侶「プロポーズはまだですが、そういう約束のもとで私は旅に送り出されてるのですがぁ!?」
剣士「……なら私もひとつ」
剣士「彼と惹かれ合ったのはこの剣だけではない。私もだ!」
魔法使「はああああ!!??」
戦士「そういやあたしも旅立ち前にふたりであったとき、そういう話したな」
戦士「酒入ってて冗談だとおもったけど……どうなんだろ?」
魔法使「……」プルプル
魔法使「(あたしだけじゃないんかい!!)」
魔法使「(あんなに好きって言ったのに! 嫁にしたいって言ったのに!)」
魔法使「ゆるさーーん!!」
魔法使「なんか変だと思ったのよ!」
魔法使「なんで女子ばっかり!?おかしいじゃん!屈強な男つれてけよ!」
魔法使「言葉と鞭でいじめぬいても平気な男つれてけよ!」
魔法使「なるほどねーあーなるほどねー、ふーん」
勇者「戦略的なことだ」
魔法使「うわっ!寝てなさいよ、寝首しめてやるから」
勇者「お前たち」
僧侶「……浮気者です」
剣士「ふしだらな」
弓師「なんだかなー」
勇者「古のとある屈強な兵団の話だが、彼らはみな男で構成されていた」
戦士「この期に及んでなんの話だよ。あたり前だろ男で固めるのなんて」
勇者「だが彼らにはひとつだけ、他とは違う特異な点があった」
勇者「そう、それは彼らが恋人同士で兵団に参加していたということだ」
魔法使「は……」
勇者「愛するものをまもりたいという確固たる想いは、戦場で力となって発揮される」
勇者「それはヒトの想像を超えた力だ」
勇者「少数精鋭で、巨悪を打ち倒す修羅の道を行く俺たちに必要な…力だ」
勇者「つまり俺は……」
僧侶「……」
勇者「お前たちに、死んでほしくなかった」
勇者「俺を愛して、俺との未来を夢見て、今のこの苦境に絶望してほしくなかった」
勇者「それが俺がお前たちを愛した理由だ」
勇者「だが、俺が人として未熟すぎたようだ」
勇者「打算では人心を得ることなどできない……お前たちの心を弄んですまなかった」
魔法使「……勇者」
魔法使「誤って済むか!」ベコッ
戦士「いい話風にしてんじゃねー!」グシャ
勇者「ぬわっ」
魔法使「あんたってどこまでも、あーー!!」
魔法使「ムカつく! でも、いまは許す」
魔法使「あとでめちゃくちゃ復讐するかもだけど!」
魔法使「いまこんなお気楽に風呂入ってるあたしたち、明日には死んじゃうかもしれない!」
魔法使「でもあんたなら、勇者ならなんとかできるんでしょ!」
勇者「必ず勝てるという奇跡はない。どんな手を使っても生存率をあげていく、少しずつ。そのわずかな確率をなんどもくぐり抜け、いずれたどり着く」
勇者「そのためなら俺はなんでもする覚悟で旅に出た」
勇者「仲間のお前たちを使うことだっていとわない」
勇者「俺は勇者だ、どんなことにも怯みはしない」
魔法使「どんな手を使ってもいいから、あたしたちのこと死なせないで」
魔法使「あたしたちもあんたのこと死なせない。絶対に守る」
魔法使「死んだら復讐もできないし」
魔法使「約束も守ってもらえないし……」
弓師「そーそー。あ、ボクは絶対に婚約破棄ゆるさないから」
弓師「ちゃんと役目を果たして生き延びよう」
勇者「……ああ」
僧侶「ふぅ……すこしだけ肩の荷がおりました」
僧侶「なにがあっても婚約者様をまもらないとって、気張ってたのでずっと」
僧侶「あーなんだったんだろうなー今日までの私って」
勇者「……」ブルッ
僧侶「明日からはヒール半減で大丈夫ですね!」
勇者「じょ、状況はみてくれ……」
僧侶「もちろん♪」
剣士「むしろ私は恋だの愛だのにうつつを抜かして腕が鈍るのでは、ここぞで冷静な判断を欠くのではという一抹の不安があった」
剣士「変わらずいつもどおりのお前でいい」
剣士「それが最高のパーティーだ」
戦士「そうだな。全部おわったあとでいっくらでもぶん殴れるし、いまは乙女の純真弄んだ罰はお預けにしてやるよ」
戦士「あたしだって死にたくない。頼むぜリーダー」
勇者「お前たち……許してくれるのか」
魔法使「許さないって言ったでしょ馬鹿。結果で贖罪しなさい」
魔法使「さ、今夜は寝ましょ。また明日、魔物の群れと殺し合うんだから……」
勇者「(そうだ、俺たちは一一一一一一一
翌日
勇者「だから昨日言ったよな!? 戦士のカバー入れって!! 俺側は保ってんの! 見ろよ」
勇者「戦士も下んのはええよ!耐えろ気合で! お前はすぐには死なねぇだろ」
勇者「僧侶お前も相変わらずヒール遅すぎだぞ、迷い捨てたんじゃねぇのか!?あ? 崩壊一歩手前だぞ」
勇者「お前らはクロスで撃ててないよなぁ?撃ててたら、あいつ即死なはずなんだけどなぁ?その分の負担がどこに来てるか考えたことあるか?」
勇者「全部俺が口酸っぱくして言ってきたよな? まだできないの?」
勇者「なぁ死にたくねぇんだろお前ら? 魔王たおしたあと俺を全員でリンチしたいんだよな?」
勇者「じゃーもっと考えようよ! 戦闘は技量だけじゃなくて頭! 頭脳戦なの」
勇者「目まぐるしく変化する状況を俯瞰的に見て、いま自分と仲間にとって一番必要な行動を取る。それができないと死ぬぞ?」
勇者「頭をつかえ! 苦しいからって楽しようとするな。声!」
戦士「……おう」
剣士「……ああ」
僧侶「……はい」
弓師「……うん」
魔法使「……やっぱいまやっとく?」
おわり
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コメント一覧 (37)
-
- 2020年07月07日 09:30
- これを面白いと思って書いてるなら脳の障害だな。ここのクズアフィ力スもゴミみたいだし終わってんなぁw
-
- 2020年07月08日 13:21
- >>1
無視されてて草
-
- 2020年07月07日 09:57
- 面白かった
こういうのは最後まで読む事あんまりないんだけどな
-
- 2020年07月07日 10:00
- SSってこういうもんでしょ、ちょっと変わったキャラ(今作では指示厨勇者)出して軽く動かしてみる短編。
悪くなかったよ。
-
- 2020年07月07日 10:00
- 仕事で辛い会社員やバイトや個人雇用主全員が安らかな睡眠をとれますように
-
- 2020年07月07日 10:02
- これ全員に結婚持ちかけたのバレた時点で死んでてもおかしくねーよな……
-
- 2020年07月07日 10:25
- 全員男のつがいだらけの軍隊ってテーバイ神聖隊って言ったっけ
ドリフターズにもいたけど
-
- 2020年07月07日 11:20
- >>6
戦国時代の衆道もそういう目的あったのでは?て説があるな。嘘か真かは知らんが
-
- 2020年07月15日 10:17
- >>7
いくら愛は強しって言っても戦場に女房連れてくわけにもいかんしな
無双シリーズじゃあるまいしw
-
- 2020年07月07日 11:47
- ゲームでは仲間が何人いても4人で敵と戦うのって間違ってなかったんやなって
-
- 2020年07月08日 08:27
- >>8
ウィザードリィは6人パーティー制なんですが……
-
- 2020年07月07日 12:05
- 最初しか読んでないけどFF14かと思った
-
- 2020年07月07日 13:02
- 仲間が女だらけなのも少人数な理由も回収されててよかったわ
あと弓士かわいい
-
- 2020年07月07日 13:02
- これ仲間が全員女ってのはいらなかったわ
戦士と剣士は男だと思ってたぞ
-
- 2020年07月07日 13:11
- >>11
愛する勇者の指示だからみんなある程度我慢して聞いてきたって解釈したんだけど男ならどうなるんだこれ
-
- 2020年07月07日 13:48
- >>13
やっぱりホモじゃないか(歓喜)
-
- 2020年07月07日 15:51
- >>13
アーッ!
-
- 2020年07月07日 13:04
- 途中までは面白かった
オチとしては最悪だった
-
- 2020年07月07日 13:33
- でも実際自衛隊とか軍隊とかなら戦場ではこれくらいの檄、なんならもっと厳しい言葉も当然飛んでるよね、たぶん
ミスったら死ぬ、死んだら仲間も死ぬ世界なんだから正論で動かないと
-
- 2020年07月07日 13:48
- ふむ、では魔王を倒したあかつきには報奨として重婚可能な法律を整備してはどうだろうか
-
- 2020年07月07日 13:51
- 勇者「おい僧侶、お前魔王相手にも必ず開幕ザラキってなに考えてんの?効くわけねぇだろ!」
お前のことやぞクリ○ト
-
- 2020年07月07日 14:41
- 自分なりに少数で魔王をやっつけにいく理由とか書いてくれたんやろな
面白かったとおもう
-
- 2020年07月07日 15:10
- 恋愛感情まで利用するのは正論でもなんでもねえぞ
そこまでやると仲間内での信頼関係は瓦解するわ
-
- 2020年07月07日 15:54
- よくかけてると思う
-
- 2020年07月07日 16:43
- ※14
どんどんふるいにかけてできる奴を選抜していくのが消防隊
出来ないやつを使い物になるまで鍛えて育成してくのが自衛隊
・・・だと聞いたことがあるンゴ
-
- 2020年07月07日 22:14
- >>22
そう、だから自衛隊は誰でもなれるし高卒も率先して採用する。人格も知識も体力も採用してから専門学校で一から叩き込むからね。
-
- 2020年07月07日 18:13
- これを書いたのは意識高い系無能なんだろうな
-
- 2020年07月08日 03:32
- 有能だけどきつい、きついが仲間思いってギャップを楽しむ作品なのに、わざわざ粘着して粗探して嫉妬してる米が草
-
- 2020年07月08日 11:13
- >>25
有能で仲間思いだからキツイってのは同意するけど、個別に恋愛感情利用してってのはどうかと思うよ?
これは直後に説明入って全員納得したからいいけど、一歩間違えりゃ連携どころじゃない程関係性悪化、最悪温泉で殺し合いとか勇者が殺されててもおかしくない。
作者が作者なら風呂場の後にぐっちゃぐちゃのどっろどろの人間関係になった挙げ句パーティー崩壊って話になってたんじゃね?
-
- 2020年07月08日 07:14
- スポーツマンガでよくあるよな
主人公は大会目指してガチなのに仲間はエンジョイ勢で温度差ある展開
自分はそう理解して読んだからおもろかったよ
-
- 2020年07月08日 07:51
- 面白かったけど尻切れ蜻蛉なのが残念
-
- 2020年07月08日 08:48
- 仲間思い→全員に嘘ついて恋愛感情煽ってた
粗さがしのレベルじゃないんだよなあ
-
- 2020年07月08日 13:59
- それなりに体裁整えてなろうとかで連載したらそこそこウケそう(偏見)
-
- 2020年07月08日 23:27
- まあ、ここ最近まとめられてる小説以下の何かに比べたらまだいいだろ
仮にもssまとめサイトを名乗るなら、これ未満がまとめられてる方がおかしいが
-
- 2020年07月10日 23:36
- キモSS
-
- 2020年08月12日 19:25
- ※26
エンジョイ勢に世界救ってほしくはないな…
というかエンジョイ勢が魔王倒せるならガチ勢がはるか昔に駆逐してるだろうし
-
- 2020年08月27日 14:49
- この勇者FPS好きそう