勇者「俺と付き合ってください!」魔法使い「いっすよ」
魔法使い「なによりっす」
勇者「うれしいけど漫画置こうな!」
魔法使い「ヤっす」
勇者「この漫画バカ!」
魔法使い「うーす」
魔法使い「大丈夫大丈夫そのうち見慣れるっすよ」
勇者「うるせえ自堕落!魔王倒した途端にたるみやがって!」
魔法使い「今は漫画読みに全力注いでます」
勇者「部屋ごと燃やすぞコラァ!」
勇者「あ?」
魔法使い「なんか言ってたっすよ。俺とスキャットマン?」
勇者「付き合ってください!」
魔法使い「お。あー……なるほどぉ……」
勇者「イライラしてきた」
魔法使い「で、スキャットマンって?」
勇者「ながら聞きやめろ漫画置け!」
勇者「返したら話聞かないだろ」
魔法使い「今主人公勢がピンチだったんすよ」
勇者「知らん」
魔法使い「続き読みたいっす……」
勇者「本気でしょげんなよやりにくいな」
勇者「こういうのはもっと厳粛であるべきだ」
魔法使い「厳粛……?」
勇者「……」
魔法使い「アホっすか」
勇者「真顔やめろ」
勇者「……変か?」
魔法使い「変っす」
勇者「そうか……」
魔法使い「可哀想に」
勇者「……」
魔法使い「勇者さま……」
勇者「なんだよ……」
魔法使い「漫画返してください」
勇者「クソが」
勇者「結局漫画に戻りやがって」
魔法使い「帰る場所があるっていいっすね」
勇者「やかましい」
魔法使い「ホントっすよ?漫画は自分の帰る場所っす」
勇者「アホかよ」
魔法使い「ガチのマジっす。勇者さまがくれた安息の地っすよー」
勇者「?」
魔法使い「その女の子は生まれつき魔力が強く、その力を狙った魔物によって魔界へと連れ去られてしまいました」
魔法使い「牢獄に囚われること十数年。女の子はもう人間の世界での暮らしを忘れつつありました」
魔法使い「そんなある日、牢の扉が開き、見たことのない男の子が姿を現しました」
魔法使い「怯える女の子に彼は言います」
魔法使い「おいで。一緒に行こう」
魔法使い「女の子は恐る恐る彼の手を取りました――」
魔法使い「世の中分からんもんすねえ」
勇者「お前が言うか」
魔法使い「一番手近にあったのが漫画だったっすからね。勉強しないとろくにコミュニケーションも取れなかったですし」
勇者「あの頃のお前は可愛かった」
魔法使い「照れる」
勇者「言っておくが今は無残だ」
魔法使い「でも好きと」
勇者「忘れろ」
魔法使い「ヤっす。もうメモしたっす」
勇者「ならいい」
勇者「毎晩一人で泣いてたりな」
魔法使い「それでもくじけずに済んだのは漫画のおかげっす」
勇者「やっすいなー」
魔法使い「元をたどれば勇者さまのおかげっす」
勇者「急に持ち上げるな。怖いから」
魔法使い「会えてよかったっすよ、勇者さま」
勇者「……」
魔法使い「愛してるっすよ」
勇者「そろそろ漫画置けよ」
魔法使い「愛してるっす」
勇者「……やっぱ置くな」
魔法使い「ださいなーもう」
勇者「黙れ」
魔法使い「隣っすけどね」
勇者「いいから漫画に戻れよ」
魔法使い「明日漫画持って遊びに行くっす」
勇者「隣だろ」
魔法使い「ダメっすか?」
勇者「いや」
魔法使い「いっぱい持っていくっす」
勇者「待ってるよ」
魔法使い「助かるっす。もうそろそろ別の保管場所が欲しかったんで」
勇者「ふざけんな!」
魔法使い「愛してるっすよー」
勇者「うっせ!」
終
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コメント一覧 (4)
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- 2020年07月10日 00:42
- >>1
死んだ後の束の間の転生待ちとかな
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- 2020年07月07日 06:06
- ※1
これで実は結界の中で飼い殺し状態とかな
そういうのあるある
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- 2020年07月12日 15:11
- この魔法使い眼鏡とジャージ装備でCV田辺留依だったりしない?
まあこれも二人しか出てこないから環境設定次第でいくらでも暗く出来るけどさ…。