大男「病気のお母さんのためにトーナメントに出場するぞ!」
大男「お母さん、大丈夫?」
母「ああ……大丈夫だよ……ごほっ、ごほっ」
大男「やっぱりちゃんと入院した方が……」
母「お前は孝行息子だねえ……」
母「だけど……入院はお金がかかるからねえ……」
母「ごほっ、ごほっ……」
大男(僕が……お金を稼がなきゃ! だけどいったいどうやって……)
闘技大会開催!
優勝者には賞金100万G!
大男「100万……ゴールド……!」
母「ごほっ、げほっ、ごほっ!」
大男(入院させなきゃ、お母さんはもう持たない……!)
大男「お母さん!」
母「……ん?」
大男「僕……闘技大会に出場するよ!」
母「えっ? お前がかい?」
大男「なんとか優勝して……100万Gを手に入れてみせる!」
ワイワイガヤガヤ…
大男「ここが闘技大会が開かれる闘技場か……」
大男「ええと、受付は……あれか!」
大男「あ、あのっ!」
受付「なんだい? 観戦したいなら、あっちの入り口から……」
大男「いえ、僕……大会に出たいんです!」
受付「ええっ!?」
大男「だけど……出たいんです! 出なきゃいけないんです!」
受付「……まぁ、出たいんなら止めないけどさ。参加者は多い方がいいし」
受付「せいぜい死なないように気を付けるんだね」
大男「ありがとうございます!」
大男(ここが参加者控室か……みんな強そうだ)
「なんだあのやたらデカイのは? かなりの闘気だが、しょせん雑魚だな」
「巨大かつ質のいい筋肉が搭載されてやがるが……ま、大したことねえな」
「見かけは強そうだが、一回戦ではぜひあいつと当たりたいもんだぜ!」
大男(みんなの悪口が聞こえる……)
大男(ううう……お腹痛くなってきた……)
係員「まず、大男選手からどうぞ」
大男「は、はいっ!」
ガサゴソ…
大男「一番です!」
係員「はい、結構です。では次の方ー!」
大男(どうしよう、心臓のバクバクが収まらない……!)
係員「大男選手!」
大男「ひゃ、ひゃいっ!」
係員「まもなく試合ですので、試合会場まで来て下さい!」
大男「わ、分かりました!」
実況『お待たせしました、闘技大会一回戦第一試合を開始致します!』
実況『最初のカードは、大男vs少年剣士ッ! いったいどんな戦いになるのかァ!』
少年剣士「ガッハッハ、こんなデカブツが相手かよ! 一回戦は楽勝だな!」
大男「む……」
少年剣士「てめえみたいなザコは一瞬で片付けてやるよォ!」
大男「僕だって……お前なんかに負けない!」
少年剣士「あ?」ビキメキ…
少年剣士「決まったぜ。てめえは試合開始三秒でミンチだァ!」
レフェリー「始めっ!」
少年剣士「死にやがれぇぇぇぇぇ!!!」ドドドドドッ
大男の放った右ストレートは――
ズンッ!
的確に少年剣士の胸部に命中。
少年剣士「がっ……!?」ベキボキメキゴキ
胸骨を粉々に粉砕。
少年剣士を試合場の外まで吹き飛ばした。
大男「や、やったぁ!」
大男(次の二回戦も……頑張らなくちゃ!)
実況『お待たせしました、闘技大会二回戦第一試合を開始致します!』
実況『注目の対戦カードは、大男vs女ッ! いったいどんな戦いになるのかァ!』
女「ガッハッハ、こんなデカヤロウが相手かよ! 二回戦は楽勝だな!」
大男「む……」
女「てめえみたいなザコは一瞬で片付けてやるよォ!」
大男「僕だって……お前なんかに負けない!」
女「あ?」ビキメキ…
女「決まったぜ。てめえは試合開始三秒でミンチだァ!」
レフェリー「始めっ!」
女「死にやがれぇぇぇぇぇ!!!」ドドドドドッ
大男の放った右ストレートは――
ズンッ!
的確に女の胸部に命中。
女「がっ……!?」ベキボキメキゴキ
胸骨を粉々に粉砕。
女を試合場の外まで吹き飛ばした。
大男「や、やったぁ!」
大男(次の準決勝も……頑張らなくちゃ!)
実況『お待たせしました、闘技大会準決勝第一試合を開始致します!』
実況『注目の対戦カードは、大男vsフードッ! いったいどんな戦いになるのかァ!』
フード「ガッハッハ、こんなデカ人間が相手かよ! 準決勝は楽勝だな!」
大男「む……」
フード「てめえみたいなザコは一瞬で片付けてやるよォ!」
大男「僕だって……お前なんかに負けない!」
フード「あ?」ビキメキ…
バサァッ!
ダークスライム「ガッハッハ! 史上最凶のスライム! これが俺様の正体よ!」
大男「ま、魔物……!」
ダークスライム「俺様の目的は、魔王様の尖兵としてこの大会で優勝し」
ダークスライム「人間どもに魔物の恐ろしさを思い知らせることだったのよォ!」
大男「こんなの……勝てるわけない……」ガタガタ
ダークスライム「決まったぜ。てめえは試合開始三秒でミンチだァ!」
レフェリー「始めっ!」
ダークスライム「死にやがれぇぇぇぇぇ!!!」ドドドドドッ
大男の放った右ストレートは――
ズンッ!
的確にダークスライムの胸部に命中。
ダークスライム「がっ……!?」ベキボキメキゴキ
胸骨を粉々に粉砕。
ダークスライムを試合場の外まで吹き飛ばした。
大男「や、やったぁ!」
大男(次の決勝も……頑張らなくちゃ!)
実況『いよいよ決勝戦ッ!』
実況『ここまで、決勝まで進んだ両者は、いずれも全ての試合で相手を一撃で倒しております!』
実況『果たしてどんな戦いになるのか、楽しみです!』
実況『まずは、大男選手の入場です!』
大男「ど、どうも……」
実況『この巨大な体の一体どこに、あれほどのパワーが潜んでいるのか!? まさにミラクル!』
実況『さあ、大男選手の対戦相手は――』
母「ガッハッハ、こんなバカ息子が相手かよ! 決勝は楽勝だな!」
大男「お、お母さん……!? 病気のはずじゃ……」
母「あんなもん全部演技に決まってんだろうがァ!」
母「病気のフリして、てめえみたいなザコがトーナメントに出れば、俺様が優勝しやすくなんだろ?」
母「だから、分かりやすいとこにチラシを置いておいたのよォ!」
母「おかげで決勝戦は今までで一番楽な相手と当たれるってわけだァ!」
大男「よくも……騙したな」
大男「僕だって……お母さんなんかに負けない!」
母「あ?」ビキメキ…
母「決まったぜ。てめえは試合開始三秒でミンチだァ!」
レフェリー「始めっ!」
母「死にやがれぇぇぇぇぇ!!!」ドドドドドッ
大男の放った右ストレートは――
ズンッ!
的確に母の胸部に命中。
母「がっ……!?」ベキボキメキゴキ
胸骨を粉々に粉砕。
母を試合場の外まで吹き飛ばした。
大男「や、やったぁ!」
大男「ありがとうございます! 嬉しいです!」
司会『優勝賞金の100万Gは、どのようにお使いになる予定ですか?』
大男「はい! それはもちろん――」
――――
――
母「ごほっ、ごほっ……ありがとうねえ……」
大男「優勝賞金で、こんないい病院に入院できてよかったね!」
母「ああ……お前は本当に孝行息子だねえ……」
― 完 ―
「SS」カテゴリのおすすめ
「ランダム」カテゴリのおすすめ
コメント一覧 (14)
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- 2020年05月20日 23:46
- スライムの胸骨とは🤔
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- 2020年05月21日 00:09
- めっちゃ面白かった。
奥さんと子供寝てんのに大声で笑ってしまった。
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- 2020年05月21日 00:10
- 母ン😖
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- 2020年05月21日 00:17
- 下ブロックが魔境すぎる
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- 2020年05月21日 00:24
- なろう主人公みたいなやつらも敗北フラグのセリフには勝てないのか…
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- 2020年05月21日 00:37
- 結果オーライ
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- 2020年05月21日 00:44
- 定番ネタを利用した良いSSだったな
滅茶苦茶わろたわ
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- 2020年05月21日 06:30
- 世にも奇妙な物語
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- 2020年05月21日 08:10
- 大男なら普通に働いた方が安全に稼げるよね
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- 2020年05月21日 10:07
- 色々と草オブ草過ぎたwww
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- 2020年05月21日 12:33
- 下ブロックの戦いが気になる
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- 2020年05月22日 02:23
- オチで草
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- 2020年05月24日 17:06
- ボーボボ味を感じる
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- 2021年04月11日 15:29
- 対戦相手の女さんは胸部にエアバッグ内蔵されてなかったのだろうか?