エアリス「クラウドの剣、落としちゃった」
- 2020年05月07日 23:40
- SS、FINAL FANTASY
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エアリス「なんでも屋のお仕事、順調だね」
クラウド「ああ。……いちど休憩しよう。アイテムの調達に行ってくる」
エアリス「うん。わたしはここで待ってるね」
クラウド「わかった」
エアリス「ねえ、その剣」
クラウド「……? バスターソードがどうかしたか?」
エアリス「置いていったら? スラムの街、狭いし、背中に付けたまま歩き回ると、危ないよ」
エアリス「お休みする時ぐらい、外した方がいいと思うけどなぁ」
クラウド「……そうか。じゃあ……ここに置いていくから、見ていてくれ」
エアリス「はーい、りょうかーい」
―――
エアリス「うーん……この剣……やっぱり似てるなぁ。ザックスのに」
ズシッ
エアリス「うわ、おっも~い」
エアリス「よい、しょっと、えいっ」
ブンッ
エアリス「やあっ」
ブォン
エアリス「せーいっ」
ツルッ スポッ
エアリス「あっ」
ヒュゥゥゥゥ
バッシャーン
エアリス「あ……………あああ~っ!」
―――
エアリス「ど、どうしよう……。池の底に沈んじゃった……あ~あ、クラウド、ぜったい怒るよね……」
エアリス「よし。謝ろう、正直に。……でも、すっごく怒って、帰っちゃうかも。そんなお別れ、イヤだな」
エアリス「うーん……戻ってくるまでに池から引き上げられればいいんだけど……」
クラウド「エアリス」
エアリス「わっ」
クラウド「どうした? ……考え事か?」
エアリス「え? ううん、おかえり、はやいね」
クラウド「アイテムの調達はできた。仕事に戻ろう」
エアリス「あ、うん。そだね。でも、えーっと……ねえクラウド。もう少し、休まない?」
クラウド「いや、もう十分だ」
エアリス「そんなこと言わないで。そうだ、薬草でつくったお茶、淹れてあげる」
エアリス「美味しくて、落ち着くよ? クラウドはそこで待ってて」
ダッ
クラウド「お、おい――」
エアリス(戻ってくるの早すぎ、剣を探してる暇がない。こうなったら、最後の手段……!)
エアリス「お待たせ。特製ハーブティー、どうぞ」
クラウド「ああ……」
エアリス「……」
クラウド「……」
エアリス「飲まないの?」
クラウド「……さっきから気になってる」
エアリス「何が?」
クラウド「そこに立てかけてあったバスターソードが、無いぞ」
エアリス「あるよ」
クラウド「え? いや、でも」
エアリス「バスターソードはちゃんとあるから。そのハーブティー飲んでよ」
クラウド「けど――」
エアリス「いいから、飲んで」
クラウド「わ、わかった」
ゴクッ
クラウド「――?」
クラッ ヨロッ
エアリス「飲んだ? ちゃんと飲み込んだ? ごっくん、した?」
クラウド「あ、ああ……」
エアリス「よしっ。それじゃあ、はい! あなたの大切なバスターソードは、ここにあります」
スッ
クラウド「……」
エアリス「……」
クラウド「……これは……ただの木の棒だ」
エアリス「あれっ……まだ量が足りないかな」
クラウド「おいエアリス。オレのバスターソードは――」
エアリス「それはひとまず置いといて、もっと飲まない? ハーブティー、飲むよね?」
クラウド「もういい」
エアリス「そんなこと言わないで。ほら、どんどん飲んでよ」
クラウド「いや、エアリス、オレは――」
エアリス「い・い・か・ら! 無理矢理にでも流し込むからね」
クラウド「お、おい!」
クラウド「―――???」
グルグル
クラウド(目が回る……)
エアリス「さて、もう一度……はい、クラウドさん! あなたの大切なバスターソードは、ここにあります!」
スッ
クラウド「……」
エアリス「……」
クラウド「……ここにあったのか」
エアリス「おっ! やった! バスターソードに見える? 見えちゃう?」
クラウド「あ、ああ」
エアリス「良かった~、これで時間稼ぎ、できそう」
クラウド「時間稼ぎ……?」
エアリス「ううん、こっちの話。ほら、なんでも屋のお仕事、するんでしょ? いってらっしゃい」
クラウド「一緒に来ないのか?」
エアリス「うん。私は……少し、探し物があるから。がんばってきてね」
エアリス「そこらへんに落ちたはずなんだけど……」
スラムの子どもA「なんか固いのがあるな」
子どもB「網でひっかければとれるんじゃないか?」
子どもC「オレ、探してくる!」
エアリス「急いで、お願いねー!」
エアリス(幻覚を見せる薬草で騙してるけど……効果が切れたら剣じゃなくて木の棒だってすぐにバレちゃう)
エアリス(急いで本物を返さないと……急げ急げ~)
―――
クラウド「でやあっ」
コンッ
モンスター「……」
クラウド「……」
クラウド(斬りかかっても、効いてる気がしない……ここのモンスターは物理攻撃が効かないのか……?)
クラウド(いや、そんなはずは……問題があるとしたら、こっちの武器かもしれない……)
クラウド(なんだか、いつもよりも……だいぶ軽い気がしないでもない……七番街スラムに戻って、武器屋に相談するか……)
クラウド(エアリスに言って、すぐに七番街スラムへ向かおう)
エアリス「どーおー? 引き上げられそー?」
子どもC「うーん、なかなかひっかからなーい!」
子どもA「長い棒かなにかないか?」
エアリス「頑張ってー! 応援してるー!」
子どもB「エアリスも手伝えよー!」
クラウド「……なんだか忙しそうだな」
クラウド(仕方ない。明日の朝まで待てとごねられるのも面倒だ……黙って行こう)
クラウド(エアリスは怒るだろうが……後で謝れば問題ないか……)
ティファ「……あれ? クラウド!? クラウドー!」
クラウド「ティファ!」
ティファ「クラウド、無事だったんだね! 良かった……」
クラウド「なんとかな」
ティファ「心配したんだよ。プレートから下へ落ちちゃったから……」
クラウド「問題ない。ところで……その格好は? どうしてドレスなんて着ているんだ?」
ティファ「クラウドと別れてから、色々と進展があったの。実はこれから――」
ティファ「―――? あれ?」
クラウド「……なんだ? オレの後ろに何かあるのか?」
ティファ「えっと……クラウド、どうして……木の棒なんて背負ってるの?」
クラウド「え?」
ティファ「あの大きな剣は? 伍番街でなくしちゃった……?」
クラウド「なに言ってるんだ、ティファ。ちゃんとあるだろう、ここに」
ティファ「えっ……それが、剣?」
クラウド「そうだが……」
ティファ「いや、だって……」
クラウド「は……? 何言ってるんだ。これはバスターソードだ」
ティファ「え、でも……」
ティファ(クラウド……どう見ても木の棒なのに……やっぱり、変……)
ティファ(記憶の混濁が進んでるのかな……だとしたら、どうしよう、すごい悪化してる……)
ティファ(とりあえず……今は話を合わせておこう。混乱させたらまずいし……やっぱり病院に行った方がいいかも)
クラウド「ティファ、大丈夫か? 疲れてるのか?」
ティファ「ううん、平気。ごめん、おかしなこと言って」
クラウド「部屋で休んだほうがいい。送るよ」
ティファ「大丈夫。大丈夫だから」
クラウド「……わかった」
バキッ
クラウド「ん?」
ティファ「え?」
クラウド「……」
ティファ「クラウド? どうしたの?」
クラウド「…………」
ティファ「……ねえ、クラウド。今の音――」
クラウド「折れた」
ティファ「えっ」
クラウド「バスターソードが折れた」
ティファ「あっ……」
ティファ「う、うん」
クラウド「鋼鉄でできてるのに」
ティファ「ねえ」
クラウド「壁に寄りかかっただけで、折れちゃった」
ティファ「ねえクラウド、落ち着いて」
クラウド「バスターソードはこんなに簡単に折れるのか」
ティファ「クラウド!」
クラウド「ティファ、バスターソードってこんな簡単に折れたりするものなのか?」
ティファ「クラウド、ごめんっ」
ドカッ
クラウド「ウッ!」
ドサッ
ティファ「ごめん、ごめんねクラウド。少しの間眠ってて……」
ティファ(クラウド、やっぱり……スラムに墜落した衝撃で悪化したんだ……。ううん、私が落ち込んでちゃダメ)
ティファ(目を覚ました時に安心できるように、新しい木の棒を探さないと……もっと頑丈なやつ……!)
~七番街スラム道中~
エアリス「はぁ……はぁ……もー、明日の朝、いっしょに行こうって言ったのになぁ……」
エアリス「せっかくバスターソードを取り戻したのに、勝手にひとりで帰っちゃうなんて……」
エアリス「ふぅ……ホントに、重たいなぁ、この剣。ちょっと休憩しよう」
ゴトン
エアリス「……はぁ~、こんなもの担ぎながら歩くハメになるなんて……もうクタクタ」
エアリス「でも急がないと、そろそろクラウドの薬草の効果が切れちゃうかな……」
ティファ「……」ガサゴソ
エアリス「あれ……あの人、あんなところで何してるんだろう」
ティファ「これは細すぎるかな……もっと長いの……頑丈なやつを……」ブツブツ
エアリス(あんな綺麗なドレスを着てるのに、スラムのガラクタを漁るなんて……)
エアリス(ひょっとして、危ない人なのかな……)
エアリス「っと、急がないと。よっこいしょ」
エアリス「あっ! クラウド、見つけた! おーい! クラウド……寝てるの?」
クラウド「う、うう……」
エアリス「お昼寝、かな。そうだ、今のうちに剣を返してこう」
スッ
エアリス「はい、お返ししますよ……ってね」
クラウド「……ん?」パチッ
エアリス「わっ」
ガバッ
クラウド「……エアリスか?」
エアリス「う、うん。おはよー」
クラウド「……なんでオレは寝ていたんだ? ……記憶が曖昧だ」
エアリス「さあ、疲れてたからじゃない? そんなことより。酷いよ、クラウド」
クラウド「え?」
エアリス「明日の朝、一緒に七番街スラムへ行こうって話はどうなったのかな」
クラウド「……いや、少し気になることがあったから、それで……」
クラウド「バスターソードがいつもと違う感じで……」
エアリス「な、なるほど。バスターソードってそれだよね」
クラウド「ああ。そいつが妙に軽い。もっと重かったはずなんだ」
エアリス「へぇー……。ね、ためしにもう一回、持ってみたら? 今度は重いかもよ?」
クラウド「いや、何度試しても軽くて――」
ズシッ
クラウド「凄い重い」
エアリス「良かったじゃん」
クラウド「いつも通りの重さだ……どういうことだ……?」
エアリス「まあ、そういうこともありますよ」
エアリス「どんな人? 一緒に探すよ。どうせ暇だし」
クラウド「白のタンクトップで……いや、今日は青いドレスを着ていたな」
エアリス「それって……あの人のこと、かな」
クラウド「知ってるのか?」
エアリス「黒くて長い髪の」
クラウド「ああ」
エアリス「ここに来るまでに見かけたよ。見かけた、けど、……ねえ、そのティファって人は……どういう人なの?」
クラウド「どういう?」
エアリス「えっとね……なんだか思いつめた様子で、ゴミを漁ってたから……変だなぁって」
クラウド「ゴミを?」
エアリス「うん。何か言ってた。ブツブツ、ブツブツ」
クラウド「……そういえば……さっき会った時も、様子が変だったな」
クラウド「沈んだ表情で、まるで……幻を見ているような感じだった」
エアリス「ねえ、それって……心の病気なんじゃ」
クラウド「えっ……!?」
エアリス「あっ、あの人だ……!」
クラウド「ティファ……!」
ティファ「目、覚めたんだ。……あれ、こちらは?」
エアリス「こんにちは」
クラウド「伍番街で助けてもらった、知り合いだ。……と、ところで……ティファはどこで何をしていたんだ?」
ティファ「え? えっーと……ちょっと、ね……」
クラウド(……やはり様子が変か……)
ティファ「私のことはいいから。それよりも、はい、クラウド。バスターソード! 気にいってもらえればいいけど」
クラウド「えっ……」
ティファ「一番かっこよくて、頑丈そうなの選んできたから。剣がないと落ち着かないでしょ? どうぞ」
クラウド「ティ、ティファ……?」ガクガク
エアリス「ク、クラウド、ちょっと。こっちこっち」
クラウド「エアリス。どうしたらいい。あれはどう見ても、ただの木の棒だ。普通じゃない」
エアリス「やっぱり、ティファは精神的に病んじゃってるんだよ。そうでなきゃ、棒切れを剣だなんて言わないもん」
クラウド「わ、わかった」
ティファ「……どうしたの? ふたりとも」
クラウド「い、いや、なんでもない」
エアリス「あはは」
ティファ「そう? じゃあ、これ、元ソルジャーの大切な武器でしょ。今度は壊さないようにね」
クラウド「あ、ありがとう……」
ティファ「もうこんな時間……急がないと」
クラウド「こ、これから何かするのか? ホントに、もう休んだほうが……」
ティファ「え? 大丈夫だよ。それに、説明するのが遅れちゃったけど……これからコルネオのところへ行かないとだから」
エアリス「コルネオ!? コルネオって、あのドン・コルネオ!?」
ティファ「う、うん」
エアリス「ウォールマーケットを取り仕切ってるならず者だよ!? そんな格好で自分からコルネオに会いに行くの!?」
ティファ「そうだけど……これには理由が――」
エアリス「クラウド。まずいです、これ。完全におかしい。自ら操を捧げにいくようなものだもん」
クラウド「!!!」
ティファ「ん?」
クラウド「もう休んでくれ。……もっと、自分を大切にしてくれないか」
ティファ「え? え?」
エアリス「ティファ、クラウドの言うとおり。初対面のわたしにこんなこと言われるのもなんだろうけどさ」
エアリス「疲れてるんだよ。きちんと心を休めて、自分と向き合おう?」
ティファ「えっと……ふたりとも、なにか勘違いしてない? コルネオの元に行くのには理由があって――」
クラウド「もう何も言うな。わかったから。さあ、今日はもう帰ろう」
ティファ「で、でも……」
クラウド「この木の棒……いや、バスターソード、ありがとう。一生懸命、探してくれたんだな」
ティファ「えっ、クラウド、泣いてるの?」
エアリス「ねえティファ。色々辛いこともあるんだろうけど、全部、話そう? わたしは聞くから」
クラウド「オレも聞く。興味あるね」
ティファ「え? なに? なんなの?」
その後、各々の誤解を解くのに長い時間を要した――
End
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コメント一覧 (20)
-
- 2020年05月08日 01:04
- >>1おこなの?
-
- 2020年05月08日 02:41
- >>1
どうした?魔晄中毒でも起こしたか?
-
- 2020年05月09日 22:54
- >>7
魔晄中毒は草
-
- 2020年05月10日 19:55
- >>1
おう、二次創作を読むのは初めてか?
肩の力抜けよ
-
- 2020年05月08日 00:03
- 興味あるねは少し笑った
そこ意外分からん
-
- 2020年05月08日 00:24
- クラウドの剣を落としてしまったのですが!
-
- 2020年05月08日 01:23
- 木の棒でも生き残れる、流石元ソルジャーや!
-
- 2020年05月08日 13:55
- >>5
おっ、そうだな
-
- 2020年05月08日 02:06
- 水中呼吸のマテリアが要りますねこれは
-
- 2020年05月09日 01:06
- >>6
これたぶん今の子何いってるかさっぱりだろ
-
- 2020年05月08日 08:43
- あのバスターソードを振り回して池に投げ込める筋力があるエアリス、最強じゃね?
-
- 2020年05月08日 12:47
- 使うと汚れる 欠ける 磨り減る
だから沈める
-
- 2020年05月08日 23:13
- >>9
錆びるじゃん
-
- 2020年05月18日 16:04
- >>9
アンジール涙目
-
- 2020年05月08日 13:04
- >クラウド「凄い重い」
で笑ったよ
-
- 2020年05月08日 13:51
- アルテマウェポン落としちゃったわ
-
- 2020年05月09日 12:41
- やっぱ古代種ってクソだわ
こんなクソの住む星にはメテオを落とすしかないな
-
- 2020年05月09日 23:20
- >>15
おはマザコンホモ
-
- 2020年07月04日 02:25
- でもバットに釘刺すだけで武器になるし・・・
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