男「こんにちは」 少女「こんにちは」
少女「わからない、けど気づいたらここに居た」
男「具体的な時間はわかる?」
少女「除夜の鐘を5回聞いた、少なくとも5年はいる」
男「除夜の鐘が聞こえるの?」
少女「1日に鳴る回数は覚えてないが、微かに耳の奥で聞こえる」
男「ここにいる間は何をしてる?」
少女「ずっとうずくまってた、誰にも見つからないように」
少女「私の近くを通る、得体の知れない者」
男「それはどんな姿?」
少女「姿は見たことない。真っ暗で、あやふやで、不明瞭な何か」
男「その誰かに追われているの?」
少女「何かは何かの目的を持って行動している」
男「ではなぜここで隠れている?」
少女「…見つかると、元には戻れない」
少女「何かに見つかると自分の姿が真っ黒に変化する」
男「それはどういう経緯で知ったの?」
少女「おともだち」
男「今はいない?」
少女「いない。みんな真っ黒になった」
男「ここにいると誰かに見つからないの?」
少女「何かは物体を透過できず、触れることもできない」
少女「死ぬ。真っ黒になる」
男「それを回避する術は?」
少女「できるだけ動かずにいる、呼吸も身体の動きも最低限に抑える。傍から見たら生命活動をしてないように見せかける。それでも見つかったら真っ黒になる」
男「真っ黒になるのは死ぬということ?」
少女「人間としてはもう生きられない」
男「真っ黒になった誰かを元に戻す方法は?」
少女「ない。」
男「どんな術を以てしても?」
少女「この状況で行うこと全てに言えること」
少女「ある おそらく」
男「その方法とは?」
少女「光を作る。太陽よりも輝く光を」
男「どうやって作るの?」
少女「真っ黒の何かを利用する」
男「具体的には?」
少女「何かは歩行とほぼ同じ速度でこの空間を移動し続けている。」
少女「太陽が発現する条件は人がいる部屋に複数体の何かを存在させること」
男「前の話を聞く限り不可能では?」
少女「何かに見つかった一瞬の間、同じ部屋に複数体の真っ黒な何かが存在することになる」
男「つまりは人が最低でも2人必要?」
少女「そう。」
男「では今の状況でも可能では?」
少女「同じ部屋、その定義は物体に仕切られていると破綻する」
少女「一度人の手によって作られた物体を取り除くことはできない」
男「壊すことも出来ない?」
少女「できない」
男「では私がここで真っ黒に襲われるとどうなる?」
少女「貴方は真っ黒になる。その瞬間は、この部屋に何かが2人以上存在するだけ」
男「今聞こえる音は?」
少女「真っ黒な何かの足音、今は2部屋先に居ると思われる」
男「このままだと私は真っ黒になって死ぬ?」
少女「その通り」
少女「さっき言った通り、息を潜め身を隠す。できる限り動くことをやめる。多少見つかる可能性は低くなる」
男「実際にそれで生き延びたことはある?」
少女「おともだちはこの方法で一度逃れた。でも次に現れた真っ黒な何かに襲われた」
男「ちなみに声は出しても大丈夫なの?」
少女「何かに備わっている感覚は視覚のみ、それ以外は無と設定されている」
男「では、一度やり過ごせるか試してみる」
少女「私は、貴方の無事を祈るだけ」
少女「開いた、そのまま」
男「…」
少女「…」
男「…」
少女「…」
男「…」
少女「…」
男「…」
少女「…」
少女「…」
少女「……消えた」
少女「彼はもう話すこともできない、考えることもできない、真っ黒な何かとして存在し続ける」
少女「何らかの目的を以てこの空間に居続ける」
少女「真っ黒になった者は、真っ黒に侵された心は、再び輝きを与えない限り元に戻ることはない」
少女「でも、その人の心が持つ輝きが一際明るく光を放っていたとき」
男「…」
少女「人なる物体は真っ黒にはならず、人として存在する」
男「…」
少女「その心が誰かに向けられた者であれば、その人は救われる」
??? ??? ???
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- エミヤ「誰かを選べ……だと……!?」女性マスター陣「うん」
コメント一覧 (5)
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- 2020年04月18日 08:15
- 親愛なる教養溢れる方々は、このssが人間そのものを現しているのは承知のことでしょう。
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- 2020年04月18日 09:40
- やれやれ、これはとても形而上的な話だね。
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- 2020年04月18日 14:18
- 男「こんにちは」 少女「こんにちは(通報)」
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- 2020年04月18日 14:21
- 全部自分に返ってくるんやで
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- 2020年04月19日 02:40
- 読みました
面白かったです