魔法使い「コーヒー飲む?」勇者「え…まあ、飲むよ」
勇者「あてになるかは微妙なんだが、北の都市に腕の立つ武闘家がいるんだ……ん?なに入れてるんだ?」
魔法使い「コーヒーだけど?勇者くんも飲む?」
勇者「え…あ、じゃあ飲む」
魔法使い「…?、そう」トポポポポ
魔法使い「はい、どうぞ。熱いから気をつけてね?」
勇者「お、おう」
魔法使い「武道家の人ね。確かに私は遠距離専門だから、前衛がもう一人いてくれると助かるのだけど…あてになるか微妙って?」
勇者「ああ、いるかどうかわからないんだよ。住処が北ってだけで、いつもどこほっつき歩いてるかが定かじゃないんだ」トポッ
魔法使い「知り合いなの?」
魔法使い(ググッ、ゴク)
勇者「まあ腐れ縁みたいなもんだな」トポットポッ
魔法使い「まあ、私も他に案があるわけでもないし、その方針でいきましょうか、明日は出発の準備。明後日にはこの町を出ましょう?」
勇者「そうだな、魔法使い故郷を出る前に挨拶回りは済ませておけよ」トポトポトポトポ
魔法使い「え、ええ。…この町も魔王軍の餌食だったかも知れない事を考えると、挨拶回りができるぐらいみんなが無事で本当に良かった」
勇者「凄い群勢だったもんな…でもお前も町を守るために戦ったんだ、俺一人じゃ…」トポトポトポトポトポトポトポトポ
魔法使い「……いいえ、感謝してる。あなたが立ち向かわなかったら、私もなにも出来なかった」
勇者「いやそれほどでもぉ……」トポトポトポトポ
魔法使い「待って、ねえ待って」
勇者「え?」
魔法使い「あなた角砂糖何個入れるつもり??」
みたいのをやっていく(この前途中で急用入って落ちたからやり直し)
魔法使い「いやダメじゃないけど…一口飲んでみなさいよ」
勇者「ん…ごくりっ」
魔法使い(あ、飲んだ)
勇者「うげ…苦、マズ」
魔法使い「え、うそ、苦いの?その状態で?」
勇者「苦いの苦手なんだよ…」ドボンドボン
魔法使い「ああ!また砂糖そんなに入れて…せっかく入れたのに」
勇者「いや…飲めた方がかっこいいかと思って」
魔法使い「そんなに角砂糖入れてる時点で格好つかないでしょう?」
勇者「よく飲めるな」
魔法使い「美味しいのに。別にコーヒーが飲めないからってなんとも思わないわよ。好き嫌いなんて誰にでもあるんだから、理解はできる」
勇者「そ、そうか…ちなみに嫌いなものあるのか?」
魔法使い「……強いて言うなら、ゴブリンの肉かしら」
勇者「いや、普通食べねえじゃん」
魔法使い(大丈夫かしら…まあこの先の旅路や戦闘に影響するわけではないけれど、こんなとこでギャップを感じるなんてね)
勇者「ふう、ここのダンジョンの敵はちっと手強いな」
魔法使い「ええ、本能じゃなくて、考えて戦ってるようだし、統率してる魔物がいるのかもね」
勇者「この奥にか」
魔法使い「まああなたも5体のゴブリンを一閃してたりするから、そっちの方が驚きだったのだけど」
勇者「まあこれくらいはできねえとな。でも無敵ってわけじゃない、こんなとこに切り傷が」
勇者「ああ頼むよ」
魔法使い「…うーん、一応小回復魔法は使えなくもないけれど、魔力を温存したいし。包帯とこれでいいかしら?」
勇者「……それは?」
魔法使い「ポーションだけど」
勇者(うげぇ)
魔法使い「なにその顔」
勇者「……飲みたくない」
勇者「俺……ポーション飲めないんだ」
魔法使い「一応聞くけど、体質的に受け入れないとかそういう」
勇者「いやそういうわけじゃ……あ!そうそう飲むと蕁麻疹がさ、あはは…」
魔法使い「勇者くん。目を閉じて口を開けなさい」
勇者「え、ちょ…やだ!」
魔法使い「ええぃ!バインド!」
勇者「ひぃ!動けない!!!」
勇者「ゴバババ…!」
・勇者は回復した
勇者「酷いよ魔法使い……グスッ」
魔法使い「あのね勇者くん。この世界で冒険しててポーション飲めないなんて事がまかり通ると思う?」
勇者「だって飲めねえもんは飲めねえんだもん」
魔法使い「まったく…あとで特訓よ、考えてみればバインドなんて使うくらいなら回復かけた方が魔力の節約になったわね…」
勇者「意味ねえじゃあああん!!!」
魔法使い(想定してなかったわ、勇者くんの好き嫌いは戦闘にも影響が出そうね)
魔法使い「えぇ、彼の舌は薬草もポーションもエリクサーも解毒剤も受け入れないわ。訓練しようともしたけれど、あまりにも泣き叫ぶものだから。攻撃専門の私もリカバーを習得する羽目になったわ」
僧侶「回復魔法もお上手ですものね」
魔法使い「戦ってる時はあんなに様になってるのに」
僧侶「好き嫌いが多いというより、少々子供っぽいというか可愛らしいところがあるのかも知れませんね」
魔法使い「子供っぽい?」
僧侶「ええ、実は…」
僧侶(あら、あれは勇者様、何か熱心に見ているご様子…)
僧侶「勇者様?なにか良いものがございましたか」
勇者「え!?あ!僧侶ちゃん…いやちょっとな、あはは?」
僧侶「これは……テディベア?」
勇者「アハハ、ちょ、ちょっと気になってな……」
僧侶「あ、分かりましたわ!誰かにプレゼントされるんですか?」
僧侶「……?」
勇者「……実は子供の頃によく抱いて寝たぬいぐるみに似てるんだ。懐かしくてな」
僧侶「あら、左様ですか!可愛らしいじゃないですか勇者様」
勇者「アハハ」
武道家「あ、おーい勇者ぁ!僧侶ちゃん!ちょっと来てくれないか!」
僧侶「あ、はーい!さぁ参りましょうか勇者様」
僧侶「勇者様?武道家さん待ってますよ?」
勇者(じわっ…)
僧侶(え、泣きそう?)
僧侶「……あの、勇者様。大変差し出がましいのですが、もしよろしければそのテディベア私に買っていただけませんか?」
勇者「マジで!!!!」
僧侶「は、はい。なんだか一目惚れしてしまって……」
勇者「買う買うすぐ買う!待ってろ僧侶ちゃん!」
僧侶(すごく嬉しそう)
僧侶「その…夜になると、度々借りにいらっしゃいます」
魔法使い「もう飽きたけれど、勇者くんの第一印象は壊れてばっかりだわ」
勇者「はぁ…はぁ…」
ドラゴン「よかろう…そなたのことを認める」
勇者「そいつは…ありがたい」
ドラゴン「この実を食べるとよい。不死身の如き力を得られる」
魔法使い「あれが伝説の果実…」
勇者「じゃ、さっそく……パク」
魔法使い「どう?」
勇者「オエエエエエエエウェ……」
魔法使い「勇者くん!?」
ドラゴン「ば、馬鹿者!!吐く奴があるか!実をつけるまでどれだけ苦労して手入れしてると思っているのだ!!!」
武道家「自分で育ててるのかあれ…」
ドラゴン「ああもったいない!!」
僧侶「まだ、残っているのですか?」
ドラゴン「食べれそうなのはあと一個だけ…」
勇者「無理無理食えない!!俺には無理だ」
ドラゴン「いやまておかしい。美味とは言えんかも知れんが過去の救世主達は特に抵抗なく食べておったぞ」
勇者「ああ、俺には世界は救えなかった……ごめんみんな」
武道家(ああ、なんだいつものか)
僧侶「勇者様…諦めないでください!!」
勇者「頼むよ、勇者になってくれ」
ドラゴン「アホ言うな、我が認めたのは貴様だ!貴様以外にやれるか!!貴重なんだぞ!!」
魔法使い「はぁ…」
魔法使い「古代の緑龍よ、どうか我が話を聞いてください」
ドラゴン「え?……おう、申してみよ」
魔法使い「では無礼を承知で内緒話で」
ドラゴン「内緒話?」
ドラゴン「そ、そんなことでいいのか?」
魔法使い「ええ、お願いします」
ドラゴン「おっほん。勇者よ」
勇者「……え…なに?」
ドラゴン「どれだけ打ちひしがれておるのだ」
勇者「もうマジ無理」
ドラゴン「この実を食べるとな、不死身の如き力の他に、もう一つ副産物が手に入る」
ドラゴン「えっと……聖剣が手に入る」
勇者「なんだって!!!!」
僧侶「しかし、聖剣は古の洞窟に封印されていると」
ドラゴン「実はそれは悪さを避けるためのフェイクだ。過去の救世主達もこの実を食べて聖剣を授かっていった…と思う」
勇者「俺!食べるよ!聖剣!カッコいい!!」
ドラゴン「マジか」
知らんから、今考えた
勇者17
魔法使い18
武道家21
僧侶14
そんなイメージ
ドラゴン「あ、ああ…」
魔法使い「では無理矢理食べさせればいいわ」
勇者「魔法使い、頼むよ」
魔法使い「まったく単純なんだから…ハイパーバインド!」
勇者「よし全く動けないぞ!」
ドラゴン「こ、これが最後の実だ」
勇者「一思いにやってくれ」
魔法使い「はい食べて~」
勇者「jうqばいqひqんくぃsな」
武道家「俺たちはなにを見せられてるんだ」
僧侶「あはは……」
・
・
・
勇者「………………」
僧侶「勇者様、酷く落ち込んでいらっしゃいますね」
武道家「まあ、俺はすぐ分かったけど。あの実を食べてポンと聖剣が現れるわけないもんなぁ」
魔法使い「私が一番長い付き合いだもの、このくらい手玉に取れないと。たまには良い薬だわ」
勇者「魔法使い嫌い」
魔法使い(ガァーン!!!!)
~魔王城~
勇者「ついに来たな」
僧侶「長かったですね」
武道家「まだ終わっちゃいないんだ、とっとと入るぞ」
魔法使い「それにしても衛兵のような役割の魔物がいないのは不自然ね」
魔王(よくぞ辿り着いたな)
武道家「この声は!どこからだ!?」
魔王(テレパシーだ)
僧侶「脳内に直接ですね」
勇者「今倒しに行くからな!!」
魔王(果たしてここまで来れるかな?)
魔法使い「仕掛け扉ね…何か解除する条件があるはずだけど進めないようになってるわ」
勇者「こ、これは…!!」
魔王(驚いたか、慄いたか!!)
勇者「ピーマンの肉詰め!!」
魔王「この部屋は勇者がテーブルに置いてあるものを完食しない限り次の部屋に進めなくなっている」
勇者「なんて卑怯な!!」
武道家(そうだろうか)
勇者「くそう!こんな仕掛け扉!武道家さんのパワーで破れないか?」
武道家「いや食えば良いじゃん」
勇者「な、なんだって……」
魔法使い「食べて次に進めるならそれで良いじゃない、結構美味しそうだし」
勇者「いやでも魔王の用意したものなんて毒とか」
僧侶「大丈夫です。今の勇者様は緑龍から授かった加護があります!もしもの事があっても私がなんとかしますから!」
勇者「………魔王絶対許さないからなぁ!!!!」
勇者「うぐぅ…ふぅ…へぇ…ま、まだあるのか」
僧侶「大丈夫ですか勇者さま…?」
武道家(楽な最終決戦だなぁ)
魔法使い「入ってないとは思ったけれど、ほんとになんの変哲もない料理だったわね」
~第4の試練、パクチースープ~
勇者「うぐぅ…に、匂いがぁ~」
勇者「魔王貴様ぁ、楽には殺さないからなぁ!!!」
魔王(勇者がそんな事言うんじゃない、他者が無理矢理食べさせても無駄だったはずだぞ!?)
魔法使い「彼は紛れもなく自分の意思で食べて飲んだのよ。ピーマンの肉詰めも、ウニ軍艦も、エスプレッソも」
魔王(ば、馬鹿な!少なからずエスプレッソあたりで気絶する算段だった筈だぞ!)
魔法使い「あの時は私もだいぶ子供っぽい事したものだわ」
僧侶「次第に諦めてなんとか食べれるようになり、仲直りをしたのです」
魔王(ば、馬鹿な!!)
勇者「消して食べたいわけじゃないぞ!!お前に地獄のような苦しみを与えてやるからなぁ!!」
魔王(勇者がそんな事言うんじゃない!)
魔王「よ、よくぞたどり着いた許してください」
勇者「ふぅ……ふぅ…マオウ、シメコロス」
魔王「ひ、ひぃ、憎しみで聖剣が黒剣になってるぅ!」
魔法使い「エリクサーも置いてあったけど完全に塩を送ってくれたわね」
武道家「俺たち無傷だし」
魔王「ぎゃあああああやめてぇえええええいやああああ」
僧侶「戦いが終わったようです」
武道家「おー、勇者…そのあたりにしとけ、魔王穴だらけだぞ」
世界は救われた(完)って事で良い?
国王「よくぞやってくれたぞ勇者よ、さぁ祝いの宴じゃ!」
武道家「乾杯しよう!」
魔法使い「どの料理も美味しそうね」
僧侶「あれ?勇者様召し上がらないのですか?」
勇者「にっが!オエエ!麦酒にっが!!クソまず!」
一同『……』
終
そんな感じで良いだろ
乙
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- 【FateGO】マシュ・キリエライト「わたしの、先輩」
コメント一覧 (12)
-
- 2020年03月30日 23:37
- ワイは面白いと思ったで。>>1サンガツ。
-
- 2020年03月29日 20:09
- まとめるような物ではないよね
-
- 2020年03月29日 20:22
- 途中読み飛ばしたけど正解だったみたい
-
- 2020年03月29日 20:51
- 俺かわいいでしょ?っていうのは一定数需要があるらしい
自分は無理
-
- 2020年03月30日 01:03
- ポーションやエリクサーがドクターペッパーみたいな味と臭いだったら俺も無理かも……。病院の水薬があれみたいな味と臭いで吐いた記憶が……
>>4
少なくともこれは〇〇食べれないの可愛いってのとは違うよなぁ……
-
- 2020年03月29日 23:19
- このssにキモいとか無理って言う奴ほどブーメランなの草
-
- 2020年03月30日 00:09
- パクチーは不味い
-
- 2020年03月30日 00:41
- 味覚的に回復アイテムが無理ってのは割と新しい気がする
-
- 2020年03月30日 11:30
- タイトルの時点できもい内容だろうなって思ったらまさにその通りだった
スレタイほどセンスが出るものはない
-
- 2020年03月30日 16:45
- 不快な幼さ
-
- 2020年04月01日 16:51
- 少なくともここ数年でまとめられてるssと呼ぶことすら憚れるゴミより二兆倍面白い
そして長い