男「今日はワリカンでどうだい?」女「悪いけど切るねw」
女「おいしかったー!」
男(ツイてる……こんな美人と知り合いになれるなんて)
男(だが、焦るな……あまりがっつくと逃がしてしまう)
男「今日のところはワリカンでどうだい?」
女「悪いけど切るね!」チャキッ
男「えっ」
ザンッ!
男「が、は……っ!」ドサッ…
女「とてもおいしかったわ……」
イケメン「もちろん、今日は僕のおごりさ」
女「ありがとう! じゃあ切るね!」スチャッ
イケメン「へ?」
ズバッ!
イケメン「ぐええっ……!」ドサッ…
女「なにかご用?」
ブサメン「俺にメシおごってくんない?」
女「切るね!」
ドシュッ!
ブサメン「ふごぉぉぉ……!」ドチャッ…
TV『男性が若い女性に日本刀で切りつけられる事件が多発しています……』
TV『被害者はいずれも重傷で、現在は病院に運ばれ手当てを……』
弟子「……恐ろしい事件ですね」
達人「ああ、剣術の使い手として、このような輩を放っておくわけにはいかん」
達人「私が出る必要があるようだな」
弟子「師匠、お気をつけて!」
女「……」
達人(ただならぬ気配……あの女子(おなご)に間違いない)
達人(ああまで堂々としているとは、よほど腕に自信があるようだ)
達人「失礼する」
女「あら、なに?」
達人「一緒に夕食でも食べないか?」
女「いいよ!」
女「支払いはどうする?」
達人「ワリカンでどうだ?」
女「切るね!」
――ガキンッ!
女「!」
達人「悪いが、私は今までの男どものようにはいかんぞ」
達人「私は今までに凶悪犯逮捕などの手柄によって、警察から特別に帯刀許可を頂いている」
女「ふーん、まあいいか」
女「相手がどんな男だろうと、私がやることは切ることのみ!」シュバッ
ギィンッ! キンッ! ガキンッ!
達人(なんという鋭い太刀筋! この女子、かなりの腕前……!)
達人(本気でやらねば、本当に切られてしまう!)
達人(だが……なんだ?)
ガッ!
達人(この刀から伝わる……ただならぬ妖気は!)
キィンッ!
達人(この女子……本当に人なのか!?)
達人「え」
女「コロシテ……コロシテ……」
女「ワタシヲ……」
達人「!」
達人(な、なんだ!?)
達人(戻った……)
女「さあ、続きをしましょ」チャキッ
達人「いや、待ってくれ」
ザワザワ…
達人「人がだいぶ集まってきた……あまり騒がしくするのは君としても面倒だろう」
達人「ここは勝負は預けよう」
女「んー、私は続けてもいいけど、分かった。また今度ね。楽しかったわ」
弟子「師匠、いかがでしたか?」
達人「かなりの腕前だった。決着をつけられなかったよ」
弟子「それほど強かったのですか……」
達人「それともう一つ、重要なことが分かった」
達人「彼女が持っているあれは……妖刀だ。あの女性は操られてるに過ぎん」
弟子「ええっ!?」
達人(妖刀の切れ味や効果は、持ち主の心に大きく左右されるという……)
達人(もしかしたら――)
達人「切られた被害者たちの容態は?」
医者「それが不思議なのです」
医者「普通なら完治に数ヶ月はかかる重傷だったのに、みるみる傷が……」
達人「やはり……」
達人(妖刀に操られつつも、妖気に己の心をのせて、被害を最小限に食い止めたのだろう)
達人(だが、それもいつまで持つか……)
達人(完全に操られてしまえば、彼女は本当に殺人鬼になってしまう……!)
警部「聞け、諸君!」
警部「日本刀を振り回す犯罪者がいては、人々は安心して町を歩けない」
警部「これ以上の被害を食い止めるため、次にあの女を見かけたら容赦なく射殺せよ!」
警部「切られた被害者の恨みをこめて、鉛玉をブチ込んでやるのだ!」
オーッ!!!
警部「――む。君か」
達人「あの女性のことは、私に任せてはくれないでしょうか」
警部「そうはいうが、君とてあの女と戦って、ケリをつけられなかったのだろう?」
警部「もはや、射殺(これ)しか方法はないのだ!」
達人「そこをなんとか……! お願いします……!」
警部「……」
警部「いいだろう。今日一日だけ待ってやろう」
達人「!」
警部「ただし、今日中にケリをつけられなければ、我々があの女を射殺する」
警部「それでいいな?」
達人「はい……かまいません」
達人(ありがとう、警部……。さて、次は――)
神主「おお、おぬしか。なんの用じゃ?」
達人「お願いがございます」
達人「私に……神刀をお貸し下さい」
神主「ほっほっほ、久しぶりに“魔”が出たか……。よかろう、貸してやろう」
達人「ありがとうございます」
神主「ただし、レンタル料は高くつくぞ」ニンマリ
達人「分かってます」
達人「行ってくる」
弟子「師匠……」
達人「ん?」
弟子「ご武運を……!」
達人「任せておけ。必ずあの妖刀を打ち砕いてみせる!」
女「待ってたわ。またすぐ来ると思ってた」
達人「そうか……今度こそ決着をつけよう」
女「昨日と刀が変わってるね。まあ、武器を変えたところで同じことだけど」
女「今日こそ……切るね!」チャキッ
達人「来るがいい」
達人(昨日より更に殺気と妖気が増している……心してかからねば)
女「いくよッ!」ダッ
ギィンッ!
達人(伝わってくる……)
キンッ!
達人(この神刀を通じて――)
ガキィンッ!
達人(あの妖刀に秘められた、“念”が……!)
『遊びだったんだよ……』
『悪いが、君とはここまでだ。達者でやってくれ』
『男なんて……男なんてぇぇぇ……!』
『もしも、生まれ変わったら、言い寄ってきた男をこの刀で切りまくってやるわぁ……』
ドシュッ…
達人(“念”の主は、幾度も幾度も男から弄ばれ、捨てられ……)
達人(最後に、あの妖刀となった刀で自害したというわけか……)
達人(ん? また違う声が……)
『私は……妖刀の持ち主……』
達人(あっ! “殺して”といっていたのは君か!)
『私も剣術を志しているのだけど、あの妖刀と出会ってしまって……意識を乗っ取られてしまったの』
達人(そうだったのか……)
『“彼女”はとても苦しんでる……』
達人(……)
『お願い……“彼女”を……救ってあげて!』
達人(ああ……もちろんだ!)
達人「はっ!」
女「せやっ!」
キンッ!
達人(太刀筋は見切れるようになってきた……)
達人(このまま戦い続け、妖刀を破壊すれば、怨念は打ち砕かれこの事件は解決するだろう)
達人(だが、それで本当に“彼女”は救われるのか?)
達人(それでいいのか……!?)
女「だけど、ここからが本番――」
達人「いや……これ以上、切り合うつもりはない」
女「は?」
達人「私如きが男子を代表するなどおこがましいかもしれないが……」
達人「生前のあなたを弄んだこと、本当に申し訳なかった……!」
達人「どうか許して欲しい……!」
女「……なにいってるの、いきなり!」
女「男なんていつだって口だけ……私はよく分かってるもの! 文字通り死ぬほどね!」
達人「ああ、だから私も命を張らねば割に合わないだろうな」
女「どうするつもり?」
達人「この刀はもう不要だ」ポイッ ガシャンッ
女「何やってるの?」
達人「どうしても許せないのなら、私を切れ」
女「……!」
女「分かってるよ。どうせ切りかかったら避けるんでしょ?」
達人「信じられないのなら、やってみるがいい」
女「ええ、やってやる!」
女「その首、スパッとちょん切ってやるゥゥゥゥゥ!!!」ビュオッ
女「……」
達人「……」
女「なぜ動かないの……?」
達人「さっき“切れ”といっただろう。逃げるつもりはない」
女「だけど、男なんて……いつも嘘ばかりで……」
達人「他の男はどうか知らないが……私に関しては、男に二言はないッ!!!」
女「……ッ!」
女「グアアアアアアアアアアアアアッ……!!!」
達人「……大丈夫か!?」
女「ウ、ウグ……」
女「あなた……みたいな男も……いたなんてね……」
女「謝ってくれて……嘘つかないでくれて……ありが、とう……」ガクッ
達人「……!」
達人(妖気が……消えた……)
達人「気がついたか」
女「“彼女”は……?」
達人「あの刀からはもう妖気を感じない。どうやら……怨念は浄化されたようだ」
女「よかった……ありがとう……」
達人「君こそ、妖刀相手によく戦ってくれた。持ち主が君でなければ、きっと大勢が死んでいただろう」
女「この罪は償わないと……」
警部「その通りだ」
達人「警部!」
警部「お手柄だよ。おかげで射殺という最終手段に出ずに済んだ」
達人「警部、彼女は操られていただけで――」
警部「被害者は回復しているというが、罪は罪、逮捕せねばならん」
女「はい」
警部「さあ、手錠をかけるぞ!」
ガチャンッ
女「どうして……どうして私に手錠をかけないの?」
警部「だって、悪いのはこの刀だろう? だから刀に手錠をかけた」
警部「さあ、連行する!」
達人「警部……ありがとう」
警部「……ふん」
警部「上やマスコミには上手く報告しておく。その代わり、その女性のことは君に任せた」
達人「……はい!」
達人「おお、お前も来てくれたか」
達人「さて、君は……ほとぼりが冷めるまで、うちの道場に来るといい」
達人「君も剣をたしなんでいるようだし、道場の手伝いをしてくれると嬉しい」
女「ぜひ!」
女「私と彼女、二人も助けてもらったんだから、あなたのためなら何でもやるわ!」
達人「何でも……!?」ピクッ
女「え……」ドキッ
達人「この神刀のレンタル料、ワリカンでお願いできないだろうか……!」
おわり
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- ウルキオラ(やっぱ十刃で一番強いのって俺だよなwww)
コメント一覧 (6)
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- 2020年03月24日 01:25
- お後がよろしいようで
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- 2020年03月24日 02:06
- キンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキン!
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- 2020年03月24日 08:38
- 刀にワッパ付けても普通に抜けるんじゃね?
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- 2020年03月24日 09:31
- ※3
刀に手錠かけなくても逃げ出さないんじゃね?
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- 2020年03月24日 09:49
- 本当に高かったのか
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- 2020年03月25日 20:24
- 女「キルね。」( ♯^ω^)ピキピキ