王「魔王を倒せる者はおらぬのか……!」虫使い「バッタを使うというのはどうでしょう?」
王「おおっ、ついに勇者が魔王を倒したのか!?」
大臣「いえ……勇者一行は全滅いたしました……」
王「な、なんと!」
大臣「もはや我が国に打つ手はありません……」
王「くうう……誰か魔王を倒せる者はおらぬのか……!」
虫使い「私にお任せ下さい」
虫使い「私は虫使いと申します」
王「虫使い……?」
虫使い「この私が魔王軍など、たちまち蹴散らしてみせましょう」
大臣「バカな、虫使いなどに何ができるというのだ! 相手は屈強な魔族なのだぞ!」
虫使い「これを使います」カサカサ ピョンッ
王「この虫は……バッタ……?」
虫使い「ええ、バッタです」
虫使い「そんなことはありません」
虫使い「バッタは魔王をも倒す可能性を秘めた昆虫なのですよ」
王「聞かせてもらおうか」
虫使い「ある種のバッタは、密集した状態で過ごすと、ある変化が生じます」
虫使い「色は黒ずみ、体は長くなり、より長距離飛行できる形態になっていき……」
虫使い「そして……より獰猛になるのです。こうなったバッタを“群生相”と呼びます」
虫使い「この性質は子にも受け継がれていき、彼らがひとたび群れをなした時の破壊力は」
虫使い「まさに“災害級”といわれています」
王&大臣「!」
🦗 🦗 🦗 🦗 🦗
虫使い「このバッタ達を魔王軍にけしかければ、たちまち壊滅させることでしょう」
王「……」
大臣「陛下……!」
王「今のままでは我らは魔族に支配される。よかろう、やってみせよ」
虫使い「ありがとうございます」
虫使い「これが私の育てたバッタたちです」
大臣「ひえええっ……」
王「いったい何匹いるのだ……」
虫使い「私が号令をかければ、彼らは魔王軍に突進します」
王「では、頼む」
虫使い「ゆけっ! バッタ達よ! 魔王軍を蹂躙するのだ!」
ブワァァァァァ… ブワァァァァァ… ブワァァァァァ…
オーク「ついに俺たちの天下がやってくるな!」
ゴブリン「ああ、魔族の勝利だ! 我らが人間を支配するんだ!」
ブワァァァァァァァァァァ…
スライム「ん?」
スライム「なんだこれ!? 虫!? ……バッタ!?」
オーク「うわっ、体にまとわりついてくる! なんだこりゃ!?」バッバッ
ゴブリン「ひいいいっ、噛みついてくるぞ! いでえ!」
ワサワサワサワサワサ…
うぎゃあぁぁぁ……!
魔術師「ふん、そんなもの魔王軍一の術士である私が造り上げたゴーレムが粉砕してくれるわ!」
ゴーレム「グオオオオオオッ!」
ブワァァァァァ…
魔術師「ククク、来たか」
ブワァァァァァァァァ… ブワァァァァァァァァ…
魔術師「ちょっ、こんなにいるのか!?」
ゴーレム「グオッ!?」
ワサワサワサワサワサ… ガサガサガサガサガサ…
魔術師「うおっ、やめっ……!」
ゴーレム「グオオオオッ……!」
ヒュゥゥゥゥ…
後に残されたのは――
ボロボロのローブと物言わぬ岩の塊だけであった。
ドラゴン「ぐははは、恐れることはない!」
ドラゴン「たかがバッタ風情、我が灼熱の炎でまとめて焼き尽くしてやる!」
リザードマン「おおっ……さすがドラゴン様!」
ブワァァァァァ…
ドラゴン「来たか、ムシケラども!」
ゴォワァァァァァッ!!!
メラメラメラメラメラ…
ドラゴン「ぐはははは、全部燃え尽きたわ!」
リザードマン「お見事です、ドラゴン様!」
ドラゴン「へ」
ブワァァァァァァ… ゴォワァァァァァァ…
ドラゴン「ひいいいっ! 火をまとったまま突っ込んでくる!」
リザードマン「助けてぇぇぇぇぇっ!」
上級魔族A「なんなんだ、こいつらは!?」
上級魔族B「いくら潰しても減らない!」
上級魔族C「魔王様、お許しをぉぉぉぉ……!」
ブワァァァァァァァァァァァァ…
魔王「なんだ、騒々しい」
側近「それが、バッタの大群に襲われ、部下が次々に……!」
側近「あのドラゴンさえ骨だけにされてしまったようです!」
魔王「不甲斐ない部下どもだ」
魔王「ではワシが直々にバッタ退治をしてくれよう!」
側近「お願い致します……!」
魔王「来たか」
側近「な、なんて数だ!」
魔王「ふん、いくら集まろうとしょせん虫ケラよ。我が闇の魔力でまとめて葬ってやる。カアアアッ!」
ボウッ!!!
魔王「な、なんだと!? まだいるのか!?」
魔王「ええい、今度こそ!」
ズオッ!!!
魔王「何千何万と消し飛んでるはずなのに……減らない……!」
魔王「わっ、まとわりついてきた!」
モゾモゾモゾ…
魔王「もごっ、口の中に……や、やめっ……」
モゾモゾモゾモゾモゾ… ウゾウゾウゾウゾウゾウゾ… ガサガサガサガサガサ…
魔王「~~~~~~~~~~!」
魔王(側近……! ワシを助けろ……!)
シーン…
魔王(とっくに骨になっておる……!)
魔王「お、おのれっ……!」
魔王「おのれバッタァァァァァッ!」
ああああぁぁぁぁ……!
虫使い「戻ってきました。終わったようですね」
王「おお……!」
大臣「本当にバッタが魔王軍を根絶やしに……!」
虫使い「あとは私の号令で彼らを静め、誰もいないところに放逐してしまえば全ては片付きます」
王「よくやってくれた。おぬしは世界の救世主だ」
ブワァァァァァ…
虫使い「ん? ……静まれ!」
ブワァァァァァァァァァァ…
虫使い「な、なんで!?」
虫使い「まさか、魔族どもを大量に食ったせいでさらに変異してしまったのか!?」
王「変異だと……?」
大臣「ということは、どうなるんだ!?」
虫使い「彼らは別の虫になった、といっても過言ではありません……」
虫使い「もはや私にも……制御できません……」
王&大臣「な、なんだとおおおおお!?」
大臣「おい、どうするんだ! 何とかしろっ! もうそこまで迫ってるぞ!」
虫使い「もう……どうしようも……」
王「おお……人も魔族も、バッタによって滅ぶのか……」
うぎゃぁぁぁぁぁ……!!!
END
元スレ
王「魔王を倒せる者はおらぬのか……!」虫使い「バッタを使うというのはどうでしょう?」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1583227804/
王「魔王を倒せる者はおらぬのか……!」虫使い「バッタを使うというのはどうでしょう?」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1583227804/
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コメント一覧 (29)
-
- 2020年03月03日 22:23
- 毒をもって毒を制すとはいかぬか
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- 2020年03月03日 22:46
- 西遊妖猿伝の蝗婆が作った平天蝗は国を滅ぼしうる能力を持つ作中随一の強キャラだったな
他の巫蟲使いが呪ったり虫を操るどまりだったのにこいつは普通のバッタを飛蝗に変える
-
- 2020年03月03日 23:12
- 飛蝗を雑食性にしたらそりゃあ全て滅んでもおかしくない罠
-
- 2020年03月03日 23:35
- 飛蝗だー
-
- 2020年03月03日 23:47
- そらバッタは未来の世紀王だもん、魔王如きじゃ勝てねぇわな…
-
- 2020年03月03日 23:48
- 仮面ライダーが強いのも納得www
-
- 2020年03月03日 23:48
- 10万匹のアヒル軍「まかせろ」
-
- 2020年03月04日 00:02
- たたかう ▶バッタ 400000000000ひき
-
- 2020年03月04日 00:22
- タカ!トラ!バッタ!タトバ!タトバ!タトバ!タトバ!
-
- 2020年03月04日 01:16
- 墨攻で飛び立つ前に爆薬で始末しなければ対処しようがないってやってたな
数が少なけりゃ田んぼを水に沈めて対処できるそうだが最近の蝗害みてありゃ水程度じゃどうにもならんと思った
-
- 2020年03月04日 01:57
- てっきり、最後に虫使いが裏切って王国を支配するのかと思ってたが、そうでも無かったか。
「戦いは数だよ、兄貴」ってか。
-
- 2020年03月04日 03:09
- 魔族がバッタバッタと倒れていったな
-
- 2020年03月04日 07:45
- バッタを倒しに異世界へ
-
- 2020年03月04日 10:34
- 知ってた
-
- 2020年03月04日 10:48
- やはり飛電は滅ぼさなければならないのですよ、これでお分かりになったでしょう?
-
- 2020年03月04日 13:14
- 善悪相殺。
-
- 2020年03月04日 19:13
- ウィルス系兵器が実戦に使われないのはこんな理由だって聞いたな
開発時点じゃ完璧なワクチンを持っていても敵に使用しているうちにウィルスが変異して
ワクチンが利かなくなり制御不能になるからだとか
-
- 2020年03月04日 19:56
- ※13
有罪
-
- 2020年03月04日 19:57
- ※18
今の中国がまさにそうやんけ
-
- 2020年03月04日 22:29
- なんつーか他人の不幸を題材にしたSS
それを作る奴って最低のゴミ以下の存在だなあと
中身もスッカスカw
-
- 2020年03月05日 00:55
- ※21
バッタの中身もな
-
- 2020年03月05日 02:19
- そもそもパズズという蝗害そのものを擬した魔神がいるんですよね
-
- 2020年03月05日 03:42
- >>23
自爆する猿だと思ってた
-
- 2020年03月05日 06:45
- 水中の相手は倒せないのと、羽が熱で簡単に溶けるのが難点
城壁や金属扉を突破できるかも怪しい
-
- 2020年03月05日 09:50
- >>25
城壁にも穴はあるんだよな…
-
- 2020年03月05日 22:05
- 途中でまあこうなるだろうなと思った通りのオチになった
できればもうちょっとひねってほしかったけどひねり過ぎてもクソ化するから難しい
-
- 2020年03月06日 11:06
- ※16 1000%帰れ
-
- 2020年04月28日 04:20
- ロースカツ
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