DQN「ぼったくりバーで儲けようぜw」ビッチ「ビール一杯10万円!」
ビッチ「ねー」
DQN「そういや、駅前に『リーズナブル』ってバーがあるんだけどよ」
DQN「実はあそこぼったくりバーで、すっげえ儲けてるらしいんだよ」
ビッチ「へぇ~」
DQN「だからよ、俺らもぼったくりバーで儲けようぜ!」
ビッチ「面白そう!」
DQN「バーやるんだから、まずは酒を調達するか」
ビッチ「うん」
DQN「酒は……ビールでいいよな」
DQN「ビールはだいたい一缶200円だけど、これを一杯10万円で売れば……」
ビッチ「99800円の儲け!」
DQN「おいおい、ボロ儲けじゃねえか!」
ビッチ「あたしら大富豪になれるね!」
DQN「ゲイツ越えも夢じゃねえぜ!」
ビッチ「やだー! あたしらの未来のウィンドウズが開いちゃう!」
ビッチ「分かった!」
DQN「俺はカウンター作るから、お前はイス作ってくれ」
ビッチ「オッケー!」
トンテンカン… トンテンカン…
DQN「できた!」
ビッチ「あたしも!」
DQN「んでもって俺とお前が、それぞれマスターとホステスっぽい格好すれば……」
ビッチ「かっくい~! 本物のバーのマスターみたい!」
DQN「へへへ、そうか?」
DQN「お前こそなかなかドレス似合ってんじゃん。どこで買ったんだよ?」
ビッチ「これ? 手作り」
DQN「マジかよ。すげえ!」
ビッチ「えへへ……」
DQN「仕上げに表に看板を出せば……バーの完成だ!」
ビッチ「うんっ!」
ガチャッ
会社員「あの……ここってやってますか?」
DQN(来た来た……なにも知らないカモがよ!)
ビッチ(ぼったくられるとも知らないで超ウケる~!)
DQN「やってますよ! いらっしゃいませ!」
ビッチ「いらっしゃいませ~!」
DQN「お前、隣につけや!」
ビッチ「は~い! よろしくお願いしま~す!」
会社員「あ、これはどうも……」
DQN「実はうち、オープンしたてでビールしかないんですよ。よろしいですか?」
会社員「ええ、かまいません。とりあえず、ビール一杯」
DQN「毎度!」
DQN(ククク……一杯いくらとも知らないで!)
ビッチ(10万円ゲェット!)
会社員「ありがとうございます」
DQN「おい」ボソッ
ビッチ「なに?」ボソッ
DQN「このおっさんはこの後地獄見るんだから、せめて今のうちだけでもいい思いさせてやれ」
ビッチ「オッケー!」
ビッチ「ちょっと暖房ききすぎかも~。あつい~」チラッ
会社員「え」
会社員「あ、あの……胸が見えてますけど」
ビッチ「見せてんのよ」
DQN(ククク、いいぞ! 今度は当ててやれ!)
ビッチ(分かった!)
会社員「わっ!」
プニッ…
会社員「胸が当たってますけど……」
ビッチ「当ててんのよ」
DQN(天国だろう……だが、もうすぐあんたは地獄に落ちるのさ、おっさん!)
ビッチ(なんたって10万円のビールだもんね~、伝票見て青ざめるのが目に浮かぶわぁ)
会社員「ごちそうさまでした」
会社員「じゃあ、そろそろお勘定を……」
DQN「え、もう帰るのか?」
ビッチ「もっと飲んでいってよ~」
会社員「ここはいいお店ですし、そうしたいのは山々なんですが、この後用事がありましてね」
DQN「用事?」
DQN「息子さんと?」
DQN(ってことは息子も連れてこさせれば、二倍儲けられるじゃねえかよ!)
ビッチ(親子でどん底……これがホントの親子丼!)
会社員「ただ、シラフだと気恥ずかしさがどうしてもあって……」
会社員「一杯飲める場所を探していたら、ここを見つけましてね」
DQN「息子さんとは色々あったみたいだな。よかったら話してくれよ」
会社員「ちょっと長くなりますが……」
DQN「あらら……」
ビッチ「やだ、大変~!」
会社員「ええ、大変でした」
会社員「会社で働き、家では子育て、当然満足に息子と接することはできません」
会社員「結果、ネグレクトみたいな状況にもなってしまい……」
会社員「一時期は息子と深い溝ができてしまったこともあります」
DQN「なるほど……」
ビッチ「どっちが悪いってわけでもないのに辛いよね~」
会社員「なんとか大学まで出すことができ、無事ある会社に就職してくれました」
DQN「よかったじゃん」
会社員「そして、今日……息子が初任給をもらう日なんです」
DQN「あ……!」
会社員「それでぜひ私にプレゼントをしたい、なんていってくれて……」
会社員「それを聞いた時、私はもう……」グスッ
DQN「……!」
ビッチ「……!」
ビッチ「ちょっとぉ、どうする?」
DQN「どうしよ……」
ビッチ「この人から10万も取るのぉ? いくらなんでも鬼すぎない?」
DQN「分かってるよ! 俺だってできるか、んなこと!」
DQN「しかたねえ、もうちょっと安くしとくか……」
ビッチ「その方が絶対いいって!」
DQN「じゃあ一杯1000円ぐらいで……」
ビッチ「そうしよ、そうしよ! ぼったくりは次からってことで!」
会社員「あ、息子からメールがきた」
会社員「向こうも、同期の友人と二人である店で飲んでたみたいです」
DQN「初任給出た同士ってか」
会社員「ですが、もうまもなく出るみたいですね」
ビッチ「どこで飲んでるの? やっぱり居酒屋?」
会社員「えぇっと……」
二人「!?」
DQN「『リーズナブル』……!? 間違いねえのか!?」
会社員「ええ、そう書いてあります」
DQN「おい、今すぐ息子さんに電話しろ! そこから出ろって!」
会社員「ど、どうして?」
DQN「そこは悪質なぼったくりバーなんだよ! 下手したら、初任給全部むしられちまうぞ!」
ビッチ「電話出るどころじゃなくなっちゃったのかも……」
DQN「……」
ビッチ「どうするぅ?」
DQN「んなもん決まってんだろ……俺が行く」
会社員「え!?」
DQN「待ってろおっさん! 息子さんは俺が助け出してやっからよ!」
ビッチ「そうだ! これ持ってって!」サッ
DQN「なんでこんなもんを?」
ビッチ「いいから! きっと役に立つから!」
マスター「お客さぁん、きっちり30万、払ってもらいましょうか」ヒラヒラ
息子「し、しかし……」
同期「ビール一杯しか飲んでないのに……」
マスター「あぁん!? “ビール一杯も”でしょうが!」ガンッ
同期「ひっ……!」
息子「ぐ……」
マスター「とりあえず、持ち物全部出しな。スマホと財布はもちろん、カードや免許証なんかもな」
息子「それは……! 父への……!」
マスター「おっ、これブランド物じゃん。高そうだな。もらっといてやるよ」
息子「……!」
息子「待ってくれ! それだけは!」ガシッ
マスター「この……何しやがる!」
バキッ!
息子「ぐはぁっ!」
マスター「しつけえんだよ!」
ドカッ! ガッ!
マスター「終わってんだよ、お前らは。この店に入った時点でな」
マスター「このネクタイは頂くし、30万もきっちり支払ってもらうぜぇ!」
息子「ぐ……!」
「ちょーっと待った。その支払い、俺に任せてくれねえか?」
息子「……?」
同期「ひいい……」
マスター「誰だ、てめえ?」
DQN「わけあって、そいつらを助けに来たモンでな」
マスター「ほぉーう? ってことはお前が代わりに金払うってか。とっとと払えや」
DQN「ああ、払ってやるよ……」
DQN「ただしパンチをな!」
DQN「でりゃあっ!」
バキィッ!
マスター「ぐぼっ……! ぐっ……!」ヨロッ…
DQN「どうした? こんなもんか?」
マスター「いい気になるなよ……」パチンッ
用心棒「出番ですかい」ズイッ
DQN(ゲ、強そうなのが出てきやがった……!)
用心棒「任せて下さい」パキポキ
DQN「……来やがれ!」
用心棒「シッ!」シュッ
バチィッ!
DQN「ぶほっ!」
DQN(重ッ……!)
マスター「ハハハッ! こいつはボクシングを結構マジにやっててよ」
マスター「暴力事件さえ起こさなきゃ、プロになって絶対いいトコまでいけた奴なんだ!」
マスター「てめえ如きじゃ絶対勝てねえぜ!」
DQN「ぐ……!」
DQN「う、うげえ……! くそっ、まだまだ……」ヨロ…
息子「なんで……? なんで僕たちのために……? あなた、何者なんです!?」
DQN「見たところ、お前が息子みたいだな……顔が似てる」
息子「まさかあなた、父の知り合い……?」
DQN「まあ……そんなようなもんだ……」
用心棒「なにゴチャゴチャ喋ってやがる!」
バキィッ!
DQN「ぐっ!」
DQN「ハァ、ハァ……」
DQN(くそっ、あと一発もらったら……終わりだ。どうすれば……!)
DQN「!」ハッ
ビッチ『そうだ! これ持ってって!』サッ
DQN(これがあれば……!)
DQN「……」サッ
用心棒「は? ビール?」
DQN「10万円のビール……よぉく味わいやがれ!」カシュッ
ブシャァァァァァッ!!!
用心棒「ぶっ!?」
DQN「よく走ってよく暴れたからなァ! よく噴き出してくれるぜぇ!」
用心棒「くそっ、目が……!」
DQN「んでもってぇ……アゴががら空きだァ!」シュッ
ガゴォッ!
用心棒「あぐぁ……っ!」
ドズゥンッ…
DQN(ゲ、まだこいつが――)
息子「だああっ!」ダダダッ
ドカッ!
マスター「ぐはぁっ!」ドザッ
DQN「ナイスタックル! よし、荷物持ってとっとと逃げるぞ!」ダッ
息子「はいっ!」タッ
同期「ひいいっ!」タッ
マスター「うぐ……く、くそぉぉぉぉぉっ……!」
……
会社員「息子を助けて頂き……ありがとうございました!」
息子「ありがとうございます!」
DQN「これくらいどうってことねえよ」
ビッチ「ビール持ってってよかったしょ?」
DQN「マジ助かったわ。お前は最高の女だぜ」
ビッチ「キャーッ、嬉しい~!」ギュッ
DQN「……」ポッ
息子「あ、僕からも……」サッ
DQN「いや……金なんていらねえよ」
会社員「なぜです!?」
DQN「そんなもんもらえる身分じゃねえし、それに俺はあんたらのおかげで……」
会社員「?」
DQN「いや、なんでもねえ。家帰って、息子さんと楽しく飲み直してくれや」
会社員「は、はいっ……!」
DQN「真面目に……働くかぁ」
ビッチ「うん、そうしよ! あたしもそうする!」
DQN「んで、まともに生活できるようになったら、俺らの親んとこ行こうぜ」
ビッチ「そうだね!」
DQN「ったく、ぼったくりバーは大失敗だったな。一円にもならなかった」
ビッチ「そんなことないよ」
DQN「え?」
ビッチ「あたしら、お金以上のものを儲けられたんだよ、きっと」
おわり
「SS」カテゴリのおすすめ
「ランダム」カテゴリのおすすめ
コメント一覧 (16)
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- 2020年02月20日 03:41
- この後DQNが半グレにリンチにあってビッチも酷いことされそうだなぁ
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- 2020年02月20日 04:02
- 一本10万円のビールで話を一貫して欲しかったな
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- 2020年02月20日 05:30
- 男はカニ漁船で転落し、女は泡に流れてコロナ氏ってことやで
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- 2020年02月20日 06:09
- 一話完結のゆるい絵で漫画になったら楽しそう
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- 2020年02月20日 08:56
- 免許もってんのか!
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- 2020年02月20日 09:44
- 客が値段聞いてありがたがる話かと思ったらまさかのさわやかオチ
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- 2020年02月20日 10:45
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なんだよ、お前らいつの間にかDQNでもビッチでもなくなってんじゃねーか。
こういうのもいいんだよ。
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- 2020年02月20日 11:22
- こういう爽やかなSS良いな
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- 2020年02月20日 11:27
- チャンピオンの読み切りでありそう
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- 2020年02月20日 21:31
- オチが無い
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- 2020年02月24日 07:37
- >>10
十万円が大団円になっただろ?
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- 2020年02月21日 10:10
- DQNが最後にぼったくらんと話の落ちが無いしつまらんだろ
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- 2020年02月22日 07:30
- 息子の話しだした時から落ちが見える
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- 2020年02月23日 22:09
- 悪くない
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- 2020年02月26日 20:25
- 長い
冒頭の時点でイイハナシに持っていこうとしてるの丸出しで意外性が皆無
そして長い
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- 2020年03月01日 01:12
- ( ;∀;)イイハナシダナー