【ひとりぼっちの○○生活】一里ぼっち「時間を止められるようになりました」
ぼっち「はい……」
アル「えっと、ぼっち。それ本当?」
ぼっち「はい……」
なこ「えっと、どれくらい止められるんだ?」
ぼっち「3分くらい……」
なこ「結構長いな」
なこ「いや無理だろ」
ソトカ「そんなことないです! ソトカも師匠に習って頑張ればきっと……!」
なこ「いや習うとか以前に、時間とか止められないだろ……。ぼっち、何の冗談なんだ」
ぼっち「なこちゃん……冗談じゃないんです。本当に止められるんです」
なこ「……マジか」
ソトカ「師匠の技が見たいです!」
ぼっち「……ないんです」
なこ「ん?」
ぼっち「今はできないんです……」
アル「え?」
ソトカ「どういうことです?」
ぼっち「自分で力をコントロールすることが……できないんです」
なこ「マジか……」
キーンコーンカーンコーン
教師「はい、そこまで! テスト用紙を回収してください」
なこ「ッ」カキカキ
ぼっち(なこちゃん……まだ問題解いてる)
キュルルルルルルルッ
ぼっち「あっ」
なこ(あーくそ、もう3分くらいあれば赤点回避できそうだったのに)
ピタァ
なこ「ん?」
アル「」
ソトカ「」
生徒たち「」
なこ「んんっ!?」
ぼっち「な、なこちゃん……」
なこ「ぼっち……ってちょっと待て、マジか。みんな動き止まってるし。ぼっちがやったのか?」
ぼっち「うん。で、でもね……私、別に時間を止めたいって思ったわけじゃなくて……ただ」
なこ「ただ?」
なこ「私が? ……もしかして。私が問題を解き終わるだけの時間を作るために、無意識に時間を止めた、とか?」
ぼっち「わ、分かんないけど……」
なこ「……いや、たぶんそうなんじゃないか」
ぼっち「そうなの?」
なこ「ぼっちは優しいから。たぶんそうだ。ありがとな、私のために」
ぼっち「う、うん。あ、なこちゃん、早く問題解かなきゃ! もう3分終わっちゃう」
ぼっち「どうして?」
なこ「だって、私ひとりだけみんなより3分長く解いたら、何かズルしたいみたいで嫌だし」
ぼっち「あ、……う、ううぅ」うるうる
なこ「っておい、何でいきなり泣き出す!」
なこ「いやいや、違うって。泣くな泣くな」なでなで
ぼっち「なこちゃん……?」
なこ「私はズルはしたくないってだけで、ぼっちが私のことを思って時間を止めてくれたのは凄く嬉しいんだよ」
ぼっち「そうなの?」
なこ「そうだよ」
ぎゅっ
ぼっち「? なこちゃん」
なこ「普通なら教室で抱き合ったりしたら勘違いされるかもしれないけど、まあ今は誰も見てないしいいだろ」
ぼっち「なこちゃん、あったかい……」
なこ「いいか、これはふたりだけの秘密だからな。誰にも言うなよ?」
ぼっち「うん、言わないよ。絶対に」
カチッ
――
隣のクラスの人「それでさー」
アル「あー、分かる分かるっ」
ぼっち(アルちゃんって誰とでもすぐに打ち解けられて凄いな……私なんて)
ソトカ「師匠?」
なこ「ぼっち、どう――」
キュルルルルルルルッ
ぼっち「あ……っ」
アル「ところで、……え?」
隣のクラスの人「」
アル「止まって、ってまさかっ!」
ぼっち「アルちゃん……」
ソトカ「」
なこ「」
アル「ぼっち! え、凄い! 本当に時間止まってるんだ」
アル「そんな、謝らなくていいのよ。ぼっち凄いじゃない」
ぼっち「で、でもアルちゃん……お話ししてる最中だったのに邪魔しちゃって」
アル「そんな、別に全然気にしてないわよ。それより、何で私だけ動けてるんだろ?」
ぼっち「何で……?」
アル「ソトカもなこも全然動かないし。あ、もしかしてぼっち、学校の中で私と二人っきりになりたかったとか?」
ぼっち「そうなの……かな?」
アル「そうだ、なこすけの顔に落書きでも!」
アル「あ、でもそれやったら『折角時間が止まってるのにこんなくだらないことやったのか。残念だな』とか言われそう」
アル「誰が残念かぁー!!」
ぼっち「アルちゃん……」
ぼっち「え?」
アル「キス……してみない?」
ぼっち「う、うん。……へぇっ!!?」
アル「いや、何と……なく。どうせ誰も見てないんだから、普段絶対ありえないことやってみたいなって」
ぼっち「で、でも何でキスなんて。女の子同士で」
アル「いいんじゃない、女の子同士でも。ほら、外人さんとか挨拶代わりにキスしたりするし。ソトカだってよくハグしたりしてるし」
ぼっち「で、でも……」
アル「ぼっちは私とキスするの、嫌?」
ぼっち「い、嫌じゃ……ない。じゃないけど……」
ぼっち「う、うん」
アル(な、何言っちゃってるんだろ私……これがつり橋効果ってやつ?)
アル(ぼっち、間近で見るとほんと肌がきれい……顔も可愛いし、くちびるも柔らかそう)ドキドキ
ぼっち(キスなんてしたことがないし、やり方が分からないよ……。目、閉じた方がいいのかな?)
ぼっち(くちびるとくちびるをくっつけるんだよね。何秒くらい? 息苦しくなったらどうすればいいの?)
ぼっち(も、もし息が臭いって思われたらどうしよう……)ドキドキ
ぼっち「アルちゃん……」
カチッ
なこ「――したんだ? ん?」
ソトカ「?」
アル「はぁはぁ//////////」
ぼっち「うう……」
なこ「あれ、お前いつの間にここに移動……あっ(察し)」
ソトカ「? ナコ、何を察したんですか? ソトカにも教えてほしいです!」
アル(やばやばやばい! あとちょっとで本当にキスするとこだった!)ドキドキ
ぼっち(アルちゃん、あとちょっとのところでキスしてくれなかった……やっぱり息が臭かったのかな……)しょぼーん
――
ソトカ「二人ともずるいです! ソトカはまだ師匠が時間を止めて二人っきりになったことなんてないですよ!」
なこ「ずるいっていうか……まあ、たまたまじゃないか?」
アル「そうよ、何ていうか……タイミングの問題だと思うし」
ソトカ「ふたりは師匠と二人きりになった3分間に何をしてたんですか?」
なこ「え、いや……それは」
アル「べ、別にそんなに大したことはしてないけど」
ソトカ「むぅ~、ずるいです! ふたりだけ師匠とより仲良くなったんですね!」
ソトカ「こうなったら私も師匠を見習って修行を積むです! そして時間停止をマスターします。そうしたら」
ソトカ「師匠……あなたが黒幕だったなんて」
ぼっち「くっくっく。無駄無駄無駄~。時間よ止まれ」キュルルル
ソトカ「」ピタァ
ぼっち「弟子は師匠を超えることはできないのです。さあ、とどめを」ピタァ
ぼっち「!? か、体が動かない……どうして?」
ソトカ「師匠」ニッ
ぼっち「ど、どうして動けるんですか」
ソトカ「それは――私が時間を止めたからです!」
~~~~~~~~
なこ「いやないだろ。というかどこかで聞いたような話だな……」
ぼっち「先生にプリント出してきました」
なこ「ああ、おかえり」
アル「ねぇぼっち、せっかく時間止められるんだから、何か決め台詞とか考えたらいいんじゃない?」
ぼっち「決め台詞?」
なこ「へー例えば」ジトー
ぼっち「……」
なこ「期待を裏切らない残念さだな」
ソトカ「パクリはあまりよくないと思うです」
アル「残念言うなー! ソトカもさっきどっかの漫画パクってたでしょ!」
ぼっち「分かりました。今度やってみます!」
なこ「いや、やらなくていいから」
佳子「あなたたち、いったい何の話をしているの」
なこ「いや、ぼっちが時を止めるときにどんな決め台詞を言うかって話」
佳子「時を――……はい??」
ソトカ「師匠が時間を止めている間は師匠が世界の支配者ですね!」
アル「でしょ。やっぱり、ぼっち☆ザ☆ワールドがいいと思う!」
なこ「止まっている間はハイパーぼっちタイムだな」
ぼっち「ハイパーでいいの?」
佳子「……っ」イライラ
ぼっち「は、はひぃ!?」
佳子「時間を止めるだなんだって、そんなあり得ない妄想に浸っているのは風紀が乱れている証拠よ」
ぼっち「そうなんですか!?」オロオロ
佳子「しっかりしなさい。あなたたちも変な悪乗りをしないでちゃんと一里さんをフォローしてあげないと」
ソトカ「でも師匠は本当に……!」
なこ「まあまあ。分かったよ、あんまり悪乗りはしないから」
ぼっち「なこちゃん?」
アル「そうね。気をつけるわ」
ぼっち「アルちゃん?」
ぼっち「強く……」
ソトカ「むぅ~。カコは師匠の力を見てないからそんなことが言えるんです」
なこ「ソトカも直接は見てないだろ。でもまあ、あれは実際に見ないと信じられないよな」
アル「そうね。私も自分で見るまで半信半疑だったし」
ぼっち(私は強くないから……現実から逃げたいから時間を止められるようになったのかな)
ぼっち(このままじゃ、私、強くなれない? みんなと友達にもなれない? うううぅ……)ぽろぽろ・・
ぼっち「うぅ……」
なこ「もうそんなに気にするなって」
ぼっち「なこちゃん……」
アル「そうよ。ぼっちの時間停止は現実逃避なんかじゃないわ。むしろ現実をいい方向に変えられる力よ」
ソトカ「そうです。師匠の時間停止は凄い力です。ソトカが保証しますよ」
ぼっち「でも……」
猫「にゃー」タタッ
なこ「車道に向かって走ってく!」
ソトカ「危ないです!」
佳子「危ないっ!」ダッ
ぼっち「! 倉井さん!」
ブォォォォォォォン!!
トラック運転手「うわあああああぶつかるゥ~~ッ!?」
キキィィィィィィ!!
佳子「きゃっ」ギュ
猫「にゃー」
ソトカ「トラックが止まりません!」
アル「きゃああああ!」
ぼっち(倉井さんが……危ない!)
ぼっち(そうだ)
ぼっち(私が時間を止めるのは、逃げるためじゃないんだ)
ぼっち(みんながピンチとときに、現実を変えるためにあるはずのものなんだ)
ぼっち(そうだよね、ガンバル妖精さん、かいちゃん、なこちゃん、アルちゃん、ソトカさん、……みんな……!)
ぼっち「私が力を使う時は――今なんだ!」
ぼっち「ぼっち☆ザ☆ワールド! 時よ、止まれ!」キュルルルルルッ
佳子「……! へ、あれ……?」パチ
猫「にゃー」
佳子「トラックは? ああ!」
トラック「」ピタァ
佳子「うそ、止まってる……」
ぼっち「倉井さん!」
佳子「一里さん……」
ぎゅううぅ
ぼっち「よかった……よかった……無事でよかった……倉井さぁん」
佳子「あなた……本当に時間を」
アル「凄いわ、ぼっち……本当によかった」グス
ソトカ「師匠、流石です。ソトカ感動しました……!」
ぼっち「みんな……私できたよ。初めて自分で自分の力をコントロールできた……よかったぁ」ガクッ
佳子「あ、ちょっと一里さんっ。あなたも大丈夫?」
なこ「まあ、ぼっちはいつもショックで気絶するし……たぶん大丈夫だろ」
アル「そうね。でも、今回は私達みんなぼっちの時間の中で動けてるのね」
ソトカ「そうですね。ソトカも仲間に入れて嬉しいです!」
佳子「それって私も……」
なこ「佳子もぼっちにとっては私たちと同じくらい大事な仲間なんだよ、きっと」
佳子「そ、そんなこと言われたって私……困るわ」
佳子「……そうね。一里さんが目を覚ましたら、ちゃんと言うわ」
佳子「ありがとう……って」
ぼっち「ふぅ……佳子……ちゃ……よかった……」スヤスヤ
佳子「……」
ソトカ「……」
アル「……」
なこ「お疲れ、ぼっち」
(おしまい)
けど書き出してみると思ったよりぼっちっぽさがねぇなあ
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- 桐生つかさ「未来へ」
- シンジ「アスカの噛み癖がなおらない」
コメント一覧 (7)
-
- 2019年11月29日 09:39
- ?????「僕と契約すれば、その望みを叶えてあげられるよ。」
-
- 2019年11月29日 10:04
- ↑ギュルルルルルルルルルルルルルルル(ミキサーの音)
-
- 2019年11月29日 12:52
- >>2
?????「いくら代わりは沢山いると言っても、勿体ないじゃないか。」ゴキュゴキュ!!
-
- 2019年11月29日 10:06
- まるで夢に見たようなssなので 少しコメントを残してしまいますけれど
-
- 2019年11月29日 12:40
- フラグタイムはイイゾ
-
- 2019年11月29日 14:50
- "尊い"という、感情。
-
- 2019年12月04日 08:54
- 最後のオチが、某漫画家大先生のアパートから皆で転げ落ちて、車に轢かれる終わり方みたいwww