勇者「その先は言う必要ないですよね。自分で考えてみて下さい」
大臣「頼みますぞ」
勇者「分かりました」
女僧侶「かしこまりました」
国王「さて、残るメンバーをどうするかだが……」
勇者「私の仲間には、より優れた人材が必要です。中途半端な者ではかえって足を引っぱられてしまう」
勇者「国中から希望者を募り、勇者パーティー選考会を開くというのはどうでしょうか」
国王「面白いかもしれぬな。やってみよう」
『勇者パーティーに入りたい優れた戦士、求む!
勇者パーティーに入れば100万ゴールド進呈。
さらにご家族の生活も一生保障します。
旅の途中の活躍によって給金も支給し、魔王を討伐できれば成功報酬も用意しています。
希望者は○月×日△時に、選考会会場にお集まり下さい』
ワイワイ…
戦士「こんだけの好条件だ。なんとしても勇者パーティーに入ってやるぜ!」
武道家「いや、入るのは私だ!」
魔法使い「どんなことをやるのか分からないけど、絶対合格してみせる!」
ガヤガヤ…
勇者「まだ仲間でもない者たちに、私自ら声をかけることもないだろう。君がやってくれ」
女僧侶「分かりました」
女僧侶「えー、皆さん、はじめまして。勇者パーティーに所属しております女僧侶と申します」
女僧侶「本日は様々なテストを皆さまに行って頂き、その結果をもとに、合格者を発表いたします」
女僧侶「皆さま、悔いの残らないよう、全力を尽くして下さい」
勇者「ふああ……」
女僧侶「およそ10kmの道のりを走っていただき、順位にもとづいて点数をつけさせて頂きます」
タタタタタッ…
斧戦士「ガッハッハ、いくぜぇ!」
盗賊「素早さ勝負なら、お手のもんだ!」
呪術師「ううむ……こういうのは苦手だ……」ゼェゼェ
女僧侶「大陸の地理やサバイバル知識、魔法や魔物についての出題を解いて下さい」
カリカリカリ…
剣士「やべえ、全然分からない……」
魔術師「フフフ、魔法問題は私にとってはサービス問題だね」
冒険家「サバイバル知識なら任せておけ!」
槍使い「せやぁっ!」ビュオッ
召喚士「出でよ、炎の精霊!」ボワァァァァァッ
大男「岩を砕いてやるぜぇ!」ドカァンッ
大臣「勇者様、なかなかの腕自慢が集まりましたな」
勇者「ぐぅ……」
女僧侶「これで選考試験のおよそ半分が終了しました」
女僧侶「お昼ご飯の時間としますので、皆さま自由に休憩なさって下さい」
ワイワイ…
格闘家「どうだった?」
女戦士「全然ダメ。なんとか後半挽回しなきゃ」
薬師「しかし、勇者様は全然顔出さないな。てっきり自分で審査するもんかと思ってたが」
ドヨッ…
戦士「な、なんだ?」
武道家「遠くから轟音のようなものが聞こえたが……」
魔法使い「何があったんだろう?」
大臣「どうした?」
兵士「王国の南方地域が魔王軍の襲撃を受けていると急報が……」
大臣「なんだと!?」
ドヨドヨ…
「魔王軍だって!?」
「どうしよう、俺の故郷がある……」
「選考会どころじゃなくなったぜ!」
勇者「ああ、聞いてる」
女僧侶「選考会はいったん中断して、ここにいる全員で魔王軍撃退に向かった方がよろしいかと!」
勇者「……」
勇者「私からみんなに挨拶させてもらうよ」
女僧侶「お願いします、勇者様!」
勇者「こんにちは、勇者です」
オオッ…
「勇者様だ!」 「選考会は中止か?」 「そりゃそうだろ……」
勇者「たった今、南方地域が魔王軍に襲撃されたという情報が入りましたが」
勇者「選考会はこのまま続行いたします」
ドヨッ…
「え!?」 「南方に故郷がある人もいるのに……」 「なんで!?」
勇者「また、南方地域は大きな都市もなく産業も乏しく、たとえ滅ぼされても被害は軽微です」
勇者「今すぐ救援に向かう必要は全くないと考えます」
勇者「それよりも、勇者パーティーの選考を進める方が先決です」
勇者「私も忙しい身ですし、二度もこんなことやりたくありませんしね」
勇者「よって、この場にいる者が南方地域に救援に向かうことは認めません」
勇者「もし、この指示が難しい場合は……その先は言う必要ないですよね。自分で考えてみて下さい」
勇者「勇者の命令より肉親が大事なのですか? そのような人はパーティーには不要です」
弓使い「産業に乏しいっていってましたけど、漁業が盛んですよ!?」
勇者「私は魚嫌いですし、漁師が何人死のうと大した問題ではありません」
豪傑「あんたにゃ人の心がねえのか!?」
勇者「そこのあなた、不合格です。あと私を侮辱したので、多大な罰金を払って頂きます」
豪傑「な……ッ!」
勇者「では選考会を再開します。次の試験項目は……」
ドヨドヨ… ドヨドヨ…
女僧侶「……」
勇者「ぶっ……!?」
女僧侶「……」ブンブン
勇者「モーニング……スター……?」
勇者「てめえ、何しやがるァァァァァ!!!」ジャキッ
女僧侶「……」ブンブンブンブンブン
ドゴォッ!!!
勇者「ぎゃぶっ!」ドサッ…
女僧侶「不適切かつ配慮に欠く表現が多々ありましたことを深くお詫び申し上げます」
女僧侶「人々を救うことが使命である勇者が、今まさに魔王軍の脅威に晒されている人々よりも」
女僧侶「自分の都合を優先するなど言語道断であります」
女僧侶「勇者の驕り昂ぶりが現れた言葉遣いが随所にあり、重ね重ねお詫び申し上げます」
女僧侶「選考会はもちろん中断いたしますし、ここからは私が皆さまに指示いたします」
女僧侶「全員で南方地域に救援に向かいましょう! まだ間に合うはずです!」
オーッ!!!
……
女僧侶「ではこの四人で、魔王討伐に参りましょう。よろしくお願いします!」
豪傑「おっしゃあ! 絶対魔王をぶっ飛ばすぜ!」
魔法使い「魔法でサポートしてみせます!」
盗賊「鍵開けや抜け道の探索、索敵なんかは任せてくれよ」
大臣「改めて行われた選考会の末、実に納得いくメンバーになりましたな」
国王「うむ、この四人ならば必ずや魔王討伐を成し遂げてくれるだろう」
勇者「……」
ナース「お怪我、だいぶよくなられましたね」
勇者「……」
ナース「外の景色を見てらっしゃるのですか?」
勇者「うん……ほら、トンボが飛んでる」
<終わり>
「勇者・魔王」カテゴリのおすすめ
- 勇者「魔王倒したらその娘に言い寄られてヤバい」
- 勇者「魔王倒すまで何度でも蘇る」
- 勇者父「魔王を助けてやってくれ」勇者「え?」【前編】
- ショタ魔王「おねーさんって弱いんだね」女勇者「なんですって!」
- 勇者「(魔法使いのやつスカート短すぎだろ……)」
- 女騎士「絶対に死んでたまるか!!絶対にだ!!」
- 王様「お主には辺境村の再興を頼む」隊長「なにそれこわい」
- 魔王「フハハ!封印から蘇ったら人間が滅亡しとったわ!!」
- 竜騎士「田舎に飛ばされ自給自足生活」
- 僧侶「勇者が純粋無垢で困る」
- 女騎士「くっ、堕ろせ!」
- 魔王「……来ちゃったっ」 勇者「えっ」
- コロ助「ワガハイはここまでナリ……」女騎士「くっ、コロ助!」
- 魔人「・・・間違いでは?」
- スライム「勇者があらわれた」
「ランダム」カテゴリのおすすめ
- 高垣楓に憧れていたモデルの話。
- 唯「けいおん部で一番優秀なのは誰か」
- 未央「もう笑うしかないのかな・・・」モバP「・・・」
- 伊織「さようなら」
- 渋谷凛「プロデューサーとちひろさんて、仲悪いよね」
- 美希「ハニーが居ないから>>5するの」
- 男「なんで俺に死んで欲しいわけ?」
- 狩人「目指すは伝説級ハンター!」【前半】
- 彡(゚)(゚)「マッマ!ワイ100点とったんやで!」
- やよい「伊織ちゃんお願い!書類にハンコ押すだけでいいから!」
- みく「なんでみくが中間管理職みたいなことしてるにゃあ」
- 千早「私、みんなの自伝のタイトルも付けたいのだけれど」
- 友「俺が好きなのは美少女ちゃんだ」 男「ふーん」
- スネーク「こちらスネーク。ネオサイタマに潜入した。」
- 藍子「未央ちゃん、私に助手席の乗りかたを教えてください」
コメント一覧 (20)
-
- 2019年11月21日 11:14
- 勇者の名前はサトウに違いない
-
- 2019年11月21日 11:18
- 入院した勇者は鉛筆持てるかな?
-
- 2019年11月21日 11:52
- 何が書きたかったのか意味不明
元ネタでもあるのか?
-
- 2019年11月21日 12:54
- >>3
俺も途中までそう思って、トンボで思い出した
-
- 2019年11月21日 11:54
- 勇者はトンボ村出身やね
-
- 2019年11月21日 12:00
- 試験捨ててでも助けにいく人を採用するのかと思ったら…
-
- 2019年11月21日 12:36
- なお本家佐藤は今も普通に勤めている模様
-
- 2019年11月21日 12:37
- 驕り高ぶり言語道断定期
-
- 2019年11月21日 13:43
- 歩いて帰りそう
-
- 2019年11月21日 15:26
- 元ネタをググってみたが初めて知ったわ
-
- 2019年11月21日 16:59
- 毎秒あげろ、徹底的に周知しろ
-
- 2019年11月21日 18:29
- サンキュー長尾
-
- 2019年11月21日 18:52
- 長尾ブチ切れ公式文ですら佐藤を厳重注意で済ませたという事実
佐藤を解雇しないトンボ鉛筆は不買です
-
- 2019年11月21日 19:00
- トンボ鉛筆は最近長尾公式謝罪文ページを消しやがったからな
トンボ鉛筆の中ではあの事件は「無かった」ことらしい…企業として一切反省してない
-
- 2019年11月21日 21:07
- 元ネタ知らんから女僧侶主人公のなろうに見える
こんな三下のチンピラみたいな典型的悪役勇者に元ネタがあるってマジ?
-
- 2019年11月21日 22:22
- また古い元ネタの話を…
震災んときだから、もう8年前か
-
- 2019年11月22日 05:12
- トンボ佐藤がそのうち無くなるのではとの心配をしている方々、ご安心ください
地震の初期振動を感知して自動でトンボ佐藤スレが立つシステムがある上にどんな微弱な振動、それこそ地震速報にもならないレベルでもその度にトンボ佐藤スレが立ちます
-
- 2019年11月22日 22:56
- 風化させてはならない・・・!
-
- 2019年11月22日 23:53
- まさに尻切れトンボなSS未満だな。
期待外れも良いトコだったわ。
-
- 2019年11月23日 02:32
- ※19 誰が上手いことを言えと