息子「早く避難所に行こうよ!」父親「大丈夫大丈夫」
広報「不要な外出は控え、河川の氾濫などに注意してください」
ピーンポーンパーンポーン
息子「ちょっと雨風が強くなってきてるね」
父親「うむ」
息子「大丈夫かな」
父親「大丈夫大丈夫、雨戸も閉めたし飛びそうな物も室内にしまった」
父親「台風対策はバッチリだ。心配することは何もない」
息子「そう…ならいいけど…」
父親「なんでそんなこと」
息子「今回の台風は凄まじいらしくて避難所に行くことになるかもしれないし」
父親「はっ、メディアの言うことなんざ間に受けるバカがおるかいな」
息子「うーん…不安だな…」
息子「…ちょっと川の様子見てくる!」
父親「危険だと言うとるに」
父親「それがどうした」
息子「きっと上流の方で土砂降りの雨が降ってるんだよ!このままじゃ…」
父親「雨が降れば川の水が増すなんてあたりまえだろう」
息子「でもなんか…うーん…」
父親「大丈夫大丈夫、心配することは何もない」
テレビ「非常に危険ですので…!くれぐれも外に出ないように…うああああああああああ!!」
テレビ「あっ…中継が途切れましたね。大丈夫でしょうか」
テレビ「他県では既に川の氾濫で大きな被害が出てるらしいので早めの避難が重要ですね」
テレビ「以上、現場からでした」
息子「…」
息子「やっぱりここにいるの危険じゃない?川から離れてるわけでもないし…」
父親「大丈夫大丈夫。外に出るのは危険だと言うとっただろう」
父親「家にいるのが1番安全じゃ」
父親「なんだその程度か」
息子「その程度かって…!」
父親「言っておるだろう、雨が降れば増水なんか当たり前だって」
息子「もうすぐで溢れかえりそうなんだって!」
息子「さっきよりも急激に増してる!尋常じゃないスピードで水位が上がってるんだよ!」
父親「大丈夫大丈夫、慌てることは何もない」
父親「ほーん、で?」
息子「で?じゃないでしょ!そんなこともわからないの!?」
父親「ちょっと氾濫したくらいどってことないわい」
息子「やっぱり逃げた方がいいって!」
父親「大丈夫大丈夫、騒ぐことは何もない」
息子「!!」
ピーンポーンパーンポーン
広報「ただ今、〇〇川に氾濫警戒情報が発表されました」
広報「更なる被害の恐れがあるため、以下の住人の皆さんは速やかに指定の避難所まで向かってください」
広報「〇〇地区、△△地区、□□地区…」
息子「避難指示だ!」
父親「なんだいなんだい、どいつもこいつも大袈裟だな」
息子「親父が落ち着きすぎなんだよ!」
父親「いきなり大きい声出すなよ」
息子「見てよこれ!〇〇地区!ほぼ浸水しちゃってるよ!」
父親「ふん、SNSの情報に惑わされるな。奴らは事を大きくするのが目的だ」
息子「こんな非常事態にデマを流す奴があるか!!」
父親「〇〇地区なんてここから近いわけでもなかろう」
息子「いやいや…でも…」
父親「大丈夫大丈夫、焦ることは何もない」
消防隊「まだ避難してない住人の方がいらしましたらすぐに指定の避難所まで向かってくださーい!」
息子「消防隊だ!」
父親「ちぇ、何ともないと言うにうるさいやっちゃの」
息子「そろそろ逃げないとまずいって!」
父親「大丈夫大丈夫。おとなしくせい」
息子「いい加減にしてよ!!!」
息子「ちょっとじゃないよマジギレだよ」
息子「なんで親父は一向に避難しようとしないんだよ!」
父親「…俺がここに何十年暮らしてると思ってるんだ?」
父親「何度か河川が氾濫したこともあったがここまで水が達したことなんて一度もない」
父親「皆して避難しよう避難しようって結局何事もなく終わっちまう」
父親「俺は学習したんだよ、避難なんてムダだってことをな」
息子「くっ…」
父親「外に出るだけ危険なだけだ。ここでおとなしくしておいた方がいい」
父親「大丈夫大丈夫」
息子「庭の中にまで浸水してきた!」
父親「大丈夫大丈夫」
息子「玄関にまで達してきた!!」
父親「大丈夫大丈夫」
父親「大丈夫大丈夫、そんくらい何ともない」
息子「どうすんの!ねえ!」
父親「ああもうめんどくさいな…今日の昼飯何か要望ある?」
息子「んなこと言ってる場合か!!」
父親「意見がないなら勝手に作るけどいい?」
息子「勝手にしろ!!」
息子「クソッ…掻き出しても掻き出しても水が家に入ってきちまう…!」
父親「あらよっ」ジュワァァァ
父親「お、割とキレイな丸を作れたぞ」
父親「へへへ、ホットケーキ作りの才能あるんじゃないか俺」
息子「親父も手伝えよ!!」
父親「何かけたい?バター?蜂蜜?」
息子「んな悠長なこと言ってる場合じゃないだろ!!」
息子「もう床が全部水浸しだ!」
父親「見て見て、上手にひっくり返せた」
息子「知るかあああああ!!」
父親「もうちょっとで完成だからな。待ってろよ」
息子「頼む!もう少し危機感持ってくれ!」
父親「あ、先に手洗ってこい。汚い手で食べさせるわけにはいかん」
息子「うああああああああああ!!」
息子「もう50センチくらいまで水が上がってきてる!」
父親「食べないの?」
息子「食べられるかそんなもの!!」
父親「いらないなら全部食べちゃうよ?」
息子「余裕すぎるだろ親父!今の状況わかってるのか!!」
父親「あー美味し」モグモグ
息子「ダメだ!もうここにはいられない!」
息子「親父!屋根の上までにげるぞ!」
父親「えー?」
息子「いいから来い!」グイッ
父親「ああん!まだ食べ残しが!」
息子「自分の命が最優先だろうが!」
親父「へっきしっ…こんなところいたら風邪ひくよぉ…」
息子「仕方ねえだろ!」
ヘリ「ブーーーーーン」
息子「うおおおおおいここだあああああ!!!」
自衛隊A「…はっ!こんな所に逃げ遅れた人が!」
自衛隊B「なに!?」
息子「わ、わかりました…」
自衛隊B「引き上げてー!」
自衛隊A「わかったー!」ブォーン
息子「はぁ…こんなことになるなんて…」
自衛隊A「大丈夫ですか?おケガは」
息子「私は大丈夫ですが父親がまだ下に…」
自衛隊A「よし、もう1回おろすぞ」
自衛隊B「おけ」
自衛隊A「よいしょと」スァー
自衛隊B「…」
自衛隊B「…ん?」
自衛隊B「あ!流されたトラックがこっちに…!」
ガシャァァァンッ
父親「おわわっ…何事じゃ…」グラッ
自衛隊A「家が横転したぞ!」
息子「!!」
自衛隊B「引き上げてくれ!」
自衛隊A「おう!」ブォーン
親父「ぶふぉっ!」ザッパァ
親父「助けっ…死ぬっ…」ゴボボボボボ
息子「親父ーーーーー!!!」
-おわり-
自衛隊B「僕に掴まってください」
父親「わ、わかりました…」
自衛隊B「引き上げてー!」
自衛隊A「わかったー!」ブォーン
父親「はぁ…こんなことになるなんて…」
自衛隊B「あらよっと」
自衛隊A「大丈夫ですか?おケガは」
父親「私は大丈夫ですが息子がまだ下に…」
自衛隊A「よし、もう1回おろすぞ」
自衛隊B「おけ」
自衛隊A「よいしょと」スァー
スァー…
自衛隊B「…」
自衛隊B「…ん?」
自衛隊B「あ!流されたトラックがこっちに…!」
ガシャァァァンッ
息子「うわっ…何だ…」グラッ
自衛隊A「家が横転したぞ!」
父親「!!」
自衛隊A「これは大変だ!すぐに助けないと!」
自衛隊B「引き上げてくれ!」
自衛隊A「おう!」ブォーン
息子「ぶふぉっ!」ザッパァ
息子「助けっ…死ぬっ…」ゴボボボボボ
父親「息子ーーーーー!!!」
-おわり-
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コメント一覧 (30)
-
- 2019年11月03日 20:18
- インガオーホー
-
- 2019年11月03日 20:23
- 正常性バイアスってこえー
てっきり避難しても家が壊れるくらいなら運命を共にするくらいの心構えだとも思ったのに
-
- 2019年11月03日 20:49
- 見てないけどどうせ不謹慎なこと書いてる俺かっけーな内容でしょ?
-
- 2019年11月03日 21:19
- >>3
この父親みたいな価値観で居たら自分まで巻き込まれて死ぬって教訓やぞ
お前その感じやと災害時も逃げないでこの父親みたいに何とかなるって思っとるゴミ精神やから一回ぐらいは読んどけや
-
- 2019年11月03日 21:26
- 大丈夫だと言ってる人をどうやったら避難させることができるんだろうか
こういう人って避難は恥だと思ってるから難しいわ
-
- 2019年11月03日 21:47
- >>5
気絶させるか寝てるときかに簀巻きにして荷物扱いにして運ぶしかなくね
-
- 2019年11月03日 22:36
- >>11
首トンを習得する必要があるな・・・
-
- 2019年11月03日 21:28
- で?っていう
なんの才能もないカス
-
- 2019年11月03日 21:39
- >>6
特に読みにくいとかもないのにいちいちカスとかコメント打ってくお前よりはいい
-
- 2019年11月03日 21:29
- 何の中身もない上にオチもないのかよ
と思ったけどみんな感心してるのね
-
- 2019年11月04日 02:04
- >>3 >>6 >>7
君らみたいなのも逃げないで後から泣きわめくタイプなんだろうな。一回痛い目見てからじゃ遅いんじゃないか?
-
- 2019年11月04日 08:57
- >>14
普通は一回の痛い目を見ないように学んでいくもんなんじゃなかろうか
-
- 2019年11月03日 21:45
- 実際に被災した者だけど
実際これで何人も亡くなってる
大袈裟だって馬鹿にしてきて言うこと聞かない
自分の人生経験とプライドをかけて意固地になる
実際取り返しがつかない状況になったら呆然とするかパニックになってた
そして後日、必ずこう言う「まさか自分が被災するとは思わなかった」
避難=真面目=かっこわるい こんな感じらしい
-
- 2019年11月03日 21:45
- >>9
お前が被災してないのはわかった
-
- 2019年11月04日 02:08
- >>9
うちの母親もなんだが、そういう人らって致命的に危機感が欠如してて、他の事でも大惨事になってからとか、大惨事一歩手前だったと気付いてから大パニックになったり泣きわめくよな。ほんと面倒……
-
- 2019年11月14日 10:34
- >>9
意地とかプライドっていうよりも正常性バイアスってものが働いてるんだと思うよ
心をストレスからまもる機能が過剰に働いた状態
-
- 2019年11月03日 21:48
- 10すまんなマジだ、西日本豪雨で屋根まで浸かった
-
- 2019年11月12日 00:14
- >>12
真備か
-
- 2019年11月04日 07:04
- 腰まで泥まみれを思い出した
「でも隊長は叫ぶすすめ!」
-
- 2019年11月04日 08:24
- 玄倉川バージョン やるなよ
-
- 2019年11月04日 12:02
- 避難を恥とは思っとらんが、避難よりも仕事せいと言われるからなあ
社会インフラだかしらんし、確かにその日はうちくらいしか開店してなかったらしく、お客さんからは礼言われたけど、これで近くの川が氾濫したのなんだの起きてたら、どうしてくれてたんやろ
いやどうもせんだろうし、礼の代わりにバカな奴だと言われただけやろうが
-
- 2019年11月04日 12:23
- 息子「こんな非常事態にデマを流す奴があるか!!」
いるんだよなぁ
-
- 2019年11月04日 13:56
- 避難勧告出るまで大人しくしてろや。何ちょいちょい川見に行っとんねん死にたいんか。
-
- 2019年11月04日 17:57
- 避難所行くのって部屋に施錠出来ない空間で不特定多数の他人と寝泊まりするってのと同義だからな、行かなくて済むなら行きたく無い気持ちもわからんでもない
-
- 2019年11月04日 21:44
- 自然を舐めたら死ぬ。自然に対して謙虚な気持ちを忘れてはいけない。
-
- 2019年11月08日 01:11
- なんか家が変形したりだとか、親父さんが水中でも何事もないかのようにエラ呼吸してたりだとか、タイトルだけ見たらそんな感じのオチを想像してたけどただのクッソシビアなだけの話で草。
まぁ大事な話ではあるんだろうけどね。
例えば進撃の巨人の1話でも、『100年壁が壊されなかったからといって、今日壊されない保証なんかどこにもないのに…』っていうセリフがある。
巨人と災害の違いはあれど、まさにこのセリフの通りだと思う。
もっと不測の事態に怯えるべきだ。地震とかと違って特に今回は予め備えられた惨劇なのだからなおさらね。
-
- 2019年11月08日 08:43
- やべぇ…まんまワイの親父や…
-
- 2019年11月09日 14:02
- ああ、まんまうちのバカ親父だ
-
- 2022年05月27日 21:11
- 家が流れても大丈夫大丈夫。ぶつかって壊れだしても大丈夫大丈夫。屋根だけになっても大丈夫大丈夫。屋根も壊れて板にしがみついてるだけになっても大丈夫大丈夫。までいったら逆に感心
-
- 2022年05月27日 22:16
- 玄関から水侵入の後はギャグになってるのが惜しい。
いくら甘く見ていても家の中まで水が来たらさすがに焦るだろうけど、この時点の水嵩で既に車はもちろん徒歩での避難もまず無理なので家の高い所に逃げるしかなくなる。
川が溢れたらそこからの水位上昇は本当にあっという間なので早めの避難が大事。あと、雨がやんでもしばらくは川の増水は続くので油断は禁物。