女騎士(33)「私の手は温かいよ、ほら」
ロリ「お母さんお帰り!」
女騎士「おっ、いい匂いだなあ」
ロリ「えへへ、寒かったでしょ?ほら、早く来て」
女騎士「ははは、引っ張るなったら」
ロリ「ふふーん」
女騎士「いつの間にシチューなんて作れるようになったんだ?はむっ」
ロリ「最近、お昼は小母さんに習いながらもらってるんだー」
女騎士「ふふっ、改めてちゃんとお礼に行かなければな」
ロリ「美味しい?」
女騎士「ああ、心までポカポカだ」
ロリ「お粗末様でした」
女騎士「いや、しかし本当に驚いたよ。すごく美味しかった」
ロリ「まーねー♪お母さんにも作り方教えてあげよっか?」
女騎士「いやー、ははは」
ロリ「笑って誤魔化さないのー」
女騎士「はっはっは」
女騎士「……起きてるよ」
ロリ「そっか」
女騎士「うん」
ロリ「お母さん、ね?」
女騎士「うん?」
ロリ「結婚とかしないの?」
女騎士「あー……」
ロリ「……」
女騎士「お父さん欲しいか」
ロリ「そうじゃないけど、寂しくないのかなって」
女騎士「君がいる」
ロリ「……んー、ふふ」
女騎士「寂しくなんてない。ほんとさ」
ロリ「なら、いいんだけど」
女騎士「心配させてしまったな」
ロリ「ううん、変なこと言ってごめんね。おやすみ」
女騎士「うん、おやすみ」
騎士団長「おお、来てくれたか。貴君には迷惑を掛けるな」
女騎士「迷惑がかかる話なんですか?」
騎士団長「そう嫌そうな顔をしなくとも」
女騎士「要件を仰って下さい」
騎士団長「調査を頼みたい」
女騎士「……外ですか」
騎士団長「外だ」
女騎士「なんでまた」
騎士団長「北の山間で少しな」
女騎士「そうじゃなくて、私は」
騎士団長「貴君が居ると士気が上がるのだ。冬山の辛さを耐えるには、胸に熱い物が無ければ難しいのは分かるだろう?」
女騎士「古参は他にもいるでしょうに」
騎士団長「貴君程の武功を立てた者は居らん」
女騎士「私抜きでは成り立たない様な団では、この先、話にならないでしょう」
女騎士「……と言うと?」
騎士団長「貴君を団長」
女騎士「帰ります」
騎士団長「ま、待ちたまえ!実質的な団長ではなく名誉顧問というか、つまり」
女騎士「お飾りにして、より多くの団員を募り層を厚くすると?」
騎士団長「う、うむ。有り体に言えばそうなるな」
女騎士「……」
騎士団長「……そう睨まないでくれ」
女騎士「はあ。まあ、好きになされば良いでしょう」
騎士団長「本当かね!?」
女騎士「元々お情けで籍を残して貰っている身です。それに団の発展は私の願う所でもあります。その為ならば好きに使って貰って構いません」
騎士団長「いや、本当に申し訳ない」
女騎士「ただし、私も不満があれば都度口を挟ませてもらいます。お飾りとは言え団長の肩書きが付くのですから」
騎士団長「ああ、勿論だ。そうして貰えると私も助かる」
女騎士「それはそうと、娘に新しい服を買ってやりたいのですが」
女騎士「母は強しと言いますから」
騎士団長「分かった、私の財布からも手当は都合しよう」
女騎士「ありがとうございます。北へは何時?」
騎士団長「緊急性はないとの報告だが、不審な点もある。出来る限り早く頼む」
女騎士「選抜は私の方で?」
騎士団長「ああ。ただ、若い連中の訓練も兼ねて貰えると助かる」
女騎士「それは勿論」
騎士団長「余計な心配だったな。では頼む」
女騎士「はっ!」
ロリ「何がどういう訳なの」
女騎士「済まない、また暫く留守にする」
ロリ「お仕事だから仕方ないけど……無茶したりしないでよ?」
女騎士「分かってるさ」
ロリ「分かってないよ」
女騎士「分かってる」
ロリ「分かってないもん……んもう」
女騎士「済まないな、心配ばかり掛けて」
ロリ「そう思うなら早く帰って来て」
女騎士「ははは」
ロリ「笑って誤魔化さないの!」
女騎士「はっはっは」
古参騎士「溜息ばっかり吐くなよ、うっとうしい」
女騎士「娘に嫌われたかも知れん……」
古参騎士「また始まった」
女騎士「だから外の仕事は嫌だと言っていたのに……騎士団なんて理不尽ばかりだ……」
古参騎士「お前、士気上げる為に来たんじゃなかったか?」
新人騎士「先輩方、元気、っすね」
古参騎士「なんだ、もうへばってるのか」
新人騎士「だって、これ、足が、取られて」
古参騎士「雪だからな」
新人騎士「雪だから、な、じゃ、なくて」
古参騎士「シャッキリしろ。見ろあの小さい背中を」
新人騎士「なんで、あの体勢で、あんなに早く、進めるんですかっ」
古参騎士「鍛え方が違うんだろうなあ」
女騎士「む、貴様ら何をのんびりしている!雪の中でお昼寝か!」
古参騎士「はいよー」
新人騎士「ひぃ、ひぃ」
女騎士「消えた?」
騎士団長「真っ当に考えるなら、遭難したか、家出したかと考える所なのだがね」
女騎士「誰が?」
騎士団長「冬は山に入る用事のない村娘達だ。それも2週間毎に消え、もう三人になる」
女騎士「辺りに獣人の住処でもあるのでしょうか?」
騎士団長「定期調査ではそんな記述は無かった。が、何せ3年も前のものだ。現在の状況は分からん」
女騎士「ふむ……」
騎士団長「勿論、続けて家出したという線も無いではない。村民と協力して調査に当たってくれ」
女騎士「頼む」
古参騎士「王都から派遣されました環牙騎士団です。村長殿の宅はどちらに?」
村民「おお、騎士様方!村長はじめ皆お待ちしておりました!さ、どうぞこちらへ」
古参騎士「……冬の村はこういうものなのですか?静かな」
村民「ええと、まあ、はい。外に出ても寒いだけですからね。それにあんなこともあって、余計に」
女騎士「……」
古参騎士「顔を上げて下さい。まずは状況を」
村長「村の娘達が拐われたのです!もう三人も!」
女騎士「拐われた?」
村長「そうです!山の方から響く歌声に惑わされ、きっと今頃は、う、うう……!」
村民「村長!す、すみません、何分歳なもので」
村長「いいや、あの歌声は確かに山の方から聞こえとった!ワシはこの耳で確かに」
村民「だから村長、村の誰も聞いてない歌声が貴方にだけ聞こえる訳がないでしょう」
古参騎士「ええと、落ち着い、落ち、ああもう!とっ散らかってやがるな、結局何がどうなってんだ!?」
村民「ひえ!?」
村長「ふおお!?」
古参騎士「報告にあった通りだな。三人はどんな奴らだ?変わった点は?」
村民「ごく普通の村娘です。どれも15かそこら、母親の手仕事を手伝う、噂話好きでお喋りな、ごく普通の」
古参騎士「なるほどな。んで、そっちは?」
村長「毎晩、山の何処かから歌声聞こえて来て、それは若い男の切ない歌声で、きっと娘達はその声の主に拐われたんです……」
古参騎士「出て行く所なり、山を歩いてる所なり見たのかい?」
村長「いえ……」
古参騎士「そうか。だとよ?」
女騎士「ふむ」
村長「娘達をどうか連れ戻して下さい、お願いします、お願いします……!」
村民「お願いします!」
古参騎士「ったってなぁ」
女騎士「お話をありがとう。我々はこのまま村人の話を聞いて回り、早ければ明日にでも山の調査に入る。土地に詳しい者がいれば同行して貰いたい」
村長「おお、それならば村はずれの」
古参騎士「な、なんだあ?」
猟師「オレだけじゃなくて村のヤツらみーんな困ってっからさー?やっぱ平和ぐらいしか取り得のねー村だからこーゆーのヤなんだよねー期待してっからさ!な!」
女騎士「村長殿から話は通っていないのか?この宅の者が土地の案内をしてくれると聞いたのだが」
猟師「あ、そーなん?あーなんかそんな話しに来てたするわ、したした。昨日の夜っしょ?ごめんねー酔ってたからさ!」
古参騎士「大丈夫かよおい」
猟師「だーいじょうぶ大丈夫!オレこの村で一番猟ウマいからさマジで!あっ、部屋にクソデカいクマ飾ってんだけど見る?マジ引くぐらいデカいしなんならシュミ悪いから!」
古参騎士「なんだそれ、ちょっと見せてもらおうぜ、な?」
女騎士「……おい」
古参騎士「あー、と、それどころじゃないだろ。早く娘らを探さにゃ」
猟師「そーだそーだったわ!ゴメンねー、村の外の人なんてマジ全然来ないからテンション上がっちゃってさー!」
女騎士「む、行商人もか?」
猟師「え?うん、大体冬前にまとめて都の方に買い出し行くし、そもそもこの辺に行商なんて来てもイイコトないんだろうねー最後に見たのオレがガキの時だし」
女騎士「駆け落ちではない、か」
猟師「駆け落ち?ないない絶対ないってーそれはない!いやあり得んし!」
古参騎士「何か知ってんのか?」
猟師「え?あ、いや、いやーははは。なんかそんな気するんだって、ほらオレ勘いいじゃん?」
女騎士「知るか」
女騎士「いや、大丈夫だ」
新人騎士「ひぃ、ひぃ」
女騎士「大丈夫だな?」
新人騎士「ひゃ、ひゃひい!」
猟師「うーわコエー!騎士様コエー!おネエさん結構美人なのにそんなんじゃモテないよマジで」
女騎士「余計な口を叩くな」
猟師「ひっ……おーコエー、やっぱそのぐらい怖くないとドラゴンは」
女騎士「二度目だ、余計な口を叩くな」
猟師「……っす」
古参騎士「おーい、ダメだー。後列は限界だー、休ませてやってくれー!」
女騎士「はぁ……整列!一時休息とする!1部隊から交代で警戒に当たれ!」
猟師「あ、おネエさー……っす」
女騎士「そう構えるな、余計なお喋りじゃなきゃ私も刃は抜かんさ」
猟師「あ、下手に喋ると切られるんすね」
女騎士「ふふ、気を付けろ。それで村長の言っていた話なんだが」
猟師「ん、ジイちゃん何か言ってたっすか?分かった!またマージでボケボケなボケかましてたっしょ?」
女騎士「やはりアレは年齢からのものなのか?というか、ジイちゃん?」
猟師「ジイちゃんはジイちゃんっす。オレのジイちゃんっす。ま、拾われっ子なんすけどオレ。んで何言ってたっすか?」
女騎士「毎夜、山から男の歌声が聞こえて、娘たちはそれに拐われたと」
猟師「あーそれ昔話っすよ、村にめっちゃ昔から伝わってるヤツ。オレも子供の頃めっちゃ聞かされたもん。やっぱ歳取ると子供に返るってヤツなんすかね、そういえば最近オネショするみたいなこと聞いたしジイちゃんもマジそろそろお迎えっすかねー」
古参騎士「こいつもこいつでとっ散らかってやがるな……」
女騎士「その昔話、仔細は?」
猟師「えーっと、そっすねー」
んで、麓の村から女の子に来てもらうんすよ。めっちゃ大事にするからーって神様が説得して。
一人目は超美人だったけど、仕事が雑で追い返された。
二人目はそこそこ美人だったけど、大食い過ぎてこれも追い返された。
三人目はブサイクだったけど、仕事も丁寧、メシもあんまり食わないし、早寝早起きの働き者だった。
一人目と二人目は地団駄踏んで悔しがってたけど、神様親子と三人目は仲良く幸せに暮らしたーって話。
見た目じゃないぜハートだぜ、みたいなヤツっす。
新人騎士「やった!」
古参騎士「もうか?まだ昼を少し過ぎたくらいじゃ」
新人騎士「ええー……」
猟師「いやいやおニイさん、冬の北山舐めてるとマジ死ぬっすからマジで。一気に日が落ちてなんなら吹雪くっすから」
女騎士「地の者の言うことだ、間違いないだろう」
猟師「そっすそっす」
新人騎士「そうしようそうしよう」
古参騎士「そんなもんかねえ」
古参騎士「探すなら風穴だろうなあ」
女騎士「そこにいなかったら、正直私たちにはどうも出来ないからな」
古参騎士「どんなもんかね?」
女騎士「ん?」
古参騎士「年頃の娘が誰にも何も言わず家出するなんてのは、よくある話なのか?」
女騎士「ないだろう。私ですら家を出る時は絶縁状を叩きつけた」
古参騎士「……拐われたのかねえ」
女騎士「山の神様、か」
古参騎士「おうい、起きてるか?」
女騎士「ああ、今起きた所だ。どうした?」
古参騎士「四人目だ」
女騎士「ん?ああ、こんなに寒い所で使ったことがないからか少し付け根が冷えてな、気にしないでくれ」
新人騎士「は、はあ」
女騎士「……こんな腕でもあるだけマシさ。こんな腕だから出来ることもきっとあるしな」
古参騎士「やっぱり誰も見ていない内に消えてたとさ。村長は相変わらず歌声がどうこう言ってる」
女騎士「足跡も雪で消え、手掛かりは掴めないまま……片端から風穴を当たろう」
猟師「いやーやばいっすねーあと2つ探って見つからなかったらお手上げっしょ?ってなったらおネエさんたち帰っちゃうんでしょ?オレらどーしたらいいんすかそれマジで!」
古参騎士「相変わらず無闇に元気だな……」
猟師「つーかおニイさんたちが暗すぎるんだって!もっと気合入れて探してくんないとマジ村ヤバいんだって!」
女騎士「あ、ああ。そういう割にはなんだか楽しそうだが……」
猟師「え?あー、なんつーかほら、山に入ると山対自分みたいな、真剣勝負になるんすよ。その感覚は、村で色々あってもやっぱ楽しいっつーか、分かんないっすよね」
女騎士「う、む」
猟師「まオレのことは別にいーからさっさ次行こ!マジあと2つで見つからなかったらマジヤベーどーしよ」
女騎士「……っおい、あれも風穴か?」
猟師「うぇ?どれどれ?ん、アレは風穴じゃないっすね、ケモノかなんかの寝ぐらっす。入ったらガブリンチョなんで近付くとヤバいっすねー」
猟師「たまにいるんすわー冬眠し損ねるヤツ。そいつらめっちゃ腹空かしてるしヤバいんで近付いちゃダメっすよ」
女騎士「だが、娘たちがあの穴に入って行ったのなら」
猟師「ないわーそれはない!だってガキの頃からみんな聞かされるんすよ、まず冬の山に入るな。次に獣穴に入るな、あと聖域に入るなって」
女騎士「聖域」
猟師「山奥の、神様がいるって言われてるとこっす。オレも祭りの時くらいしか近付かないっす。なんにせよ、獣穴はあり得ないっす。ってかオレが行きたくないっす」
古参騎士「地の者が言うならここはやめとくか」
女騎士「……」
古参騎士「おい、どうした?」
女騎士「万が一ということもある、一応見ておこう」
猟師「ちょ!?ま、マジヤベーっすから、ダメだって!」
女騎士「何、ドラゴン狩りはそう簡単に死なないさ。一口くらいならこの左腕を食らわせてやればいい。君はここで待っていなさい」
猟師「あっ、ま、待てってー!ああもうクソ!あんたらココで待ってるっすよ!ちょ、おネエさーん!」
猟師「おネ、おネエさん、マジ、ダメだって!ほら戻るっす」
女騎士「だから怖いなら君だけ戻ればいいだろう。それに私も、猛獣相手に人一人守りながらは厳しいものが……ん?」
猟師「な、なんすかー、なんか聞こえたならそれケモノっすよー!ガブリンチョされる前に早く外」
女騎士「しっ……歌だ」
猟師「歌?歌なんてアンタに」
女騎士「間違いない。奥から聞こえてくる」
猟師「いいや、聞こえる訳ない。動いちゃダメだよ?ズドンといっちゃうカモ」
女騎士「何を、ぎゃっ!?」
猟師「動いちゃダーメだって。次はゴツンじゃなくてマジでズドンだから」
女騎士「……」
女騎士「他のヤツら……まさか、四人の娘たちは」
猟師「仕方ないじゃん?邪魔だったし」
女騎士「私をどうするつもりだ」
猟師「全部黙っててほしーんだけどムリっぽいんだよねー、おネエさん固そうだし。モテないっしょ?」
女騎士「……」
猟師「ハハハ、当ったりー!だよねー、モテないモテない。モテるのはもっとカワイイ系。手とかも細くて、白くて、全部揃ってる系」
女騎士「……そうだな、腕なしの私は嫁の貰い手がなくて困ってるよ」
猟師「あー分かるー!やっぱさーないとキツイよねー、オレとか耳も鼻もこんなだしさー!指ないと手仕事とかムリだしさー、ここであと出来る仕事って、猟くらいで、さあ……!」
女騎士「……」
猟師「はー、喋りすぎたわ。バイバイ」
女騎士「っ」
猟師「きゃあ!?」
猟師「いたい、痛い痛い痛い!折れる!」
女騎士「キリキリ歩け!」
猟師「う、うう……ううあぁ……!」
猟師「……ね」
新人騎士「え?」
猟師「死ね!死ね死ね死ねお前らみんな死ね!寄ってたかってオレのことイジメやがって!オレは、お、オレだって、好きな人、出来たのに……!」
新人騎士「……こっちは見張っておきます」
女騎士「頼む」
古参騎士「さて、神様の息子にご対面か」
猟師「うう~……っ、う……!」
古参騎士「……何も聞こえないぞ?」
女騎士「そうか」
古参騎士「何だ」
女騎士「甘ったるい匂いといい、正体が分かった気がする」
古参騎士「匂い?おい、結局正体って」
女騎士「答えは見てからのお楽しみだ。さ、進もう」
古参騎士「こりゃあ……」
女騎士「悪趣味なオブジェだな。如何わしいにも程がある」
古参騎士「祭壇ってやつか」
女騎士「多分、ここが彼女の言っていた聖域なんだろう。気を抜くなよ、神は居るか知らんが歌の主は居るはずだ」
古参騎士「はいよ。しかしまあ、氷漬けの娘っことは……えげつねえ」
女騎士「ああ……ふっ!」
夢魔「ひっ」
女騎士「だぁ!」
夢魔「げくっ、か、は」
女騎士「ふんっ」
夢魔「……」
女騎士「討伐、完了」
古参騎士「お見事」
女騎士「まだ子供で良かった。育っていたならお前頼みになっていただろう」
古参騎士「ドラゴン狩りもインキュバスの色香には敵わんか」
女騎士「紅眼の『乙女』だからな」
古参騎士「がははは、違いねぇや」
女騎士「あくまで推測、ですが」
騎士団長「犯人からは何か聞き出せたのかね」
女騎士「夢魔に心の大半を持って行かれていたらしく、会話も出来ません。近々処刑されるかと」
騎士団長「そうか……まだ力の弱い内で助かった。歌とやらも大半の人間には聞こえなかったと」
女騎士「ええ、育っていれば被害はもっと大きかった。あの村から女どころか、人が全て消えていたでしょう」
騎士団長「心の隙間に入り込まれた彼女も可哀想だが、いや、しかし解決出来て良かった。助かったよ」
女騎士「ええ、ええ。本当に頑張った甲斐がありました。寒さに震えながらの遠征でしたからね、特に懐が冷えて冷えて」
騎士団長「……そう念を押さなくても分かっている」
ロリ「お母さんお帰り!」
女騎士「ただいま。元気にしてたか?なにか変わったことは?」
ロリ「大丈夫だよー、お留守番にはなれてますから」
女騎士「ご、ごめんな。あ、ほらこれお土産。北の方の村に売ってた髪飾りだ。君の髪にきっとよく似合う!」
ロリ「わぁー!え、何この、何?こわい」
女騎士「あ、あれ……?」
ロリ「でも、あ、ありがと、ね?うん、ウレシーウレシー」
女騎士「……くぅ、女心を掴む歌が歌えれば」
ロリ「ううん、まだ起きてる」
女騎士「……この間、結婚しないかって聞いただろう?」
ロリ「あー、うん」
女騎士「あの後行った仕事で、とても悲しい人に会ったんだ。心が隙間だらけで、なのにそれを埋めてくれる人と一緒に居られなくて……」
ロリ「……」
女騎士「とても、冷たい目をしていたよ。全身冷え切っていた。ずっと一人ぼっちで、きっとすごく辛くて寂しかったんだろうと思う」
ロリ「……」
女騎士「彼女を見て、私自身はどうなんだろうと思った。結婚もしていない。ずっと一人ぼっちだった……でも君に出会った。君に会ってからは、心の隙間どころか、指先まで君でいっぱいで」
ロリ「ふふ」
女騎士「私の手は温かいよ、ほら」
ロリ「本当?……ひゃ!?冷たいよー!お返し!」
女騎士「ぎゃあぁ!?」
ロリ「あははは!ぎゃーだって!そんなんじゃ結婚出来ないよ!」
女騎士「はっはっは!私はそんなのしなくてもいいんだ!」
おわり
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コメント一覧 (9)
-
- 2019年11月03日 02:36
- 泣いた
-
- 2019年11月03日 03:06
- 赤鬼
-
- 2019年11月03日 04:44
- あ、滑る…うあ…(最期の言葉)
-
- 2019年11月03日 10:22
- なんか久々に読んだな、こういうの
-
- 2019年11月03日 11:26
- こういう小説の騎士って馬に乗る以外はなんでもするけど
軍馬にだけは絶対に乗らないよな
-
- 2019年11月03日 11:49
- 天原の女騎士隊長かと思ったのに
-
- 2019年11月03日 13:57
- これいつかの女騎士の続きか
-
- 2019年11月03日 15:06
- わからん
猟師はインキュバスに魅了された女だったってことか?
-
- 2019年11月06日 18:07
- ホモでしょ
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