ニュース「若者の肉離れが進んでいます」若者「ぐわあああああああ!!!」
- 2019年10月25日 00:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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若者「その前に準備体操、いっちにー、いっちにー」グッグッ
若者「うっ!?」ブチッ
若者「ぐわああああああああああああああああああ!!!」
…………
……
キャスター「今日も多くの若者が肉離れを起こし、病院に搬送されました」
キャスター「若者の肉離れが進んでいます」
キャスター「なぜこうも、若者の間で肉離れが多発しているのでしょうか?」
専門家「肉離れというのは、えー、肉が離れることですので。運動不足ですな」
キャスター「はあ」
専門家「つまりやはり、原因は運動不足、ということになるわけです」
キャスター「なるほど」
専門家「とにかく運動不足! 肉離れといったら運動不足なのです!」
キャスター「不足してるのはてめーのアタマだよ」
男「もちろん! いつもアルバイトで忙しく働いてるし、今日もウォーキングしたし」
男「見ろよ、今日の万歩計」
女「15000歩……結構歩いてるじゃない」
男「だろ? 今の専門家もいってたけど、みんな運動不足なんだよ。もっと歩かなきゃ」
女「だけど、それだけでこんなに肉離れが多発するかなって気もするのよね」
男「お? 理系女としての勘か?」
女「まあね」
男「やっとゼミ終わった」
友人「次の課題はめんどくさいな。大学でやる講演に出席してレポート書かなきゃいけないなんて」
男「ああ、たしか製薬会社だか勤めてた爺さんが来て、高齢社会について話すんだっけか」
友人「一時間もだぜ? あー、かったりい」
男「若者の問題の次は、高齢者の問題とはめまぐるしいな」
友人「?」
男「いや、こっちのことだ」
<講演会会場>
老紳士「……でありまして、この間も醤油とソースを間違えてしまいまして」
老紳士「だけどこれはこれでおいしそーっす、なんつって」
どっ……!
老紳士「老化というのはどうしようもない現象でありますが、我々年寄りにもまだまだ意地が……」
老紳士「なんとか若い人たちに負けないよう、冷や水と言われつつ研鑽を続けているのであります」
男(ふうん、なかなか話し上手で面白いな)
友人「だけど、結構楽しめたな。退屈しなかったよ」
男「ああ、なかなか話の上手い爺さんだった」
友人「しっかし、会場は暑かったな。会場でもらったお茶飲もうぜ」グビグビ
男「そうだな」グビグビ
男「うめえ! ……ってこの辺ゴミ箱ないのか。ま、いいや。カバン入れとこ」ゴソッ
友人「じゃ、しっかりレポート書けよー!」
男「お前もなー!」
店長「そのミネラルウォーターの入った箱、こっちに並べてくれるー?」
男「はーい!」ヒョイッ
店長「さすがだね、やっぱ若い人は力があるよ」
男「いやー、どうも」スタスタ
男「うっ!?」ブチッ
店長「どうしたね?」
店長「お、おいどうした!?」
男「足がっ……ぐわあああああ……っ!」
店長「しっかりしろ!」
男「あぐぅぅぅぅぅ……!」
店長「大丈夫か!? 救急車呼ぶか!?」
男「いや、そこまでは……」
店長「とにかく横になろう! さ、早く!」
男(ううう、みっともない……)
女「ウォーキングしてたんじゃなかったの?」
男「してたはずなんだけど……」
女「さいわい重傷じゃなかったし安静にしてることね」
男「そうするよ。ったく情けねえ……」
ブーブー…
男(……ん、友人からだ)
男「え!? ……お前もかよ! うん……うん……そう、俺もなんだよ」
男「お互い、体大事にしような……」ピッ
女「どうしたの?」
男「友人も肉離れ起こしたって……フットサルやってる最中に」
女「えっ」
男「あいつも運動不足だったのかなぁ」
女「いや、こんなのどう考えてもおかしいわよ。偶然とは思えない」
男「そんなんするわけないだろ」
女「同じ講義に出たとか」
男「ゼミは一緒だけど、別になんかしたってわけじゃ……あ」
男「そういや高齢社会がどうのって講演を聞いたっけなぁ。だけどそのくらいで……」
女「なにか一緒に飲み食いしたりしなかった?」
男「別に何も……いや」
女「なに?」
男「お茶を……飲んだ。会場でもらったやつ」
男「いや、普通のペットボトルのお茶だよ。変な味もしなかったし」
女「メーカーとか分からない?」
男「そういや、ペットボトル捨ててなかったな。俺、まだ持ってるぜ」
女「どこにあるの?」
男「カバンの中入ってると思う」
女「見せて」ガサゴソ
男「おい、人のカバンを勝手に……」
男「ペットボトルなんか見てどうすんだよ」
女「ここ……小さく穴あいてる。で、塞いだ跡があるわ」
男「え!? そりゃどういう……」
女「決まってるわ。なにかを混入させたってことでしょうよ。注射器とかで」
女「たとえば、筋肉を弱らせる薬品みたいなものを……」
男「まさか……」
女「私の学部にこういうのを調べられる機械があるの。ちょっと調べてくる」
男「どうだった?」
女「わずかに残ってたお茶を分析にかけてみたけど、お茶ではない何かが混入してるのは確かよ」
女「きっと講演で渡すお茶に、こういう細工を施してたに違いないわ」
男「で、それを飲んだ俺と友人は肉離れに……」
女「おそらくね」
男「マジか……」
男「いや、ちょっと待ってくれ」
女「?」
男「あの爺さん、もしかしたら今日もどこかで講演してるんじゃないか?」
女「調べてみる。えっと……」
女「あ、やるね。うちとは違う大学で、14時から」
男「警察に行ったんじゃ、当然それに出る学生を助けることはできない」
男「今からその大学に向かおう! 若者の肉離れを食い止めるために!」
女「だけど安静にしてないと」
男「んなこといってる場合かよ! 俺は行くぜ!」ヒョコッ
女「ふうん、少し見直しちゃった」
老紳士「ノドが渇いたら、今渡したお茶をどんどん飲んでくれてかまわないので」
老紳士「ちなみに私、こないだウイスキーと間違えて麦茶を飲んでしまいましてね」
老紳士「かえって健康的なので、ま、いいかとそのまま……」
どっ……!
学生A「結構面白いな」
学生B「この爺さん、このところ各地で講演してるらしいぜ」
学生A「どうりで話が上手いわけだ……」
学生B「にしても暑くね? このお茶飲もっかな」キュポンッ
「ちょっと待ったァァァァァッ!!!」
老紳士「なんだね、君は?」
男「みんな、今渡されたお茶は絶対飲んだらダメだぞ!」
老紳士「なにをいっとるんだ――」
男「なぜなら……飲んだら肉離れを起こす! 俺みたいにな……」ヒョコヒョコ
男「みんな、ペットボトルを見ろ!」
女「底に小さな穴を開けた跡があるはずよ」
ザワザワ…
「ホントだ!」 「俺のにも穴の跡がある!」 「なんだこれ!?」
男「肉離れを引き起こす薬品かなにかを混ぜた、あのお茶を渡し――」
男「今話題になってる若者の肉離れを引き起こしていたんだ!」
ドヨッ…
男「部屋が妙に暑いのも、お茶を飲むよう仕向けるため、空調をいじってるんだろう」
男「違うか、爺さん」
老紳士「……」
老紳士「フッ、よくぞ見抜いたものだ」
男「見抜いたのは、俺じゃなくこいつなんだけどな」
女「あなたがペットボトル捨ててなかったおかげよ」
老紳士「すなわち、肉離れを引き起こす薬を作った」
老紳士「そして、それを市販の飲料に混入させ、このような講演の場などを使って若者に飲ませた」
老紳士「ただし、安心せい。原液をだいぶ薄めたのを使用したから、効果は一時的なものだ」
老紳士「君も肉離れしたそうだが、それが治る頃には筋肉も以前の状態になっているだろう」
男「んなことより、なぜこんなことを?」
男「あなたの話は面白かったし、楽しそうに年取ってて、こんなことする人には見えなかったのに!」
老紳士「楽しそうに年取ってて……か」
男「!」
老紳士「年取ることに楽しいことなんざあるものか!」
老紳士「体は日に日に弱っていき、若い頃は当たり前のようにできたことができなくなる!」
老紳士「髪は抜けるわ、腰は痛いわ、歯は脆くなるわ、老眼になるわ、ろくなことがない!」
老紳士「君は肉離れした時、自分を情けないと思わなかったか?」
男(思った……)
老紳士「我々年寄りはそんな気持ちを毎日のように味わっているんだッ!」
老紳士「そのうち私は若い連中が憎くなっていった……」
老紳士「いずれ私のようになるとはいえ、羨ましくてたまらず、憎悪を抑えきれなくなっていった」
老紳士「だから、“だったら肉離れさせてやる”と思い立ったのだ!」
女「そうね。老いを受け入れてるお年寄りも一杯いるわ」
老紳士「ふん……なんとでもいえ」
男「とにかく、これであんたは終わりだ」
男「動かぬ証拠になるペットボトルのお茶もみんな持ってるんだからな」
老紳士「私がなんの考えもなく、ただ逮捕されるために全てを暴露したと思ってるのかね?」
男「……?」
老紳士「こうなれば最後に大暴れさせてもらう。大勢の若者をこの手で直接叩きのめすのも悪くない」
女「大暴れって……あなたじゃ肉離れしてるこいつ一人にも取り押さえられちゃうでしょ」
男「?」
老紳士「この青い液体が“筋肉を弱める薬”の原液……君も飲んだものだ」
老紳士「そして、こっちの赤い液体は……“筋肉を強める薬”!」
男「な! ま、まさか……!」
老紳士「そのまさかだァ! これを飲んで最後の一暴れをするとしよう!」グビグビグビグビグビ
老紳士「っぷはぁっ!」
老紳士「うをおおおおおお! 見るがいい、私の体がパワーアップしていく瞬間をッ!」
老紳士「もはやお前らどころか、警察にだって負けないィィィィィッ!」
老紳士「なんだ?」
男「飲む薬間違えてない? 思いっきり青い方を飲んじゃったけど……」
女「ホントだ」
老紳士「あ゛っ!!?」
男「薄めたのをほんのちょっと混ぜたお茶でも、肉離れが起きるのにそんなの飲んじゃったら……」
老紳士「また間違えた……」
老紳士「すぐ赤い薬を……!」バッ
ブチッ
ブチチチチッ
老紳士「おふううううううううっ!!!」
ブチッ ブチチチッ ブチブチブチッ
老紳士「あぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
男「うわ……」
女「ひえ……」
ブチチチチチチチチチチッ
ぎゃあああああああ……!!!
…………
……
女「自業自得とはいえ……哀れね」
男「とりあえず、これで若者の肉離れ事件はめでたく解決したわけだけど――」
男「当分肉は食えそうにないや……。全身肉離れした爺さんの姿が目に焼き付いちゃって……」
女「私たちの肉離れはもうしばらく続きそうね」
― 完 ―
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コメント一覧 (22)
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- 2019年10月25日 01:06
- タイトルでクスッときた
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- 2019年10月25日 01:15
- 人間はいくら強く美しくともいずれは衰え醜くなっていく
だが鬼となればいつまでも若く衰えず、永遠に鍛練ができるようになる
お前も鬼にならないか?
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- 2019年10月25日 01:46
- >>3
方法教えて
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- 2019年10月25日 05:36
- >>4
まずパンツを脱ぎます
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- 2019年10月25日 09:01
- >>8
なんで脱いでんだコイツ
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- 2019年10月25日 11:52
- >>8
鬼 の パ ン ツ
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- 2019年10月25日 08:12
- >>3
俺はつらい、たえられない
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- 2019年10月25日 16:53
- >>3
おれは人間をやめるぞ!ジョジョーッ!
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- 2019年10月25日 23:20
- >>3
化け物を倒すのはいつだって人間だ
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- 2019年10月25日 02:16
- 15000歩で結構歩いてる
頑張って歩いてる痴呆老人じゃあるまいし。
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- 2019年10月25日 04:23
- 準備運動でスタティックストレッチなんかするからだよ
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- 2019年10月25日 04:33
- タイトルでもうオチてる件
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- 2019年10月25日 05:57
- ※7 でもラストにもう一回文字通りのオチがきてるんだからええやん
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- 2019年10月25日 07:09
- わ、若者ダインーー!
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- 2019年10月25日 10:20
- 若者の肉体離れ に見えた
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- 2019年10月25日 12:38
- ドーピングコンソメスープももう聞いたことない世代が出てくる頃だなぁ
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- 2019年10月25日 18:34
- スレタイとオチは結構好き
ただペットボトルの底に穴開けたら普通にそこから中身洩れると思うんだが
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- 2019年10月25日 18:58
- 肉離れエアプかな
そんな声張って叫べるはずないだろ
「んくぅぅ」系の声しか出せんわ
でなおして
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- 2019年10月26日 00:04
- 憎いな
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- 2019年10月29日 12:50
- 作者が学生なのと彼女いないのは分かった
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- 2019年11月03日 17:59
- オチは落語みたいで良かった
どっ……!って何?