勇者「君は来るな!」姫(250cm220kg)「嫌っ!私だって戦える!」
勇者「はい、必ずや魔王を討ち滅ぼしてみせます!」
姫(250cm220kg)「待って勇者様!」
勇者「姫、どうしたんだ」
姫「私も連れていって……!」
勇者「それはダメだ! 君が来てしまったら……!」
姫「ただ待ってるだけなんて嫌! 私だって戦える!」
勇者「姫……!」
姫「でないと私……! 寂しさでどうなってしまうか……!」
勇者「分かったよ、姫」
勇者「ただし一つ約束してくれ。同行するのはいいが、君は決して戦ってはならない」
勇者「君が戦ってしまったら、僕は勇者失格になってしまうから……」
姫「分かったわ! 私は戦わない! 約束する!」
勇者「ならいいけど……」
村長「おお、これはこれはお強そうな勇者様と姫様じゃ」
村長「この村では昔から、近くの洞窟の主に多くの作物、時には生贄まで要求されておりますのじゃ」
村長「どうか助けて下され……!」
勇者「分かりました」
勇者「この僕が洞窟の主を倒し、この村の人々を救ってみせます!」
勇者「さあ行こう、姫。ただしずっと僕の後ろにいなきゃダメだよ」
姫「はいっ!」
洞窟の主「なんだお前たちは……」ズシン…
勇者「魔物め、永らく村の人々を苦しめてきた罪、今こそ償う時だ!」
姫「行くわよ!」ダッ
勇者「えっ」
姫「ぬぅんッ!!!」
ボッ!!!
姫が放った右拳は、鱗に覆われた巨大な魔物である“洞窟の主”を、跡形もなく四散させた。
勇者「……」
勇者「姫!」
姫「は、はいっ!」
勇者「あれほどいったのになんで戦ってしまったんだ! 君は戦うなといっただろう!」
姫「ごめんなさい、つい……」
勇者「次からは気をつけてくれよ。分かったね!」
姫「はい……」
勇者「この山には山賊が出るらしい」
姫「まあ、怖い……」
勇者「君は絶対手を出さないように――」
勇者「――あ」
姫「山賊だわ!」
山賊A「!」ビクッ
山賊B「!」ビクッ
山賊B「絶対勝てねえ……!」
山賊たち「もう二度と悪いことはしませぇぇぇぇぇん!!!」ドドドドドッ
姫「……あらやだ、私たちを見ただけで逃げていったわ」
姫「どうしてかしら?」
勇者「さぁ……」
市長「おお、勇者様! 各地でのご活躍は耳にしております」
市長「今この街は魔物の大軍勢に狙われており、まもなく総攻撃が始まるでしょう」
市長「とても常備兵だけでは守り切れません! 力をお貸し下さい!」
勇者「もちろんです」
勇者「魔物の軍勢など、僕の手でやすやすと打ち破ってみせましょう」
勇者「姫はこの市庁舎で休んでいて……」
勇者「あれ、姫!?」キョロキョロ
ギャァァァァス! グジュグジュグジュ… グオォォォォォ! ワサワサワサワサ…
姫「来たわね、魔物の軍勢」
姫(数はざっと一万……ってところかしら)
姫「破ァァァァァ……」コォォォォォ…
呼吸を整える姫。体内に莫大なエネルギーが蓄えられる。
ズオオオッ!!!
姫の両掌から放たれた闘気の奔流。
紅き光は瞬く間に万の侵略者を消し飛ばし、塵と化した。
後に残るのは、地表が大きくえぐれた地平線だけであった――
魔王「四天王よ、揃ったか」
魔王「勇者の進撃により、我が魔王軍の部隊が次々と敗れ去っておる!」
魔王「貴様らの手で、なんとしても勇者を葬り去るのだ!」
鉄巨人「オレ様の怪力で叩き潰してやりましょう!」
火炎竜「勇者如き、ワシが焼き尽くしてくれるわ」
闇術士「ククク、お任せ下さい……いかなる力も“闇”の前には無力……」
暗黒騎士「吾輩の剣に斬れぬものはありませぬ」
勇者「ついに現れたな、四天王!」
姫「ここは私がやるわ!」バッ
勇者「えっ」
鉄巨人「アイアンパーンチ!!!」
ドゴォンッ!!!
鉄巨人の巨拳が、姫の全身に炸裂した。
鉄巨人「な……!?」
姫「むんっ!」グググッ…
鉄巨人「や、やめ……! ひぎゃああああ……!!!」
ベキッ! ゴキッ! ボキッ! コネコネコネ…
姫「できた、鉄球!」
勇者「ああ……」
鉄巨人は姫の腕力によって、こねられ丸められ、巨大な鉄球にされてしまった。
火炎竜「ワシの火炎吐息を受けてみよ!」
勇者「来い!」
姫「私が戦う!」
勇者「あっ」
ゴォワァァァァァッ!!!
数千度を誇る火炎が、姫をくまなく包み込んだ。
火炎竜「フハハハ……! 骨も残らぬわ! さあ次は勇者がこうなる――」
火炎竜「……なにい!?」
姫「お肌が荒れたらどうするの!」
バチィンッ!!!
姫の張り手(ビンタ)によって、火炎竜の頸部は360度捻じり曲がり――
ズズゥン…
そのまま息絶えた。
勇者「面白い……どんな術か見せてもらおうか!」
姫「まず私に見せて!」ダダダッ
勇者「ちょっ」
闇術士「愚かな……。闇よ、あの者を縛りつけよ!」
ズオォォォォォ……!
漆黒の闇が姫にまとわりつく。
この術が完全に決まってしまえば、たとえ巨人や巨竜の類ですら身動き一つ取れなくなるのだ。
ボンッ!!!
闇はあっさりと弾かれた。
闇術士「えっ」
――と同時に、姫の気合によって生じた衝撃波で、闇術士もまたこの世から弾かれた。
暗黒騎士「この海や大地をも切り裂く暗黒剣で……貴様の命をもらい受ける」
勇者「勝負だ!」
姫「私だって戦える!」ダッ
勇者「姫ぇ!」
暗黒騎士の大地をも割る“暗黒斬”が、姫の首を直撃した。
暗黒騎士「ば、馬鹿な……!」
暗黒剣はガラスのように砕け散った。
姫「笑止!!!」
ザンッ!!!
次の瞬間、姫の手刀によって暗黒騎士は脳天から左右に分断されてしまった。
勇者「ついにここまでたどり着いた……」
姫「空は黒い雲に覆われてるわね」
勇者「姫!」
姫「なにかしら?」
勇者「危ないから魔王城には絶対入ってはダメだよ。これだけは絶対守ってもらう!」
姫「……分かったわ! 絶対入らない!」
姫「太陽へ!」ポイッ
ジュッ…
勇者「あ……」
勇者(暗雲が晴れていく……魔王が死んだ証だ……)
勇者(結局、最初から最後まで姫が戦ってしまった……)
姫「どうしたの?」
勇者「なぜこんなことするんだ! 自分ばかり戦って! あんまりじゃないか!」
姫「!」ハッ
姫「ご、ごめんなさい……私ったら……」ウルッ
勇者(涙……)
勇者「ごめん、言いすぎた。君だって一生懸命やってくれたというのに」
姫「勇者様……!」
勇者「姫……!」
姫「大好きっ!!!」
ギュッ!!!
勇者「あ……」
姫「ご、ごふっ……!」
姫「さすが……勇者様……。私より……大きく、重く……そして強、い……」ピクピク
勇者「姫ぇっ!!!」
勇者(しまった! つい抱き締めすぎて、姫の骨を砕いてしまった!)
勇者(こんなか弱い姫をずっと戦わせてしまったなんて、やっぱり僕は勇者失格だ!)
― 完 ―
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コメント一覧 (65)
-
- 2019年10月01日 01:55
- えぇ・・・
-
- 2019年10月01日 01:56
- わりといいオチ
スピードかイニシアチブが姫より低かったんだな……
-
- 2019年10月01日 02:05
- ……何だろ、お嬢の浴室ってサークル思い出した。ケンシロウとかラオウとかトキが女装コスプレして結局殴り合うサークル。
つかやっぱり魔物と戦うには屈強な筋!肉!!が必要なんだな。
-
- 2019年10月01日 10:39
- >>3
俺もお嬢の浴室思い出しながら読んでたわ
-
- 2019年10月01日 02:13
- 叙述トリック
-
- 2019年10月01日 02:37
- 姫が強すぎるとも、姫だけがバケモノだとも言ってないのな、なるほど
-
- 2019年10月01日 02:44
- 本文より先に※欄見ないでよかった
-
- 2019年10月01日 03:13
- 強そうな勇者様ってのが姫と間違えてるのかと思ったらそんな事はなかった
-
- 2019年10月01日 06:37
- 「できた、鉄球!」じゃねえよwww
-
- 2019年10月01日 07:19
- オチが上手い
-
- 2019年10月01日 07:41
- ええやん
-
- 2019年10月01日 07:43
- 勇者(350cm300kg)
-
- 2019年10月08日 16:34
- >>11
人間の味方してくれる人外じゃねーか
-
- 2019年10月01日 08:10
- なるほどw
-
- 2019年10月01日 08:19
- まさか勇者が姫を凌ぐゴリゴリマッチョマンだったとは
-
- 2019年10月01日 08:56
- 魔王軍に勝ち目ひとつもないじゃん
-
- 2019年10月01日 08:58
- 長い
オチも微妙
-
- 2019年10月01日 09:32
- ビッグマムよりは常識的なサイズ
>>15
長い(2ページ)
-
- 2019年10月01日 09:42
- 城を太陽迄投げ飛ばすとか超サイヤ人でも不可能なレベル
-
- 2019年10月11日 02:22
- >>17
素のスーパーマン(80万トンまで投げ飛ばせるとか)も要救助者満載のホテルを、一目見れば安心するような笑顔浮かべながら抱えて飛んでたらしいし、Sサイヤ人なら余裕だろ
-
- 2019年10月01日 10:29
- とあるのSSにこんなのあったな
-
- 2019年10月01日 10:33
- 250cm220kgはそんなにデブでもない
-
- 2019年10月01日 11:06
- ※19
そうだよな、なかなかうまく考えてある
単純計算で250cmが17才女子の平均身長155cmの約1.6倍として
体重(質量)は縦x横x高さが1.6x1.6x1.6の約4.1倍だから
220kgを4.1で割ると約53.6kg、平均(51kg)よりちょっと重いだけだし
筋肉質なアスリート女子なら全然アリだわ
-
- 2019年10月01日 18:30
- >>21
身長がまず、全然ナシだから…
-
- 2019年10月02日 12:39
- >>33
姫より大きくて重い勇者は何も言われないのに可哀相
-
- 2019年10月03日 19:03
- >>21
こうして見ると確かに華奢だな姫
-
- 2019年10月01日 11:18
- GS美神にいた女華(メガ)姫みたいなイメージ。
-
- 2019年10月01日 11:46
- >>22
懐かしい例えをw
-
- 2019年10月01日 18:25
- >>22
俺は織姫想像してた
-
- 2019年10月01日 12:13
- いいおち
-
- 2019年10月01日 12:52
- そんなに太ってはいない&逞しい&巨体
ハッ。これは北斗のBBA!?
-
- 2019年10月01日 16:43
- >>25
ケン○ロ○
[おまえのような(以下略)]
-
- 2019年10月01日 13:00
- 叙述トリックSSすき
-
- 2019年10月01日 14:10
- 俺はH×Hのビスケ(元に戻ったバージョン)で想像した
-
- 2019年10月01日 16:00
- 姫、か弱いから橋より重いものは持てないのです
-
- 2019年10月02日 09:45
- >>28
ほ?
-
- 2019年10月01日 18:05
- 逆に勇者が戦ってたら、鉄巨人は折り紙になり、火炎竜の息吹は吸い込んで吹き返され、闇術師は近づいただけで消滅し、暗黒剣士の剣は視線だけで砕け散り、魔王城はメラどころかレミーラで焼き尽くされていたんだろう。
-
- 2019年10月01日 18:05
- 何が起きたのか分からないまま焼滅させられた魔王様かわいそうすぎる
-
- 2019年10月01日 18:55
- オチはよめた
でも短くまとめてるから良い
-
- 2019年10月01日 22:17
- 勇次郎系女子とは正にこのこと
と言うか通常攻撃が~とかTUEEEE系あるけど
男だろうが女だろうがしっかりガチムチにすべきだと思うわ
-
- 2019年10月02日 00:03
- >>35
それはどうだろう
筋肉とガタイだけが強さの形ではない
-
- 2019年10月02日 00:19
- >>37
それでも「スキルで筋力強化がついてるから~」って見た目鍛えてもない優男が錆びた剣で鉄の塊真っ二つにしてる様な絵は薄ら寒いわ。
-
- 2019年10月02日 00:43
- >>38
ムチッ♡ムチッ♡
-
- 2019年10月02日 02:18
- >>37
言わんとしてる事は分からなく無いけど
最低限の体格は欲しい
タッパは無くても肩や上腕の筋肉のハリとか
ヒョロッヒョロの棒体型だけどステータスが強いですとか
印象のズレや説得力の不足は勿論、何より書き手の願望が垣間見えてキツい
-
- 2019年10月02日 06:40
- >>41
まあ細いだけのイケメンマッチ棒なら俺も嫌かな
少しぐらい太い方がいい(少しだけなら)
強い奴がみんなガチムチになるのも嫌ってだけで
-
- 2019年10月01日 23:54
- 我が世界征服できないのはどう考えても姫と勇者が悪い!
-
- 2019年10月02日 01:36
- 勇者「見ろ!姫がゴミのようだ!」
-
- 2019年10月02日 02:36
- ええやん
久々この手のssでいいの見れた
-
- 2019年10月02日 02:39
- スレタイのパワーよ
-
- 2019年10月02日 08:05
- シンプルかつええオチでめっちゃ笑ったわww
-
- 2019年10月02日 13:30
- 筋肉は裏切らない
だがしかし脳筋すぎるだろwwwwwww
-
- 2019年10月07日 10:04
- >>48
ノー筋肉、ノー勇者
あらゆる魔法も特殊能力も、発達した筋肉を伴わなければ小細工に過ぎないのだ
-
- 2019年10月02日 16:25
- 盗賊もそりゃ姫以上のゴリゴリマッチョマン勇者もいたら即土下座よな
-
- 2019年10月02日 19:44
- 勇者&姫「魔法より筋肉だ!」
-
- 2019年10月02日 21:10
- スレタイで爆笑→オチも面白かったww
この2人でかすぎやろww
-
- 2019年10月04日 20:40
- 上の計算上だと、姫はデカいだけで、特段ゴリマッチョってわけでも無いんだな。
-
- 2019年10月05日 19:02
- 禁書SSオチが似たようなのあったな
美琴が能力使ってムキムキになるやつ
-
- 2019年10月07日 14:09
- 勇者が砕けるオチかと思ったら…
-
- 2019年10月07日 20:08
- まさかの2人Tueeeだったとはw
-
- 2019年10月11日 00:45
- 250cmで220キロはどう考えても重いだろ
-
- 2019年10月13日 09:54
- 勇者のほうをストロングザ武道並みとして考えて読んでたは
-
- 2019年10月17日 20:01
- このSS大好きだー!
作者さんの他の作品も読みたい
-
- 2019年10月20日 22:43
- 化け物勇者と化け物姫か
-
- 2019年10月20日 22:44
- お前のような姫がいるか
-
- 2019年10月24日 23:35
- お前のようなお姫様がいるか