勇者「平和になってから私だけ完全に婚期逃した…」
勇者「別に私は鍛えるのが好きじゃなければ、戦闘狂でもないし…。世界の危機だって言うから無茶したけど、本来の私はこんな感じなの」
女戦士「筋肉は落ちてるが、洗練された身体は相変わらずなんだから鍛えればいいのに。中途半端に普通の町娘ぶってるのは逆に違和感があるぞ」
勇者「町娘ぶってる、というより町娘なの!変に小物ぶってる様に見えてるみたいだけど、素がこれだからちょっと傷付く…。それより、あなたの周り…」
女戦士「あぁ、そうか。すまんな、出会った頃から物言いが直球すぎて気遣いが足りないと何度も言われたがどうもこれは私の直し様のない性格らしい」
女戦士「護衛の騎士たちのことは気にしないでくれ、別にお前を疑ってるとかではなく常に私の傍にいるんだ」
勇者「一躍、大英雄ってヤツ…?なんか明らかに私の待遇よりいい気がするんだけど…。というか、魔王を倒したのは自分だって言ってない!?」
女戦士「すまんな、どうも酒の席では話を盛ってしまうようで…だがまあ、みんなの力で倒したのだから私が倒した訳でもあるし、いいんじゃないか」
勇者「トドメ刺したの、ボ・ク!!それに指揮を取ったのも、女神の加護の掛かったアイテムを使って魔王に攻撃が通るようになったのもボクのお陰じゃん!」
女戦士「…口調、戻ってるぞ。女らしく振る舞いたいんだろうが、素の自分はどうも捨て難いということだ。私を見てみろ、ありのままの自分を捨てずその上で婿を貰った」
勇者「…コホン。なんだか、誤魔化されてる気はするけど妙なことが聞こえた気もするから乗るね。ムコって…なんの話?」
女戦士「なんだ、知らなかったのか?先程護衛と言ったがそれは私がこの国の次期王妃だからだ。要は、この国の王子が私の夫ということだ」
魔法使い「仲間の成功なんて、本来は喜ぶべきじゃないの?にしても、直接会うまで知らなかったのね。結構有名な話だったと思うけど。結婚式、壮大だったよ」
勇者「山奥ののどかな田舎町に住んでるから情報に疎いの。…あー、なんで呼ばれたのかと思ったら結婚式かぁ…。そりゃこっちに伝達が届く頃じゃ間に合わないよね…」
勇者「みんな平等に和気あいあいと頑張ってきたはずなのに、私の今の暮らしってなんだかパッとしないし、他の子が好待遇だとヘコんじゃうんだよね…」
魔法使い「なるほどねぇ…。まぁ、私は王妃ってわけではないけど今の生活に満足してるかな。幸せなんて人それぞれだしね。冒険で得た薬草や魔物の情報、研究することは多くて大忙し」
勇者「真面目ってわけじゃないのに、そういう研究は魔法使い大好きだよね。好奇心って奴なのかな、そういうとこは出会った頃から変わんないよね~」
魔法使い「まぁ、変わったこともあるけどね。…ダーリン!友達来てて紹介したいからちょっと来てくれるかなー!ほら、言ってたでしょ!私と冒険してた勇者の話!」
勇者「えっ…ちょ、ちょっと待って…どういうこと…?」
青年「初めまして、会えて光栄です!ユウさん達の魔王討伐には力になれなかったけど、俺も元々は勇者で…困ってたところをクレアに助けて貰って…」
魔法使い「魔王って一体じゃないでしょ?ダーリン、私達が倒したのとは別の、とおーくの地の魔王を倒したらしいんだけど呪われちゃって魔物モドキにされちゃってね」
魔法使い「それで、私、凄腕の魔法使いってことで有名だからこの街まで尋ねてきて、私の研究で解呪して、そのまま流れで愛し合って…みたいなね?」
魔法使い「勇者やってただけあって魔法の腕前も知識量も凄いんだよ!土地の違いがあるから、私達が知りもしない情報、沢山持ってて!今ではこうして、同棲しながら研究を手伝ってもらってるの」
この時間にそうすると みたいなのどうよ もいるから紛らわしいだろうしね
死ねとか酷い
ごめんね
勇者「冒険は続けてないよ…。ただみんな、生き生きとしててそれに圧倒されてるって言うか…。けど、マリアは何も変わってなさそうだから安心したよ」
僧侶「それは一体、どういう…?『オギャア、オギャア』…あー、よしよし。怖くないですよー」
勇者「こうやって身寄りのない子達の面倒を見てたり、聖職者としての務めを果たしてるマリアを見てると会った頃と変わってなくて、安心するってことだよ」
僧侶「会った頃はこんなに立派な教会を未熟者の私が持てるなんて思ってませんでしたよ。あなたも、昔のままではないでしょう?」
勇者「そりゃ、土地を貰えたりお金を貰えたりはしたけど、両親やみんなの面倒を見ないといけないから村…じゃなくて、町から離れられないし、売店もほぼやってないんだからお金なんて意味ないしね」
僧侶「私の前では、強がらなくていいと言ったじゃないですか。一人称も、住んでる場所のことも誤魔化す必要はないんですよ、何も恥ずかしいことはないです」
勇者「ありがとう…。けど、ボクも20超えちゃったしいつまでも少女気分じゃいられないってのはあるんだよ。村のことは、見栄張りたいだけだけど…」
勇者「なんだか、マリアの立派な姿見てたら、ボクも独身貫こうかなーってそんな気分になってきちゃったよ。結婚しないのも、それもまた1つの選択肢、だもんね!」
僧侶「勇気づけられたなら、私も嬉しいです。嬉しいですが、一気になるんですが、独身とは…?誰がですか…?」
勇者「え、マリアがだよ!聖職者だもんね!純潔の誓いというか、そうやって信念に沿って自分のやりたいことを一貫して通してるの、かっこいいなって!」
僧侶「…質問ですが、世の女性が純潔を誓うなら子は誰が産むのでしょうか…?正しく男性を愛し、愛されそうやって子も愛す。それが正しい営みですし、私もユウもそうして産まれたんですよ?」
僧侶「今、私が抱いてるこの子がまず実子ですし、外で遊んでる子達の中にも長男がいます。独身を貫く美学、というのも勿論あるのでしょうが私はそうではないです」
勇者「いいの、いいの。ヒクッ…ボクは!なんといっても、あの!大魔王を倒した、勇者っ!の…子孫の…そこそこ働いたオバサンだからね…」
少年「お姉さんすごいっ!だから誰もお姉さんのこと叱らないんだね!うちのお母さんは、あの人とはあまり話すなって言ってたよ。王様みたいに、凄い人だからだったんだね!」
勇者「あははぁ…ろくでなしだってバレてるなあ…ボク…。でも、お酒を呑む手は止まらないから困っちゃうよ…グビックビッ……いくら呑んでも不味いから、満足しないなぁ…」
少年「嫌なことあると、お酒が不味いってお父さん言ってた。お姉さんもそうなの?何か嫌なことあった?」
勇者「まぁね~…。あと、君、ボクのことはオバサンで良いよ。お世辞言ったって、何にもならないよ。実際、仲間達の中でも、1番魅力がなかった…ゴクッ…わけだしねぇ…」
少年「お姉さん、綺麗だもん。まだオバサンって歳じゃないでしょ?綺麗な人はお姉さんって呼びなさいってお母さんいつも言ってるよ。間違ってた?」
勇者「そんな純粋な目で見られると、困っちゃうな、私…。あー、なんか酔いも冷めちゃうよ…。ちょっと集中すると魔力でアルコールの効力消えちゃうからダメだなぁ…」
少年「お姉さんって、勇者なんだよね?ボク、聞いた事あるよ。とっても強くて、魔法もいっばい知ってるカッコイイ人をそう呼ぶんだって。ぼくも、勇者になりたい!」
勇者「まぁ…勇者と言えば勇者、かな…。でも、成功してるのは私以外の子達だし…私は大したことないよ…。御先祖様は、立派だったんだろうけどね…」
少年「ぼくはお姉さんのこと、すごい人だと思う!みんな、お姉さんは怒らないし、みんなお姉さんに感謝してるよ!ぼくもね、そんな人になりたい!だから、師匠になってよ!」
勇者「…まぁ、お酒呑んで時間を無駄に費やすより、そっちのが有意義なのかな…。私は…こんなだらしない女だから…辞めたくなったら、いつでも辞めていいからね?」
男「師匠、起きてますよね…?本当に寝惚けてるときは一人称、『ボク』ですよ?別に今日はこれと言って何も無いですし、眠ってていいですよ」
勇者「すー……すー……。ごめんね、お姉ちゃん、半分寝てるからききのがしちゃった……。ライトくんが起こしてくれないと、ダメだなぁ~…」
男「僕が起こすまでその調子で通すつもりですね……。僕、恥ずかしいからあまりやりたくないんですけど……ボソ…ボソ…ちゃん…起きて……」
勇者「……えっ、なんて?ライトくん、なんて……?声、もうちょっと大きかったらすぐにでも起きれるんだけどなぁ~…」
男「ハッキリ言いますから、もう1回は言わせないでくださいよ……ユウお姉ちゃん、起きて!!!」
勇者「うん、お姉ちゃん起きたよ!お姉ちゃんを起こしてくれるなんて、ライトくんいい子だね~!」ナデナデ
男「うぅ……。僕もいい歳なんですから、あまりこういうことをするものじゃないですよ……」
勇者「まだ10代なんだからお姉ちゃんに甘えても平気だと私は思うけどなぁ~。最近はライトくん、私と話す時は敬語使ってるしなんか寂しいなぁ」
男「昔は詳しくなかったですけど、改めて、師匠の活躍や師匠がどういう人物か知ったら敬語で話すのが1番だと思って……」
男「ありがとうございます…。けど、僕も男子なのであんまり服装をはだけられたり、抱きつかれたり、至近距離で接されると…」
勇者「私の事、異性として意識してくれてるんだね。もうオバサンなんだけどね。けど、変に魔力持ってるせいで身体は20歳辺りのままなのが罪作りなのかも」
男「師匠、昔から自分のことをオバサン呼ばわりしてますけど、その気はないんだろうけど皮肉にしか聞こえないから腹が立って困るってうちの母さん言ってましたよ」
勇者「へぇ、ライトくんのお母さんにそういう風に見られてるんだね、私。じゃあ、ライトくんに嫁入りしても安心して迎え入れてくれるのかな?」
男「あまり冗談は言うものじゃないですよ。本気にでも取られてしまったら災難の元ですからね」
勇者「冗談かはさておき、ライトくんに迫られたら私は責任取るつもりだよ。ちっちゃい頃から面倒見てきたし、どういう子かよく知ってるしね」
男「昔から師匠とは一緒にいたはずなのに、年々、僕を甘やかす癖が酷くなってきて僕はまだ師匠の扱いがなれないです…」
勇者(まぁ、ボクが言ってることは全部本気なんだけど、まだ若いライトくんからしたら慎重に受け止めちゃうよね。責任感が強いから、自分なんかじゃまだ釣り合わないとか思ってるのかな)
勇者(実際、その歳で結婚なんて荷が重すぎるだろうし、その反応が最もなんだろうけどボクはとっくに溺愛しちゃってるというか…我慢が効かないというか…)
勇者(ある程度、冗談ってことで流さないとライトくん困っちゃうよね。出会いに恵まれなかったと思ってた私が、弟子の男の子に恋しちゃったなんて、みんなが知ったらどう思うかなぁ…)
男「誰かの役にたちたい気持ちも勿論あるんですが、自分の名声をあげたい、広い世界に触れて見聞を深めたいというのもあるんです」
男「師匠もそうやって、仲間と出会い、経験を積み、成長して魔王討伐という偉業を成し遂げたと聞きます。僕も、やってみたいんです。…憧れ、ですね」
勇者「その目でそれを言われると……止めづらい……。ライトくん、私の扱いになれてるんだから……」
男「 大丈夫ですよ!僕は師匠の弟子なんですから!魔法や武器の扱いや立ち振る舞いはきっとどこへ行っても通用すると思います!山中だから、魔物や薬草に触れる機会もありましたし!」
勇者「私も、そのつもりで全力で教えてきたけど、どうしても口で伝えるだけじゃ身に付かないことだってあるよ。ダンジョンのトラップだって、実際入ってみたら教えられてきたものと微妙に仕様が違うかもしれないし」
男「それは……そうなんですか……?」
勇者「そうだよ、だから本当に大事なのはそのとき冷静に適切な判断をできるだけ早くこなせるかどうか。魔王討伐が進んでいけばいくほど、知識にない魔物や道具に困らせられることは多かったよ」
勇者「私なんて、旅立つ前はほんのちょっぴりの知識しかなかったから、冒険してから困難に当たって学ぶことは日常茶飯事だった。むしろ、仲間の子達の方が初期知識は多かったり…」
男「不安ですけど…やってみます。たぶん、それだけ苦労ばかりでも諦めず挑み続けたから師匠は英雄になれたんですよね!だったら、僕も挑戦してみます!」
勇者「まぁ…そうだとは思うけど、無事ではないかなぁ…」
男「えっ…?」
勇者「勇者っていうのは女神様の加護を受けてて、その子孫っていうのも個々の強弱はあれどそれを受けてるんだよね。教会での蘇生ってその力を受けてのものだから」
勇者「最低でも1人はパーティーに勇者がいないと、そうやって蘇れないってことになるね。私達の場合は、全滅したらまず私が1人だけ蘇って他の子達の分も頼んでって感じだったね」
勇者「だからね、止めはしないけど行くなら私もついていくよ。10年近く教えてきた弟子なんだから、ライトくんを放って置くってのはありえないかな」
男「師匠も僕と…?いいんですか…?」
勇者「この辺りもすっかり平和になったし、私の両親に至ってはこんなところで骨を埋めるよりどこか遠くの賑やかな街にいって旦那さんを持ちなさいって言い出すくらいだし」
勇者「ライトくんは自分の実力や名声を上げたいって言ってるから、極力手助けは控え目にするよ。けど、死んじゃったときは必ず甦らせるからね」
男「ありがとうございます…」
勇者(話し出したときより、表情が暗くなっちゃったかな…。師匠離れしたかったんだろうけど、死んじゃうってなったら了承せざるを得ないよね…)
すまぬ
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- 幼馴染「久しぶりにしゃぶらせて?」男「は!?」
- 千早「私、みんなに戒名も付けたいのだけれど」
コメント一覧 (5)
-
- 2019年09月13日 15:27
- どうよニキ有名でうれしい
-
- 2019年09月13日 18:25
- でもどうよ割と悪評ぽいのは草
-
- 2019年09月13日 20:08
- どうよじゃねーよオチまで書けやって話やし
こいつもそうだけど
-
- 2019年09月14日 02:19
- なんでオチまで書く必要があるんですか(正論)
-
- 2020年09月10日 21:08
- 好きな人には申し訳ないけど、俺としては起承転結なりストーリーなりが読みたいわけよ。それを起承転結の起の触りの部分なりだけを見せられて、どうよ?とかやられたら物語への没入感が薄れるしイラっとくる。